JP3652714B2 - 脱塩装置およびそれを用いる造水方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、脱塩装置およびそれを用いる造水方法に関する。特に、本発明の装置は、海水から真水を得るのに適している。
【0002】
【従来の技術】
従来、海水から真水を得る方法としては、例えば、多段フラッシュ法が実用化されているが、この方法によると設備が大型化する上に、得られる真水の単位当たりの所要エネルギーが大きく、好ましくない点が多い。また、近年、逆浸透膜法が提案されており、その所要エネルギーは多段フラッシュ法に比して格段に小さく、装置も小型化できるという利点があるものの、この方法は使用する膜が劣化し易く、また目詰まりを防止する目的から海水を前処理するための設備が必要であった。
【0003】
また、超音波を利用した造水方法が提案されているが(特開昭58−124580号、特開昭58−124581号、特開昭58−128180号)、これらの方法はいずれも超音波をスプレー式の噴霧器として利用しているのみであって、加熱した海水を減圧した雰囲気中に噴霧した時点で生成した液滴中の平均的な塩分濃度は、海水中の塩分濃度となんら異なるものではない。すなわち、上記超音波スプレーを利用した方法は、生成した液滴個々に含まれる塩分濃度のばらつき、すなわちその液滴の重さの差を利用して塩分濃度の低い液滴を選別しようとするものであった。
【0004】
さらに、金属イオン溶解液に超音波を照射してエアロゾル化させ、これを熱分解することにより、金属イオンを分離する方法[K.Okuyamaら、J.Mater.Sci.Lett.第6巻1466頁(1987年)]が提案されているが、この方法は、もっぱら超伝導セラミックス超微粒子や薄膜の作製に用いられているだけである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので、常温、常圧において操作でき、所要エネルギーが小さく、前処理が不要で、効率の良い脱塩装置および造水方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意研究を重ねた結果、超音波振動子を備えた脱塩装置を用い、海水中から気相に向けて超音波を照射し、海水を霧化させてそのミストを回収し、回収液中の塩分濃度を測定したところ、意外にも、海水中の塩分濃度よりも回収液中の塩分濃度が低くなっていることを見出した。さらに、この操作は海水に限られないこと、常温、常圧下において行うことができるため、非常に低い所要エネルギーで装置を運転できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、被脱塩処理液導入容器と、該容器内部に設けられ、容器内に導入された被脱塩処理液中から容器気相へ向けて超音波を照射し、それにより被脱塩処理液を霧化させ、塩分濃度が被脱塩処理液よりも低いミストを発生させる超音波霧化手段と、発生したミストを捕集するミスト捕集手段とからなることを特徴とする脱塩装置を提供するものであり、また、本発明の脱塩装置を複数直列に連結して海水を処理することを特徴とする造水方法を提供するものである。
【0008】
【作用】
本発明の脱塩装置においては、超音波振動子による超音波照射でミストを発生させるため、ミスト中の平均的塩分濃度は被脱塩処理液中の塩分濃度より低下する。この作用は超音波スプレー等には期待できないことから、非常に脱塩効率が高められることになる。加えて、常温、常圧下で操作が可能であるため、多段フラッシュ法に比べて格段に所要エネルギーを節約することが可能となる。さらには、逆浸透膜法のように被脱塩処理液の前処理を必要としないので、簡単、かつ、小型の設備で脱塩および海水からの造水操作を行うことが可能となる。
【0009】
本発明の脱塩装置は特に海水からの造水に適しているが、被脱塩処理液としては、これに限定されず、例えば、液状食品、液体医薬品、液体生体成分あるいは実験室で用いる種々の液体試料等であってよい。これらの被脱塩処理液が固形物、固体微粒子を含んでいてもそのまま脱塩処理できる。
【0010】
被脱塩処理液を導入する容器は、その目的に適するいずれの材質、形状のものでもよい。
超音波霧化手段としては、超音波振動子や超音波霧化機等が挙げられ、これらは、容器内に少なくとも1つ設け、被脱塩処理液中から容器気相に向けて超音波を照射できるように配置する。
ミスト捕集手段としては、発生したミストを、凝結、回収等できるいずれかの手段、例えば、タービン翼あるいは充填物、液中へのバブリング等が挙げられる。
【0011】
通常、本発明装置は、ステンレス等により構成されるが、本発明装置が常温、常圧で操作可能なため、合成樹脂等で構成して装置の軽量化、コストダウンを図ることもできる。さらに、本発明装置の各要素を、脱塩の程度、被脱塩処理液の量、装置の形状等に応じて適宜変更することができる。
【0012】
かくして、本発明の装置により海水から造水を行うには、海水をそのまま装置容器へ導入することができる。海水が固形物や固体微粒子を含んでいてもよい。海水を霧化させる際の超音波振動子の出力および発振周波数は、脱塩の程度、脱塩すべき水の量、装置の形状等にもよるが、振動子1個当たり10〜100W程度、0.1〜10MHzであればよい。
海水からの造水効率を高める点から、少なくとも1個以上の本発明脱塩装置を直列に連結して海水を処理することにより造水を行うことができる。また、本発明装置により得られた低塩分の海水が、十分に低い塩分濃度になった時点で、例えば逆浸透法を用いて真水にすることもできる。
【0013】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
0.5、1.0、1.5、2.0および3.2重量%の食塩水を調製し、30℃において、2.3MHz、12Wの超音波を液面下から気相に向かって1時間照射し、ミストを発生直後に回収してその食塩濃度を、比重から求めた結果を図1のグラフに示す。図1中、対角線は超音波照射する前の食塩水がそのままミストになったと仮定したときのラインである。実際には、図中黒丸で示すように、その対角線よりも低濃度側に食塩濃度が低下している。
したがって、超音波を液面下から気相に向かって照射するという非常に簡単かつ低所要エネルギーの操作によって塩濃度を低下させることが可能となる。
【0014】
図2に、本発明の脱塩装置の一具体例として、海水からの造水に用いる脱塩装置を複数直列に連結してなる装置の模式図を示す。図2に示す装置は、本体容器1の中に構成されたいくつかの小室(本発明装置の容器に相当する)からなっており、経路2を介して常時海水が第一の小室に流れ込み、経路3からオーバーフローする。超音波振動子7はパルス調整器8によって出力が制御され、超音波照射によって発生したミストは、経路5を通って導入された空気によって経路6から第二の小室に運ばれる。順次各小室を経ることによって次第に塩分濃度が低下し、最後の小室から発生するミストは経路4を通過してタンク10に保存される。経路9はエアー抜きである。パルス調整器8は各小室の海水液面と超音波振動子の距離が一定になるように超音波強度を適宜調整している。経路4、6およびタンク10がミスト捕集手段に相当する。
ある小室の前段の小室からのミスト中の塩分濃度は、後段の小室へ向かうミスト中の塩分濃度よりも必ず高濃度になるので、ミスト発生速度がこれらの小室において同じ時には、その小室の塩分濃度が高くなることになる。経路11は前段の小室ミスト発生速度よりも遅い速度で水を返送するためのものであり、経路11によって、小室を経るごとに必ず塩分濃度が低下することが保証される。
【0015】
図3は、図2と異なる構造をもつ脱塩装置の一具体例である。何らかの形で他の装置からの排熱が利用可能な場合や、立地上スペースを節約したい場合に有効である。図3に示す装置は、本体容器12(本発明の容器に相当する)の中に設けられたトレイ上に取り付けた超音波振動子13によって、導入した海水液面へ向かって超音波を照射し、発生したミストは経路22から導入されるエアーによって経路17を通過して捕集装置18によって凝結させられ、真水を得るためのものである。海水は経路19から導入され、熱交換器20および21によって加熱され、超音波発生部15に至る。超音波発生部15はジャケット14に導入される温水もしくは蒸気によって加熱され、その温水もしくは蒸気は蛇管16を通って返送される。ミストは蛇管16に接触することによって蒸発が起こりやすくなり、経路17に向かうミストおよび蒸気中に塩分はほとんど存在しない。経路23は海水を排出させるためのものであり、熱交換器21を介して熱を導入した海水に与えて廃棄される。捕集器18の中には充填物27が充填されており、ここに至ったミストおよび蒸気は充填物27に接触して凝結し真水を得る。経路25から導入される冷却用の水もしくは海水はミストや蒸気から熱を奪った後、経路26を通って熱交換器20に至り、導入される海水に熱を与えて排出される。
この装置は多段に連結され、多重効用缶として構成することもできる。
【0016】
【発明の効果】
本発明の脱塩装置によれば、常温、常圧において超音波を液面下から気相に向かって照射することにより、きわめて簡単に、塩濃度の低いミストを発生させることができるので、その結果、装置の運転で消費するエネルギーを節約することができる。また、海水等をそのまま処理できるので装置が小型となり、低コストで脱塩、造水を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 超音波照射によって発生したミストを回収したときの原液と回収液中の塩分濃度を示すグラフである。
【図2】 本発明脱塩装置の一具体例を示す模式図である。
【図3】 本発明装置の別の具体例を示す模式図である。
【符号の説明】
1:容器、2:海水導入経路、3:海水排出経路、4:最終ミスト排出経路
5:エアー導入経路、6:ミスト移送経路、7:超音波霧化振動子
8:パルス調整器、9:エアー排出経路、10:タンク、
11:脱塩水返送経路、12:脱塩装置本体、13:超音波霧化振動子、
14:ジャケット、15:超音波発生部、16:蛇管、17:経路、
18:捕集装置、19:海水導入経路、20,21:熱交換器、
22:送風経路、23,24:海水排出経路、25:冷却水導入経路、
26:冷却水排出経路
Claims (4)
- 被脱塩処理液(水道水を除く)導入容器と、該容器内部に設けられ、容器内に導入された被脱塩処理液中から容器気相へ向けて超音波を照射し、それにより被脱塩処理液を霧化させ、塩分濃度が被脱塩処理液よりも低いミストを発生させる超音波霧化手段と、発生したミストを捕集するミスト捕集手段とからなることを特徴とする脱塩装置。
- 容器内に複数の超音波霧化手段を有する請求項1記載の脱塩装置。
- 被脱塩処理液が海水である請求項1記載の脱塩装置。
- 複数の請求項1記載の脱塩装置を直列にして連結して海水を処理することを特徴とする造水方法。
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