JP2023067130A - チェーン - Google Patents

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Toshikazu Ohata
章文 石王
Akifumi Ishio
和也 大窪
Kazuya Okubo
清貴 小武内
Kiyotaka Kotakeuchi
秀耶 嶋林
Hideya Shimabayashi
一輝 眞田
Kazuki Sanada
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Abstract

【課題】静音性の高いチェーンを提供する。【解決手段】チェーンは、複数の第1及び第2リンクと、これら複数の第1及び第2リンクを交互に連結する複数のピンと、を備えている。複数のピンは、チェーンの進行方向TDに並んだ第1ピン231a、第2ピン232a及び第3ピン232bを備えている。第1ピン231aの端面におけるプーリとの接触を開始する接触点500と第1ピン231aの中心231Cとの間のオフセット量を第1オフセット量X1、第2ピン232aの端面におけるプーリとの接触を開始する接触点510と第2ピン232aの中心232Cとの間のオフセット量を第2オフセット量X2とした場合、第1オフセット量X1と第2オフセット量X2とが異なる。【選択図】図8

Description

本発明は、チェーンに関する。
一般に、自動車等の変速装置として、入力側プーリからの動力を出力側プーリへとチェーンによって伝達すると共に、これら入力側プーリ及び出力側プーリの溝幅を変化させることによって、チェーンの巻き掛け半径を変化させて変速する無段階変速装置(CVT)が知られている。
従来、このようなCVT用のチェーンにおいて、2種類以上の長さのチェーンリンクを使用して構成されたチェーンが知られている(特許文献1参照)。当該CVT用チェーンは、2種類以上の長さのチェーンリンクを使用してチェーンを構成することによって、ピンとプーリの円錐面との接触時に発生する騒音の周波数を分散して、回転数毎に特定周波数の騒音レベルが大きくなることを抑制している。
特表2017-507299号公報
しかしながら、上記特許文献1の方法では、長さの異なる2種類以上のチェーンリンクを必要とする。このため、上記特許文献1記載の方法とは異なる構造によって静音性を高めたチェーンの登場が望まれていた。
そこで、本発明は、静音性の高いチェーンを提供することを目的とするものである。
本発明の一態様は、外プレートと、前記外プレートの間に配置された内プレートと、をそれぞれ備えた複数の第1及び第2リンクと、これら複数の第1及び第2リンクを交互に連結する複数のピンと、を備え、前記複数のピンの端面がプーリと摩擦接触することによって動力伝達を行うチェーンであって、前記複数のピンは、前記チェーンの進行方向に並んだ第1ピン、第2ピン及び第3ピンを備え、前記第1ピンと前記第2ピンとの間のチェーンピッチは、前記第2ピンと前記第3ピンとの間のチェーンピッチと、同じであり、前記第1ピンの端面における前記プーリとの接触を開始する接触点と前記第1ピンの中心との間のオフセット量を第1オフセット量、前記第2ピンの端面における前記プーリとの接触を開始する接触点と前記第2ピンの中心との間のオフセット量を第2オフセット量、とした場合、前記第1オフセット量と前記第2オフセット量とが異なる、ことを特徴とするチェーンである。
本発明によるとチェーンの静音性を向上することができる。
第1の実施の形態に係るチェーンを用いた無段変速装置(CVT)を示す概略斜視図。 (a)第1の実施の形態に係るチェーンを示す概略斜視図、(b)チェーンの側面図。 第1リンクを示す分解斜視図。 第2リンクを示す分解斜視図。 (a)は張力が掛かっていない状態のチェーンを示す平面図。(b)は張力が掛かった状態のチェーンを示す平面図。 (a)第1種ピンを示す説明図、(b)は第2種ピンを示す説明図。 (a)第1種ピンの側面図、(b)は第1種ピンの正面図、(c)は(a)におけるVIIC-VIIC断面図。 チェーンの平面図。 加工角θの設定方法を説明するための説明図。 ピン最小たわみ角度θpの設定方法を説明するための説明図。 第1実施例に係る第1種ピン及び第2種ピンを示す図。 第1種ピン及び第2種ピンの端面の加工方法を示す説明図。 (a)はR加工を部分的に施した第1種ピンを示す図、(b)はR加工を端面に全体的に施した第1種ピンを示す図。
以下、図面に沿って本発明の実施の形態に係るCVT用チェーンについて説明をする。なお、以下の説明においては、チェーンの長手方向をチェーンの進行方向といい、チェーン進行方向下流側を前方、チェーン進行方向上流側を後方というものとする。また、チェーンの短手方向をピンの軸方向又はチェーンの幅方向というものとする。
<第1の実施形態>
(CVT用チェーンの概略構成)
図1に示すように、無段変速装置(CVT)10は、原動プーリ(入力側プーリ)11、従動プーリ(出力側プーリ)12及びチェーン13を備えている。原動プーリ11は、対向する円錐形状からなる可動シーブ14及び固定シーブ15を備えて構成され、従動プーリ12も可動シーブ16及び固定シーブ17を備えて構成され、これら両プーリ11,12の間にはチェーン13が巻掛けられている。無段変速装置(CVT)10では、原動プーリ11の可動シーブ14が移動することにより、原動プーリ11のチェーン巻掛け半径が調節され、それに応じて従動プーリ12のチェーン巻掛け半径が移動して、原動プーリ11の回転が従動プーリ12に無段に変速して伝達される。
上記チェーン13は、図2(a)に示すように、第1(外)リンク19と第2(内)リンク20とが複数のピン23により交互に連結されて、無端状に形成されている。第1リンク19は、図3に示すように、外プレート21及び内プレート22を有し、ピン23により連結されている。外プレート21は、ピン23の軸方向(チェーン幅方向)両端に位置し、これら両外プレート21の間に複数枚の内プレート22が配置される。外プレート21は、1対の概ね半円形状のピン孔25,26を有しており、内プレート22は、円形状のピン孔27と概ね半円形状のピン孔29とを有している。ピン23は、外プレートの一方のピン孔25に圧入・固定されており、かつ内プレート22の円形状のピン孔27を貫通して延び出ている。
第2リンク20は、図4に示すように、外リンク19と同様に、外プレート21、内プレート22及びピン23を有し、外プレート21は、ピン23の軸方向(チェーン幅方向)両端に位置し、その一方のピン孔25にピン23が圧入・固定され、内プレート22は、両外プレート21の間において円形状のピン孔27にピン23を貫通して配置されている。第2(内)リンク20の内プレート22は、外リンク19の内プレート22より1枚少なく、従って第1(外)リンク19の外プレート21がチェーン13の幅方向最両端に配置される。また、上記第1リンク19及び第2リンク20の外プレート21及び内プレート22は、それぞれ、同一の形状をしており、チェーン13は、図2(b)に示すように、全長に亘ってチェーンピッチPが同一となるように構成されている。
第1リンク19は、一方のピン23が外プレート21の一方(前方)のピン孔25に圧入・固定され、該ピン23が多数枚の内プレート22のピン孔27を軸方向に移動可能に嵌挿するが、該内プレート22の一方のピン孔27の外側面にピン23の円弧面23aが密着して伝動引張力を担持すると共に、ピン23と回転方向一体に連結する。第2リンク20も上記外リンク19と同様に、一方のピン23が外プレート21の一方のピン孔25に圧入・固定され、かつ該ピン23が内プレート22の一方のピン孔27に伝動引張力を担持すべく回転方向一体に連結すると共に軸方向移動可能に嵌合する。
そして、第2リンク20における外プレート21の他方(後方)のピン孔26の幅方向外側に、第1リンク19の一方(前方)のピン孔25が重なるように位置して、第2リンク20の内プレート22と第1リンク19の内プレート22を交互に配置して、第1リンク19と第2リンク20とが1ピッチずれてピン23により連結される。
第1リンク19における外プレート21の一方(前方)のピン孔25及び内プレート22の一方(前方)のピン孔27に回転方向一体のピン23は、第2リンク20における外プレート21の他方(後方)のピン孔26及び内プレート22の他方(後方)のピン孔29に所定量転動可能に嵌合する。より詳しくは、上記ピン23は、断面形状が左右非対称形状に形成されており、前方側の円弧面23aに対して後方側の円弧面23b(図2(b)参照)の方がRの大きい(即ち、曲率の小さい)円弧面となって、この円弧面23bがピン孔26,29の転動域に転動する。
同様に第2リンク20における外プレート21の一方(前方)のピン孔25及び内プレート22の一方(前方)のピン孔27に回転方向一体のピン23は、第1リンク19における外プレート21の他方(後方)のピン孔26及び内プレート22の他方(後方)のピン孔29に所定量転動可能に嵌合する。これにより、第1リンク19と第2リンク20とは、それぞれ他方(後方)のピン孔26,29とピン23との転動により、所定量屈曲可能となる。
また、ピン23における左右の両端面は、円錐状の曲面によって形成されているシーブ14,15,16,17のプーリ面600に合わせて、軸方向に所定角度傾斜した傾斜面となっている(例えば、図7(a)の端面300参照)。チェーン13は、ピン23の左右の端面がプーリ11、12のプーリ面と摩擦接触することによって動力を伝達する。
(チェーンの静音設計)
ついで、チェーン13の静音設計について説明をする。CVT用のチェーンでは、上述したようにピン23の端面がプーリ面と摩擦接触することにより動力伝達が行われる。ここで、チェーンピッチが同一の場合、駆動時におけるピン23の端面とプーリ面との接触タイミングが、通常、一定となるため、プーリ回転数毎に特定の周波数の騒音レベルが大きくなり、共振による不快音の発生の要因となってしまっていた。
CVT用のチェーンは、動力伝達時に張力が発生すると、図5(a)の張力が掛かっていない状態から図5(b)の張力が掛かった状態となり、ピン23が弾性変形をして傾く。すると、ピン23の端面とプーリとが接触(衝突)する間隔(即ち、ピンの端面におけるプーリとの接触を開始する点を接触点とした場合、隣接するピン間における接触点間の距離)である接触ピッチが、図5(a)中の間隔Aから、図5(b)に示す間隔B,Cへと変化をする。本実施の形態では、ピンの端面形状を異ならせることにより、張力が掛かった際にプーリとの接触点が異なる複数種類のピンを使用して上述した複数のピン23を構成することによって、接触ピッチをランダムに変化させ、特定の周波数の騒音レベルが大きくなることを防止している。
以下、複数のピン23の構成について詳しく説明をする。なお、ピン23の端面の形状については、左右の端面にて同様の形状となっている。このため、以下の説明においては、一方の端面の形状を例示的に説明し、他方側の端面の形状についてはその説明を省略する。
本実施の形態において、複数のピン23は、図6(a)に示す第1種ピン231と、図6(b)に示す第2種ピン232との2種類のピンによって構成されている。これら第1種及び第2種ピン231,232は、軸方向における端面の形状のみが異なり、その他の構成は同一である。具体的には、第1種ピン231の端面300は、図7(a)に示すプーリ面に合わせた軸方向の傾斜のみならず、図7(b)に示すように、チェーン13の進行方向TDについても傾斜して構成されている。
より詳しくは、端面300は、第1種ピン231の中心231Cが通る第1面310と、第1面310よりもチェーン13の進行方向上流側に位置する第2面320と、第1面310よりもチェーン13の進行方向下流側に位置する第3面330と、を備えている。第2面320は、チェーンの進行方向上流側の端部321よりも第1種ピン231の中心231C側の端部322の方が第1種ピン231の軸方向において外側に位置するようにチェーン13の進行方向に傾斜した傾斜面(第1傾斜面)となっている。
また、第3面330は、チェーン13の進行方向下流側の端部331よりも第1種ピン231の中心231C側の端部332の方が第1種ピン231の軸方向において外側に位置するようにチェーン13の進行方向に傾斜した傾斜面(第3傾斜面)となっている。
図7(a)におけるVIIC-VIIC断面である図7(c)に示すように、これら第2面320及び第3面330は、第2面320の第1種ピン231の中心231C側の端部322から第1種ピン231の中心231Cまでの距離(第1距離)La1と、第3面330の第1種ピン231の中心231C側の端部332から第1種ピン231の中心231Cまでの距離(第3距離)La2との距離が等しくなるように形成されている(La1=La2)。
また、図6(b)に示すように、第2種ピン232の軸方向における端面400も同様に、第2種ピン232の中心232Cが通る第4面410と、第4面410よりもチェーン13の進行方向上流側に位置する第5面420と、第4面410よりもチェーン13の進行方向下流側に位置する第6面430と、を備えている。第5面420は、チェーンの進行方向上流側の端部421よりも第2種ピン232の中心232C側の端部422の方が第2種ピン232の軸方向において外側に位置するようにチェーン13の進行方向に傾斜した傾斜面(第2傾斜面)となっている。
また、第6面430は、チェーン13の進行方向下流側の端部431よりも第2種ピン232の中心232C側の端部432の方が第2種ピン232の軸方向において外側に位置するようにチェーン13の進行方向に傾斜した傾斜面(第4傾斜面)となっている。
これら第5面420及び第6面430は、第5面420の第2種ピン232の中心232C側の端部422から第2種ピン232の中心232Cまでの距離(第4距離)Lb1と、第6面430の第2種ピン232の中心232C側の端部432から第2種ピン232の中心232Cまでの距離(第2距離)Lb2との距離が等しくなるように形成されている(Lb1=Lb2)。
上述した接触ピッチの変化量は、距離La1,La2,Lb1,Lb2によって決定され、第1種ピン231と第2種ピン232とでは、それぞれLa1/La2とLb1/Lb2とが異なる。このため、本実施の形態のように第1種ピン231と第2種ピン232を使用した場合、図8に示すようにA~Fまでの6種類の接触ピッチを設けることが可能となる。
例えば、チェーン13の進行方向TDに隣接して並んだ第1ピン231a、第2ピン232a,第3ピン232bについてみてみると、第1ピン231aはピンの曲がり方向(凸方向)が上流側(後方側、図中下方側)となり、第2ピン232aは第1ピン231aとはピンの曲がり方向が異なり、下流側(前方側、図中上方側)が凸となるように曲がっている。そして、端面形状の差によって、第1種ピン231である第1ピン231aのプーリとの接触点500と第1ピン231aの中心231Cとの間のオフセット量(第1オフセット量)X1と、第2種ピン232である第2ピン232aのプーリとの接触点510と第2ピン232aの中心232Cとの間のオフセット量(第2オフセット量)X2とは異なる量となっている。このため、チェーンピッチPは変わらないにも関わらず、第1ピン231aと第2ピン232aとの間の接触ピッチはP-X1+X2、第2ピン232aと第3ピン232bとの間の接触ピッチはP-2X2となっている。なお、本実施の形態の場合、上記プーリとの接触点500及び510は、それぞれ端部332及び432である。このため、P-X1+X2=P-La1+Lb1であり、P-2X2=P-Lb1-Lb2である。また、本実施の形態では、上述したように隣接するピンの曲がり方向が異なるため、ピンのたわみ角をθpが大きく無くとも、接触ピッチA~Fのピッチ変化を大きくすることができている。
上述したように、本実施の形態に係るチェーン13では、第1種ピン231と第2種ピン232との端面形状(幾何学形状)の相違によりプーリとの接触点が異なる2種類のピンをランダムに用いて第1リンク19及び第2リンク20を連結している。これにより、接触ピッチの種類を少なくとも4種類以上に増やすことが可能となり、ピン23とプーリの衝突タイミングの変化を利用してチェーン13を静音化することができる。
また、端面形状の異なる複数種類のピンを用いるだけでチェーン13を静音化することができるため、部品点数及び組立工数の増加を最低限に抑えつつ、特定周波数の騒音レベルを低減することができる。
<第2の実施形態>
ついで、第2の実施の形態について説明をする。なお、第2の実施の形態では、第1の実施の形態に対して、ピン23の端面形状のみが異なる。このため、以下の説明では、第1の実施の形態との相違点のみを説明し、その他の説明については省略する。
上述した第1の実施の形態では、第1種ピン231をLa1=La2となるように構成し、第2種ピン232をLb1=Lb2となるように構成している。一方で、本実施の形態では、La1,La2,Lb1,Lb2の値を異ならせて第1の実施の形態とは異なる第1種ピン231及び第2種ピン232を形成している。
なお、上記第1種ピン231及び第2種ピン232を設計するに際し、本実施の形態では、La1,La2,Lb1,Lb2の値以外にも、以下のような構成になるように設計されている。即ち、図9に示すように、曲面形状のプーリ面600におけるピンの接触点での接線角をθs、第2、第3、第5及び第6面320,330,420,430の加工角度をθ、ピンのたわみ角をθpとした場合、接線角θsはプーリ円錐角、チェーンピッチ、プーリ中心から接触点までの距離(巻き付き半径)によって変化する。
ここで、もし、θ<θs+θpとなると、ピン231,232の周端部が接触点となってしまう。このため、本実施の形態では、ピン231,232の周端部321,331,421,431が接触点とならないように、計算及び実験によって求められる最大接線角をθsmax、最大チェーン張力によるチェーンのたわみ角である最大たわみ角をθpmaxとした場合、θ>θsmax+θpmaxの式を満たすように加工角度θが設定されている。
また、最小チェーン張力によるチェーンのたわみ角である最小たわみ角をθpminとした場合、θpmin>θsmaxとなるようになっている。当該条件を満たすことによって、ピン23のプーリとの接触点を図10に示すような位置とすることが可能となるため、チェーン張力及び巻き付き半径が変化しても安定した点でピンとプーリを接触させることが出来る。例えば、第1ピン231aの接触点500は、第1傾斜面320において、チェーンの進行方向上流側の端部321よりも第1ピン231aの中心230C側に位置しており、第2ピン232aの端面における接触点510は、第2傾斜面430におけるチェーンの進行方向下流側の端部431よりも第2ピン232aの中心232C側に位置している。
<実施例1>
以下、La1,La2,Lb1,Lb2の値を異ならせた複数の実施例いついて説明をする。まず、La1,La2,Lb1,Lb2の値がすべて異なるように構成された例について説明をする。図11に示すように、本実施例では、La1,La2,Lb1,Lb2がすべて異なる値となっている。このようにすると、接触ピッチを最大でP±(La1+Lb2),P±(La2+Lb1),P±(La1+La2),P±(Lb1+Lb2)の8パターン、形成することができる。
<実施例2>
ついで、第2実施例について説明をする。本実施例では、第1種ピン231及び第2種ピン232の端面を効率良く製造するため、第1種ピン231の距離La1と距離La2との和が、第2種ピン232の距離Lb1とLb2の和と等しくなるように形成されている。即ち、L=La1+La2=Lb1+Lb2となっている。
このため、図12に示すように、加工前ピン部材の中心23Cに対する加工工具700の中心700Cのオフセット量(以下、センターオフセット量という)を変更させることによって、複数種類のピンを加工することができる。例えば、本実施例では、センターオフセット量をd1とすることにより第1種ピン231の端面を加工し、センターオフセット量をd2とすることにより第2種ピン232の端面を加工している。このように、同一の加工工具700を用いて複数種対のピン23の端面の加工を行うことができるため、ピン23の製造に係る加工工数及びコストを低減することができる。
<実施例3>
ついで、第3実施例について説明をする。本実施例では、以下の4つの条件のいずれかを満たすことによって接触ピッチのパターンを均等に分散させることが可能となり、ピン23とプーリとの接触によって発生する衝突音の周波数を効率的に分散することができる。なお、以下の4つの条件式におけるWは、ピン23のピン幅(直径)を示す。
・条件1
La1>(La2,Lb1,Lb2):La1≦W/2、La2=0、Lb1=La1/5、Lb2=2La1/5
La1=W/2とした際に条件1を満たした場合、接触ピッチの差は、以下の表1のようになる。
Figure 2023067130000002
・条件2
La1>(La2,Lb1,Lb2):La1≦W/2、La2=2La1/5、Lb1=La1/5、Lb2=0
La1=W/2とした際に上記条件2を満たした場合、接触ピッチの差は、以下の表2のようになる。
Figure 2023067130000003
・条件3
La2>(La1,Lb1,Lb2):La1=0、La2≦W/2、Lb1=2La2/5、Lb2=La2/5
La2=W/2とした際に上記条件3を満たした場合、接触ピッチの差は、以下の表3のようになる。
Figure 2023067130000004
・条件4
La2>(La1,Lb1,Lb2):La1=2La2/5、La2≦W/2、Lb1=0、Lb2=La2/5
La2=W/2とした際に上記条件4を満たした場合、接触ピッチの差は、以下の表4のようになる。
Figure 2023067130000005
なお、上述した実施の形態では、傾斜面である第2、第3、第5及び第6面320,330,420,430を下り傾斜した平面によって形成したが、これに限らず、第1~第6面310,320,330,410,420,430のいずれも曲面によって形成しても良い。特に、ピンとプーリとの接触点における応力を低減するため、接触点を形成する第2面320及び第3面330の第1種ピン231の中心側の端部322,332/第5面420及び第6面430の第2種ピン232の中心側の端部422,432にR加工を施しても良い。この場合、第1種ピン231を例に取ると、図13(a)に示すように、曲面がそれぞれ第2面320及び第3面330の範囲内に収まるように、端部322,332に対してのみそれぞれR加工を施しても良いし、図13(b)に示すように、第1~第3面310~330に亘って、端面全面にR加工を施しても良い。
また、上述した実施の形態では、2種類のピン231,232を用いて第1リンク19及び第2リンク20を連結したが、端面形状の異なる3種類以上のピンを用いて第1リンク19及び第2リンク20を連結しても良い。更に、上述した実施の形態では、ピン23の端面形状を変化させて複数種類のピンを形成したが、例えば、ピンの断面形状や材質等を変更して張力が掛かった際の弾性変形量の異なる複数種類のピンを形成して用いても良い。また、上述した実施の形態では、複数のピン23のたわみ方向(ピンが凸となる方向)が、チェーン進行方向上流側と下流側とで交互に繰り返されるようなプレート構成となっていたが、例えば、上流側が2度続いた後に一度、下流側となるようなパターンを繰り返すようなプレート構成としても良い。チェーンのプレート構成については、どのような構成でも良いが、上記ピン23のたわみ方向の繰り返し周期を長くすると、騒音値のピークを広い範囲で分散することができる。加えて、ピンの断面形状については同一形状とし、ピンの弾性変形量及びピンの曲がり方向の少なくとも一方のみを変化させて、騒音値のピークを低減させるようにしても良い。
更に、上述した実施の形態では、上述した2種類のピン231,232をランダムに配置したが、例えば、FFT解析等を用いて騒音値のピークが小さくなるように特定の位置に各ピンを配置しても良い。例えば、接触ピッチパターンに応じた時系列の起振力波形をFFT解析し、発生する騒音の周波数を解析して、周波数ピークが最も小さいパターンを採用するようにしても良い。また、上述した実施の形態では、1つのピン孔に対して1本のピンが挿入されるように構成されているが、例えば、1つのピン孔に対して2本のピンが挿入されるように構成されても良い。上述した実施の形態は、無段変速装置(CVT)用チェーンとして説明したが、これに限らず、本チェーンを他の装置に適用しても良い。また、上述した実施の形態に記載された発明は、どのように組み合わされても良い。
19:第1リンク
20:第2リンク
21:外プレート
22:内プレート
23:ピン
13:チェーン
11,12:プーリ
231a:第1ピン
232a:第2ピン
232b:第3ピン
500,510,520:接触点
P:チェーンピッチ
X1:第1オフセット量
X2:第2オフセット量

Claims (14)

  1. 外プレートと、前記外プレートの間に配置された内プレートと、をそれぞれ備えた複数の第1及び第2リンクと、これら複数の第1及び第2リンクを交互に連結する複数のピンと、を備え、前記複数のピンの端面がプーリと摩擦接触することによって動力伝達を行うチェーンであって、
    前記複数のピンは、前記チェーンの進行方向に並んだ第1ピン、第2ピン及び第3ピンを備え、
    前記第1ピンと前記第2ピンとの間のチェーンピッチは、前記第2ピンと前記第3ピンとの間のチェーンピッチと、同じであり、
    前記第1ピンの端面における前記プーリとの接触を開始する接触点と前記第1ピンの中心との間のオフセット量を第1オフセット量、前記第2ピンの端面における前記プーリとの接触を開始する接触点と前記第2ピンの中心との間のオフセット量を第2オフセット量、とした場合、前記第1オフセット量と前記第2オフセット量とが異なる、
    ことを特徴とするチェーン。
  2. 隣接するピンの端面における接触点間の距離を接触ピッチとした場合、前記複数のピンは、それぞれ距離の異なる4種類以上の接触ピッチを有している、
    ことを特徴とする請求項1記載のチェーン。
  3. 前記第1ピンの端面は、前記第1ピンの中心よりも前記チェーンの進行方向上流側に位置し、前記チェーンの進行方向上流側の端部よりも前記第1ピンの中心側の端部の方が前記第1ピンの軸方向において外側に位置するように傾斜した第1傾斜面を備え、
    前記第2ピンの端面は、前記第2ピンの中心よりも前記チェーンの進行方向下流側に位置し、前記チェーンの進行方向下流側の端部よりも前記第2ピンの中心側の端部の方が前記第2ピンの軸方向において外側に位置するように傾斜した第2傾斜面を備え、
    前記第1ピンの中心と前記第1傾斜面の前記第1ピンの中心側の端部との間の第1距離と、前記第2ピンの中心と前記第2傾斜面の前記第2ピンの中心側の端部との間の第2距離と、が異なる、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のチェーン。
  4. 前記外プレート及び内プレートのそれぞれは、1対のピン孔を有していると共に、各ピン孔には、1本のピンが嵌挿されるように構成されており、
    前記第1ピンの端面は、前記第1ピンの中心よりも前記チェーンの進行方向下流側に位置し、前記チェーンの進行方向下流側の端部よりも前記第1ピンの中心側の端部の方が前記第1ピンの軸方向において外側に位置するように傾斜した第3傾斜面を備え、
    前記第2ピンの端面は、前記第2ピンの中心よりも前記チェーンの進行方向上流側に位置し、前記チェーンの進行方向上流側の端部よりも前記第2ピンの中心側の端部の方が前記第2ピンの軸方向において外側に位置するように傾斜した第4傾斜面を備え、
    前記第1ピンの中心と前記第3傾斜面の前記第1ピンの中心側の端部との間の第3距離と、前記第2ピンの中心と前記第4傾斜面の前記第2ピンの中心側の端部との間の第4距離と、が異なる、
    ことを特徴とする請求項3記載のチェーン。
  5. 前記第1~第4距離は、それぞれ異なる距離である、
    ことを特徴とする請求項4記載のチェーン。
  6. 前記第1距離と前記第3距離との和は、前記第2距離と前記第4距離との和と等しい、
    ことを特徴とする請求項4又は5記載のチェーン。
  7. 前記第1距離をLa1、前記第3距離をLa2、前記第2距離をLb1、前記第4距離をLb2、前記第1及び第2ピンの直径をWとした場合、以下の式を満たす、
    La1>(La2,Lb1,Lb2):La1≦W/2、La2=0、Lb1=La1/5、Lb2=2La1/5
    ことを特徴とする請求項4又は5記載のチェーン。
  8. 前記第1距離をLa1、前記第3距離をLa2、前記第2距離をLb1、前記第4距離をLb2、前記第1及び第2ピンの直径をWとした場合、以下の式を満たす、
    La1>(La2,Lb1,Lb2):La1≦W/2、La2=2La1/5、Lb1=La1/5、Lb2=0
    ことを特徴とする請求項4又は5記載のチェーン。
  9. 前記第1距離をLa1、前記第3距離をLa2、前記第2距離をLb1、前記第4距離をLb2、前記第1及び第2ピンの直径をWとした場合、以下の式を満たす、
    La2>(La1,Lb1,Lb2):La1=0、La2≦W/2、Lb1=2La2/5、Lb2=La2/5
    ことを特徴とする請求項4又は5記載のチェーン。
  10. 前記第1距離をLa1、前記第3距離をLa2、前記第2距離をLb1、前記第4距離をLb2、前記第1及び第2ピンの直径をWとした場合、以下の式を満たす、
    La2>(La1,Lb1,Lb2):La1=2La2/5、La2≦W/2、Lb1=0、Lb2=La2/5
    ことを特徴とする請求項4又は5記載のチェーン。
  11. 前記第1ピンの端面における前記プーリとの接触を開始する接触点は、前記第1傾斜面において、前記第1ピンの端面の前記チェーンの進行方向上流側の端部よりも前記第1ピンの中心側に位置しており、
    前記第2ピンの端面における前記プーリとの接触を開始する接触点は、前記第2傾斜面において前記第2ピンの端面における前記チェーンの進行方向下流側の端部よりも前記第2ピンの中心側に位置している、
    ことを特徴とする請求項3乃至10のいずれか1項記載のチェーン。
  12. 前記第1傾斜面の前記第1ピンの中心側の端部及び前記第2傾斜面の前記第2ピンの中心側の端部には、R加工が施されている、
    ことを特徴とする請求項3乃至11のいずれか1項記載のチェーン。
  13. 前記第1及び第2ピンの断面形状は、それぞれ非対称形状である、
    ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項記載のチェーン。
  14. 前記第1ピンと前記第2ピンとは、前記チェーンに所定の張力が掛かった際に、たわみ量及びたわみ方向の少なくとも一方が異なる、
    ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項記載のチェーン。
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