JP4923733B2 - マイクロ波を用いた植物バイオマスからの油の抽出方法 - Google Patents

マイクロ波を用いた植物バイオマスからの油の抽出方法 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロ波を用いて植物バイオマス(以下、「バイオマス」と省略することがある。)から油を抽出する方法に関する。詳細には、マイクロ波を用いて植物バイオマスから精油、油脂などの有用物質を抽出する方法に関する。
地球温暖化対策の一環として、バイオマスを燃料に用いた発電技術がある。バイオマスとしては、都市ごみ、食品残渣、下水汚泥などの産業系バイオマスに加え、家畜糞尿などの動物系バイオマス、栽培植物、伐採木や農作物残渣などの植物系バイオマスがある。植物系バイオマスは、粉砕物もしくは加工物(炭化物、液化物、ガス化物など)を燃料として発電されている。
ところが、固体バイオマスは、嵩高く収集・運搬エネルギーが多く必要となり、大量に調達する必要がある場合や、遠方にて実施する場合には、不向きである。これを解消するためにバイオマスの液化やガス化(エタノール化、DME化、水素化)の技術があるが、現状ではいずれも大規模な装置を必要としたり(エタノール化では培養装置など)、高コスト(DME化、水素化など)である。
また、各種バイオマスは様々な成分を含んでおり、その中には付加価値の高い精油成分も含まれているが、現状のバイオマスの利用方法では、それらの付加価値の高い成分も燃料として消費してしまっている。
植物バイオマスから油分を抽出する方法としては、従来より、圧搾、水蒸気、熱水、有機溶媒やラードなどによる抽出が行われているが、圧搾では抽出効率が低くなり、水蒸気蒸留では抽出時間が長くかつエネルギー消費量が多くなり、熱水や有機溶媒による抽出では抽出時間が長くあるいは繁雑でかつエネルギー消費量も多いという課題がある。
特許文献1には、植物材料を含む加圧した密閉装置内に水蒸気を注入し、電磁波によって植物材料のコアまで加熱し、植物材料から天然液を抽出した後、抽出液を装置外に排出させ、重力により回収する方法が開示されている。しかし、この方法は、装置内を加圧状態にして抽出する方法であり、エアコンプレッサーと飽和水蒸気発生装置が不可欠であるため、簡易に抽出する方法とは言い難い。
特許文献2には、原料植物と抽出溶媒の混合液をガラスチューブに入れ、マイクロ波を照射した後、濾過することにより、経時的安定性が良く着色の少ない植物抽出物を得る方法が開示されている。特許文献3には、植物などの天然資材から油性成分等を蒸留分離する際に溶媒となる水分子に電磁波を作用させることにより、水分子の電子移動状態を作り出し、熱劣化しやすく且つ酸化されやすい芳香性有機質成分を安定に分離する方法が開示されている。しかし、これらの方法はバイオマスを燃焼する前に省エネルギー、低コストで高付加価値物質を得ることを目的としたものではなく、どちらかと言えば高品質の植物抽出物を得るために考案された方法である。
特表2002−542941号公報 特開2004−89786号公報 特開平9−85001号公報
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、マイクロ波を用いた植物バイオマスからの油の抽出方法であって、ハンドリングが容易で、輸送に適した油を、省エネ、低コストで簡易に抽出する方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、マイクロ波は、抽出溶媒とバイオマス抽出物そのものを加熱することが可能であるため、容器の昇温などの不要な加熱や過反応を回避することができ、マイクロ波を用いて水蒸気蒸留の原理を応用することにより、省エネルギー、低コストで植物バイオマスから高付加価値の精油や油脂などの油を取得できるとの知見を得て、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
)マイクロ波を用いて植物バイオマスから油を抽出する方法であって、
マイクロ波発生装置の外で生成させた溶媒蒸気をマイクロ波発生装置内に設置された抽出容器の下部に導入し、該抽出容器の多孔板の上に載置された植物バイオマスにマイクロ波を照射し、該装置内に導入された抽出溶媒蒸気と前記植物バイオマスをマイクロ波照射下に接触させて油を抽出し、該油を含む溶媒蒸気を前記装置外に排出して凝縮し、抽出油および溶媒を回収することを特徴とする方法、
)マイクロ波を用いて植物バイオマスから油を抽出する方法であって、
マイクロ波発生装置内に配置された抽出容器に収容された抽出溶媒と多孔板の上に載置された植物バイオマスにマイクロ波を照射し、マイクロ波によって加熱された前記溶媒蒸気と植物バイオマスとをマイクロ波照射下に接触させて油を抽出し、該油を含む溶媒蒸気を前記装置外に排出して凝縮し、抽出油および溶媒を回収することを特徴とする方法、
)前記抽出溶媒は、マイクロ波吸収性である前記1)又は2)に記載の方法、
)前記抽出溶媒は水である前記1)〜3)のいずれかに記載の方法、
)前記植物バイオマスは、栽培系バイオマスまたは廃棄物系バイオマスである前記1)〜4)のいずれかに記載の方法、
)前記マイクロ波の周波数が、0.5GHz〜10GHzである前記1)〜のいずれかに記載の方法
本発明によれば、常圧条件下で、マイクロ波照射によりバイオマスを加熱することで、短時間かつ省エネルギー、低コストにて、精油や油脂などの油を抽出することが可能となる。抽出後の残渣は、発熱量が高くハンドリング容易なバイオマス燃料となる。
以下、本発明に係るマイクロ波を用いて植物バイオマスから油を抽出する方法、およびそれに用いる装置の好ましい実施形態を挙げ、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明に係る一実施形態であって、抽出溶媒蒸気発生手段がマイクロ波発生手段(マイクロ波発生装置)の外にあるときの、抽出方法および装置の概略を説明する図である。
図1において、10はマイクロ波発生手段(マイクロ波発生装置)、20は溶媒蒸気発生手段(溶媒を貯留する貯留槽)、30は抽出手段(密閉可能な容器、管などの抽出容器)であり、40は溶媒蒸気凝縮手段、50は溶媒回収手段である。溶媒蒸気発生手段20では、加熱手段21によって装置20を加熱し、密閉された装置20内にある溶媒を加熱して溶媒蒸気を生成させ、生成させた溶媒蒸気を、溶媒蒸気供給路25を介して、マイクロ波発生装置内に設置された抽出手段(抽出容器)の下部に導入する。
前記の抽出手段30では、例えば、溶媒蒸気が通過できる程度の大きさの多数の孔を設けた多孔板2の上に、生もしくは乾燥バイオマス1を載置し、バイオマス中の油分を抽出する。バイオマスは必ずしも多孔板上に載置する必要はないが、こうすることにより、より均等にバイオマスに蒸気を接触させることができる。
導入された抽出溶媒蒸気は、マイクロ波発生装置内において照射されるマイクロ波によって加熱され、加熱された溶媒分子はバイオマスと接触し、多孔板2上に載置されたバイオマス1の間を通過しながら上昇する。載置された生バイオマス1は、平衡水分量に近い水分を保有しているので、保有水分はマイクロ波によって活性化され、活性化された水によってバイオマスに含まれる油分が、通常の水蒸気蒸留より抽出されやすくなる。抽出された油分は、上昇してくる溶媒蒸気とともに、溶媒排出路35を介して、装置外に排出される。この際、装置内は35℃〜150℃に保持されていることが好ましく、より好ましくは90℃〜140℃である。反応温度をこの範囲に保持することにより、抽出される精油成分の分解を防止し、抽出効率を高めることができる。また、必要に応じて、溶媒蒸気供給路25および溶媒排出路35を加熱することにより、蒸気の凝結を防ぐこともできる。
排出された、油を含む溶媒蒸気は、マイクロ波発生装置外に設置した溶媒蒸気凝縮手段によって冷却され、冷却された溶媒蒸気は溶媒回収手段によって回収される。溶媒蒸気には抽出油も含まれてくるので、排出された溶媒蒸気を冷却することにより、溶媒および、ともに蒸発してきた油分を液化させることができる。溶媒蒸気凝縮手段40における冷却部の温度は、通常−20〜10℃、溶媒が水の場合は−10〜5℃の範囲が好ましい。
溶媒回収手段50では、溶媒蒸気凝縮手段40において凝結した蒸留液を回収するとともに、溶媒凝縮手段40の冷却部で冷却された反応物をさらに、−86℃〜5℃で冷却することで、液化しなかったガス状物質を回収することもできる。溶媒が水の場合は、油分が上層に分離するのでそのまま分取することにより、油分を回収することができる。溶媒が有機溶媒の場合は、減圧蒸留などにより油分のみを回収することができる。
また、抽出用の溶媒蒸気が不足する場合は、例えば、溶媒蒸気発生手段20や溶媒蒸気供給路25に切替弁や調整弁などを設置し、溶媒蒸気発生手段を一旦開放系にするなどの操作を行うことにより、反応途中の溶媒の補充を容易に行うことができる。
前記の抽出溶媒(以下の実施形態においても同じ)としては、水の他、エーテル類、メタノール、エタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、ピリジン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、アセトンなどの有機溶媒を挙げることができる。これらの抽出溶媒はいずれもマイクロ波吸収性であり、その中でもコスト、安全性等を考慮すると水が好ましい。
本実施形態では、バイオマスに元々含まれる水分を十分に加熱できるため、マイクロ波のエネルギーがほぼすべてバイオマスの加熱に(溶媒の加熱ではなく)用いられるので、通常の水蒸気蒸留に比較して油の抽出が容易になる。
また、本実施形態に係る装置および方法によれば、溶媒蒸気を大量に供給することができ、しかも、マイクロ波発生装置内スペースに可能な限りバイオマスを入れ、バイオマスを大量に仕込むことができるため、バイオマスと溶媒蒸気にマイクロ波を十分に暴露することが可能となり、抽出の効率化が望める。また、マイクロ波照射装置内スペースに可能な限りバイオマスを入れることができるので、バイオマスを一度に多量に処理できる。大量のバイオマスの処理に適した方法であるが、特に葉など水分が多く、柔らかいバイオマスの処理に適している。また、マイクロ波による加熱の効果が低い有機溶媒を用いる場合にも好適である。
(実施形態
は、本発明に係る一実施形態であって、抽出溶媒蒸気発生手段がマイクロ波発生手段(マイクロ波発生装置)の中にあるときの、抽出方法および装置の概略を説明する図である。本実施形態では、溶媒蒸気発生手段はマイクロ波加熱によって蒸気を発生させるように構成されており、発生させた蒸気は、溶媒蒸気供給路25を介することなく、直上の抽出手段に供給されるように構成されている。
において、10はマイクロ波発生手段であり、溶媒蒸気発生手段20および抽出手段30が一体となった装置が、マイクロ波発生手段であるマイクロ波発生装置の中に配置されている。また、40は溶媒蒸気凝縮手段、50は溶媒回収手段である。溶媒蒸気発生手段20では、マイクロ波によって溶媒を加熱して溶媒蒸気を生成させ、生成させた溶媒蒸気25を、直上に配置されたバイオマスに供給する。
前記の抽出手段30では、溶媒蒸気が通過できる程度の大きさの多数の孔を設けた多孔板2の上に、生のバイオマス1を載置し、バイオマス中の油分を抽出する。
供給された蒸気は、マイクロ波発生装置内において照射されるマイクロ波によって加熱されながら、多孔板2上に載置されたバイオマスと接触し、バイオマス1の間を通過しながら上昇する。載置されたバイオマス1は、平衡水分量に近い水分を保有しているので、保有水分はマイクロ波によって活性化され、活性化された水によってバイオマスに含まれる油分が抽出される。抽出された油分は、上昇してくる溶媒蒸気とともに、溶媒排出路35を介して、装置外に排出される。この際、装置内は35℃〜150℃に保持されていることが好ましく、より好ましくは90℃〜140℃である。反応温度をこの範囲に保持することにより、抽出される精油成分の分解を防止し、抽出効率を高めることができる。また、必要に応じて、溶媒排出路35を加熱することにより、蒸気の凝結を防ぐこともできる。
排出された、油を含む溶媒蒸気は、マイクロ波発生装置外に設置した溶媒蒸気凝縮手段によって冷却され、冷却された溶媒蒸気は溶媒回収手段によって回収される。溶媒蒸気には抽出油が含まれているので、排出された溶媒蒸気を冷却することにより、溶媒および、ともに蒸発してきた油分を液化させることができる。溶媒蒸気凝縮手段40における冷却部の温度は、通常−20〜10℃、溶媒が水の場合は−10〜5℃の範囲が好ましい。
溶媒回収手段50では、溶媒蒸気凝縮手段40において凝結した蒸留液を回収するとともに、溶媒凝縮手段40の冷却部で冷却された反応物をさらに、−86℃〜5℃で冷却することで、液化しなかったガス状物質を回収することもできる。溶媒が水の場合は、油分が上層に分離するのでそのまま分取することにより、油分を回収することができる。溶媒が有機溶媒の場合は、減圧蒸留などにより油分を回収することができる。
本実施形態に係る装置および方法によれば、蒸気の発生もマイクロ波により行うため、加熱手段が1つで済み、最も省エネルギー型の装置となる。また、図では溶媒蒸気発生手段20をマイクロ波発生装置10内にのみ設置した例を示したが、溶媒蒸気発生手段20にマイクロ波発生装置10の外に通じる溶媒供給路を設け、該装置外部から溶媒の補充ができるようにしてもよく、これにより蒸気の大量供給も可能となる。
また、マイクロ波発生装置の外に蒸気発生手段を有する場合と比べて、蒸気が結露する心配がなく(結露防止エネルギーが不要)、かつ、バイオマス抽出用の反応器とは別体になっているため、溶媒とバイオマスの双方にマイクロ波を照射することができる。溶媒にもマイクロ波を照射することで、溶媒を単分子化しやすく、また、外部加熱に比較して溶媒蒸気の性状が一定する。
本実施形態は、発生した蒸気を直ぐにバイオマスに当てることができ、また、図1〜図に示す種の装置の中で、バイオマスに当てる蒸気圧をやや高めにすることができるので、高沸点の油成分の抽出や、やや大きめに粉砕したバイオマス、硬質(幹や実の殻など)のバイオマスからの油の抽出に適している。蒸気圧が高くなることにより、バイオマス内部の油分も周りの水分に誘引されて抽出されすくなる。抽出容器の形状は、マイクロ波発生装置の庫内にできる限り平面的に広がった形状を有するものが、マイクロ波の被照射面積を増やすことができるので、好ましい。
本発明に係る方法において、植物バイオマスとしては、栽培系バイオマス及び廃棄物系バイオマスが、主に使用される。栽培系バイオマスとしては、木や草の葉、実、枝、根などが挙げられる。廃棄物系バイオマスとしては、木材、間伐材、伐採木、剪定枝、おがくず、樹皮、チップ、端材、流木、竹、笹、木質建築廃材などの木質系バイオマス;モミ殻、稲藁、麦藁、バガス、アブラヤシ(パーム油の原料)のヤシ殻などの農作物系バイオマス;食品工場や外食産業から出る食品残渣などの食物系バイオマスなどを挙げることができる。これらのなかでも、油の含有量の観点では、栽培系バイオマスや食物系バイオマスが良く、成分の安定性では栽培系バイオマスが好適である。また、栽培系バイオマスのなかでも、実や葉が好ましく、一般的には広葉樹より針葉樹が好ましい。
本発明においては、抽出溶媒と分離された状態のバイオマスにマイクロ波を照射するので、バイオマスに含まれる水分を直接加熱することが可能となり、バイオマス中の油成分を通常の水蒸気蒸留よりも抽出しやすくなる。
マイクロ波発生装置から照射されるマイクロ波の出力や周波数、照射方法は、特に限定されるものではなく、反応温度が所定の範囲に保持できるよう電気的に制御すればよい。出力が低すぎる場合は溶媒蒸気発生量が少なくなり、出力が高すぎる場合はバイオマスの発火、溶媒の突沸や急激な蒸発が起こるため、電気的に制御しながら10W〜20kWの範囲とするのが望ましい。マイクロ波の周波数は0.5〜10GHzが望ましい。0.5GHz未満の周波数では溶媒分子が電界の向きに追従可能で加熱効率が悪く、又、10GHzを超える周波数では、ガラス等の容器まで加熱されてしまい効率的でない。マイクロ波の照射は連続照射、間欠照射のいずれの方法であってもよいが、電気的に制御しながら連続照射するのが好ましい。マイクロ波発振器としては、マグネトロン等のマイクロ波発振器や、固体素子を用いたマイクロ波発振器等を適宜用いることができる。
また、マイクロ波発生装置内に設置される溶媒蒸気発生手段や抽出手段に用いられる装置の材質は、マイクロ波を透過するもの、例えばポリエチレン、テフロン(登録商標)などのプラスチック、陶器、石英ガラスなどが好適である。
以下、本発明を実施例および比較例を用いて更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1(実施形態1の蒸気導入タイプ)>
図1に示したマイクロ波発生装置(10)内に設置された内径100mm高さ100mmのセパラブル三ツ口円筒フラスコ(30)に、テフロン製の目皿(2)を設置した。目皿の穴は5mmのものを使用し、その上に、バイオマスが下にこぼれ落ちないようにメッシュサイズ0.75φのテフロンパンチングシートを設置した。この上に、バイオマスとしてトドマツ葉粉砕物53.92gを加えた。トドマツ葉粉砕物は分析ミル(IKA Works Guangzhou社製 型式:A11 basic)にて8mmアンダーに破砕して得た。
マイクロ波発生装置(10)の外に、純水161.09gと沸石を加えた500ml容のナス型フラスコ(20)をマントルヒーター(21)内に設置し、上記の円筒フラスコ(30)と連結した。さらに、円筒フラスコと連結するように長さ300mmのリービッヒ冷却管(40)を設置し、これに100ml容の分液ロート(50)を連結した。なお、冷却部(40)にはリービッヒ冷却管に加えて、分岐管にてさらに補助冷却用のジムロートを連結してもよい。また、分液ロートとリービッヒ冷却管との連結部を分岐し、余分な排ガスをドラフトへ送気する管を設けた。
上記のナス型フラスコ(20)を120℃のマントルヒーターにて加熱し、発生した蒸気が円筒フラスコ(30)に達した時点で、周波数2.45GHzのマイクロ波を該円筒フラスコに照射し、バイオマス試料温度を120〜150℃に保つようマイクロ波出力を制御しながら、60分間反応を行い、水蒸気蒸留を行った。また、このときのトータル反応時間は80分であった。なお、反応中適時、分液ロートに回収された液のうち、水層(下層)の適量を別容器(蒸留水容器)に移し、分液ロート中で常に油水分離ができるようにした。
水蒸気蒸留初溜から10分毎の精油回収量を測定した。反応後の全油分収量は779.4mgであった。また、これをバイオマス100g−dryあたりの精油収量に換算すると3583.23mgであった。
得られた精油の発熱量は、吉田製作所製熱量測定装置−Jにて測定したところ、42643J/gであった。
<実施例2(実施形態の蒸気発生、縦列タイプ)>
に示したマイクロ波発生装置(10)内に設置された内径100mm高さ100mmのセパラブル三ツ口円筒フラスコ(30)に、純水161.09gと沸石を加え、テフロン製の目皿(2)を設置した。目皿及びバイオマス落下防止用シートは実施例1と同様のものを用いた。この上に、バイオマスとして8mmアンダーに粉砕したトドマツ葉粉砕物53.92gを加えた。マイクロ波発生装置(10)外に、円筒フラスコ(30)と連結するように長さ300mmのリービッヒ冷却管(40)を連結し、さらに100ml容の分液ロート(50)を連結した。なお、冷却部(40)にはリービッヒ冷却管に加えて分岐管にて補助冷却用のジムロートを連結してもよい。また、分液ロートとリービッヒ冷却管との連結部を分岐し、余分な排ガスをドラフトへ送気する管を設けた。
周波数2.45GHzのマイクロ波を上記反応装置に照射し、バイオマス試料温度を120〜150℃に保つようマイクロ波出力を制御しながら、60分間反応を行い、水蒸気蒸留を行った。なお、反応中適時、分液ロートに回収された液のうち、水層(下層)の適量を蒸留水容器に移し、分液ロート中で常に油水分離ができるようにした。
水蒸気蒸留初溜から10分毎の精油回収量を測定した。反応後の全油分収量は549.7mgであった。また、これをバイオマス100g−dryあたりの精油収量に換算すると2527.20mgであった。
<比較例(従来型水蒸気蒸留)>
マイクロ波照射を行わない他は、実施例1と同一の装置構成にて従来法の水蒸気蒸留を行った。なお、蒸気発生用のナス型フラスコ(20)と反応容器(30)との水蒸気導入連結部分及び反応容器出口とリービッヒ冷却管との連結部に補助加熱手段としてリボンヒーターを設置した。マントルヒーター内(21)に設置した500ml容のナス型フラスコ(20)には、純水499.99gと沸石を加えた。反応容器(30)には、目皿、バイオマス落下防止用シートの上にトドマツ葉の粉砕物60.08gを加えた。
ナス型フラスコ(20)を120℃のマントルヒーターにて加熱し、水蒸気導入連結部分及び反応容器出口とリービッヒ冷却管との連結部に設置したリボンヒータも120℃にて加温した。発生した蒸気が反応容器(30)に達した時点から、60分間反応を行い、水蒸気蒸留を行った。また、このときのトータル反応時間は133分であった。なお、反応中適時、分液ロートに回収された液のうち、水層(下層)の適量を蒸留水容器に移し、分液ロート中で常に油水分離ができるようにした。
反応後の油分収量は525.1mgであった。また、これをバイオマス100g−dryあたりの精油収量に換算すると2166.59mgであった。
実施例1,2および比較例における蒸留初留から10分毎の精油回収量を、試料100g−dryあたりの精油収量に換算した値の結果を、表1に示す。表1から明らかなように、本実施例は水蒸気蒸留よりも短時間でかつ多量の精油を回収することができた。
<実施例3(消費電力の比較)>
実施例1,2および比較例の反応における消費電力を測定した。マイクロ波照射装置の消費電力は、マイクロ波照射制御装置からの電力供給値をデータロガーより得て、その積算値から算出した。マントルヒーターの消費電力はYOKOGAWA製WT130デジタルパワーメーターにて消費電力を測定して得た。比較例(従来法)での値を基準として、各実施例の単位精油収量あたりの消費エネルギーを比較した結果を表2に示す。表2の結果から、本発明の方法および装置は従来法と比べて省エネルギーであることがわかる。
本発明の方法により、植物バイオマスから様々な天然物質を抽出し、その抽出物を製薬、化粧品、食品、芳香剤、染色剤などの様々な産業分野で利用することが可能となる。また、抽出後の植物バイオマスは、燃料として利用することができる。さらに、本発明の方法および装置は、小規模の抽出試験に応用することもできる。
実施形態1に係る抽出装置の概略を示す構成図である。 実施形態2に係る抽出装置の概略を示す構成図である。
1 バイオマス
2 多孔板
10 マイクロ波発生手段
20 溶媒蒸気発生手段
21 加熱手段
25 溶媒蒸気供給路
30 抽出手段
35 溶媒排出路
40 溶媒蒸気凝縮手段
50 溶媒回収手段

Claims (6)

  1. マイクロ波を用いて植物バイオマスから油を抽出する方法であって、
    マイクロ波発生装置の外で生成させた溶媒蒸気をマイクロ波発生装置内に設置された抽出容器の下部に導入し、該抽出容器の多孔板の上に載置された植物バイオマスにマイクロ波を照射し、該装置内に導入された抽出溶媒蒸気と前記植物バイオマスをマイクロ波照射下に接触させて油を抽出し、該油を含む溶媒蒸気を前記装置外に排出して凝縮し、抽出油および溶媒を回収することを特徴とする方法。
  2. マイクロ波を用いて植物バイオマスから油を抽出する方法であって、
    マイクロ波発生装置内に配置された抽出容器に収容された抽出溶媒と多孔板の上に載置された植物バイオマスにマイクロ波を照射し、マイクロ波によって加熱された前記溶媒蒸気と植物バイオマスとをマイクロ波照射下に接触させて油を抽出し、該油を含む溶媒蒸気を前記装置外に排出して凝縮し、抽出油および溶媒を回収することを特徴とする方法。
  3. 前記抽出溶媒は、マイクロ波吸収性である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記抽出溶媒は水である請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記植物バイオマスは、栽培系バイオマスまたは廃棄物系バイオマスである請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記マイクロ波の周波数が、0.5GHz〜10GHzである請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
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