JP4927244B2 - アルコール溶液のアルコール分離装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酒や酒原料等のアルコール溶液から更に高濃度のアルコールを分離するアルコール分離装置に係り、詳しくは圧力損失が少なく、なおかつ低いエネルギーコストで運転できる前記アルコール分離装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルコール溶液、特にアルコールと水の溶液からアルコールを高濃度の状態で分離するためには、古くから蒸留操作が用いられている。現在においても、アルコールを分離するためのプロセスは、ほとんど蒸留によって占められている。ところが、アルコールを蒸留操作によって分離するためには、多大のエネルギーを必要とする。また、アルコールと水の溶液は、共沸混合物として知られるように、高濃度のアルコール溶液から水を分離するためには非常に多くの棚段を必要としてきた。
【0003】
このため、蒸留装置は、エネルギー消費の大きなプロセスであった。特に、バイオマスを元に発酵させたアルコール溶液から高濃度のアルコールを分離する場合において、最大のエネルギー消費過程であることから、熱を用いない新たなアルコール分離プロセスが要望されていた。
【0004】
非熱プロセスを用いたアルコール分離方法としては、有機性共重合体からなる多孔質膜を用いたパーベーパレーション法(特開昭58−21629号公報、特開昭59−48427号公報)、そして超音波によりミスト化する方法(特開平7−185203号公報)が知られている。パーベーパレーション法においては、蒸留操作の代替えとなりうるアルコール選択透過膜の開発が立ち遅れている。このため、試験スケールにおいて評価されるベンチスケールプラントも存在しない(BIOINDUSTRY,Vol.13,NO.9,1996参照)。
【0005】
また、後者のように、超音波によりアルコール溶液をミスト化し、これを冷却して高濃度のアルコール溶液を得ようとする試みもある。しかしながら、冷却のみでは全てのアルコールミスト及び蒸気を回収することは不可能である。大半のミストは冷却器を通り抜けてしまい、極めて効率の悪い回収能力しか有していなかった。
【0006】
したがって、上記従来のアルコール分離装置では下記の如き改良の余地を残している。
(1) 第−に、蒸留や蒸発のような熱依存型のプロセスが有する、エネルギー消費という最大の欠点を克服できるものでなくてはならない。したがって、常温常圧条件下で装置が運転できることが望ましい。
(2) 第二に、高濃度のアルコールを含有する極小のミストを効率よく回収する機能を持たねばならない。例えば、活性炭素等にアルコールを吸着させることによっても確かに回収することは可能であるが、この場合、一旦吸着したアルコールを活性炭から脱着させるために熱を加えねばならず、結局省エネルギーのプロセスとは言えない。
(3) 第三に、プロセスの全体を通して圧力損失が少なくなければならない。圧力損失の大きなプロセスでは、アルコールの系外への損失を小さくするために密閉性を高める必要がある。このことは大きなコストが発生し、送風系のファンやブロアも出力の大きなものとならざるを得ない。
【0007】
本発明者は、ミスト化したアルコール溶液を、コロナ放電を発生させる静電場によって捕集することにより、分離効率を高め、且つ省エネルギーにて濃度の高いアルコール溶液を回収する装置を開発した。この装置は、図1に示すように、送風装置により一定方向に気体を流す流路3と、この流路3の一部にアルコール溶液を霧化したミストを供給する霧化機1と、霧化機1の下流側でミストを静電場で液化して回収するコロナ放電による静電捕集機2とを備えている。
【0008】
この分離装置は、アルコール溶液をミスト化し、このミストを静電捕集機2で回収するので、ミストの回収率を向上できる。また、省エネルギーで高い濃度のアルコール溶液を回収できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、静電捕集機は数千ボルトの高電圧を印加して、ミストを静電吸着力で回収するので、高電圧の絶縁が難しい。とくに、多量の水滴を吸着する電極に極めて高い電圧を印加して絶縁する必要があるので、漏電しよう状態で絶縁処理が極めて難しい。このことは、静電捕集機の設計を極めて難しくし、さらに設備コストを著しく高価にし、さらに、メンテナンスに極めて手間がかかることになる。さらに、静電捕集機は、放電によるオゾンの発生を皆無にできず、オゾンがアルコール溶液に独特の風味を減少させる弊害もある。清酒等のアルコール溶液は、風味が極めて大切であるので、アルコール濃度が高くなっても、風味が失われると商品価値が著しく低下する。
【0010】
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたもので、本発明の大切な目的は、高電圧を使用することなく、極めて簡単な構造でアルコール溶液のミストを安全に回収できるアルコール分離装置を提供することにある。
【0011】
さらに、本発明の他の大切な目的は、アルコール溶液の風味を変化させることなくアルコール濃度を高くできるアルコール分離装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のアルコール分離装置は、アルコール溶液を充填している閉鎖構造の超音波霧化室4と、この超音波霧化室4のアルコール溶液を超音波振動させてミストに霧化する超音波霧化機1と、超音波霧化機1で霧化されたミストを凝集させて回収する閉鎖回収室5とを備える。
【0013】
とくに、本発明のアルコール分離装置は、閉鎖回収室5に超音波霧化室4を内蔵させ、あるいは、閉鎖回収室5と超音波霧化室4とでひとつの気密チャンバーを構成して、閉鎖回収室5と超音波霧化室4とを一体構造として、アルコール溶液のミストを閉鎖回収室5で高濃度のアルコールとして回収することを特徴とする。本明細書において、閉鎖回収室と超音波霧化室とを一体構造とするとは、超音波霧化室と閉鎖回収室とが一体化されたひとつの気密チャンバーを構成する状態を意味するものであり、超音波霧化室で発生したミストを閉鎖回収室から外部に漏らすことなく、閉鎖回収室で凝集させてアルコールとして回収する構造を意味するものとする。超音波霧化室4を内蔵し、あるいは超音波霧化室4と一体構造の閉鎖回収室5は、高濃度のアルコール溶液として回収されまでミストを外部に排出しない。閉鎖回収室5には、内蔵しており、あるいは一体構造としている超音波霧化室4から次々とミストが供給される。閉鎖回収室5に次々とミストが供給されると、ミストの濃度が次第に高くなる。ミストの濃度が高くなると、互いに衝突する確率が高くなる。液状のミストは衝突すると凝集して大きくなる。大きくなったミストは、落下する速度が速くなって、速やかにアルコール溶液として回収される。閉鎖回収室5に供給されるミストは、アルコール溶液として回収されないかぎり、外部には排出しない。したがって、閉鎖回収室5に供給されるミストが、アルコール溶液として回収されないと、ミストの濃度は次第に高くなり、衝突して大きく凝集して回収される確率が高くなる。このため、閉鎖回収室5に供給されるミストは、回収される量と供給量とがバランスして、所定の濃度で平衡状態となり、次々とミストを供給してミスト濃度を高くすると速やか回収される。
【0014】
超音波霧化室4から閉鎖回収室5に供給されるミストは気体ではない。アルコール溶液を霧状の微細な粒子としたものである。ミストが気体であると、回収するために、冷却して気体から液体に液化させる必要がある。しかしながら、液体であるミストは、回収のためにかならずしも冷却する必要はない。微細な粒子であるミストは、大きく凝集させて速やかに回収できる。本発明のアルコール分離装置は、ミストを閉鎖回収室に供給して、速やかに回収する。
【0015】
超音波霧化室4と閉鎖回収室5とを一体構造とする装置は、超音波霧化室4から閉鎖回収室5にスムーズにミストを供給するために、閉鎖回収室5の上部に超音波霧化室4を配設する。この構造のアルコール分離装置は、超音波霧化室4で発生するミストを、ゆっくりと降下させながら閉鎖回収室5に供給できる。
【0016】
閉鎖回収室5において、ミストをより効率よく回収するために、アルコール溶液を散水するノズル6を設ける。ノズル6から噴射されるアルコール溶液は、閉鎖回収室5に浮遊するミストに衝突して効率よく回収する。
【0017】
さらに、閉鎖回収室5に、ミストを衝突させる邪魔板7を配設し、この邪魔板7にミストを衝突させて、効率よく回収する。
【0018】
また、閉鎖回収室5のミストを振動して、より効率よく衝突させて、速やかに凝集させることもできる。この閉鎖回収室5は、ミスト振動器8でミストを振動させる。ミスト振動器8は、スピーカーや超音波振動子でもって、閉鎖回収室5の気体を振動して、気体を介してミストを振動させる。
【0019】
さらに、閉鎖回収室5にミストを強制送風するファン9を配設して、ファン9でミストを強制的に撹拌して衝突、凝集させることもできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのアルコール分離装置を例示するものであって、本発明はアルコール分離装置を下記のものに特定しない。
【0021】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0022】
本発明のアルコール分離装置は、アルコール飲料、すなわち清酒、ワイン、ビール、ウイスキー、ブランデー、リキュール、雑酒、焼酎等を処理することが可能である。本発明の装置によれば、水分、糖、タンパク質、脂質、ミネラル分などは元の溶液側に残留しやすく、アルコール、エステルなどの香気成分などはミストを回収したものの方に移行しやすくなる。したがって、ミストに霧化して回収されたアルコール溶液は、アルコールやエステル成分が多く、超音波霧化室4に残存するアルコール溶液は、水分、糖、タンパク質、脂質、ミネラル分が多くなる。
【0023】
図2と図3に示すアルコール溶液のアルコール分離装置は、アルコール溶液が充填される閉鎖構造の超音波霧化室4と、この超音波霧化室4のアルコール溶液を超音波振動させてミストに霧化する超音波霧化機1と、超音波霧化機1で霧化されたミストを凝集させて回収する閉鎖された閉鎖回収室5とを備える。図2の装置は、閉鎖回収室5に超音波霧化室4を内蔵させ、図3の装置は、閉鎖回収室5と超音波霧化室4とでひとつの気密チャンバーを構成して、閉鎖回収室5と超音波霧化室4とを一体構造としている。
【0024】
図3のアルコール分離装置は、超音波霧化室4で霧化されたアルコール溶液のミストを、閉鎖構造の閉鎖回収室5に流入させる。閉鎖回収室5で微細なミストを凝集させて高濃度のアルコール溶液として回収する。ミストは、気体ではないので、必ずしも冷却しないで凝集させて回収できる。ただ、ミストを冷却して回収することもできるのは言うまでもない。
【0025】
超音波霧化室4は、ポンプ10でアルコール溶液が供給される。超音波霧化室4は、供給される全てのアルコール溶液をミストとして霧化させない。全てのアルコール溶液を霧化して閉鎖回収室5で回収すると、超音波霧化室4に供給するアルコール溶液と、閉鎖回収室5で回収されるアルコール溶液のアルコール濃度が同じになるからである。超音波霧化室4に供給されたアルコール溶液は、ミストとして霧化して容量が少なくなるにしたがって、アルコール濃度が低下する。このため、ミストのアルコール濃度も次第に低下する。超音波霧化室4のアルコール溶液は、アルコール濃度が低下すると新しいものに入れ換える必要がある。
【0026】
超音波霧化室4は、たとえば、10〜50重量%のアルコール溶液を霧化してアルコール濃度が低下した後、アルコール溶液を新しいものに入れ換える。一定の時間経過するとアルコール溶液を新しいものに入れ換える方法、すなわちバッチ式にアルコール溶液を交換する。ただ、超音波霧化室4に、ポンプを介してアルコール溶液を蓄えている原液槽11を連結し、原液室11から連続的にアルコール溶液を供給することもできる。この装置は、超音波霧化室4のアルコール溶液を排出しながら、原液槽11からアルコール溶液を供給して、超音波霧化室4のアルコール溶液のアルコール濃度が低下するのを防止する。
【0027】
超音波霧化室4のアルコール溶液は、超音波霧化機1でミストに霧化される。超音波霧化機1で霧化されたミストは、アルコール溶液よりもアルコール濃度が高い。超音波エネルギーが、アルコールを水から分離してミストにするからである。したがって、超音波霧化機1がアルコール溶液をミストに霧化してこれを回収する装置は、高濃度なアルコール溶液を効率よく分離できる。
【0028】
超音波霧化室4のアルコール溶液は、超音波振動されると、超音波霧化室4のアルコール溶液よりも高濃度なアルコール溶液をミストとして液面から飛散させる。効率よくミストを発生させるには、アルコール溶液の液面を超音波振動させる。このことを実現するために、図4に示す超音波霧化機1は、アルコール溶液を充填している超音波霧化室4の底に、超音波霧化機1の振動子12を上向きに配設している。超音波振動子12は、底から液面に向かって上向きに超音波を放射して、液面を超音波振動させる。
【0029】
図の超音波霧化機1は、複数の超音波振動子12と、これ等の超音波振動子12を超音波振動させる超音波電源13とを備える。超音波振動子12は超音波霧化室4の底に水密構造に固定される。複数の超音波振動子12がアルコール溶液を超音波振動させる装置は、より効率よくアルコール溶液をミストに霧化する。
【0030】
超音波振動子12や超音波電源13が超音波霧化室4のアルコール溶液を加熱すると、アルコール溶液の品質が低下する。この弊害は、超音波振動子12を強制的に冷却して解消できる。さらに、好ましくは超音波電源13も冷却する。超音波電源13は直接にはアルコール溶液を加熱することはないが、周囲を加熱して間接的にアルコール溶液を加熱する。超音波振動子12や超音波電源13は、これ等に冷却パイプ14を熱結合する状態で配設、すなわち、冷却パイプ14を接触させる状態で配設して、冷却できる。冷却パイプ14は、冷却機で冷却した液体や冷媒、あるいは地下水や水道水等の冷却水を流して超音波振動子12と超音波電源13を冷却する。
【0031】
超音波霧化室4で霧化されたアルコール溶液のミストは、閉鎖回収室5に流入する。超音波霧化室4のミストを効率よく閉鎖回収室5に流入させるために、図2の装置は、超音波霧化室4を閉鎖回収室5に内蔵しており、図3の装置は、閉鎖回収室5の上部に超音波霧化室4を配設している。閉鎖回収室5は、超音波霧化室4に比較して充分に大きな容積、たとえば、超音波霧化室4の容積の2〜100倍、好ましくは5〜50倍、さらに好ましくは5〜20倍の容積を有する。図3の装置は、超音波霧化室4と閉鎖回収室5の上部を連通路を介して連結して一体構造としている。超音波霧化室4で霧化したミストは、ゆっくりと降下して閉鎖回収室5にアルコール溶液として回収される。
【0032】
閉鎖回収室5は閉鎖チャンバーであって、ここに供給されるミストは外部に排出されない。したがって、閉鎖回収室5に供給されたミストは、互いに衝突して大きく凝集し、あるいは、邪魔板等に衝突して大きく凝集してアルコール溶液として回収される。閉鎖回収室5において、ミストをより速やかに回収するために、図3の閉鎖回収室5は、アルコール溶液を散水するノズル6を備える。ノズル6は、循環ポンプ15を介して閉鎖回収室5の底部に連結される。循環ポンプ15は、閉鎖回収室5に回収されたアルコール溶液を吸入して、ノズル6から噴霧させる。
【0033】
図の装置は、閉鎖回収室5の上部と側面にノズル6を配設している。上部のノズル6は、下向きにアルコール溶液を噴霧する。側面のノズル6は、水平方向にアルコール溶液を噴霧する。ノズル6から噴霧されるアルコール溶液は、超音波霧化機1で霧化されたミストに比較して充分に大きな水滴であって、閉鎖回収室5の内部を速やかに落下し、落下するときに、閉鎖回収室5の内部に浮遊しているミストに衝突して、ミストを回収しながら落下する。したがって、閉鎖回収室5に浮遊するミストを効率よく速やかに回収できる。
【0034】
図の装置は、ノズル6を上と側面とに配設しているが、閉鎖回収室5の下部にノズルを配設することもできる。下部のノズルは、上向きにアルコール溶液を噴霧する。このノズルは、閉鎖回収室5の天井にアルコール溶液を衝突させる速度で、あるいは、天井の近傍まで上昇する速度でアルコール溶液を噴霧する。天井の近傍まで上昇するように噴霧されるアルコール溶液は、天井の近傍で下向きに方向を変えて落下するので、上昇するときと降下するときにミストに接触して、ミストを効率よく回収する。
【0035】
図5の閉鎖回収室5は、内部に複数枚の邪魔板7を配設している。邪魔板7は、隣接するものとの間にミストを通過できる隙間を設けて、垂直の姿勢で配設している。垂直の邪魔板7は、ミストを表面に衝突させて付着するアルコール溶液を自然に流下させて回収できる。図の邪魔板7は、表面を凹凸面として、ミストをより効率よく接触させて回収できるようにしている。
【0036】
さらに、図の閉鎖回収室5は、ミストを強制送風して撹拌するファン9を設けている。ファン9は、閉鎖回収室5のミストを撹拌する。撹拌されるミストは、互いに衝突して凝集し、あるいは、邪魔板7の表面に衝突して凝集する。凝集するミストは、速やかに落下して回収される。図のファン9は、閉鎖回収室5のミストを下向きに送風して循環させる。
【0037】
図6のアルコール分離装置は、ミストを振動して互いに衝突する確率を高くするミスト振動器8を閉鎖回収室5に設けている。ミスト振動器8は、閉鎖回収室5の気体を振動させる電気振動−機械振動変換器と、この電気振動−機械振動変換器を駆動する振動電源とを備える。電気振動−機械振動変換器は、可聴周波数の音を放射するスピーカーや、可聴周波数よりも高い超音波を放射する超音波振動子等である。電気振動−機械振動変換器が、ミストを効率よく振動させるために、電気振動−機械振動変換器から放射される振動を閉鎖回収室5で共振させる。このことを実現するために、電気振動−機械振動変換器は、閉鎖回収室5で共振する周波数で振動させる。いいかえると、閉鎖回収室5を電気振動−機械振動変換器から放射される振動に共振する形状に設計する。
【0038】
超音波は人間の可聴周波数を越える高い周波数であるので、耳には聞こえない。このため、超音波を放射するミスト振動器8は、閉鎖回収室5の気体を激しく振動させて、いいかえると、電気振動−機械振動変換器の出力を極めて大きくして、人間に音の害を与えることがない。このため、超音波はミストを激しく振動して、効率よく衝突させて、速やかに回収できる特長がある。
【0039】
以上の装置は、閉鎖回収室に、ミストを効率よく凝集させる装置を配設するので、ミストをより速やかに凝集させて高濃度のアルコール溶液とすることができる。さらに、図示しないが、本発明のアルコール分離装置は、閉鎖回収室に、アルコール溶液を噴霧するノズルと、ミストを撹拌するファンと、ミストを振動させる振動器の全てを内蔵させて、最も効率よくミストを凝集できる。また、ミストを凝集させるふたつの装置を内蔵して、ミストを効率よく凝集させることもできる。
【0040】
超音波霧化室と閉鎖回収室は、好ましくは不活性ガスを充填する。この装置は、不活性ガスによって、超音波霧化室や閉鎖回収室におけるアルコール溶液の変質が防止される。このため、より高品質な状態で高濃度のアルコール溶液を得ることができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明のアルコール分離装置は、静電捕集機のように高電圧を使用することなく、極めて簡単な構造でアルコール溶液のミストを安全に回収できる特長がある。それは、本発明のアルコール分離装置が、閉鎖回収室に超音波霧化室を内蔵させ、あるいは、超音波霧化室と閉鎖回収室とを一体構造として、超音波霧化室で霧化された高アルコール濃度のミストを、閉鎖回収室で互いに衝突させ、あるいは邪魔板に衝突させ、あるいはまた散水されたアルコール溶液に接触させて、高濃度のアルコールとして回収するからである。閉鎖構造の閉鎖回収室は、供給されたミストを排出しない。このため、ここに供給されたミストは、液体として回収されないかぎり外部に漏れることがなく、次々と超音波霧化室から供給される高濃度のミストは、互いに衝突して液体として回収される。
【0042】
さらに、本発明のアルコール分離装置は、アルコール溶液の風味を変化させることなくアルコール濃度を高くできる特長もある。それは、本発明のアルコール分離装置が、静電捕集機のように放電させることなく、閉鎖回収室にミストを供給して回収するからである。
【0043】
とくに、本発明の請求項4のアルコール分離装置は、閉鎖回収室にアルコール溶液を散水してミストを回収するので、より効率よく速やかにミストを回収できる特長がある。
【0044】
また、本発明の請求項5のアルコール分離装置は、閉鎖回収室に邪魔板を配設して、ミストを邪魔板に衝突させて回収するので、この装置も速やかにミストを回収して高濃度のアルコール溶液を効率よく得ることができる。
【0045】
さらにまた、本発明の請求項6のアルコール分離装置は、閉鎖回収室にミスト振動器を配設し、このミスト振動器でミストを振動させて効率よく衝突させる。衝突するミストは、大きく凝集して速やかに落下して回収される。
【0046】
また、本発明の請求項7のアルコール分離装置は、ファンでミストを送風して衝突させることにより、効率よく速やかに回収できる特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のアルコール分離装置の概略断面図
【図2】 本発明の実施例にかかるアルコール分離装置の概略断面図
【図3】 本発明の実施例の他の構造のアルコール分離装置の概略断面図
【図4】 超音波霧化室を示す拡大断面図
【図5】 本発明の他の実施例のアルコール分離装置の概略断面図
【図6】 さらに本発明の他の実施例のアルコール分離装置の概略断面図
【符号の説明】
1…霧化機
2…静電補集機
3…流路
4…超音波霧化室
5…閉鎖回収室
6…ノズル
7…邪魔板
8…ミスト振動器
9…ファン
10…ポンプ
11…原液槽
12…振動子
13…超音波電源
14…冷却パイプ
15…循環ポンプ
Claims (6)
- アルコール溶液を充填する閉鎖構造の超音波霧化室(4)と、この超音波霧化室(4)に充填されるアルコール溶液を超音波振動させてミストに霧化する超音波霧化機(1)と、超音波霧化機(1)で霧化されたミストを凝集させて回収する閉鎖された閉鎖回収室(5)とを備え、
超音波霧化室(4)を閉鎖回収室(5)に内蔵して、超音波霧化室(4)で霧化されたミストを閉鎖回収室(5)で高濃度のアルコール溶液として回収すると共に、
前記閉鎖回収室(5)にアルコール溶液を散水するノズル(6)を設けており、ノズル(6)から散水されるアルコール溶液でミストを高濃度のアルコール溶液として回収し、
あるいは、前記閉鎖回収室(5)に邪魔板(7)を配設しており、ミストを邪魔板(7)の表面に衝突、凝集させて高濃度のアルコール溶液として回収し、
さらに、超音波霧化室(4)を、前記閉鎖回収室(5)に設けてなる前記ノズル(6)又は邪魔板(7)よりも上方に配置してなるアルコール溶液のアルコール分離装置。 - アルコール溶液を充填する閉鎖構造の超音波霧化室(4)と、この超音波霧化室(4)に充填されるアルコール溶液を超音波振動させてミストに霧化する超音波霧化機(1)と、超音波霧化機(1)で霧化されたミストを凝集させて回収する閉鎖された閉鎖回収室(5)とを備え、
閉鎖回収室(5)と超音波霧化室(4)とでひとつの気密チャンバーを構成して、超音波霧化室(4)と閉鎖回収室(5)を一体構造として、超音波霧化室(4)で発生したミストを閉鎖回収室(5)で高濃度のアルコール溶液として回収すると共に、
前記閉鎖回収室(5)にアルコール溶液を散水するノズル(6)を設けており、ノズル(6)から散水されるアルコール溶液でミストを高濃度のアルコール溶液として回収し、
あるいは、前記閉鎖回収室(5)に邪魔板(7)を配設しており、ミストを邪魔板(7)の表面に衝突、凝集させて高濃度のアルコール溶液として回収し、
さらに、閉鎖回収室(5)の上部に超音波霧化室(4)を配設しているアルコール溶液のアルコール分離装置。 - 閉鎖回収室(5)のミストを振動させて互いに衝突させるミスト振動器(8)を設け、閉鎖回収室(5)のミストをミスト振動器(8)で振動、衝突させて互いに凝集させて高濃度のアルコール溶液として回収する請求項1に記載されるアルコール溶液のアルコール分離装置。
- 閉鎖回収室(5)にミストを強制送風して撹拌するファン(9)を設け、閉鎖回収室(5)のミストをファン(7)で撹拌、衝突、凝集して高濃度のアルコール溶液として回収する請求項1に記載されるアルコール溶液のアルコール分離装置。
- 閉鎖回収室(5)のミストを振動させて互いに衝突させるミスト振動器(8)を設け、閉鎖回収室(5)のミストをミスト振動器(8)で振動、衝突させて互いに凝集させて高濃度のアルコール溶液として回収する請求項2に記載されるアルコール溶液のアルコール分離装置。
- 閉鎖回収室(5)にミストを強制送風して撹拌するファン(9)を設け、閉鎖回収室(5)のミストをファン(7)で撹拌、衝突、凝集して高濃度のアルコール溶液として回収する請求項2に記載されるアルコール溶液のアルコール分離装置。
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