JP4930626B2 - ベルト式無段変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、ベルト式無段変速機に係り、詳しくは、並行軸配置の2つのプーリに巻き掛けた無端ベルトにより両プーリ間でトルクを伝達させる変速機における振動及び騒音を低減する技術に関する。
無段変速機(CVT)の一形式として、並行軸配置の2つのプーリの間に無端ベルトを巻き掛けてトルクを伝達するベルト式無段変速機がある。無端ベルトを用いた無段変速機では、平行な回転軸上の一対のプーリ(プライマリプーリとセカンダリプーリ)の円錐壁面の間隔を変化させることで回転軸中心から無端ベルトがプーリ壁面に巻きつく位置までの距離(すなわち無端ベルトがプーリに巻きつく際の回転半径、以下ピッチ円半径という)を変化させることで変速(プライマリプーリとセカンダリプーリの回転比の変化)が実現される。例えばプライマリ側のピッチ円半径を小さく、セカンダリ側のピッチ円半径を大きくすれば変速比は減速側となり、逆にプライマリ側のピッチ円半径を大きくセカンダリ側のピッチ円半径を小さくすれば変速比は増速側となる。それにより無端ベルトがプーリ壁面に巻きつく位置で、駆動側ではプライマリプーリから無端ベルトへ、また従動側では無端ベルトからセカンダリプーリへトルクが伝達される。
この種のベルト式無段変速機としては、種々の形式のものがあるが、それらのうちの一形式として、無端ベルトを構成するリンク中にジョイントを構成するピンやリンクプレートに付随させたブロック等からなるプーリとの係合手段を配置し、これらの手段が間歇的にプーリ壁面に係合することでベルトが走行してトルクが伝達される形式のものがある。
上記のように、係合手段がプーリに接触してトルクを伝える形式では、係合手段が周期的にプーリに接触するたびに接触の衝撃による振動で騒音が発生する。その騒音は係合手段がプーリに接触する周期に対応した周波数(周期の逆数)とその高調波の周波数にピークがあることが知られている。これは係合手段の接触によるプーリへの周期的な衝撃が起振源となり、プーリやベルト自体が振動することが原因と考えられる。
そこで、例えば係合手段をピンとするものにおいて、ピンのベルト走行方向の配置間隔(以下ピッチという)を異なる長さで構成し、ピンがプーリに接触する周期を複数に分散させる技術がある(特許文献1参照)。また、異なるベルト幅方向長さのピンを用いて、ピンがプーリに接触する時間間隔を不均一にして騒音を低減させる技術がある(特許文献2参照)。
上記従来の技術は、いずれもピンがプーリに接触する周期を不規則にするものであるため、騒音のピーク周波数が分散されるが、騒音そのものを抑制するものではないため、騒音全体を低減するものとしては不十分であった。
特開平10−122307号公報(請求項45) 特開昭63−53337号公報(請求項1)
本発明は、無端ベルトの係合手段がプーリに接触するタイミングのずれを積極的に利用し、振動波の合成によりプーリやベルトの振動を抑制し、もってベルト式無段変速機の騒音を低減することを主要な目的とする。
本発明は、2つのプーリ(1)に無端ベルト(2)を巻き掛けたベルト式無段変速機であって、前記無端ベルトに、前記プーリへのベルトの巻き込みによりプーリの対向する壁面間に順次挟み込まれて、プーリと無端ベルト間でトルクを伝達する係合手段(3)を備えるベルト式無段変速機において、前記係合手段は、前記プーリに挟み込まれるときの衝撃により、変速機にプーリの回転に対する一定周期の振動を生じさせる第1群の係合部材(3A)と、前記一定周期の振動を打ち消すべく同じ周期の位相のずれた振動を生じさせる第2群の係合部材(3B)とを混在させてなり、前記第2群の係合部材は、第1群の係合部材と同じベルト幅方向の長さを有するものとし、前記第1群の係合部材が生じさせる振動との合成により一定周期の振動を打ち消す120度ずつ位相のずれた振動を生じさせるべく、第1群の係合部材相互のベルト走行方向のピッチの2倍の位置に配置された
本発明の構成によれば、第1群の係合部材と第2群の係合部材の相互間隔を複数備えることで、係合部材がプーリに接触するタイミングがずれる。このタイミングは、ピッチ間隔、プーリ回転数、変速比すなわちプーリにベルトが挟み込まれる際のベルトの回転半径で決定される。
そこで、実際のピッチが2/3L、4/3Lとを含む場合は、前記の場合と同様にプーリに係合手段がピッチLで接触した場合の振動周波数をHとすると、この振動に対して2/3Lのピッチで係合手段とプーリが接触するとは、周波数Hの振動に対して位相が−120度ずれた箇所でプーリと係合手段が接触することになる。その後、再びピッチLで係合手段とプーリが接触すると、周波数Hで元の振動に対して−120度ずれた振動が生じる。同様に4/3Lのピッチで係合手段とプーリが接触した後、再びピッチLで係合手段とプーリが接触すると、周波数Hで位相が+120度ずれた振動が生じる。すなわち、周波数Hで互いに120度位相がずれた振動が生じることとなる。このように位相が互いに120度ずれた振動は合成すると互いに打ち消しあうことなり、結果、振動が抑制できることになる。
上記のようにピンのピッチをL、2/3L、4/3Lを有するようにベルトを形成すると、ベルトとプーリの接触による振動として互いに打ち消す位相の複数の振動を生ぜしめることができ、結果、振動を抑制することが可能となる。
また、ピンとピンとのピッチ長さL、LがL=2Lと設定すると、あるピンが接触してから次のピンが接触するまでに先のピンが移動する直線距離に1.5Lを設定することができ(詳細は後述)、この1.5Lを改めてL1’とするとL=2/3L1’、L=2L=4/3L1’となりL1’を基準として2/3L1’、4/3L1’のピッチ間隔を得ることができる。
本発明の実施例1に係るベルト式無段変速機の無端ベルトの連結構造を示す部分側面図である。 同無端ベルトを周面方向からみた部分平面図である。 ベルト式無段変速機のプーリを示す断面図である。 無端ベルトとプーリとの係合の種類を示す説明図である。 無端ベルトとプーリとの係合作動の一例を示す説明図である。 無端ベルトとプーリとの係合作動の他の例を示す説明図である。 無端ベルトとプーリとの係合作動における角度関係を示す説明図である。 実施例2に係る無端ベルトとプーリとの係合作動の各部寸法と角度関係を示す説明図である。 実施例3に係る無端ベルトとプーリとの2種ピン係合作動の各部寸法と角度関係を示す説明図である。 同係合作動の角度関係を場合分けして示す説明図である。 実施例3に係る無端ベルトとプーリとの3種ピン係合作動の各部寸法と角度関係を示す説明図である。 実施例3の無端ベルトのピッチ配置例を示す説明図である。
本発明におけるピッチの設定は、係合部材のベルト幅方向長さの設定によりなされることが望ましい。この設定によると、係合部材を構成するピンの長さ、ブロックの幅等を微小長さだけ異ならせるだけで、所望の仮想ピッチを設定することができる。しかもこの場合、無端ベルトの主体となるリンクプレートを共通化した上で、所望のピッチ設定が可能となり、部品品種数を削減することができる。
図1〜図7は実施例1に係るベルト式無段変速機を示す。ベルト式無段変速機は、平行軸配置の2つのプーリに無端ベルトを巻き掛けた構成とされ、図1に側面視で示し、図2に周面方向から見た状態を示すように、無端ベルト2は、リンクプレート21をピン3により無端状に連結したチェーンベルトで構成されている。この例では、ピン3はそれぞれがリンクプレート21に相対回転不能に係合し、相互に転動可能な一対のピン31,32で構成されている。
2つのプーリは、図3に断面を示すように、それぞれが円錐面11a,12aを対向させてプーリ回転軸10上に相対回転不能に配置した固定プーリ11と可動プーリ12で構成されている。固定プーリ11は、プーリ回転軸10に軸方向不動とされ、可動プーリ12はプーリ回転軸10に対して軸方向可動とされている。
このベルト式無段変速機における一対のピン31,32は、プーリ1へのベルト2の巻き込みによりプーリ1の対向する壁面としての前記円錐面11a,12a間に順次挟み込まれて、プーリ1と無端ベルト2間でトルクを伝達する係合手段を構成する。すなわち、この例では、プーリ1に順次挟み込まれるときの衝撃により、変速機にプーリ1の回転に対する一定周期の振動を生じさせる第1群の係合部材3Aと、この一定周期の振動を打ち消すべく同じ周期の位相のずれた振動を生じさせる第2群の係合部材3Bはピン3により構成される。
前記の構成を前提として、本例では、ピッチの設定をピン3のベルト幅方向の長さの変更により行っている。なお、「ベルト幅方向」とは、図2に示すピン3A,3Bの長さを示す記号W,Wの矢印の方向を意味する。この例のように、ピン3の長さを異ならせてプーリへの係合タイミングにより所望の位相差を得ようとする場合、通常のピッチの概念の適用は不可能である。そこで、本発明では、仮想ピッチの概念を用いている。この実施例の具体的説明に先立ち、仮想ピッチについて説明する。
仮想ピッチとは、任意のピンがプーリに接触してから次のピンが接触するまでに前記任意のピンが移動する直線距離をいう。もともとピッチを複数備えるようにして同一周波数の振動が生じるのを避ける、という複数ピッチ長さを有するベルトに対して、ピン長さを複数もたせることで同一の効果を得る技術を比較する場合に、ピッチ長さの差異の程度を比較するために、仮想ピッチという概念を導入したものである。
本発明では、この仮想ピッチという概念を、振動周波数の位相をずらすための指標として用いる。互いに打消し合う振動を生ぜしめるために、1つの方法として、仮想ピッチがLと1.5Lを有するようにする。1.5Lの仮想ピッチは、Lの仮想ピッチで生じる振動に対して、ピンがプーリに接触する時間間隔が1.5倍、すなわち基の振動に対して位相を180度ずらす効果を得ることができる。
また他の方法として、仮想ピッチに2/3L、L、4/3Lを有するようにベルトを構成すると、位相を120度ずつずらした振動を生成することができる。このように180度位相のずれた2つの振動、あるいは120度ずつずれた3つの振動は合成すると互いに打消し合うので、プーリとベルトの振動が抑制され、結果、ノイズを低減することができる。しかも、発明者らの実験によると、互いに打消し合う振動を意図的に生じさせると、高次の振動成分によるノイズも低減できることが判明した。
異なる長さのピンは、プーリに挟み込まれる位置が異なる。長いピン(以下、ロングピンという)は短いピン(以下、ショートピンという)より大きいプーリの半径位置において接触する。また、ピンとピンはピッチ長さLとなるようにリンクプレート孔に嵌挿されているので、ピンがプーリに挟み込まれるプーリ周方向の位置は、その一つ前にプーリに挟み込まれたピンがロングピンであるかショートピンであるかによっても変わってくる。
例えば、図4を参照して、先にロングピン3が挟み込まれ、次にロングピン3が挟み込まれる場合は、図4(a)に示すように、両ロングピン共に大きなピッチ円半径Rの位置でプーリ壁面に係合する位置関係となり、先にロングピン3、次にショートピン3が挟み込まれる場合は、図4(b)に示すように、先のロングピンはピッチ円半径Rの位置、後のショートピンは小さなピッチ円半径Rの位置でプーリ壁面に係合する位置関係となり、先にショートピン、次にショートピンが挟み込まれる場合は図4(c)、先にショートピン、次にロングピンが挟み込まれる場合は、図4(d)に示すようになる。なお、図4において、ピンの長短L,Sを表すべく、ピンを示す○印の中にこれらの符号を付す。また、円弧状の矢印はプーリの回転方向を表す。
更に、仮想ピッチは、そのピンに対する前後のピンがロングピンであるか、ショートピンであるかによっても異なる。図5を参照して、例えばピン3a(ロングピン)、ピン3b(ショートピン)、ピン3c(ロングピン)の順にプーリに係合する場合を考える。図において、ロングピンが係合するときの半径をR、ショートピンが係合するときの半径をR、ピン間の実際のピッチをLとする。
図5(a)に示すように、まずピン3a(ロング)が半径Rで図3(a)に示す位置でプーリに係合する。次に図5(b)に示すように、次のピン3b(ショート)が半径Rで係合する。このとき紙面上下方向の線P(ベルトのプーリへの侵入方向に対して垂直に交わり、プーリ中心を通る直線)に対してピン3bの係合位置の角度をθ”とする。更に、図5(c)に示すように、次のピン3cはロングなので、図のように半径Rでプーリに係合する。この一連の作動中にピン3bがプーリへの係合状態で移動した直線距離は、図に「仮想ピッチ」と示した距離となる。このとき仮想ピッチは、次の式で表すことができる。
仮想ピッチ=2・R・sinθ”
一方、図6に示すように、ピン3a(ショート)、ピン3b(ショート)、ピン3c(ロング)の場合は、図6(a)に示すように、ピン3a(ショート)が半径Rでプーリに係合し、次に、図6(b)に示すように、ピン3bが同半径上に係合し(このときの直線Pに対するピン3bの回転角はθとなる)、次に、図6(c)に示すように、ピン3cが半径Rで係合する。このときピン3bは図の「仮想ピッチ」で示す距離を移動する。この距離は次式で表せる。
仮想ピッチ=√{(L/2+R・sinθ”)+(R・cosθ”−R・cosθ)
このように3つのピンの長さの組合せにより3つのピンのうち中央のピンの仮想ピッチが決定される。
更に、図7に示すように、ピン3a(ロング)、ピン3b(ロング)、ピン3c(ロング)の場合は、各ピンとも半径Rでプーリに係合するため、中央のピン3bは、図のピン3cの位置で係合し、実際のピン3cの係合時にはピン3bの位置まで移動することになる。この場合は実際のピッチが仮想ピッチと一致する。図において、θ’’’は、上記の場合と同様に直線Pに対するピン3bの係合位置の角度を表す。
3つのピン長さの組合せと中央のピンの仮想ピッチは次のようになる。
(1)ロング−ロング−ショートの場合
仮想ピッチ=√{(L/2+R・sinθ’)+(R・cosθ’’’−R・cosθ’)
(2)ロング−ロング−ロングの場合
仮想ピッチ=L
(3)ショート−ロング−ロングの場合
仮想ピッチ=√{(L/2+R・sinθ’)+(R・cosθ’’’−R・cosθ’)
(4)ショート−ロング−ショートの場合
仮想ピッチ=2・R・sinθ’
(5)ショート−ショート−ロングの場合
仮想ピッチ=√{(L/2+R・sinθ”)+(R・cosθ”−R・cosθ)
(6)ショート−ショート−ショートの場合
仮想ピッチ=L
(7)ロング−ショート−ロングの場合
仮想ピッチ=2・R・sinθ”
(8)ロング−ショート−ショートの場合
仮想ピッチ=√{(L/2+R・sinθ”)+(R・cosθ”−R・cosθ)
上記で(2)と(6)が同一、(1)と(3)が同一、(5)と(8)が同一である。したがって、ベルトに用いるピンとして2種類の異なった長さをもつピンを使うと、5種類の仮想ピッチ幅を実現できる。
なお、この仮想ピッチの考え方については、図5〜図7では、一つのジョイントを一つのピンとして説明したが、本実施例のように2本一対のピンで一つのジョイントが構成される場合でも、また、ピンとピンとの間にプーリに接触する係合手段としてブロック部材を加えた場合ても、同様の議論が可能である。
また上式において、θ、θ’、θ”、θ’’’、R、R、及びリンクピッチLとの間には次の関係が成り立つ。
・cosθ’=R・cosθ”
・sinθ’+R・sinθ”=L
θ”=asin{(L+R −R )/(2・L・R)}
θ’=acos(R/R・cosθ”)
θ=asin{L/(2・R)}
θ’’’=asin{L/(2・R)}
上の5種類の仮想ピッチのうちいずれか2種類をLと1.5Lの関係となるように、あるいは、上の5種類の仮想ピッチのうちいずれか3種類をLと2/3Lと4/3Lとなるようにピンの長さを設定することで、本発明が実現できる。
なお、ロングピンとショートピンの長さの差をε、プーリ角(プーリの円錐面がプーリ軸に垂直な面に対してなす角をθp(図3参照)とすると、上記説明でのロングピンがプーリに接触する半径Rとショートピンがプーリに接触する半径Rとの関係は次式となる。
=R−ε/2/tanθp
したがって、プーリ角θp、ベルトピッチL、仮想ピッチを所定の比率としたいプーリ比に対応する半径が決まれば、所望の仮想ピッチを実現するピンの長さ差εが決定できる。
次にピン長さ差の具体例を示す。ピンの長さを2種類とした場合の5種類の仮想ピッチを今、L、L、L、L、Lと記号で表す。前提条件としてピン幅がW、Wとし、ピン幅差ε=W−Wとする。また、ピン幅Wのピンがプライマリプーリに噛み込む時の半径RpがRatio=U/D(最大変速比)時にRp=30mm、Ratio=1.0時にRp=50mm、Ratio=O/D(変速比オーバドライブ)時にRp=70mmとなり、プーリ角θpが10度の無段変速機を仮定する。またチェーンの基本ピッチLを8.0mmとする。
(1)L:L:Lを2/3:1:4/3 (120°相当)付近とするケース
(a)U/D〜O/D内のいずれかでL:L:Lを120°相当とする場合、ピン幅差εが53μm〜126μmで位相120度が得られる。そして、
ε=53μmのとき、O/D(Rp=70mm)で、L:L:Lが約5.3:8.0:10.7、
ε=126μmのとき、U/D(Rp=30mm)で、L:L:Lが約5.3:8.0:10.7となり、それぞれ120°位相相当となる。すなわちεをこの範囲で設定すればよい。
(b)Ratio=1.0でL:L:Lを120°相当とする場合、ε=75μmとすれば、Ratio=1.0(Rp=50mm)でL:L:Lが約5.3:8.0:10.7となり、それぞれ120°位相相当となる。
(c)変速比が1.0〜O/D内のいずれかでL:L:Lが120°相当とする場合、ピン幅差εが53μm〜75μmで位相120度が得られる。そして、
ε=53μmのとき、O/D(Rp=70mm)で、L:L:Lが約5.3:8.0:10.7、
ε=75μmのとき、Ratio=1.0(Rp=50mm)で、L:L:Lが約5.3:8.0:10.7となり、それぞれ120°位相相当となる。すなわちεをこの範囲で設定すればよい。
いずれにしても、変速機全体でのノイズの最も大きくなる変速比周辺で所望の位相を設定することが好ましい。
(2)L:L:Lを2/3:1:4/3 (120°相当)付近とするケース
(a)U/D〜O/D内のいずれかでL:L:Lが120°相当とする場合、ピン幅差εが107μm〜255μmで設定する。そして、
ε=107μmのとき、O/D(Rp=70mm)で、L:L:Lが約5.3:8.0:10.7、
ε=255μmのとき、U/D(Rp=30mm)で、L:L:Lが約5.3:8.0:10.7となり、それぞれ120°位相相当となる。すなわちεをこの範囲で設定すればよい。
(b)Ratio=1.0でL:L:Lが120°相当とする場合、ピン幅差εを151μmと設定すればよい。そして、
ε=151μmのとき、Ratio=1.0(Rp=50mm)で、L:L:Lが約5.3:8.0:10.7となり、それぞれ120°位相相当となる。
(c)変速比が1.0〜O/D内のいずれかでL:L:Lを120°相当とする場合、ピン幅差εを107μm〜151μmの範囲で設定すればよい。そして、
ε=107μmのとき、O/D(Rp=70mm)で、L:L:Lが約5.3:8.0:10,7、
ε=151μmのとき、Ratio=1.0(Rp=50mm)で、L:L:Lが約5.3:8.0:10.7となり、それぞれ120°位相相当となる。
(3)L:Lを1:3/2 (180°相当)付近とするケース
(a)ピン幅差εを32μm〜75μmの範囲で設定する。この場合、
ε=32μmのとき、O/D(Rp=70mm)で、L:Lが約6.4:9.6、
ε=75μmのとき、U/D(Rp=30mm)で、L:Lが約6.4:9.6となり、180°位相相当となる。すなわちこの範囲であればU/D〜O/D内のいずれかで、L:Lが180°相当となる。
(b) ピン幅差εを45μmで設定する。この場合、
ε=45μmのとき、Ratio=1.0(Rp=50mm)で、L:Lが約6.4:9.6となり、180°位相相当となる。すなわち、Ratio=1.0でL:Lが180°相当となる。
(c)ピン幅差εを32μm〜45μmで設定する。この場合、
ε=45μmのとき、Ratio=1.0(Rp=50mm)で、L:Lが約6.4:9.6、
ε=32μmのとき、U/D(Rp=30mm)で、L:Lが約6.4:9.6となり、180°位相相当となる。すなわちこの範囲であれば変速比が1.0〜O/D内のいずれかでL:Lが180°相当となる。
以上説明した実施例1によれば、係合部材としてのピンのベルト幅方向の長さを2種類設定することで、基となる振動波形に対して逆相の振動波形を合成することができ、プーリとベルトの振動を抑制することができる。
前記実施例1では、ピンの長さを2種類としたが、これを3種類以上とすることもできる。次に示す実施例2は、3種類のピン幅を設定した例である。
この場合も2種類の場合と同様な計算でピン幅を求めることが可能である。ここで、図8に示すようにピン幅x−y−zのピン(それぞれピンx、ピンy、ピンzと称する)が順に並んだ場合を考える。ピンの長さは短いほうから順にピンy、ピンx、ピンzとし、これらのピンのプーリ係合時のピッチ円半径をそれぞれ、Rx,Ry,Rzとする。これらのピンのプーリ係合時のピッチ円半径をそれぞれ、Rx、Ry、Rzとする。このとき、ピン長さの関係によりRy<Rx<Rzとなる。また、隣接するピン間の距離(ピッチ)をLとする。
今、図8にPyで示す位置でピンyがプーリに係合する場合、ピンxは図8のPxの位置で半径Rx上でプーリに既に係合しており、ピンzはPzの位置にあり、まだプーリに係合する前にある。このとき、図7と同等に垂直な線Pに対してPxがなす角をθxy、線Pに対してPyがなす角をθyxとする。ピンyがプーリに噛み込んでプーリと一体で回転し、ピンyが図8中のPy’の位置に到達したときに、ピンzは図8中Pz’で示す位置で半径Rz上でプーリに噛み込む。このときの線PとPy’の位置がなす角をθyzと表す。
基準とするピッチ円半径をR、この半径で係合する基準ピンに対するピンxのピン幅減少量をεとすると、
Rx=R−ε/2/tan(プーリ角)
同様に
Ry=R−ε/2/tan(プーリ角)
Rz=R−ε/2/tan(プーリ角)
次に、θxyは2種類の時と同様に、ピン間ピッチをLとして、
θxy=asin{(L+Rx−Ry)/(2L・Rx)}
よって
θyx=asin{(L+Ry−Rx)/(2L・Ry)}
θyz=asin{(L+Ry−Rz)/(2L・Ry)}
以上より、
ピッチxyz=√{(Ry・sinθyx+Ry・sinθyz)+(Ry・cosθyx−Ry・cosθyz)
でピッチを計算することができる。
この実施例2によれば、係合部材としてのピンのベルト幅方向の長さを3種類設定することで、基となる振動波形に対して120°ずつ位相のずれた振動波形を合成することで、プーリとベルトの振動を抑制することができる。
以上2つの実施例は、いずれもピン幅により仮想ピッチを設定したものであるが、実際のピッチ(係合部材間の長さ)を所定の長さ比で複数設定することにより、前述の実施例と同等に基準となる振動を打ち消すような波形を合成することが可能である。次に示す実施例3は、本発明の思想に基づき、実際のピッチを設定する例である。
まず、リンク長さ2種類の場合、リンクの推移として
(1)ロング→ロング
(2)標準→ロング
(3)ロング→標準
(4)標準→標準
が考えられる。
ここで図10(a)より、例えば標準→ロングをつなぐピン3bは、自身の係合から次のピン3cの3c’位置での係合までに3b’の位置まで移動し、図に直線矢印で示す直線距離だけ移動することになる。このときの回転角はθ+θ’となる。この場合の直線移動距離は、図9を参照して、標準リンクピッチP−PをL、ロングリンクピッチP’−P’をL’として、P’−Pとなる。また、ロング→標準の場合は、図10(b)より、図に直線矢印で示す直線距離だけ移動する。この場合の直線移動距離は、図9のP−P’を求めればよい。他の場合についても同様に図9に示す寸法と角度の関係、すなわちθ=asin(L/2R)、θ’=asin(L’/2R)から求めることができる。
結果を整理すると、
(1)ロング→ロングは
ピッチ=L’
(2)標準→ロングは
ピッチ=√{(L’/2+L/2)+(R・cosθ−R・cosθ’)
≒(L+L’)/2
(3)ロング→標準は
ピッチ=√{(L’/2+L/2)+(R・cosθ−R・cosθ’)
≒(L+L’)/2
(4)標準→標準は
ピッチ=L
となり、(2)標準→ロングと(3)ロング→標準は同様になり、計3ピッチの組み合わせとなる。
次に、リンク長さが3種類の場合、リンクの推移として
(1)ロング→ロング
(2)標準→ロング
(3)ロング→標準
(4)標準→標準
(5)ロング→ロング2
(6)標準→ロング2
(7)ロング2→ロング
(8)ロング2→標準
(9)ロング2→ロング2
が考えられる。
ここで2種類の場合と同様に、図11に示すような寸法及び角度の関係、すなわち標準のリンクピッチP−PをL(回転角をθ=asin(L/2R)、ロングのリンクピッチP’−P’をL’(回転角をθ’=asin(L’/2R))、ロング2のリンクピッチP”−P”をL”(回転角をθ”=asin(L”/2R))とすると、
(1)ロング→ロングは
ピッチ=L’
(2)標準→ロング、ロング→標準は
ピッチ=√{(L’/2+L/2)+(R・cosθ−R・cosθ’)
≒(L+L’)/2
(3)標準→標準は
ピッチ=L
(4)標準→ロング2、ロング2→標準は
ピッチ=√{(L”/2+L/2)+(R・cosθ−R・cosθ”)
≒(L+L”)/2
(5)ロング→ロング2、ロング2→ロングは
ピッチ=√{(L”/2+ L’/2)+(R・cosθ’−R・cosθ”)
(6)ロング2→ロング2は
ピッチ=L”
となり、計6ピッチの組み合わせとなる。
以上の仮想ピッチの種類に対して所望の位相差を有するようにピン間隔(実際のピッチ)を長さ比を以下の通り決定する。
(1)図12(a)に示すようなリンク長(ピッチ長さ)L=L、L=1.5Lとなる2種のピッチ
このとき係合ピッチは、L、xL(x≒1.25)、1.5Lとなり、Lと1.5Lが位相180°相当となり、ノイズ低減効果が高い。なお、Lと2Lは実際のピッチでありxLは仮想ピッチである。
(2)図12(b)に示すようなリンク長L=L、L=2Lとなる2種のピッチ
このとき係合ピッチは、L、xL(x≒1.5)、2Lとなり、比が2/3:1:4/3の位相120°相当となり、ノイズ低減効果が高い。
(3)図12(c)に示すようなリンク長L=L、L=1.5L、L=2Lとなる3種のピッチ
このとき係合ピッチは、L、xL(x≒1.25)、1.5L、yL(x≒1.75)、2Lとなり、5ピッチ中3ピッチの位相が120°相当となり、ノイズ低減効果が高い。
(4) その他120°相当、180°相当となる係合ピッチが存在するリンクランダム
なお、上記実施例では一つのピンで一つのジョイントを構成する例を示したが、一対のピンで一つのジョイントを構成する場合も一対のピンでも適用可能である。
また、ピンとピンの間にブロックを有するベルトであっても、ピンでもブロックでも、プーリに順次接触する部材の間隔を上記のように設定すれば本願発明の効果を得ることができる。
また、上記実施例1と2はピンの長さを所定の比で設定することにより、ピンがプーリに接触する周期の振動を打ち消すような位相のずれた振動を生じさせる構造であり、実施例3は実際のピッチを所定比で構成することで同様の効果を得るようにしたが、ピン長さ比とピッチ比を適宜組み合わせることによって同様の効果を得ることも可能である。
1 プーリ
2 無端ベルト
3 係合手段
3A 第1群の係合部材
3B 第2群の係合部材

Claims (1)

  1. 2つのプーリ(1)に無端ベルト(2)を巻き掛けたベルト式無段変速機であって、前記無端ベルトに、前記プーリへのベルトの巻き込みによりプーリの対向する壁面間に順次挟み込まれて、プーリと無端ベルト間でトルクを伝達する係合手段(3)を備えるベルト式無段変速機において、
    前記係合手段は、前記プーリに挟み込まれるときの衝撃により、変速機にプーリの回転に対する一定周期の振動を生じさせる第1群の係合部材(3A)と、前記一定周期の振動を打ち消すべく同じ周期の位相のずれた振動を生じさせる第2群の係合部材(3B)とを混在させてなり、
    前記第2群の係合部材は、前記第1群の係合部材が生じさせる振動との合成により一定周期の振動を打ち消す120度ずつ位相のずれた振動を生じさせるべく、第1群の係合部材と同じベルト幅方向の長さを有し、第1群の係合部材相互のベルト走行方向の間隔距離の2倍の位置に配置された、ことを特徴とするベルト式無段変速機。
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