JP4931095B1 - 油脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パーム系油脂を使用するにもかかわらず、パーム臭の抑制された油脂組成物の製造方法およびそれを使用して揚げた食品を提供する。
【解決手段】本発明の製造方法は、ヨウ素価が10以上81未満のパーム系油脂を10重量%以上含有する油脂組成物に、リン分をパーム系油脂に対して0.07ppm〜1ppm添加することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、油脂組成物の製造方法に関し、より詳細には、パーム系油脂を含有しながら、その特有臭を抑制した油脂組成物の製造方法に関する。
パーム油は、シュロ科(Elaeis guineensis Jacq.)に属する植物のパームの果肉を加圧蒸煮した後、圧搾することによって得られる植物油である。パーム油は、常温で半固体・半液状の油脂であり、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等を豊富に含有する。従来、パーム油及びその加工油脂は、工業原料や石鹸原料として利用されてきたが、近年、酸化安定性が高いために揚げ物や炒め物に使用される食用油脂としても用いられる等、その需要が増大している。
一方で、パーム油は、他の油脂とは異なる独特な匂い(以下、「パーム臭」という)を有する。一部の消費者はこのパーム臭を嫌う傾向がある。また、パーム臭は、油脂組成物を使用する環境を悪化させ、作業者に不快感を与えることがある。
特許文献1及び2には、パームオレインとコーン油や菜種油を混合し、臭いが良好な加熱調理食品を作ることができる油脂組成物が開示されている。しかし、パーム臭については何ら記載されていない。
特許文献3には、改善された酸化安定性を備え、かつ加熱臭の少ない、菜種油とパーム油を含んだ配合食用油が開示されている。この文献は、菜種油の加熱臭の低減について言及し、パーム臭については何ら記載がない。
特許文献4には、精製された食用油脂に、原油及び中間的油脂から選ばれる少なくとも一種のリン由来成分をリン分が0.1〜5.0ppmとなるように添加することを含む、180℃での加熱耐性に優れた揚げ物用油脂組成物の製造方法が開示されている。しかし、特許文献4は、揚げ物用油脂組成物の加熱耐性を高めることを目的としており、パーム臭については何ら記載されていない。
特開2009−100735号公報 特願2008−34867号公報 特開2000−282080号公報 特許第4159102号公報
上記したように、パーム油及びそれを含む油脂組成物は、パーム臭が作業環境を悪化させ、作業者に不快感を与えるため、パーム臭抑制により商品価値を向上することが望ましい。しかし、パーム臭の抑制に関する報告はない。そこで、本発明の目的は、パーム系油脂を含有するにもかかわらず、パーム臭が少なく、その商品価値が高い油脂組成物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた結果、パーム系油脂を含有する食用油脂に所定量のリン分を含有させることでパーム臭を抑制できることを見出した。すなわち、本発明は、ヨウ素価が10以上81未満のパーム系油脂を10重量%以上含有する油脂組成物に、リン分をパーム系油脂に対して0.07ppm〜1ppm添加することを含む、油脂組成物の製造方法を提供する。
前記パーム系油脂は、パーム油の加工油脂であることが好ましい。
前記リン分の由来成分は、例えばパーム系油脂以外の原油及び中間的油脂から選ばれる少なくとも一種である。本明細書において、リン分の由来成分という用語は、リンを含み、油脂組成物の原料となる成分の意義で使用される。前記原油は、油糧原料から圧搾法、抽出法、圧抽法等により得られた油脂を意味する。前記中間的油脂は、脱ガム、脱酸等の油脂精製工程の一部を省いた粗精製油を意味する。
本発明は、また、上記油脂組成物の製造方法を用いて食材を揚げることにより得られる食品を提供する。
特定範囲のヨウ素価を有するパーム系油脂に対して所定量のリン分を含める本発明の油脂組成物の製造方法によれば、パーム系油脂を含有しながらパーム臭を抑制した油脂組成物を、簡便に製造することができる。また、本発明の油脂組成物の製造方法を用いて食材を揚げて得られる食品は、風味を変えずにパーム臭を抑制することができる。
図1は、パーム系油脂とその他の食用油脂(大豆油、菜種油及びコーン油)とを混合した油脂組成物において、横軸にパーム系油脂の割合をとり、縦軸にパーム臭の評価をとったグラフである。△印は、リン分を含有しない比較例の系であり、○印はリン分(由来成分は菜種脱ガム油)をパーム系油脂に対して0.2ppm含有する実施例の系である。
本発明に使用するパーム系油脂には、パームから得られるパーム油のほかに、パーム油を分別、エステル交換、水素添加等を行ったものを含む。分別油の具体例には、パームステアリン、パームミッドフラクション(PMF)及びパームオレインが挙げられる。
パーム系油脂のヨウ素価(IV)の下限は、10以上であり、好ましくは15以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは32以上である。上限は、81未満であり、好ましくは70以下、さらに好ましくは67以下である。ヨウ素価が81以上のパーム系油脂を使用すると、抑制効果が小さく、パーム臭が明らかに残る。ヨウ素価の分析は日本油化学会においてウィイス法によって算出されているが、簡便な近赤外分析法でも求めることができ、J.Am.Oil Chem.Soc.76(6)693〜9(1999)において非常に高い相関が得られている。本実施例はで、近赤外分析法にて算出した。
本発明に使用されるパーム系油脂以外の食用油脂は、特に制限がなく、食用油として用いられているものであればよい。具体例として、大豆油、菜種油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、紅花油、ひまわり油、綿実油、米油、落下生油、パーム核油、ヤシ油等の植物油脂、牛脂、豚脂等の動物脂、並びにこれらを分別、水素添加、エステル交換等の処理を施した加工油脂が挙げられる。この食用油脂は、一種単独でも、二種類以上のブレンドでもよい。
上記の食用油脂は、その油糧原料から、圧搾抽出及び/又は溶剤抽出により原油を得た後、原油をさらに抽出、精製することにより製造することができる。
圧搾抽出は、原料に高圧を加えて細胞中の油分を搾り取ることにより行うものである。圧搾抽出は、ゴマのような比較的油分の高い油糧原料に向いている。溶剤抽出は、原料となる油糧種子を圧扁もしくは圧搾抽出後の残渣に溶剤を接触させ、油分を溶剤溶液として抽出し、得られる溶液から溶剤を留去して油分を得ることにより行う。溶剤抽出は、大豆のような含油量の少ない原料に向いている。溶剤にはヘキサン等を使用する。
精製手段としては、植物油の一般的な精製工程を適用することができる。すなわち、一般に、(抽出油)原油→脱ガム油→脱酸油→脱色油→脱臭油(精製油)の順に不純物が除かれ、それぞれの間の操作である「脱ガム処理」、「脱酸処理」、「脱色処理」、「脱臭処理」の工程は、それ自体としては一般的な、脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理、脱臭処理等が採用される。
脱ガム処理は、油分中に含まれるリン脂質を主成分とするガム質を水和除去する工程である。よって、脱ガム油は、原油を脱ガム工程にてガム質を除去した油脂を意味する。
脱酸処理は、アルカリ水で処理することにより、油分中に含まれる遊離脂肪酸をセッケン分として除去する工程である。
脱色処理は、油分中に含まれる色素を活性白土に吸着させて除去する工程である。
脱臭処理は、減圧下で水蒸気蒸留することによって油分中に含まれる有臭成分を除去する工程である。なお、オリーブ、ゴマ、紅花及びひまわりについては、圧搾抽出及び/又は溶剤抽出された原油をそのまま、あるいは該原油が簡単な水洗処理を施されたものを食用に供される場合がある。
精製したパーム油の分別方法には、非溶剤分別法及び溶剤分別法がある。これらの方法は公知である。例えば、本出願人が開示した特開2009−51973に記載の方法を参照のために本明細書に編入する。
分別油は、構成するトリグリセリドの融点に基づいて、高融点成分、中融点成分及び低融点成分に分類される。高融点成分にはパームステアリン、中融点成分にはPMF、そして低融点成分にはパームオレインが含まれる。
精製したパーム油又はその分別油をエステル交換する方法もまた、公知の方法を適宜採用することができる。
前記パーム系油脂の含有量は10重量%以上であり、好ましくは30重量%以上、特に好ましくは50重量%以上である。パーム系油脂の含有量の算出では、エステル交換、水素交換等した加工油脂もパーム系油脂に含まれる。パーム系油脂の含有量が10重量%より少ないと、油脂組成物のパーム臭がほとんど問題とならない。パーム系油脂が30重量%以上であると、図1に示すように、パーム臭抑制効果が大きく、特に50重量%以上において顕著である。なお、パーム系油脂の含有量の上限はなく、油脂組成物の用途に応じて、適宜決めればよい。
前記リン分の由来成分は、特に制限されない。上記リン分の由来成分の例としては、圧搾法、抽出法、圧抽法等により得られる原油、脱ガム油、粗精製油等の中間的油脂(パーム系油脂を除く)、並びにレシチン、リン酸、リン酸塩のようなリン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を使用することができる。原油や中間的油脂は、パーム系油脂以外であれば、種類の制約はない。すなわち、ベースとなる食用油脂以外のものも使用可能である。後述するように油脂組成物の加熱着色の点で、原油及び中間的油脂並びにリン酸が好ましく、特に中間的油脂が好ましく、さらに好ましくは脱ガム油である。
上記レシチンには、大豆レシチン、菜種レシチン、コーンレシチン、サフラワーレシチン等の植物レシチンや、卵黄レシチン等の動物レシチンが使用される。上記レシチンは、天然由来の未精製レシチン(クルードレシチン)、クルードレシチンから中性脂質、脂肪酸、炭水化物、タンパク質、無機塩、ステロール、色素等の不純物を常法により除去して得られる高純度に精製されたレシチン(精製レシチン)のいずれでもよい。さらには、レシチン中のフォスファチジルコリンを分画して得られる分画レシチン、レシチンをリゾ化処理することにより得られるリゾレシチン、酵素分解処理した酵素レシチンのような改質レシチンでもよい。臭い等の面で、精製レシチンが好ましい。
上記リン酸塩には、リン酸三カリウム、リン酸三カルシウム、リン酸三マグネシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸二水素カルシウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、これらの水和物等が挙げられる。
本発明の油脂組成物のリン分は、パーム系油脂に対して0.07ppm〜1ppmであり、好ましくは0.2ppm〜1ppmであり、特に好ましくは0.2〜0.7ppmである。リン分が0.07ppm未満であると、十分なパーム臭抑制効果を得ることができない。逆に、1ppmを越えると、リン分の由来成分の臭気や分離の恐れがあり、油脂組成物の商品性が損なわれる場合がある。
油脂組成物中にリン分を添加させる方法に、特に制限はない。例えば、パーム系油脂に所定量のリン分の由来成分を添加したものと、パーム系油脂以外の食用油脂とを混合する方法、パーム系油脂とパーム系油脂以外の食用油脂とを混合したものに所定量のリン分の由来成分を添加する方法、パーム系以外の油脂に所定量のリン分の由来成分を添加したものにパーム系油脂とを混合する方法、パーム系油脂と従来の食用油脂の精製度をマイルドにしてリン分を所定量残存させた食用油脂とを混合する方法等が挙げられる。これらの中で、パーム系油脂に所定量のリン分の由来成分を添加したものと、パーム系油脂以外の精製された食用油脂とを混合する方法は、油脂組成物のリン分を管理しやすい点で好ましい。
前記油脂組成物には、食用油脂に公知の添加剤を、本発明の効果を妨害しない範囲で添加してもよい。添加剤の例には、トコフェロール等の抗酸化剤、乳化剤、シリコーン樹脂等の消泡剤、香料、着色剤が挙げられる。
得られる油脂組成物の形状は、液状、ペースト状、固形状のいずれでもよい。形状は、食用油脂をはじめとする必須成分、およびその他の成分を適宜選択することにより容易に調整可能である。
本発明は、また、上記油脂組成物の製造方法を用いて食材を揚げて得られる食品を提供する。本発明によれば、パーム臭を抑制しながら、食品の風味を変更しない食品を提供することができる。食材を揚げる温度及び時間は、当該食材で常用されるものでよい。
前記食品の例には、例えば、コロッケ、とんかつ、唐揚げ、天ぷら、魚フライ、揚げ豆腐、揚げ米菓、ポテトチップス等のスナック菓子、ドーナッツ、インスタントラーメン等がある。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。しかし、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。また、「部」は、重量部を意味する。
以下に示す各油脂に、シリコーン樹脂3ppmを添加したものを使用した。
(パーム系油脂)
パームダブルステアリン(IV15)(株式会社J−オイルミルズ製、リン分測定できず)
パームステアリン(IV32)(株式会社J−オイルミルズ製、リン分測定できず)
精製パーム油(IV55)(株式会社J−オイルミルズ製、リン分:0.6ppm)
PMF(IV46)(株式会社J−オイルミルズ製、リン分:0ppm)
パームオレイン(IV67)(株式会社J−オイルミルズ製、リン分:0ppm)
パームスーパーオレイン(IV81)(株式会社J−オイルミルズ社内調製品、リン分:0.2ppm)
パームオレイン(IV67)を、Lipozyme TL IM(ノボザイムズ社)を固定化したカラム(約4kg充填した直径10cmのカラム)に流速1.3kg/時間で通液してエステル交換を行った。得られたエステル交換油脂10kgを温度70℃で完全溶解後、18℃まで急冷した。次いで、18℃で60分、14℃で90分、11℃で90分、8℃で120分、5℃で120分、4℃で60分、3℃で60分の順で晶析操作を行った。なお、各温度間の遷移は速やかに行った。晶析後のスラリーをフィルタープレス(圧力:12bar)でろ過した。ろ別した液状画分からIV81のパームスーパーオレインを得た。
(パーム系油脂以外の食用油脂)
精製大豆油(株式会社J−オイルミルズ製、リン分:0ppm)
精製菜種油(株式会社J−オイルミルズ製、リン分:0ppm)
精製コーン油(株式会社J−オイルミルズ製、リン分:0ppm)
(リン分の由来成分)
菜種原油(株式会社J−オイルミルズ製、リン分:390ppm)
菜種脱ガム油(株式会社J−オイルミルズ製、リン分:105ppm)
菜種脱ガム油を脱色脱臭した油脂(株式会社J−オイルミルズ製、リン分:65ppm)
大豆脱ガム油を脱色脱臭した油脂(株式会社J−オイルミルズ製、リン分:198ppm)
リン酸(85%水溶液)(株式会社和光純薬工業製)
精製レシチン(ベネコートBMI−40L、花王株式会社製、リン分:16,641ppm)
(リン分の分析)
油脂中のリン分を、高周波プラズマ発光分光法(製品名ICP、型番iCAP6000、サーモフィッシャーサイエンティフィック製)を用いて測定した。測定値から、油脂組成物中のパーム系油脂に対するリンの重量割合を求めた。
(ヨウ素価の分析)
近赤外分析計(製品名 近赤外分析計、型番 Model5000、株式会社ニレコ製)を用いてヨウ素価を測定した。
(加熱臭の評価)
ガラス瓶に油脂組成物10gを入れて180℃に加熱した。4名の評価者が「パーム臭の強さ」を以下の基準で官能的に評価した。
3点:パーム臭がしない
2点:パーム臭がわずかにする
1点:パーム臭がする
0点:パーム臭が強い
4名の採点から平均点を算出した。相対的にリン分の含有によってパーム臭が抑制され、かつ絶対的に平均点が1.5を超える油脂組成物を、パーム臭の抑制効果ありと判断した。
〔実施例1〜4〕菜種脱ガム油の添加試験
パームオレイン(IV67)にリン分の由来成分としての菜種脱ガム油をリン分が表1になるようにそれぞれ添加した。得られた油脂組成物を180℃に加熱して、パーム臭及び異臭を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0004931095
表1に示したように、リン分が0.07ppm以上で、パーム臭の抑制効果を確認できた。また、リン分1ppmでは、わずかに異臭を生じ、そしてリン分1.5ppmでは、強い異臭を生じた。よって、パーム臭の抑制効果と異臭の観点から、パーム油系油脂に対するリン分は、0.07〜1ppmが必要であり、0.2〜1ppmが好ましく、特に好ましくは0.2〜0.7ppmであることが分かった。
〔実施例5〜8〕リン酸の添加試験
パームオレイン(IV67)にリン分の由来成分としてリン酸をリン分が表2になるように添加した。得られた油脂組成物のパーム臭を、実施例1と同様の手順でした。その結果を表2に示す。
Figure 0004931095
表2に示したように、リン分0.07〜1ppmでパーム臭の抑制効果があり、特に0.2ppmで効果が高かった。また、リン分1.5ppmでは、長時間放置すると水分の分離が生じる場合があった。
〔実施例3、11〜15〕パーム系油脂の違い
表3A及びBに示す油脂組成物を調製した。実施例では、菜種脱ガム油のリン分がパーム系油脂に対して0.2ppmになるように添加した。油脂組成物のパーム臭を、実施例1と同様の手順で評価した。その結果を表3A,Bに示す。
Figure 0004931095
Figure 0004931095
表3に示したように、IV15〜81のパーム系油脂のいずれにおいても、リン分含有によるパーム臭の改善が見られた。しかし、IV81のパームスーパーオレインでは、パーム臭評価点が1.5と低かった。このことから、パーム系油脂のヨウ素価は、10以上81未満が必要であることが判明した。
〔実施例2、6、16〜19〕リン分の由来成分の比較
パームオレイン(IV67)に表4に示す各種リン分の由来成分をリン分が0.2ppmになるように添加した。得られた油脂組成物のパーム臭を、実施例1と同様の手順で評価した。その結果を表4に示す。
Figure 0004931095
表4に示すように、いずれのリン分由来成分を用いた場合にも、パーム臭抑制の効果を確認できた。特に、菜種原油または菜種中間的油脂、リン酸、レシチンにおいて、パーム臭抑制効果が優れた。
〔実施例2、6、19〕油脂組成物の加熱着色試験
実施例2、6及び19の油脂組成物、並びに比較例1の油脂組成物(リン分無添加)の加熱着色試験を実施した。加熱着色試験は、ステンレス容器(直径5cm)に10gの油脂組成物を張り込み、180℃で34時間加熱した。加熱後の油の色調を、ロビボンド比色計(1/2インチセル)を用いて測定した。その結果を10R+Y値で表5に示す。
Figure 0004931095
表5に示したように菜種脱ガム油では、パーム臭抑制のみならず、加熱着色まで抑えることができた。リン酸では無添加と同等であった。従って、油脂の加熱着色の点から、原油又は中間的油脂、及びリン酸を用いることが好ましいことが判った。
〔実施例2、20〜24〕パーム系油脂の配合量の違い
パームオレイン(IV67)に菜種脱ガム油をリン分が0.2ppmとなるよう添加した。この混合物に、さらに、表6に示す食用油脂を混合した。得られた油脂組成物のパーム臭を、実施例1と同様の手順で評価した。その結果を表6A〜Cに示す。
Figure 0004931095
Figure 0004931095
Figure 0004931095
表6A〜Cの結果から、横軸にパーム系油脂の割合とし、縦軸にパーム臭の評価とするグラフを作成した。結果を図1に示す。図1中、グラフの△印はリン分無添加の比較例を、そして○印はリン分0.2ppmの実施例を示す。パーム系油脂の割合が5%の油脂組成物(表6Cの比較例20)では、パーム臭を確認できない。しかし、パーム系油脂の割合が10%以上になると、パーム臭が現れ、パーム系油脂の割合の増加とともにパーム臭が強くなる。一方、リン分0.2ppmを含有させた実施例では、パーム系油脂の割合が10%〜100%でもパーム臭の評価は平均2.5以上に維持される。この抑制効果は、パーム系油脂以外の食用油脂の種別に依存しない。すなわち、本発明の油脂組成物は、パーム系油脂と食用油脂とのあらゆる系で、パーム臭の抑制効果を発揮する。
〔実施例25〕揚げた食品の風味評価
PMFにリン分の由来成分としての菜種脱ガム油をリン分が0.2ppmになるように添加することにより、油脂組成物を調製した。この油脂組成物を用いて、ポテトを180℃×3分間揚げた。得られたポテトフライのパーム臭と風味を評価した。その結果を表7に示す。
Figure 0004931095
表7に示すとおり、リン分を含有した油脂組成物を使用することで、油脂組成物のパーム臭の抑制だけでなく、調理した食品のパーム臭も抑制できることを確認した。また、リン分が食品本来の風味を変更することはなかった。

Claims (4)

  1. ヨウ素価が10以上81未満のパーム系油脂を10重量%以上含有する油脂組成物に、リン分をパーム系油脂に対して0.07ppm〜0.7ppm添加することを含む、油脂組成物の製造方法。
  2. 前記パーム系油脂がパーム油の加工油脂である、請求項1に記載の油脂組成物の製造方法。
  3. 前記リン分の由来成分が、パーム系油脂以外の原油及び中間的油脂から選ばれる少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の油脂組成物の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の油脂組成物の製造方法を用いて食材を揚げることにより得られる食品。
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