JP4925255B2 - 水流分散器と自動洗浄機構とを備えた可動蓋式汚水散水器 - Google Patents
水流分散器と自動洗浄機構とを備えた可動蓋式汚水散水器 Download PDFInfo
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Description
1散水樋方式
均一な散布を行うためには、樋を数多く設置する必要があり、設備費が高くなる。
また、文献「屎尿浄化槽の構造基準・同解説」(非特許文献1参照)によれば、散水樋の設置に当たっては、落下した汚水が濾材に衝突して周囲に飛び散るようにすることが必要条件とされており、そのために浄化槽の高さが要求され、建設費が嵩む要因となる。更に、樋に汚泥が堆積したり、切欠き部分に汚泥が付着したりすることで、散水が不均一になりやすく、定期的な清掃が不可欠になる。
2ノズル方式
汚水に含まれる浮遊物によりノズルに閉塞が生じやすい。このため、文献「下水処理場の維持管理」(非特許文献2参照)によれば、「毎日全部のノズルを点検し、閉塞したノズルは清掃しなければならない」旨の教示がある。このような日常的な点検と清掃作業の確実な実行は実務者にとって大きな負担となる。
「屎尿浄化槽の構造基準・同解説(1984年版)」建設省住宅局建築指導課、厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課、環境庁水質保全局水質規制課監修、日本建築センター出版部発行 (昭和59年) 「下水処理場の維持管理 −WPCFマニュアル(III)−」日本下水道協会、資料No.18 (昭和49年) 「下水道施設設計 指導と解説」建設省監修、日本下水道協会発行 (昭和47年)
また、第2の課題の解決には、水平に置かれた円盤状の散水器から噴出する汚水がその円盤の外側に複数個設けられた水流分散具に衝突する構成となっている。汚水はこの水流分散具によって、広いろ床部全体に隈なく飛び散る。この水流分散具により汚水が均一に散布されることで散水ろ床の機能が向上する。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、請求項1に係る発明は、
汚水に好気性処理を施す散水ろ床型汚水処理装置であって、ろ床部の上方に散水部が設けられており、この散水部の構成は、汚水流入管の上端部分に設けられた汚水散布用の散水器と、
該汚水流入管に取り付けられ、該散水器の水流詰りを除くための自動洗浄手段と、
散水を均一にするため前記ろ床部上方に、該散水器に付設された水流分散器と、からなる。
そして、この散水器の構造は、汚水流入管の上端部の形状をフランジとし、該フランジの周に沿ってほぼ垂直(鉛直)方向に複数個設けたガイドピンと、該ガイドピンに沿って上下方向に摺動可能な可動蓋と、該可動蓋底面が該フランジ上面に当接しないようにガイドピンに嵌めこまれたスペーサーと、自動洗浄時以外の散水時にこの可動蓋が水圧により浮上しないための可動蓋重量調整用ウエイトと、該ウエイトを固定するウエイト固定ピンとからなり、該フランジの上面と該可動蓋の底面とで形成される空隙が汚水を噴出するノズル機構となる。したがって、通常、可動蓋(又はフランジ)の円周と該スペーサーの厚みとがノズルの噴出面積となり、汚水噴出量を左右する。
また、水流分散器は、散水器の可動蓋から張り出して設けられた複数本のアームと、個々のアームの先端部分に設けられた夫々の格子状の水流分散具とからなる。水流分散具は汚水を撥ねる材質からなり、その形状は格子状に加え、螺旋状、リング状などが一般的に適応できる。
設置にあたっては、ろ床部のほぼ中央に位置する散水器の周囲に、この水流分散具がほぼ等間隔に複数個配置されて、散水器からの散布流量を調整しながら汚水を水流分散具に衝突させながら散水することにより、ろ床部の上方から汚水の散布を均一にできる。
自動洗浄手段は、汚水流入管のポンプとフランジとの間に設けられており、加圧空気を作るコンプレッサーと、該加圧空気を該汚水流入管に導く電磁弁と該電磁弁を動作させるタイマーとを含み、該電磁弁が開き該加圧空気が前記汚水流入管に注入されると、該汚水に含まれる加圧空気によって、前記散水器の可動蓋が浮上して、前記散水器内部の水流詰りが除かれる洗浄機能を備える。
さらに、フランジの上面と可動蓋の底面とで形成される空隙に汚水に潜む浮遊物が付着してノズル機構を閉塞しないように、自動洗浄手段を適宜作動して、可動蓋を空気圧により押し上げると同時に突出する汚水により詰りを除去し、汚水を散布する散水器が自動的に洗浄される機構を備え、前記散水器の機能を正常に保つことが可能となる汚水処理装置である。
汚水中には汚水噴出部位に詰まりやすい浮遊物が数多く存在することから、これらを加圧空気の作用を借りて、噴出部位のクリアランスを増大させ、吹き飛ばす必要がある。そして、このような処理法により装置の稼働率を高めることができるのみならず、ノズルの洗浄を含む清掃作業から開放される利点がある。
図1は本発明の汚水に好気性処理を施す散水器、汚水流入装置、自動洗浄手段及び散水ろ床からなる散水ろ床型汚水処理装置の全体を示す模式図である。また、図2は本発明の主要部の一つである水流分散具が付設された散水器の概略断面図を示す。
図2は散水部の詳細な構成図である。
この散水器40の構造は、汚水流入管32の上端部の形状をフランジ42とし、フランジの周に沿ってほぼ垂直方向に複数個設けたガイドピン48と、ガイドピンに沿って上下方向に摺動可能な可動蓋44と、この可動蓋底面がフランジ上面に当接しないようにガイドピン48に嵌めこまれたスペーサー46と、散水量を調製する可動蓋重量調整用ウエイト52と、このウエイト52を固定するウエイト固定ピン50とからなり、フランジ42の上面と可動蓋44の底面とで形成されるクリアランス(空隙)が汚水を噴出するノズル機構を形成する。したがって、通常、可動蓋44(又はフランジ)の円周とスペーサー46の厚みとが汚水噴出ノズルの噴出断面積となり、汚水噴出量を左支配する。スペーサー46はその厚みが1〜5mm程度、好ましくは1〜2mm程度のワッシャー状のものが使用可能であり、このスペーサーにより汚水が噴出する間隙を確保できる。
散水器40及び水流分散器60は、次の要領で組み立てる。
可動蓋44の周縁部に複数本(通常3〜6本)の水流分散具64を吊り下げるための吊り下げアーム62が設けられる。そして吊り下げアーム62の先端に水流分散具64が、固定されずに、揺動可能に取り付けられる。
水流分散器60が付設された散水器40の運転・稼動状態を説明すると、汚水流入管32に加圧空気が注入されると可動蓋44はガイドピン48に沿って上方に跳ね上げられるが、ガイドピンの先端が可動蓋の上方への脱落を防止する機構を備えている。
また、上記のフランジ上面と可動蓋底面とによって形成される間隙から噴出した汚水は、それに含まれる浮遊物を自動的に除去する自動洗浄機構の設置によって、汚水の好気性処理装置の運転中に有効に働くことは既に説明したとおりである。
図3は散水状況を示したものであって、リング状の水流分散具を設けた実験例と水流分散具を使用しない参考例とを示すものである。図3ではこの実験例を「リング有り」、参考例を「リング無し」と表記している。またグラフの横軸は散水ろ床内の位置を示し、縦軸は散布強度(単位時間の散布水量)を示すことから、ろ床位置による散布水量の均一性状況が判る。リング状の水流分散具を設けると散布が広い面積にわたり均一化することから、本発明の水流分散器の効用が判明した。
汚水噴射が広範囲であり、水流分散具も機能していることが実証された。
20 覆い部
30 自動洗浄手段
31 ポンプ
32 汚水流入管
34 コンプレッサー
35 加圧空気導入管
36 電磁弁
38 タイマー
40 散水器
42 フランジ
44 可動蓋
46 スペーサー
48 ガイドピン
50 ウエイト固定ピン
52 重量調整用ウエイト
60 水流分散器
62 吊り下げアーム
64 水流分散具(格子状リング)
Claims (4)
- 汚水に好気性処理を施す散水ろ床型汚水処理装置であって、ろ床部の上方に散水部が設けられており、
該散水部は、
汚水流入管の上端部分に設けられた汚水散布用の散水器と、
該汚水流入管に取り付けられ、該散水器の水流詰りを除くための自動洗浄手段と、
散水を均一にするため前記ろ床部上方に、該散水器に付設された水流分散器とからなり、
該散水器は、汚水流入管の上端部の形状をフランジとし、該フランジの周に沿ってほぼ垂直(鉛直)方向に複数個設けたガイドピンと、該ガイドピンに沿って上下方向に摺動可能な可動蓋と、該可動蓋底面が該フランジ上面に当接しないようにガイドピンに嵌めこまれたスペーサーと、自動洗浄時以外の散水時に該可動蓋が水圧により浮上しないための可動蓋重量調整用ウエイトと、
該ウエイトを固定するウエイト固定ピンとからなり、
該水流分散器は、前記散水器の可動蓋からほぼ水平方向に張出した複数本のアームと、
個々のアームの先端部分に設けられた夫々の水流分散具とからなり、
前記ろ床部のほぼ中央に位置する前記散水器の周囲に、該水流分散具がほぼ等間隔に複数個配設されて、前記散水器から散布流量を調整しながら該水流分散具に汚水を衝突させながら散水することにより、前記ろ床部の上方から汚水の散布を広面積に亘り均一ならしめるものであること、
並びに前記自動洗浄手段は、汚水流入管のポンプとフランジとの間に設けられており、加圧空気を作るコンプレッサーと、該加圧空気を該汚水流入管に導く電磁弁と該電磁弁を動作させるタイマーとを含み、
該電磁弁が開き該加圧空気が前記汚水流入管に注入されると、該汚水に含まれる加圧空気によって、前記散水器の可動蓋が浮上して、前記散水器内部の水流詰りが除かれる洗浄機能を備え、
前記自動洗浄手段を適宜作動して、前記可動蓋を空気圧により押し上げると同時に突出する汚水により詰りを除去し、汚水を散布する散水器が自動的に洗浄される機構を備え、前記散水器の機能を正常に保つこと、
を特徴とする汚水処理装置。 - 前記自動洗浄手段は、
該電磁弁が閉じ該加圧空気の該汚水流入管への加圧空気の圧入が停止すると、前記散水器の可動蓋が通常位置に復する請求項1に記載の汚水処理装置。 - 水流分散具は、散水器から噴出した噴出汚水が直接当たるように、散水器の可動蓋からほぼ水平方向に張り出した3本乃至6本のアームの先端部分にそれぞれ吊り下げられており、格子形状を呈し、ろ床部に該噴出汚水がほぼ均一に散布される機能を備えてなる請求項1に記載の汚水処理装置。
- 散水器は、汚水流入管の上端部の形状をフランジとし、
該フランジの周に沿ってほぼ垂直(鉛直)方向に複数個設けられたガイドピンと、
該ガイドピンに沿って上下方向に摺動可能な可動蓋と、
該可動蓋底面が該フランジ上面に当接しないようにガイドピンに嵌めこまれたワッシャー状の厚さ1乃至5ミリメートルのスペーサーと、
散水量を調製する可動蓋重量調整用ウエイトと、
該ウエイトを固定するウエイト固定ピンと、からなり、
前記フランジと前記可動蓋との間隙から噴出する汚水が、前記可動蓋から張り出した複数本のアームに設けられた複数個の水流分散具に当たることにより、噴出汚水がろ床部にほぼ均一に散布されてなる請求項1に記載の汚水処理装置。
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