JP4929544B2 - 電力供給装置および方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力供給装置および方法に関し、例えば、誘導電力や、圧電素子が発生するパルス性の電圧などの、低電流高電圧の電力を、利用しやすい高電流低電圧の電力に変換することができる電力供給装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生活空間には、例えば、静電気によるディスチャージなど、パルス性で、電圧値は比較的高いが、電流値が低いため、瞬時に放電してしまう電源が存在する。また、インバータ蛍光灯や、商用電源の付近に発生する誘導起電力など、電圧は非常に高いが、電流としては非常に小さい誘導電源が存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの電源は、発生時間が短く、電圧値が比較的高く、電流値がわずかであるために、エネルギーとして殆ど利用されていない。
【0004】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、環境中に存在する低電流のパルス性電圧を、利用しやすい電圧値および電流値に変換し、環境に負荷を与えない電力供給源を提供することができるようにするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の電力供給装置は、上から加わる力によりたわみを発生する床材と、床材の下部に設けられ、床材のたわみによる圧力で発生する電力を供給する電力供給源と、複数のコンデンサと複数のダイオードとからなる充放電回路と、電力供給源から充放電回路への電力の供給を制御する第1のスイッチと、充放電回路の複数のコンデンサに充電された電力の所定の負荷への供給を制御する第2のスイッチとを備え、充放電回路では、複数のコンデンサが、第1のスイッチにより電力供給源から充電される場合には、電力供給源に対して直列に接続され、第2のスイッチにより負荷に放電される場合には、複数のコンデンサが負荷に対して並列に接続されるように、複数のコンデンサおよび複数のダイオードが接続されており、充放電回路の複数のコンデンサの静電容量は全て等しく、充放電回路は、充電側と放電側のグランドレベルが共通であることを特徴とする。
【0011】
本発明の第1の電力供給方法は、上から加わる力によりたわみを発生する床材と、床材の下部に設けられ、床材のたわみによる圧力で発生する電力を供給する電力供給源とを備える電力供給装置の電力供給方法であって、電力を供給する電力供給ステップと、複数のコンデンサと複数のダイオードとからなる充放電回路により、電力を充放電する電力充放電ステップと、電力供給源から充放電回路への電力の供給を制御する第1の制御ステップと、充放電回路の複数のコンデンサに充電された電力の所定の負荷への供給を制御する第2の制御ステップとを含み、充放電回路では、複数のコンデンサが、第1の制御ステップの処理により電力供給源から充電される場合には、電力供給源に対して直列に接続され、第2の制御ステップの処理により負荷に放電する場合には、負荷に対して並列に接続されるように、複数のコンデンサおよび複数のダイオードが接続されており、充放電回路の複数のコンデンサの静電容量は全て等しく、充放電回路は、充電側と放電側のグランドレベルが共通であることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の電力供給装置は、上から加わる力によりたわみを発生する床材と、床材の下部に設けられ、床材のたわみによる圧力で発生する電力を供給する電力供給源と、電力供給源から供給された電力で充電され、充電された電圧の電圧値を変換して放電する電圧変換回路を複数有する電力供給装置であって、電圧変換回路は、複数のコンデンサと複数のダイオードとからなる充放電回路と、電力供給源から充放電回路への電力の供給を制御する第1のスイッチと、充放電回路の複数のコンデンサに充電された電力の所定の負荷への供給を制御する第2のスイッチとを備え、充放電回路では、複数のコンデンサが、第1のスイッチにより電力供給源から充電される場合には、電力供給源に対して直列に接続され、第2のスイッチにより負荷に放電される場合には、負荷に対して並列に接続されるように、複数のコンデンサおよび複数のダイオードが接続されており、充放電回路の複数のコンデンサの静電容量は全て等しく、充放電回路は、充電側と放電側のグランドレベルが共通であり、所定の電圧変換回路の充電中に他の電圧変換回路が放電することにより、複数の電圧変換回路のうちのいずれかが、負荷に対して常に電力を供給することを特徴とする。
【0016】
基準クロックパルスを発生するパルス発生回路と、パルス発生回路によって発生された基準クロックパルスの論理を反転するインバータとを更に備えさせるようにすることができ、パルス発生回路の出力、もしくはインバータの出力のうちのいずれか一方が、複数の電圧変換回路のうちの第1の電圧変換回路が有する第1のスイッチおよび複数の電圧変換回路のうちの第2の電圧変換回路が有する第2のスイッチの開閉を制御し、他方が、第1の電圧変換回路が有する第2のスイッチおよび第2の電圧変換回路が有する第1のスイッチの開閉を制御するものとすることができる。
【0017】
本発明の第2の電力供給方法は、上から加わる力によりたわみを発生する床材と、床材の下部に設けられ、床材のたわみによる圧力で発生する電力を供給する電力供給源と、電力供給源から供給された電力で充電され、充電された電圧の電圧値を変換して放電する電圧変換回路を複数有する電力供給装置の電力供給方法であって、電圧変換回路における電圧変換ステップが、複数のコンデンサと複数のダイオードとからなる充放電回路により、電力を充放電する電力充放電ステップと、電力供給源から充放電回路への電力の供給を制御する第1の制御ステップと、充放電回路の複数のコンデンサに充電された電力の所定の負荷への供給を制御する第2の制御ステップとを含み、充放電回路では、複数のコンデンサが、第1の制御ステップの処理により電力供給源から充電される場合には、電力供給源に対して直列に接続され、第2の制御ステップの処理により負荷に放電する場合には、負荷に対して並列に接続されるように、複数のコンデンサおよび複数のダイオードが接続されており、充放電回路の複数のコンデンサの静電容量は全て等しく、充放電回路は、充電側と放電側のグランドレベルが共通であり、第1の制御ステップおよび第2の制御ステップの処理により、所定の電圧変換回路の充電中に他の電圧変換回路が放電することにより、複数の電圧変換回路のうちのいずれかが、負荷に対して常に電力を供給することを特徴とする。
【0018】
本発明の第1の電力供給装置および方法においては、上から加わる力によりたわみを発生する床材の下部に、床材のたわみによる圧力で発生する電力を供給する電力供給源が設けられ、複数のコンデンサと複数のダイオードとから充放電回路が構成され、電力が供給され、電力供給源から充放電回路への電力の供給が制御され、充放電回路の複数のコンデンサに充電された電力の所定の負荷への供給が制御され、充放電回路においては、第1のスイッチにより電力供給源から充電される場合には、複数のコンデンサが電力供給源に対して直列に接続され、第2のスイッチにより負荷に放電される場合には、負荷に対して並列に接続されるように、複数のコンデンサおよび複数のダイオードが接続され、充放電回路の複数のコンデンサの静電容量は全て等しく、充放電回路は、充電側と放電側のグランドレベルが共通である
【0019】
本発明の第2の電力供給装置および方法においては、上から加わる力によりたわみを発生する床材の下部に設けられ、床材のたわみによる圧力で電力を発生する電力供給源から供給された電力で充電され、充電された電圧の電圧値を変換して放電する電圧変換回路において、複数のコンデンサと複数のダイオードとから充放電回路が構成され、電力供給源から充放電回路への電力の供給が制御され、充放電回路の複数のコンデンサに充電された電力の所定の負荷への供給が制御され、充放電回路において、第1のスイッチにより電力供給源から充電される場合には、複数のコンデンサが電力供給源に対して直列に接続され、第2のスイッチにより負荷に放電される場合には、複数のコンデンサが負荷に対して並列に接続されるように、複数のコンデンサおよび複数のダイオードが接続され、充放電回路の複数のコンデンサの静電容量は全て等しく、充放電回路は、充電側と放電側のグランドレベルが共通であり、所定の電圧変換回路の充電中に他の電圧変換回路が放電されることにより、複数の電圧変換回路のうちのいずれかによって、負荷に対して常に電力が供給される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
まず、図1を参照して、本発明を適応した充放電回路の第1の実施の形態について説明する。
【0022】
電源1には、スイッチ2が接続されている。ここで、電源1は、環境に存在する誘導電力を取り出して、電力を発生する電力回生回路であり、その詳細については、図2乃至図17を用いて後述する。抵抗4は、入力抵抗であり、図1の回路を実使用する場合、抵抗4は、必ずしも必要というものではない。
【0023】
スイッチ3は、出力側のスイッチであり、放電時に閉じられる。抵抗5は出力の負荷抵抗である。図1の回路を実使用する場合、抵抗5に代わって、実負荷が接続される。
【0024】
コンデンサ6乃至コンデンサ8は、充電用のコンデンサである。ダイオード9乃至ダイオード16は、整流用のダイオードである。コンデンサ6乃至コンデンサ8、並びに、ダイオード9およびダイオード10は、充電時には、直列に接続されている。そして、ダイオード9およびダイオード10は、充電用のコンデンサ6乃至コンデンサ8の間に接続され、放電時、すなわち、スイッチ3が開かれてスイッチ2が閉じられた場合には逆バイアスとなり、コンデンサ6乃至コンデンサ8を切り離す(電気的に接続されていない状態とする)。
【0025】
ダイオード9乃至ダイオード16には、例えば、NEC社製の1S953などのスイッチング用シリコンダイオードが用いられる。
【0026】
出力側のダイオード11乃至16は、放電時に、コンデンサ6乃至コンデンサ8を負荷(抵抗5)に対して並列に接続するために設けられている。
【0027】
次に、電源1として用いられる電力回生回路について説明する。
【0028】
図2は、電源1に対応する電力回生回路の一例を示す回路図である。
【0029】
図2の電力回生回路においては、アンテナ31とグランド(GND)端子41により、空中に存在する誘導起電力が検出され、ダイオード33およびダイオード34より、コンデンサ35に直流電荷(正電荷)が蓄えられ、コンデンサ35のプラス側にプラス端子46が設けられている。すなわち、グランド端子41に対して、アンテナ31の電位がプラスであり、ダイオード33が導通し、ダイオード34は高インピーダンス素子として、アンテナ31とグランド端子41の間に電圧を発生させ、コンデンサ35に正電荷を充電させる。
【0030】
例えば、アンテナ31を、インバータ式蛍光灯の外筐部の適当な部位に接続し、グランド端子41を接地、もしくは、1乃至2m程度の線材を接続して、床にたらしておいた場合、コンデンサ35が10μFの電界コンデンサであれば、コンデンサ35の両端に10秒程度で30V以上の電圧を発生することができる。電力容量は、基本的には充電時間に比例するので、充電時間を延ばすことにより、充電される電荷を電源として利用することは充分可能である。
【0031】
そして、アンテナ31、ダイオード33およびダイオード34、並びにコンデンサ35で構成される回路と極性が逆となっている電力回生回路が、アンテナ42、ダイオード43およびダイオード44、並びにコンデンサ45によって構成されてグランドを共通として接続され、コンデンサ45のマイナス側にマイナス端子47が設けられている。グランド端子41に対して、アンテナ42の電位はマイナスにとなり、ダイオード44が導通し、ダイオード43は、高インピーダンス素子として、アンテナ42とグランド端子41の間に電圧を発生させ、コンデンサ45に負電荷が充電される。
【0032】
交流の入力を受ける整流回路は、その出力が直流成分であっても、入力に交流成分が流れている以上、もう一方(帰線側、すなわちグランド)にも必ず交流電流が流れている。商用電源やインバータ方式の蛍光灯の誘導電圧はかなり高いことが予想される(例えば、商用電源の家庭内の電源による誘導電圧は、ピークトゥピークで140V程度である)ので、図2に示される回路によって、誘導電圧を効率よく回生させることができる。
【0033】
図3に、図2の電力回生回路においてコンデンサ35およびコンデンサ45の静電容量がいずれも22μFであり、アンテナ31を蛍光灯の外筐に、グランド端子41をオシロスコープのグランド端子(適当なインピーダンスで大地に接続されている)に接続した場合の電圧測定カーブ(無負荷時)を示す。図3において、プラス軸側の曲線は、コンデンサ35の両端電圧、マイナス軸側の曲線は、コンデンサ45の両端電圧である。
【0034】
図3に示されるように、80秒後に、コンデンサ35の両端電圧は、約38Vであり、その増加割合は減少し始めて(飽和に近づいて)おり、コンデンサ45の両端電圧は、約−5.1Vであり、飽和には達していない。実験では、数分後に、コンデンサ35の両端電圧は、約48V、コンデンサ45の両端電圧は、約37Vとなった。
【0035】
次に、図4乃至図6を参照して、第2の電力回生回路について説明する。なお、図2における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する(以下、同様)。
【0036】
図4に示されるように、図2を用いて説明した電力回生回路を1組の電力回生回路51として、それぞれのアンテナ31およびアンテナ42を、直列に接続(カスケード接続)することにより、空中に誘導されている電力の回生効率を高めることができる。ここでは、電力回生回路51−1、電力回生回路51−2、および電力回生回路51−3の3つの電力回生回路を直列接続するようにしたが、接続される電力回生回路の数は任意の数でよい。電力回生回路51−1、電力回生回路51−2、および電力回生回路51−3は、内部的には、直流成分の極性が一義的に決まるが、外部的には、交流成分は全く対称であるため、その接続の向きは任意である。
【0037】
図5は、図4の電力回生回路51−1、電力回生回路51−2、および電力回生回路51−3の詳細な回路図である。図5においては、電力回生回路51−1のアンテナ42と電力回生回路51−2のアンテナ31’とを接続し、電力回生回路51−2のアンテナ42’と電力回生回路51−3のアンテナ31”とを接続しているものとして図示しているが、例えば、電力回生回路51−2の接続の向きを逆向きとし、電力回生回路51−1のアンテナ42と電力回生回路51−2のアンテナ42’とを接続し、電力回生回路51−2のアンテナ31’と電力回生回路51−3のアンテナ31”とを接続した場合においても、電力回生回路51−2からのプラス端子46’およびマイナス端子47’からの出力は、交流であるので変化しない。
【0038】
図4および図5を用いて説明した電力回生回路51−1乃至電力回生回路51−3においては、それぞれの回路にまたがって、電圧を加算して使用することはできない(それぞれの電力回生回路で、独立した電力供給源となる)。
【0039】
図6に、図4の電力回生回路51−1乃至電力回生回路51−3それぞれにおいて内部コンデンサの静電容量が100μF/63V(50μFのコンデンサ35およびコンデンサ45を直列接続)であり、アンテナ31を蛍光灯の外筐などの誘導源52に、アンテナ42”をオシロスコープのグランド端子53(適当なインピーダンスで大地に接続されている)に接続した場合に、数分後、回路が安定した後に得られる電源電圧(無負荷時)の値を示す。
【0040】
この場合、電力回生回路51−1において、プラス側に30V、マイナス側に14Vの電圧が発生し、プラス端子46とマイナス端子47との間に発生する電圧は、約43Vであった。また、電力回生回路51−2においては、プラス側に14.1V、マイナス側に12.6Vの電圧が発生し、プラス端子46’とマイナス端子47’との間に発生する電圧は、約26.5Vであり、電力回生回路51−3においては、プラス側に11.6V、マイナス側に13Vの電圧が発生し、プラス端子46”とマイナス端子47”との間に発生する回生電圧は、約24.3Vであった。
【0041】
このように、複数の電力回生回路をカスケード接続することにより、内部コンデンサ(コンデンサ35およびコンデンサ45)に充分な大きさの電圧がチャージされる。
【0042】
次に、図7乃至図10を参照して、第3の電力回生回路について説明する。
【0043】
図2を用いて説明した電力回生回路は、逆極性の回路を、グランドを共通として接続した回路であるが、図7(A)は、同一の極性の回路を、グランドを共通として接続したものである。
【0044】
図7(B)は、図7(A)の回路の変形例であり、図7(A)と図7(B)は、同一の回路であることは言うまでもない。そして、コンデンサ35とコンデンサ45とは、ここでは同一の定格であるため、図7(B)の回路に対する等価回路である図7(C)の回路の内部コンデンサは、コンデンサ35(あるいはコンデンサ45)と等しくなる。
【0045】
また、図7(C)の回路は、図7(D)のブリッジ回路と同一である。すなわち、図7(A)に示される電力回生回路と、図7(D)に示されるブリッジ回路とは等価回路である。
【0046】
また、図8(A)に示される電力回生回路は、図7(A)を用いて説明した電力回生回路と逆特性を有するものであり、図7を用いて説明した場合と同様に、図8(B)と同一であり、ここでも、コンデンサ35とコンデンサ45とは同一の定格であるため、図8(B)の回路に対する等価回路である図8(C)の回路の内部コンデンサは、コンデンサ35(あるいはコンデンサ45)と等しくなる。
【0047】
そして、図8(C)の回路は、図8(D)のブリッジ回路と同一である。すなわち、図8(A)に示される電力回生回路と、図8(D)に示されるブリッジ回路とは等価回路である。
【0048】
そして、図7(D)に示されるブリッジ回路と、図8(D)に示されるブリッジ回路は同一の回路であり、平滑およびエネルギー蓄積用のコンデンサを有する、一般的な整流回路である。これらのブリッジ回路は、アンテナ31およびアンテナ42に対しても対称であるため、それぞれのアンテナを区別する必要はない。
【0049】
そこで、図9(A)に示すように、ブリッジ回路61は、端子71および端子72、ダイオード73乃至ダイオード76、並びに、コンデンサ77を有するものとして説明する。ブリッジ回路61は、図9(B)に示されるブリッジ回路と等価回路である。
【0050】
図9(A)に示したブリッジ回路61においても、端子71および端子72のいずれかを、例えば、蛍光灯の外筐などの誘導源と、オシロスコープのグランド端子などの、適当なインピーダンスで大地に接続されている点に接続した場合、誘導により発生している起電力が回生され、ダイオード73乃至ダイオード76により、コンデンサ77に電荷が蓄積される。
【0051】
更に、図10に示されるように、ブリッジ回路61を任意の数だけカスケード接続することにより、図4乃至図6を用いて説明した場合と同様に、より効率よく電力を回生することも可能である。
【0052】
次に、図11を参照して、第4の電力回生回路について説明する。
【0053】
図11に示される電力回生回路は、グランドレベルに対して正電圧を発生する電源発生回路をカスケード接続することによって構成されている。ダイオード93およびダイオード94によって、コンデンサ95にチャージされた電圧が、端子99および端子100から供給可能であり、ダイオード96およびダイオード97によって、コンデンサ98にチャージされた電圧が、端子101および端子102から供給可能である。
【0054】
この場合、第1乃至第3の実施の形態とは異なり、それぞれの電圧発生源のグランドは共通ではない。すなわち、端子99および端子100から供給される電源と、端子101および端子102から供給される電源とは、それぞれ独立している。
【0055】
図11に示される電力回生回路において、コンデンサ95およびコンデンサ98の静電容量がいずれも22μFであり、アンテナ91およびアンテナ92を蛍光灯の外筐に、グランドに対応する端子100および端子102をオシロスコープのグランド端子(適当なインピーダンスで大地に接続されている)に接続し、数分後、出力電圧が平衡に達したときの電圧は、端子99および端子100間で35V、端子101および端子102間で14Vであった。
【0056】
図11においては、カスケード接続が2段であるとして説明したが、3段以上のカスケード接続も可能であることは言うまでもない。
【0057】
以上説明した電力回生回路においては、電力回生効率を高め、高い電圧を供給したり、複数の電源を提供することが可能となるものであった。以下、第5乃至第9の電力回生回路として、出力電圧の安定化を目的とする電力回生回路について説明する。
【0058】
図12を用いて、第5の電力回生回路について説明する。
【0059】
図12(A)の電力回生回路は、ダイオード34に代わって、定電圧ダイオード111が設けられている以外は、図2を用いて説明した電力回生回路の正電荷蓄積部分と基本的に同様の構成を有している。また、図12(B)の電力回生回路は、図12(A)の電力回生回路において、ダイオード33、コンデンサ35、および定電圧ダイオード111のそれぞれの極性に逆とした電力回生回路である。
【0060】
定電圧ダイオード111を用いることにより、コンデンサ35の両端電圧は、定電圧ダイオード111により規定される電圧値よりも大きくなることはない。例えば、定電圧ダイオード111により規定される電圧値を、出力端子112から出力される電力の供給を受ける素子の定格にあわせて設計することにより、出力側に接続されている素子の破壊を防止することが可能となる。
【0061】
定電圧ダイオード111は、その電圧出力によって、正の温度係数と、負の温度係数を有するものが存在するため、出力電圧に制限がある。そこで、ダイオード33と、定電圧ダイオード111の温度特性とが、正負逆となるようにそれぞれを選択することによって、出力電圧の温度特性を向上させることが可能となる。
【0062】
次に、図13を参照して、第6の電力回生回路について説明する。
【0063】
図13の電力回生回路においては、ダイオード33とコンデンサ35の間に、例えばCMOSFETなどで構成されるスイッチ121、およびスイッチ121を制御するコントローラ122が新たに設けられている以外は、図2を用いて説明した電力回生回路の正電荷蓄積部分と基本的に同様の構成を有する。コントローラ122は、コンデンサ35が放電する電圧を検出して、スイッチ121を制御するとともに、同一ラインから、コントローラ122自身の動作のための電源の供給を受ける。
【0064】
図13においては、出力電圧の検出と、電源の供給とを、コントローラ122に対して異なる入力として図示しているが、出力電圧の検出と電源の供給とは、同一の入力により行われるようにしても良いことはもちろんである。
【0065】
コントローラ122は、出力電圧がある一定の範囲内の値となるように、スイッチ121のオンオフを制御することにより、コンデンサ35に供給されるチャージ電流を制限する。コンデンサ35への充電の方法は、原理的にはスイッチングレギュレータと類似しているが、図13に示される電力回生回路においては、アンテナ31で検出される電界による電源のインピーダンスが非常に高いため、ダイオード33とコンデンサ35との間にインダクタンスがなくても、ほぼ定電流により、コンデンサ35をチャージすることができる。
【0066】
図14に一般的なダウンコンバータの回路例を示す。コントローラ136は、コンデンサ135に供給されるチャージ電流を制限するために、スイッチ132を制御する。ダウンコンバータにおいては、コンデンサ135に定電流を供給するために、インダクタンス134が接続され、インダクタンス134からの逆起電力によって出力側の負荷を破壊してしまうことを防止するために、フライホイールダイオード133が接続されている。
【0067】
これに対して、図13を用いて説明した電力回生回路は、インダクタンス134およびフライホイールダイオード133が不必要であり、部品点数が少ないため、低コストで回路を構成することができる。
【0068】
図13の電力回生回路においては、インダクタンスを備えることなくコンデンサ35に対して定電流充電を行うので、コンデンサ35には、三角波状のリップルが発生する。このレベルは、コントローラ122の制御によって設定可能である。また、出力端子123に接続されている負荷の負荷変動に対しても、コントローラ122により、スイッチ121のスイッチングを制御することにより、通常のスイッチングレギュレータの場合と同様に、出力端子123からの出力を制御することが可能である。
【0069】
コントローラ122は、消費電流値の小さなマイクロコントローラなどで構成される。コントローラ122は、通常のスイッチングレギュレータのように、スイッチ121のオンオフを、例えば、100Hz程度の周波数で制御する必要はない。従って、コントローラ122は、更に、クロック周波数を下げて使用することによって、数μA程度の消費電流とすることができる。
【0070】
次に、図15を参照して、第7の電力回生装置について説明する。
【0071】
スイッチ141およびスイッチ142は、コントローラ146によって制御される。コントローラ146は、コンデンサ145が放電する電圧を検出して、スイッチ141を制御するとともに、スイッチ141の制御に連動して、スイッチ142を制御し、コンデンサ143およびコンデンサ144のうちのいずれかに蓄積された電荷を、コンデンサ145に供給させるとともに、同一ラインから、コントローラ146自身の動作のための電源の供給を受ける。
【0072】
アンテナ31によって得られた、電界による電力は、スイッチ141によって、コンデンサ143もしくはコンデンサ144に供給されて、蓄積される。スイッチ141には、オープン端子も設けられており、コントローラ146は、コンデンサ145の出力電圧を検出し、その出力電圧がある一定の値を超えないように、必要に応じて、ダイオード33の出力を、スイッチ141のオープン端子に接続させる。
【0073】
コンデンサ143およびコンデンサ144の静電容量が等しい場合、コンデンサ143とコンデンサ144とは、スイッチ141によって、基本的に、同一の時間ずつダイオード33と接続されるものとするが、それぞれのオンデューティーが異なるように制御するようにしても良い。
【0074】
コンデンサ143およびコンデンサ144に蓄積された電荷は、スイッチ142を介して、コンデンサ145に蓄積される。スイッチ142は、コントローラ146の制御に従って、コンデンサ143、もしくはコンデンサ144のうち、アンテナ31、ダイオード34およびスイッチ141を介して、電荷の蓄積中(充電中)ではない方が、コンデンサ145に接続され、蓄積された電荷を放出(放電)するように切替えられる。
【0075】
コンデンサ145は、コンデンサ143およびコンデンサ144の静電容量より大きな静電容量を有する素子が選択される。例えば、コンデンサ143およびコンデンサ144の静電容量が10μFであり、チャージ後の電圧が50Vであるとすると、コンデンサ145の静電容量が100μFであれば、電荷Q=静電容量C×電圧Vが成り立ち、電荷が保存されるので、出力電圧として5Vが得られる。すなわち、小さな容量のコンデンサ143およびコンデンサ144に、アンテナ31によって得られる電界による電力を高電圧で蓄積し、それを大きな容量のコンデンサに供給することにより、エネルギーロスを最小にして、一般的なICの動作電圧付近に電圧を下げ、電流容量をあげることが可能となる。
【0076】
次に、図16を参照して、第8の電力回生装置について説明する。
【0077】
図16の電力回生回路は、コントローラ146の電力供給源として、図12を用いて説明した電力回生回路が、電源供給回路151として用いられている以外は、図15を用いて説明した電力回生回路と基本的に同様の構成を有している。
【0078】
すなわち、図15を用いて説明した電力回生回路においては、コントローラ146は、コンデンサ145の出力のうちの一部を動作に必要な電源として利用していたので、出力端子123から出力される電力にロスが生じる。それに対して、図16の電力回生回路においては、コントローラ146は、定電圧ダイオード111により出力電圧が一定に制限されている電源供給回路151から、動作に必要な電源の供給を受けるようになされている。
【0079】
ここで、電源供給回路151のコンデンサ35の静電容量を、コンデンサ145の静電容量より小さく設定することにより、コンデンサ145から蓄積された電荷が放出され、出力端子123から電力が供給されるよりも先に、コントローラ146に電源が供給され、コントローラ146が動作開始するようにすることが可能である。
【0080】
次に、図17を参照して、第9の電力回生装置について説明する。
【0081】
電源供給回路151から供給される電圧は、定電圧ダイオード111の定格に基づく一定の値となる。図17の電力回生回路においては、電源供給回路151の出力をトランジスタ171のベースに供給して、トランジスタ171のベースエミッタ電圧をクランプして定電圧化し、出力端子123から一定の電圧の電源を供給するようになされている。
【0082】
図17の電力回生回路においては、例えば、出力端子123に接続された負荷の値が小さくなり、電流が増加してしまうような場合においても、出力端子123からの出力電圧は、コンデンサ35の端子電圧よりも低い値において、出力の安定化を図ることが可能となる。
【0083】
図17の電力回生回路は、コレクタエミッタ電圧の分、回生した電力を無駄に消費してしまうことになるが、スイッチングレギュレータを組み込むよりも、非常に簡単な回路構成で、充分実用可能な定電圧の電力回生回路を提供することが可能である(すなわち、低コストの電力回生回路を提供することが可能である)。
【0084】
なお、図17においては、電源供給回路151を用いて、トランジスタ171のベースに一定電圧を供給することとして説明しているが、トランジスタ171のベースに一定電圧を供給することが可能であれば、電源供給回路141に代わって、異なる構成を有する回路を利用するようにしても良い。
【0085】
再び、図1の説明に戻る。図2乃至図17を用いて説明した電力回生回路によって発生された高電圧を用いて図1の充放電回路のコンデンサ6乃至コンデンサ8が充電され、充電された電荷が、コンデンサ6乃至コンデンサ8から放電される際に、低電圧、高電流に変換される。
【0086】
図1の充放電回路において、充電時には、スイッチ2が閉じられ、出力側のスイッチ3が開かれるので、抵抗4を介して、直列に接続されているコンデンサ6、ダイオード9、コンデンサ7、ダイオード10、およびコンデンサ8に電流が流れ、コンデンサ6乃至コンデンサ8が充電される。
【0087】
そして、放電時には、スイッチ2が開かれ、スイッチ3が閉じられるので、コンデンサ6乃至コンデンサ8に充電された電荷が放電され、負荷である抵抗5で消費される。このとき、ダイオード9およびダイオード10は逆バイアスとなるので、電流が流れない。従って、コンデンサ6は、ダイオード11を介して、抵抗5のプラス側に接続され、ダイオード12を介して、抵抗5のグランド側に接続される。同様に、コンデンサ7は、ダイオード13を介して、抵抗5のプラス側に接続され、ダイオード14を介して、抵抗5のグランド側に接続され、コンデンサ8は、ダイオード15を介して、抵抗5のプラス側に接続され、ダイオード16を介して、抵抗5のグランド側に接続される。すなわち、コンデンサ6乃至コンデンサ8は、スイッチ3と抵抗5に対して、並列に接続される。
【0088】
図18に、図1を用いて説明した充放電回路を用いて充放電を行った場合の実験波形を示す。
【0089】
図18においては、電源1の出力が10V、抵抗4および抵抗5の抵抗値が1kΩ、コンデンサ6乃至コンデンサ8の静電容量が10μFという条件の基で充放電が行われたものとする。
【0090】
時刻t1において、スイッチ3が開かれている状態で、スイッチ2が閉じられる。コンデンサ6乃至コンデンサ8は充電され、コンデンサ6、ダイオード9、コンデンサ7、ダイオード10、およびコンデンサ8の合計の電圧値V1は、電源1の電圧と同じ値である10Vとなる。コンデンサ6乃至コンデンサ8の充電完了時には、充電電流が殆ど0となるため、ダイオード9およびダイオード10の順方向ドロップは、殆ど無視できる電圧となる。すなわち、コンデンサ6乃至コンデンサ8には、充電完了時に、合計10V充電される。
【0091】
そして、時刻t2に、スイッチ2が開かれた場合、ダイオード9およびダイオード10により、電圧V1が見えなくなる。
【0092】
その後、時刻t3に、スイッチ2が開かれた状態で、スイッチ3が閉じられる。すなわち、コンデンサ6乃至コンデンサ8の放電が開始される。上述したように、コンデンサ6乃至コンデンサ8は、負荷である抵抗5に対して並列接続であるので、スイッチ3が閉じられた瞬間、すなわち、放電が開始された瞬間の電圧V1は、コンデンサ6乃至コンデンサ8のそれぞれの両端電圧値に等しくなる。従って、電圧V1は、理論上は、10Vの1/3となるはずである。そして、実験においては、3.5Vが観測された。
【0093】
そして、抵抗5の両端にかかる電圧V2は、2.0Vが観測された。これは、負荷である抵抗5から見ると、コンデンサ6乃至コンデンサ8のそれぞれに、2つのダイオードがシリーズで接続されているためである。それに対して、充電側でも、ダイオード9およびダイオード10がシリーズで接続されているが、上述したように、充電完了時には、充電電流が殆ど0となるため、ダイオード9およびダイオード10の順方向ドロップは、殆ど無視できる電圧となる。
【0094】
なお、図1においては、コンデンサ6乃至コンデンサ8の3つのコンデンサを用いて充放電を行うものとして説明したが、コンデンサの数は、2以上のいかなる数でも良い。例えば、コンデンサの数が増やされた場合、より高い電圧で充電が行われ(この場合、コンデンサの容量は、個々の容量よりも見かけ上減少する)、低い電圧で放電が行われる(この場合のコンデンサの全容量は、全てのコンデンサの容量の合計となる)。
【0095】
また、この例においては、回路に用いられるコンデンサの静電容量は同一であるものとして説明したが、回路に用いられるコンデンサの静電容量が、個々に異なっても、充放電において何ら電気的問題を発生するものではない。従って、回路に用いられるコンデンサの静電容量は、必ずしも同一である必要はない。
【0096】
図1を用いて説明した充放電回路によると、複数のコンデンサに直列で電荷が充電され、放電時には、コンデンサが並列に接続された状態で負荷に接続されるので、利用価値の低い高電圧、低電流の起電力を、様々な用途に利用することが可能な低電圧、高電流に変換して出力することが可能となる。
【0097】
次に、図19を参照して、本発明を適応した充放電回路の第2の実施の形態について説明する。
【0098】
なお、図1における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する(以下、同様)。
【0099】
すなわち、図19の充放電回路においては、図1の充放電回路のダイオード16が省略されている以外は、図1を用いて説明した充放電回路と同一の構成を有しているので、その詳細については省略する。
【0100】
図19の充放電回路は、図1の充放電回路と比較して、部品点数が少なく、充電側と放電側のグランドを共通にできるという利点がある。
【0101】
図20に、図19の充放電回路を用いて充放電を行った場合の実験波形を示す。
【0102】
図20においても、図18における場合と同様に、図19に示される充放電回路において、電源1の出力が10V、抵抗4および抵抗5の抵抗値が1kΩ、コンデンサ6乃至コンデンサ8の静電容量が10μFという条件の基で充放電が行われたものとする。
【0103】
この場合、時刻t2から時刻t3との間、すなわち、スイッチ2およびスイッチ3が開いた状態において、入力側の電圧V1に、並列のコンデンサ6乃至コンデンサ8のそれぞれの両端電圧値3Vが観測されるが、出力側に影響を与えるものではなく、時刻t3において、スイッチ3を閉じた後は、図18を用いて説明した場合と同様に、コンデンサ6乃至コンデンサ8の放電が観測される。
【0104】
厳密には、抵抗5の両端にかかる電圧V2のうち、コンデンサ8の両端電圧は、ダイオード16が省略されている分、第1の実施の形態における場合より上昇するため、時刻t3において、スイッチ3を閉じた瞬間の放電側の電圧値は、図18における場合よりもダイオード1つ分に対応する電圧ドロップ分だけ上昇するはずであるが、その電圧の上昇は、実験において観測することができない程度のものであった。
【0105】
次に、図21を参照して、本発明を適応した充放電回路の第3の実施の形態について説明する。
【0106】
図21の充放電回路においては、図19の充放電回路のダイオード11が省略されている以外は、図19を用いて説明した充放電回路と同一の構成を有しているので、その詳細については省略する。
【0107】
図21の充放電回路は、図19の充放電回路と同様に、充電側と放電側のグランドを共通にできるという利点があり、更に、部品点数が少ない。
【0108】
図22に、図21の充放電回路を用いて充放電を行った場合の実験波形を示す。
【0109】
図22においても、図18および図20における場合と同様に、図21に示される充放電回路において、電源1の出力が10V、抵抗4および抵抗5の抵抗値が1kΩ、コンデンサ6乃至コンデンサ8の静電容量が10μFという条件の基で充放電が行われたものとする。
【0110】
この場合においても、図20を用いて説明した場合と同様に、時刻t2から時刻t3との間、すなわち、スイッチ2およびスイッチ3が開いた状態において、入力側の電圧V1に、並列のコンデンサ6乃至コンデンサ8のそれぞれの両端電圧値3Vが観測される。また、時刻t3において、スイッチ3を閉じた瞬間の放電側の電圧値については、図18における場合よりもダイオード11およびダイオード16が省略されたため、コンデンサ6およびコンデンサ8の両端電圧の電圧ドロップに対応する電圧値の上昇(2.0Vから2.3Vに上昇)が観測された。この場合、直列に接続するコンデンサの数が増加しても、ダイオードは、両端の2箇所しか省略できないため、全体としての電圧増加は減少する。
【0111】
次に、図23を参照して、本発明を適応した充放電回路の第4の実施の形態について説明する。図23の充放電回路は、充放電回路を2系統使用し、交互に充放電を実行するものである。
【0112】
誘導電圧検出部181は、例えば、アンテナなどであり、グランド182は、誘導電圧の基準であって、例えば、20cm×20cmの金属板を床に置いたものなどであり、図2を用いて説明した場合と同様に、空中に存在する誘導起電力が検出され、ダイオード191およびダイオード192より、コンデンサ193に直流電荷(正電荷)が蓄えられる。すなわち、誘導電圧検出部181、グランド182、ダイオード191、ダイオード192、およびコンデンサ193で、図1、図19、および図21の電源1を構成している。
【0113】
また、ダイオード194および195によって、コンデンサ196にも電荷が蓄積される。分周器197は、コンデンサ196に蓄積された電荷を動作電力とし、誘導電圧検出部181およびグランド182によって検出される電圧の半波整流波を入力クロックとして動作する。例えば、商用電源の誘導を検出している場合、分周器197の入力クロックは、50Hz、もしくは60Hzとなる。
【0114】
スイッチ202およびスイッチ205は、分周器197の出力クロックによって、開閉される。インバータ198は、分周器197の出力クロックを反転する。スイッチ201およびスイッチ206は、インバータ198によって反転された分周器197の出力クロックによって、開閉される。
【0115】
スイッチ201が閉じられ、スイッチ202が開かれている場合、充放電回路207−1は充電され、スイッチ201が開かれ、スイッチ202が閉じられている場合、充放電回路207−1は放電し、放電された電荷は、負荷203によって消費される。コンデンサ204は、いわゆるバイパスコンデンサである。
【0116】
スイッチ205が閉じられ、スイッチ206が開かれている場合、充放電回路207−2は充電され、スイッチ205が開かれ、スイッチ206が閉じられている場合、充放電回路207−2は放電し、放電された電荷は、負荷203によって消費される。
【0117】
充放電回路207−1および充放電回路207−2は、図21を用いて説明した充放電回路と同様のコンデンサ6乃至コンデンサ8、ダイオード9、ダイオード10、およびダイオード12乃至ダイオード15から構成される。なお、充放電回路207−1および充放電回路207−2は、図19を用いて説明した充放電回路と同様に、ダイオード11を備えるようにしても良いし、図1を用いて説明した充放電回路と同様に、ダイオード16を備えるようにしても良いことはもちろんである。
【0118】
スイッチ201およびスイッチ206に供給される信号と、スイッチ202およびスイッチ205に供給される信号との論理は逆である。従って、充放電回路207−1が充電している状態において、充放電回路207−2は放電し、充放電回路207−1が放電している状態においては、充放電回路207−2は充電を行う。すなわち、負荷203には、常に、低電圧、高電流に変換された電源が供給される。
【0119】
負荷203に供給される電源電圧値は、誘導電圧検出部181により検出される電圧値によって決まるが、例えば、誘導電圧検出部181により検出される電圧値が10V程度である場合、負荷203には、3V程度の電源電圧が供給される。図2乃至図17を用いて説明したように、誘導電圧検出部181により10V程度を検出するのは容易である。
【0120】
以上説明した充放電回路においては、電源1として、図2乃至図17を用いて説明した、空間の誘導起電力(例えば、商用電源やインバータ方式の蛍光灯の誘導電圧)を基にして充電を行うものとして説明したが、例えば、圧電素子に所定の圧力を与えることにより発生するパルス性の電圧を収集して変換し、負荷に供給することも可能である。
【0121】
図24を参照して、本発明を適応した充放電回路を用いた電源供給システムについて説明する。
【0122】
床材221−1乃至床材221−nは、例えば、人がその上を歩行したり、荷物を積んだ台車などが通過することなどにより、若干のたわみを発生する床材であり、支材222−1−1および支材222−1−2、支材222−2−1および支材222−2−2、並びに支材222−n−1および支材222−n−2によって、それぞれ支えられている。
【0123】
圧電素子223−1乃至圧電素子223−nは、床材221−1乃至床材221−nの下部(人などが歩行時に触れる面の逆の面)に取り付けられており、床材221−1乃至床材221−nのたわみにより、圧力を受け、電圧を発生する。
【0124】
ここで、圧電素子とは、電圧をかけると伸び縮みし、逆に圧力がかかり伸び縮みすると電圧を発生する性質をもった素子であり、水晶の単結晶や、セラミックス、プラスチックの一部に、このような性質を有する物質がある。
【0125】
圧電素子223−1乃至圧電素子223−nで発生した電圧は、充放電回路224−1乃至充放電回路224−nによって、高電圧、低電流から、低電圧、高電流に変換され、コンデンサ231に供給されて、蓄積される。そして、スイッチ232が閉じられた場合、コンデンサ231に蓄積された電荷が、負荷233に供給される。
【0126】
なお、充放電回路224−1乃至充放電回路224−nには、図1、図19、図21、もしくは図23を用いて説明した充放電回路のうち、いずれの充放電回路を用いても良い。
【0127】
圧電素子223−1乃至圧電素子223−nをその下部に備え付けた床材221−1乃至床材2221−nを、例えば、駅の階段などの、大勢の人が常に歩行する場所に設置することにより、利用しやすい電圧値で、ある程度の電流値を有する電源電圧を供給することが可能となる。
【0128】
図24を用いて説明した充放電回路を用いた電源供給システムから出力される電源に対して、更に、既存の技術を用いて安定化を施すことにより、より一層利用範囲の広い電源供給システムを構築することが可能であることは言うまでもない。
【0129】
また、圧電素子223−1乃至圧電素子223−nの設置場所は、図24を用いて説明した床材221−1乃至床材221−nの下部に限らない。例えば、靴の中に圧電素子を設けて、ユーザの歩行動作により発生する電圧を蓄積して、利用しやすい電圧値および電流値に変換するようにすることも可能である。
【0130】
更に、充放電回路に電荷を充電するための電源としては、上述した誘導起電力や圧電素子に加えられた圧力のみならず、例えば、雷や静電気などの自然放電源を用いることも可能である。その場合も、同様にして、上述した充放電回路を用いて、短時間に発生する高電圧を利用しやすい電圧値および電流値に変換し、負荷に供給することができる。
【0131】
以上説明した充放電回路を用いることにより、発電所等から供給される電源ではない、ローカルな電源を簡単に得ることができる。従って、環境に負荷を与えず、従来では利用することができなかった、無駄な、あるいは邪魔な発生電圧を、利用しやすい電圧値および電流値に変換し、例えば、ウェアラブルコンピューティング(身体装着可能なコンピュータを利用すること)、もしくは、ユービキタスコンピューティング環境(ユービキタス:偏在性、すなわち、いたるところにコンピュータが存在する環境)の電力供給源として有効に利用することができる。
【0132】
なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0133】
【発明の効果】
本発明の第1の電力供給装置および方法によれば圧電素子が発生するパルス性の電力などの、低電流高電圧の電力を、利用しやすい高電流低電圧の電力に変換することができる。
【0134】
本発明の第2の電力供給装置および方法によれば圧電素子が発生するパルス性の電力などの、低電流高電圧の電力を、利用しやすい高電流低電圧の電力に変換して、負荷に常に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適応した充放電回路の第1の実施の形態について説明するための図である。
【図2】図1の電源に対応する第1の電力回生装置について説明するための図である。
【図3】図2の電力回生回路の出力電圧について説明するための図である。
【図4】図1の電源に対応する第2の電力回生装置について説明するための図である。
【図5】図4の電力回生回路の詳細な回路図である。
【図6】図4の電力回生回路の出力電圧について説明するための図である。
【図7】ダイオードブリッジについて説明するための図である。
【図8】ダイオードブリッジについて説明するための図である。
【図9】図1の電源に対応する第3の電力回生装置について説明するための図である。
【図10】図9のダイオードブリッジのカスケード接続について説明するための図である。
【図11】図1の電源に対応する第4の電力回生装置について説明するための図である。
【図12】図1の電源に対応する第5の電力回生装置について説明するための図である。
【図13】図1の電源に対応する第6の電力回生装置について説明するための図である。
【図14】一般的なダウンコンバータについて説明するための図である。
【図15】図1の電源に対応する第7の電力回生装置について説明するための図である。
【図16】図1の電源に対応する第8の電力回生装置について説明するための図である。
【図17】図1の電源に対応する第9の電力回生装置について説明するための図である。
【図18】図1の充放電回路の充放電電圧について説明するための図である。
【図19】本発明を適応した充放電回路の第2の実施の形態について説明するための図である。
【図20】図19の充放電回路の充放電電圧について説明するための図である。
【図21】本発明を適応した充放電回路の第3の実施の形態について説明するための図である。
【図22】図21の充放電回路の充放電電圧について説明するための図である。
【図23】本発明を適応した充放電回路の第4の実施の形態について説明するための図である。
【図24】本発明を適応した充放電回路を用いた電源供給システムについて説明するための図である。
【符号の説明】
1 電源, 2,3 スイッチ, 4,5 抵抗, 6乃至8 コンデンサ,9乃至16 ダイオード, 197 分周器, 198 インバータ, 201,202,205,206 スイッチ, 207 充放電回路, 223 圧電素子, 224 充放電回路

Claims (5)

  1. 上から加わる力によりたわみを発生する床材と、
    前記床材の下部に設けられ、前記床材のたわみによる圧力で発生する電力を供給する電力供給源と、
    複数のコンデンサと複数のダイオードとからなる充放電回路と、
    前記電力供給源から前記充放電回路への電力の供給を制御する第1のスイッチと、
    前記充放電回路の複数の前記コンデンサに充電された電力の所定の負荷への供給を制御する第2のスイッチと
    を備え、
    前記充放電回路では、複数の前記コンデンサが、前記第1のスイッチにより、前記電力供給源から充電される場合には、前記電力供給源に対して直列に接続され、前記第2のスイッチにより、前記負荷に放電する場合には、前記負荷に対して並列に接続されるように、複数の前記コンデンサおよび複数の前記ダイオードが接続されており、
    前記充放電回路の複数の前記コンデンサの静電容量は全て等しく、
    前記充放電回路は、充電側と放電側のグランドレベルが共通である
    電力供給装置。
  2. 上から加わる力によりたわみを発生する床材と、前記床材の下部に設けられ、前記床材のたわみによる圧力で発生する電力を供給する電力供給源とを備える電力供給装置の電力供給方法であって、
    電力を供給する電力供給ステップと、
    複数のコンデンサと複数のダイオードとからなる充放電回路により、電力を充放電する電力充放電ステップと、
    前記電力供給源から前記充放電回路への電力の供給を制御する第1の制御ステップと、
    前記充放電回路の複数の前記コンデンサに充電された電力の所定の負荷への供給を制御する第2の制御ステップと
    を含み、
    前記充放電回路では、複数の前記コンデンサが、前記第1の制御ステップの処理により前記電力供給源から充電される場合には、前記電力供給源に対して直列に接続され、前記第2の制御ステップの処理により前記負荷に放電する場合には、前記負荷に対して並列に接続されるように、複数の前記コンデンサおよび複数の前記ダイオードが接続されており、
    前記充放電回路の複数の前記コンデンサの静電容量は全て等しく、
    前記充放電回路は、充電側と放電側のグランドレベルが共通である
    電力供給方法。
  3. 上から加わる力によりたわみを発生する床材と、前記床材の下部に設けられ、前記床材のたわみによる圧力で発生する電力を供給する電力供給源と、前記電力供給源から供給された電力で充電され、充電された電圧の電圧値を変換して放電する電圧変換回路を複数有する電力供給装置であって、
    前記電圧変換回路は、
    複数のコンデンサと複数のダイオードとからなる充放電回路と、
    前記電力供給源から前記充放電回路への電力の供給を制御する第1のスイッチと、
    前記充放電回路の複数の前記コンデンサに充電された電力の所定の負荷への供給を制御する第2のスイッチと
    を備え、
    前記充放電回路では、複数の前記コンデンサが、前記第1のスイッチにより、前記電力供給源から充電される場合には、前記電力供給源に対して直列に接続され、前記第2のスイッチにより、前記負荷に放電する場合には、前記負荷に対して並列に接続されるように、複数の前記コンデンサおよび複数の前記ダイオードが接続されており、
    前記充放電回路の複数の前記コンデンサの静電容量は全て等しく、
    前記充放電回路は、充電側と放電側のグランドレベルが共通であり、
    所定の電圧変換回路の充電中に他の電圧変換回路が放電することにより、複数の前記電圧変換回路のうちのいずれかが、前記負荷に対して常に電力を供給する
    電力供給装置。
  4. 基準クロックパルスを発生するパルス発生回路と、
    前記パルス発生回路によって発生された前記基準クロックパルスの論理を反転するインバータと
    を更に備え、
    前記パルス発生回路の出力、もしくは前記インバータの出力のうちのいずれか一方が、複数の前記電圧変換回路のうちの第1の電圧変換回路が有する前記第1のスイッチおよび複数の前記電圧変換回路のうちの第2の電圧変換回路が有する前記第2のスイッチの開閉を制御し、他方が、前記第1の電圧変換回路が有する前記第2のスイッチおよび前記第2の電圧変換回路が有する前記第1のスイッチの開閉を制御する
    請求項に記載の電力供給装置。
  5. 上から加わる力によりたわみを発生する床材と、前記床材の下部に設けられ、前記床材のたわみによる圧力で発生する電力を供給する電力供給源と、前記電力供給源から供給された電力で充電され、充電された電圧の電圧値を変換して放電する電圧変換回路を複数有する電力供給装置の電力供給方法であって、
    前記電圧変換回路における電圧変換ステップは、
    複数のコンデンサと複数のダイオードとからなる充放電回路により、電力を充放電する電力充放電ステップと、
    前記電力供給源から前記充放電回路への電力の供給を制御する第1の制御ステップと、
    前記充放電回路の複数の前記コンデンサに充電された電力の所定の負荷への供給を制御する第2の制御ステップと
    を含み、
    前記充放電回路では、複数の前記コンデンサが、前記第1の制御ステップの処理により前記電力供給源から充電される場合には、前記電力供給源に対して直列に接続され、前記第2の制御ステップの処理により前記負荷に放電する場合には、前記負荷に対して並列に接続されるように、複数の前記コンデンサおよび複数の前記ダイオードが接続されており、
    前記充放電回路の複数の前記コンデンサの静電容量は全て等しく、
    前記充放電回路は、充電側と放電側のグランドレベルが共通であり、
    前記第1の制御ステップおよび前記第2の制御ステップの処理により、所定の電圧変換回路の充電中に他の電圧変換回路が放電することにより、複数の前記電圧変換回路のうちのいずれかが、前記負荷に対して常に電力を供給する
    電力供給方法。
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