JP4340789B2 - 汚水処理装置 - Google Patents
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Description
1)槽内に充填される濾材が汚泥で閉塞され、処理性能が低下することが屡ある。
2)性能を高めるために、従来のような砕石ではなく、プラスチック製の濾材を使用することが多いが、プラスチック製の専用濾材は価格が高い。
3)充填材に均一に汚水を散布することは効率の増大、性能の向上のために重要であるが、従来の方式では散布面積が広くなると、回転アーム方式のような機械装置を用いるか、若しくは三角堰付きの樋を設置して散布を行ってきた。しかし、前者は機械装置部分が増えて装置全体が複雑になること、後者は均一な散布が難かしいと言う難点が存した。
4)ハエが発生することがある。
5)冬期の低温で性能が低下する。
特開平1−281196号公報には、充填材として、槽内部に孔径1mm以下の空隙を有する多孔質の合成樹脂体をシート状に形成し、このシートを二つ折りにして丸棒に架けたものを構成単位として、この構成単位を多数配置した散水濾床式汚水処理装置が開示されている。この配置法では二つ折りにしたシートの内面は汚水に直接接触しないため処理効率が低いという課題がある。さらに、この配置法では各構成単位が相互に固定されるため、配置後に生じる汚泥の堆積を除去することができず、結果的に濾過機能の低下を回避することが困難である。また更に、配置した後の構成単位間の位置調整を施すことは配慮されておらず、汚泥堆積によるシートの閉塞を回復するためには汚泥を含まない清浄水で洗浄して濾過機能を回復させる以外に格別な再生手段はない。加えて、多孔質合成樹脂体シートは機械的強度が土木用不織布シートより劣るため、不織布に較べてシートの長さを短くする必要がある。
1)不織布を管状に加工するための製造加工コストが高くつく。
2)管状不織布自体には自立性がないから散水濾床内に支持用の構造物を設置する必要がある。そのように構成してもなお完全に垂直に配列することは困難である。
3)単位容積当りの不織布充填密度を高めるためには管の直径を小さくする必要があるが、径5cm以下では管内部に汚泥が蓄積して閉塞の虞が生じる。このため、径5cm以下のものを使用することができず、処理性能に限界がある。
4)充填後は管状濾材の出し入れが困難であり、充填密度の調整は不可能である。
5)万一、汚泥により閉塞した場合、汚泥除去は非常に困難となる。
そして、第2の課題の解決には、不織布シートは可撓性であるから、汚泥が堆積したとき、処理槽内において不織布シートの下端部を固定する代わりに、当該不織布シート下端部を上下し、シートを屈曲することができれば、堆積した汚泥を不織布シートから剥離除去することが可能となる。勿論汚泥剥離には流水等を併用して除去と洗浄との効果を助長することも可能であり、かようにして処理性能の低下に対処できる。
1)不織布シートは繊維がマトリックスを形成しているため、排水が布内部に浸透し、実質的な滞留時間を長くでき、処理効果が高められる。
2)不織布の繊維の間隙に多量の微生物を保持できる。
3)不織布シート同士の間隙が垂直に形成されることから、空気の供給が良好に行われるとともに、汚泥が付きにくく、剥離した汚泥が容易に落下して排除され易い。
4)吊り下げ棒に通したクリップは必要に応じてスライドさせることができ、不織布同士の間隔を容易に調整することが可能である。これにより、運転開始後間隙に汚泥が閉塞し難いように不織布シート間隔を広める調整を施し得る。
5)不織布は2個のクリップのみで吊り下げるので、設置が容易である。また、部分的に取り外す操作も可能かつ容易である。
6)必要に応じて、不織布シートを屈曲させることにより、万が一汚泥が堆積し閉塞を生じた場合も、付着した汚泥を剥離せしめて機能を復活させることができる。
7)使用する不織布は土木工事用に供するものであり、機械的強度、耐候性の面で充分な性能を有し、しかも特別な加工を施していないので安価である。
8)使用する不織布の繊維は、例えばペットボトルの再生利用品であり、「環境保全型商品(エコマーク事務局認定)」として認定されたものである。また、ポリエステル素材であるため廃棄物として焼却される際にポリ塩化ビニルのような塩素ガスが生じる虞は全くない。これらの面からも環境的に優れた資材である。
9)撒布方式ではノズル当りの撒布面積を広く設定できることから散水濾床の大型化が容易である。
10)濾床内で成虫になった濾床ハエは内面の側壁や天蓋(上部カバー)下面に一旦留まり隙間から逃げ出す性質があるが、濾床ハエが飛散逃避する前に撒布水によって洗い流し、ハエの飛散を抑制できることから、環境問題が生じない。
11)必要に応じて、液状の脱窒用電子供与体を脱窒進行部位に滴下し、窒素除去率を効率的に向上せしめることが可能である。
図1は本発明の汚水を好気性処理する目的で構成した散水濾床の不織布シートからなる充填材ユニット30の形状を示す概略図(正面図及び側面図)である。図において、不織布シート32はその上端部が土木用合成樹脂ネットからなる懸架具34によって懸架され、不織布シート32が下方にずり落ちないように耐候性結束バンドである結束具36により結束されている。そして、懸架具の両側には荷役用合成樹脂クリップからなる連結手段38が設けられる。プラスチック製結束バンドは材料的に高強度であることから結束手段以外に荷役用合成樹脂クリップの代替部材(連結手段38)として濾材ユニットの吊り下げにも使用できる。なお、連結手段38には吊り下げ棒である固定手段42(図示せず)と連結させるための穴が設けられている。
この散水手段の改良部分はホース散水に用いる撒布角調整可能なノズルを上向きに設け、しかもインバータ方式の散水ポンプを利用する点である。実際には、撒布流量を変動させながら汚水を散水する。この結果1本のノズル当りの撒布面積を広く取れることから散水濾床の大型化が可能となる。図3では最大流量時、大流量時、中流量時及び小流量時の散布状況を示している。小流量時には濾材の散布ノズル周辺部に汚水が撒かれる程度であるが、最大流量時には汚水は天蓋にまで達し、濾床内で成虫になった「濾床ハエ」を設備外部に逃避飛散させることがないようにハエを叩き落すことが可能となる。
<実施例1>
改良点を中心に装置を組立てる状況を説明する。
シート状の、特殊な加工を施してない不織布として種々の合成樹脂からなる繊維があるが、屋外の環境下で、比較的長期間にわたって使用でき、しかも亜硝酸菌を含む微生物に適合できる素材が選ばれなくてはならない。つまり耐候性と微生物適合性が要件になる。さらに機械的強度に優れ、しかも柔軟性を備えていることが組み立てやメンテナンスのうえから望ましい。
ポリエステル不織布の使用例
不織布シートは、厚さ3mm、重量目付(300g/m2)、幅200cm、引張り強さ5.9x7.8kN/mである。また、各濾材ユニットは幅2m、長さ2〜4mとする。
図1及び図2を参照しながら濾材ユニットの組立と濾床内部の構成を説明する。
土木工事用ポリエステル不織布シート32を土木用合成樹脂製ネットからなる懸架具34に図1の側面図に示したように懸架する。結束具36には耐候性結束バンドを用いるとよい。不織布シート32の全幅を結束する必要は必ずしもないので、ずり落ちない程度に結束作業を抑えることができる。例えば幅方向に数箇所結束具で止めることで充分な場合がある。懸架具34の両端に有穴の連結手段38を連結するように繋ぐ。この連結手段38は例えば荷役用合成樹脂クリップとすることができる。連結手段の穴部分に固定手段42である吊り下げ棒を通す。
劣化又は破損の生じた濾材ユニットを交換する場合には、2個の荷役用合成樹脂クリップのネジを緩めるのみで取外しが可能であり、結束バンドを切断して懸架具から不具合の不織布シートを分離し、新しい不織布シートを取付ける。このように部分的な交換が非常に容易であり、互換性があるため補修コストが低減される。
<実施例2>
汚水の撒布法については、ホース散水に用いる撒布角調整可能なノズルを濾材上部中央に上向きに設置する。ノズルの撒布角はできるだけ広角に調整する。また、撒布流量はタイマーにより数段階周期的に変化させ、流量を変動させながら汚水を散水する。これはインバータ機能を備えたポンプとタイマーとを組み合わせることにより容易に実現できる。大流量時には周辺部の濾材に散布され、小流量時には中央部に撒布され、その間の流量時には中間部分が撒布される。更に最大流量時においては汚水が濾床上部内側壁面及び上部天蓋下面にまで飛散するようにして、天井や内壁に止まっている濾床ハエを水とともに流し落とすようにする。
散水ノズルは噴出口の前面に円盤が配置され、この噴出口と円盤とのクリアランスの調節により散布角が変化する形式の公知のものである。ノズル寸法については最大流量にしたときに濾床上部内壁及び天蓋下面まで水が飛散するものを選択する。なお、ノズルのクリアランスが小さいと閉塞し易いのでクリアランスが3mm以上で異物が通過しやすい構成にすることが肝要である。
<実施例3>
冬季においても汚水処理性能を高い水準に保つためには、加温することが有効であることは知られているが、運転コストの上昇を招くことと成る。このため、廃熱が得られるケースにおいては、この廃熱を効果的に利用することが現実的である。例えば、図5に示したように、散水濾床装置60の下部側面にボイラー69等の排気ガス導入口67を設け、高温の排気ガスが充填材下部から導入できるようにする。このようにすることで、ボイラー69等を使用している場所においては排気ガスの熱を散水濾床加温用に有効利用できる。なお、排気ガス流入配管の開口端は下方に向くように設定し、上部から落下する撒布液が排気ガスライン68に混入しないような配慮も必要である。ボイラー69と散水濾床装置60とが近接して設置できる場合は、排気筒を延長し、散水濾床下方に挿入するのみで排気ガスを導入できるが、離れている場合は、排気ガスをファンによって散水濾床まで送気することが必要となる。
<実施例4>
図6は、実施例1で使用したものと同じ不織布を用い、2枚の不織布シート32を相互に近接せしめて上部において懸架具34に懸架し、結束具36により結束したものである。この結束によって、2枚の不織布シート間隙72に液状電子供与体80が注入され得る濾材ユニット対70が形成される。この図面では2枚の不織布シート32の間隙を実際よりも広く図解し、2枚から構成されていることを明示しているが、間隙が極めて狭くなるように密着させることが好ましい。この図例も、図3に示したと同様に、濾材ユニット対70は結束バンドや合成樹脂製クリップの如き連結手段38を介して固定手段(吊り下げ棒)42に摺動するように吊り下げられる。
32 不織布シート(土木工事用ポリエステル不織布シート)
34 懸架具(土木用合成樹脂製ネット)
36 結束具(耐候性結束バンド)
38 連結手段(荷役用合成樹脂クリップ)
40 濾材ユニット群
42 固定手段
44 透水性の網状物(土木用合成樹脂ネット)
46 ロープ状物
48 昇降手段(巻上機:ウインチ)
52 散布ノズル
52a 散布ノズルの芯部部材
52b 散布ノズルの外筒部材
52c 散布ノズルの内筒部材
54 送水配管
60 散水濾床装置
62 天蓋
64 周囲の側壁
66a 通気口(排気ガスの排気口)
66b 通気口
67 排気ガスの導入口
68 排気管
69 ボイラー
70 濾材ユニット対
72 不織布シート間隙
80 液状電子供与体(メタノール等)
82 液状電子供与体の貯蔵タンク
84 滴下手段
Claims (7)
- 濾床部、散水部、および覆い部を含む汚水に好気性処理を施す散水濾床型汚水処理装置であって、
該濾床部は、
上端部分が懸架具に懸架又は吊下げられた平面状の可撓性不織布シート製の濾材ユニットを複数枚並行に配置し、かつ並行面のほぼ垂直方向に摺動可能に連結手段を介して固定手段に連結した濾材ユニット群と、
該濾材ユニット群の下方のほぼ水平面に設けられた透水性の網状物と、
該網状物の端部四隅に連結されたロープ状物と、
該濾材ユニット群に付着した汚泥を払い落とすために、該ロープ状物を巻き取ることによって該網状物を引き上げる引き上げ手段と、から成り、
該散水部は、
汚水を送水する散水ポンプと、
該散水ポンプから送水された汚水を該濾材ユニット群の上部ほぼ中央に汚水を散水する散布角および散布流量調整可能な汚水散布用ノズルと、
該散水ポンプから該汚水散布用ノズルに汚水を送水する送水配管と、から成り、
該覆い部は、
該濾材ユニット群の上部を覆う天蓋と、
該濾材ユニット群の側方を覆う側壁と、から成ることを特徴とする汚水処理装置。 - 該散水部は、さらにタイマおよびインバータを備え、
該汚水散布用ノズルからの散布流量は、前記タイマにより周期的に、かつ前記インバータにより前記散水ポンプの回転数を制御することにより数段階に変動し、最大流量時には散布された汚水が該天蓋に達するものである請求項1に記載の汚水処理装置。 - 該可撓性不織布シートが、土木工事用ポリエステル繊維で構成されたものである請求項1または2に記載の汚水処理装置。
- 該懸架具が、土木用合成樹脂ネットで構成されたものである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の汚水処理装置。
- 該固定手段が、吊り下げ棒であり、
該連結手段が、樹脂製クリップである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の汚水処理装置。 - 該覆い部は、該散水濾床部内の温度を上昇させるために、ボイラ、発電機を含む熱源が排気する高温排気ガスを該散水濾床部下方から導入する排気ガス導入口をさらに具備する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の汚水処理装置。
- 該散水部は、
該濾材ユニット群の上方に設けられ、脱窒用電子供与液体を貯蔵する貯蔵タンクと、汚水の脱窒を促進せしめるために該可撓性不織布シートに該脱窒用電子供与液体を滴下するための滴下手段と、を含む請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の汚水処理装置。
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