JP4924457B2 - 雨量値・累計雨量値の収集・積算方法 - Google Patents
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Description
このテレメータ監視制御装置703−1で観測、収集された雨量カウンタ値701−3、水位データ702−3は、上位設備となる河川情報システム703−2に送られる。
上記背景技術に関連する従来技術として、下記特許文献1及び特許文献2に記載の技術が知られている。
例えば、図8の表において、時刻17:00の時点では実際の総累計雨量40mmの降雨であるにも関わらず、算出上では3mmの降雨として処理されてしまう。また、時刻14:00の時間雨量値および累計雨量値が欠測となり、これらにより水防活動の支援となる情報の精度が低下してしまう。
図1は、本発明の実施形態の構成図である。
本発明の実施形態は、雨量観測に関するものであり、水位観測は対象としない。
管理事務所101には、1つ以上の雨量観測局102で観測された雨量カウンタ値を定期的に収集するテレメータ監視制御装置103と、そこで観測、収集された雨量を管理する河川情報処理装置104とから構成される。
ブロックは、例えば、CPU(中央演算処理装置)、メモリ、ディスク記憶装置、入出力インタフェース装置等がバスで相互に接続されたコンピュータが、ディスク記憶装置からメモリにロードされたプログラムが、後述する動作フローチャートの制御動作を実行することによって実現される。
まず、降雨量変動量(変動率)から欠測した雨量カウンタ値の自動補間を行う実施形態の動作について説明する。
以下の動作説明においては、一例として、欠測発生時刻14:00に、A局の雨量観測局102において欠測が発生し、A局で欠測した雨量カウンタ値はB、C、D局の雨量観測局102の雨量カウンタ値から補間するという条件が設定されているものとする。
図1の演算部106は、ファイル部107の当該時刻に格納された各雨量観測局102毎の雨量カウンタ値を参照して時間雨量、累計雨量を計算し、その計算結果を、ファイル部107に、当該時刻における各雨量観測局102毎の時間雨量計算値、累計雨量計算値として格納する。何れかの雨量観測局102の雨量カウンタ値が欠測の場合は、演算部106は、計算不可=欠測として格納する。(以上、図2のステップS202)
図3は、ファイル部107に格納される1つの雨量観測局102についての雨量管理データの構成例を示す図である。なお、備考は、不要であるか又は、例えば運用者が任意にコメントを書き込める領域である。
欠測観測局がある場合には以下の補間処理を実行し(図2のステップS204の判定がYES)、欠測観測局が無い又は全ての欠測観測局に対する補間処理が終了したら(図2のステップS204の判定がNO)、今回の収集時刻に関する河川情報処理装置104の動作を終了する。
いま例えば、時刻14:00にA局の雨量観測局102からの雨量カウンタ値が欠測し、今回の収集時刻が15:00であるため、図2のステップS203での抽出処理により、A局が欠測観測局として抽出されたとする。
正常な観測局が1つも存在しない場合には、演算部106は、その欠測観測局区に対しては雨量カウンタ値の補間処理を行うことができないため、図2のステップS203の処理に戻り、次の欠測観測局区の抽出処理を行う。
傾向判定部109は、図2のステップS205で正常と判定された各関連付け観測局毎に、ファイル部107に格納されている前々回収集時刻(例えば13:00)、前回収集時刻(例えば14:00)、及び今回収集時刻(例えば15:00)のそれぞれにおける時間雨量(計算値)に基づいて、降雨量変動傾向を算出する。(図2のステップS206)。
傾向判定部109は、各観測局毎に、前々回収集時刻、前回収集時刻、及び今回収集時刻における各時間雨量の増減関係を判定することにより、以下のような降雨量変動傾向を算出することができる。
B観測局:減・減(↓) => 減少傾向
C観測局:減・減(↓) => 減少傾向
D観測局:増・減(山)
E観測局:減・増(谷)
F観測局:減・同(↓) => 減少傾向
G観測局:増・同(↑) => 増加傾向
H観測局:同・減(↓) => 減少傾向
I観測局:同・増(↑) => 増加傾向
これらの降雨量変動傾向より、前々回収集時刻、前回収集時刻、及び今回収集時刻の間に、時間雨量が常に減少又は増加し続ける傾向と、時間雨量が増加から減少、又は減少から増加に逆転する傾向があることがわかる。ここで、前者の傾向を1方向型、後者の傾向を逆転型と呼ぶことにする。
傾向判定部109は、降雨量変動傾向が「一方向型」であると判定した場合には、図2のステップS207からS208の処理に移る。
その後、制御が傾向判定部109から図1の演算部106に移る。演算部106は、ファイル部107から、上述の欠測観測局の前々回収集時刻から今回収集時刻までの降雨量変動量Xと、前々回収集時刻から前回収集時刻までの正常関連付け局全体の平均降雨量変動率Yと、欠測観測局の前々回及び今回収集時刻における時間雨量Zn-1 及びZn と、欠測観測局の前々回収集時刻における累計雨量Wn-2 を読出す。
演算部106は更に、計算した前回収集時刻における累計雨量Wn-1 と読み出している今回収集時刻における時間雨量Zn とに基づいて、今回収集時刻における累計雨量Wn を計算する。(以上、図2のステップS209)
演算部106は、上述のようにして算出した前回収集時刻における欠測観測局の時間雨量a、前回収集時刻における累計雨量Wn-1 、及び今回収集時刻における累計雨量Wn を、図3に示されるフォーマットで、ファイル部107に格納する。(図2のステップS212)。
今例えば仮に、今回収集時刻が15:00、前回収集時刻が14:00、前々回収集時刻が13:00であって、A局が欠測観測局で、B観測局のみが正常関連付け局として抽出されているとする。図4よりB観測局の降雨量変動傾向は「減・減(↓)」の一方向型であるため、傾向判定部109は図2のステップS207からS208の処理に移る。
X=1−17=−16(mm) ・・・(1)
正常関連付け局Bに関して、前々回収集時刻13:00から前回収集時刻14:00までの降雨量変動量は図4より−13mm、前回収集時刻14:00から今回収集時刻15:00では−2mmであり、前々回収集時刻13:00から今回収集時刻15:00の2時間においては−15mmである。このことから、正常関連付け観測局はB局1局のみであるため、前々回収集時刻13:00から前回収集時刻14:00までの正常関連付け局Bの降雨量変動率=正常関連付け局全体の平均降雨量変動率Yは、以下のように計算される。
Y=13/15 ・・・(2)
その後、演算部106による図2のステップS209の処理に移る。
降雨量変動量X=−16(mm)
平均降雨量変動率Y=13/15
欠測観測局Aの前々回収集時刻13:00における時間雨量Zn-1 =17(mm)
欠測観測局Aの今回収集時刻15:00における時間雨量Zn =1(mm)
欠測観測局Aの前々回収集時刻13:00における累計雨量Wn-2 =37(mm)
降雨量変動量Xと平均降雨量変動率Yと時間雨量Zn-1 とに基づいて、前回収集時刻14:00における欠測観測局Aの時間雨量aは、次式により計算される。
a=Zn-1 +(X×Y)=17+{−16×(13/15)}
=17−13.87=3.13≒3(mm) ・・・(3)
上記(3)式で計算した時間雨量aと読み出されている累計雨量Wn-2 とに基づいて、前回収集時刻14:00における累計雨量Wn-1 は、次式により計算される。
Wn-1 =Wn-2 +a=37+3=40(mm) ・・・(4)
上記(4)式で計算した累計雨量Wn-1 と読み出されている時間雨量Zn とに基づいて、今回収集時刻15:00における累計雨量Wn は、次式により計算される。
Wn =Wn-1 +Zn =40+1=41(mm) ・・・(5)
次に、正常関連付け観測局が、B観測局のみではなくC観測局も抽出されているとする。図4よりB観測局とC観測局の降雨量変動傾向は「減・減(↓)」の一方向型であるため、傾向判定部109は図2のステップS207からS208の処理に移る。
正常関連付け局Bの降雨量変動率YB は、前記(2)式と同様で、次式により計算される。
YB =13/15 ・・・(6)
正常関連付け局Cに関して、前々回収集時刻13:00から前回収集時刻14:00までの降雨量変動量は図4より−10mm、前回収集時刻14:00から今回収集時刻15:00では−5mmであり、前々回収集時刻13:00から今回収集時刻15:00の2時間においては−15mmである。このことから、前々回収集時刻13:00から前回収集時刻14:00までの正常関連付け局Cの降雨量変動率YC は、次式により計算される。
YC =10/15 ・・・(7)
(6)式と(7)式より、正常関連付け局全体の平均降雨量変動率Yは、次式により計算される。
Y=(YB +YC )/2={(13/15)+(10/15)}/2=0.77
・・・(8)
その後、演算部106による図2のステップS209の処理に移る。
降雨量変動量X=−16(mm)
平均降雨量変動率Y=0.77
欠測観測局Aの前々回収集時刻13:00における時間雨量Zn-1 =17(mm)
欠測観測局Aの今回収集時刻15:00における時間雨量Zn =1(mm)
欠測観測局Aの前々回収集時刻13:00における累計雨量Wn-2 =37(mm)
これより、欠測観測局Aの時間雨量aは、前記(3)式と同様の件により、次式により計算される。
a=Zn-1 +(X×Y)=17+{−16×0.77}
=17−12.32=4.68≒5(mm) ・・・(3′)
前回収集時刻14:00における累計雨量Wn-1 は、前記(4)式と同様の件により、次式により計算される。
Wn-1 =Wn-2 +a=37+5=42(mm) ・・・(4′)
今回収集時刻15:00における累計雨量Wn は、前記(5)式と同様の件により、次式により計算される。
Wn =Wn-1 +Zn =42+1=43(mm) ・・・(5′)
図2の動作フローチャートの説明に戻り、傾向判定部109は、図2のステップS207において、降雨量変動傾向が「逆転型」であると判定した場合には、図2のステップS207からS210の処理に移る。
その後、制御が傾向判定部109から図1の演算部106に移る。演算部106は、ファイル部107から、上述の前々回収集時刻から前回収集時刻までの正常関連付け局全体の平均降雨量変動量Pと、欠測観測局の前々回及び今回収集時刻における時間雨量Zn-1 及びZn と、欠測観測局の前々回収集時刻における累計雨量Wn-2 を読出す。
演算部106は続いて、計算した時間雨量aと読み出している累計雨量Wn-2 とに基づいて、前回収集時刻における累計雨量Wn-1 を計算する。
演算部106は、上述のようにして算出した前回収集時刻における欠測観測局の時間雨量a、前回収集時刻における累計雨量Wn-1 、及び今回収集時刻における累計雨量Wn を、図3に示されるフォーマットで、ファイル部107に格納する。(図2のステップS212)。
今例えば仮に、今回収集時刻が15:00、前回収集時刻が14:00、前々回収集時刻が13:00であって、A局が欠測観測局で、D観測局のみが正常関連付け局として抽出されているとする。図4よりD観測局の降雨量変動傾向は「増・減(山)」の逆転型であるため、傾向判定部109は図2のステップS207からS210の処理に移る。
P=2(mm)・・・(9)
その後、演算部106による図2のステップS209の処理に移る。
降雨量変動量X=−16(mm)
平均降雨量変動量P=2(mm)
欠測観測局Aの前々回収集時刻13:00における時間雨量Zn-1 =17(mm)
欠測観測局Aの今回収集時刻15:00における時間雨量Zn =1(mm)
欠測観測局Aの前々回収集時刻13:00における累計雨量Wn-2 =37(mm)
平均降雨量変動量Pと時間雨量Zn-1 とに基づいて、前回収集時刻14:00における欠測観測局Aの時間雨量aは、次式により計算される。
a=Zn-1 +P=17+2=19(mm)・・・(10)
前回収集時刻14:00における累計雨量Wn-1 は、前記(4)式と同様の件により、次式により計算される。
Wn-1 =Wn-2 +a=37+19=56(mm) ・・・(4″)
今回収集時刻15:00における累計雨量Wn は、前記(5)式と同様の件により、次式により計算される。
Wn =Wn-1 +Zn =56+1=57(mm) ・・・(5″)
逆転型の正常関連付け観測局が、D観測局1局のみではなく複数局抽出されている場合には、各局について前述の(9)式と同様の計算により、各正常関連付け局の降雨量変動量Δ1、Δ2、Δ3等を求め、これらの平均として平均降雨量変動量Pを、次式のようにして計算すればよい。
P=(Δ1+Δ2+Δ3)/3・・・(11)
これ以降は、1局の場合と同様の計算である。
図5は、この実施形態において、図1の河川情報処理装置104が定時毎に実行する動作を示す動作フローチャートである。
YES)、欠測観測局が無い又は全ての欠測観測局に対する補間処理が終了したら(図5のステップS204の判定がNO)、今回の収集時刻に関する河川情報処理装置104の動作を終了する。
いま例えば、時刻14:00にA局の雨量観測局102からの雨量カウンタ値が欠測し、今回の収集時刻が15:00であるため、図5のステップS203での抽出処理により、A局が欠測観測局として抽出されたとする。
等雨量判定部110は、ファイル部107にアクセスすることにより、前回収集時刻における等雨量線図のエリアを求める。(図5のステップS501)
次に、等雨量判定部110は、求めた等雨量線図エリアのうち欠測観測局が属する等雨量エリアを判定する。(図5のステップS502)
その後、制御が等雨量判定部110から図1の演算部106に移る。
演算部106は、上述のようにして算出した前回収集時刻における欠測観測局の時間雨量a、前回収集時刻における累計雨量Wn-1 、及び今回収集時刻における累計雨量Wn を、図3に示されるフォーマットで、ファイル部107に格納する。(図5のステップS504)。
(付記1)
1つ以上の雨量観測局から所定の収集時刻毎に雨量値を収集して管理する雨量管理方法において、
前記各雨量観測局から所定の収集時刻毎に前記雨量値をそれぞれ収集するステップと、
収集した前記雨量値が異常だった場合に、該異常な雨量値に対応する前記雨量観測局で
ある異常雨量観測局の近傍又は降雨状況が似ている他の1つ以上の雨量観測局である関連付け雨量観測局の降雨量変動傾向を判定するステップと、
該判定された降雨量変動傾向を用いて、前記異常雨量観測局について、前記異常な雨量値に対応する補間雨量値を算出すると共に、該補間雨量値に基づいて累計雨量値を積算して算出するステップと、
を含むことを特徴とする雨量値補間、累計雨量積算方法。
(付記2)
前記降雨量変動傾向は、前々回の前記収集時刻、前回の前記収集時刻、及び今回の前記収集時刻において前記各関連付け雨量観測局から収集された各雨量値から算出される降雨量変動率又は降雨量変動量である、
ことを特徴とする付記1に記載の雨量値補間、累計雨量積算方法。
(付記3)
1つ以上の雨量観測局から所定の収集時刻毎に雨量値を収集して管理する雨量管理方法において、
前記各雨量観測局から所定の収集時刻毎に前記雨量値をそれぞれ収集するステップと、
収集した前記雨量値が異常だった場合に、該異常な雨量値に対応する前記雨量観測局である異常雨量観測局が属する等雨量線図のエリアの時間雨量値を該異常雨量観測局の異常な雨量値に対応する補間雨量値として算出すると共に、該補間雨量値に基づいて累計雨量値を積算して算出するステップと、
を含むことを特徴とする雨量値補間、累計雨量積算方法。
(付記4)
前記異常な雨量値に対応する雨量値を修正雨量値として入力するステップと、
該入力の直後に、前記修正雨量値に基づいて累計雨量値を積算して算出するステップと、
を更に含むことを特徴とする付記1乃至3の何れか1項に記載の雨量値補間、累計雨量積算方法。
(付記5)
前記補間雨量値又は前記修正雨量値、及びそれらに基づいて積算された前記累計雨量値を、補間値であることが識別できるように表示するステップを更に含む、
ことを特徴とする付記1乃至4の何れか1項に記載の雨量値補間、累計雨量積算方法。
102、701 雨量観測局
103、703−1 テレメータ監視制御装置
104 河川情報処理装置
105 入力部
106 演算部
107 ファイル部
108 時刻管理部
109 傾向判定部
110 等雨量判定部
111、701−1 雨量計
112、701−2、702−2 観測装置
701−3 雨量カウンタ値
702 水位観測局
702−1 水位計
702−3 水位データ
703−2 河川情報システム
Claims (3)
- 複数の雨量観測局から収集したデータに基づき雨量値を収集する雨量値収集方法において、
前記複数の雨量観測局から収集した所定の時刻毎のデータに基づき、前記収集データが異常である異常雨量観測局が存在するかを判定し、
前記異常雨量観測局が存在する場合は、前記異常雨量観測局に予め関連付けられた雨量観測局である関連付け雨量観測局からの収集データに基づき、前記収集データが異常である時刻の近傍における、前記関連付け雨量観測局についての降雨量の、連続した収集時刻における増加または減少の傾向である降雨量変動傾向を判定し、
前記関連付け雨量観測局における降雨量変動傾向が、増加または減少の傾向が継続する傾向であると判定された場合は、前記異常雨量観測局について、前記異常な雨量値に対応する補間雨量値を、前記関連付け雨量観測局の平均降雨変動率に基づいて算出するとともに、該補間雨量値に基づいて累計雨量値を積算して算出し、前記関連付け雨量観測局における降雨量変動傾向が、増加または減少の傾向が逆転する傾向であると判定された場合は、前記異常雨量観測局について、前記補間雨量値を、前記関連付け雨量観測局の平均降雨変動量に基づいて算出するとともに、該補間雨量値に基づいて累積雨量値を積算して算出する、
ことを特徴とする雨量値収集方法。 - 請求項1に記載の雨量値収集方法であって、更に、
前記異常な雨量値に対応する雨量値を修正雨量値として入力し、
該入力の直後に、前記修正雨量値に基づいて累計雨量値を積算して算出する、
ことを特徴とする雨量値収集方法。 - 請求項1又は2に記載の雨量値収集方法であって、更に、
前記補間雨量値又は前記修正雨量値、及びそれらに基づいて積算された前記累計雨量値を、補間値であることが識別できるように表示する、
ことを特徴とする雨量値収集方法。
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