JP4930727B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4930727B2
JP4930727B2 JP2008086498A JP2008086498A JP4930727B2 JP 4930727 B2 JP4930727 B2 JP 4930727B2 JP 2008086498 A JP2008086498 A JP 2008086498A JP 2008086498 A JP2008086498 A JP 2008086498A JP 4930727 B2 JP4930727 B2 JP 4930727B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
estimation model
air
fuel ratio
internal combustion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008086498A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009236089A (ja
Inventor
正行 山下
俊一 平尾
勝彦 宮本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Motors Corp filed Critical Mitsubishi Motors Corp
Priority to JP2008086498A priority Critical patent/JP4930727B2/ja
Publication of JP2009236089A publication Critical patent/JP2009236089A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4930727B2 publication Critical patent/JP4930727B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

本発明は、内燃機関の空燃比制御装置に係り、詳しくは、実空燃比を推定する技術に関する。
内燃機関では、吸入空気量や燃料噴射量を適正な値に設定するよう空燃比を適正な値とすべく空燃比制御を行っており、当該空燃比制御では、通常は排気通路に設けた空燃比センサ(Oセンサ、LAFS等)からの排気空燃比情報、即ち実空燃比情報に基づき空燃比をフィードバック制御するようにしている。
ところで、一般に現存する空燃比センサには機能するためにある一定の活性温度があり、内燃機関の冷態始動時においては、排気通路の温度も低いために空燃比センサの温度が当該活性温度に達せず、排気空燃比、即ち実空燃比を適正に検出できない場合が多いという問題がある。
そこで、内燃機関の冷態始動時において、空燃比センサを予め加熱(プレヒート)して活性化を促進する技術や、空燃比センサを用いることなく空燃比を推定する技術が種々開発されている。
空燃比を推定する技術としては、例えば、空燃比と関係のある内燃機関の状態を入力パラメータとしてニューラルネットワークにより空燃比を推定する技術が開発されている(特許文献1等参照)。
特開平10−176578号公報
ところで、内燃機関に使用する燃料は地域等により燃料性状が一定ではなく、燃料性状が粗悪な燃料も多く存在している。このような燃料性状の違いは、内燃機関の運転に与える影響が大きく、上記特許文献1に記載されたニューラルネットワークでは、例えば検出した燃料性状(燃料種別)をも入力パラメータに含めて空燃比を推定するようにしている(特許文献1の図43等参照)。
しかしながら、実際には燃料性状は内燃機関の状態を左右し、燃料性状以外の内燃機関の状態を示す何れかの入力パラメータに少なからず影響を与えるものであり、特許文献1に記載された手法では、既に何れかの入力パラメータに燃料性状の要素が含まれていると考えられる。この場合、推定値を正確なものにしようとすれば入力パラメータが多いためにニューラルネットワークの学習が極めて複雑になるおそれがあり、或いは、燃料性状以外の入力パラメータに燃料性状の影響を考慮しないとすれば空燃比の推定や燃料噴射量を適正なものにできないおそれがあり、好ましいことではない。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、簡単な構成にして燃料性状に拘わらず空燃比を適正に推定可能な内燃機関の空燃比制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の内燃機関の空燃比制御装置は、内燃機関の状態を示す複数のパラメータを入力して、推定モデルに従い、内燃機関から排出される排気の実空燃比を推定し出力するニューラルネットワークと、内燃機関に供給される燃料の燃料性状に応じて前記ニューラルネットワークにおける推定モデルを学習し複数設定する推定モデル設定手段と、内燃機関に供給された燃料の燃料性状を判定する燃料性状判定手段と、該燃料性状判定手段により判定された燃料の燃料性状に応じて前記ニューラルネットワークにおける推定モデルを選択する推定モデル選択手段とを備え、前記推定モデル設定手段は、所定の良質性状の燃料に対しては少なくとも機関回転速度、吸入空気圧及び燃料噴射量からなる一群の制御量をパラメータとして良質燃料用推定モデルを設定し、前記所定の良質性状よりも気化し難い所定の粗悪性状の燃料に対しては前記一群の制御量をパラメータとするとともに燃料の気化し難さに相関する制御量をもパラメータに加えて粗悪燃料用推定モデルを設定し、前記推定モデル選択手段は、前記燃料性状判定手段により判定された燃料の燃料性状が前記所定の良質性状であるときには前記良質燃料用推定モデルを選択し、前記所定の粗悪性状であるときには、前記粗悪燃料用推定モデルを選択することを特徴とする。
請求項の内燃機関の空燃比制御装置では、請求項において、前記燃料の気化し難さに相関する制御量は、少なくとも燃料噴射時期と点火時期との期間差であることを特徴とする。
請求項の内燃機関の空燃比制御装置では、請求項またはにおいて、前記ニューラルネットワークは、各パラメータを一定の時間間隔で入力して前記実空燃比を推定するものであって、前記推定モデル選択手段により選択された推定モデルが前記粗悪燃料用推定モデルであるときには前記良質燃料用推定モデルよりも長い時間間隔で各パラメータを入力して前記実空燃比を推定することを特徴とする。
請求項の内燃機関の空燃比制御装置では、請求項乃至のいずれかにおいて、前記ニューラルネットワークは、各パラメータを一定の時間間隔で入力するとともに該一定の時間間隔で入力した各パラメータの過去の入力データをも入力して前記実空燃比を推定するものであって、前記推定モデル選択手段により選択された推定モデルが前記粗悪燃料用推定モデルであるときには前記良質燃料用推定モデルよりも多数回の過去の入力データを入力して前記実空燃比を推定することを特徴とする。
請求項1の内燃機関の空燃比制御装置によれば、実空燃比に基づいて空燃比制御を行う際、実空燃比がニューラルネットワークにより内燃機関の状態を示す複数のパラメータを入力として推定モデルに従い推定されるが、当該推定モデルは、推定モデル設定手段により燃料の燃料性状に応じて学習し複数設定されており、推定モデル選択手段により燃料性状判定手段によって判定された燃料の燃料性状に応じて適宜選択される。
このように推定モデルを燃料性状に応じて複数設定するようにすると、推定モデルを燃料性状に相関するパラメータを入力としてその燃料性状に特化して学習するようにでき、推定モデルを煩雑な演算処理をすることなく学習し、推定精度の高い推定モデルを構築することができる。そして、当該燃料性状に応じた推定精度の高い推定モデルを選択的に使用して実空燃比を推定することができる。これにより、簡単な構成にして燃料性状に拘わらず実空燃比を精度良く推定することができる。
従って、内燃機関の冷態始動時のように、排気通路の温度が低く、実空燃比を検出する空燃比センサが未だ活性化しておらず十分機能していないような状況下において、実空燃比を精度良く推定することができ、内燃機関の冷態始動直後から空燃比を適正に制御でき、排気浄化性能の向上を図ることができる。
特に、推定モデル設定手段では、所定の良質性状よりも気化し難い所定の粗悪性状の燃料に対しては少なくとも機関回転速度、吸入空気圧及び燃料噴射量からなる所定の良質性状と同様の一群の制御量をパラメータとするとともに燃料の気化し難さに相関する制御量をもパラメータに加えて粗悪燃料用推定モデルが設定され、燃料性状判定手段により判定された燃料の燃料性状が所定の粗悪性状であるときには良質燃料用推定モデルに代えて粗悪燃料用推定モデルが選択される。
従って、所定の良質性状よりも気化し難い所定の粗悪性状の燃料に対しては少なくとも機関回転速度、吸入空気圧及び燃料噴射量からなる所定の良質性状と同様の一群の制御量をパラメータとするとともに燃料の気化し難さに相関する制御量をもパラメータに加えて粗悪燃料用推定モデルを設定することにより、推定モデルを所定の良質性状と所定の粗悪性状の燃料とにそれぞれ特化して学習し、これらを選択的に使用して実空燃比を推定することができる。これにより、簡単な構成にして燃料が良質性状か粗悪性状かに拘わらず実空燃比を精度良く推定することができる。
請求項の内燃機関の空燃比制御装置によれば、燃料の気化し難さに相関する制御量は、少なくとも燃料噴射時期と点火時期との期間差であるので、粗悪燃料用推定モデルを燃料の気化し難さに最も相関すると考えられる制御量をパラメータに加えて学習するようにでき、推定精度の高い粗悪燃料用推定モデルを構築することができる。
請求項の内燃機関の空燃比制御装置によれば、ニューラルネットワークでは、各パラメータが一定の時間間隔で入力されて実空燃比が推定されるが、推定モデル選択手段により選択された推定モデルが粗悪燃料用推定モデルであるときには良質燃料用推定モデルよりも長い時間間隔で各パラメータが入力されて実空燃比が推定される。
即ち、粗悪性状の燃料は良質性状の燃料よりも気化時間が長く応答遅れがあることに鑑み、ニューラルネットワークにおいて各パラメータのサンプリングを良質性状の燃料では短い時間間隔で、粗悪性状の燃料ではこれよりも長い時間間隔で行うようにして実空燃比を推定するようにする。これにより、実空燃比を精度良く推定することができ、空燃比制御の適正化を図るようにできる。
請求項の内燃機関の空燃比制御装置によれば、ニューラルネットワークでは、各パラメータは一定の時間間隔で入力されるとともに該一定の時間間隔で入力された各パラメータの過去の入力データも入力されて実空燃比が推定されるが、推定モデル選択手段により選択された推定モデルが粗悪燃料用推定モデルであるときには良質燃料用推定モデルよりも多数回の過去の入力データが入力されて実空燃比が推定される。
即ち、粗悪性状の燃料は良質性状の燃料よりも気化時間が長く応答遅れがあることに鑑み、ニューラルネットワークにおいて粗悪燃料用推定モデルであるときには良質燃料用推定モデルよりも多数回の過去の入力データを入力してニューラルネットワークで実空燃比を推定するようにする。これにより、実空燃比を精度良く推定することができ、空燃比制御の適正化を図るようにできる。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1を参照すると、車両に搭載された本発明に係る内燃機関の空燃比制御装置の概略構成図が示されており、以下、当該空燃比制御装置の構成を説明する。
同図に示すように、内燃機関であるエンジン本体(以下、単にエンジンという)1としては、例えば吸気管噴射型(Multi Point Injection:MPI)4気筒ガソリンエンジンが採用される。
エンジン1のシリンダヘッド2には、各気筒毎に点火プラグ4が取り付けられており、点火プラグ4には高電圧を出力する点火コイル8が接続されている。
シリンダヘッド2には、各気筒毎に吸気弁を介し吸気ポートが形成されており、各吸気ポートと連通するようにして吸気マニホールド10の一端がそれぞれ接続されている。吸気マニホールド10には、電磁式の燃料噴射弁6が取り付けられており、燃料噴射弁6には、燃料パイプ7を介して燃料タンクを擁した燃料供給装置(図示せず)が接続されている。
吸気マニホールド10の燃料噴射弁6よりも上流側には、吸入空気量を調節する電磁式のスロットル弁14が設けられており、併せてスロットル弁14のスロットル開度を検出するスロットルポジションセンサ(TPS)16が設けられている。さらに、スロットル弁14の上流には、吸入空気量を計測するエアフローセンサ18が介装されている。
また、シリンダヘッド2には、各気筒毎に排気弁を介し排気ポートが形成されており、各排気ポートと連通するようにして排気マニホールド12の一端がそれぞれ接続されている。
なお、当該MPIエンジンは公知のものであるため、その構成の詳細については説明を省略する。
排気マニホールド12の他端には排気管20が接続されており、当該排気管20には、排気浄化触媒装置30として三元触媒32が配設されている。
また、排気管20の三元触媒32よりも上流側には、排気中のO濃度を検出することで排気空燃比(排気A/F)、即ち実空燃比(実A/F)を検出する空燃比センサ22が配設されている。空燃比センサ22としては例えばOセンサが採用されるが、リニアA/Fセンサ(LAFS)等であってもよい。
ECU(電子コントロールユニット)40は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えており、当該ECU40により、エンジン1を含めた空燃比制御装置の総合的な制御が行われる。
ECU40の入力側には、上述したTPS16、エアフローセンサ18、空燃比センサ22の他、クランク角を検出するクランク角センサ42、エンジン1の冷却水温度Twを検出する水温センサ44、吸気マニホールド10内の圧力(インマニ圧)Pmを検出する圧力センサ46等の各種センサ類が接続されており、これらセンサ類からの検出情報が入力される。なお、クランク角センサ42のクランク角情報からはエンジン回転速度Neが算出される
一方、ECU40の出力側には、上述の燃料噴射弁6、点火コイル8、スロットル弁14等の各種出力デバイスが接続されており、これら各種出力デバイスには各種センサ類からの検出情報に基づき演算された燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期等がそれぞれ出力される。詳しくは、各種センサ類からの検出情報に基づき、燃焼空燃比(燃焼A/F)が適正な目標空燃比(目標A/F)に設定され、当該目標A/Fに応じた燃料噴射量が設定されるとともに適正な燃料噴射時期Tfが設定されて燃料が燃料噴射弁6から噴射され、またスロットル弁14が適正な開度に調整され、適正な点火時期Tsが設定されて点火プラグ4により火花点火が実施される。
また、目標A/Fは、さらに空燃比センサ22からの実A/F情報に基づきフィードバック制御(A/F−F/B制御)されており、これにより吸入空気量に基づき適正な量の燃料が燃料噴射弁6から噴射される(空燃比制御手段)。
ところで、かかるA/F−F/B制御を行うための空燃比センサ22は、上述したように活性状態にないと十分に機能しないことから、特にエンジン1の冷態始動時には、排気管20の温度や排気温度が低いために活性状態になく、空燃比センサ22からの情報を暫時使用することができないという問題がある。
そこで、エンジン1の冷態始動時には、空燃比センサ22を用いることなくニューラルネットワークを用いて実A/Fをファジイ推定するようにしており、当該ニューラルネットワークでは、エンジン1の状態を示す複数のパラメータを入力し、予め学習した推定モデルに従って実A/Fを推定するようにしている。なお、ニューラルネットワークによるファジイ推定の一般的な手法については周知であり、その詳細についてはここでは説明を省略する。
一方、エンジン1に使用する燃料は地域等によって燃料性状が異なることが多く、例えば気化の状況(気化し易さ、または、気化し難さ)により通常の良質性状の燃料と粗悪性状の燃料とに大別される。そして、当該燃料性状の違いは、上述したようにエンジン1の状態を示す何れかのパラメータに少なからず影響を与えることから、ニューラルネットワークにおいて常に同一のパラメータを入力として一つの推定モデルで実A/Fを推定していると、給油により燃料性状が変わった直後において実A/Fを適正に推定できないという問題が生じる。
このようなことから、本発明に係る空燃比制御装置では、通常の良質性状の燃料と粗悪性状の燃料とでそれぞれ推定モデルを設定し、燃料性状に拘わらず実A/Fを適正に推定可能に図るようにしており、以下上記のように構成された本発明に係る空燃比制御装置の作用について詳細に説明する。
図2を参照すると、ECU40で実行される、本発明に係る空燃比制御装置の始動時における実A/F推定制御の制御ルーチンがフローチャートで示されており、以下同図に沿って説明する。
ステップS10では、水温センサ44からの情報に基づき、エンジン1の冷却水温度Twが所定温度T1より小(Tw<T1)であるか否かを判別する。即ち、冷態始動時であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で冷却水温度Twが所定温度T1より小であって冷態始動時と判定された場合には、ステップS12に進む。
ステップS12では、クランク角センサ42のクランク角情報に基づき、エンジン回転速度Neの吹き上がり最大値、即ち吹き上がりNemaxが所定回転速度Ne1よりも小(Nemax<Ne1)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で吹き上がりNemaxが所定回転速度Ne1よりも小と判定された場合には、ステップS14に進む。
ステップS14では、始動直後の推定A/Fの最小値である推定A/Fminが所定値X1以上(推定A/Fmin≧X1)(リーンA/F寄り)であるか否かを判別する。なお、推定A/Fは、ここでは例えば後述するように燃料性状が通常の良質性状である場合に選択する通常燃料用推定モデルに基づいてニューラルネットワークで推定された値である。但し、これに限らず他の手法により推定A/Fを求めてもよい。判別結果が真(Yes)で推定A/Fminが所定値X1以上と判定された場合には、ステップS16に進む。
ステップS16では、上記吹き上がりNemax後に所定時間t1(例えば、2sec)が経過したか否かを判別する。判別結果が偽(No)の場合には所定時間t1が経過するのを待つ。一方、判別結果が真(Yes)の場合には、ステップS18に進む。
ステップS18では、上記吹き上がりNemax後の所定時間t1内における平均推定A/Fが所定値X2以上(推定A/F≧X2)(リーンA/F寄り)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で平均推定A/Fが所定値X2以上と判定された場合には、ステップS20に進む。
即ち、上記ステップS12〜ステップS18では、現在使用している燃料の燃料性状が所定の良質性状の通常の燃料であるのか、或いは所定の粗悪性状の燃料であるのかを判定しており(燃料性状判定手段)、ステップS12、ステップS14、ステップS18の判別結果が全て真(Yes)で、吹き上がりNemaxが所定回転速度Ne1よりも小であり、且つ、推定A/Fminが所定値X1以上(リーンA/F寄り)、且つ、所定時間t1内における平均推定A/Fが所定値X2以上(リーンA/F寄り)と判定された場合には、燃料は気化し難い所定の粗悪性状の燃料であると判断でき、この場合には、ステップS20に進み、粗悪燃料と判定する。
一方、ステップS12、ステップS14、ステップS18の判別結果のいずれかが偽(No)で、吹き上がりNemaxが所定回転速度Ne1以上、或いは、推定A/Fminが所定値X1より小(リッチA/F寄り)、或いは、所定時間t1内における平均推定A/Fが所定値X2より小(リッチA/F寄り)と判定された場合には、燃料は気化し易い所定の良質性状の通常の燃料であると判断でき、この場合には、ステップS22に進み、通常燃料と判定する。
ステップS20で粗悪燃料と判定した場合には、ステップS24に進み、ニューラルネットワークの推定モデルとして粗悪燃料用推定モデルを選択し、一方、ステップS22で通常燃料と判定した場合には、ステップS26に進み、ニューラルネットワークの推定モデルとして通常燃料用推定モデル(良質燃料用推定モデル)を選択する(推定モデル選択手段)。
つまり、所定の良質性状の通常の燃料と所定の粗悪性状の燃料とでニューラルネットワークの推定モデルをそれぞれ通常燃料用推定モデルと粗悪燃料用推定モデルとに分けて予め設定しており、ここでは、燃料性状に応じて通常燃料用推定モデルまたは粗悪燃料用推定モデルのいずれかを選択する。
これら通常燃料用推定モデル及び粗悪燃料用推定モデルについては、ECU40において予め個別に学習されており(推定モデル設定手段)、以下、これら通常燃料用推定モデル及び粗悪燃料用推定モデルの内容について説明する。
通常燃料用推定モデルは、図3に示すように、エンジン1の状態を示すパラメータとして少なくともエンジン回転速度Ne、インマニ圧(吸入空気圧)Pm及び噴射パルス幅(燃料噴射量)Pwからなる一群の状態量が制御量として入力され、これらのパラメータに基づきニューラルネットワークの中間層においてファジイ推定され、推定された実A/Fが出力されるように構成されている。
さらに、通常燃料用推定モデルは、同図に示すように、各パラメータのサンプリングが時間間隔p1(例えば、50msec)で行われるとともに、今回のサンプリングデータとこのようにサンプリングされ入力された過去2回の入力データとが入力されて実A/Fが推定されるよう構成されている(Ne(t)、Ne(t-p1)、Ne(t-2p1)等)。
これより、通常燃料用推定モデルは、少なくともエンジン回転速度Ne、インマニ圧Pm及び噴射パルス幅Pmからなる一群の制御量からなるパラメータを過去2回分を含めて時間間隔p1で入力するようにして予め学習され設定されている。
一方、粗悪燃料用推定モデルは、図4に示すように、エンジン1の状態を示すパラメータとして、上記通常燃料用推定モデルと同様に少なくともエンジン回転速度Ne、インマニ圧Pm及び噴射パルス幅Pwからなる一群の制御量が入力されるとともに加えて燃料噴射時期Tfと点火時期Tsとの期間差ΔTfsが入力され、これらのパラメータに基づきニューラルネットワークの中間層においてファジイ推定され、推定された実A/Fが出力されるように構成されている。
ここに、燃料噴射時期Tfと点火時期Tsとの期間差ΔTfsを加味するのは、この制御量が燃料性状、即ち燃料の気化し難さに最も相関する制御量と考えられ、燃料が粗悪燃料である場合には、当該燃料噴射時期Tfと点火時期Tsとの期間差ΔTfsをパラメータに加えることで実A/Fの推定精度を高めることができるためである。
さらに、粗悪燃料用推定モデルは、同図に示すように、各パラメータのサンプリングが時間間隔p2(p2>p1)(例えば、100msec)で行われるとともに、上記同様にプリングデータとこのようにサンプリングされ入力された過去2回の入力データとが入力されて実A/Fが推定されるよう構成されている(Ne(t)、Ne(t-p2)、Ne(t-2p2)等)。
つまり、粗悪燃料用推定モデルは、各パラメータのサンプリングが通常燃料用推定モデルの時間間隔p1よりも長い時間間隔p2で行われるように構成されている。
このように粗悪燃料用推定モデルにおける各パラメータのサンプリングの時間間隔が通常燃料用推定モデルの時間間隔よりも長くされるのは、粗悪性状の燃料は通常の良質性状の燃料よりも気化し難く、即ち気化時間が長く、応答遅れがあるからである。
これより、粗悪燃料用推定モデルは、少なくともエンジン回転速度Ne、インマニ圧Pm及び噴射パルス幅Pwからなる一群の制御量に燃料噴射時期Tfと点火時期Tsとの期間差ΔTfsを加えたパラメータを過去2回分を含めて時間間隔p2で入力するようにして予め学習され設定されている。
通常燃料用推定モデル及び粗悪燃料用推定モデルのいずれかが選択されたら、ステップS28に進み、選択した推定モデルに基づいてニューラルネットワークにより実A/Fの推定を行うようにする。説明は省略するが、実際には、ニューラルネットワークは図示しない別ルーチンで実行される。
一方、上記ステップS10の判別結果が偽(No)で冷却水温度Twが所定温度T1以上であって冷態始動時ではないと判定された場合には、空燃比センサ22は活性状態にあると判定できる。従って、この場合には、空燃比センサ22によりA/F−F/B制御を行うとともに、ステップS30に進み、前回判定した推定モデルをそのまま維持することとなる。
以上説明したように、本発明に係る空燃比制御装置では、エンジン1の冷態始動時において、所定の良質性状の通常の燃料に対しては少なくともエンジン回転速度Ne、インマニ圧Pm及び噴射パルス幅Pwからなる一群の制御量をパラメータとして通常燃料用推定モデルを設定し、所定の良質性状よりも気化し難い所定の粗悪性状の燃料に対しては上記一群の制御量をパラメータとするとともに燃料の気化し難さに相関する制御量である燃料噴射時期Tfと点火時期Tsとの期間差ΔTfsをもパラメータに加えて粗悪燃料用推定モデルを設定し、これらのいずれかを選択してニューラルネットワークにより実A/Fを推定するようにしている。
従って、当該空燃比制御装置によれば、ニューラルネットワークの推定モデルを燃料性状に相関するパラメータを入力として所定の良質性状と所定の粗悪性状の燃料とにそれぞれ特化して煩雑な演算処理をすることなく学習し、推定精度の高い推定モデルを構築するようにでき、当該推定精度の高い推定モデルを選択的に使用して実A/Fを良好に推定することができる。
これにより、簡単な構成にして燃料が良質性状か粗悪性状かに拘わらず、即ち燃料性状に拘わらず実A/Fを精度良く推定することができ、エンジン1の冷態始動時において空燃比センサ22が未だ活性化していないような場合において、実A/Fを精度良く推定してエンジン1の冷態始動直後から空燃比を適正に制御でき、排気浄化性能の向上を図ることができる。
また、粗悪燃料用推定モデルでは、各パラメータのサンプリングを通常燃料用推定モデルの時間間隔p1よりも長い時間間隔p2で行うようにしているので、粗悪性状の燃料は良質性状の燃料よりも気化時間が長く、応答遅れがあるところ、これにより実A/Fを精度良く推定することができ、空燃比制御の適正化を図るようにできる。
以上で本発明に係る内燃機関の空燃比制御装置の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態では、粗悪燃料用推定モデルにおいて、各パラメータのサンプリングを通常燃料用推定モデルの時間間隔p1よりも長い時間間隔p2で行うようにしているが、図5に他の例を示すように、各パラメータのサンプリングについては通常燃料用推定モデルと同様の時間間隔p1とする一方、通常燃料用推定モデルの過去2回よりも多い過去3回(多数回)の入力データを入力するようにしてもよい(Ne(t)、Ne(t-p1)、Ne(t-2p1) 、Ne(t-3p1)等)。
このようにしても、サンプリングの時間間隔を通常燃料用推定モデルよりも長くする場合と同様、実A/Fを精度良く推定することができ、空燃比制御の適正化を図るようにできる。
また、図示しないが、粗悪燃料用推定モデルにおいて、各パラメータのサンプリングを通常燃料用推定モデルの時間間隔p1よりも長い時間間隔p2で行い、且つ、通常燃料用推定モデルの過去2回よりも多い過去3回(多数回)の入力データを入力するようにしてもよい(Ne(t)、Ne(t-p2)、Ne(t-2p2) 、Ne(t-3p2)等)。
このようにすれば、さらに実A/Fを精度良く推定するようにでき、より一層空燃比制御の適正化を図ることができる。
また、上記実施形態では、空燃比センサ22が未だ活性化していないようなエンジン1の冷態始動時において実A/Fを推定する場合について説明したが、実A/Fの推定は冷態始動時に限られるものではなく、本発明は実A/Fの推定が必要な場合において好適に適用可能である。
また、上記実施形態では、所定の良質性状の燃料と所定の粗悪性状の燃料に大別し、それぞれ通常燃料用推定モデルと粗悪燃料用推定モデルの二つの推定モデルを設定するようにしたが、これに限られることなく、燃料性状の区分を細分化し、さらに複数の推定モデルを設定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、粗悪燃料用推定モデルにおいて、パラメータに燃料の気化し難さに相関する制御量として燃料噴射時期Tfと点火時期Tsとの期間差ΔTfsを加味するようにしているが、燃料の気化し難さに相関する制御量はこれに限られるものではなく、燃料の気化し難さに相関する制御量としてエンジン1の吸気弁や排気弁の温度、シリンダ壁温度等の状態量を制御量としてパラメータに加えるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、通常燃料用推定モデルと粗悪燃料用推定モデルとでパラメータの数を変えているが、通常燃料と粗悪燃料とでニューラルネットワークにおけるパラメータの重みを変えるようにしてもよい。
車両に搭載された本発明に係る内燃機関の空燃比制御装置の概略構成図である。 本発明に係る空燃比制御装置の始動時における実A/F推定制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。 通常燃料用推定モデルを示す図である。 粗悪燃料用推定モデルを示す図である。 粗悪燃料用推定モデルの他の例を示す図である。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
4 点火プラグ
6 燃料噴射弁
22 空燃比センサ
40 ECU(電子コントロールユニット)
42 クランク角センサ
44 水温センサ
46 圧力センサ

Claims (4)

  1. 内燃機関の状態を示す複数のパラメータを入力して、推定モデルに従い、内燃機関から排出される排気の実空燃比を推定し出力するニューラルネットワークと、
    内燃機関に供給される燃料の燃料性状に応じて前記ニューラルネットワークにおける推定モデルを学習し複数設定する推定モデル設定手段と、
    内燃機関に供給された燃料の燃料性状を判定する燃料性状判定手段と、
    該燃料性状判定手段により判定された燃料の燃料性状に応じて前記ニューラルネットワークにおける推定モデルを選択する推定モデル選択手段とを備え
    前記推定モデル設定手段は、所定の良質性状の燃料に対しては少なくとも機関回転速度、吸入空気圧及び燃料噴射量からなる一群の制御量をパラメータとして良質燃料用推定モデルを設定し、前記所定の良質性状よりも気化し難い所定の粗悪性状の燃料に対しては前記一群の制御量をパラメータとするとともに燃料の気化し難さに相関する制御量をもパラメータに加えて粗悪燃料用推定モデルを設定し、
    前記推定モデル選択手段は、前記燃料性状判定手段により判定された燃料の燃料性状が前記所定の良質性状であるときには前記良質燃料用推定モデルを選択し、前記所定の粗悪性状であるときには、前記粗悪燃料用推定モデルを選択することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 前記燃料の気化し難さに相関する制御量は、少なくとも燃料噴射時期と点火時期との期間差であることを特徴とする、請求項記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 前記ニューラルネットワークは、
    各パラメータを一定の時間間隔で入力して前記実空燃比を推定するものであって、
    前記推定モデル選択手段により選択された推定モデルが前記粗悪燃料用推定モデルであるときには前記良質燃料用推定モデルよりも長い時間間隔で各パラメータを入力して前記実空燃比を推定することを特徴とする、請求項または記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 前記ニューラルネットワークは、
    各パラメータを一定の時間間隔で入力するとともに該一定の時間間隔で入力した各パラメータの過去の入力データをも入力して前記実空燃比を推定するものであって、
    前記推定モデル選択手段により選択された推定モデルが前記粗悪燃料用推定モデルであるときには前記良質燃料用推定モデルよりも多数回の過去の入力データを入力して前記実空燃比を推定することを特徴とする、請求項乃至のいずれか記載の内燃機関の空燃比制御装置。
JP2008086498A 2008-03-28 2008-03-28 内燃機関の空燃比制御装置 Expired - Fee Related JP4930727B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008086498A JP4930727B2 (ja) 2008-03-28 2008-03-28 内燃機関の空燃比制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008086498A JP4930727B2 (ja) 2008-03-28 2008-03-28 内燃機関の空燃比制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009236089A JP2009236089A (ja) 2009-10-15
JP4930727B2 true JP4930727B2 (ja) 2012-05-16

Family

ID=41250322

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008086498A Expired - Fee Related JP4930727B2 (ja) 2008-03-28 2008-03-28 内燃機関の空燃比制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4930727B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108194210A (zh) * 2017-11-22 2018-06-22 华北水利水电大学 一种基于遗传信息融合的氢发动机性能优化系统及方法
JP6705540B1 (ja) * 2019-08-22 2020-06-03 トヨタ自動車株式会社 車両用学習システム、車両用制御装置、および車両用学習装置
CN111255557B (zh) * 2020-01-21 2021-01-01 辽宁工业大学 一种汽车发动机冷却检测系统及其控制方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08200141A (ja) * 1995-01-24 1996-08-06 Mazda Motor Corp トルク推定方法及び推定装置
JPH10176578A (ja) * 1996-05-28 1998-06-30 Matsushita Electric Ind Co Ltd 空燃比制御装置
JPH10252537A (ja) * 1997-03-14 1998-09-22 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の制御装置
JPH112150A (ja) * 1997-06-11 1999-01-06 Matsushita Electric Ind Co Ltd 内燃機関の燃料補正制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009236089A (ja) 2009-10-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4487745B2 (ja) センサ応答特性検出装置
JP4577211B2 (ja) Wiebe関数パラメータの決定方法および決定装置
JP2008069675A (ja) 燃焼改善手段の故障診断装置
JP4614104B2 (ja) 内燃機関の吸入空気量検出装置
JP2010053823A (ja) 内燃機関の空気量制御装置
JP4174821B2 (ja) 車両用制御装置
JP4930727B2 (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP2007248119A (ja) Wiebe関数パラメータの決定方法および内燃機関の熱発生率推定装置
JP2006029084A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2009036023A (ja) 内燃機関の異種燃料混入判定装置
JP2008215204A (ja) 内燃機関の熱発生率のシミュレーション方法、内燃機関のトルクモデル作成方法および内燃機関のトルク推定方法
JP2737426B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2009133207A (ja) ガス燃料噴射制御装置
JP2006046071A (ja) 車両の大気圧推定装置
JP4492802B2 (ja) 空燃比制御装置
JP4998742B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP4165265B2 (ja) 内燃機関のスロットル開度制御装置
JP2010096021A (ja) 内燃機関の燃焼状態診断装置
JP2006037924A (ja) 車両の制御装置
JP2010242676A (ja) アルコール混合燃料噴射制御装置
JP2002188503A (ja) エンジンの制御装置
JP2007182845A (ja) イオン電流に基づく内燃機関の空燃比判定方法
JP2006083797A (ja) 内燃機関の点火制御装置
JP4244850B2 (ja) 吹抜ガスの通路開口面積推定装置
JP5392240B2 (ja) 燃料性状判定装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100414

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110728

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110803

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110928

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120118

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120131

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4930727

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150224

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees