JP4930727B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
ところで、一般に現存する空燃比センサには機能するためにある一定の活性温度があり、内燃機関の冷態始動時においては、排気通路の温度も低いために空燃比センサの温度が当該活性温度に達せず、排気空燃比、即ち実空燃比を適正に検出できない場合が多いという問題がある。
空燃比を推定する技術としては、例えば、空燃比と関係のある内燃機関の状態を入力パラメータとしてニューラルネットワークにより空燃比を推定する技術が開発されている(特許文献1等参照)。
請求項3の内燃機関の空燃比制御装置では、請求項1または2において、前記ニューラルネットワークは、各パラメータを一定の時間間隔で入力して前記実空燃比を推定するものであって、前記推定モデル選択手段により選択された推定モデルが前記粗悪燃料用推定モデルであるときには前記良質燃料用推定モデルよりも長い時間間隔で各パラメータを入力して前記実空燃比を推定することを特徴とする。
特に、推定モデル設定手段では、所定の良質性状よりも気化し難い所定の粗悪性状の燃料に対しては少なくとも機関回転速度、吸入空気圧及び燃料噴射量からなる所定の良質性状と同様の一群の制御量をパラメータとするとともに燃料の気化し難さに相関する制御量をもパラメータに加えて粗悪燃料用推定モデルが設定され、燃料性状判定手段により判定された燃料の燃料性状が所定の粗悪性状であるときには良質燃料用推定モデルに代えて粗悪燃料用推定モデルが選択される。
請求項3の内燃機関の空燃比制御装置によれば、ニューラルネットワークでは、各パラメータが一定の時間間隔で入力されて実空燃比が推定されるが、推定モデル選択手段により選択された推定モデルが粗悪燃料用推定モデルであるときには良質燃料用推定モデルよりも長い時間間隔で各パラメータが入力されて実空燃比が推定される。
図1を参照すると、車両に搭載された本発明に係る内燃機関の空燃比制御装置の概略構成図が示されており、以下、当該空燃比制御装置の構成を説明する。
同図に示すように、内燃機関であるエンジン本体(以下、単にエンジンという)1としては、例えば吸気管噴射型(Multi Point Injection:MPI)4気筒ガソリンエンジンが採用される。
シリンダヘッド2には、各気筒毎に吸気弁を介し吸気ポートが形成されており、各吸気ポートと連通するようにして吸気マニホールド10の一端がそれぞれ接続されている。吸気マニホールド10には、電磁式の燃料噴射弁6が取り付けられており、燃料噴射弁6には、燃料パイプ7を介して燃料タンクを擁した燃料供給装置(図示せず)が接続されている。
また、シリンダヘッド2には、各気筒毎に排気弁を介し排気ポートが形成されており、各排気ポートと連通するようにして排気マニホールド12の一端がそれぞれ接続されている。
排気マニホールド12の他端には排気管20が接続されており、当該排気管20には、排気浄化触媒装置30として三元触媒32が配設されている。
また、排気管20の三元触媒32よりも上流側には、排気中のO2濃度を検出することで排気空燃比(排気A/F)、即ち実空燃比(実A/F)を検出する空燃比センサ22が配設されている。空燃比センサ22としては例えばO2センサが採用されるが、リニアA/Fセンサ(LAFS)等であってもよい。
ECU40の入力側には、上述したTPS16、エアフローセンサ18、空燃比センサ22の他、クランク角を検出するクランク角センサ42、エンジン1の冷却水温度Twを検出する水温センサ44、吸気マニホールド10内の圧力(インマニ圧)Pmを検出する圧力センサ46等の各種センサ類が接続されており、これらセンサ類からの検出情報が入力される。なお、クランク角センサ42のクランク角情報からはエンジン回転速度Neが算出される
一方、ECU40の出力側には、上述の燃料噴射弁6、点火コイル8、スロットル弁14等の各種出力デバイスが接続されており、これら各種出力デバイスには各種センサ類からの検出情報に基づき演算された燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期等がそれぞれ出力される。詳しくは、各種センサ類からの検出情報に基づき、燃焼空燃比(燃焼A/F)が適正な目標空燃比(目標A/F)に設定され、当該目標A/Fに応じた燃料噴射量が設定されるとともに適正な燃料噴射時期Tfが設定されて燃料が燃料噴射弁6から噴射され、またスロットル弁14が適正な開度に調整され、適正な点火時期Tsが設定されて点火プラグ4により火花点火が実施される。
ところで、かかるA/F−F/B制御を行うための空燃比センサ22は、上述したように活性状態にないと十分に機能しないことから、特にエンジン1の冷態始動時には、排気管20の温度や排気温度が低いために活性状態になく、空燃比センサ22からの情報を暫時使用することができないという問題がある。
図2を参照すると、ECU40で実行される、本発明に係る空燃比制御装置の始動時における実A/F推定制御の制御ルーチンがフローチャートで示されており、以下同図に沿って説明する。
ステップS12では、クランク角センサ42のクランク角情報に基づき、エンジン回転速度Neの吹き上がり最大値、即ち吹き上がりNemaxが所定回転速度Ne1よりも小(Nemax<Ne1)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で吹き上がりNemaxが所定回転速度Ne1よりも小と判定された場合には、ステップS14に進む。
ステップS18では、上記吹き上がりNemax後の所定時間t1内における平均推定A/Fが所定値X2以上(推定A/F≧X2)(リーンA/F寄り)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で平均推定A/Fが所定値X2以上と判定された場合には、ステップS20に進む。
これら通常燃料用推定モデル及び粗悪燃料用推定モデルについては、ECU40において予め個別に学習されており(推定モデル設定手段)、以下、これら通常燃料用推定モデル及び粗悪燃料用推定モデルの内容について説明する。
これより、通常燃料用推定モデルは、少なくともエンジン回転速度Ne、インマニ圧Pm及び噴射パルス幅Pmからなる一群の制御量からなるパラメータを過去2回分を含めて時間間隔p1で入力するようにして予め学習され設定されている。
さらに、粗悪燃料用推定モデルは、同図に示すように、各パラメータのサンプリングが時間間隔p2(p2>p1)(例えば、100msec)で行われるとともに、上記同様にプリングデータとこのようにサンプリングされ入力された過去2回の入力データとが入力されて実A/Fが推定されるよう構成されている(Ne(t)、Ne(t-p2)、Ne(t-2p2)等)。
このように粗悪燃料用推定モデルにおける各パラメータのサンプリングの時間間隔が通常燃料用推定モデルの時間間隔よりも長くされるのは、粗悪性状の燃料は通常の良質性状の燃料よりも気化し難く、即ち気化時間が長く、応答遅れがあるからである。
通常燃料用推定モデル及び粗悪燃料用推定モデルのいずれかが選択されたら、ステップS28に進み、選択した推定モデルに基づいてニューラルネットワークにより実A/Fの推定を行うようにする。説明は省略するが、実際には、ニューラルネットワークは図示しない別ルーチンで実行される。
以上で本発明に係る内燃機関の空燃比制御装置の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
また、図示しないが、粗悪燃料用推定モデルにおいて、各パラメータのサンプリングを通常燃料用推定モデルの時間間隔p1よりも長い時間間隔p2で行い、且つ、通常燃料用推定モデルの過去2回よりも多い過去3回(多数回)の入力データを入力するようにしてもよい(Ne(t)、Ne(t-p2)、Ne(t-2p2) 、Ne(t-3p2)等)。
また、上記実施形態では、空燃比センサ22が未だ活性化していないようなエンジン1の冷態始動時において実A/Fを推定する場合について説明したが、実A/Fの推定は冷態始動時に限られるものではなく、本発明は実A/Fの推定が必要な場合において好適に適用可能である。
また、上記実施形態では、粗悪燃料用推定モデルにおいて、パラメータに燃料の気化し難さに相関する制御量として燃料噴射時期Tfと点火時期Tsとの期間差ΔTfsを加味するようにしているが、燃料の気化し難さに相関する制御量はこれに限られるものではなく、燃料の気化し難さに相関する制御量としてエンジン1の吸気弁や排気弁の温度、シリンダ壁温度等の状態量を制御量としてパラメータに加えるようにしてもよい。
4 点火プラグ
6 燃料噴射弁
22 空燃比センサ
40 ECU(電子コントロールユニット)
42 クランク角センサ
44 水温センサ
46 圧力センサ
Claims (4)
- 内燃機関の状態を示す複数のパラメータを入力して、推定モデルに従い、内燃機関から排出される排気の実空燃比を推定し出力するニューラルネットワークと、
内燃機関に供給される燃料の燃料性状に応じて前記ニューラルネットワークにおける推定モデルを学習し複数設定する推定モデル設定手段と、
内燃機関に供給された燃料の燃料性状を判定する燃料性状判定手段と、
該燃料性状判定手段により判定された燃料の燃料性状に応じて前記ニューラルネットワークにおける推定モデルを選択する推定モデル選択手段とを備え、
前記推定モデル設定手段は、所定の良質性状の燃料に対しては少なくとも機関回転速度、吸入空気圧及び燃料噴射量からなる一群の制御量をパラメータとして良質燃料用推定モデルを設定し、前記所定の良質性状よりも気化し難い所定の粗悪性状の燃料に対しては前記一群の制御量をパラメータとするとともに燃料の気化し難さに相関する制御量をもパラメータに加えて粗悪燃料用推定モデルを設定し、
前記推定モデル選択手段は、前記燃料性状判定手段により判定された燃料の燃料性状が前記所定の良質性状であるときには前記良質燃料用推定モデルを選択し、前記所定の粗悪性状であるときには、前記粗悪燃料用推定モデルを選択することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。 - 前記燃料の気化し難さに相関する制御量は、少なくとも燃料噴射時期と点火時期との期間差であることを特徴とする、請求項1記載の内燃機関の空燃比制御装置。
- 前記ニューラルネットワークは、
各パラメータを一定の時間間隔で入力して前記実空燃比を推定するものであって、
前記推定モデル選択手段により選択された推定モデルが前記粗悪燃料用推定モデルであるときには前記良質燃料用推定モデルよりも長い時間間隔で各パラメータを入力して前記実空燃比を推定することを特徴とする、請求項1または2記載の内燃機関の空燃比制御装置。 - 前記ニューラルネットワークは、
各パラメータを一定の時間間隔で入力するとともに該一定の時間間隔で入力した各パラメータの過去の入力データをも入力して前記実空燃比を推定するものであって、
前記推定モデル選択手段により選択された推定モデルが前記粗悪燃料用推定モデルであるときには前記良質燃料用推定モデルよりも多数回の過去の入力データを入力して前記実空燃比を推定することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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