JP4924929B2 - バイオセンサカートリッジ、バイオセンサカートリッジの使用方法及びバイオセンサ装置 - Google Patents
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Description
図8は特許文献1に記載されているグルコースセンサを示す分解斜視図である。図8に示すように、バイオセンサであるグルコースセンサ100は、対極101と作用極102を有している。対極101は、長さ方向に半裁された中空針状をしており、その先端部103は穿刺しやすいように注射針状に斜切されている。そして、半裁された切断面には、一般に接着剤層を兼ねた絶縁層104、104'、例えばエポキシ樹脂接着剤、シリコーン系接着剤あるいはガラスなどが塗布されており、この絶縁層104、104'を介して作用極102が取り付けられている。作用極102は、グルコースオキシダーゼ(GOD)を固定化した平板状の部材であり、GODが固定化された所謂、固定化GOD105面側を内側に向けて対極101に接着されている。
従って、針状対極101の先端部103を対象者に穿刺して血液を採取し、採取した血液と固定化GOD105との反応を作用極102により検出して、グルコースの定量を行う。
図9の(A)は特許文献2に記載されているセンサの斜視図、図9の(B)はセンサの分解斜視図である。図9に示すように、ランセット一体型のセンサ110は、チップ本体111、ランセット113、保護カバー115を有している。チップ本体111は、カバー111aと基板111bとを開閉可能に有しており、カバー111aの内面には内部空間112が形成されている。内部空間112は、ランセット113を移動可能に収納できる形状をしている。
使用時には、保護カバー115を外して、ランセット113を押して針114をチップ本体111から突出させる。この状態で被検体を穿刺した後、針114をチップ本体111内部に収納し、チップ本体111の前端に設けられている開口部112aを穿刺口に近づけて、流出した血液を採取する。
また、特許文献2に記載のランセット一体型センサ110では、穿刺口から流出した血液を開口部112aから吸収する構造となっているが、構造が複雑である。
また、このバイオセンサカートリッジによれば、使用後の廃棄の際にも穿刺用器具が弾性体の先端面から突出しないようにすることができ、これによって、安全且つ適正に処分することができる。
このように構成されたバイオセンサカートリッジにおいては、駆動機構により、穿刺用器具を被検体に穿刺することにより、穿刺の時間を短くすることができ、試料を採取する際の痛みを軽減することが可能である。
図1の(A)は本発明のバイオセンサカートリッジに係る実施形態において、弾性体が膨張した状態における側面から見た縦断面図(図1の(B)におけるA−A位置の断面図)であり、図1の(B)は本発明のバイオセンサカートリッジにかかる実施形態の要部を示す水平断面図(図1の(A)におけるB−B位置の断面図)である。図2はバイオセンサチップと弾性体との一部断面の分解斜視図である。図3は膨張前の弾性体とバイオセンサチップの要部拡大断面図である。図4は本発明のバイオセンサ装置にかかる実施形態を示す構成図である。図5の(A)〜(C)は本発明にかかるバイオセンサ装置を用いた試料の採取動作を示す一連の説明図である。
このバイオセンサカートリッジ10は、図2および図3に示すように、弾性体20のバイオセンサチップ11に接する面25とバイオセンサチップ11の弾性体20に接する面11aとが適宜接合されている(図2および図3に示す弾性体20は膨張前の状態である)。
また、弾性体20には、穿刺用器具12の穿刺動作に対応して作動する穿刺連動手段として機能する圧力センサ28が設けられている。この圧力センサ28とガス発生手段20Bとは、バイオセンサ装置30(図4参照)の制御装置33を介して適宜つなげられている。
なお、ガス発生手段20Bは、ガスを発生する機能を有すれば特に限定するものではないが、車両用のエアバッグのインフレータ等に適用されている周知のものを用いることができる。すなわち、例えばガス発生剤として窒化火ナトリウム、その着火剤としてボロン硝酸カリウムおよびその点火手段としてヒータおよびジルコニウム過塩素酸などを有して構成することができる。
図3に示すように、バイオセンサチップ11は、その先端11aから、2つの検知用電極18a、18bが対向している部分にかけて、2枚の基板16a、16b及びスペーサ層17により中空反応部15が形成されている。この中空反応部15の先端(図3において下端)に、被検体M(図5を参照)に穿刺用器具12を穿刺して採取した試料としての血液D(図1および図5の(C)参照)を中空反応部15に導入する試料採取口13が設けられている。
例えば、血液中のグルコース量を測定するグルコースバイオセンサチップの場合は、この部分に、グルコースオキシダーゼ層やグルコースオキシダーゼ−電子受容体(メディエータ)混合物層、グルコースオキシダーゼ−アルブミン混合物層、又はグルコースオキシダーゼ−電子受容体−アルブミン混合物層等が形成される。グルコースオキシダーゼ以外の酵素、例えばグルコースデヒドロゲナーゼ等を用い、これらの層が形成される場合もある。又、添加剤として緩衝剤や親水性高分子等を薬剤中に含めても良い。
これは、この密閉半開放空間23の間口が大きく構成されていることで、穿刺時に、穿刺口と弾性体20の開放空間とが試料Dの採取に必要な位置関係が確実維持できる。また、試料Dと弾性体20との不測の接触が回避されて、試料Dが接触部位に滲み出すことなくバイオセンサチップ11の中空反応部15に導かれる。
また、密閉半開放空間23は、貫通穴22の周囲の壁面が隆起した隆起部26を有した、所謂貫通穴22が迎え口のような構成になっている。このような構成によれば、密閉半開放空間23に流出した血液Dは、最初に貫通穴22の周辺の隆起部26に接触して貫通穴22に導かれる。
また、弾性体20は、内部空間20A内の圧力上昇によって膨張したときは、その厚さtが、穿刺用器具12の先端まで覆う膨張厚みTとなる。
なお、弾性体20の材質としては、弾性を有するものであれば特に限定されないが、シリコーン、ウレタン、アクリルゴム等のゴム、エチレン、スチレン等のポリマー単体若しくは共重合したポリマーからなるゴム若しくはスポンジ、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン及びパーフルオロアルコキシエチレンとポリフルオロエチレンの共重合体であるPFA等のフッ素樹脂などを利用できる。
なお、バイオセンサチップ11と、弾性体20との接触面に接着剤を塗布する場合には、血液Dの流路となる部分や、バイオセンサチップ11の内部等にはみ出さないように留意する必要がある。
図4には、上述したバイオセンサカートリッジ10を用いたバイオセンサ装置30の構成が示されている。
図4に示すように、バイオセンサ装置30は、前述したバイオセンサカートリッジ10と、このバイオセンサカートリッジ10の検知用電極18a、18bに接続して採取された血液Dの情報を得る測定器31、及びバイオセンサカートリッジの保護キャップ36を有している。なお、バイオセンサカートリッジ10の構成については上述したとおりであり、前述したバイオセンサカートリッジ10と共通する部位には同じ符号を付すこととして、その説明はここでは省略する。
最初に、図4に示すように、バイオセンサカートリッジ10のバイオセンサチップ11の後端部11bを測定器31の端子挿入部34に挿入して固定するとともに電気的に接続する。バイオセンサ装置30の電源32を入れ、正常に起動しているか確認する。
そして、図5の(A)に示すように、バイオセンサ装置30を持ち被検体Mへ押し付け動作(矢印X方向)を開始する。そして、図5の(B)に示すように保護キャップ36を被検体に押し付け穿刺箇所を鬱血させた後、バイオセンサ装置30に設けられた操作ボタン(図示せず)等によりばね手段50を作動させる。これにより、ばね手段50の付勢力が作用して、バイオセンサカートリッジ10はその先端11aに取り付けられている穿刺用器具12を被検体Mの血液採取箇所に穿刺する。
なお、ここで、弾性体20の先端面には粘着剤24がコーティングされているので、弾性体20が被検体Mに密着して位置ずれを防止することができる。
なお、ここで貫通穴22の内周面が親水処理されているので、血液Dは、その表面張力と毛細管現象によって、貫通穴22の内周面に沿って試料採取口13から採取されて、中空反応部15に導入される。このとき、試料採取口13は穿刺用器具12によって形成された穿刺口とともに密閉半開放空間23内に位置しているので、バイオセンサカートリッジ10を移動させることなく容易に且つ確実に血液Dを一連の動作で採取することができる。これにより、視力が低下した使用者(被検体M)でも極めて容易に使用できる。また、少量の血液Dで測定できることから、血液採取時における被検体の負担を軽減することができる。またさらに、密閉半開放空間23は外部の空気からある程度遮断されるので、血液Dの凝固を遅らせて、採取し易くすることになる。
なお、本実施形態においては、穿刺用器具12による穿刺は、ばね手段50を用いた駆動機構以外に、モーターや空気バネなどを用いてもよい。
例えば、前述した実施形態においては、穿刺用器具12をバイオセンサチップ11の内部、すなわち両基板16a、16bに挟まれたスペーサ層17に設けた場合を例示したが、本発明のバイオセンサカートリッジ10はこれに限定するものではない。
例えば、図6の(A)および(B)に示すように、穿刺用器具12を一方の基板16aの外側面に沿って設けることもできる。このバイオセンサカートリッジ10Bの場合には、バイオセンサチップ11の厚みを減少させて、薄いバイオセンサカートリッジ10を形成することができる。但し、穿刺用器具12と試料採取口13とが多少離れることになるので、貫通穴22の断面形状を長円形等にして、穿刺用器具12の外周面と弾性体20の貫通穴22の内周面との間に形成される隙間をできるだけ小さくするのが望ましい。なお、図6において、すでに説明したバイオセンサカートリッジ10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
11 バイオセンサチップ
11a 片端部
12 穿刺用器具
12a 先端
13 試料採取口
18a、18b 検知用電極
20 弾性体
20A 内部空間
22 貫通穴
21 先端面(被検体に接する面)
23 密閉半開放空間(空間)
24 粘着剤
25 バイオセンサチップに接する面
26 隆起部
28 圧力センサ(穿刺連動手段)
29 開放貫通孔(通気路)
30 バイオセンサ装置
31 測定器
50 ばね手段(駆動機構)
D 血液(試料)
M 被検体
Claims (9)
- バイオセンサチップと、前記バイオセンサチップの一部に固定され先端が突出した穿刺用器具とを有するバイオセンサカートリッジであって、
前記バイオセンサチップの先端に設けられた試料採取口と前記穿刺用器具によって被検体に形成される穿刺口を内包して試料採取に必要な空間を形成する弾性体が、前記バイオセンサチップの先端に設けられており、
前記弾性体は内圧変動可能な内部空間を備え、前記内部空間の内圧上昇により、体積膨張するように構成されたことを特徴とするバイオセンサカートリッジ。 - 前記穿刺用器具の穿刺動作に対応して作動する穿刺連動手段が設けられ、前記内部空間の内圧変動が、前記穿刺連動手段によって行われるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサカートリッジ。
- 前記内部空間は、前記試料採取に必要な空間を囲む環状に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバイオセンサカートリッジ。
- 前記穿刺連動手段は、前記穿刺用具の穿刺動作の衝撃を感知する圧力センサにて構成されたことを特徴とする請求項2に記載のバイオセンサカートリッジ。
- 前記穿刺用器具を被検体に穿刺する駆動機構を有することを特徴とする請求項2又は4に記載のバイオセンサカートリッジ。
- 前記穿刺連動手段は、前記駆動機構と連動するように構成されたことを特徴とする請求項5に記載のバイオセンサカートリッジ。
- 前記弾性体が粘着性を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバイオセンサカートリッジ。
- 前記弾性体が、前記バイオセンサチップの先端に弾性体自身の粘着性で固定されるか、接着剤で固定されるか、または両面テープで固定されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバイオセンサカートリッジ。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のバイオセンサカートリッジと、前記バイオセンサカートリッジの検知用電極に接続して採取された試料の情報を得る測定器とを有することを特徴とするバイオセンサ装置。
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