JP4922507B2 - 医薬組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水不溶性もしくは水難溶性のシクロアルケン化合物の溶解性または安定性が改善された医薬組成物、および当該シクロアルケン化合物の溶解性または安定性を改善する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
WO99/46242には、(i)式
【化27】
Figure 0004922507
[式中、Rは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1(式中、R1は水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基または式
【化28】
Figure 0004922507
(式中、R1bは水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を、R1cはR1bと同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、R0は水素原子または脂肪族炭化水素基を、もしくはRとR0は一緒になって結合手を、環Aは(1)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(2)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(3)式−OR1(式中、R1は前記と同意義を示す。)で表される基および(4)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されたシクロアルケンを、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式
【化29】
Figure 0004922507
で表される基は、式
【化30】
Figure 0004922507
または
【化31】
Figure 0004922507
で表される基を、nは1〜4の整数を示す。]で表される化合物、
(ii)式
【化32】
Figure 0004922507
[式中、Raは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1a(式中、R1aは水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基または式
【化33】
Figure 0004922507
(式中、R1aは前記と同意義を、R1bはR1aと同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、R0aは水素原子または脂肪族炭化水素基を、もしくはRaとR0aは一緒になって結合手を、Araは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式
【化34】
Figure 0004922507
で表される基は、式
【化35】
Figure 0004922507
または
【化36】
Figure 0004922507
で表される基を、nは1〜4の整数を示す。]で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグが、一酸化窒素(NO)産生抑制作用およびTNF−α、IL−1、IL−6などの炎症性サイトカイン産生抑制作用を有しており、心疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、中枢神経系疾患、感染性疾患、セプシス、セプティックショックなどの疾患の予防・治療剤として有用であることが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記化合物の溶解性、安定性などが改善された医薬組成物および上記化合物の溶解性、安定性などを改善する方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、上記化合物とポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの非イオン性界面活性剤および/または易水溶性シクロデキストリン誘導体とを混合することにより、予想外にも、該化合物の溶解性、安定性、着色性などが著しく改善された医薬組成物を得ることに成功した。本発明者らは、この知見に基づいて、さらに検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
〔1〕(a)式(I)
【0006】
【化37】
Figure 0004922507
【0007】
[式中、Rは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1(式中、R1は水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基または式
【0008】
【化38】
Figure 0004922507
【0009】
(式中、R1bは水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を、R1cはR1bと同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、R0は水素原子または脂肪族炭化水素基を、もしくはRとR0は一緒になって結合手を、環A1は(1)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(2)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(3)式−OR1(式中、R1は前記と同意義を示す。)で表される基および(4)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されていてもよいシクロアルケンを示し、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式
【0010】
【化39】
Figure 0004922507
【0011】
で表される基は、式
【0012】
【化40】
Figure 0004922507
【0013】
または
【0014】
【化41】
Figure 0004922507
【0015】
で表される基を、nは1〜4の整数を示す。]で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグと、
(b)非イオン性界面活性剤および/または易水溶性シクロデキストリン誘導体とを含有する医薬組成物、
【0016】
〔2〕式(I)
【0017】
【化42】
Figure 0004922507
【0018】
[式中、各記号は第〔1〕項と同意義を示す]で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグと非イオン性界面活性剤とを含有する医薬組成物、
〔3〕非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である第〔2〕項記載の組成物、
〔4〕さらにエタノールを含有する第〔2〕項記載の組成物、
〔5〕当該化合物が▲1▼d-エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、▲2▼d-エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、▲3▼エチル 6-[N-(2-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、▲4▼エチル 6-[N-(2-クロロ-4-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートまたはその塩である第〔2〕項記載の組成物、
【0019】
〔6〕非イオン性界面活性剤の含有量が組成物全体に対して約10重量%〜約70重量%である第〔2〕項記載の組成物、
〔7〕エタノールの含有量が組成物全体に対して約30重量%〜約90重量%である第〔4〕項記載の組成物、
〔8〕非イオン性界面活性剤とエタノールとの配合割合が、非イオン性界面活性剤約10重量部〜約90重量部に対して、エタノール約90重量部〜約10重量部である第〔4〕項記載の組成物、
〔9〕注射用組成物である第〔2〕項記載の組成物、
〔10〕非乳化組成物である第〔9〕項記載の組成物、
〔11〕澄明である第〔2〕項記載の組成物、
〔12〕一酸化窒素および/またはサイトカイン産生抑制剤である第〔2〕項記載の組成物、
〔13〕心疾患、自己免疫疾患またはセプティックショックの予防・治療剤である第〔2〕項記載の組成物、
【0020】
〔14〕式(I)
【0021】
【化43】
Figure 0004922507
【0022】
[式中、各記号は第〔1〕項と同意義を示す]で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグと非イオン性界面活性剤とを混合することを含む、当該化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグの溶解性、安定性または着色性を改善する方法、
〔15〕哺乳動物に対して第〔2〕項記載の組成物を有効量投与することを含む、心疾患、自己免疫疾患またはセプティックショックの予防または治療方法、
〔16〕心疾患、自己免疫疾患またはセプティックショックの予防・治療剤を製造するための第〔2〕項記載の組成物の使用、
【0023】
〔17〕式(I)
【0024】
【化44】
Figure 0004922507
【0025】
[式中、各記号は第〔1〕項と同意義を示す]で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグと易水溶性シクロデキストリン誘導体とを含有する医薬組成物、
【0026】
〔18〕易水溶性シクロデキストリン誘導体が、式
【0027】
【化45】
Figure 0004922507
【0028】
〔式中、qは6から12までの整数を示し、R6,R7およびR8は個々の繰り返し単位中で同一または異なって、それぞれ水素原子、ジヒドロキシアルキル基、糖残基またはヒドロキシアルキル基を示し、R6,R7およびR8のうち少なくとも一つがジヒドロキシアルキル基、糖残基またはヒドロキシアルキル基である。〕で表される第〔17〕項記載の組成物、
〔19〕R6,R7およびR8のうち少なくとも一つが糖残基であり、残りの基が水素原子である第〔18〕項記載の組成物、
【0029】
〔20〕糖残基が、グルコシル基,マルトシル基,マルトトリオシル基およびジマルトシル基からなる群より選ばれる第〔18〕項または第〔19〕項記載の組成物、
〔21〕易水溶性シクロデキストリン誘導体が、マルトシル−β−シクロデキストリンである第〔17〕項記載の組成物、
〔22〕式(I)で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグ1モルに対して、易水溶性シクロデキストリン誘導体約0.1〜約100モルを含有する第〔17〕項記載の組成物、
〔23〕式(I)で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグ1モルに対して、易水溶性シクロデキストリン誘導体約1〜約5モルを含有する第〔17〕項記載の組成物、
〔24〕当該化合物が▲1▼d-エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、▲2▼d-エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、▲3▼エチル 6-[N-(2-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、▲4▼エチル 6-[N-(2-クロロ-4-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートまたはその塩である第〔17〕項記載の組成物、
【0030】
〔25〕注射用組成物である第〔17〕項記載の組成物、
〔26〕一酸化窒素および/またはサイトカイン産生抑制剤である第〔17〕項記載の組成物、
〔27〕心疾患、自己免疫疾患またはセプティックショックの予防・治療剤である第〔17〕項記載の組成物、
【0031】
〔28〕式(I)
【0032】
【化46】
Figure 0004922507
【0033】
[式中、各記号は第〔1〕項と同意義を示す]で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグと易水溶性シクロデキストリン誘導体とを混合することを含む、当該化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグの水に対する溶解性、安定性または着色性を改善する方法、
〔29〕哺乳動物に対して第〔17〕項記載の組成物を有効量投与することを含む、心疾患、自己免疫疾患またはセプティックショックの予防または治療方法、および
〔30〕心疾患、自己免疫疾患またはセプティックショックの予防・治療剤を製造するための第〔17〕項記載の組成物の使用を提供する。
【0034】
さらに、本発明は、
〔31〕式(I)で表される化合物が、
(i)式
【0035】
【化47】
Figure 0004922507
【0036】
[式中、Rは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1(式中、R1は水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基または式
【0037】
【化48】
Figure 0004922507
【0038】
(式中、R1bは水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を、R1cはR1bと同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、R0は水素原子または脂肪族炭化水素基を、もしくはRとR0は一緒になって結合手を、環A2は(1)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(2)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(3)式−OR1(式中、R1は前記と同意義を示す。)で表される基および(4)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されたシクロアルケンを、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式
【0039】
【化49】
Figure 0004922507
【0040】
で表される基は、式
【0041】
【化50】
Figure 0004922507
【0042】
または
【0043】
【化51】
Figure 0004922507
【0044】
で表される基を、nは1〜4の整数を示す。]で表される化合物、または
(ii)式
【0045】
【化52】
Figure 0004922507
【0046】
[式中、Raは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1a(式中、R1aは水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基または式
【0047】
【化53】
Figure 0004922507
【0048】
(式中、R1aは前記と同意義を、R1bはR1aと同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、R0aは水素原子または脂肪族炭化水素基を、もしくはRaとR0aは一緒になって結合手を、Araは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式
【0049】
【化54】
Figure 0004922507
【0050】
で表される基は、式
【0051】
【化55】
Figure 0004922507
【0052】
または
【0053】
【化56】
Figure 0004922507
【0054】
で表される基を、nは1〜4の整数を示す。]で表される化合物である第〔1〕、〔2〕または〔17〕項記載の組成物、
〔32〕式(Iaa)で表される化合物が、式
【0055】
【化57】
Figure 0004922507
【0056】
[式中、各記号は第〔1〕項記載と同意義を示す]で表される化合物である第〔31〕項記載の組成物、
〔33〕環A2が低級アルキル、フェニルまたはハロゲンで置換されたシクロアルケンであり、R1が低級アルキル基であり、Arが置換基を有していてもよいフェニル基であり、nが2である第〔31〕項記載の組成物、
〔34〕式(Ie)で表される化合物が、式
【0057】
【化58】
Figure 0004922507
【0058】
[式中、Rは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1(式中、R1は水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基または式
【0059】
【化59】
Figure 0004922507
【0060】
(式中、R1bは水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を、R1cはR1bと同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、R0は水素原子または脂肪族炭化水素基を、もしくはRとR0は一緒になって結合手を、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式
【0061】
【化60】
Figure 0004922507
【0062】
で表される基は、式
【0063】
【化61】
Figure 0004922507
【0064】
または
【0065】
【化62】
Figure 0004922507
【0066】
で表される基を、nは1〜4の整数を示す。但し、nが1または2であり、(i)R1が水素原子またはエチル基、R0がメチル基、かつAr がフェニル基であるとき、または(ii)RとR0は一緒になって結合手を示し、かつAr がフェニル基、2−メチルフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−メトキシフェニル基または2,6−ジメチルフェニル基であるとき、式
【0067】
【化63】
Figure 0004922507
【0068】
で表される基は、式
【0069】
【化64】
Figure 0004922507
【0070】
で表される基である。]で表される化合物である第〔31〕項記載の組成物、
〔35〕式(Ia)で表される化合物が、式
【0071】
【化65】
Figure 0004922507
【0072】
[式中、R2は水素原子または脂肪族炭化水素基を、R1、Ar、nおよび式
【0073】
【化66】
Figure 0004922507
【0074】
で表される基は第〔33〕項記載と同意義を示す。但し、nが1または2、Ar がフェニル基、R1が水素原子またはエチル基、かつR2がメチル基であるとき、式
【0075】
【化67】
Figure 0004922507
【0076】
で表される基は、式
【0077】
【化68】
Figure 0004922507
【0078】
で表される基である。]で表される化合物である第〔34〕項記載の組成物、
〔36〕R1が置換基を有していてもよい低級アルキル基である第〔35〕項記載の組成物、
〔37〕R1がエチル基である第〔35〕項記載の組成物、
〔38〕R2が水素原子または低級アルキル基である第〔35〕項記載の組成物、
〔39〕R2が水素原子である第〔35〕項記載の組成物、
〔40〕Arが置換基を有していてもよいフェニル基である第〔35〕項記載の組成物、
〔41〕Arがハロゲンまたは/および低級アルキルで置換されたフェニル基である第〔35〕項記載の組成物、
〔42〕Arが、式
【0079】
【化69】
Figure 0004922507
【0080】
[式中、R4およびR5は同一または異なってハロゲン原子または低級アルキル基を、nは0〜2の整数を示す。]で表される基である第〔35〕項記載の組成物、
〔43〕ハロゲン原子がフッ素原子または塩素原子である第〔35〕項記載の組成物、
〔44〕式
【0081】
【化70】
Figure 0004922507
【0082】
で表される基が式
【0083】
【化71】
Figure 0004922507
【0084】
[式中、nは第〔34〕項記載と同意義を示す。]で表される基である第〔35〕項記載の組成物、
〔45〕nが1〜3である第〔35〕項記載の組成物、
〔46〕R1が置換基を有していてもよい低級アルキル基であり、R2が水素原子または低級アルキル基であり、Arが置換基を有していてもよいフェニル基であり、nが1、2または3である第〔35〕項記載の組成物、
〔47〕R1が置換基を有していてもよい低級アルキル基であり、R2が水素原子であり、Arがハロゲン原子で置換されたフェニル基であり、nが2である第〔35〕項記載の組成物、
〔48〕式(Ia)で表される化合物が、式
【0085】
【化72】
Figure 0004922507
【0086】
[式中、Arおよびnは第〔34〕項記載と同意義を示す]で表される化合物である第〔34〕項記載の組成物、
〔49〕Arが置換基を有していてもよいフェニル基であり、nが2である第〔48〕記載の組成物、
〔50〕式(Ia)で表される化合物が、式
【0087】
【化73】
Figure 0004922507
【0088】
[式中、R1、R2およびArは第〔35〕項記載と同意義を、式
【0089】
【化74】
Figure 0004922507
【0090】
で表される基は、式
【0091】
【化75】
Figure 0004922507
【0092】
または
【0093】
【化76】
Figure 0004922507
【0094】
で表される基を示す。但し、Ar がフェニル基、R1が水素原子またはエチル基、かつR2がメチル基であるとき、式
【0095】
【化77】
Figure 0004922507
【0096】
で表される基は式
【0097】
【化78】
Figure 0004922507
【0098】
で表される基である。]で表される化合物である第〔34〕項記載の組成物、
〔51〕式(Ie)で表される化合物が、式
【0099】
【化79】
Figure 0004922507
【0100】
[式中、R2aは水素原子または脂肪族炭化水素基を、R1a、Ara、nおよび式
【0101】
【化80】
Figure 0004922507
【0102】
で表される基は第〔31〕項記載と同意義を示す。]で表される化合物である第〔31〕項記載の組成物、および
〔52〕式(Ie)で表される化合物が、式
【0103】
【化81】
Figure 0004922507
【0104】
[式中、R1a、R2aおよびAraは第〔51〕項記載と同意義を、式
【0105】
【化82】
Figure 0004922507
【0106】
で表される基は式
【0107】
【化83】
Figure 0004922507
【0108】
または
【0109】
【化84】
Figure 0004922507
【0110】
で表される基を示す。]で表される化合物である第〔31〕項記載の組成物を提供する。
【0111】
本明細書において、Rは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1(式中、R1は水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基、または式
【0112】
【化85】
Figure 0004922507
【0113】
(式中、R1bは水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を、R1cはR1bと同一または異なって、水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基、もしくはR0と一緒になって結合手を形成することを示すが、とりわけ、式−OR1[R1は前記と同意義を示す。]で表される基を示すものが好ましい。
【0114】
また、Raは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1a(式中、R1aは水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基、または式
【0115】
【化86】
Figure 0004922507
【0116】
(式中、R1aは前記と同意義を、R1bはR1aと同一または異なって、水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基、もしくはR0aと一緒になって結合手を形成することを示すが、とりわけ、式−OR1a[R1aは前記と同意義を示す。]で表される基を示すものが好ましい。
【0117】
RとR0が一緒になって結合手を示しているとき、式(Iaa)で表される化合物は、式
【0118】
【化87】
Figure 0004922507
【0119】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができ、具体的には、式
【0120】
【化88】
Figure 0004922507
【0121】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]または
【0122】
【化89】
Figure 0004922507
【0123】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができる。
RとR0が一緒になって結合手を示しているとき、式(Ia)で表される化合物は、式
【0124】
【化90】
Figure 0004922507
【0125】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができ、具体的には、式
【0126】
【化91】
Figure 0004922507
【0127】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]または
【0128】
【化92】
Figure 0004922507
【0129】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができる。
【0130】
aとR0aが一緒になって結合手を示しているとき、式(Ie)で表される化合物は、式
【0131】
【化93】
Figure 0004922507
【0132】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができ、具体的には、式
【0133】
【化94】
Figure 0004922507
【0134】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]または
【0135】
【化95】
Figure 0004922507
【0136】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができる。
【0137】
Rが、式−OR1[式中、R1は前記と同意義を示す。]で表される基であるとき、式(Iaa)で表される化合物は、式
【0138】
【化96】
Figure 0004922507
【0139】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができ、具体的には、式
【0140】
【化97】
Figure 0004922507
【0141】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]または
【0142】
【化98】
Figure 0004922507
【0143】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができる。
【0144】
Rが、式−OR1[式中、R1は前記と同意義を示す。]で表される基であるとき、式(Ia)で表される化合物は、式
【0145】
【化99】
Figure 0004922507
【0146】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができ、具体的には、式
【0147】
【化100】
Figure 0004922507
【0148】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]または
【0149】
【化101】
Figure 0004922507
【0150】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができる。
【0151】
aが、式−OR1a[式中、R1aは前記と同意義を示す。]で表される基であるとき、式(Ie)で表される化合物は、式
【0152】
【化102】
Figure 0004922507
【0153】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができ、具体的には、式
【0154】
【化103】
Figure 0004922507
【0155】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]または
【0156】
【化104】
Figure 0004922507
【0157】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができる。
式(Iaa)で表される化合物としては式(Icc)または式(Inn)で表される化合物が好ましく、式(Ia)で表される化合物としては式(Ic)または式(In)で表される化合物が好ましく、式(Ie)で表される化合物としては式(Ik)または式(Ip)で表される化合物が好ましい。
【0158】
同様に、式(Id)で表される化合物は式
【0159】
【化105】
Figure 0004922507
【0160】
[式中、各記号は前記と同意義を有する。]または、式
【0161】
【化106】
Figure 0004922507
【0162】
[式中、各記号は前記と同意義を有する。]で表すことができ、式(Ig)で表される化合物は式
【0163】
【化107】
Figure 0004922507
【0164】
[式中、各記号は前記と同意義を有する。]または、式
【0165】
【化108】
Figure 0004922507
【0166】
[式中、各記号は前記と同意義を有する。]で表すことができる。
【0167】
式(Id)で表される化合物としては式(Ir)で表される化合物が、式(Ig)で表される化合物としては式(It)で表される化合物が好ましい。
【0168】
式(Ia)で表される化合物において、nが1または2であり、(i)R1が水素原子またはエチル基、R0がメチル基、かつAr がフェニル基であるとき、または(ii)RとR0は一緒になって結合手を示し、かつAr がフェニル基、2−メチルフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−メトキシフェニル基または2,6−ジメチルフェニル基であるとき、式
【0169】
【化109】
Figure 0004922507
【0170】
で表される基は、式
【0171】
【化110】
Figure 0004922507
【0172】
で表される基である。さらに、nが1〜4であり、(i)R1が水素原子または置換基を有していてもよい低級アルキル基、R0が置換基を有していてもよい低級アルキル基、かつAr が置換基を有していてもよいフェニル基であるとき、または(ii)RとR0は一緒になって結合手を示し、かつAr が置換基を有していてもよいフェニル基であるとき、式
【0173】
【化111】
Figure 0004922507
【0174】
で表される基は、式
【0175】
【化112】
Figure 0004922507
【0176】
で表される基であってもよい。
【0177】
式(Ib)で表される化合物において、nが1または2であり、R1が水素原子またはエチル基、R0がメチル基、かつAr がフェニル基であるとき、式
【0178】
【化113】
Figure 0004922507
【0179】
で表される基は、式
【0180】
【化114】
Figure 0004922507
【0181】
で表される基である。さらに、nが1〜4であり、R1が水素原子または置換基を有していてもよい低級アルキル基、R0が置換基を有していてもよい低級アルキル基、かつAr が置換基を有していてもよいフェニル基であるとき、式
【0182】
【化115】
Figure 0004922507
【0183】
で表される基は、式
【0184】
【化116】
Figure 0004922507
【0185】
で表される基であってもよい。
【0186】
【発明の実施の形態】
R、R1、R1a、R1b、R1cで表される「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「脂肪族炭化水素基」、R0、R0a、R2、R2aで表される「脂肪族炭化水素基」としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが好ましい。
【0187】
該アルキル基としては、例えば、直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜20のアルキル基(例、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数1〜6の低級アルキル基(例、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基など)などが好ましい。
【0188】
該シクロアルキル基としては、例えば、炭素数3〜10のシクロアルキル基(例、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基(例、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)などが好ましい。
【0189】
該シクロアルキルアルキル基としては、例えば、炭素数4〜12のシクロアルキルアルキル基(例、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数4〜8(なかでも4〜7)のシクロアルキルアルキル基(例、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基など)などが好ましい。
【0190】
該アルケニル基としては、例えば、炭素数3〜6の低級アルケニル基(例、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数3または4の低級アルケニル基(例、プロペニル基、ブテニル基など)などが好ましい。
【0191】
該アルキニル基としては例えば、炭素数3〜6の低級アルキニル基(例、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数3または4の低級アルキニル基(例、プロピニル基、ブチニル基など)などが好ましい。
【0192】
前記「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「置換基」としては、例えば、複素環基、オキソ基、水酸基、C1-6アルコキシ基、C3-10(なかでもC3-6)シクロアルキルオキシ基、C6-10アリールオキシ基、C7-19(なかでもC7-12)アラルキルオキシ基、複素環オキシ基、C1-6アルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、C3-10(なかでもC3-6)シクロアルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、C6-10アリールチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、C7-19(なかでもC7-12)アラルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、複素環チオ基、複素環スルフィニル基、複素環スルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、C1-10(なかでもC1-6)アルコキシ−カルボニル基、C3-6シクロアルキルオキシ−カルボニル基、C6-10アリールオキシ−カルボニル基、C7-19(なかでもC7-12)アラルキルオキシ−カルボニル基、複素環オキシカルボニル基、C6-10アリール−カルボニル基、C1-6アルカノイル基、C3-5アルケノイル基、C6-10アリール−カルボニルオキシ基、C2-6アルカノイルオキシ基、C3-5アルケノイルオキシ基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいチオカルバモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイルオキシ基、C1-6アルカノイルアミノ基、C6-10アリール−カルボニルアミノ基、C1-10(なかでもC1-6)アルコキシ−カルボキサミド基、C6-10アリールオキシ−カルボキサミド基、C7-19(なかでもC7-12)アラルキルオキシ−カルボキサミド基、C1-10(なかでもC1-6)アルコキシ−カルボニルオキシ基、C6-10アリールオキシ−カルボニルオキシ基、C7-19(なかでもC7-12)アラルキルオキシ−カルボニルオキシ基、C3-10(なかでもC3-6)シクロアルキルオキシ−カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいウレイド基、置換基を有していてもよいC6-10アリール基などが用いられる。
【0193】
これらの置換基は前記「脂肪族炭化水素基」の置換可能な部位に置換されており、該置換基は1個に限定されず、同一または異なって複数個(2〜4個)あってもよい。
【0194】
「C1-6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基などが、「C3-10シクロアルキルオキシ基」としては、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが、「C6-10アリールオキシ基」としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが、「C7-19アラルキルオキシ基」としては、例えば、ベンジルオキシ基、1−フェニルエチルオキシ基、2−フェニルエチルオキシ基、ベンズヒドリルオキシ基、1−ナフチルメチルオキシ基などが、「C1-6アルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)」としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基などが、「C3-10シクロアルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)」としては、例えば、シクロプロピルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロペンチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルホニル基などが、「C6-10アリールチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)」としては、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、フェニルスルフィニル基、フェニルスルホニル基などが、「C7-19アラルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)」としては、例えば、ベンジルチオ基、フェニルエチルチオ基、ベンズヒドリルチオ基、ベンジルスルフィニル基、ベンジルスルホニル基などが、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが、「C1-10アルコキシ−カルボニル基」としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基などが、「C3-6シクロアルキルオキシカルボニル基」としては、例えば、シクロプロピルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ノルボルニルオキシカルボニル基などが、「C6-10アリールオキシ−カルボニル基」としては、例えば、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基などが、「C7-19アラルキルオキシ−カルボニル基」としては、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、ベンズヒドリルオキシカルボニル基、2−フェネチルオキシカルボニル基などが、「C6-10アリール−カルボニル基」としては、例えば、ベンゾイル基、ナフトイル基、フェニルアセチル基などが、「C1-6アルカノイル基」としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ピバロイル基などが、「C3-5アルケノイル基」としては、例えば、アクリロイル基、クロトノイル基などが、「C6-10アリール−カルボニルオキシ基」としては、例えば、ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基、フェニルアセトキシ基などが、「C2-6アルカノイルオキシ基」としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基などが、「C3-5アルケノイルオキシ基」としては、例えば、アクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基などが用いられる。
【0195】
「置換基を有していてもよいカルバモイル基」としては、例えば、C1-4アルキル(例、メチル、エチルなど)、フェニル、C1-7アシル(例、アセチル、プロピオニル、ベンゾイルなど)、C1-4アルコキシ−フェニル(例、メトキシフェニルなど)などから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよい、カルバモイル基あるいは環状アミノカルボニル基などが用いられ、具体的には、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−アセチルカルバモイル基、N−ベンゾイルカルバモイル基、N−(p−メトキシフェニル)カルバモイル基、1−ピロリジニルカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、1−ピペラジニルカルボニル基、モルホリノカルボニル基などが用いられる。「置換基を有していてもよいチオカルバモイル基」としては、例えば、C1-4アルキル(例、メチル、エチルなど)、フェニルなどから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよいチオカルバモイル基が用いられ、具体的には、例えば、チオカルバモイル基、N−メチルチオカルバモイル基、N−フェニルチオカルバモイル基などが用いられる。「置換基を有していてもよいカルバモイルオキシ基」としては、例えば、C1-4アルキル(例、メチル、エチルなど)、フェニルなどから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよいカルバモイルオキシ基が用いられ、具体的には、例えば、カルバモイルオキシ基、N−メチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N−エチルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基などが用いられる。
【0196】
「C1-6アルカノイルアミノ基」としては、例えば、アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブチロアミド基、バレロアミド基、ピバロアミド基などが、「C6-10アリール−カルボニルアミノ基」としては、例えば、ベンズアミド基、ナフトアミド基、フタルイミド基などが、「C1-10アルコキシ−カルボキサミド基」としては、例えば、メトキシカルボキサミド(CH3OCONH−)基、エトキシカルボキサミド基、tert−ブトキシカルボキサミド基などが、「C6-10アリールオキシ−カルボキサミド基」としては、例えば、フェノキシカルボキサミド(C65OCONH−)基などが、「C7-10アラルキルオキシ−カルボキサミド基」としては、例えば、ベンジルオキシカルボキサミド(C65CH2OCONH−)基、ベンズヒドリルオキシカルボキサミド基などが、「C1-10アルコキシ−カルボニルオキシ基」としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−ペンチルオキシカルボニルオキシ基、n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ基などが、「C6-10アリールオキシ−カルボニルオキシ基」としては、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、ナフチルオキシカルボニルオキシ基などが、「C7-19アラルキルオキシ−カルボニルオキシ基」としては、例えば、ベンジルオキシカルボニルオキシ基、1−フェニルエチルオキシカルボニルオキシ基、2−フェニルエチルオキシカルボニルオキシ基、ベンズヒドリルオキシカルボニルオキシ基などが、「C3-10シクロアルキルオキシ−カルボニルオキシ基」としては、例えば、シクロプロピルオキシカルボニルオキシ基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基などが用いられる。
【0197】
「置換基を有していてもよいウレイド基」としては、例えば、C1-4アルキル基(例、メチル基、エチル基など)、フェニル基などから選ばれた1〜3個(なかでも1または2個)の置換基で置換されていてもよいウレイド基が用いられ、例えばウレイド基、1−メチルウレイド基、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基、3−フェニルウレイド基などが用いられる。
【0198】
「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「置換基」として、複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、複素環スルフィニル基、複素環スルホニル基または複素環オキシカルボニル基が用いられる場合、該複素環基は複素環に結合している水素原子を1個とりのぞいてできる基を表し、例えば窒素原子(オキシド化されていてもよい)、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1〜数個、好ましくは1〜4個含む5〜8員環(なかでも5〜6員環)基、またはその縮合環基を示す。このような複素環基としては、例えばピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、1,2,4−オキサジアゾリル基、1,2,5−オキサジアゾリル基、1,3,4−オキサジアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3−チアジアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,2,5−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、インドリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジオキシニル基、ジオキソリル基、キノリル基、ピリド〔2,3−d〕ピリミジル基、1,5−,1,6−,1,7−,1,8−,2,6−または2,7−ナフチリジル基、チエノ〔2,3−d〕ピリジル基、ベンゾピラニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基などが用いられる。
【0199】
これら複素環基は、C1-4アルキル(例、メチル、エチルなど)、ヒドロキシ、オキソ、C1-4アルコキシ(例、メトキシ、エトキシなど)などから選ばれた1〜3個の置換基によって置換可能な部位が置換されていてもよい。
【0200】
「置換基を有していてもよいC6-10アリール基」の「C6-10アリール基」としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが用いられる。該C6-10アリール基は、前記「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「置換基」(置換基を有していてもよいC6-10アリール基を除く)から選ばれた置換基で置換可能な部位が置換されていてもよい。それらの置換基は、該C6-10アリール基の置換可能な部位に置換されており、該置換基は1個に限定されず、同一または異なって複数個(2〜4個)あってもよい。
【0201】
また、「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」は、置換基が脂肪族炭化水素基と一緒になって置換されていてもよい縮合環基を形成していてもよく、このような縮合環基としてはインダニル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基などが用いられる。この縮合環基は、前記「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「置換基」から選ばれた置換基で置換可能な部位が置換されていてもよい。それらの置換基は、該縮合環基の置換可能な部位に置換されており、該置換基は1個に限定されず、同一または異なって複数個(2〜4個)あってもよい。
【0202】
R、R1、R1a、R1b、R1c、としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基(例、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、ヒドロキシエチル基など)などが好ましく用いられ、なかでも、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などが好ましく用いられる。とりわけ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基などが好ましく、なかでもエチル基などが好ましい。
【0203】
2、R2aとしては、例えば、水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基(例、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、ヒドロキシエチル基など)などが好ましく用いられ、とりわけ、水素原子、メチル基などが好ましく用いられ、なかでも水素原子などが好ましく用いられる。
【0204】
Ar、Araで表される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」における「芳香族炭化水素基」としては、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基(例、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アンスリル基、インデニル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基など)などが好ましく、なかでもフェニル基などが特に好ましい。
【0205】
Ar 、Ara で表される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」における「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、低級(C1-4)アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)、低級(C1-4)アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など)、低級(C1-4)アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基など)、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アシルアミノ基(例、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基などの炭素数1〜4のアルカノイルアミノ基など)、炭素数3〜6のシクロアルキル基(例、シクロプロピル基、シクロペンチル基など)、炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基、インデニル基など)、ハロゲノ低級(C1-4)アルキル基(例、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基など)、ハロゲノ低級(C1-4)アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基など)、低級(C1-4)アルキルチオ基(例、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピオニルチオ基など)、低級(C1-4)アルキルスルホニル基(例、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基など)、低級(C1-4)アルカノイル基(例、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基など)、5員の芳香族複素環基(例、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、チエニル基、フリル基など)、カルバモイル基、低級(C1-4)アルキル−カルバモイル基(例、メチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、プロピオニルカルバモイル基など)、低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)アルキル−カルバモイル基(例、ブトキシカルボニルメチルカルバモイル基、エトキシカルボニルメチルカルバモイル基など)、1,3−ジアシルグアニジノ−低級(C1-4)アルキル基(例、1,3−ジアセチルグアニジノメチル、1,3−ビス−tert−ブトキシカルボニルグアニジノメチルなど)などが、好ましくはハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、低級(C1-4)アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)などが、より好ましくはフッ素原子、塩素原子、メチル基が用いられる。
【0206】
これらの置換基は該芳香族炭化水素基の置換可能な部位に置換されており、置換基の数は1〜5個が好ましく、1〜3個がより好ましく、1〜2個がとりわけ好ましい。該置換基が2個以上存在するときはそれら置換基は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0207】
Ar、Araとして、具体的には、例えば、フェニル基、ハロゲノフェニル基、低級(C1-4)アルキルフェニル基、低級(C1-4)アルコキシフェニル基、低級(C1-4)アルコキシカルボニルフェニル基、カルボキシルフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ハロゲノ低級(C1-4)アルキルフェニル基、ハロゲノ低級(C1-4)アルコキシフェニル基、低級(C1-4)アルカノイルフェニル基、5員の芳香族複素環で置換されたフェニル基、低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)アルキル−カルバモイルフェニル基、1,3−ジアシルグアニジノ−低級(C1-4)アルキルフェニル基、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルキルで置換されたフェニル基、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルコキシカルボニルで置換されたフェニル基、ハロゲンおよびシアノで置換されたフェニル基、ハロゲンおよび5員の芳香族複素環で置換されたフェニル基、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)アルキル−カルバモイルで置換されたフェニル基などが用いられる。
【0208】
Ar、Araとしては、ハロゲノフェニル基、低級(C1-4)アルキルフェニル基、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルコキシカルボニルで置換されたフェニル基などが好ましく用いられる。
【0209】
Ar、Araとしては、式
【0210】
【化117】
Figure 0004922507
【0211】
[式中、R4およびR5は同一または異なってハロゲン原子または低級アルキル基を、nは0〜2の整数を示す。]で表される基がより好ましく、R4およびR5の少なくとも一方がハロゲン原子であるものがさらに好ましい。
【0212】
4およびR5で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
【0213】
該ハロゲノフェニル基としては、例えば、2,3−ジフルオロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−フルオロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−フルオロ−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、4−ブロモ−2−フルオロフェニル基、2,3,4−トリフルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニルなどが用いられる。
【0214】
該低級(C1-4)アルキルフェニル基としては、例えば、2−エチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基などが好ましく用いられ、該低級(C1-4)アルコキシフェニル基としては、例えば4−メトキシフェニルなどが好ましく用いられる。
【0215】
該低級(C1-4)アルコキシ−カルボニルフェニル基としては、例えば、2−エトキシカルボニルフェニル基、2−メトキシカルボニルフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基などが好ましく用いられ、該ハロゲノ低級(C1-4)アルキルフェニル基としては、例えば、2−トリフルオロメチルフェニル基などが好ましく用いられ、該ハロゲノ低級(C1-4)アルコキシフェニル基としては、例えば、2−トリフルオロメトキシフェニル基、4−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)フェニル基などが好ましく用いられる。
【0216】
該低級(C1-4)アルカノイルフェニル基としては、例えば、2−アセチルフェニル基などが好ましく用いられ、該5員の芳香族複素環で置換されたフェニル基としては、例えば、4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル基、4−(2H−テトラゾール−2−イル)フェニル基、4−(1H−テトラゾール−1−イル)フェニル基、4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル基などが好ましく用いられ、該低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)アルキル−カルバモイルフェニル基としては、例えば、4−(N−エトキシカルボニルメチルカルバモイル)フェニル基などが好ましく用いられ、該1,3−ジアシルグアニジノ−低級(C1-4)アルキルフェニル基としては、例えば、4−(1,3−ビス−tert−ブトキシカルボニルグアニジノメチル)フェニル基などが好ましく用いられる。
【0217】
該ハロゲンおよび低級(C1-4)アルキルで置換されたフェニル基としては、例えば、2−フルオロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基、4−フルオロ−2−メチルフェニル基などが好ましく用いられ、該ハロゲンおよび低級(C1-4)アルコキシ−カルボニルで置換されたフェニル基としては、例えば、2−クロロ−4−メトキシカルボニルフェニル基などが好ましく用いられ、該ハロゲンとシアノで置換されたフェニル基としては、2−クロロ−4−シアノフェニル基などが好ましく用いられ、該ハロゲンと5員の芳香族複素環で置換されたフェニル基としては、例えば、2−フルオロ−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニルなどが好ましく用いられ、該ハロゲンおよび低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)−アルキル−カルバモイルで置換されたフェニル基としては、例えば、2−クロロ−4−(N−tert−ブトキシカルボニルメチルカルバモイル)フェニル基、2−クロロ−4−(N−エトキシカルボニルメチルカルバモイル)フェニル基などが好ましく用いられる。
【0218】
さらに具体的に、Ar、Araとしては、とりわけフェニル基、1〜3個(なかでも1〜2個)のハロゲンで置換されたフェニル基(例、2,3−ジフルオロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、4−ブロモ−2−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−フルオロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−フルオロ−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、2,3,4−トリフルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基など)、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルキルで置換されたフェニル基(例、2−クロロ−4−メチルフェニル基、4−フルオロ−2−メチルフェニル基など)などが好ましい。なかでも、1〜3個(なかでも1〜2個)のハロゲンで置換されたフェニル基(例、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基など)、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルキルで置換されたフェニル基(例、2−クロロ−4−メチルフェニル基、4−フルオロ−2−メチルフェニル基など)などが好ましい。特に、2,4−ジフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基などが好ましく、2,4−ジフルオロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基などが好ましい。
【0219】
本明細書において環A1は(i)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(ii)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(iii)式−OR1(式中、R1は前記と同意義を示す。)で表される基および(iv)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されれていてもよいシクロアルケンを示すが、(i)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(ii)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基および(iv)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されていてもよいシクロアルケンが好ましい。
【0220】
本明細書において環A2は(i)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(ii)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(iii)式−OR1(式中、R1は前記と同意義を示す。)で表される基および(iv)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されたシクロアルケンを示すが、(i)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(ii)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基および(iv)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されたシクロアルケンが好ましい。
【0221】
これらの置換基は、環A1および環A2上の置換可能な炭素原子上に置換しており、環A1および環A2が複数個の置換基で置換されている場合、それらの置換基の種類は同一であっても異なっていてもよい。また、同一の炭素原子上に2個の置換基が置換していてもよく、異なった炭素原子上に複数の置換基が置換していてもよい。
【0222】
環A1および環A2の置換基である「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」としては、例えば、前述のR、R1、R1a、R1b、R1cで表される「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」と同様のものを用いることができる。
【0223】
環A1および環A2の置換基である「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」としては、例えば、前述のAr、Araで表される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」と同様のものを用いることができる。
【0224】
環A1および環A2の置換基である「置換基を有していてもよい複素環基」としては、例えば、前述のR、R1、R1a、R1b、R1cで表される「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「置換基」である「複素環基」と同様のものを用いることができる。
【0225】
環A1および環A2の置換基としては、1または2個のC1-6アルキル基(例、メチル基、tert-ブチル基などのC1-4アルキル基)、フェニル基、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)などが好ましく用いられる。
【0226】

【0227】
【化118】
Figure 0004922507
【0228】
[式中、nは前記と同意義を示す。]で表される基は、式
【0229】
【化119】
Figure 0004922507
【0230】
または
【0231】
【化120】
Figure 0004922507
【0232】
[式中、nは前記と同意義を示す。]で表される基であることを示すが、式
【0233】
【化121】
Figure 0004922507
【0234】
[式中、nは前記と同意義を示す。]で表される基であることが好ましい。
【0235】

【0236】
【化122】
Figure 0004922507
【0237】
[式中、nは前記と同意義を示す。]で表される基は、式
【0238】
【化123】
Figure 0004922507
【0239】
または
【0240】
【化124】
Figure 0004922507
【0241】
[式中、nは前記と同意義を示す。]で表される基であることを示すが、式
【0242】
【化125】
Figure 0004922507
【0243】
[式中、nは前記と同意義を示す。]で表される基であることが好ましい。
【0244】
また、式
【0245】
【化126】
Figure 0004922507
【0246】
で表される基は、式
【0247】
【化127】
Figure 0004922507
【0248】
または
【0249】
【化128】
Figure 0004922507
【0250】
で表される基であることを示すが、式
【0251】
【化129】
Figure 0004922507
【0252】
で表される基であることが好ましい。
【0253】
nで表される1〜4の整数としては、1〜3が好ましく、とりわけ2が好ましい。
式(Iaa)で表される化合物としては、式(Ibb)で表されるものが好ましく、式(Ia)で表される化合物としては、式(Ib)で表されるものが好ましい。
式(Ibb)で表される化合物としては、式(Inn)で表されるものが好ましく、式(Ib)で表される化合物としては、式(In)で表されるものが好ましい。
【0254】
式(Ibb)、(Ib)で表される化合物としては、R1が置換基を有していてもよい低級アルキル基であり、R2が水素原子または低級アルキル基であり、Arが置換基を有していてもよいフェニル基であり、nが1、2または3であるものが好ましく、R1が置換基を有していてもよい低級アルキル基であり、R2が水素原子であり、Arがハロゲン原子で置換されたフェニル基であり、nが2であるものがさらに好ましい。
式(Icc)、(Ic)で表される化合物としては、Arが置換基を有していてもよいフェニル基であり、nが2であるものが好ましい。
【0255】
式(I)、(Iaa)、(Ibb)、(Icc)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)で表される化合物において立体異性体が存在する場合は、それぞれの立体異性体並びにそれら立体異性体の混合物の何れもが本発明に包含されるものである。
さらに、式(Iaa)で表される化合物が式(Icc)または(Inn)で表される化合物である場合、式(Ia)で表される化合物が式(Ic)または(In)で表される化合物である場合、式(Ie)で表される化合物が式(Ik)または(Ip)で表される化合物である場合、式(Id)で表される化合物が式(Ir)で表される化合物である場合、および式(Ig)で表される化合物が式(It)で表される化合物である場合は、それぞれシクロアルケンもしくはシクロヘキセン環内の不斉炭素に基づく、光学異性体が存在するが、それぞれの光学異性体ならびにそれら光学異性体の混合物のいずれもが本発明に包含されるものである。
【0256】
式(I)または(Ia)で表される化合物としては、具体的には、後述する参考例Bで得られる化合物などが用いられ、なかでも▲1▼d-エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、▲2▼エチル 6-[N-(2-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、▲3▼エチル 6-[N-(2-クロロ-4-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートもしくは▲4▼d-エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートまたはその塩などが好ましい。
【0257】
本発明の組成物に用いられる化合物(I)、(Iaa)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ibb)、(Icc)(以下、本発明の化合物と略記する)は、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などにすることができる。無機塩基との塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが用いられ、有機塩基との塩としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が用いられる。無機酸との塩としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が用いられ、有機酸との塩としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が用いられる。塩基性アミノ酸との塩としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が用いられ、酸性アミノ酸との塩としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が用いられる。
【0258】
本発明の化合物またはその塩のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸などによる反応により本発明の化合物に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解などを起こして本発明の化合物に変化する化合物、胃酸などにより加水分解などを起こして本発明の化合物に変化する化合物をいう。本発明の化合物のプロドラッグとしては、本発明の化合物のアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例、本発明の化合物のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物など);本発明の化合物の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例、本発明の化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など);本発明の化合物のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例、本発明の化合物のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など);などが挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって、本発明の化合物から製造することができる。
【0259】
また、本発明の化合物のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件で本発明の化合物に変化するものであってもよい。
本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグは、自体公知の方法、例えば、WO99/46242に記載の製造法あるいはそれに準じる方法に従って製造することができる。
本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグは水和物であっても無水和物であってもよい。
また、本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグは同位元素(例、3H、14C、35S、125Iなど)などで標識されていてもよい。
【0260】
本発明の医薬組成物に用いられる非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレノキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体などが用いられる。
【0261】
非イオン性界面活性剤の中でも、例えば、ポリオキシエチレンヒマシ油(polyethoxylated castor oil)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(polyethoxylated hydrogenated castor oil)などのポリオキシエチレンヒマシ油誘導体が好ましく用いられる。
【0262】
ポリオキシエチレンヒマシ油(polyethoxylated castor oil)としては、特に、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレート35(Polyoxy 35 Castor Oil、商品名クレモホールELもしくはEL−P、ビーエーエスエフジャパン(株))などが好適である。
【0263】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(polyethoxylated hydrogenated castor oil)としては、特に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(Polyoxyethylene Hydrogenated Castor Oil 50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(Polyoxyethylene Hydrogenated Castor Oil 60)などが好適である。
【0264】
本発明の医薬組成物は、非イオン性界面活性剤以外の界面活性剤を含んでいてもよく、具体的には、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤を含んでいてもよい。
【0265】
アニオン界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル類(例、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸、硫酸化オレフィン)、スルホン酸塩(例、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、イゲポンT型、エアロゾルOT型)、リン酸エステル類(例、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩)、ジチオリン酸エステル塩などが用いられる。
【0266】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型カチオン界面活性剤(例、高級アルキルアミンからつくられるアミン塩型カチオン界面活性剤、低高級アルキルアミンからつくられるアミン塩型カチオン界面活性剤)、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(例、高級アルキルアミンからつくられる第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、低高級アルキルアミンからつくられる第4級アンモニウム塩型界面活性剤)などが用いられる。
【0267】
両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤などが用いられる。
【0268】
さらに、本発明の医薬組成物は、エタノール、ベンジルアルコールまたはジメチルアセトアミドを含有していてもよい。これらのうち、好ましくはエタノールである。
【0269】
本発明の医薬組成物が注射剤の場合、pHを約3〜10、好ましくは約4〜9、より好ましくは約4〜7に調整するのがよい。
【0270】
本発明の医薬組成物は公知の方法で、化合物(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグ(以下、単に化合物(I)と略記)と非イオン性界面活性剤、必要に応じて、エタノールや他の界面活性剤などの添加剤とを混合することにより製造できる。
【0271】
本発明の医薬組成物は、かくして得られた溶液そのものでもよく、あるいは得られた粉末を適当な溶剤に溶解して得られる溶液でもよく、また、所望により、さらに薬理学的に許容される担体を適宜添加してもよい。
【0272】
本発明の医薬組成物は、毒性が低く、化合物(I)は自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等として、経口的又は非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。本発明の医薬組成物としては、注射剤が好ましく、更には非乳化組成物である、あるいは澄明な注射剤が好ましい。
【0273】
本発明において「非乳化組成物」とは、エマルションではない組成物、即ち、O/W型エマルションもしくはW/O型エマルションではない組成物をいう。即ち、二液を混合したときに、相分離、もしくは一方の相が他方の相に微粒子状に分散する乳化を引き起こさず、一相で均一に混合している組成物をいう。
【0274】
本発明において「澄明である」とは、可視的な油滴または粒子により濁っていない状態をいう。
【0275】
本発明の製剤の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質があげられ、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤、あるいは液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等があげられる。更に必要に応じ、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用いることもできる。
【0276】
賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
結合剤としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
溶剤としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0277】
懸濁化剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
等張化剤としては、例えばブドウ糖、 D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。
緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
無痛化剤としては、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。
防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が挙げられる。
【0278】
特に、本発明の医薬組成物を注射剤として用いる場合、注射剤用担体としては、例えば、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などが用いられる。溶剤としては、例えば、注射用水、生理食塩水、リンゲル液等が挙げられる。溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。等張化剤としては、例えば、ブドウ糖、 D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。pH調整剤としては、塩酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
【0279】
かくして得られた本発明の注射用組成物は、無菌処理した凍結乾燥機で凍結乾燥して粉末の状態で保管することもできるし、そのまま注射用容器(例、アンプル)に密封して保管することもできる。
また、本発明の医薬組成物は、前述の注射剤用担体で用時希釈して使用することもできる。
【0280】
本発明の医薬組成物における化合物(I)の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01ないし約99重量%、好ましくは約0.1ないし約50重量%、さらに好ましくは約0.5ないし約20重量%程度である。
【0281】
本発明の医薬組成物における非イオン性界面活性剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1ないし約99.99重量%、好ましくは約10ないし約90重量%、さらに好ましくは約10ないし約70重量%程度である。
【0282】
本発明の医薬組成物におけるエタノール、ベンジルアルコールまたはジメチルアセトアミドの含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1ないし約99.99重量%、好ましくは約10ないし約90重量%、さらに好ましくは約30ないし約90重量%程度である。
【0283】
本発明の医薬組成物における非イオン性界面活性剤とエタノールの配合割合(重量比)としては、特に限定されないが、例えば、非イオン性界面活性剤:エタノール=約0.01〜99.99:99.99〜0.01、好ましくは約1〜99:99〜1、より好ましくは約10〜90:90〜10などが挙げられる。より好ましくは、非イオン性界面活性剤:エタノール=約10〜80:90〜20、約50〜80:50〜20などが挙げられ、なかでも約20:80、約65:35などが好適である。
【0284】
本発明の医薬組成物における易水溶性シクロデキストリン誘導体の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1ないし約99.99重量%、好ましくは約10ないし約99.99重量%、さらに好ましくは約20ないし約97重量%、特に好ましくは約50ないし約97重量%程度である。
【0285】
本発明の医薬組成物における他の添加剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1ないし約99.99重量%、好ましくは約10ないし約90重量%、さらに好ましくは約10ないし約70重量%程度である。
【0286】
本発明の医薬組成物は、化合物(I)、非イオン性界面活性剤および易水溶性シクロデキストリン誘導体を含有する医薬組成物であってもよい。この場合、化合物(I)、非イオン性界面活性剤または易水溶性シクロデキストリン誘導体の各成分の組成物全体に対する含有量は、前記の場合と同様の範囲である。
【0287】
化合物(I)と易水溶性シクロデキストリン誘導体との複合体を含む本発明の医薬組成物を注射剤として用いる場合、上記の各種配合成分を混合した組成物を分画分子量が約1,000〜8,0000、好ましくは約2,000〜7,000、より好ましくは3,000〜7,000、特に好ましくは約6,000である中空糸膜限外濾過膜で濾過することにより、パイロジェン(例、エンドトキシン)を効率良く除去することができる。
このような中空糸膜限外濾過膜としては、市販のものを適宜使用することができ、例えば、分画分子量6,000の旭化成社製の中空糸膜限外濾過膜SIP−0013;ペンシル型モジュール(20φ×130mm)などが用いられる。
中空糸膜限外濾過膜のポアサイズとしては、通常約10〜100オングストローム、好ましくは約20〜60オングストロームである。
中空糸膜限外濾過膜は1本だけでもよいが、必要により2本以上(例えば、2〜3本、好ましくは2本)を直結して使用してもよい。特に、分画分子量6,000の中空糸膜限外濾過膜と分画分子量3,000の中空糸膜限外濾過膜の組み合わせが好適である。
中空糸膜限外濾過膜は、使用前に、例えば、次亜塩素酸ナトリウム溶液などで約1〜30時間程度、浸漬し、次いで、パイロジェンを含まない注射用水溶液で通過溶液のpHが約7.0になるまで洗浄する。
限外濾過時の気圧は、通常約0.05〜1.0kg/cm3、好ましくは約0.1〜0.5kg/cm3に設定する。濾過は、室温で行うことができ、無菌下で行うのが好ましい。
【0288】
本注射用組成物におけるパイロジェンの含有量は、通常約100EU/g以下、好ましくは約50EU/g以下、特に好ましくは約30EU/g以下である。
本注射用組成物におけるパイロジェンの含有量は、自体公知の方法に従って定量することができる。より具体的には、生化学工業株式会社製のトキシカラーシステムEt−2セット(標準エンドトキシン)、トキシカラーシステムLS−20セットなどのエンドトキシン測定試薬を用いてエンドトキシン濃度(EU)を405nmの吸光度により求めることができる。
かくして得られた本注射用組成物は、無菌処理した凍結乾燥機で凍結乾燥して粉末の状態で保管することもできるし、そのまま注射用容器(例、アンプル)に密封して保管することもできる。
【0289】
本発明の医薬組成物に用いられる易水溶性シクロデキストリン誘導体は、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法に従って製造することができる。
易水溶性シクロデキストリン誘導体としては、好ましくは6〜12個のグルコース単位からなる環状オリゴ糖のグルコースの2,3,6位の一部あるいはすべての水酸基の水素を他の官能基(例えば、ジヒドロキシアルキル基,糖残基,ヒドロキシアルキル基等)に置換した化合物などが用いられる。
【0290】
該易水溶性シクロデキストリン誘導体は、水に対する溶解度が約50mg/ml以上、好ましくは約100mg/ml以上である。
【0291】
易水溶性シクロデキストリン誘導体の望ましい具体例としては、一般式
【0292】
【化130】
Figure 0004922507
【0293】
〔式中、qは6〜12を満足する整数を、R6、R7およびR8は個々の繰り返し単位中で同一または異なって、それぞれ水素原子、ジヒドロキシアルキル基、糖残基またはヒドロキシアルキル基を示し、R6、R7およびR8のうち少なくとも1つがジヒドロキシアルキル基、糖残基またはヒドロキシアルキル基である。〕で表される化合物が挙げられる。その具体例としては、例えばα−CyD(q=6)、β−CyD(q=7)、γ−CyD(q=8)、δ−CyD(q=9)等の水酸基のエーテル誘導体が挙げられる。これらの中でβ−CyDの水酸基のエーテル誘導体が好ましい(本明細書において、CyDはシクロデキストリンを意味する)。
【0294】
6〜R8で示されるジヒドロキシアルキル基としては、例えばジヒドロキシ −C1-6アルキル基(例、ジヒドロキシメチル、2,2−ジヒドロキシエチル、2,2−ジヒドロキシプロピル,2,2−ジヒドロキシペンチル,2,2−ジヒドロキシヘキシル等),好ましくはジヒドロキシ−C1-4アルキル基(例、ジヒドロキシメチル、2,2−ジヒドロキシエチル、2,2−ジヒドロキシプロピル等)が用いられる。
【0295】
6〜R8で示される糖残基としては、例えばC3-24糖残基(エリスロシル,トレオシル,アラビノシル,リボシル,グルコシル,ガラクトシル,グリセロ−グルコ−ヘプトシル,マルトシル,ラクトシル,マルトトリオシル,ジマルトシル等),好ましくはC6-24糖残基(例、グルコシル,ガラクトシル,グリセロ−グルコ−ヘプトシル,マルトシル,ラクトシル,マルトトリオシル,ジマルトシル等),特に好ましくはC6-12糖残基(例、グルコシル,ガラクトシル,グリセロ−グルコ−ヘプトシル,マルトシル,ラクトシル等)が用いられる。
【0296】
6〜R8で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えばヒドロキシ−C1-6アルキル基(例、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル,2−ヒドロキシペンチル,2−ヒドロキシヘキシル等),好ましくはヒドロキシ−C1-4アルキル基(例、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル等)、特に2−ヒドロキシプロピル基が好ましく用いられる。
【0297】
易水溶性シクロデキストリン誘導体のさらに望ましい具体例としては、一般式(II)で表される化合物において、R6〜R8のうち少なくとも一つが糖残基またはヒドロキシアルキル基であり、残りの基が水素原子であるものが挙げられる。
【0298】
6〜R8のうち少なくとも一つが糖残基であり、残りの基が水素原子である化合物(II)としては、例えばグルコシル−α,β,γ,δ−CyD,マルトシル−α,β,γ,δ−CyD,マルトトリオシル−α,β,γ,δ−CyD,ジマルトシル−α,β,γ,δ−CyD等が挙げられる。これらの中で、マルトシル−α,β,γ,δ−CyD,グルコシル−α,β,γ,δ−CyDが好ましい(本明細書において、α,β,γ,δ−CyDは、α−CyD,β−CyD,γ−CyDまたはδ−CyDを意味する)。さらにマルトシル−β−CyD(以下、G2−β−CyDと略記),グルコシル−β−CyDが特に好ましい。
【0299】
6〜R8のうち少なくとも一つがヒドロキシアルキル基であり、残りの基が水素原子である化合物(II)としては、例えばヒドロキシプロピル−α,β,γ,δ−CyD(特に、2−ヒドロキシプロピル−α,β,γ,δ−CyD)等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシプロピル−β−CyD(特に、2−ヒドロキシプロピル−β−CyD)がさらに好ましい。
【0300】
本発明の医薬組成物に用いられる易水溶性シクロデキストリン誘導体としては、分岐シクロデキストリン−カルボン酸を用いることもできる。この分岐シクロデキストリン−カルボン酸には、その遊離カルボン酸のみならず、そのアルカリ金属(例、リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(例、カルシウム、マグネシウムなど)などとの塩が含まれる。これら分岐シクロデキストリン−カルボン酸は、単独でも、2種以上を併用してもよく、また、遊離のカルボン酸とその塩が混合した状態で使用してもよい。
【0301】
該分岐シクロデキストリン−カルボン酸は、少なくとも1つのカルボキシル基を含有する有機基を該シクロデキストリン環の少なくとも1つのグルコース単位の6−O位に有するシクロデキストリンである。
該分岐シクロデキストリン−カルボン酸のシクロデキストリン環は、例えば6、7または8個のグルコース単位を有する。好ましくは、該シクロデキストリン環は7個のグルコース単位を有する。該シクロデキストリン環としては、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンなどが挙げられる。
【0302】
上記少なくとも1つのカルボキシル基を含有する有機基が1〜3個のグルコース単位を有し、かつ、該有機基中のグルコース単位のヒドロキシメチル基の少なくとも1つがカルボキシル基に酸化されている場合が好ましい。
【0303】
上記分岐シクロデキストリン−カルボン酸の具体例としては、6−O−シクロマルトヘキサオシル−(6→1)−α−D−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸(シクロマルトヘキサオシル−(6→1)−α−D−グルコピラノシル−(4→1)−O−α−D−グルコピラノシドウロン酸)(以下、α−CyD−G2−COOHと略称することもある;以下の化合物の略称についても同様に括弧内に示す)、6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸(シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−O−α−D−グルコピラノシル−(4→1)−O−α−D−グルコピラノシドウロン酸)(β−CyD−G2−COOH)、6−O−シクロマルトオクタオシル−(6→1)−α−D−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸(シクロマルトオクタオシル−(6→1)−O−α−D−グルコピラノシル−(4→1)−O−α−D−グルコピラノシドウロン酸(γ−CyD−G2−COOH)、6−O−シクロマルトヘキサオシル−(6→1)−α−D−グルクロン酸(シクロマルトヘキサオシル−(6→1)−O−α−D−グルコピラノシドウロン酸)(α−CyD−G1−COOH)、6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D−グルクロン酸(シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−O−α−D−グルコピラノシドウロン酸)(β−CyD−G1−COOH)、6−O−シクロマルトオクタオシル−(6→1)−α−D−グルクロン酸(シクロマルトオクタオシル−(6→1)−O−α−D−グルコピラノシドウロン酸)(γ−CyD−G1−COOH)、2−O−(6−シクロマルトヘキサオシル)−酢酸(α−CyD−CH2COOH)、2−O−(6−シクロマルトヘプタオシル)−酢酸(β−CyD−CH2COOH)、2−O−(6−シクロマルトオクタオシル)−酢酸(γ−CyD−CH2COOH)、3−O−(6−シクロマルトヘプタオシル)−プロピオン酸(β−CyD−CH2CH2COOH)、2−ヒドロキシ−3−O−(6−シクロマルトヘプタオシル)−プロピオン酸(3−O−(6−シクロマルトヘプタオシル)−2−ヒドロキシ−プロピオン酸)(β−CyD−CH2CH(OH)−COOH)、7A,7C−ジ−O−[α−D−グルクロニル−(1→4)−O−α−D−グルコシル]−(1→6)−マルトヘプタオース(β−CyD−(G2COOH)2)、6−O−シクロマルトヘプタオシル−O−α−D−マルトシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸(シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−O−α−D−グルコピラノシル−(4→1)−O−α−D−グルコピラノシル−(4→1)−O−α−D−グルコピラノシドウロン酸)(β-CyD−G3−COOH)、およびこれらの上記塩〔例、β−CyD−G2−COOHのナトリウム塩(シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−O−α−D−グルコピラノシル−(4→1)−O−α−D−グルコピラノシドウロン酸ナトリウム(同様にβ−CyD−G2−COONaと略称する))〕が挙げられる。なかでも、β−CyD−G2−COONaが好ましい。
【0304】
さらに詳しくは、6−O−シクロマルトヘキサオシル−(6→1)−α−D−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸(α−CyD−G2−COOH)、6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸(β−CyD−G2−COOH)、および6−O−シクロマルトオクタオシル−α−D−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸(γ−CyD−G2−COOH)は、それぞれα−シクロデキストリン(グルコース単位数6)、β−シクロデキストリン(グルコース単位数7)およびγ−シクロデキストリン(グルコース単位数8)を含有する分岐シクロデキストリン−カルボン酸であり、そのシクロデキストリン環の1つのグルコース単位にはマルトースがα−(1→6)結合し、該マルトースの末端グルコースの6位ヒドロキシメチル基がカルボキシル基に酸化されてグルクロン酸が形成されている。
【0305】
また、6−O−シクロマルトヘキサオシル−(6→1)−α−D−グルクロン酸(α−CyD−G1−COOH)、6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D−グルクロン酸(β−CyD−G1−COOH)、および6−O−シクロマルトオクタオシル−(6→1)−α−D−グルクロン酸(γ−CyD−G1−COOH)は、そのシクロデキストリン環の1つのグルコース単位にグルコースがα−(1→6)結合し、さらに該分岐グルコースの6位ヒドロキシメチル基がカルボキシル基に酸化されてグルクロン酸が形成されている分岐シクロデキストリン−カルボン酸である。
【0306】
そして、2−O−(6−シクロマルトヘキサオシル)−酢酸(α−CyD−CH2COOH)、2−O−(6−シクロマルトヘプタオシル)−酢酸(β−CyD−CH2COOH)、2−O−(6−シクロマルトオクタオシル)−酢酸(γ−CyD−CH2COOH)は、そのシクロデキストリン環の1つのグルコース単位に分岐してカルボキシメチル基が結合した分岐シクロデキストリン−カルボン酸である。
【0307】
これらの分岐シクロデキストリン−カルボン酸またはその塩類は、特開平7−76594号公報や特開平7−215895号公報に記載されており、例えば、該公報や特開平10−210996号公報、特開平10−210996号公報などに記載の方法あるいはそれに準じる方法によって製造することができる。
これらの易水溶性シクロデキストリン誘導体は1種類でもよく、また、2種類以上混合して使用してもよい。
【0308】
易水溶性シクロデキストリン誘導体の使用量は、特に限定されず広い範囲から選択可能であるが、これらの物質の水溶性を勘案すると、化合物(I)1モルに対して易水溶性シクロデキストリン誘導体を約0.1〜約100モル、好ましくは、約0.2〜約20モル、さらに好ましくは約0.5〜約10モル、より好ましくは約1〜約5モルの範囲で混合する。
【0309】
化合物(I)と一般式(II)で示されるシクロデキストリン誘導体(以下、化合物(II)と略記)は複合体を形成してもよく、複合体の形態としては、一般に薬物は固体状態の方が安定であり、共存する水を留去させ粉末とするのが好ましい。留去する方法としては凍結乾燥、減圧乾燥、または常圧での気化が挙げられる。薬物の安定化のためには凍結後乾燥する凍結乾燥、あるいは凍結減圧乾燥が適当である。
【0310】
この複合体の製造方法は例えば次のようにして行われる。すなわち、化合物(II)と化合物(I)とを通常は−5℃〜35℃付近で水または緩衝液で水溶液とする。該水溶液は、例えば化合物(II)の水または緩衝液溶液と化合物(I)とを混合する、化合物(II)の水または緩衝液溶液と化合物(I)の水または緩衝液懸濁液とを混合する、化合物(II)と化合物(I)と水または緩衝液とを混合する、もしくは化合物(II)と化合物(I)の水または緩衝液懸濁液とを混合することにより得られる。このとき必要に応じ冷却または加温して水溶液としてもよい。また、化合物(II)の濃度は、通常約50mg/ml以上の濃度が好ましく約100mg/ml以上の濃度がより好ましい。化合物(II)は、化合物(I)に対して、約0.1〜約100倍モル、好ましくは、約0.2〜約20倍モル、さらに好ましくは約0.5〜約10倍モル、より好ましくは約1〜約5倍モルになるように添加するのが好ましい。
【0311】
化合物(II)と化合物(I)とを混合後、その懸濁液を撹拌すると徐々に化合物(I)が溶解する。通常1分以上撹拌し溶解の進行が終了した時点で撹拌を停止する。溶液に溶け残りがある場合には濾過をして溶解度の向上した化合物(I)を含有する複合体を得る。
この複合体を粉末化するには得られた溶液を凍結乾燥または減圧乾燥あるいは常圧乾燥する。
【0312】
化合物(II)と化合物(I)とを混合後、得られる懸濁液又は溶液に安定化のため所望により塩基を添加してもよい。該塩基としては、例えばアルカリ金属水酸化物(例、水酸化カリウム,水酸化ナトリウム等)、炭酸水素アルカリ金属(例、炭酸水素ナトリウム,炭酸水素カリウム等)、炭酸アルカリ金属(例、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム)、りん酸アルカリ金属塩類(例、りん酸ナトリウム,りん酸一水素ナトリウム,りん酸カリウム,りん酸一水素カリウム等)などの無機塩基、例えば有機モノカルボン酸アルカリ金属塩(例、酢酸ナトリウム,酢酸カリウム等)などの有機塩基が挙げられる。これらの塩基の添加量は、化合物(I)1モルに対して約0.0002から約0.2モルが好ましい。さらに約0.001から約0.035モルが特に好ましい。該塩基はそのまま又は適当な濃度の水溶液として添加してもよい。
【0313】
これらの操作に従って得られた粉末は包接体もしくは、静電的、疎水的な相互作用もしくは水素結合等によって複合体を形成している。また、粉末は包接体もしくは、複合体以外に化合物(I)または(および)化合物(II)を含有していてもよく、この様な粉末も複合体である。
【0314】
化合物(I)と易水溶性シクロデキストリン誘導体との包接化合物の調製は、例えば、大略、つぎの4方法で行うことができる。
(1)共沈澱方法[クラッソンズ(Crassons)ら、第5回コンファレンス・オブ・ファーマシューティカル・テクノロジー(5th lnt.Conf.Pharmaceutical Technology),パリ(Paris),1989年5月30日〜6月1日]、
(2)凍結乾燥または噴霧乾燥法[クロズミ(Kurozumi)ら、ケミカル・アンド・ファーマシュティカル・ブレチン(Chem.Pharm.Bull.),23,3062(1975); カタ(Kata)ら、ファルマジー(Pharmazie)39,856(1984)]、
(3)相−溶解図結晶化法[ウエカマ(Uekama)ら、インターナショナル・ジャーナル・オブ・ファーマシューティックス(Int.J.Pharmc.)10,1(1982)]、
(4)混練り方法[ジェイ・スゼジトリ(J.Szejtli)ら、「シクロデキストリンおよびその包接複合体(Cyclodextrins and their inclusion complexes)」,アカデイミアル・キアド(Akadeimial Kiado),ブダペスト(Budapest)(1982),P.109−114; Kyowa Jap.Prov.Pat.Pubin.No.106 698(1982)]。
【0315】
さらに具体的には、
(1)易水溶性シクロデキストリン誘導体の水溶液に目的とする被包接化合物を添加し、必要に応じて加温し撹拌(振盪)する。残留した未反応の被包接化合物を濾過、遠心分離などによって除去すると包接化合物が得られる。
(2)易水溶性シクロデキストリン誘導体を水に溶解させ、これに目的とする被包接化合物を添加して混合する。混合時間は特に限定されないが、例えば10分ないし数時間程度である。混合後、凍結乾燥する方法(エム・クロズミ(M.Kurozumi)ら、ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブレチン(Chem.Pharm.Bull.),23,142(1975))で粉末を得る。これを水に溶かし、未反応の被包接化合物を除去すると包接化合物の水溶液が得られる。
(3)被包接化合物をあらかじめ適当な水と相溶可能な有機溶媒に溶解しておき、これを水溶液中の易水溶性シクロデキストリン誘導体と接触させ、ついで、有機溶媒および水を真空留去、または凍結乾燥(EP−A−519428、特開平5−178765号)した後、残渣に水を加えて溶かし、未反応の被包接化合物を除去すると包接化合物の水溶液が得られる。
(4)酸性の被包接化合物については、アンモニア水に溶解させ、これに易水溶性シクロデキストリン誘導体を加えて凍結乾燥する。凍結乾燥の過程において過剰なアンモニアが除去され、被包接化合物のアンモニウム塩の包接化合物が得られる。
(5)被包接化合物を親油性有機溶媒(例えば、エチルエーテル等)に溶かし、これに易水溶性シクロデキストリン誘導体の飽和水溶液と混合して激しく振盪する。振盪時間は特に限定されないが、例えば10分〜数時間振盪する。振盪後、冷所に1夜静置して、包接反応物を析出させ、その後、遠心分離、濾過により分別する。得られた粉末を水に溶かして包接化合物の水溶液が得られる。
(6)被包接化合物と易水溶性シクロデキストリン誘導体の両粉末を混合し、これに少量の水を添加して練り合わせ[ワイ・ナカイ(Y.Nakai)ら、ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブレチン(Chem.Pharm.Bull.),26,2419(1978)、あるいはその後、凍結乾燥する。
(7)被包接化合物については、易水溶性シクロデキストリン誘導体水溶液と被包接化合物の水溶液とを混合することにより、包接化合物の水溶液が得られる。
【0316】
このようにして既知の包接化方法に従って得られた水溶液あるいは粉末は、多くの場合包接体であるか、静電的、疎水的な相互作用もしくは水素結合等によって複合体を形成している。したがって、本明細書において包接化合物は、包接体、複合体自体のみならず、包接体、複合体、遊離の被包接化合物および/または遊離の易水溶性シクロデキストリン誘導体の混合物をも意味する。すなわち、得られた粉末および水溶液は包接体、複合体以外に未包接体あるいは未複合体である水不溶性ないし難溶性の化合物および/または遊離分岐シクロデキストリンを含有してもよく、包接体自体も含め、この様な粉末および水溶液は、極めて水溶性が高く、水に瞬時に溶解する特性も有している。
【0317】
本発明の医薬組成物は、かくして得られた水溶液そのものでもよく、あるいは得られた粉末を適当な溶剤に溶解して得られる溶液でもよく、また、所望により、さらに薬理学的に許容される担体を適宜添加してもよい。
【0318】
以上のように、本発明の医薬組成物、特に注射用組成物は、化合物(I)の水溶性、溶解性または(および)安定性が改善され、かつパイロジェンが除去されているので、人体に対する安全性が高く、医薬(例えば、各種疾病の予防・治療剤)、動物薬などとして、哺乳動物(例、ラット、マウス、モルモット、サル、ウシ、イヌ、ブタ、ヒト等)に用いられる。本発明の注射用組成物は、静脈内、筋肉内、皮下または臓器内投与あるいは直接病巣に投与することができる。
【0319】
化合物(I)は、低毒性で一酸化窒素(NO)産生抑制作用およびTNF−α、IL−1、IL−6などの炎症性サイトカイン産生抑制作用を有しているので、本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグを含有する本発明の組成物は、哺乳動物(例えば、ネコ、ウシ、イヌ、ウマ、ヤギ、サル、ヒトなど)の心疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、中枢神経系疾患、感染性疾患、セプシス、セプティックショックなどの疾患、例えば敗血症、エンドトキシンショック、エキソトキシンショック、心不全、ショック、低血圧、リウマチ関節炎、骨関節炎、胃炎、潰瘍性大腸炎、消化性潰瘍、ストレス性胃潰瘍、クローン病、自己免疫疾患、臓器移植後の組織障害および拒絶反応、虚血再潅流障害、急性冠微小血管塞栓、ショック性血管塞栓(汎発性血管内血液凝固症候群(DIC)など)、虚血性脳障害、動脈硬化、悪性貧血、ファンコニー貧血症、鎌形赤血球性貧血病、膵炎、ネフローゼ症候群、腎炎、腎不全、インシュリン依存性糖尿病、インシュリン非依存性糖尿病、肝性ポルフィリン症、アルコール中毒、パーキンソン病、慢性白血病、急性白血病、腫瘍、骨髄腫、抗癌剤副作用軽減、幼児および成人性呼吸窮迫症候群、肺気腫、痴呆、アルツハイマー病、多発性硬化症、ビタミンE欠乏性、老化、サンバーン、筋ジストロフィー、心筋炎、心筋症、心筋梗塞、心筋梗塞後遺症、骨粗鬆症、肺炎、肝炎、乾癬、疼痛、白内障、インフルエンザ感染症、マラリア、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、放射線障害、火傷、体外受精効率化、高カルシウム血症、硬直性脊椎炎、骨減少症、骨ページェット病、骨軟化症、骨折、急性バクテリア髄膜炎、ヘリコバクター・ピロリ感染症、侵襲性ブドウ状球菌感染症、結核、全身性真菌感染症、単純ヘルペスウイルス感染症、水痘−帯状疱疹ウイルス感染症、ヒトパピローマウイルス感染症、急性ウイルス脳炎、脳炎、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、逆流性食道炎、発熱、高コレステロール血症、高グリセリド血症、高脂血症、糖尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、痛風、胃アトニー、痔疾、全身性エリテマトーサス、脊髄損傷、不眠症、精神分裂症、癲癇、肝硬変、肝不全、不安定狭心症、心弁膜症、透析による血小板減少症、急性虚血性脳卒中、急性期脳血栓症、癌転移、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、大腸癌、胃癌、卵巣癌、前立腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、悪性黒色腫、ホジキン病、非ホジキン性リンパ腫などの予防・治療剤として使用することができる。
【0320】
本発明の医薬組成物(特に、注射用組成物)の投与量は、化合物(I)の種類、年齢、体重、症状、剤形、投与方法、投与期間などにより異なるが、例えば、セプシスの患者(成人、体重約60kg)一人あたり、通常、本発明の化合物(I)として、1日約0.01〜約1000mg/kg、好ましくは約0.01〜約100mg/kg、より好ましくは約0.1〜約100mg/kg、とりわけ約0.1〜約50mg/kgを、なかでも約1.5〜約30mg/kgを1日1回から数回に分けて静脈投与される。もちろん、前記したように投与量は種々の条件で変動するので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
【0321】
本発明において、「有効量」とは、化合物(I)の有効量を意味し、「有効量を投与する」とは、有効量の化合物(I)を含有する本発明の医薬組成物を投与することを意味する。
【0322】
【実施例】
以下、参考例、実施例、比較例および試験例を記載し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
混合溶媒の割合は、各溶媒の重量混合比である。%は、特記しない限り重量パーセントを意味する。
高極性ジアステレオマーとは、同一条件下(例えば、溶媒として酢酸エチル/ヘキサンなどを用いることができる)で、順相薄層クロマトグラフィーのRf値を比較した場合にRf値が小さいほうのジアステレオマーを意味し、低極性ジアステレオマーとはRf値が大きいほうのジアステレオマーを意味する。
【0323】
以下の参考例AはWO99/46242の参考例に、参考例BはWO99/46242の実施例に従って製造できる。
〔参考例A〕
参考例A1 エチル 2-スルホ-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
参考例A2 エチル 2-クロロスルホニル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
参考例A3 エチル 2-クロロスルホニル-1-シクロペンテン-1-カルボキシラート
参考例A4 エチル 2-クロロスルホニル-1-シクロヘプテン-1-カルボキシラート
参考例A5 6-[N-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボン酸 ナトリウム塩
参考例A6 1-(3-フルオロ-4-ニトロフェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール
参考例A7 1-(4-アミノ-3-フルオロフェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール
参考例A8 4-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-クロロ安息香酸 メチルエステル
参考例A9 4-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-クロロ安息香酸
参考例A10 tert-ブチル N-(4-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-クロロベンゾイル)グリシナート
参考例A11 tert-ブチル N-(4-アミノ-3-クロロベンゾイル)グリシナート
参考例A12 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボン酸
参考例A13 エチル 2-メルカプト-5-フェニル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
参考例A14 エチル 2-クロロスルホニル-5-フェニル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
参考例A15 エチル 5-tert-ブチル-2-メルカプト-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
参考例A16 エチル 5-tert-ブチル-2-クロロスルホニル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
参考例A17 エチル 5,5-ジメチル-2-メルカプト-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
参考例A18 エチル 2-クロロスルホニル-5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
【0324】
〔参考例B〕
参考例B1 エチル 6-[N-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物1)
参考例B2 エチル 6-[N-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-メチルスルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物2)
参考例B3 エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物3)
参考例B4 エチル 6-[N-(2,6-ジイソプロピルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物4)
参考例B5 エチル 6-[N-(4-ニトロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物5)
参考例B6 エチル 6-(N-フェニルスルファモイル)-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物6)
エチル 2-(N-フェニルスルファモイル)-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物7)
参考例B7 エチル 2-[N-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物9)
参考例B8 2-(4-メトキシフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン 1,1-ジオキシド(化合物67)
エチル 2-[N-(4-メトキシフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物8)
参考例B9 エチル 6-[N-(2-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物10)
参考例B10 エチル 6-[N-(3-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物11)
参考例B11 2-(4-フルオロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン 1,1-ジオキシド(化合物68)
エチル 6-[N-(4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物12)
エチル 2-[N-(4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物18)
参考例B12 エチル 6-[N-(2,6-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物13)
参考例B13 エチル 6-[N-(2,3-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物14)
参考例B14 エチル 6-[N-(2,5-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物15)
参考例B15 エチル 6-[N-(3,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物16)
参考例B16 エチル 6-[N-(3,5-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物17)
参考例B17 l-エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物19)
d-エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物20)
参考例B18 エチル 6-[N-(2-エトキシカルボニルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物21)
参考例B19 メチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物22)
参考例B20 プロピル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物23)
【0325】
参考例B21 メチル 6-[N-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物24)
参考例B22 イソプロピル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物25)
参考例B23 エチル 6-[N-(2-メトキシカルボニルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物26)
参考例B24 エチル 6-[N-(2-フルオロ-4-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物27)
参考例B25 エチル 6-[N-(2-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物28)
参考例B26 エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物29)
参考例B27 エチル 6-[N-(4-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物 30)
参考例B28 エチル 6-[N-(2,3,4-トリフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物31)
参考例B29 イソブチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物32)
参考例B30 ブチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物33)
参考例B31 エチル 6-[N-(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物34)
参考例B32 エチル 6-[N-(2,4-ジクロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物35)
参考例B33 エチル 6-[N-(2-アセトキシフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物36)
参考例B34 エチル 6-[N-(3-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物37)
参考例B35 エチル 6-[N-(2,3-ジクロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物38)
参考例B36 エチル 6-[N-(2-エチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物39)
参考例B37 エチル 6-[N-[4-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物40)
参考例B38 エチル 6-[N-(2,5-ジクロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物41)
参考例B39 エチル 6-[N-(2-トリフルオロメトキシフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物42)
参考例B40 エチル 6-[N-(2,4,5-トリフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物43)
【0326】
参考例B41 エチル 6-[N-[4-(2H-テトラゾール-2-イル)フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物44)
参考例B42 エチル 6-[N-(2-クロロ-4-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物45)
参考例B43 エチル 6-[N-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物46)
参考例B44 エチル 6-[N-(2,6-ジクロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物47)
参考例B45 エチル 6-[N-[4-(1H-テトラゾール-1-イル)フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物48)
参考例B46 エチル 6-[N-(4-(1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物49)
参考例B47 エチル 6-[N-(2-トリフルオロメチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物50)
参考例B48 エチル 6-[N-(4-メトキシカルボニルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物51)
参考例B49 ベンジル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物52)
参考例B50 エチル 6-[N-[4-[2,3-ビス(tert-ブトキシカルボニル)グアニジノメチル]フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物53)
参考例B51 エチル 6-[N-(2-クロロ-4-メトキシカルボニルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物54)
参考例B52 エチル 6-[N-(2-クロロ-4-シアノフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物55)
参考例B53 2-ヒドロキシエチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物56)
参考例B54 エチル 6-[N-[2-フルオロ-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物57)
参考例B55 エチル 2-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロペンテン-1-カルボキシラート(化合物66)
エチル 5-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロペンテン-1-カルボキシラート(化合物58)
参考例B56 tert-ブチル [6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-イル]カルボニルオキシアセタート(化合物59)
参考例B57 [6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-イル]カルボニルオキシ酢酸(化合物60)
参考例B58 エチル 7-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘプテン-1-カルボキシラート(化合物61)
参考例B59 エチル 6-[N-[2-クロロ-4-(N-tert-ブトキシカルボニルメチルカルバモイル)フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物62)
参考例B60 エチル 6-[N-[2-クロロ-4-(N-エトキシカルボニルメチルカルバモイル)フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物63)
【0327】
参考例B61 エチル 5-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロペンテン-1-カルボキシラート(化合物64)
参考例B62 2-[4-(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロポキシ)フェニル]-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン 1,1-ジオキシド (化合物69)
参考例B63 エチル 7-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘプテン-1-カルボキシラート(化合物65)
参考例B64 2-(2,4-ジフルオロフェニル)-5,6,7,7a-テトラヒドロ-1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン 1,1-ジオキシド(化合物70)
参考例B65 エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物29)
参考例B66 l-エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物71)
d-エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物72)
参考例B67 エチル 6-[N-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物73)
参考例B68 エチル 6-[N-(4-ブロモ-2-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物74)
参考例B69 エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-3-フェニル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートの高極性ジアステレオマー(化合物75)および低極性ジアステレオマー(化合物76)
参考例B70 エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-3-フェニル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートの高極性ジアステレオマー(化合物77)および低極性ジアステレオマー(化合物78)
参考例B71 エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-3-tert-ブチル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートの高極性ジアステレオマー (化合物79)および低極性ジアステレオマー (化合物80)
参考例B72 エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-3-tert-ブチル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートの高極性ジアステレオマー (化合物81)および低極性ジアステレオマー (化合物82)
参考例B73 エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物83)
参考例B74 エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物84)
参考例B75 エチル 3-ブロモ-6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物85)
【0328】
さらに、具体例を表1〜表5に示す。
【0329】
【表1】
Figure 0004922507
Figure 0004922507
Figure 0004922507
Figure 0004922507
Figure 0004922507
Figure 0004922507
Figure 0004922507
【0330】
【表2】
Figure 0004922507
【0331】
【表3】
Figure 0004922507
【0332】
【表4】
Figure 0004922507
Figure 0004922507
【0333】
【表5】
Figure 0004922507
【0334】
実施例1
1)参考例B66の化合物72 100 mg
2)ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレート35 1 mL
3)エタノール 4 mL
参考例B66の化合物72 100 mgにポリオキシエチレングリセロールトリリシノレート35 1 mLおよびエタノール4 mLを加え溶解した。
【0335】
実施例2
1)参考例B66の化合物72 100 mg
2)ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレート35 3.25 mL
3)エタノール 1.75 mL
参考例B66の化合物72 100 mgにポリオキシエチレングリセロールトリリシノレート35 3.25 mLおよびエタノール1.75 mLを加え溶解した。
【0336】
実施例3
1)参考例B66の化合物72 8 mg
2)G2−β−CyD 145.2 mg
G2−β−CyD145.2 mgに注射用蒸留水 1 mlを加え溶解した。そこへ参考例B66の化合物72 8 mgを加え溶解した。
【0337】
実施例4
1)参考例B66の化合物72 8 mg
2)G2−β−CyD 145.2 mg
pH7のリン酸・クエン酸緩衝液にG2−β−CyD145.2 mgを加え溶解させた。そこへ参考例B66の化合物72 8 mgを加え溶解した。
【0338】
実施例5
1)参考例B66の化合物72 5 mg
2)40% 2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン水溶液 3 mL
参考例B66の化合物72 5 mgに40% 2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン水溶液3 mLを加え溶解させた。
【0339】
実施例6
1)参考例B66の化合物72 5 mg
2)40% 2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン水溶液 3 mL
参考例B66の化合物72 5 mgに40% 2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン水溶液 3 mLを加え溶解させる。リン酸・クエン酸緩衝液でpH7に調整する。
【0340】
比較例1
化合物72に対する可溶化剤の溶解補助効果
化合物72 5mgに表6の溶解液を1mL加え、ソニケーションおよびボルテックスを行い溶解性を確認した。溶解しない場合は、溶解液1mLをさらに加え、同様にソニケーションおよびボルテックスを行い溶解性を確認した。溶解した時点の濃度を溶解度とした。
水での溶解度に比べ、10%デスオキシコール酸ナトリウム水溶液で溶解補助効果を認めたが、注射剤として開発するために期待した溶解度の1mg/mLは得られなかった。
【0341】
【表6】
Figure 0004922507
【0342】
試験例1
化合物72 5mgに、表7の比(重量比)のポリオキシエチレングリセロールトリリシノレート35/エタノール溶液を50μL加え、撹拌し溶解性を確認した。どの混合比でも、化合物72は溶解して、澄明な溶液が得られた。従って、使用した溶媒での化合物72の溶解度は100mg/mL以上であった。表7から、本発明の医薬組成物において、化合物72の溶解度が著しく向上していることが分かった。
【0343】
【表7】
Figure 0004922507
【0344】
試験例2
試験例1の処方1、処方2で化合物72の濃度20mg/mLになるように薬液を調製し、安定性試験を行ったところ表8の結果を得た。表8から、本発明の医薬組成物が極めて安定であることが分かった。
【0345】
【表8】
Figure 0004922507
【0346】
試験例3
化合物72をポリオキシエチレングリセロールトリリシノレート35/エタノール溶液の重量比20/80の溶液で溶解し、そこへpH調整剤として、マレイン酸もしくは無水クエン酸を表9の量加えた薬液を調製した。調製した薬液を0.22μmのフィルターでろ過した。ろ液を1mLずつアンプル(1P)に充填し、空間部を窒素置換して熔閉した。
安定性試験を実施したところ表10の結果を得た。表10から、本発明の医薬組成物が極めて安定であることが分かった。
【0347】
【表9】
Figure 0004922507
【0348】
【表10】
Figure 0004922507
【0349】
試験例4
化合物72 5mgに、表11の比(重量比)のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50/エタノール溶液を50μL加え、撹拌し溶解性を確認した。どの混合比でも、化合物72は溶解して、澄明な溶液が得られた。従って、使用した溶媒での化合物72の溶解度は100mg/mL以上であった。表11から、本発明の医薬組成物において、化合物72の溶解度が著しく向上していることが分かった。
【0350】
【表11】
Figure 0004922507
【0351】
試験例5
化合物72をポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50/エタノールの重量比20/80の溶液で溶解し、pH調整剤として、無水クエン酸を表12記載の量で加えた薬液を調製した。調製した薬液を0.22μmのフィルターでろ過した。ろ液を1mLずつアンプル(1P)に充填し、空間部を窒素置換して熔閉した。
安定性試験を実施したところ表13の結果を得た。表13から、本発明の医薬組成物が極めて安定であることが分かった。
【0352】
【表12】
Figure 0004922507
【0353】
【表13】
Figure 0004922507
【0354】
試験例6
化合物72 5mgに、表14の比(重量比)のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60/エタノール溶液を50μL加え、撹拌し溶解性を確認した。化合物72は溶解して、澄明な溶液が得られた。従って、使用した溶媒での化合物72の溶解度は100mg/mL以上であった。表14から、本発明の医薬組成物において、化合物72の溶解度が著しく向上していることが分かった。
【0355】
【表14】
Figure 0004922507
【0356】
試験例7
化合物72をポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60/エタノールの重量比20/80の溶液で溶解し、pH調整剤として、無水クエン酸を表15記載の量で加えた薬液を調製した。調製した薬液を0.22μmのフィルターでろ過した。ろ液を1mLずつアンプル(1P)に充填し、空間部を窒素置換して熔閉した。
安定性試験を実施したところ表16の結果を得た。表16から、本発明の医薬組成物が極めて安定であることが分かった。
【0357】
【表15】
Figure 0004922507
【0358】
【表16】
Figure 0004922507
【0359】
試験例8
化合物72 5mgに40% 2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(以下、HP−β−CyDと略記)水溶液を1mL加え、ソニケーションおよびボルテックスを行い溶解性を確認した。溶解しない場合は、40%HP−β−CyD溶液1mLをさらに加え、同様にソニケーションおよびボルテックスを行い溶解性を確認した。溶解した時点の濃度を溶解度とした。結果を表17に示す。
表17から、本発明の医薬組成物において、化合物72の溶解度が著しく上昇していることが分かった。
【0360】
【表17】
Figure 0004922507
【0361】
試験例9
化合物72 100mgに表18の濃度のマルトシル−β−シクロデキストリン(以下、G2−β−CyDと略記)水溶液を加え、25℃で3時間振とうした。その液を0.45μmのフィルターでろ過し、化合物72の溶解度をHPLC法で定量した。結果を表18に示す。
表18から、本発明の医薬組成物において、化合物72の溶解度が著しく上昇していることが分かった。
【0362】
【表18】
Figure 0004922507
【0363】
試験例10
以下に記載する方法で、化合物72とG2−β−CyDを表19の割合で配合した凍結乾燥製剤を調製した。水1mLにG2−β−CyD145.2mgを添加し溶解後、化合物72 8mgを加え溶解した。化合物72が溶解後、薬液を0.22μmフィルターでろ過した。ろ過薬液1mLを9Pバイアルに充填し、次に示す条件で凍結乾燥を行った。−50℃以下で2時間凍結させ、昇温速度10℃/hrで0℃まで温度を上げ10時間一次乾燥した。その後、10℃/hrで25℃まで温度を上げ6時間二次乾燥した。真空度は一次乾燥では8.0Pa、二次乾燥では13.3Paとした。復圧には低水分窒素を使用した。
得られた製剤の化合物72の含量は仕込み量に対し98.3%であった。また、1mL生理食塩液で溶解すると無色、澄明の溶液が得られ、室温(約23℃)で溶解後24時間においても無色、澄明の溶液であった。
【0364】
【表19】
Figure 0004922507
【0365】
試験例11
試験例10で得られた凍結乾燥製剤の安定性試験を実施したところ、表20の結果を得た。表20から、本発明の医薬組成物が、極めて安定であることが分かった。また、この凍結乾燥製剤を1mL生理食塩液で溶解すると無色、澄明の溶液が得られ、室温(約23℃)で溶解後24時間も無色、澄明の溶液であった。
【0366】
【表20】
Figure 0004922507
【0367】
【発明の効果】
本発明の医薬組成物は、水不溶性もしくは水難溶性の化合物(I)の溶解性、安定性、着色性などが改善されている。本発明の医薬組成物は、一酸化窒素および/またはサイトカインの産生抑制剤として、心疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、中枢神経系疾患、感染性疾患、セプシス、セプティックショック等の疾患の予防・治療に有用である。

Claims (19)

  1. (a)(1)d-エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、(2)d-エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、(3)エチル 6-[N-(2-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、および(4)エチル 6-[N-(2-クロロ-4-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートから選択される化合物またはその塩、
    (b)ポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、および
    (c)エタノール
    を含有する医薬組成物。
  2. ポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量が組成物全体に対して10重量%〜70重量%である請求項記載の組成物。
  3. エタノールの含有量が組成物全体に対して30重量%〜90重量%である請求項記載の組成物。
  4. ポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とエタノールとの配合割合が、ポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10重量部〜90重量部に対して、エタノール90重量部〜10重量部である請求項記載の組成物。
  5. 注射用組成物である請求項記載の組成物。
  6. 非乳化組成物である請求項記載の組成物。
  7. 澄明である請求項記載の組成物。
  8. 一酸化窒素および/またはサイトカイン産生抑制剤である請求項記載の組成物。
  9. 心疾患、自己免疫疾患またはセプティックショックの予防・治療剤である請求項記載の組成物。
  10. (a)(1)d-エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、(2)d-エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、(3)エチル 6-[N-(2-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、および(4)エチル 6-[N-(2-クロロ-4-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートから選択される化合物またはその塩
    (b)ポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、および
    (c)エタノール
    を混合することを含む、当該化合物またはその塩の溶解性、安定性または着色性を改善する方法。
  11. 心疾患、自己免疫疾患またはセプティックショックの予防・治療剤を製造するための請求項記載の組成物の使用。
  12. (a)(1)d-エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、(2)d-エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、(3)エチル 6-[N-(2-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、および(4)エチル 6-[N-(2-クロロ-4-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートから選択される化合物またはその塩、および
    (b)マルトシル−β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン
    を含有する医薬組成物。
  13. 合物またはその塩1モルに対して、マルトシル−β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン0.1〜100モルを含有する請求項12記載の組成物。
  14. 合物またはその塩1モルに対して、マルトシル−β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン〜5モルを含有する請求項12記載の組成物。
  15. 注射用組成物である請求項12記載の組成物。
  16. 一酸化窒素および/またはサイトカイン産生抑制剤である請求項12記載の組成物。
  17. 心疾患、自己免疫疾患またはセプティックショックの予防・治療剤である請求項12記載の組成物。
  18. (a)(1)d-エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、(2)d-エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、(3)エチル 6-[N-(2-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、および(4)エチル 6-[N-(2-クロロ-4-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートから選択される化合物またはその塩、および
    (b)マルトシル−β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン
    を混合することを含む、当該化合物またはその塩の水に対する溶解性、安定性または着色性を改善する方法。
  19. 心疾患、自己免疫疾患またはセプティックショックの予防・治療剤を製造するための請求項12記載の組成物の使用。
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