JP4927986B2 - 皮膚外用剤並びに皮膚外用剤の防腐抗菌方法 - Google Patents

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Description

本発明は、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシルと、特定炭素数の多価アルコール、アルキルグリセリルエーテル及び脂肪酸グリセリルエステルから選ばれた成分を含有する皮膚外用剤並びに皮膚外用剤のための、広い抗菌スペクトルを有し、しかも皮膚刺激性が少なく安全な防腐抗菌方法に関する。
一般に化粧品は、油脂、天然動植物抽出成分、増粘剤、保湿剤、水および界面活性剤等を加えた乳化物が多く、水分含量が高い製品が多いため、微生物の繁殖に適した条件である。このため、化粧品が工場で製造され流通過程を通じて消費者の手にわたり、さらに開封後その化粧品が使い終わるまでの間に偶発的に混入してくる微生物汚染の危険性から化粧品を守る必要がある。化粧品が微生物で汚染されると異臭、変色などの品質の劣化を招くだけでなく、配合成分の変質による皮膚障害や病原菌による感染症や菌体成分や代謝産物による有害感染が引き起こされる可能性がある。
このため、化粧品の微生物汚染の対策として、各種の抗菌・防腐剤を添加することが広く一般的に実施されている。従来、化粧品の抗菌・防腐剤としてはパラベン(パラオキシ安息香酸エステル)が最も広く使用されている。最近では環境汚染の原因となり、アレルギー症もしくは擬アレルギー症を示す人が増大する傾向にあり、化粧品の抗菌・防腐剤による接触皮膚炎などの皮膚障害が増大する傾向にあるが、パラベンを配合した化粧品でのかぶれが多数報告されている(非特許文献1)。
パラベンについては抗菌スペクトルが狭く、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌などの細菌類には比較的良好な抗菌・防腐力を示すが、酵母およびカビ類には効果が弱いという問題があった。また、化粧品のように油性成分や水を多量に含み、かつ界面活性剤が配合されている乳化物中では、界面活性剤や油分によってパラベンの溶解状態が影響され、一般的に菌が存在する水相へのパラベンの分配率が減少し抗菌・防腐力が著しく低下するという問題がある。
更に、化粧品のうち外観が半透明から透明の化粧水などにパラベンを使用する場合、界面活性剤などでパラベンを製品中に可溶化させることが必要である。このように、パラベンを製品中に可溶化させた系では、その抗菌・防腐力が著しく低下する。また、シャンプーやリンスなどのように、界面活性剤が多量に含まれている製品においても同様な抗菌・防腐力の低下が起こる。
これらの問題を解決するために、グリセリンモノオクタン酸エステル、グリセリンモノデカン酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステルなどの中鎖脂肪酸グリセリンエステル、ショ糖モノラウリン酸エステルなどの中鎖脂肪酸ショ糖エステル、ジグリセリンモノオクタン酸エステル、ジグリセリンモノデカン酸エステル、ジグリセリンモノラウリン酸エステルなどの中鎖脂肪酸ジグリセリンエステル、デカン酸、ウンデシレン酸などの中鎖脂肪酸、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールなどの多価アルコールなどの比較的皮膚刺激が少なく安全な抗菌・防腐剤が提案されている。しかし、これらは抗菌スペクトルが狭く、細菌類、真菌類およびカビ類のすべてに良好な抗菌・防腐力を示すには不十分であり、しかも、乳化製剤や可溶化製剤中では界面活性剤の種類や油性成分の組成などに影響され、抗菌・防腐力が著しく低下する場合がある。
また、乳化製剤や可溶化製剤中でのパラベン類の抗菌・防腐力を向上させる方法として1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールなどをフェノキシエタノールやパラベンと併用する技術があるが、(特許文献1〜3)この技術によっても、細菌類、真菌類およびカビ類のすべてに抗菌・防腐力を示すには十分ではない。また、製剤の組成により抗菌・防腐力が影響されるという問題は解決できない。また、フェノキシエタノールは皮膚刺激性があり安全性上問題がある場合がある。
ところで、本発明者らは、これらの問題を解決するために特定構造の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)アルキルカルボン酸エステルの防腐抗菌剤としての使用について報告しているが、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)アルキルカルボン酸エステルのより有効な利用方法についての報告はなされていない(特許文献4)。
特開平11−322591 特開平11−310506 特開2003−081761 特開2007−063143
北米接触皮膚炎団体(North American Contact Dermatitis Group) Archives of Dermatology 108, 573(1973)
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、乳化製剤及び可溶化製剤等の皮膚外用剤において優れた防腐抗菌力を発揮し、しかも皮膚刺激の少ない皮膚外用剤並びに皮膚外用剤用の防腐抗菌方法を提供することにある。
本発明は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、(A)2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシルを0.2質量%以上と、(B)特定炭素数の多価アルコール、アルキルグリセリルエーテルおよび又は脂肪酸グリセリルエステルからなる群から選択される1種又は2種以上を質量比で(A)の2倍以上とを配合した皮膚外用剤は顕著な防腐抗菌効果、特に、乳化製剤や可溶化製剤であっても、細菌類、真菌類およびカビ類のすべてに防腐抗菌効果を有すること、そして、両成分を配合することにより、安全性が高く、しかも皮膚刺激性が少ない皮膚外用剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
〔1〕下記の(A)を0.2質量%以上と、質量比で(A)の2倍以上の(B)を必須成分として含有することを特徴とする皮膚外用剤を提供するものである。
(A)2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシル
(B)炭素数3〜9の多価アルコール、炭素数6〜8のアルキルグリセリルエーテル、炭素数8〜12の脂肪酸グリセリルエステルから選ばれた任意の1種以上又は2種以上
なお、本発明の防腐殺菌剤において(B)成分の炭素数3〜9の多価アルコールとして、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、1,2−メチル−2,4−ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、1,2−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールからなる群から選択される1種又は2種以上を利用でき、炭素数8〜12の脂肪酸グリセリルエステルとしては、モノカプリル酸グリセリル、モノ2−エチルヘキサン酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリルからなる群から選択される1種又は2種以上を利用でき、炭素数6〜8のアルキルグリセリルエーテルとしては、モノヘキシルグリセリルエーテル、モノn−オクチルグリセリルエーテル、モノ2−エチルヘキシルグリセリルエーテルからなる群から選択される1種又は2種以上を利用できる。
また、本発明は、
〔2〕皮膚外用剤の抗菌・防腐剤として、上記(A)を0.2質量%以上と、質量比で(A)の2倍以上の(B)とを使用することを特徴とする皮膚外用剤の防腐抗菌方法を提供するものである。
本発明によれば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシルが本来有する抗菌力が増強されており、特に、乳化製剤や可溶化製剤であっても、細菌類、真菌類およびカビ類のすべてに防腐抗菌効果をもつ皮膚外用剤が得られるという効果、防腐抗菌剤としての2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシル自体の配合量を低減した皮膚外用剤が得られるという効果を奏する。また、本発明に係る皮膚外用剤は、パラベン等の従来の防腐抗菌剤を配合しなくても、十分な高い抗菌・防腐効果を発揮し、しかも安全性に関する懸念も極めて少ない。
以下、本発明について詳述する。
本発明においては(A)成分は、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシルが用いられる。
本発明の(A)成分は、特開2007−063143に開示されている2,2−ビス(ヒドロキシメチル)アルキルカルボン酸エステルに相当する。即ち、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシルである。本発明の化合物は、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸とn−ヘキサノールとの公知のエステル化反応で合成することができる。すなわち、カセイソーダやカセイカリなどのアルカリ触媒、又は硫酸などの酸触媒の存在下、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸とn−ヘキサノールを100〜250℃で脱水縮合させ、その後ろ過、蒸留などの公知の方法で精製する。また、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの溶媒を使用することもできる。さらには2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸に対してn−ヘキサノールを過剰に仕込み2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸同士の縮合による副反応をできるだけ抑制する方法も用いることもできる。この場合は過剰のn−ヘキサノールを蒸留などで除去して精製することができる。
本発明に用いられる2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシルは、常温において液体の化合物であり、皮膚に対する刺激が極めて低いか、又は無い。また、本発明のエステルは抗菌・防腐効果だけでなく、エモリエント効果や溶剤としての効果にも優れていると考えられ、皮膚外用剤用の油分や溶剤としても利用することが可能である。
本発明においては(B)成分として炭素数3〜9の多価アルコール、炭素数6〜8のアルキルグリセリルエーテル、炭素数8〜12の脂肪酸グリセリルエステルから選ばれた任意の1種以上が用いられる。すなわち、炭素数3〜9の多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、1,2−メチル−2,4−ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、1,2−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。炭素数6〜8のアルキルグリセリルエーテルとしては、モノヘキシルグリセリルエーテル、モノn−オクチルグリセリルエーテル、モノ2−エチルヘキシルグリセリルエーテル等が挙げられる。炭素数8〜12の脂肪酸グリセリルエステルとしては、モノカプリル酸グリセリル、モノ2−エチルヘキサン酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノウンデシレン酸グリセリル等が挙げられる。好ましい(B)成分は、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、モノ2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、モノカプリル酸グリセリルであり、より好ましくは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールである。
本発明の皮膚外用剤は、(A)成分として、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシルを0.2質量%以上と、質量比で(A)成分の2倍以上の(B)成分を含有するものである。(B)成分が(A)成分の2倍以上含有するものであれば、(A)成分0.2質量%以上で抗菌防腐剤としての効果を相乗的に発揮することができる。その効果をより高めるために、0.3質量%程度、更には、0.5質量%程度とすることもできる。なお、2倍量以上の多価アルコールを必ず含有するという点から、33質量%を超えることはない。更に、抗菌防腐剤としての効果を十分発揮するために、(B)成分の配合量を質量比で(A)成分の5倍以上とすることもできる。なお、本発明の皮膚外用剤には、本発明の(B)成分の他に、例えば保湿剤及び/又は静菌剤として、別途(B)成分に相当する成分を配合することもありえる。その場合、結果的に100倍程度、200倍程度ということもありえる。
本発明において、(A)成分の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシルは、質量比で(A)の2倍以上の(B)成分と組み合わせることで、皮膚外用剤又は化粧料に用いられる乳化製剤および可溶化製剤に高い抗菌・防腐効果を付与し、しかも皮膚に対する安全性も極めて良好な皮膚外用剤が得られる。この効果は、特開2007−063143では開示されていない。即ち、本発明者らは、特開2007−063143に開示されている2,2−ビス(ヒドロキシメチル)アルキルカルボン酸エステルの乳化製剤および可溶化製剤における抗菌・防腐力を精査した結果、本発明の(A)成分の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシルが特に高い抗菌・防腐効果を持ち、しかも質量比で(A)の2倍以上の(B)成分と組み合わせることで、水を多量に含む乳化製剤や可溶化製剤に配合された場合、一般に菌が存在する水相への分配率が大幅に増加し、防腐抗菌力がさらに増強されることを見出した。また、(B)成分は弱い防腐抗菌力を持ち、両者の相乗効果により、(A)成分と、質量比で(A)の2倍以上の(B)成分を組み合わせた場合、抗菌・防腐力がさらに増強されることを見出した。この(A)成分と、質量比で(A)の2倍以上の(B)成分を組み合わせることにより抗菌・防腐力が増強される効果も、本発明で見出されたものであり、特開2007−063143では開示されていない。この効果は、(B)成分に炭素数3〜9の多価アルコールを用いた場合、特にプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールを用いた場合に特に顕著に現れる。即ち、炭素数3〜9の多価アルコールが(A)成分のハイドロトロープ剤として作用し、(A)成分の水相への分配率をさらに増大させるためと推定される。
なお、本発明の(A)成分と、質量比で(A)の2倍以上の(B)成分については、(A)成分と(B)成分を予め溶融混合して、均一な防腐殺菌剤混合物として得ておき、適宜、該混合物を皮膚外用剤に配合することもできるし、当然、皮膚外用剤にそれぞれ単独で配合することもできる。
さらに本発明の皮膚外用剤には、前記必須成分の他、通常の化粧料、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種任意成分、たとえば油剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、顔料、粉体、pH調整剤、薬効成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、香料等を適宜配合することができる。
具体的には、油剤としては流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン、ミツロウ、カルナバロウ、オリーブ油、ラノリン、高級アルコール、脂肪酸、高級アルコールと脂肪酸の合成エステル油、シリコーン油等が挙げられ、保湿剤としてはソルビトール、キシリトール、グリセリン、マルチトール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウムやヒアルロン酸などが挙げられ、増粘剤としてはカルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カラギーナン、ゼラチンなどの水溶性高分子、塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの電解質などが挙げられ、乳化剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどが挙げられ、粉体としてはタルク、セリサイト、マイカ、カオリン、シリカ、ベントナイト、亜鉛華、雲母、雲母チタン、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、ベンガラ、酸化鉄、群青などが挙げられ、pH調整剤としてはクエン酸−クエン酸ナトリウムなどの緩衝剤が挙げられ、薬効成分としてはアルブチン、ビタミンCおよびその誘導体、グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、ビタミンE誘導体、パンテテイン酸誘導体、トラネキサム酸およびその誘導体、各種植物抽出物などが挙げられる。
なお、本発明の上記(A)を0.2質量%以上と、質量比で(A)の2倍以上の(B)とを併用した皮膚外用剤には、そのほかの防腐殺菌剤を併用することで、その効果がより向上する。具体的には、抗菌性を有するローズマリーエキス、カモミラエキス、チャエキス等の植物エキス、グルコン酸、ソルビン酸、L−ピロリドンカルボン酸ラウリル等の有機酸及びその誘導体、ティーツリー油やラベンダー油等の精油、塩化ベンザルコニウム等のアルキルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
本品の皮膚外用剤は乳化、可溶化あるいは分散といった定法にしたがって製造することができる。また、本発明の皮膚外用剤はスキンケア化粧料に限定されるものではなく、メーキャップ化粧品、毛髪化粧品、シャンプーやヘアリンスなどを含み、医薬部外品や外用医薬品等も包含するものであり、その剤型もクリーム、乳液、化粧水、ファンデーション、パック、ローション状、ゲル状、溶液状、スティック状などその目的に応じて任意に選択することができる。
なお、本発明の上記(A)を0.2質量%以上と、質量比で(A)の2倍以上の(B)とを使用することを特徴とする皮膚外用剤の防腐抗菌方法によれば、通常、細菌類、真菌類およびカビ類のすべてに抗菌・防腐力を示しにくい乳化製剤や可溶化製剤などの皮膚外用剤であっても、それらのすべてに対して防腐抗菌効果をもつ皮膚外用剤を得ることができる。
以下に試験例及び実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。

(試験例)
表1に示すクリーム処方(乳化製剤)に、表2に示す本発明に係る化合物又は比較の抗菌・防腐剤を用いて抗菌・防腐試験を行った。
試験は調製したクリームに各指標菌を10個/mLになるように接種し、菌数の経時変化を測定し、細菌類、真菌類およびカビに対する抗菌・防腐力試験を行った。
(指標菌)
大腸菌 Escherichia Coli IF3972
緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa IF013275
黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureous IF013276
酵母 C.albicance IF01594
黒カビ A.niger IF004407
(結果)
結果を表3に示す。2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシルは、比較例の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)アルキルカルボン酸エステルより、抗菌防腐性に優れることが示された。

Figure 0004927986
Figure 0004927986
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本発明品に係る抗菌・防腐剤を配合した表4に示すクリーム処方(乳化製剤、発明例1〜8については、表5に示す本発明に係る多価アルコール、アルキルグリセリルエーテル又は脂肪酸グリセリルエステルを組み合わせて配合)について、試験例と同様に抗菌・防腐試験を行い、本発明品に係る抗菌・防腐剤とこれら成分の併用による相乗効果を評価した。
(結果)
結果を表6及び表7に示す。多価アルコール、アルキルグリセリルエーテルおよび脂肪酸グリセリルエステルを単独で配合したクリームではいずれも抗菌・防腐効果は認められなかったが(表7の比較例2〜9)、本発明に係る(A)成分である2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシルと本発明に係わる(B)成分を併用した場合、抗菌・防腐剤を単独で配合したクリームと比較して、抗菌・防腐効果が増強された(表6の発明例1〜8)。特に、(B)成分として発明例2〜4の炭素数3〜9の多価アルコールを利用した場合、抗菌・防浮力が顕著に増強された(表6の発明例2〜4)。
また、抗菌・防腐剤を2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ブチルに変更し、前記発明例にて相乗効果が高かったジプロピレングリコール及び1,3−ブタンジオールとを併用した場合は、抗菌・防腐効果の増強は認められなかった(表7の比較例10(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ブチル単独での試験)、11〜12(併用での試験))
Figure 0004927986
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本発明品に係る抗菌・防腐剤を配合した表8に示す化粧水処方(可溶化製剤、発明例9〜16については、表9に示す本発明に係る多価アルコール、アルキルグリセリルエーテル又は脂肪酸グリセリルエステルを組み合わせて配合)について、試験例と同様に抗菌・防腐試験を行い、本発明品に係る抗菌・防腐剤とこれら成分の併用による相乗効果を評価した。
(結果)
結果を表10及び表11に示す。多価アルコール、アルキルグリセリルエーテルおよび脂肪酸グリセリルエステルを単独で配合したクリームではいずれも抗菌・防腐効果は認められなかったが(表11の比較例14〜21)、本発明に係る(A)成分である2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシルと本発明に係わる(B)成分を併用した場合、抗菌・防腐剤を単独で配合したクリームと比較して、抗菌・防腐効果が増強された(表10の発明例9〜16)。特に、(B)成分として発明例10〜12の炭素数3〜9の多価アルコールを利用した場合、抗菌・防腐力が顕著に増強された(表10の発明例10〜12)。
また、抗菌・防腐剤を2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ブチルに変更し、前記発明例にて相乗効果が高かったジプロピレングリコール及び1,3−ブタンジオールとを併用した場合は、抗菌・防腐効果の増強は認められなかった(表11の比較例22(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ブチル単独での試験)、23〜24(併用での試験))
Figure 0004927986
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従って、(A)成分である2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシルは、質量比で(A)の2倍以上の(B)とを併用することにより、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシルが本来有する抗菌力が増強することが示された。これは、防腐抗菌剤としての2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシル自体の配合量を低減した皮膚外用剤が得られることから、当然、より皮膚刺激性の低い皮膚外用剤を提供することができるものである。
ローション
化粧水
リノール酸レチニル 0.01質量%
スクワラン 0.2
モノラウリン酸デカグリセリル 2.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.2
1,3−ブチレングリコール 3.0
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシル
0.3
エチルアルコール 1.0
香料 適量
精製水 残部
(調製方法)
全ての成分を50℃で均一になるまで混合し、調製した。
乳液
(A)
モノステアリン酸グリセリル 1.0質量%
モノステアリン酸POE(20)ソルビタン 1.0
テトラオレイン酸POE(30)ソルビット 0.5
ステアリン酸 0.2
ベヘニルアルコール 0.4
パルミチン酸セチル 0.4
オリーブスクワラン 2.0
ホホバ油 1.0
ティーツリー葉油 0.1
酢酸トコフェロール 0.1
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 0.1
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシル
0.3
(B)
グリセリン 7.0
1,3−ブチレングリコール 8.0
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール
0.3
ヒアルロン酸ナトリウム(1%水溶液) 1.0
カルボキシビニルポリマー(1%水溶液) 8.0
2,2-ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸イソブチル
3.0
精製水 残余
(C)
水酸化カリウム(1%水溶液) 2.1
精製水 3.9
(D)
ローズマリーエキス 0.5
アロエベラエキス 0.5
精製水 2.0
製法:A、B、Cを80℃に加熱溶解し、Dを45℃に加熱する。BをAに加え攪拌乳化し、直ちにCを加える。攪拌冷却を続け、45℃でDを加え、35℃まで攪拌し、放置脱泡後、容器に充填する。
ファンデーション
(A)
モノラウリン酸デカグリセリル 2.5質量%
モノステアリン酸グリセリン 1.0
ポリリシノール酸ヘキサグリセリル 1.0
セトステアリルアルコール 4.0
トリ2―エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン
10.0
ネオペンタン酸イソアラキル 10.0
メチルフェニルポリシロキサン 5.0
ポリリシノール酸ヘキサグリセリル 1.0
L−ピロリドンカルボン酸ラウリル 0.2
酸化チタン 3.0
タルク 1.5
ポリアクリル酸アルキル 0.5
ベンガラ 0.4
黄酸化鉄 1.2
黒酸化鉄 1.2
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシル
0.2
メチルハイドロジェンポリシロキサン 0.2
(B)
キサンタンガム(2%水溶液) 5.0
グリセリン 5.0
モノ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.2
モノn−オクチルグリセリルエーテル 0.2
精製水 残余
製法:Aを常温で攪拌、粉体を均一に分散させた後、80℃で加熱溶解し、Bを80℃に加熱溶解する。BをAに加え攪拌乳化した後、撹拌乳化する。その後、通常撹拌冷却し、35℃まで撹拌し、放置脱泡後,容器に充填する。
サンスクリーン乳液
(A)
モノステアリン酸ソルビタン 1.0質量%
モノステアリン酸POE(20)ソルビタン 1.0
テトラオレイン酸POE(60)ソルビット 1.0
ベヘニルアルコール 1.0
ミツロウ 0.5
低融点パラフィン 0.5
メチルフェニルポリシロキサン 2.0
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 20.0
ジカプリル酸ピリドキシン 0.1
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシル
2.0
(B)
1,3−ブチレングリコール 5.0
カルボキシビニルポリマー(2%水溶液) 6.0
精製水 残余
(C)
トリエタノールアミン 0.12
精製水 4.88
製法:A、B、Cを80℃に加熱溶解攪拌均一にする。BをAに加え攪拌乳化し、直ちにCを加える。攪拌冷却を続け、35℃まで攪拌し、放置脱泡後、容器に充填する。
シャンプー
(A)
POE(2)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン
水溶液(36%水溶液) 5.0質量%
POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液
(27%水溶液) 10.0
ラウリル硫酸トリエタノールアミン水溶液(43%水溶液)
25.0
POEラノリン 1.0
POE(10)硬化ヒマシ油 1.0
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン
水溶液(30%水溶液) 10.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
塩化[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロ
ピル]ヒドロキシエチルセルロース 10.0
加水分解コラーゲンペプチド 1.0
アラントイン 0.1
エデト酸二ナトリウム 0.3
クエン酸 0.05
1,3−ブチレングリコール 8.0
精製水 残余
(B)
アロエベラエキス 1.0
カモミラエキス 1.0
(C)
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシル
0.4
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
香料 適量
製法:Aを80℃に加熱攪拌溶解する。Aを攪拌しながら冷却し、35℃まで攪拌しB,Cを添加攪拌し、放置脱泡後、容器に充填する。
ヘアリンス
(A)
ベヘナミドプロピルジメチルアミン 2.5質量%
ステアリルアルコール 5.0
オクチルドデカノール 1.5
ジメチルポリシロキサン(20cs) 6.0
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシル
1.0
(B)
ヒドロキシエチルセルロース 0.3
L−グルタミン酸 0.8
プロピレングリコール 5.0
グルコン酸 0.1
精製水 残余
(C)
香料 適量
製法:A、Bをそれぞれ80℃に加温溶解する。BにAを添加し撹拌乳化する。撹拌冷却し、50℃でCを添加する。さらに撹拌を続け、室温まで冷却する。
ボディーソープ
(A)
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン
水溶液(30%水溶液) 15.0質量%
N−ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノール
アミン液(30%水溶液) 30.0
ポリオキシエチレン牛脂アルキルヒドロキシミリスチレン
エーテル 0.5
ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム
20.0
エデト酸四ナトリウム 0.2
ジプロピレングリコール 4.0
精製水 残余
(B)
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 2.0
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシル
0.3
香料 適量
製法:Aを80℃に加熱溶解攪拌均一にする。Aを攪拌冷却を続け、40℃でBを加え、35℃まで攪拌し、放置脱泡後 容器に充填する。
クレンジングオイル
(A)
トリイソステアリン酸PEG−20グリセリル 15.0質量%
パルミチン酸エチルヘキシル 10.0
エチルヘキサン酸セチル 10.0
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシル
0.2
1,2−オクタンジオール 0.4
ミネラルオイル 残余
製法:Aを均一透明になるまで攪拌する。
クレンジングクリーム
(A)
ラウリン酸ポリグリセリル−10 1.0質量%
セトステアリルアルコール 2.0
ステアリン酸モノグリセリル 1.0
ワセリン 5.0
トリエチルヘキサノイン 43.0
シクロメチコン 5.0
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシル
0.2
1,2−ヘキサンジオール 0.4
(B)
ステアロイルメチルタウリンナトリウム 0.2
エデト酸二ナトリウム 0.1
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))
クロスポリマー 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.2
精製水 残余
(C)
L−アルギニン 0.3
精製水 10.0
製法:A,Bを80℃に加熱溶解し、均一にする。Bを攪拌しているところにAを徐々に添加する。Cを添加した後、35℃まで冷却する。
洗顔フォーム
(A)
ラウリン酸 3.0質量%
ミリスチン酸 12.0
パルミチン酸 5.0
ステアリン酸 10.0
ステアリン酸グリセリル 3.0
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシル
0.2
1,2−ペンタンジオール 0.4
(B)
水酸化カリウム(85%) 6.5
精製水 15.0
(C)
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ニナトリウム
1.0
N−ヤシ油脂防酸アシルグリシリンカリウム 3.0
精製水 残余
製法:A,Bをそれぞれ80℃まで加熱して均一溶解させる。AにBを徐々に攪拌混合する。その後80℃で十分に反応させた後、80℃で均一溶解させたCをAに徐々に添加して均一混合させる。攪拌しながら冷却し、30℃で攪拌冷却を終了する。
実施例3〜12の製品について、試験例1と同様の抗菌・防腐力試験を行った結果、いずれの製品も細菌および真菌に対し効果が高いものであった。

Claims (2)

  1. 下記の(A)を0.2質量%以上と、質量比で(A)の2倍以上の(B)を必須成分として含有することを特徴とする皮膚外用剤。
    (A)2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシル
    (B)炭素数6〜8のアルキルグリセリルエーテル、炭素数8〜12の脂肪酸グリセリルエステルからなる群から選択される1種又は2種以上であって、
    前記炭素数6〜8のアルキルグリセリルエーテルが、モノヘキシルグリセリルエーテル、モノn−オクチルグリセリルエーテル、モノ2−エチルヘキシルグリセリルエーテルからなる群であり、
    前記炭素数8〜12の脂肪酸グリセリルエステルの群が、モノカプリル酸グリセリル、モノ2−エチルヘキサン酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリルからなる群であるもの。
  2. 皮膚外用剤の抗菌・防腐剤として、記(A)を0.2質量%以上と、質量比で(A)の2倍以上の下記(B)とを配合することを特徴とする皮膚外用剤の防腐抗菌方法。
    (A)2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸n−ヘキシル
    (B)炭素数6〜8のアルキルグリセリルエーテル、炭素数8〜12の脂肪酸グリセリルエステルからなる群から選択される1種又は2種以上であって、
    前記(B)成分の炭素数8〜12の脂肪酸グリセリルエステルが、モノカプリル酸グリセリル、モノ2−エチルヘキサン酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリルからなる群であり、
    前記(B)成分の炭素数6〜8のアルキルグリセリルエーテルが、モノヘキシルグリセリルエーテル、モノn−オクチルグリセリルエーテル、モノ2−エチルヘキシルグリセリルエーテルからなる群であるもの。
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