JP4925572B2 - 脱臭方法および脱臭装置 - Google Patents

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本発明は、ゼオライトの吸着能およびイオン交換能を利用した脱臭方法および脱臭装置に関する。
ゼオライトはその特性から、イオン吸着による水処理、海水処理および底泥の改善、高度な保水性による土壌改良や、肥料成分の保持による土壌埋設材などに広く使用されている。また、このゼオライトの吸着性、イオン交換性を利用するものとして、例えば特許文献1に記載のように、溶融したガラスにゼオライトを添加することにより、ガラスに発根性、抗菌性、防腐性、水浄化性および油を改質する特性を付加させる技術が知られている。
ところで、多孔質ガラスや発泡ガラス等についても、表面積が十分に大きいことから吸着作用を有するので、上記ゼオライトと同様の用途に使用されることがある。例えば、特許文献2には、多孔質ガラス等に機能性共重合体を固定化したものが記載されている。また、特許文献3には、液体中の塩基性物質を、成分中のSiO2含有量が96重量%以上であり、かつ粉末状または繊維状あるいは織物状とした多孔質ガラスを用いて処理することが記載されている。
特開2002−293566号公報 特開2002−316838号公報 特開平4−66183号公報
上記多孔質ガラスや発泡ガラス等でも表面積は十分に大きく、それなりの吸着作用を有するものの、前述のゼオライトと比較すると、用途によっては吸着作用が不足することがある。ゼオライトそのものは粉末状であるので、そのままでは取り扱いにくいという問題があるが、特許文献1に記載の技術では、溶融したガラスにゼオライトを添加することによりこの問題を解決している。
ところが、特許文献1に記載のガラス組成物は、ゼオライトを溶融ガラス中に溶け込ませているので、ガラス組成物に添加したゼオライトのうち、ガラス組成物の表面に露出した部分しか吸着性、イオン交換性を発揮しない。そのため、ゼオライトの添加量の割に吸着能、イオン交換能があまり発揮できず、効率が良いとはいえない。ゼオライトは非常に高価であるので、この高効率化が望まれている。
そこで、本発明においては、ゼオライトによる吸着能、イオン交換能を効率良く発揮させることにより、安価に被処理気体の脱臭を行うことが可能な脱臭方法および脱臭装置を提供することを目的とする。
本発明の脱臭方法は、表面がゼオライト化された発泡ガラス(以下、「ゼオライト化発泡ガラス」と称す。)に散水し、被処理気体を接触させることを特徴とする。また、本発明の脱臭装置は、ゼオライト化発泡ガラスを収容し、被処理気体を接触させる容器と、ゼオライト化発泡ガラスに散水する散水器とを備える。
ゼオライト化発泡ガラスでは、発泡ガラスの表面に露出した部分だけでなく、間隙内面までゼオライト化されている。ゼオライト化発泡ガラスに散水された水は被処理気体を取り込み、ゼオライト化発泡ガラスに接触して間隙の中まで浸入し、発泡ガラス表面および間隙内面のゼオライトと接触する。これにより、水の中に取り込まれた被処理気体の臭気が、ゼオライトの吸着能およびイオン交換能により脱臭される。
ここで、ゼオライト化発泡ガラスとしては、(1)ガラス微粉末に発泡剤とゼオライト化前駆物質を混合した後、焼成したもの、(2)ガラス微粉末にゼオライト化前駆物質を混合しゼオライト化させた後、発泡剤を混合し、焼成したもの、(3)ガラス微粉末に発泡剤を混合焼成し発泡ガラスを製造した後、ゼオライト化前駆物質を付着させ、マイクロ波によりゼオライト化したもの等を用いることができる。
また、本発明の脱臭装置は、散水した水を集水するタンクと、タンク内の水を散水器へ供給するポンプとを備えることが望ましい。被処理気体とゼオライトとを接触させるためにゼオライト化発泡ガラスに散水された水は、ゼオライト化発泡ガラスと接触することにより浄化されるため、再利用することが可能である。そこで、この水をタンクに集水し、ポンプにより散水器へ供給することにより、繰り返しゼオライト化発泡ガラスに散水する。
また、散水器は、ゼオライト化発泡ガラスに対し、上方から散水するものであり、容器は、ゼオライト化発泡ガラスに対し、被処理気体を下方から上方へ通気するものであることが望ましい。ゼオライト化発泡ガラスに対し、上方から散水された水は、ゼオライト化発泡ガラスを伝って落下し、容器内のゼオライト化発泡ガラスの全体に行き渡る。そして、この水の進行方向(落下方向)に対して被処理気体が逆に通気されることにより、水と被処理気体とが衝突し、被処理気体が水に効率良く取り込まれるようになる。
(1)ゼオライト化発泡ガラスに散水し、被処理気体を接触させる構成により、ゼオライト化発泡ガラスに散水された水に取り込まれた被処理気体が発泡ガラスの表面に露出したゼオライトだけでなく、間隙の中まで浸入して間隙内面のゼオライトにまで接触するので、ゼオライトによる吸着能、イオン交換能を効率良く発揮させることができ、安価に脱臭を行うことが可能となる。
(2)散水した水を集水するタンクと、タンク内の水を散水器へ供給するポンプとを備えることにより、被処理気体とゼオライトとを接触させるために利用される水を循環して再利用することが可能となり、脱臭に掛かるコストを下げることができる。
(3)散水器が、ゼオライト化発泡ガラスに対し、上方から散水するものであり、容器が、ゼオライト化発泡ガラスに対し、被処理気体を下方から上方へ通気するものであることにより、水と被処理気体とを衝突させ、被処理気体が水に効率良く取り込まれるようになるため、より効率良く脱臭を行うことが可能となる。
ゼオライトの一般化学式は以下のように表される。
X(M2 +,M2+)O・Al23・SiO2・H2
但し、M2 +,M2+:アルカリ源、Al2:アルミナ源、Si:シリカ源である。
したがって、合成に当たってはこれら3つの原料と水とを加え、合成温度、合成時間、合成圧力等を調整することで各種ゼオライトを生成することができる。石炭灰から作られる人工ゼオライトは、石炭灰に含まれるシリカ分とアルミナ分にアルカリ源となる苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を加えて、オートクレーブによる水熱処理で合成される。
本実施形態において使用するガラスは、有色廃ガラスである。この有色廃ガラスは、表1のガラスカレットの化学組成(単位:質量%)に示すように、ソーダガラスであることから、シリカ源およびアルカリ源(Na)は含まれているものの、アルミナ源はほとんど含まれていない。したがって、ゼオライト化に当たっては、ガラス表面の活性化とアルミナ源(アルミニウム)の添加が必要となる。また、アルミニウム成分は発泡ガラス表面と十分に濡れることが必要であるので、液体状で供給されることが望ましい。
Figure 0004925572
一方、ゼオライトにはゼオライト水(Zeolytic Water)が必要であり、これにより構造が保たれるので、少なくとも生成時は水分の存在が必要である。但し、この水は加熱により除かれても、ゼオライトの構造は保持され、水分存在下では再水和が行われるとされており、構造ができてしまえば、さらに高温処理が行われてもゼオライトそのものは残る。
以上のことから、ガラスをゼオライト化させるために必要なアルミナ源として、次のように、ゼオライト化条件を決定する。
〔アルミナ源の添加+水溶液化法〕
(1)液体状で供給される市販のアルミン酸ソーダ(NaAlO2)を使用する方法
(2)次に示すアルミナ源に苛性ソーダを加え、水溶液化する方法
・γアルミナ
・カオリンAl23・2SiO2・2H2
・メタカオリン(カオリンを焼成したもの、Al2Si27
・モンモリロナイトNa0.3(Al,Mg)2(Si,Al)410(OH)2・xH2
・アロフェン(Al23)(SiO21.32.5(H2O)
・水酸化アルミニウムAl(OH)3
ゼオライト化発泡ガラスの製造は、以下の3つの方法のいずれかにより行う。
(1)ガラス微粉末に発泡剤とゼオライト化前駆物質を混合した後、焼成する方法(以下、「手法1」と称す。図1参照。)
(2)ガラス微粉末にゼオライト化前駆物質を混合しゼオライト化させた後、発泡剤を混合し、焼成する方法(以下、「手法2」と称す。図2参照。)
(3)ガラス微粉末に発泡剤を混合焼成し発泡ガラスを製造した後、ゼオライト化前駆物質を付着させ、マイクロ波によりゼオライト化する方法(以下、「手法3」と称す。図3参照。)
手法1は発泡ガラスの生成温度とゼオライトの生成温度が異なることから、ゼオライト化が最も困難と考えられる条件であるが、その代わり最も経済性が向上する条件でもある。すなわち、発泡ガラスを生成するには、発泡剤の発泡温度等から850〜900℃程度必要であるが、反対にゼオライトは高温になると構造破壊を生じる可能性がある。
発泡ガラスの生成温度はガラスの溶融温度および発泡剤の発泡温度で決定される。使用する廃ガラスを溶融させるには750〜800℃必要である。また、従来の発泡ガラス製造に使われている発泡剤は炭酸カルシウム(連続間隙で吸水性大の場合)で、最終加熱温度が一般に950℃以上と高い。これは炭酸カルシウムの分解温度が900℃であるので、これより高い温度、通常950℃程度が必要となるからである。また、このような高温度においては、ビン、ガラスなどのソーダガラスではどうしても粘性が低くなりすぎ、気泡の保持が困難である。このため、高価な炭化ケイ素を多量に加えなければならないという弊害も生じてくる。
そこで、発泡ガラスの生成温度を低下させるため、本実施形態においては新しい発泡剤としてドロマイトを使用する。ドロマイトは、炭酸カルシウムより低い750〜850℃前後で分解反応が起こる。したがって、発泡剤としてドロマイトを使用することにより、発泡ガラスの生成温度を50〜100℃低下させ、炭酸カルシウムより低温(約850〜900℃)で生成することができる。なお、これにより、発泡ガラスの製造において部分的には850〜900℃程度にゼオライトが加熱されることになるが、過渡的状態で作るとともにその時間が10分弱であることから、平均的な加熱温度は低く、ゼオライトを保持することが可能である。
また、ゼオライトは原則として水分の存在下で生成するが、手法1ではゼオライト化に必要なアルミナ源として粘土鉱物を採用し、粘土鉱物中に含有する水分を利用する。また、この粘土鉱物には600℃程度で水分として蒸発するOH基を多数持っており、かつ発泡ガラス化するときにガラス表面が溶融により覆われてしまい、内部が加圧条件(水熱に近い条件)になることが考えられる。具体的には通常の発泡ガラス製造条件に対して、中間温度での保持時間を長くすることによりゼオライトを生成する。
手法2では、廃ガラスを微粉砕後、ゼオライト化に必要なアルミナ源を加え、水熱条件でゼオライト化させた後、発泡剤を混ぜ、焼成、発泡させることにより、ゼオライト化発泡ガラスを生成する。但し、通常の水熱合成では多量のアルカリ中で処理を行うが、工業的にはアルカリ源を最小限として、水熱を実質的に水蒸気のみで行う。また、アルミナ源は、手法1と同じく天然鉱物を主として使用するようにして、活性な各種粘土鉱物を使用する。これらの粘土鉱物はそれのみでもゼオライト化する可能性があり、よりゼオライト化が容易となる。
手法3では、発泡ガラス製造後、アルミナ源を加え、マイクロ波処理によりゼオライト化させる。アルミナ源は水溶液状(水酸化アルミニウム+水酸化ナトリウムまたはアルミン酸ナトリウム)で添加し、反応を起こしやすくするとともに、マイクロ波によるOH基の活性化および発泡ガラス表面での溶融化によりゼオライトを形成する。
上記方法により得られるゼオライト化発泡ガラスは、添加材量、微粉砕ガラスの粒度、焼成温度や焼成時間等の製造条件によりその比重を調整することができる。また、発泡剤の種類および添加量を調整することにより連続間隙を有するものとしたり、間隙率10〜40%の連続間隙および独立間隙が混在するものとしたりすることができる。
なお、間隙率とは、発泡ガラス全体の体積に対する隙間の割合を百分率で表したものである。間隙率は吸水率と等しく、次式により求められる。
間隙率(吸水率)Q(%)=(mS−mD)/mD×100
但し、mS:試料の質量(g)、mD:乾燥後の試料の質量(g)である。
この間隙率(吸水率)を調整することにより、被処理気体とゼオライト化発泡ガラスとの接触効率を制御することが可能である。
図4は本発明の実施の形態における脱臭装置の概略構成図である。
図4において、本実施形態における脱臭装置は、上記ゼオライト化発泡ガラス1を収容した容器2と、ゼオライト化発泡ガラス1の上方から散水する散水器3と、散水した水を集水するタンク4と、タンク4内の水を散水器へ供給するポンプ5と、被処理気体を容器2内へ送り込む送風機6とを備える。
散水器3は、容器2内に収容されたゼオライト化発泡ガラス1に対し、上方から満遍なく水を散水するものである。散水器3から散水される水は、タンク4から配管7を通じてポンプ5により吸い上げられたものである。散水器3により散水された水は、ゼオライト化発泡ガラス1を伝って落下し、容器2内のゼオライト化発泡ガラス1の全体に行き渡る。ゼオライト化発泡ガラス1の下端に到達した水は、配管8を通じてタンク4へと集水し、循環水とする。
送風機6は、容器2内に収容されたゼオライト化発泡ガラス1の下方へ被処理気体を送り込むものである。容器2内へ送り込まれた被処理気体は、ゼオライト化発泡ガラス1の下方から上方へ、すなわちゼオライト化発泡ガラス1に散水された水の落下方向と逆方向に通気され、容器2の上方から排出される。
上記構成の脱臭装置によれば、ゼオライト化発泡ガラス1に散水器3から散水された水は被処理気体を取り込み、ゼオライト化発泡ガラス1に接触して間隙の中まで浸入し、その表面および間隙内面のゼオライトと接触する。これにより、水の中に取り込まれた被処理気体のアンモニア等の成分を含む臭気が、ゼオライトの吸着能およびイオン交換能により脱臭される。
このように本実施形態における脱臭装置では、ゼオライト化発泡ガラス1に散水された水に取り込まれた被処理気体がその表面に露出したゼオライトだけでなく、間隙の中まで浸入して間隙内面のゼオライトにまで接触するので、ゼオライトによる吸着能、イオン交換能を効率良く発揮させることができ、安価に脱臭を行うことが可能である。
また、本実施形態における脱臭装置では、散水した水を集水するタンク4と、タンク4内の水を散水器3へ供給するポンプ5とにより、被処理気体とゼオライトとを接触させるために利用される水を循環して再利用している。したがって、新たに使用する水の量が少なくて済み、脱臭に掛かるコストも抑えられている。
さらに、本実施形態における脱臭装置では、ゼオライト化発泡ガラスに対して上方から散水し、被処理気体を下方から上方へ通気するので、水と被処理気体とが衝突し、被処理気体が水に効率良く取り込まれる。これにより、より効率良く被処理気体の臭気をゼオライトと接触させて脱臭を行うことが可能である。
本発明の脱臭方法および脱臭装置は、アンモニア等の臭気成分を含む気体の脱臭に有用である。
ゼオライト化発泡ガラスの第1の製造方法を示すフロー図である。 ゼオライト化発泡ガラスの第2の製造方法を示すフロー図である。 ゼオライト化発泡ガラスの第3の製造方法を示すフロー図である。 本発明の実施の形態における脱臭装置の概略構成図である。
符号の説明
1 ゼオライト化発泡ガラス
2 容器
3 散水器
4 タンク
5 ポンプ
6 送風機
7,8 配管

Claims (3)

  1. ガラス微粉末に発泡剤を混合焼成し発泡ガラスを製造した後、アルミナ源を水溶液状で添加し、マイクロ波処理により表面ゼオライト化た発泡ガラス(以下、「ゼオライト化発泡ガラス」と称す。)のみを収容した容器内の前記ゼオライト化発泡ガラスに上方から散水し、被処理気体を前記容器内へ送風機により送り込むことにより下方から上方へ通気して前記ゼオライト化発泡ガラスに接触させることを特徴とする脱臭方法。
  2. ガラス微粉末に発泡剤を混合焼成し発泡ガラスを製造した後、アルミナ源を水溶液状で添加し、マイクロ波処理により表面ゼオライト化た発泡ガラス(以下、「ゼオライト化発泡ガラス」と称す。)のみを収容し、被処理気体を下方から上方へ通気して前記ゼオライト化発泡ガラスに接触させる容器と、前記被処理気体を前記容器内へ送り込む送風機と、前記ゼオライト化発泡ガラスに対し、上方から散水する散水器とを備える脱臭装置。
  3. 前記散水した水を集水するタンクと、前記タンク内の水を前記散水器へ供給するポンプとを備える請求項2記載の脱臭装置。
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