JP4863553B2 - 安定な乳化組成物 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、安定性が改善された乳化組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
WO99/46242には、(i)式
【化12】
Figure 0004863553
[式中、Rは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1(式中、R1は水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基または式
【化13】
Figure 0004863553
(式中、R1bは水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を、R1cはR1bと同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、R0は水素原子または脂肪族炭化水素基を、もしくはRとR0は一緒になって結合手を、環Aは(1)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(2)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(3)式−OR1(式中、R1は前記と同意義を示す。)で表される基および(4)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されたシクロアルケンを、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式
【化14】
Figure 0004863553
で表される基は、式
【化15】
Figure 0004863553
または
【化16】
Figure 0004863553
で表される基を、nは1〜4の整数を示す。]で表される化合物、
(ii)式
【化17】
Figure 0004863553
[式中、Raは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1a(式中、R1aは水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基または式
【化18】
Figure 0004863553
(式中、R1aは前記と同意義を、R1bはR1aと同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、R0aは水素原子または脂肪族炭化水素基を、もしくはRaとR0aは一緒になって結合手を、Araは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式
【化19】
Figure 0004863553
で表される基は、式
【化20】
Figure 0004863553
または
【化21】
Figure 0004863553
で表される基を、nは1〜4の整数を示す。]で表される化合物、またはその塩あるいはそのプロドラッグが、一酸化窒素(NO)産生抑制作用およびTNF−α、IL−1、IL−6などの炎症性サイトカイン産生抑制作用を有しており、心疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、中枢神経系疾患、感染性疾患、セプシス、セプティックショックなどの疾患の予防・治療剤として有用であることが記載されている。
そして、該公開公報には、該化合物を植物油やプロピレングリコールに溶解、懸濁あるいは乳化して油性注射剤を製造することが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、安定性がより改善された上記化合物を含有する乳化組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、上記化合物を含有する乳化組成物のpHを約6以下に調整することにより、予想外にも、該化合物および組成物の安定性が向上し、かつ優れた薬効を発揮せしめることができることを見出した。本発明者らは、この知見に基づいて、さらに検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕式
【化22】
Figure 0004863553
[式中、Rは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1(式中、R1は水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基または式
【化23】
Figure 0004863553
(式中、R1bは水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を、R1cはR1bと同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、R0は水素原子または脂肪族炭化水素基を、もしくはRとR0は一緒になって結合手を、環A1は(1)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(2)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(3)式−OR1(式中、R1は前記と同意義を示す。)で表される基および(4)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されていてもよいシクロアルケンを、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式
【化24】
Figure 0004863553
で表される基は、式
【化25】
Figure 0004863553
または
【化26】
Figure 0004863553
で表される基を、nは1〜4の整数を示す。]で表される化合物(I)、またはその塩あるいはそのプロドラッグを含有し、pHが約6以下に調整された乳化組成物、
〔2〕Rは(1)(i)C1-4アルキル、ヒドロキシ、オキソおよびC1-4アルコキシから選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよい、窒素原子(オキシド化されていてもよい)、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む5〜8員環基またはその縮合環基、(ii)オキソ基、(iii)水酸基、(iv)C1-6アルコキシ基、(v)C3-10シクロアルキルオキシ基、(vi)C6-10アリールオキシ基、(vii)C7-19アラルキルオキシ基、(viii)C1-4アルキル、ヒドロキシ、オキソおよびC1-4アルコキシから選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよい、窒素原子(オキシド化されていてもよい)、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む5〜8員環またはその縮合環−オキシ基、(ix)C1-6アルキルチオ基(該硫黄原子はオキシド化されていてもよい)、(x)C3-10シクロアルキルチオ基(該硫黄原子はオキシド化されていてもよい)、(xi)C6-10アリールチオ基(該硫黄原子はオキシド化されていてもよい)、(xii)C7-19アラルキルチオ基(該硫黄原子はオキシド化されていてもよい)、(xiii)C1-4アルキル、ヒドロキシ、オキソおよびC1-4アルコキシから選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよい、窒素原子(オキシド化されていてもよい)、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む5〜8員環またはその縮合環−チオ基、(xiv)C1-4アルキル、ヒドロキシ、オキソおよびC1-4アルコキシから選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよい、窒素原子(オキシド化されていてもよい)、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む5〜8員環またはその縮合環−スルフィニル基、(xv)C1-4アルキル、ヒドロキシ、オキソおよびC1-4アルコキシから選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよい、窒素原子(オキシド化されていてもよい)、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む5〜8員環またはその縮合環−スルホニル基、(xvi)ニトロ基、(xvii)ハロゲン原子、(xviii)シアノ基、(xix)カルボキシル基、(xx)C1-10アルコキシ−カルボニル基、(xxi)C3-6シクロアルキルオキシ−カルボニル基、(xxii)C6-10アリールオキシ−カルボニル基、(xxiii)C7-19アラルキルオキシ−カルボニル基、(xxiv)C1-4アルキル、ヒドロキシ、オキソおよびC1-4アルコキシから選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよい、窒素原子(オキシド化されていてもよい)、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む5〜8員環またはその縮合環−オキシカルボニル基、(xxv)C6-10アリール−カルボニル基、(xxvi)C1-6アルカノイル基、(xxvii)C3-5アルケノイル基、(xxviii)C6-10アリール−カルボニルオキシ基、(xxix)C2-6アルカノイルオキシ基、(xxx)C3-5アルケノイルオキシ基、(xxxi)C1-4アルキル、フェニル、C1-7アシルおよびC1-4アルコキシ−フェニルから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよいカルバモイル基または環状アミノカルボニル基、(xxxii)C1-4アルキルおよびフェニルから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよいチオカルバモイル基、(xxxiii)C1-4アルキルおよびフェニルから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよいカルバモイルオキシ基、(xxxiv)C1-6アルカノイルアミノ基、(xxxv)C6-10アリール−カルボニルアミノ基、(xxxvi)C1-10アルコキシ−カルボキサミド基、(xxxvii)C6-10アリールオキシ−カルボキサミド基、(xxxviii)C7-19アラルキルオキシ−カルボキサミド基、(xxxix)C1-10アルコキシ−カルボニルオキシ基、(xxxx)C6-10アリールオキシ−カルボニルオキシ基、(xxxxi)C7-19アラルキルオキシ−カルボニルオキシ基、(xxxxii)C3-10シクロアルキルオキシ−カルボニルオキシ基、(xxxxiii)C1-4アルキル基およびフェニル基から選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよいウレイド基、(xxxxiv)上記(i)〜(xxxxiii)から成る群から選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよいC6-10アリール基から成る群(以下、置換基A群)から選ばれる1〜4個の置換基を有していてもよい、▲1▼直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、▲2▼炭素数3〜10のシクロアルキル基、▲3▼炭素数4〜12のシクロアルキルアルキル基、▲4▼炭素数3〜6の低級アルケニル基または▲5▼炭素数3〜6の低級アルキニル基(ここで、置換基A群から選ばれる置換基は▲1▼直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、▲2▼炭素数3〜10のシクロアルキル基、▲3▼炭素数4〜12のシクロアルキルアルキル基、▲4▼炭素数3〜6の低級アルケニル基または▲5▼炭素数3〜6の低級アルキニル基と一緒になって、置換基A群から選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよいインダニル基または1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基を形成してもよい)、
(2)ハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルコキシ−カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、炭素数1〜4のアルカノイルアミノ基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲノC1-4アルキル基、ハロゲノC1-4アルコキシ基、C1-4アルキルチオ基、C1-4アルキルスルホニル基、C1-4アルカノイル基、5員の芳香族複素環基、カルバモイル基、C1-4アルキル−カルバモイル基、C1-4アルコキシ−カルボニル−C1-4アルキル−カルバモイル基および1,3−ジアシルグアニジノ−C1-4アルキル基から成る群から選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、
(3)C1-4アルキル、ヒドロキシ、オキソおよびC1-4アルコキシから成る群から選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい、窒素原子(オキシド化されていてもよい)、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む5〜8員環基またはその縮合環基、
(4)式−OR1(式中、R1は(i)水素原子または(ii)置換基A群から選ばれる1〜4個の置換基を有していてもよい▲1▼直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、▲2▼炭素数3〜10のシクロアルキル基、▲3▼炭素数4〜12のシクロアルキルアルキル基、▲4▼炭素数3〜6の低級アルケニル基または▲5▼炭素数3〜6の低級アルキニル基(ここで、置換基A群から選ばれる置換基は▲1▼直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、▲2▼炭素数3〜10のシクロアルキル基、▲3▼炭素数4〜12のシクロアルキルアルキル基、▲4▼炭素数3〜6の低級アルケニル基または▲5▼炭素数3〜6の低級アルキニル基と一緒になって、置換基A群から選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよいインダニル基または1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基を形成してもよい)を示す。)で表される基、または
(5)式
【化27】
Figure 0004863553
(式中、R1bは(i)水素原子または(ii)置換基A群から選ばれる1〜4個の置換基を有していてもよい▲1▼直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、▲2▼炭素数3〜10のシクロアルキル基、▲3▼炭素数4〜12のシクロアルキルアルキル基、▲4▼炭素数3〜6の低級アルケニル基または▲5▼炭素数3〜6の低級アルキニル基(ここで、置換基A群から選ばれる置換基は▲1▼直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、▲2▼炭素数3〜10のシクロアルキル基、▲3▼炭素数4〜12のシクロアルキルアルキル基、▲4▼炭素数3〜6の低級アルケニル基または▲5▼炭素数3〜6の低級アルキニル基と一緒になって、置換基A群から選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよいインダニル基または1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基を形成してもよい)を、
1cはR1bと同一または異なって、(i)水素原子または(ii)置換基A群から選ばれる1〜4個の置換基を有していてもよい▲1▼直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、▲2▼炭素数3〜10のシクロアルキル基、▲3▼炭素数4〜12のシクロアルキルアルキル基、▲4▼炭素数3〜6の低級アルケニル基または▲5▼炭素数3〜6の低級アルキニル基(ここで、置換基A群から選ばれる置換基は▲1▼直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、▲2▼炭素数3〜10のシクロアルキル基、▲3▼炭素数4〜12のシクロアルキルアルキル基、▲4▼炭素数3〜6の低級アルケニル基または▲5▼炭素数3〜6の低級アルキニル基と一緒になって、置換基A群から選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよいインダニル基または1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基を形成してもよい)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、
0は水素原子、直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数4〜12のシクロアルキルアルキル基、炭素数3〜6の低級アルケニル基または炭素数3〜6の低級アルキニル基を、
もしくはRとR0は一緒になって結合手を、
環A1
(1)置換基A群から選ばれる1〜4個の置換基を有していてもよい▲1▼直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、▲2▼炭素数3〜10のシクロアルキル基、▲3▼炭素数4〜12のシクロアルキルアルキル基、▲4▼炭素数3〜6の低級アルケニル基または▲5▼炭素数3〜6の低級アルキニル基(ここで、置換基A群から選ばれる置換基は▲1▼直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、▲2▼炭素数3〜10のシクロアルキル基、▲3▼炭素数4〜12のシクロアルキルアルキル基、▲4▼炭素数3〜6の低級アルケニル基または▲5▼炭素数3〜6の低級アルキニル基と一緒になって、置換基A群から選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよいインダニル基または1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基を形成してもよい)、
(2)ハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルコキシ−カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、炭素数1〜4のアルカノイルアミノ基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲノC1-4アルキル基、ハロゲノC1-4アルコキシ基、C1-4アルキルチオ基、C1-4アルキルスルホニル基、C1-4アルカノイル基、5員の芳香族複素環基、カルバモイル基、C1-4アルキル−カルバモイル基、C1-4アルコキシ−カルボニル−C1-4アルキル−カルバモイル基および1,3−ジアシルグアニジノ−C1-4アルキル基から成る群から選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、
(3)式−OR1(式中、R1は前記と同意義を示す。)で表される基および
(4)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されていてもよいシクロアルケンを、
Arはハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、炭素数1〜4のアルカノイルアミノ基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲノC1-4アルキル基、ハロゲノC1-4アルコキシ基、C1-4アルキルチオ基、C1-4アルキルスルホニル基、C1-4アルカノイル基、5員の芳香族複素環基、カルバモイル基、C1-4アルキル−カルバモイル基、C1-4アルコキシ−カルボニル−C1-4アルキル−カルバモイル基および1,3−ジアシルグアニジノ−C1-4アルキル基から成る群から選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を示す第〔1〕項記載の組成物、
〔3〕化合物が▲1▼d-エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、▲2▼d-エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、▲3▼エチル 6-[N-(2-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、▲4▼エチル 6-[N-(2-クロロ-4-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートまたはその塩である第〔1〕項記載の組成物、
〔4〕水中油型である第〔1〕項記載の組成物、
〔5〕pHが約3〜約6に調整された第〔1〕項記載の組成物、
〔6〕注射用である第〔1〕項記載の組成物、
〔7〕油成分、乳化剤および化合物(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグを含む分散相粒子と、この分散相粒子が分散された水とで構成される第〔1〕項記載の組成物、
〔8〕油成分が植物油、植物油の部分水素添加油、単酸基グリセライド、混酸基グリセライドまたは中鎖脂肪酸グリセリンエステルである第〔7〕項記載の組成物、
〔9〕油成分が植物油である第〔7〕項記載の組成物、
〔10〕植物油が大豆油、綿実油、ナタネ油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、米ヌカ油、コーン胚芽油、ヒマワリ油、ケシ油またはオリーブ油である第〔9〕項記載の組成物、
〔11〕植物油が大豆油である第〔10〕項記載の組成物、
〔12〕乳化剤がリン脂質または非イオン性界面活性剤である第〔7〕項記載の組成物、
〔13〕乳化剤がリン脂質である第〔7〕項記載の組成物、
〔14〕リン脂質が卵黄レシチン、大豆レシチン、これらの水素添加生成物またはフォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン類、フォスファチジン酸、フォスファチジルセリン、フォスファチジルイノシトールまたはファスファチジルグリセロールである第〔13〕項記載の組成物、
〔15〕リン脂質が卵黄レシチンである第〔14〕項記載の組成物、
〔16〕油成分の使用量が組成物全体に対して約1〜約30重量%である第〔7〕項記載の組成物、
〔17〕乳化剤の使用量が組成物全体に対して約0.1〜約10%(W/V)である第〔7〕項記載の組成物、
〔18〕油成分に対する乳化剤の割合が約0.1〜約150重量%である第〔7〕項記載の組成物、
〔19〕植物油およびリン脂質を含有する第〔1〕項記載の組成物、
〔20〕大豆油、卵黄レシチン、グリセリンおよび精製水を含有する第〔1〕項記載の組成物、
〔21〕組成物全体に対して化合物(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグを約0.001〜約95重量%含有する第〔1〕項または第〔7〕項記載の組成物、
〔22〕組成物全体に対して化合物(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグを約0.01〜約30重量%含有する第〔1〕項または第〔7〕項記載の組成物、
〔23〕分散相の平均粒子径が約25〜500nmである第〔7〕項記載の組成物、
〔24〕一酸化窒素および/またはサイトカイン産生抑制剤である第〔1〕項記載の組成物、
〔25〕心疾患、自己免疫疾患、セプシスまたはセプティックショックの予防・治療剤である第〔1〕項記載の組成物、
〔26〕式
【化28】
Figure 0004863553
[式中、Rは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1(式中、R1は水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基または式
【化29】
Figure 0004863553
(式中、R1bは水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を、R1cはR1bと同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、R0は水素原子または脂肪族炭化水素基を、もしくはRとR0は一緒になって結合手を、環A1は(1)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(2)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(3)式−OR1(式中、R1は前記と同意義を示す。)で表される基および(4)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されていてもよいシクロアルケンを、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式
【化30】
Figure 0004863553
で表される基は、式
【化31】
Figure 0004863553
または
【化32】
Figure 0004863553
で表される基を、nは1〜4の整数を示す。]で表される化合物、またはその塩あるいはそのプロドラッグを含有する乳化組成物のpHを約6以下に調整することを特徴とする当該組成物の安定化方法、
〔27〕オートクレーブ滅菌時の安定性を向上する第〔26〕項記載の安定化方法、
〔28〕哺乳動物に対して第〔1〕項記載の組成物を有効量投与することを特徴とする心疾患、自己免疫疾患、セプシスまたはセプティックショックの予防・治療方法、および
〔29〕心疾患、自己免疫疾患、セプシスまたはセプティックショックの予防・治療剤を製造するための第〔1〕項記載の組成物の使用を提供する。
【0005】
さらに、本発明は、
〔30〕式(I)で表される化合物が、式
(i)式
【化33】
Figure 0004863553
[式中、Rは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1(式中、R1は水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基または式
【化34】
Figure 0004863553
(式中、R1bは水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を、R1cはR1bと同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、R0は水素原子または脂肪族炭化水素基を、もしくはRとR0は一緒になって結合手を、環A2は(1)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(2)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(3)式−OR1(式中、R1は前記と同意義を示す。)で表される基および(4)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されたシクロアルケンを、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式
【化35】
Figure 0004863553
で表される基は、式
【化36】
Figure 0004863553
または
【化37】
Figure 0004863553
で表される基を、nは1〜4の整数を示す。]で表される化合物、または
(ii)式
【化38】
Figure 0004863553
[式中、Raは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1a(式中、R1aは水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基または式
【化39】
Figure 0004863553
(式中、R1aは前記と同意義を、R1bはR1aと同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、R0aは水素原子または脂肪族炭化水素基を、もしくはRaとR0aは一緒になって結合手を、Araは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式
【化40】
Figure 0004863553
で表される基は、式
【化41】
Figure 0004863553
または
【化42】
Figure 0004863553
で表される基を、nは1〜4の整数を示す。]で表される化合物である第〔1〕項記載の組成物、
〔31〕式(Iaa)で表される化合物が、式
【化43】
Figure 0004863553
[式中、各記号は第〔30〕項記載と同意義を示す]で表される化合物である第〔30〕項記載の組成物、
〔32〕環A2が低級アルキル、フェニルまたはハロゲンで置換されたシクロアルケンであり、R1が低級アルキル基であり、Arが置換基を有していてもよいフェニル基であり、nが2である第〔30〕項記載の組成物、
〔33〕式(Ie)で表される化合物が、式
【化44】
Figure 0004863553
[式中、Rは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1(式中、R1は水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基または式
【化45】
Figure 0004863553
(式中、R1bは水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を、R1cはR1bと同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、R0は水素原子または脂肪族炭化水素基を、もしくはRとR0は一緒になって結合手を、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式
【化46】
Figure 0004863553
で表される基は、式
【化47】
Figure 0004863553
または
【化48】
Figure 0004863553
で表される基を、nは1〜4の整数を示す。但し、nが1または2であり、(i)R1が水素原子またはエチル基、R0がメチル基、かつAr がフェニル基であるとき、または(ii)RとR0は一緒になって結合手を示し、かつAr がフェニル基、2−メチルフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−メトキシフェニル基または2,6−ジメチルフェニル基であるとき、式
【化49】
Figure 0004863553
で表される基は、式
【化50】
Figure 0004863553
で表される基である。]で表される化合物である第〔30〕項記載の組成物、
〔34〕式(Ia)で表される化合物が、式
【化51】
Figure 0004863553
[式中、R2は水素原子または脂肪族炭化水素基を、R1、Ar、nおよび式
【化52】
Figure 0004863553
で表される基は第〔33〕項記載と同意義を示す。但し、nが1または2、Ar がフェニル基、R1が水素原子またはエチル基、かつR2がメチル基であるとき、式
【化53】
Figure 0004863553
で表される基は、式
【化54】
Figure 0004863553
で表される基である。]で表される化合物である第〔33〕項記載の組成物、
〔35〕R1が置換基を有していてもよい低級アルキル基である第〔34〕項記載の組成物、
〔36〕R1がエチル基である第〔34〕項記載の組成物、
〔37〕R2が水素原子または低級アルキル基である第〔34〕項記載の組成物、
〔38〕R2が水素原子である第〔34〕項記載の組成物、
〔39〕Arが置換基を有していてもよいフェニル基である第〔34〕項記載の組成物、
〔40〕Arがハロゲンまたは/および低級アルキルで置換されたフェニル基である第〔34〕項記載の組成物、
〔41〕Arが、式
【化55】
Figure 0004863553
[式中、R4およびR5は同一または異なってハロゲン原子または低級アルキル基を、nは0〜2の整数を示す。]で表される基である第〔34〕項記載の組成物、
〔42〕ハロゲン原子がフッ素原子または塩素原子である第〔34〕項記載の組成物、
〔43〕式
【化56】
Figure 0004863553
で表される基が式
【化57】
Figure 0004863553
[式中、nは第〔34〕項記載と同意義を示す。]で表される基である第〔34〕項記載の組成物、
〔44〕nが1〜3である第〔34〕項記載の組成物、
〔45〕R1が置換基を有していてもよい低級アルキル基であり、R2が水素原子または低級アルキル基であり、Arが置換基を有していてもよいフェニル基であり、nが1、2または3である第〔34〕項記載の組成物、
〔46〕R1が置換基を有していてもよい低級アルキル基であり、R2が水素原子であり、Arがハロゲン原子で置換されたフェニル基であり、nが2である第〔34〕項記載の組成物、
〔47〕式(Ia)で表される化合物が、式
【化58】
Figure 0004863553
[式中、Arおよびnは第〔33〕項記載と同意義を示す]で表される化合物である第〔33〕項記載の組成物、
〔48〕Arが置換基を有していてもよいフェニル基であり、nが2である第〔47〕記載の組成物、
〔49〕式(Ia)で表される化合物が、式
【化59】
Figure 0004863553
[式中、R1、R2およびArは第〔34〕項記載と同意義を、式
【化60】
Figure 0004863553
で表される基は、式
【化61】
Figure 0004863553
または
【化62】
Figure 0004863553
で表される基を示す。但し、Ar がフェニル基、R1が水素原子またはエチル基、かつR2がメチル基であるとき、式
【化63】
Figure 0004863553
で表される基は式
【化64】
Figure 0004863553
で表される基である。]で表される化合物である第〔33〕項記載の組成物、
〔50〕式(Ie)で表される化合物が、式
【化65】
Figure 0004863553
[式中、R2aは水素原子または脂肪族炭化水素基を、R1a、Ara、nおよび式
【化66】
Figure 0004863553
で表される基は第〔30〕項記載と同意義を示す。]で表される化合物である第〔30〕項記載の組成物、および
〔51〕式(Ie)で表される化合物が、式
【化67】
Figure 0004863553
[式中、R1a、R2aおよびAraは第〔50〕項記載と同意義を、式
【化68】
Figure 0004863553
で表される基は式
【化69】
Figure 0004863553
または
【化70】
Figure 0004863553
で表される基を示す。]で表される化合物である第〔30〕項記載の組成物を提供する。
【0006】
本明細書において、Rは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1(式中、R1は水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基、または式
【化71】
Figure 0004863553
(式中、R1bは水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を、R1cはR1bと同一または異なって、水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基、もしくはR0と一緒になって結合手を形成することを示すが、とりわけ、式−OR1[R1は前記と同意義を示す。]で表される基を示すものが好ましい。
【0007】
また、Raは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式−OR1a(式中、R1aは水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基、または式
【化72】
Figure 0004863553
(式中、R1aは前記と同意義を、R1bはR1aと同一または異なって、水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基、もしくはR0aと一緒になって結合手を形成することを示すが、とりわけ、式−OR1a[R1aは前記と同意義を示す。]で表される基を示すものが好ましい。
【0008】
RとR0が一緒になって結合手を示しているとき、式(Iaa)で表される化合物は、式
【化73】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができ、具体的には、式
【化74】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]または
【化75】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができる。
【0009】
RとR0が一緒になって結合手を示しているとき、式(Ia)で表される化合物は、式
【化76】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができ、具体的には、式
【化77】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]または
【化78】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができる。
【0010】
aとR0aが一緒になって結合手を示しているとき、式(Ie)で表される化合物は、式
【化79】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができ、具体的には、式
【化80】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]または
【化81】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができる。
【0011】
Rが、式−OR1[式中、R1は前記と同意義を示す。]で表される基であるとき、式(Iaa)で表される化合物は、式
【化82】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができ、具体的には、式
【化83】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]または
【化84】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができる。
【0012】
Rが、式−OR1[式中、R1は前記と同意義を示す。]で表される基であるとき、式(Ia)で表される化合物は、式
【化85】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができ、具体的には、式
【化86】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]または
【化87】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができる。
【0013】
aが、式−OR1a[式中、R1aは前記と同意義を示す。]で表される基であるとき、式(Ie)で表される化合物は、式
【化88】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができ、具体的には、式
【化89】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]または
【化90】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表すことができる。
【0014】
式(Iaa)で表される化合物としては式(Icc)または式(Inn)で表される化合物が好ましく、式(Ia)で表される化合物としては式(Ic)または式(In)で表される化合物が好ましく、式(Ie)で表される化合物としては式(Ik)または式(Ip)で表される化合物が好ましい。
【0015】
同様に、式(Id)で表される化合物は式
【化91】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を有する。]または、式
【化92】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を有する。]で表すことができ、式(Ig)で表される化合物は式
【化93】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を有する。]または、式
【化94】
Figure 0004863553
[式中、各記号は前記と同意義を有する。]で表すことができる。
式(Id)で表される化合物としては式(Ir)で表される化合物が、式(Ig)で表される化合物としては式(It)で表される化合物が好ましい。
【0016】
式(Ia)で表される化合物において、nが1または2であり、(i)R1が水素原子またはエチル基、R0がメチル基、かつAr がフェニル基であるとき、または(ii)RとR0は一緒になって結合手を示し、かつAr がフェニル基、2−メチルフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−メトキシフェニル基または2,6−ジメチルフェニル基であるとき、式
【化95】
Figure 0004863553
で表される基は、式
【化96】
Figure 0004863553
で表される基である。さらに、nが1〜4であり、(i)R1が水素原子または置換基を有していてもよい低級アルキル基、R0が置換基を有していてもよい低級アルキル基、かつAr が置換基を有していてもよいフェニル基であるとき、または(ii)RとR0は一緒になって結合手を示し、かつAr が置換基を有していてもよいフェニル基であるとき、式
【化97】
Figure 0004863553
で表される基は、式
【化98】
Figure 0004863553
で表される基であってもよい。
【0017】
式(Ib)で表される化合物において、nが1または2であり、R1が水素原子またはエチル基、R0がメチル基、かつAr がフェニル基であるとき、式
【化99】
Figure 0004863553
で表される基は、式
【化100】
Figure 0004863553
で表される基である。さらに、nが1〜4であり、R1が水素原子または置換基を有していてもよい低級アルキル基、R0が置換基を有していてもよい低級アルキル基、かつAr が置換基を有していてもよいフェニル基であるとき、式
【化101】
Figure 0004863553
で表される基は、式
【化102】
Figure 0004863553
で表される基であってもよい。
【0018】
R、R1、R1a、R1b、R1cで表される「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「脂肪族炭化水素基」、R0、R0a2、R2aで表される「脂肪族炭化水素基」としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが好ましい。
該アルキル基としては、例えば、直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜20のアルキル基(例、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数1〜6の低級アルキル基(例、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基など)などが好ましい。
該シクロアルキル基としては、例えば、炭素数3〜10のシクロアルキル基(例、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基(例、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)などが好ましい。
該シクロアルキルアルキル基としては、例えば、炭素数4〜12のシクロアルキルアルキル基(例、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数4〜8(なかでも4〜7)のシクロアルキルアルキル基(例、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基など)などが好ましい。
該アルケニル基としては、例えば、炭素数3〜6の低級アルケニル基(例、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数3または4の低級アルケニル基(例、プロペニル基、ブテニル基など)などが好ましい。
該アルキニル基としては例えば、炭素数3〜6の低級アルキニル基(例、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数3または4の低級アルキニル基(例、プロピニル基、ブチニル基など)などが好ましい。
【0019】
前記「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「置換基」としては、例えば、複素環基、オキソ基、水酸基、C1-6アルコキシ基、C3-10(なかでもC3-6)シクロアルキルオキシ基、C6-10アリールオキシ基、C7-19(なかでもC7-12)アラルキルオキシ基、複素環オキシ基、C1-6アルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、C3-10(なかでもC3-6)シクロアルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、C6-10アリールチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、C7-19(なかでもC7-12)アラルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、複素環チオ基、複素環スルフィニル基、複素環スルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、C1-10(なかでもC1-6)アルコキシ−カルボニル基、C3-6シクロアルキルオキシ−カルボニル基、C6-10アリールオキシ−カルボニル基、C7-19(なかでもC7-12)アラルキルオキシ−カルボニル基、複素環オキシカルボニル基、C6-10アリール−カルボニル基、C1-6アルカノイル基、C3-5アルケノイル基、C6-10アリール−カルボニルオキシ基、C2-6アルカノイルオキシ基、C3-5アルケノイルオキシ基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいチオカルバモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイルオキシ基、C1-6アルカノイルアミノ基、C6-10アリール−カルボニルアミノ基、C1-10(なかでもC1-6)アルコキシ−カルボキサミド基、C6-10アリールオキシ−カルボキサミド基、C7-19(なかでもC7-12)アラルキルオキシ−カルボキサミド基、C1-10(なかでもC1-6)アルコキシ−カルボニルオキシ基、C6-10アリールオキシ−カルボニルオキシ基、C7-19(なかでもC7-12)アラルキルオキシ−カルボニルオキシ基、C3-10(なかでもC3-6)シクロアルキルオキシ−カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいウレイド基、置換基を有していてもよいC6-10アリール基などが用いられる。
これらの置換基は前記「脂肪族炭化水素基」の置換可能な部位に置換されており、該置換基は1個に限定されず、同一または異なって複数個(2〜4個)あってもよい。
【0020】
「C1-6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基などが、「C3-10シクロアルキルオキシ基」としては、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが、「C6-10アリールオキシ基」としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが、「C7-19アラルキルオキシ基」としては、例えば、ベンジルオキシ基、1−フェニルエチルオキシ基、2−フェニルエチルオキシ基、ベンズヒドリルオキシ基、1−ナフチルメチルオキシ基などが、「C1-6アルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)」としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基などが、「C3-10シクロアルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)」としては、例えば、シクロプロピルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロペンチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルホニル基などが、「C6-10アリールチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)」としては、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、フェニルスルフィニル基、フェニルスルホニル基などが、「C7-19アラルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)」としては、例えば、ベンジルチオ基、フェニルエチルチオ基、ベンズヒドリルチオ基、ベンジルスルフィニル基、ベンジルスルホニル基などが、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが、「C1-10アルコキシ−カルボニル基」としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基などが、「C3-6シクロアルキルオキシカルボニル基」としては、例えば、シクロプロピルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ノルボルニルオキシカルボニル基などが、「C6-10アリールオキシ−カルボニル基」としては、例えば、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基などが、「C7-19アラルキルオキシ−カルボニル基」としては、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、ベンズヒドリルオキシカルボニル基、2−フェネチルオキシカルボニル基などが、「C6-10アリール−カルボニル基」としては、例えば、ベンゾイル基、ナフトイル基、フェニルアセチル基などが、「C1-6アルカノイル基」としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ピバロイル基などが、「C3-5アルケノイル基」としては、例えば、アクリロイル基、クロトノイル基などが、「C6-10アリール−カルボニルオキシ基」としては、例えば、ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基、フェニルアセトキシ基などが、「C2-6アルカノイルオキシ基」としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基などが、「C3-5アルケノイルオキシ基」としては、例えば、アクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基などが用いられる。
【0021】
「置換基を有していてもよいカルバモイル基」としては、例えば、C1-4アルキル(例、メチル、エチルなど)、フェニル、C1-7アシル(例、アセチル、プロピオニル、ベンゾイルなど)、C1-4アルコキシ−フェニル(例、メトキシフェニルなど)などから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよい、カルバモイル基あるいは環状アミノカルボニル基などが用いられ、具体的には、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−アセチルカルバモイル基、N−ベンゾイルカルバモイル基、N−(p−メトキシフェニル)カルバモイル基、1−ピロリジニルカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、1−ピペラジニルカルボニル基、モルホリノカルボニル基などが用いられる。「置換基を有していてもよいチオカルバモイル基」としては、例えば、C1-4アルキル(例、メチル、エチルなど)、フェニルなどから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよいチオカルバモイル基が用いられ、具体的には、例えば、チオカルバモイル基、N−メチルチオカルバモイル基、N−フェニルチオカルバモイル基などが用いられる。「置換基を有していてもよいカルバモイルオキシ基」としては、例えば、C1-4アルキル(例、メチル、エチルなど)、フェニルなどから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよいカルバモイルオキシ基が用いられ、具体的には、例えば、カルバモイルオキシ基、N−メチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N−エチルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基などが用いられる。
【0022】
「C1-6アルカノイルアミノ基」としては、例えば、アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブチロアミド基、バレロアミド基、ピバロアミド基などが、「C6-10アリール−カルボニルアミノ基」としては、例えば、ベンズアミド基、ナフトアミド基、フタルイミド基などが、「C1-10アルコキシ−カルボキサミド基」としては、例えば、メトキシカルボキサミド(CH3OCONH−)基、エトキシカルボキサミド基、tert−ブトキシカルボキサミド基などが、「C6-10アリールオキシ−カルボキサミド基」としては、例えば、フェノキシカルボキサミド(C65OCONH−)基などが、「C7-10アラルキルオキシ−カルボキサミド基」としては、例えば、ベンジルオキシカルボキサミド(C65CH2OCONH−)基、ベンズヒドリルオキシカルボキサミド基などが、「C1-10アルコキシ−カルボニルオキシ基」としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−ペンチルオキシカルボニルオキシ基、n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ基などが、「C6-10アリールオキシ−カルボニルオキシ基」としては、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、ナフチルオキシカルボニルオキシ基などが、「C7-19アラルキルオキシ−カルボニルオキシ基」としては、例えば、ベンジルオキシカルボニルオキシ基、1−フェニルエチルオキシカルボニルオキシ基、2−フェニルエチルオキシカルボニルオキシ基、ベンズヒドリルオキシカルボニルオキシ基などが、「C3-10シクロアルキルオキシ−カルボニルオキシ基」としては、例えば、シクロプロピルオキシカルボニルオキシ基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基などが用いられる。
【0023】
「置換基を有していてもよいウレイド基」としては、例えば、C1-4アルキル基(例、メチル基、エチル基など)、フェニル基などから選ばれた1〜3個(なかでも1または2個)の置換基で置換されていてもよいウレイド基が用いられ、例えばウレイド基、1−メチルウレイド基、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基、3−フェニルウレイド基などが用いられる。
【0024】
「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「置換基」として、複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、複素環スルフィニル基、複素環スルホニル基または複素環オキシカルボニル基が用いられる場合、該複素環基は複素環に結合している水素原子を1個とりのぞいてできる基を表し、例えば窒素原子(オキシド化されていてもよい)、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1〜数個、好ましくは1〜4個含む5〜8員環(なかでも5〜6員環)基、またはその縮合環基を示す。このような複素環基としては、例えばピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、1,2,4−オキサジアゾリル基、1,2,5−オキサジアゾリル基、1,3,4−オキサジアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3−チアジアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,2,5−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、インドリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジオキシニル基、ジオキソリル基、キノリル基、ピリド〔2,3−d〕ピリミジル基、1,5−,1,6−,1,7−,1,8−,2,6−または2,7−ナフチリジル基、チエノ〔2,3−d〕ピリジル基、ベンゾピラニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基などが用いられる。
これら複素環基は、C1-4アルキル(例、メチル、エチルなど)、ヒドロキシ、オキソ、C1-4アルコキシ(例、メトキシ、エトキシなど)などから選ばれた1〜3個の置換基によって置換可能な部位に置換されていてもよい。
【0025】
「置換基を有していてもよいC6-10アリール基」の「C6-10アリール基」としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが用いられる。該C6-10アリール基は、前記「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「置換基」(置換基を有していてもよいC6-10アリール基を除く)から選ばれた置換基で置換可能な部位が置換されていてもよい。それらの置換基は、該C6-10アリール基の置換可能な部位に置換されており、該置換基は1個に限定されず、同一または異なって複数個(2〜4個)あってもよい。
また、「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」は、置換基が脂肪族炭化水素基と一緒になって置換されていてもよい縮合環基を形成していてもよく、このような縮合環基としてはインダニル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基などが用いられる。この縮合環基は、前記「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「置換基」から選ばれた置換基で置換可能な部位が置換されていてもよい。それらの置換基は、該縮合環基の置換可能な部位に置換されており、該置換基は1個に限定されず、同一または異なって複数個(2〜4個)あってもよい。
【0026】
R、R1、R1a、R1b、R1cとしては、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基(例、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、ヒドロキシエチル基など)などが好ましく用いられ、なかでも、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などが好ましく用いられる。とりわけ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基などが好ましいく、なかでもエチル基などが好ましい。
2、R2aとしては、例えば、水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基(例、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、ヒドロキシエチル基など)などが好ましく用いられ、とりわけ、水素原子、メチル基などが好ましく用いられ、なかでも水素原子などが好ましく用いられる。
【0027】
Rで表される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」における「芳香族炭化水素基」としては、炭素数6乃至14の芳香族炭化水素基(例、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アンスリル基、インデニル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数6乃至10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基など)などが好ましく、なかでもフェニル基などが特に好ましい。
Rで表される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」における「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、低級(C1-4)アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)、低級(C1-4)アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など)、低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基など)、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アシルアミノ基(例、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基などの炭素数1乃至4のアルカノイルアミノ基など)、炭素数3乃至6のシクロアルキル基(例、シクロプロピル基、シクロペンチル基など)、炭素数6乃至10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基、インデニル基など)、ハロゲノ低級(C1-4)アルキル基(例、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基など)、ハロゲノ低級(C1-4)アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基など)、低級(C1-4)アルキルチオ基(例、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピオニルチオ基など)、低級(C1-4)アルキルスルホニル基(例、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基など)、低級(C1-4)アルカノイル基(例、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基など)、5員の芳香族複素環基(例、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、チエニル基、フリル基など)、カルバモイル基、低級(C1-4)アルキル−カルバモイル基(例、メチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、プロピオニルカルバモイル基など)、低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)アルキル−カルバモイル基(例、ブトキシカルボニルメチルカルバモイル基、エトキシカルボニルメチルカルバモイル基など)、1,3−ジアシルグアニジノ−低級(C1-4)アルキル基(例、1,3−ジアセチルグアニジノメチル、1,3−ビス−tert−ブトキシカルボニルグアニジノメチルなど)などが、好ましくはハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、低級(C1-4)アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)などが、より好ましくはフッ素原子、塩素原子、メチル基が用いられる。
これらの置換基は該芳香族炭化水素基の置換可能な部位に置換されており、置換基の数は1乃至5個が好ましく、1乃至3個がより好ましく、1乃至2個がとりわけ好ましい。該置換基が2個以上存在するときはそれら置換基は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0028】
Rで表される「置換基を有していてもよい複素環基」における「複素環基」は、例えば窒素原子(オキシド化されていてもよい)、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1乃至数個、好ましくは1乃至4個含む5乃至8員環(なかでも5乃至6員環)基、またはその縮合環基を示す。このような複素環基としては、例えばピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、1,2,4−オキサジアゾリル基、1,2,5−オキサジアゾリル基、1,3,4−オキサジアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3−チアジアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,2,5−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、インドリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジオキシニル基、ジオキソリル基、キノリル基、ピリド〔2,3−d〕ピリミジル基、1,5−,1,6−,1,7−,1,8−,2,6−または2,7−ナフチリジル基、チエノ〔2,3−d〕ピリジル基、ベンゾピラニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基などが用いられる。
これら複素環基は、C1-4アルキル(例、メチル、エチルなど)、ヒドロキシ、オキソ、C1-4アルコキシ(例、メトキシ、エトキシなど)などから選ばれた1乃至3個の置換基によって置換可能な部位に置換されていてもよい。
【0029】
Ar、Araで表される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」における「芳香族炭化水素基」としては、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基(例、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アンスリル基、インデニル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基など)などが好ましく、なかでもフェニル基などが特に好ましい。
Ar、Araで表される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」における「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、低級(C1-4)アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)、低級(C1-4)アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など)、低級(C1-4)アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基など)、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アシルアミノ基(例、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基などの炭素数1〜4のアルカノイルアミノ基など)、炭素数3〜6のシクロアルキル基(例、シクロプロピル基、シクロペンチル基など)、炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基、インデニル基など)、ハロゲノ低級(C1-4)アルキル基(例、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基など)、ハロゲノ低級(C1-4)アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基など)、低級(C1-4)アルキルチオ基(例、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピオニルチオ基など)、低級(C1-4)アルキルスルホニル基(例、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基など)、低級(C1-4)アルカノイル基(例、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基など)、5員の芳香族複素環基(例、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、チエニル基、フリル基など)、カルバモイル基、低級(C1-4)アルキル−カルバモイル基(例、メチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、プロピオニルカルバモイル基など)、低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)アルキル−カルバモイル基(例、ブトキシカルボニルメチルカルバモイル基、エトキシカルボニルメチルカルバモイル基など)、1,3−ジアシルグアニジノ−低級(C1-4)アルキル基(例、1,3−ジアセチルグアニジノメチル、1,3−ビス−tert−ブトキシカルボニルグアニジノメチルなど)などが、好ましくはハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、低級(C1-4)アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)などが、より好ましくはフッ素原子、塩素原子、メチル基が用いられる。
これらの置換基は該芳香族炭化水素基の置換可能な部位に置換されており、置換基の数は1〜5個が好ましく、1〜3個がより好ましく、1〜2個がとりわけ好ましい。該置換基が2個以上存在するときはそれら置換基は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0030】
Ar、Araとして、具体的には、例えば、フェニル基、ハロゲノフェニル基、低級(C1-4)アルキルフェニル基、低級(C1-4)アルコキシフェニル基、低級(C1-4)アルコキシカルボニルフェニル基、カルボキシルフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ハロゲノ低級(C1-4)アルキルフェニル基、ハロゲノ低級(C1-4)アルコキシフェニル基、低級(C1-4)アルカノイルフェニル基、5員の芳香族複素環で置換されたフェニル基、低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)アルキル−カルバモイルフェニル基、1,3−ジアシルグアニジノ−低級(C1-4)アルキルフェニル基、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルキルで置換されたフェニル基、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルコキシカルボニルで置換されたフェニル基、ハロゲンおよびシアノで置換されたフェニル基、ハロゲンおよび5員の芳香族複素環で置換されたフェニル基、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)アルキル−カルバモイルで置換されたフェニル基などが用いられる。
Ar、Araとしては、ハロゲノフェニル基、低級(C1-4)アルキルフェニル基、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルコキシカルボニルで置換されたフェニル基などが好ましく用いられる。
Ar、Araとしては、式
【化103】
Figure 0004863553
[式中、R4およびR5は同一または異なってハロゲン原子または低級アルキル基を、nは0〜2の整数を示す。]で表される基がより好ましく、R4およびR5の少なくとも一方がハロゲン原子であるものがさらに好ましい。
4およびR5で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
【0031】
該ハロゲノフェニル基としては、例えば、2,3−ジフルオロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−フルオロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−フルオロ−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、4−ブロモ−2−フルオロフェニル基、2,3,4−トリフルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニルなどが用いられる。
該低級(C1-4)アルキルフェニル基としては、例えば、2−エチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基などが好ましく用いられ、該低級(C1-4)アルコキシフェニル基としては、例えば4−メトキシフェニルなどが好ましく用いられる。
該低級(C1-4)アルコキシ−カルボニルフェニル基としては、例えば、2−エトキシカルボニルフェニル基、2−メトキシカルボニルフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基などが好ましく用いられ、該ハロゲノ低級(C1-4)アルキルフェニル基としては、例えば、2−トリフルオロメチルフェニル基などが好ましく用いられ、該ハロゲノ低級(C1-4)アルコキシフェニル基としては、例えば、2−トリフルオロメトキシフェニル基、4−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)フェニル基などが好ましく用いられる。
【0032】
該低級(C1-4)アルカノイルフェニル基としては、例えば、2−アセチルフェニル基などが好ましく用いられ、該5員の芳香族複素環で置換されたフェニル基としては、例えば、4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル基、4−(2H−テトラゾール−2−イル)フェニル基、4−(1H−テトラゾール−1−イル)フェニル基、4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル基などが好ましく用いられ、該低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)アルキル−カルバモイルフェニル基としては、例えば、4−(N−エトキシカルボニルメチルカルバモイル)フェニル基などが好ましく用いられ、該1,3−ジアシルグアニジノ−低級(C1-4)アルキルフェニル基としては、例えば、4−(1,3−ビス−tert−ブトキシカルボニルグアニジノメチル)フェニル基などが好ましく用いられる。
該ハロゲンおよび低級(C1-4)アルキルで置換されたフェニル基としては、例えば、2−フルオロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基、4−フルオロ−2−メチルフェニル基などが好ましく用いられ、該ハロゲンおよび低級(C1-4)アルコキシ−カルボニルで置換されたフェニル基としては、例えば、2−クロロ4−メトキシカルボニルフェニル基などが好ましく用いられ、該ハロゲンとシアノで置換されたフェニル基としては、2−クロロ−4−シアノフェニル基などが好ましく用いられ、該ハロゲンと5員の芳香族複素環で置換されたフェニル基としては、例えば、2−フルオロ−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニルなどが好ましく用いられ、該ハロゲンおよび低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)−アルキル−カルバモイルで置換されたフェニル基としては、例えば、2−クロロ−4−(N−tert−ブトキシカルボニルメチルカルバモイル)フェニル基、2−クロロ−4−(N−エトキシカルボニルメチルカルバモイル)フェニル基などが好ましく用いられる。
【0033】
さらに具体的に、Ar、Araとしては、とりわけフェニル基、1〜3個(なかでも1〜2個)のハロゲンで置換されたフェニル基(例、2,3−ジフルオロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、4−ブロモ−2−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−フルオロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−フルオロ−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、2,3,4−トリフルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基など)、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルキルで置換されたフェニル基(例、2−クロロ−4−メチルフェニル基、4−フルオロ−2−メチルフェニル基など)などが好ましい。なかでも、1〜3個(なかでも1〜2個)のハロゲンで置換されたフェニル基(例、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基など)、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルキルで置換されたフェニル基(例、2−クロロ−4−メチルフェニル基、4−フルオロ−2−メチルフェニル基など)などが好ましい。特に、2,4−ジフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基などが好ましく、2,4−ジフルオロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基などが好ましい。
【0034】
本明細書において環A1は(i)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(ii)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(iii)式−OR1(式中、R1は前記と同意義を示す。)で表される基および(iv)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されていてもよいシクロアルケンを示すが、(i)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(ii)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基および(iv)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されていてもよいシクロアルケンが好ましい。
本明細書において環A2は(i)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(ii)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(iii)式−OR1(式中、R1は前記と同意義を示す。)で表される基および(iv)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されたシクロアルケンを示すが、(i)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(ii)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基および(iv)ハロゲン原子から選ばれる1〜4個で置換されたシクロアルケンが好ましい。
これらの置換基は、環A1および環A2上の置換可能な炭素原子上に置換しており、環A1および環A2が複数個の置換基で置換されている場合、それらの置換基の種類は同一であっても異なっていてもよい。また、同一の炭素原子上に2個の置換基が置換していてもよく、異なった炭素原子上に複数の置換基が置換していてもよい。
【0035】
環A1および環A2の置換基である「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」としては、例えば、前述のR、R1、R1a、R1b、R1cで表される「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」と同様のものを用いることができる。
環A1および環A2の置換基である「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」としては、例えば、前述のAr、Araで表される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」と同様のものを用いることができる。
環A1および環A2の置換基である「置換基を有していてもよい複素環基」としては、例えば、前述のR、R1、R1a、R1b、R1cで表される「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「置換基」である「複素環基」と同様のものを用いることができる。
【0036】
環A1および環A2の置換基としては、1または2個のC1-6アルキル基(例、メチル基、tert-ブチル基などのC1-4アルキル基)、フェニル基、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)などが好ましく用いられる。

【化104】
Figure 0004863553
[式中、nは前記と同意義を示す。]で表される基は、式
【化105】
Figure 0004863553
または
【化106】
Figure 0004863553
[式中、nは前記と同意義を示す。]で表される基であることを示すが、式
【化107】
Figure 0004863553
[式中、nは前記と同意義を示す。]で表される基であることが好ましい。
【0037】

【化108】
Figure 0004863553
[式中、nは前記と同意義を示す。]で表される基は、式
【化109】
Figure 0004863553
または
【化110】
Figure 0004863553
[式中、nは前記と同意義を示す。]で表される基であることを示すが、式
【化111】
Figure 0004863553
[式中、nは前記と同意義を示す。]で表される基であることが好ましい。
【0038】
また、式
【化112】
Figure 0004863553
で表される基は、式
【化113】
Figure 0004863553
または
【化114】
Figure 0004863553
で表される基であることを示すが、式
【化115】
Figure 0004863553
で表される基であることが好ましい。
nで表される1〜4の整数としては、1〜3が好ましく、とりわけ2が好ましい。
【0039】
式(Iaa)で表される化合物としては、式(Ibb)で表されるものが好ましく、式(Ia)で表される化合物としては、式(Ib)で表されるものが好ましい。
式(Ibb)で表される化合物としては、式(Inn)で表されるものが好ましく、式(Ib)で表される化合物としては、式(In)で表されるものが好ましい。
式(Ibb)、(Ib)で表される化合物としては、R1が置換基を有していてもよい低級アルキル基であり、R2が水素原子または低級アルキル基であり、Arが置換基を有していてもよいフェニル基であり、nが1、2または3であるものが好ましく、R1が置換基を有していてもよい低級アルキル基であり、R2が水素原子であり、Arがハロゲン原子で置換されたフェニル基であり、nが2であるものがさらに好ましい。
式(Icc)、(Ic)で表される化合物としては、Arが置換基を有していてもよいフェニル基であり、nが2であるものが好ましい。
1で表される脱離基としては、例えば、ハロゲン原子(例、塩素、臭素、ヨウ素など)などが好ましく、とりわけ塩素原子が好ましい。
【0040】
式(I)、(Iaa)、(Ibb)、(Icc)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)で表される化合物において立体異性体が存在する場合は、それぞれの立体異性体並びにそれら立体異性体の混合物の何れもが本発明に包含されるものである。
さらに、式(Iaa)で表される化合物が式(Icc)または(Inn)で表される化合物である場合、式(Ia)で表される化合物が式(Ic)または(In)で表される化合物である場合、式(Ie)で表される化合物が式(Ik)または(Ip)で表される化合物である場合、式(Id)で表される化合物が式(Ir)で表される化合物である場合、および式(Ig)で表される化合物が式(It)で表される化合物である場合は、それぞれシクロアルケンもしくはシクロヘキセン環内の不斉炭素に基づく、光学異性体が存在するが、それぞれの光学異性体ならびにそれら光学異性体の混合物のいずれもが本発明に包含されるものである。
【0041】
式(I)または(Ia)で表される化合物としては、具体的には、後述する参考例Bで得られる化合物などが用いられ、なかでも▲1▼d-エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、▲2▼エチル 6-[N-(2-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、▲3▼エチル 6-[N-(2-クロロ-4-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートもしくは▲4▼d-エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートまたはその塩などが好ましい。
【0042】
本発明の組成物に用いられる化合物(I)、(Iaa)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ibb)、(Icc)(以下、本発明の化合物と略記する)は、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などにすることができる。無機塩基との塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが用いられ、有機塩基との塩としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が用いられる。無機酸との塩としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が用いられ、有機酸との塩としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が用いられる。塩基性アミノ酸との塩としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が用いられ、酸性アミノ酸との塩としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が用いられる。
【0043】
本発明の化合物またはその塩のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸などによる反応により本発明の化合物に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解などを起こして本発明の化合物に変化する化合物、胃酸などにより加水分解などを起こして本発明の化合物に変化する化合物をいう。本発明の化合物のプロドラッグとしては、本発明の化合物のアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例、本発明の化合物のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物など);本発明の化合物の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例、本発明の化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など);本発明の化合物のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例、本発明の化合物のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など);などが挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって、本発明の化合物から製造することができる。
また、本発明の化合物のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件で本発明の化合物に変化するものであってもよい。
本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグは、自体公知の方法、例えば、WO99/46242に記載の製造法あるいはそれに準じる方法に従って製造することができる。
本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグは水和物であっても無水和物であってもよい。
また、本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグは同位元素(例、3H、14C、35S、125Iなど)などで標識されていてもよい。
【0044】
本発明の組成物によれば、水溶性が乏しい本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグを、乳化剤で構成された組成物の成分として有効に使用できる。
本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグは油相の中に液体状態または固体状態で存在していてもよく、本発明の組成物は水中油型(O/W型)またはS/O/W型の乳化組成物である。
本発明の組成物は、乳化剤を用いて製造することができる。
本発明の組成物は、油成分、乳化剤、および本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグを含む分散相粒子と、この分散相粒子が分散された水とで構成されている。
【0045】
油成分としては、製薬技術分野における脂肪乳剤の調製に通常用いられる製薬上許容され得る全ての油脂類が使用可能である。油脂類としては、例えば、植物油、植物油の部分水素添加油、エステル交換反応で得られる油脂(単酸基グリセライド(simple glyceride)又は混酸基グリセライド(mixed glyceride ))、および中鎖脂肪酸グリセリンエステルなどが挙げられる。
前記油脂類には、炭素数6〜30程度(好ましくは6〜22程度)の脂肪酸のグリセリンエステルが含まれる。前記脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの飽和脂肪酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタン酸、ドコサヘキサエン酸などの不飽和脂肪酸が例示される。
植物油のうち好ましい油成分には、例えば、大豆油、綿実油、ナタネ油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、米ヌカ油、コーン胚芽油、ヒマワリ油、ケシ油、オリーブ油などの植物油などが含まれる。これらの植物油のうち大豆油などが好ましく用いられる。
また、油脂類として、炭素数6〜14程度(好ましくは8〜12程度)の中鎖脂肪酸のトリグリセライドも使用可能である。好ましい中鎖脂肪酸グリセリンエステルには、例えば、「ミグリオール810」、「ミグリオール812」(ともにヒュルス(Huls)社製、ミツバ貿易(株)から入手できる)などのカプリル酸/カプリン酸トリグリセライド(Caprylic/Capric triglycerides)、例えば、「パナセート800」(日本油脂(株)製)などのカプリル酸トリグリセライド(グリセリントリカプリル酸エステル)などが含まれる。
本発明の組成物における油成分の使用量は、組成物全体に対して、例えば、約1〜約30重量%、好ましくは約2〜約25重量%、さらに好ましくは約2.5〜約22.5重量%程度である。
【0046】
前記乳化剤としては、製薬上許容されるいずれの乳化剤を使用することができる。特に、製薬上許容されるリン脂質および非イオン性界面活性剤が好適である。乳化剤は、それぞれ単独で又は二種以上の混合物として使用できる。
リン脂質には、例えば、天然で得られるリン脂質(例えば、卵黄レシチン、大豆レシチンなど)、これらの水素添加生成物、又は合成的に得られるリン脂質(例えば、フォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン類、フォスファチジン酸、フォスファチジルセリン、フォスファチジルイノシトール、ファスファチジルグリセロールなど)などが含まれる。これらのリン脂質のうち、卵黄レシチン、大豆レシチン、並びに卵黄および大豆由来のフォスファチジルコリンが好ましい。特に好ましいリン脂質はレシチンである。
非イオン性界面活性剤としては、分子量800〜20000程度の高分子界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、硬化ヒマシ油ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン誘導体、ポリオキシエチレンソルビトール誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートなどが挙げられる。
本発明の組成物における乳化剤の使用量は、組成物全体に対して、通常約0.1〜約10%(W/V)、好ましくは約0.2〜約7%(W/V)、さらに好ましくは約0.5〜約5%(W/V)程度である。
本発明の組成物ににおいて、油成分に対する乳化剤の割合は、例えば、約0.1〜約150重量%、好ましくは約0.5〜約125重量%、さらに好ましくは約1〜約100重量%程度である。乳化剤は、油成分に対して、通常約1〜約15重量%、特に約1〜約10重量%程度使用される場合が多い。
【0047】
本発明の組成物は、本発明の化合物またはその塩あるいはプロドラッグ(主薬)、油成分および乳化剤から成る分散相成分と、水とを混合することより調製できるが、必要に応じて、前記主薬の安定性を向上させるための安定化剤、浸透圧を調整するための等張化剤、乳化力を向上させるための乳化補助剤、乳化剤の安定性を向上させるための乳化安定剤などの添加剤を添加してもよい。
安定化剤としては、例えば、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、トコフェロール、ソルビン酸、レチノールなど)、キレート剤(例えば、クエン酸、酒石酸など)などが挙げられる。安定化剤の使用量は、本発明の組成物全体に対して、通常約0.00001〜約10%(W/V)、好ましくは約0.0001〜約5%(W/V)程度である。
等張化剤には、例えば、グリセリン、糖アルコール、単糖類、二糖類、アミノ酸、デキストラン、アルブミンなどが含まれる。これらの等張化剤は一種又は二種以上混合して使用できる。
乳化補助剤としては、例えば、炭素数6〜30程度の脂肪酸、これら脂肪酸の塩、前記脂肪酸のモノグリセリドなどが挙げられる。前記脂肪酸には、例えば、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタン酸、ドコサヘキサエン酸などが含まれ、脂肪酸の塩には、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩などが含まれる。
乳化安定剤としては、例えば、コレステロール、コレステロールエステル、トコフェロール、アルブミン、脂肪酸アミド誘導体、多糖類、多糖類の脂肪酸エステルの誘導体などが使用できる。
【0048】
本発明の組成物における本発明の化合物またはその塩あるいはプロドラッグの濃度は、化合物の薬理活性又は血中動態により異なるが、通常、約0.001〜約5%(W/V)、好ましくは約0.01〜約2%(W/V)、さらに好ましくは約0.1〜約0.5%(W/V)程度である。また、本発明の組成物における本発明の化合物またはその塩あるいはプロドラッグの含有量を組成物100ml中、約1〜約5000mg、好ましく約10〜約2000mg、好ましくは約100〜約1000mgに設定することもできる。また、本発明の化合物またはその塩あるいはプロドラッグの含有量を組成物全体に対して、約0.001〜約95重量%、好ましくは約0.01〜約30重量%、さらに好ましく約0.1〜約3重量%に調整することもできる。
また、油成分と乳化剤とで構成された分散相に対する本発明の化合物またはその塩あるいはプロドラッグの割合(重量%)は、通常、約0.0047〜約24%、好ましくは約0.047〜約9.4%、さらに好ましくは約0.47〜約2.4%程度である。
本発明の組成物は、pHが約6以下、より具体的には約3〜約6、好ましくは約3〜約5.5、より好ましくは約3〜約5、さらに好ましくは約3〜約4に調整されている。
pHの調整剤としては、例えば、リン酸、炭酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウムなどが用いられるが、特に塩酸、水酸化ナトリウムなどが好ましい。
本発明の組成物は、例えば、注射用組成物として使用するのが好ましい。
【0049】
本発明の組成物は、基本的には公知の方法又はそれに準じる方法に従って製造できる。特に、乳化には、慣用の乳化技術が利用できるが、本発明の化合物またはその塩あるいはプロドラッグを予め油成分に溶解乃至分散させておくのが好ましい。すなわち、油成分と乳化剤とを含む分散相(1)と、本発明の化合物またはその塩あるいはプロドラッグ(2)との混合液を、水中に分散することにより、O/W型またはS/O/W型乳剤で構成された組成物を製造できる。
さらに好ましい方法には、例えば、主薬、油成分、乳化剤、必要によっては等張化剤などの添加剤を含む混合液と、水との不均質混合液を、乳化機を用いて均質化処理して粗乳化液を調製し、必要に応じて水を添加し、更に上記乳化機を用いて均質化処理した後、フィルターなどの濾過手段で大粒子を除去することにより、水中油型組成物を調製する方法が含まれる。前記混合液は、加温、例えば、約30〜約90℃、好ましくは約40〜約80℃程度の温度に加温して主薬を溶解又は分散する場合が多い。また、前記混合液と水との不均質混合液を乳化するための乳化機としては、慣用の装置、例えば、加圧噴射型ホモジナイザー、超音波ホモジナイザーなどのホモジナイザー、高速回転型ミキサーなどのホモミキサーなどが使用できる。粒子径が約5μm以上、好ましくは約1μm以上、さらに好ましくは約0.5μm以上の大粒子を除去するため、均質化処理した乳化液は、フィルターなどの濾過手段に供する場合が多い。
【0050】
本発明の組成物において、本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグが溶解した分散相の粒子径は、例えば、約0.01〜約5μm(約10〜約5000nm)、好ましくは約0.02〜約1μm(約20〜約1000nm)、さらに好ましくは約0.03〜約0.5μm(約30〜約500nm)程度である場合が多い。
さらに、エマルジョンの安定性および投与後の生体内分布の観点から、本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグが溶解した分散相粒子の平均粒径は、例えば、約25〜約500nm、好ましくは約50〜約300nm、さらに好ましくは約100〜約300nm(特に、約190〜約260nm)程度である。
本発明の組成物は、自体公知の方法を用いて、パイロゲンを除去することができる。
本発明の組成物は、必要に応じて、窒素ガス置換した後、滅菌、密封される。
【0051】
本発明の組成物はpHが約6以下に調整させているので、オートクレーブ等で滅菌した後も、本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグ、および本発明の組成物の安定性が優れている。
さらに、本発明の組成物は、本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグの濃度を高めることができるとともに、分散相粒子の粒子径を制御することにより、血液での滞留性、血管透過性および炎症部位に対する移行性を高めることができる。そのため、本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグの体内動態・体内分布を改善できるとともに、標的化が可能になり、より有効で副作用が抑制された薬物の投与が可能となる。従って、本発明の組成物は、特に、静脈内投与により対象疾患を治療する上で有用である。
【0052】
本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグは、低毒性で一酸化窒素(NO)産生抑制作用およびTNF−α、IL−1、IL−6などの炎症性サイトカイン産生抑制作用を有しているので、本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグを含有する本発明の組成物は、哺乳動物(例えば、ネコ、ウシ、イヌ、ウマ、ヤギ、サル、ヒトなど)の心疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、中枢神経系疾患、感染性疾患、セプシス、セプティックショックなどの疾患、例えば敗血症、エンドトキシンショック、エキソトキシショック、心不全、ショック、低血圧、リウマチ関節炎、骨関節炎、胃炎、潰瘍性大腸炎、消化性潰瘍、ストレス性胃潰瘍、クローン病、自己免疫疾患、臓器移植後の組織障害および拒絶反応、虚血再潅流障害、急性冠微小血管塞栓、ショック性血管塞栓(汎発性血管内血液凝固症候群(DIC)など)、虚血性脳障害、動脈硬化、悪性貧血、ファンコニー貧血症、鎌形赤血球性貧血病、膵炎、ネフローゼ症候群、腎炎、腎不全、インシュリン依存性糖尿病、インシュリン非依存性糖尿病、肝性ポルフィリン症、アルコール中毒、パーキンソン病、慢性白血病、急性白血病、腫瘍、骨髄腫、抗癌剤副作用軽減、幼児および成人性呼吸窮迫症候群、肺気腫、痴呆、アルツハイマー病、多発性硬化症、ビタミンE欠乏性、老化、サンバーン、筋ジストロフィー、心筋炎、心筋症、心筋梗塞、心筋梗塞後遺症、骨粗鬆症、肺炎、肝炎、乾癬、疼痛、白内障、インフルエンザ感染症、マラリア、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、放射線障害、火傷、体外受精効率化、高カルシウム血症、硬直性脊椎炎、骨減少症、骨ペーチェット病、骨軟化症、骨折、急性バクテリア髄膜炎、ヘリコバクター・ピロリ感染症、侵襲性ブドウ状球菌感染症、結核、全身性真菌感染症、単純ヘルペスウイルス感染症、水痘−帯状疱疹ウイルス感染症、ヒトパピローマウイルス感染症、急性ウイルス脳炎、脳炎、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、逆流性食道炎、発熱、高コレステロール血症、高グリセリド血症、高脂血症、糖尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、痛風、胃アトニー、痔疾、全身性エリテマトーサス、脊髄損傷、不眠症、精神分裂症、癲癇、肝硬変、肝不全、不安定狭心症、心弁膜症、透析による血小板減少症、急性虚血性脳卒中、急性期脳血栓症、癌転移、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、大腸癌、胃癌、卵巣癌、前立腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、悪性黒色腫、ホジキン病、非ホジキン性リンパ腫などの予防・治療剤として使用することができる。
【0053】
本発明の組成物の投与量は、本発明の化合物の種類、年齢、体重、症状、剤形、投与方法、投与期間などにより異なるが、例えば、セプシスの患者(成人、体重約60kg)一人あたり、通常、本発明の化合物(Iaa)または(Ie)として、1日約0.01〜約1000mg/kg、好ましくは約0.01〜約100mg/kg、より好ましくは約0.1〜約100mg/kg、とりわけ約0.1〜約50mg/kgを、なかでも約1.5〜約30mg/kgを1日1回から数回に分けて静脈投与される。もちろん、前記したように投与量は種々の条件で変動するので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
【0054】
本発明の組成物は、化合物(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグ以外の薬物と併用して使用することができる。
本発明の組成物と併用し得る薬物(以下、併用薬物と略記する場合がある)としては、例えば、抗菌薬、抗真菌薬、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド薬、抗凝血薬、血小板凝集防止薬、血栓溶解薬、免疫調節薬、抗原虫薬、抗生物質、鎮咳・去たん薬、鎮静薬、麻酔薬、抗潰瘍薬、不整脈治療薬、降圧利尿薬、精神安定薬、抗精神病薬、抗腫瘍薬、抗高脂血症薬、筋弛緩薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗アレルギー薬、強心薬、不整脈治療薬、血管拡張薬、血管収縮薬、降圧利尿薬、糖尿病治療薬、麻薬拮抗薬、ビタミン薬、ビタミン誘導体、関節炎治療薬、抗リウマチ薬、抗喘息薬、頻尿・尿失禁治療薬、アトピー性皮膚炎治療薬、アレルギー性鼻炎治療薬、昇圧薬、エンドトキシン拮抗薬あるいは抗体、シグナル伝達阻害薬、炎症性メディエーター作用抑制薬、炎症性メディエーター作用抑制抗体、抗炎症性メディエーター作用抑制薬、抗炎症性メディエーター作用抑制抗体などが挙げられ、なかでも抗菌薬、抗真菌薬、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド薬、抗凝血薬などが好ましい。具体的には、以下のものが挙げられる。
【0055】
(1)抗菌薬
▲1▼サルファ剤
スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、スルファモノメトキシン、スルファメチゾール、サラゾスルファピリジン、スルファジアジン銀など。
▲2▼キノリン系抗菌薬
ナリジクス酸、ピペミド酸三水和物、エノキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トシル酸トスフロキサシン、塩酸シプロフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、スパルフロキサシン、フレロキサシンなど。
▲3▼抗結核薬
イソニアジド、エタンブトール(塩酸エタンブトール)、パラアミノサリチル酸(パラアミノサリチル酸カルシウム)、ピラジナミド、エチオナミド、プロチオナミド、リファンピシン、硫酸ストレプトマイシン、硫酸カナマイシン、サイクロセリンなど。
▲4▼抗抗酸菌薬
ジアフェニルスルホン、リファンピシリンなど。
▲5▼抗ウイルス薬
イドクスウリジン、アシクロビル、ビタラビン、ガンシクロビルなど。
▲6▼抗HIV薬
ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、硫酸インジナビルエタノール付加物、リトナビルなど。
▲7▼抗スピロヘータ薬
▲8▼抗生物質
塩酸テトラサイクリン、アンピシリン、ピペラシリン、ゲンタマイシン、ジベカシン、カネンドマイシン、リビドマイシン、トブラマイシン、アミカシン、フラジオマイシン、シソマイシン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、ドキシサイクリン、アンピシリン、ピペラシリン、チカルシリン、セファロチン、セファピリン、セファロリジン、セファクロル、セファレキシン、セフロキサジン、セファドロキシル、セファマンドール、セフォトアム、セフロキシム、セフォチアム、セフォチアムヘキセチル、セフロキシムアキセチル、セフジニル、セフジトレンピボキシル、セフタジジム、セフピラミド、セフスロジン、セフメノキシム、セフポドキシムプロキセチル、セフピロム、セファゾプラン、セフェピム、セフスロジン、セフメノキシム、セフメタゾール、セフミノクス、セフォキシチン、セフブペラゾン、ラタモキナセフ、フロモキセフ、セファゾリン、セフォタキシム、セフォペラゾン、セフチゾキシム、モキサラクタム、チエナマイシン、スルファゼシン、アズスレオナムまたはそれらの塩、グリセオフルビン、ランカシジン類〔ジャーナル・オブ・アンチバイオティックス(J.Antibiotics),38,877−885(1985)〕など。
【0056】
(2)抗真菌薬
▲1▼ポリエチレン系抗生物質(例、アムホテリシンB、ナイスタチン、トリコマイシン)
▲2▼グリセオフルビン、ピロールニトリンなど
▲3▼シトシン代謝拮抗薬(例、フルシトシン)
▲4▼イミダゾール誘導体(例、エコナゾール、クロトリマゾール、硝酸ミコナゾール、ビホナゾール、クロコナゾール)
▲5▼トリアゾール誘導体(例、フルコナゾール、イトラコナゾール、アゾール系化合物〔2−〔(1R,2R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロピル〕−4−〔4−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)フェニル〕−3(2H,4H)−1,2,4−トリアゾロン)
▲6▼チオカルバミン酸誘導体(例、トリナフトール)
▲7▼エキノカンジン系誘導体(例、カスポファンジン、ミカファンジン、アニデュラファンジン)など。
【0057】
(3)非ステロイド性抗炎症薬
アセトアミノフェン、フェナセチン、エテンザミド、スルピリン、アンチピリン、ミグレニン、アスピリン、メフェナム酸、フルフェナム酸、ジクロフェナックナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、プラノプロフェン、フロクタフェニン、エピリゾール、塩酸チアラミド、ザルトプロフェン、メシル酸ガベキサート、メシル酸カモスタット、ウリナスタチン、コルヒチン、プロベネジド、スルフィンピラゾン、ベンズブロマロン、アロプリノール、金チオリンゴ酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、塩酸モルヒネ、サリチル酸、アトロピン、スコポラミン、モルヒネ、ペチジン、レボルファイノール、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキシモルフォンまたはその塩など。
(4)ステロイド薬
デキサメサゾン、ヘキセストロール、メチマゾール、ベタメサゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、フルオロメトロン、プロピオン酸ベクロメタゾン、エストリオールなど。
(5)抗凝血薬
ヘパリンナトリウム、クエン酸ナトリウム、活性化プロテインC、組織因子経路阻害剤、アンチトロンビンIII、ダルテパリンナトリウム、ワルファリンカリウム、アルガトロバン、ガベキサート、クエン酸ナトリウムなど。
【0058】
(6)血小板凝集阻害薬
オザクレルナトリウム、イコサペンタ酸エチル、ベラプロストナトリウム、アルプロスタジル、塩酸チクロピジン、ペントキシフィリン、ジピリダモールなど。
(7)血栓溶解薬
チソキナーゼ、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼなど。
(8)免疫調節薬
シクロスポリン、タクロリムス、グスペリムス、アザチオプリン、抗リンパ血清、乾燥スルホ化免疫グロブリン、エリスロポイエチン、コロニー刺激因子、インターロイキン、インターフェロンなど。
(9)抗原虫薬
メトロニダゾール、チニダゾール、クエン酸ジエチルカルバマジン、塩酸キニーネ、硫酸キニーネなど。
(10)鎮咳・去たん薬
塩酸エフェドリン、塩酸ノスカピン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸イソプロテレノール、塩酸エフェドリン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸ノスカピン、アロクラマイド、クロルフェジアノール、ピコペリダミン、クロペラスチン、プロトキロール、イソプロテレノール、サルブタモール、テレプタリン、オキシペテバノール、塩酸モルヒネ、臭化水素酸デキストロペトルファン、塩酸オキシコドン、リン酸ジモルファン、ヒベンズ酸チペピジン、クエン酸ペントキシベリン、塩酸クロフェダノール、ベンゾナテート、グアイフェネシン、塩酸ブロムヘキシン、塩酸アンブロキソール、アセチルシステイン、塩酸エチルシステイン、カルボシステインなど。
【0059】
(11)鎮静薬
塩酸クロルプロマジン、硫酸アトロピン、フェノバルビタール、バルビタール、アモバルビタール、ペントバルビタール、チオペンタールナトリウム、チアミラールナトリウム、ニトラゼパム、エスタゾラム、フルラザパム、ハロキサゾラム、トリアゾラム、フルニトラゼパム、ブロムワレリル尿素、抱水クロラール、トリクロホスナトリウムなど。
(12)麻酔薬
(12−1)局所麻酔薬
塩酸コカイン、塩酸プロカイン、リドカイン、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸メピバカイン、塩酸ブピバカイン、塩酸オキシブプロカイン、アミノ安息香酸エチル、オキセサゼイン)など。
(12−2)全身麻酔薬
▲1▼吸入麻酔薬(例、エーテル、ハロタン、亜酸化窒素、インフルラン、エンフルラン)、
▲2▼静脈麻酔薬(例、塩酸ケタミン、ドロペリドール、チオペンタールナトリウム、チアミラールナトリウム、ペントバルビタール)など。
(13)抗潰瘍薬
メタクロプロミド、塩酸ヒスチジン、ランソプラゾール、メトクロプラミド、ピレンゼピン、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ウロガストリン、オキセサゼイン、プログルミド、オメプラゾール、スクラルファート、スルピリド、セトラキサート、ゲファルナート、アルジオキサ、テプレノン、プロスタグランジンなど。
【0060】
(14)不整脈治療薬
▲1▼ナトリウムチャンネル遮断薬(例、キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、アジマリン、リドカイン、メキシレチン、フェニトイン)、
▲2▼β遮断薬(例、プロプラノロール、アルプレノロール、プフェトロール、オクスプレノロール、アテノール、アセブトロール、メトプロロール、ビソプロロール、ヒンドロール、カルテオロール、アロチロール)、
▲3▼カリウムチャンネル遮断薬(例、アミオダロン)、
▲4▼カルシウムチェンネル遮断薬(例、ベラパミル、ジルチアゼム)など。
(15)降圧利尿薬
ヘキサメトニウムブロミド、塩酸クロニジン、ヒドロクロロチアジド、トリクロルメチアジド、フロセミド、エタクリン酸、ブメタニド、メフルシド、アゾセミド、スピロノラクトン、カンレノ酸カリウム、トリアムテレン、アミロリド、アセタゾラミド、D−マンニトール、イソソルウビド、アミノフィリンなど。
(16)精神安定薬
ジアゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、クロルジアゼポキシド、メダゼパム、オキサゾラム、クロキサゾラム、クロチアゼパム、ブロマゼパム、エチゾラム、フルジアゼパム、ヒドロキシジンなど。
(17)抗精神病薬
塩酸クロルプロマジン、プロクロルペラジン、トリフロペラジン、塩酸チオリダジン、マレイン酸ペルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、マレイン酸プロクロルペラジン、マレイン酸レボメプロマジン、塩酸プロメタジン、ハロペリドール、ブロムペリドール、スピペロン、レセルピン、塩酸クロカプラミン、スルピリド、ゾテピンなど。
【0061】
(18)抗腫瘍薬
6−O−(N−クロロアセチルカルバモイル)フマギロール、ブレオマイシン、メトトレキサート、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、ダウノルビシン、アドリアマイシン、ネオカルチノスタチン、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル、テトラヒドロフリル−5−フルオロウラシル、ピシバニール、レンチナン、レバミゾール、ベスタチン、アジメキソン、グリチルリチン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ブレオマイシン、硫酸ヘプロマイシン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、塩酸イリノテカン、シクロフォスファミド、メルファラン、ズスルファン、チオテパ、塩酸プロカルバジン、シスプラチン、アザチオプリン、メルカプトプリン、テガフール、カルモフール、シタラビン、メチルテストステロン、プロピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、メピチオスタン、ホスフェストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸エユープリン、酢酸ブセレリンなど。
(19)抗高脂血症薬
クロフィブラート、2−クロロ−3−〔4−(2−メチル−2−フェニルプロポキシ)フェニル〕プロピオン酸エチル〔ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブレティン(Chem. Pharm. Bull),38,2792−2796(1990)〕、プラバスタチン、シンバスタチン、プロブコール、ベザフィブラート、クリノフィブラート、ニコモール、コレスチラミン、デキストラン硫酸ナトリウムなど。
(20)筋弛緩薬
プリジノール、ツボクラリン、パンクロニウム、塩酸トルペリゾン、カルバミン酸クロルフェネシン、バクロフェン、クロルメザノン、メフェネシン、クロゾキサゾン、エペリゾン、チザニジンなど。
【0062】
(21)抗てんかん薬
フェニトイン、エトサクシミド、アセタゾラミド、クロルジアゼポキシド、トリペタジオン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、スルチアム、パルプロ酸ナトリウム、クロナゼパム、ジアゼパム、ニトラゼパムなど。
(22)抗うつ薬
イミプラミン、クロミプラミン、ノキシプチリン、フェネルジン、塩酸アミトリプチリン、塩酸ノルトリプチリン、アモキサピン、塩酸ミアンセリン、塩酸マプロチリン、スルピリド、マレイン酸フルボキサミン、塩酸トラゾドンなど。
(23)抗アレルギー薬
ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、トリペレナミン、メトジラミン、クレミゾール、ジフェニルピラリン、メトキシフェナミン、クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、レピリナスト、アンレキサノクス、イブジラスト、ケトチフェン、テルフェナジン、メキタジン、アセラスチン、エピナスチン、塩酸オザグレル、プランルカスト水和物、セラトロダストなど。
(24)強心薬
トランスバイオキソカンファー、テレフィロール、アミノフィリン、エチレフリン、ドパミン、ドブタミン、デノパミン、アミノフィリン、ベシナリン、アムリノン、ピモベンダン、ユビデカレノン、ジギトキシン、ジゴキシン、メチルジゴキシン、ラナトシドC、G−ストロファンチンなど。
(25)血管拡張薬
オキシフェドリン、ジルチアゼム、トラゾリン、ヘキソベンジン、バメタン、クロニジン、メチルドパ、グアナベンズなど。
【0063】
(26)血管収縮薬
ドパミン、ドブタミンデノパミンなど。
(27)降圧利尿薬
ヘキサメトニウムブロミド、ペントリニウム、メカミルアミン、エカラジン、クロニジン、ジルチアゼム、ニフェジピンなど。
(28)糖尿病治療薬
トルブタミド、クロルプロパミド、アセトヘキサミド、グリベンクラミド、トラザミド、、アカルボース、エパルレスタット、トログリタゾン、グルカゴン、グリミジン、グリプジド、フェンフォルミン、プフォルミン、メトフォルミンなど。
(29)麻薬拮抗薬
レバロルファン、ナロルフィン、ナロキソンまたはその塩など。
(30)脂溶性ビタミン薬
▲1▼ビタミンA類:ビタミンA1、ビタミンA2およびパルミチン酸レチノール
▲2▼ビタミンD類:ビタミンD1、D2、D3、D4およびD5
▲3▼ビタミンE類:α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール
▲4▼ビタミンK類:ビタミンK1、K2、K3およびK4
▲5▼葉酸(ビタミンM)など。
【0064】
(31)ビタミン誘導体
ビタミンの各種誘導体、例えば、5,6−トランス−コレカルシフェロール、2,5−ヒドロキシコレカルシフェロール、1−α−ヒドロキシコレカルシフェロールなどのビタミンD3誘導体、5,6−トランス−エルゴカルシフェロール等のビタミンD2誘導体など。
(32)抗喘息薬
塩酸イソプレナリン、硫酸サルブタモール、塩酸プロカテロール、硫酸テルブタリン、塩酸トリメトキノール、塩酸ツロブテロール、硫酸オルシプレナリン、臭化水素酸フェノテロール、塩酸エフェドリン、臭化イプロトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化フルトロピウム、テオフィリン、アミノフィリン、クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、レピリナスト、アンレキサノン、イブジラスト、ケトチフェン、テルフェナジン、メキタジン、アゼラスチン、エピナスチン、塩酸オザグレル、プランルカスト水和物、セラトロダスト、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチアオン、プロピオン酸ベクロペタゾンなど。
(33)頻尿・尿失禁治療薬
塩酸フラボキサートなど。
(34)アトピー性皮膚炎治療薬
クロモグリク酸ナトリウムなど。
(35)アレルギー性鼻炎治療薬
クロモグリク酸ナトリウム、マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸アリメマジン、フマル酸クレマスチン、塩酸ホモクロルシクリジン、テルフェナジン、メキタジンなど。
(36)昇圧薬
ドパミン、ドブタミン、デノパミン、ジギトキシン、ジゴキシン、メチルジゴキシン、ラナトシドC、G−ストロファンチンなど。
(37)その他
ヒドロキシカム、ダイアセリン、メゲストロール酢酸、ニセロゴリン、プロスタグランジン類など。
【0065】
本発明の組成物と併用薬物とを併用することにより、次のような効果を有する。
(1)本発明の組成物を単独投与した場合よりも、化合物(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの投与量を軽減することができる。
(2)上記したセプシス、セプティックショック、炎症性疾患、感染症疾患等の疾患に対して、相乗的な治療効果が得られる。
(3)菌感染などの疾患に伴い発症する種々の疾患に対して、広く治療効果を発揮する。
本発明の組成物と併用薬物との使用に際しては、本発明の組成物と併用薬物の投与時期は限定されず、本発明の組成物と併用薬物とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。
本発明の組成物と併用薬物の投与形態は、特に限定されず、投与時に、本発明の組成物と併用薬物とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、併用薬物の種類などによって異なるが、例えば、(1)本発明の組成物に併用薬物を同時に配合して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明の組成物と併用薬物の医薬組成物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明の組成物と併用薬物の医薬組成物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明の組成物と併用薬物の医薬組成物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明の組成物と併用薬物の医薬組成物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明の組成物;併用薬物の医薬組成物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。
【0066】
併用薬物の医薬組成物は、毒性が低く、例えば、併用薬物を自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等として、経口的又は非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。注射剤は、静脈内、筋肉内、皮下または臓器内投与あるいは直接病巣に投与することができる。
併用薬物の医薬組成物の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質があげられ、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤、あるいは液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等があげられる。更に必要に応じ、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用いることもできる。
賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
結合剤としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
溶剤としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
懸濁化剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
等張化剤としては、例えばブドウ糖、 D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。
緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
無痛化剤としては、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。
防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が挙げられる。
【0067】
本発明の組成物に併用薬物を配合する場合、該併用薬物の配合量は、投与対象、投与ルート、疾患等により適宜選択することができるが、前記した化合物(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの配合量と同様に調整することができる。
本発明の組成物と併用薬物の医薬組成物と併用して使用する場合、併用薬物の医薬組成物における併用薬物の含有量は、投与対象、投与ルート、疾患等により適宜選択することができるが、通常製剤全体に対して約0.01ないし100重量%、好ましくは約0.1ないし50重量%、さらに好ましくは約0.5ないし20重量%程度である。
併用薬物の医薬組成物における担体等の添加剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1ないし99.99重量%、好ましくは約10ないし90重量%程度である。
【0068】
併用薬物の医薬組成物は、製剤工程において通常一般に用いられる自体公知の方法により製造することができる。
例えば、併用薬物は、分散剤(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、米国)、HCO 60(日光ケミカルズ製)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリンなど)、安定化剤(例、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(例、ポリソルベート80、マクロゴール等)、可溶剤(例、グリセリン、エタノール等)、緩衝剤(例、リン酸及びそのアルカリ金属塩、クエン酸及びそのアルカリ金属塩等)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖等)、pH調節剤(例、塩酸、水酸化ナトリウム等)、保存剤(例、パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール等)、溶解剤(例、濃グリセリン、メグルミン等)、溶解補助剤(例、プロピレングリコール、白糖等)、無痛化剤(例、ブドウ糖、ベンジルアルコール等)などと共に水性注射剤に、あるいはオリーブ油、ゴマ油、綿実油、コーン油などの植物油、プロピレングリコールなどの溶解補助剤に溶解、懸濁あるいは乳化して油性注射剤に成形し、注射剤とすることができる。
また、化合物(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの代わりに、併用薬物を用いて、本発明の注射用乳化組成物とすることもできる。
【0069】
経口投与用製剤とするには、自体公知の方法に従い、併用薬物を例えば、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンなど)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)又は滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール 6000など)などを添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより経口投与製剤とすることができる。そのコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン 80、プルロニック F68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、ドイツ,メタアクリル酸・アクリル酸共重合)および色素(例、ベンガラ,二酸化チタン等)などが用いられる。経口投与用製剤は速放性製剤、徐放性製剤のいずれであってもよい。
例えば、坐剤とするには、自体公知の方法に従い、併用薬物を油性又は水性の固状、半固状あるいは液状の坐剤とすることができる。上記組成物に用いる油性基剤としては、例えば、高級脂肪酸のグリセリド〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベル社製,ドイツ)など〕、中級脂肪酸〔例、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社製,ドイツ)など〕、あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが挙げられる。また、水性基剤としては、例えばポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、水性ゲル基剤としては、例えば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸重合体などが挙げられる。
【0070】
上記徐放性製剤としては、徐放性マイクロカプセル剤などが挙げられる。
徐放型マイクロカプセルとするには、自体公知の方法を採用できるが、例えば、下記〔2〕に示す徐放性製剤に成型して投与するのが好ましい。
併用薬物は、薬物の種類に応じて、固形製剤(例、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤)などの経口投与用製剤に成型するか、坐剤などの直腸投与用製剤に成型することができる。
以下に、〔1〕併用薬物の注射剤およびその調製、〔2〕併用薬物の徐放性製剤又は速放性製剤およびその調製、〔3〕併用薬物の舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤およびその調製について具体的に示す。
〔1〕注射剤およびその調製
併用薬物を水に溶解してなる注射剤が好ましい。該注射剤には安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩を含有させてもよい。
該注射剤は、併用薬物と所望により安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の双方を水に溶解することにより得られる。
上記安息香酸、サリチル酸の塩としては、例えばナトリウム,カリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム,マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、メグルミン塩、その他トロメタモールなどの有機酸塩などが挙げられる。
注射剤中の併用薬物の濃度は0.5〜50w/v%、好ましくは3〜20w/v%程度である。また安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の濃度は0.5〜50w/v%、好ましくは3〜20w/v%が好ましい。
また、本剤には一般に注射剤に使用される添加剤、例えば安定化剤(アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(ポリソルベート80、マクロゴール等)、可溶剤(グリセリン、エタノール等)、緩衝剤(リン酸及びそのアルカリ金属塩、クエン酸及びそのアルカリ金属塩等)、等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、分散剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン)、pH調節剤(塩酸、水酸化ナトリウム等)、保存剤(パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸等)、溶解剤(濃グリセリン、メグルミン等)、溶解補助剤(プロピレングリコール、白糖等)、無痛化剤(ブドウ糖、ベンジルアルコール等)などを適宜配合することができる。これらの添加剤は一般に注射剤に通常用いられる割合で配合される。
注射剤はpH調節剤の添加により2〜12好ましくは2.5〜8.0に調整するのがよい。
注射剤は併用薬物と所望により安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の双方を、また必要により上記添加剤を水に溶解することにより得られる。これらの溶解はどのような順序で行ってもよく、従来の注射剤の製法と同様に適宜行うことができる。
注射用水溶液は加温するのがよく、また通常の注射剤と同様にたとえば濾過滅菌,高圧加熱滅菌などを行うことにより注射剤として供することができる。
注射用水溶液は、例えば100℃〜121℃の条件で5分〜30分高圧加熱滅菌するのがよい。
さらに多回分割投与製剤として使用できるように、溶液の抗菌性を付与した製剤としてもよい。
【0071】
〔2〕徐放性製剤又は速放性製剤およびその調製
併用薬物を含んでなる核を所望により水不溶性物質や膨潤性ポリマーなどの被膜剤で被覆してなる徐放性製剤が好ましい。例えば、1日1回投与型の経口投与用徐放性製剤が好ましい。
被膜剤に用いられる水不溶性物質としては、例えばエチルセルロース、ブチルセルロースなどのセルロースエーテル類、セルロースアセテート、セルロースプロピオネートなどのセルロースエステル類、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレートなどのポリビニルエステル類、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリレート/シンナモエチルメタクリレート/アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メタクリル酸アルキルアミド共重合体、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリメタクリレート、ポリメタクリルアミド、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリ(メタクリル酸アンヒドリド)、グリシジルメタクリレート共重合体、とりわけオイドラギットRS−100,RL−100,RS−30D,RL−30D,RL−PO,RS−PO(アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチル・アンモニウムエチル共重合体)、オイドラギットNE−30D(メタアクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体)などのオイドラギット類(ローム・ファーマ社)などのアクリル酸系ポリマー、硬化ヒマシ油(例、ラブリーワックス(フロイント産業)など)などの硬化油、カルナバワックス、脂肪酸グリセリンエステル、パラフィンなどのワックス類、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0072】
膨潤性ポリマーとしては、酸性の解離基を有し、 pH依存性の膨潤を示すポリマーが好ましく、胃内のような酸性領域では膨潤が少なく、小腸や大腸などの中性領域で膨潤が大きくなる酸性の解離基を有するポリマーが好ましい。
このような酸性の解離基を有し pH依存性の膨潤を示すポリマーとしては、例えばカーボマー(Carbomer)934P、940、941、974P、980、1342等、ポリカーボフィル(polycarbophil)、カルシウムポリカボーフィル(carcium polycarbophil)(前記はいずれもBFグツドリッチ社製)、ハイビスワコー103、104、105、304(いずれも和光純薬(株)製)などの架橋型ポリアクリル酸重合体が挙げられる。
徐放性製剤に用いられる被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよい。
該親水性物質としては、例えばプルラン、デキストリン、アルギン酸アルカリ金属塩などの硫酸基を有していてもよい多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基を有する多糖類、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
徐放性製剤の被膜剤における水不溶性物質の含有率は約30ないし約90%(w/w)、好ましくは約35ないし約80%(w/w)、さらに好ましくは約40ないし75%(w/w)、膨潤性ポリマーの含有率は約3ないし約30%(w/w)、好ましくは約3ないし約15%(w/w)である。被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよく、その場合被膜剤における親水性物質の含有率は約50%(w/w)以下、好ましくは約5〜約40%(w/w)、さらに好ましくは約5〜約35%(w/w)である。ここで上記%(w/w)は被膜剤液から溶媒(例、水、メタノール、エタノール等の低級アルコール等)を除いた被膜剤組成物に対する重量%を示す。
【0073】
徐放性製剤は、以下に例示するように薬物を含む核を調製し、次いで得られた核を、水不溶性物質や膨潤性ポリマーなどを加熱溶解あるいは溶媒に溶解又は分散させた被膜剤液で被覆することにより製造される。
I.薬剤を含む核の調製。
被膜剤で被覆される薬物を含む核(以下、単に核と称することがある)の形態は特に制限されないが、好ましくは顆粒あるいは細粒などの粒子状に形成される。
核が顆粒又は細粒の場合、その平均粒子径は、好ましくは約150ないし2,000μm、さらに好ましくは約500ないし約1,400μmである。
核の調製は通常の製造方法で実施することができる。例えば、薬物に適当な賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定化剤等を混合し、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法などにより調製する。
核の薬物含量は、約0.5ないし約95%(w/w)、好ましくは約5.0ないし約80%(w/w)、さらに好ましくは約30ないし約70%(w/w)である。
核に含まれる賦形剤としては、例えば白糖、乳糖、マンニトール、グルコースなどの糖類、澱粉、結晶セルロース、リン酸カルシウム、コーンスターチなどが用いられる。中でも、結晶セルロース、コーンスターチが好ましい。
結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プルロニックF68、アラビアゴム、ゼラチン、澱粉などが用いられる。崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(ECG505)、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)、架橋型ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)などが用いられる。中でも、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。滑沢剤、凝集防止剤としては例えばタルク、ステアリン酸マグネシウムおよびその無機塩、また潤滑剤としてポリエチレングリコールなどが用いられる。安定化剤としては酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸などの酸が用いられる。
核は上記製造法以外にも、例えば核の中心となる不活性担体粒子上に水、低級アルコール(例、メタノール、エタノールなど)等の適当な溶媒に溶解した結合剤をスプレーしながら、薬物あるいはこれと賦形剤、滑沢剤などとの混合物を少量づつ添加して行なう転動造粒法、パンコーティング法、流動層コーティング法や溶融造粒法によっても調製することができる。不活性担体粒子としては、例えば白糖、乳糖、澱粉、結晶セルロース、ワックス類で製造されたものが使用でき、その平均粒子径は約100μmないし約1,500μmであるものが好ましい。
核に含まれる薬物と被膜剤とを分離するために、防護剤で核の表面を被覆してもよい。防護剤としては、例えば前記親水性物質や、水不溶性物質等が用いられる。防護剤は、好ましくはポリエチレングリコールやヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基を有する多糖類、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが用いられる。該防護剤には安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の酸や、タルクなどの滑沢剤を含んでいてもよい。防護剤を用いる場合、その被覆量は核に対して約1ないし約15%(w/w)、好ましくは約1ないし約10%(w/w)、さらに好ましくは約2ないし約8%(w/w)である。
防護剤は通常のコーティング法により被覆することができ、具体的には、防護剤を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで被覆することができる。
【0074】
II.核の被膜剤による被覆
前記Iで得られた核を、前記水不溶性物質及び pH依存性の膨潤性ポリマー、および親水性物質を加熱溶解あるいは溶媒に溶解又は分散させた被膜剤液により被覆することにより徐放性製剤が製造される。
核の被膜剤液による被覆方法として、例えば噴霧コーティングする方法などが挙げられる。
被膜剤液中の水不溶性物質、膨潤性ポリマー又は親水性物質の組成比は、被膜中の各成分の含有率がそれぞれ前記含有率となるように適宜選ばれる。
被膜剤の被覆量は、核(防護剤の被覆量を含まない)に対して約1ないし約90%(w/w)、好ましくは約5ないし約50%(w/w)、さらに好ましくは約5ないし35%(w/w)である。
被膜剤液の溶媒としては水又は有機溶媒を単独であるいは両者の混液を用いることができる。混液を用いる際の水と有機溶媒との混合比(水/有機溶媒:重量比)は、1ないし100%の範囲で変化させることができ、好ましくは1ないし約30%である。該有機溶媒としては、水不溶性物質を溶解するものであれば特に限定されないが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール等の低級アルコール、アセトンなどの低級アルカノン、アセトニトリル、クロロホルム、メチレンクロライドなどが用いられる。このうち低級アルコールが好ましく、エチルアルコール、イソプロピルアルコールが特に好ましい。水及び水と有機溶媒との混液が被膜剤の溶媒として好ましく用いられる。この時、必要であれば被膜剤液中に被膜剤液安定化のために酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸などの酸を加えてもよい。
噴霧コーティングにより被覆する場合の操作は通常のコーティング法により実施することができ、具体的には、被膜剤液を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで実施することができる。この時必要であれば、タルク、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸などを滑沢剤として、グリセリン脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油、クエン酸トリエチル、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどを可塑剤として添加してもよい。
被膜剤による被膜後、必要に応じてタルクなどの帯電防止剤を混合してもよい。
【0075】
速放性製剤は、液状(溶液、懸濁液、乳化物など)であっても固形状(粒子状、丸剤、錠剤など)であってもよい。経口投与剤、注射剤など非経口投与剤が用いられるが、経口投与剤が好ましい。
速放性製剤は、通常、活性成分である薬物に加えて、製剤分野で慣用される担体、添加剤や賦形剤(以下、賦形剤と略称することがある)を含んでいてもよい。用いられる製剤賦形剤は、製剤賦形剤として常用される賦形剤であれば特に限定されない。例えば経口固形製剤用の賦形剤としては、乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース(旭化成(株)製、アビセルPH101など)、粉糖、グラニュウ糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、L−システインなどが挙げられ、好ましくはコーンスターチおよびマンニトールなどが挙げられる。これらの賦形剤は一種又は二種以上を組み合わせて使用できる。賦形剤の含有量は速放性製剤全量に対して、例えば約4.5〜約99.4w/w%、好ましくは約20〜約98.5w/w%、さらに好ましくは約30〜約97w/w%である。
速放性製剤における薬物の含量は、速放性製剤全量に対して、約0.5〜約95%、好ましくは約1〜約60%の範囲から適宜選択することができる。
速放性製剤が経口固型製剤の場合、通常上記成分に加えて、崩壊剤を含有する。このような崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(五徳薬品製、ECG−505)、クロスカルメロースナトリウム(例えば、旭化成(株)製、アクジゾル)、クロスポビドン(例えば、BASF社製、コリドンCL)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学(株))、カルボキシメチルスターチ(松谷化学(株)、カルボキシメチルスターチナトリウム(木村産業製、エキスプロタブ)、部分α化デンプン(旭化成(株)製、PCS)などが用いられ、例えば水と接触して吸水、膨潤、あるいは核を構成している有効成分と賦形剤との間にチャネルを作るなどにより顆粒を崩壊させるものを用いることができる。これらの崩壊剤は、一種又は二種以上を組み合わせて使用できる。崩壊剤の配合量は、用いる併用薬物の種類や配合量、放出性の製剤設計などにより適宜選択されるが、速放性製剤全量に対して、例えば約0.05〜約30w/w%、好ましくは約0.5〜約15w/w%である。
【0076】
速放性製剤が経口固型製剤である場合、経口固型製剤の場合には上記の組成に加えて、所望により固型製剤において慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば結合剤(例えば、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリンなど)、滑沢剤(例えば、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸(例えば、アエロジル(日本アエロジル))、界面活性剤(例えば、アルキル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体等の非イオン系界面活性剤など)、着色剤(例えば、タール系色素、カラメル、ベンガラ、酸化チタン、リボフラビン類)、必要ならば、橋味剤(例えば、甘味剤、香料など)、吸着剤、防腐剤、湿潤剤、帯電防止剤などが用いられる。また、安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸などの有機酸を加えてもよい。
上記結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンなどが好ましく用いられる。
速放性製剤は、通常の製剤の製造技術に基づき、前記各成分を混合し、必要により、さらに練合し、成型することにより調製することができる。上記混合は、一般に用いられる方法、例えば、混合、練合などにより行われる。具体的には、例えば速放性製剤を粒子状に形成する場合、前記徐放性製剤の核の調製法と同様の手法により、バーチカルグラニュレーター、万能練合機(畑鉄工所製)、流動層造粒機FD−5S(パウレック社製)等を用いて混合しその後、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法などにより造粒することにより調製することができる。
このようにして得られた速放性製剤と徐放性製剤とは、そのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に常法により別々に製剤化後、同時あるいは任意の投与間隔を挟んで組み合わせて投与する製剤としてもよく、また両者をそのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に一つの経口投与製剤(例、顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル等)に製剤化してもよい。両製剤を顆粒あるいは細粒に製して、同一のカプセル等に充填して経口投与用製剤としてもよい。
【0077】
〔3〕舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤およびその調製
舌下錠、バッカル製剤、口腔内速崩壊剤は錠剤などの固形製剤であってもよいし、口腔粘膜貼付錠(フィルム)であってもよい。
舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤としては、併用薬物と賦形剤とを含有する製剤が好ましい。また、滑沢剤、等張化剤、親水性担体、水分散性ポリマー、安定化剤などの補助剤を含有していてもよい。また、吸収を容易にし、生体内利用率を高めるためにβ−シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体(例、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなど)などを含有していてもよい。
上記賦形剤としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられ、特に、ステアリン酸マグネシウムやコロイドシリカが好ましい。等張化剤としては塩化ナトリウム、グルコース、フルクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、サッカロース、グリセリン、尿素などが挙げられ、特にマンニトールが好ましい。親水性担体としては結晶セルロース、エチルセルロース、架橋性ポリビニルピロリドン、軽質無水珪酸、珪酸、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウムなどの膨潤性親水性担体が挙げられ、特に結晶セルロース(例、微結晶セルロースなど)が好ましい。水分散性ポリマーとしてはガム(例、トラガカントガム、アカシアガム、グアーガム)、アルギン酸塩(例、アルギン酸ナトリウム)、セルロース誘導体(例、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ゼラチン、水溶性デンプン、ポリアクリル酸(例、カーボマー)、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリカーボフィル、アスコルビン酸パルミチン酸塩などが挙げられ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどが好ましい。特にヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。安定化剤としては、システイン、チオソルビトール、酒石酸、クエン酸、炭酸ナトリウム、アスコルビン酸、グリシン、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられ、特に、クエン酸やアスコルビン酸が好ましい。
【0078】
舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤は、併用薬物と賦形剤とを自体公知の方法により混合することにより製造することができる。さらに、所望により上記した滑沢剤、等張化剤、親水性担体、水分散性ポリマー、安定化剤、着色剤、甘味剤、防腐剤などの補助剤を混合してもよい。上記成分を同時に若しくは時間差をおいて混合した後、加圧打錠成形することにより舌下錠、バッカル錠又は口腔内速崩壊錠が得られる。適度な硬度を得るため、打錠成形の過程の前後において必要に応じ水やアルコールなどの溶媒を用いて加湿・湿潤させ、成形後、乾燥させて製造してもよい。
粘膜貼付錠(フィルム)に成型する場合は、併用薬物および上記した水分散性ポリマー(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、賦形剤などを水などの溶媒に溶解させ、得られる溶液を流延させて(cast)フィルムとする。さらに、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、保存剤、着色剤、緩衝剤、甘味剤などの添加物を加えてもよい。フィルムに適度の弾性を与えるためポリエチレングリコールやプロピレングリコールなどのグリコール類を含有させたり、口腔の粘膜ライニングへのフィルムの接着を高めるため生物接着性ポリマー(例、ポリカルボフィル、カルボポール)を含有させてもよい。流延は、非接着性表面に溶液を注ぎ、ドクターブレードなどの塗布用具で均一な厚さ(好ましくは10〜1000ミクロン程度)にそれを広げ、次いで溶液を乾燥してフィルムを形成することにより達成される。このように形成されたフィルムは室温若しくは加温下乾燥させ、所望の表面積に切断すればよい。
好ましい口腔内速崩壊剤としては、併用薬物と、併用薬物とは不活性である水溶性若しくは水拡散性キャリヤーとの網状体からなる固体状の急速拡散投与剤が挙げられる。該網状体は、併用薬物を適当な溶媒に溶解した溶液とから構成されている固体状の該組成物から溶媒を昇華することによって得られる。
【0079】
該口腔内速崩壊剤の組成物中には、併用薬物に加えて、マトリックス形成剤と二次成分とを含んでいるのが好ましい。
該マトリックス形成剤としてはゼラチン類、デキストリン類ならびに大豆、小麦ならびにオオバコ(psyllium)種子タンパクなどの動物性タンパク類若しくは植物性タンパク類;アラビアゴム、ガーガム、寒天ならびにキサンタンなどのゴム質物質;多糖類;アルギン酸類;カルボキシメチルセルロース類;カラゲナン類;デキストラン類;ペクチン類;ポリビニルピロリドンなどの合成ポリマー類;ゼラチン−アラビアゴムコンプレックスなどから誘導される物質が含まれる。さらに、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトースならびにトレハロースなどの糖類;シクロデキストリンなどの環状糖類;リン酸ナトリウム、塩化ナトリウムならびにケイ酸アルミニウムなどの無機塩類;グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−ヒドロシキプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシンならびにL−フェニルアラニンなどの炭素原子数が2から12までのアミノ酸などが含まれる。
マトリックス形成剤は、その1種若しくはそれ以上を、固形化の前に、溶液又は懸濁液中に導入することができる。かかるマトリックス形成剤は、界面活性剤に加えて存在していてもよく、また界面活性剤が排除されて存在していてもよい。マトリックス形成剤はそのマトリックスを形成することに加えて、本発明の化合物または併用薬物の拡散状態をその溶液又は懸濁液中に維持する助けをすることができる。
【0080】
保存剤、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、着色剤、pH調整剤、香味料、甘味料若しくは食味マスキング剤などの二次成分を組成物中に含有していてよい。適当な着色剤としては、赤色、黒色ならびに黄色酸化鉄類およびエリス・アンド・エベラールド社のFD&Cブルー2号ならびにFD&Cレッド40号などのFD&C染料が挙げられる。適当な香味料には、ミント、ラスベリー、甘草、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、カラメル、バニラ、テェリーならびにグレープフレーバーおよびその組合せたものが含まれる。適当なpH調整剤は、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸およびマレイン酸が含まれる。適当な甘味料としてはアスパルテーム、アセスルフェームKならびにタウマチンなどが含まれる。適当な食味マスキング剤としては、重炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂、シクロデキストリン包接化合物、吸着質物質ならびにマイクロカプセル化アポモルフィンが含まれる。
製剤には通常約0.1〜約50重量%、好ましくは約0.1〜約30重量%の併用薬物を含み、約1分〜約60分の間、好ましくは約1分〜約15分の間、より好ましくは約2分〜約5分の間に(水に)併用薬物の90%以上を溶解させることが可能な製剤(上記、舌下錠、バッカルなど)や、口腔内に入れられて1ないし60秒以内に、好ましくは1ないし30秒以内に、さらに好ましくは1ないし10秒以内に崩壊する口腔内速崩壊剤が好ましい。
上記賦形剤の製剤全体に対する含有量は、約10〜約99重量%、好ましくは約30〜約90重量%である。β−シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体の製剤全体に対する含有量は0〜約30重量%である。滑沢剤の製剤全体に対する含有量は、約0.01〜約10重量%、好ましくは約1〜約5重量%である。等張化剤の製剤全体に対する含有量は、約0.1〜約90重量%、好ましくは、約10〜約70重量%である。親水性担体の製剤全体に対する含有量は約0.1〜約50重量%、好ましくは約10〜約30重量%である。水分散性ポリマーの製剤全体に対する含有量は、約0.1〜約30重量%、好ましくは約10〜約25重量%である。安定化剤の製剤全体に対する含有量は約0.1〜約10重量%、好ましくは約1〜約5重量%である。上記製剤はさらに、着色剤、甘味剤、防腐剤などの添加剤を必要に応じ含有していてもよい。
【0081】
併用薬物の医薬組成物の投与量は、併用薬物の種類、年齢、体重、症状、剤形、投与方法、投与期間などにより異なるが、例えば、患者(成人、体重約60kg)一人あたり、通常、併用薬物として、それぞれ1日約0.01〜約1000mg/kg、好ましくは約0.01〜約100mg/kg、より好ましくは約0.1〜約100mg/kg、とりわけ約0.1〜約50mg/kgを、なかでも約1.5〜約30mg/kgを1日1回から数回に分けて静脈投与される。もちろん、前記したように投与量は種々の条件で変動するので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
併用薬物は、副作用が問題とならない範囲でどのような量を設定することも可能である。併用薬物としての一日投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、感受性差、投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、薬物の量として通常、たとえば経口投与で哺乳動物1kg体重あたり約0.001〜2000mg、好ましくは約0.01〜500mg、さらに好ましくは、約0.1〜100mg程度であり、これを通常1日1〜4回に分けて投与する。
本発明の組成物と併用薬物の組成物を併用して投与するに際しては、同時期に投与してもよいが、併用薬物の医薬組成物を先に投与した後、本発明の組成物を投与してもよいし、本発明の組成物を先に投与し、その後で併用薬物の医薬組成物を投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬物の医薬組成物を先に投与する場合、併用薬物の医薬組成物を投与した後1分〜3日以内、好ましくは10分〜1日以内、より好ましくは15分〜1時間以内に本発明の組成物を投与する方法が挙げられる。本発明の組成物を先に投与する場合、本発明の組成物を投与した後、1分〜1日以内、好ましくは10分〜6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に併用薬物の医薬組成物を投与する方法が挙げられる。
【0082】
【発明の実施の形態】
以下、参考例、実施例および試験例を記載し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
1HNMRスペクトルは、内部基準としてテトラメチルシランを用いてバリアンジェミニ200(200MHz)型スペクトルメーターで測定し、全δ値をppm で示した。混合溶媒において( )内に示した数値は、各溶媒の容量混合比である。%は、特記しない限り重量パーセントを意味する。またシリカゲルクロマトグラフィーにおける溶媒の比は、混合する溶媒の容量比を示す。
高極性ジアステレオマーとは、同一条件下(例えば、溶媒として酢酸エチル/ヘキサンなどを用いることができる)で、順相薄層クロマトグラフィーのRf値を比較した場合にRf値が小さいほうのジアステレオマーを意味し、低極性ジアステレオマーとはRf値が大きいほうのジアステレオマーを意味する。
実施例中の各記号は次のような意味を有する。
s:シングレット、d:ダブレット、t:トリプレット、q:クワルテット、dd:ダブルダブレット、tt:トリプルトリプレット、m:マルチプレット、br:幅広い、J:カップリング定数
【0083】
【実施例】
以下の参考例AはWO99/46424の参考例に、参考例BはWO99/46424の実施例に従って製造できる。
〔参考例A〕
参考例A1 エチル 2-スルホ-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
参考例A2 エチル 2-クロロスルホニル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
参考例A3 エチル 2-クロロスルホニル-1-シクロペンテン-1-カルボキシラート
参考例A4 エチル 2-クロロスルホニル-1-シクロヘプテン-1-カルボキシラート
参考例A5 6-[N-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボン酸 ナトリウム塩
参考例A6 1-(3-フルオロ-4-ニトロフェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール
参考例A7 1-(4-アミノ-3-フルオロフェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール
参考例A8 4-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-クロロ安息香酸 メチルエステル
参考例A9 4-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-クロロ安息香酸
参考例A10 tert-ブチル N-(4-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-クロロベンゾイル)グリシナート
【0084】
参考例A11 tert-ブチル N-(4-アミノ-3-クロロベンゾイル)グリシナート
参考例A12 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボン酸
参考例A13 エチル 2-メルカプト-5-フェニル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
参考例A14 2-クロロスルホニル-5-フェニル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
参考例A15 エチル 5-tert-ブチル-2-メルカプト-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
参考例A16 エチル 5-tert-ブチル-2-クロロスルホニル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
参考例A17 エチル 5,5-ジメチル-2-メルカプト-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
参考例A18 エチル 2-クロロスルホニル-5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート
【0085】
〔参考例B〕
参考例B1 エチル 6-[N-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物1)
参考例B2 エチル 6-[N-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-メチルスルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物2)
参考例B3 エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物3)
参考例B4 エチル 6-[N-(2,6-ジイソプロピルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物4)
参考例B5 エチル 6-[N-(4-ニトロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物5)
参考例B6 エチル 6-(N-フェニルスルファモイル)-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物6)
エチル 2-(N-フェニルスルファモイル)-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物7)
参考例B7 エチル 2-[N-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物9)
参考例B8 2-(4-メトキシフェニル)−4,5,6,7テトラヒドロ−1,2−ベンゾイソチアゾール−3(2H)−オン 1,1−ジオキシド(化合物67)
エチル 2-[N-(4-メトキシフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物8)
参考例B9 エチル 6-[N-(2-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物10)
参考例B10 エチル 6-[N-(3-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物11)
【0086】
参考例B11 2−(4−フルオロフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン 1,1−ジオキシド(化合物68)
エチル 6-[N-(4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物12)
エチル 2-[N-(4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物18)
参考例B12 エチル 6-[N-(2,6-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物13)
参考例B13 エチル 6-[N-(2,3-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物14)
参考例B14 エチル 6-[N-(2,5-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物15)
参考例B15 エチル 6-[N-(3,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物16)
参考例B16 エチル 6-[N-(3,5-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物17)
参考例B17 l-エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物19)
d-エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物20)
参考例B18 エチル 6-[N-(2-エトキシカルボニルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物21)
参考例B19 メチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物22)
参考例B20 プロピル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物23)
【0087】
参考例B21 メチル 6-[N-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物24)
参考例B22 イソプロピル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物25)
参考例B23 エチル 6-[N-(2-メトキシカルボニルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物26)
参考例B24 エチル 6-[N-(2-フルオロ-4-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物27)
参考例B25 エチル 6-[N-(2-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物28)
参考例B26 エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物29)
参考例B27 エチル 6-[N-(4-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物 30)
参考例B28 エチル 6-[N-(2,3,4-トリフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物31)
参考例B29 イソブチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物32)
参考例B30 ブチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物33)
【0088】
参考例B31 エチル 6-[N-(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物34)
参考例B32 エチル 6-[N-(2,4-ジクロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物35)
参考例B33 エチル 6-[N-(2-アセトキシフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物36)
参考例B34 エチル 6-[N-(3-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物37)
参考例B35 エチル 6-[N-(2,3-ジクロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物38)
参考例B36 エチル 6-[N-(2-エチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物39)
参考例B37 エチル 6-[N-[4-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物40)
参考例B38 エチル 6-[N-(2,5-ジクロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物41)
参考例B39 エチル 6-[N-(2-トリフルオロメトキシフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物42)
参考例B40 エチル 6-[N-(2,4,5-トリフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物43)
【0089】
参考例B41 エチル 6-[N-[4-(2H-テトラゾール-2-イル)フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物44)
参考例B42 エチル 6-[N-(2-クロロ-4-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物45)
参考例B43 エチル 6-[N-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物46)
参考例B44 エチル 6-[N-(2,6-ジクロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物47)
参考例B45 エチル 6-[N-[4-(1H-テトラゾール-1-イル)フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物48)
参考例B46 エチル 6-[N-(4-(1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物49)
参考例B47 エチル 6-[N-(2-トリフルオロメチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物50)
参考例B48 エチル 6-[N-(4-メトキシカルボニルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物51)
参考例B49 ベンジル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物52)
参考例B50 エチル 6-[N-[4-[2,3-ビス(tert-ブトキシカルボニル)グアニジノメチル]フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物53)
【0090】
参考例B51 エチル 6-[N-(2-クロロ-4-メトキシカルボニルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物54)
参考例B52 とエチル 6-[N-(2-クロロ-4-シアノフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物55)
参考例B53 2-ヒドロキシエチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物56)
参考例B54 エチル 6-[N-[2-フルオロ-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物57)
参考例B55 エチル 2-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロペンテン-1-カルボキシラート(化合物66)
エチル 5-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロペンテン-1-カルボキシラート(化合物58)
参考例B56 tert-ブチル [6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-イル]カルボニルオキシアセタート(化合物59)
参考例B57 [6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-イル]カルボニルオキシ酢酸(化合物60)
参考例B58 エチル 7-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘプテン-1-カルボキシラート(化合物61)
参考例B59 エチル 6-[N-[2-クロロ-4-(N-tert-ブトキシカルボニルメチルカルバモイル)フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物62)
参考例B60 エチル 6-[N-[2-クロロ-4-(N-エトキシカルボニルメチルカルバモイル)フェニル]スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物63)
【0091】
参考例B61 エチル 5-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロペンテン-1-カルボキシラート(化合物64)
参考例B62 2-[4-(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロポキシ)フェニル]-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン 1,1-ジオキシド (化合物69)
参考例B63 エチル 7-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘプテン-1-カルボキシラート(化合物65)
参考例B64 2-(2,4-ジフルオロフェニル)-5,6,7,7a-テトラヒドロ-1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン 1,1-ジオキシド(化合物70)
参考例B65 エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物29)
参考例B66 l-エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物71)
d-エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物72)
参考例B67 エチル 6-[N-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物73)
参考例B68 エチル 6-[N-(4-ブロモ-2-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物74)
参考例B69 エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-3-フェニル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートの高極性ジアステレオマー(化合物75)および低極性ジアステレオマー(化合物76)
参考例B70 エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-3-フェニル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートの高極性ジアステレオマー(化合物77)および低極性ジアステレオマー(化合物78)
【0092】
参考例B71 エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-3-tert-ブチル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートの高極性ジアステレオマー (化合物79)および低極性ジアステレオマー (化合物80)
参考例B72 エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-3-tert-ブチル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートの高極性ジアステレオマー (化合物81)および低極性ジアステレオマー (化合物82)
参考例B73 エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物83)
参考例B74 エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物84)
参考例B75 エチル 3-ブロモ-6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート (化合物85)
さらに、具体例を表1〜表12に示す。
【0093】
【表1】
Figure 0004863553
【表2】
Figure 0004863553
【表3】
Figure 0004863553
【表4】
Figure 0004863553
【表5】
Figure 0004863553
【表6】
Figure 0004863553
【表7】
Figure 0004863553
【0094】
【表8】
Figure 0004863553
【0095】
【表9】
Figure 0004863553
【0096】
【表10】
Figure 0004863553
【表11】
Figure 0004863553
【0097】
【表12】
Figure 0004863553
【0098】
実施例1
1)参考例B66の化合物72 100mg
2)大豆油 20g
3)精製卵黄レシチン 1.2g
4)グリセリン 2.25g
5)MilliQ 全量100ml
大豆油(吉原製油)120gに参考例B66の化合物72を646.71mg溶解した。MilliQ水375mlにグリセリン(和光純薬)13.5gおよび精製卵黄レシチン(旭化成)7.33gを60℃で溶解/分散した。これらを混合し、ホモジュザイザーポリトロン(ULTRA TURRAX)を用いて、16,000/min で1分間粗乳化した。メスシリンダーでMilliQ水を用いて600mlに容量を調整した。高圧ホモジュナイザーナノマイザー(ナノマイザイー)を用いて1,000kgf/cm2の圧力、パス回数30で精乳化した。得られた乳化組成物を塩酸あるいは水酸化ナトリウムを用いてpH2.95、3.50、3.95、5.11、5.44、6.23、7.50、8.95および9.56に調整し、それぞれ試験管に分取、窒素置換した後密栓し121℃で15分間オートクレーブ滅菌処理し、上記組成を有する乳化組成物を得た。化合物72が溶解している分散相の平均粒子径は191nmであった。
【0099】
実施例2
1)参考例B66の化合物72 500mg
2)大豆油 20g
3)精製卵黄レシチン 1.2g
4)グリセリン 2.25g
5)MilliQ 全量100ml
大豆油(吉原製油 Lot 000508)40.01gに参考例B66の化合物72を1080.38mg溶解した。MilliQ水125mlにグリセリン(和光純薬 Lot SER4725)4.53gおよび精製卵黄レシチン(旭化成 Lot 99111561)2.47gを60℃で溶解/分散した。これらを混合し、ホモジュザイザーポリトロン(ULTRA TURRAX)を用いて、16,000/min で1分間粗乳化した。メスシリンダーでMilliQ水を用いて200mlに容量を調整した。高圧ホモジュナイザーナノマイザー(ナノマイザー社)を用いて1,000kgf/cm2の圧力、40分間で精乳化した。得られた乳化組成物をポアサイズ0.45μmのメンブレンフィルター(Millipore Sterivex-HV)でろ過し、2ml用アンプルに2ml充填後、窒素置換し熔閉した。これを121℃で15分間オートクレーブ滅菌処理し、上記組成を有する乳化組成物を得た。化合物72の濃度は仕込みどおり安定に5.03mg/mlであり、pHは4.53であった。化合物72が溶解している分散相の平均粒子径は206nmであった。
【0100】
実施例3
1)参考例B66の化合物72 1000mg
2)大豆油 20g
3)精製卵黄レシチン 1.2g
4)グリセリン 2.25g
5)MilliQ 全量100ml
大豆油(吉原製油 Lot 000508)40.03gに参考例B66の化合物72を2149.30mg溶解した。MilliQ水125mlにグリセリン(和光純薬 Lot SER4725)4.51gおよび精製卵黄レシチン(旭化成 Lot 99111561)2.47gを60℃で溶解/分散した。これらを混合し、ホモジュザイザーポリトロン(ULTRA TURRAX)を用いて、16,000/min で1分間粗乳化した。メスシリンダーでMilliQ水を用いて200mlに容量を調整した。高圧ホモジュナイザーナノマイザー(ナノマイザー)を用いて1,000kgf/cm2の圧力、40分間で精乳化した。得られた乳化組成物をポアサイズ0.45μmのメンブレンフィルター(Millipore Sterivex-HV)でろ過し、2ml用アンプルに2ml充填後、窒素置換し熔閉した。これを121℃で15分間オートクレーブ滅菌処理し、上記組成を有する乳化組成物を得た。化合物72の濃度は仕込みどおり安定に10.38mg/mlであり、pHは4.26であった。化合物72が溶解している分散相の平均粒子径は199nmであった。
【0101】
実施例4
1)参考例B66の化合物72 2000mg
2)大豆油 20g
3)精製卵黄レシチン 1.2g
4)グリセリン 2.25g
5)MilliQ 全量100ml
大豆油(吉原製油 Lot 000508)40.03gに参考例B66の化合物72を4243.0mg溶解した。MilliQ水125mlにグリセリン(和光純薬 Lot SER4725)4.53gおよび精製卵黄レシチン(旭化成 Lot 99111561)2.49gを60℃で溶解/分散した。これらを混合し、ホモジュザイザーポリトロン(ULTRA TURRAX)を用いて、16,000/min で1分間粗乳化した。メスシリンダーでMilliQ水を用いて200mlに容量を調整した。高圧ホモジュナイザーナノマイザー(ナノマイザー)を用いて1,000kgf/cm2の圧力、40分間で精乳化した。得られた乳化組成物をポアサイズ0.45μmのメンブレンフィルター(Millipore Sterivex-HV)でろ過し、2ml用アンプルに2ml充填後、窒素置換し熔閉した。これを121℃で15分間オートクレーブ滅菌処理し、上記組成を有する乳化組成物を得た。化合物72の濃度は仕込みどおり安定に20.51mg/mlであり、pHは3.76であった。化合物72が溶解している分散相の平均粒子径は225nmであった。
【0102】
実施例5
1)参考例B66の化合物72 2500mg
2)大豆油 20g
3)精製卵黄レシチン 1.2g
4)グリセリン 2.25g
5)MilliQ 全量100ml
大豆油(吉原製油 Lot 990825)8.02gに参考例B66の化合物72を1051.27mg溶解した。MilliQ水30mlにグリセリン(和光純薬 Lot SER4725)0.92gおよび精製卵黄レシチン(旭化成 Lot 98070161)0.49gを60℃で溶解/分散した。これらを混合し、ホモジュザイザーポリトロン(KINEMATICA)を用いて、20,000/min で1分間粗乳化した。高圧ホモジュナイザーMicronLab40(APV Gaulin)を用いて1,500barの圧力、パス回数10で精乳化した。得られた乳化組成物をポアサイズ0.45μmのメンブレンフィルター(Millipore Sterivex-HV)でろ過し、3.5Pバイアルに2.5ml充填後、窒素置換し密栓した。これを121℃で15分間オートクレーブ滅菌処理し、上記組成を有する乳化組成物を得た。化合物72の濃度は仕込みどおり安定に26.78mg/mlであり、pHは3.92であった。化合物72が溶解している分散相の平均粒子径は220nmであった。
【0103】
実施例6
1)参考例B66の化合物72 3000mg
2)大豆油 20g
3)精製卵黄レシチン 1.2g
4)グリセリン 2.25g
5)MilliQ 全量100ml
大豆油(吉原製油 Lot 990825)8.03gに参考例B66の化合物72を1262.02mg溶解した。MilliQ水30mlにグリセリン(和光純薬 Lot SER4725)0.90gおよび精製卵黄レシチン(旭化成 Lot 98070161)0.49gを60℃で溶解/分散した。これらを混合し、ホモジュザイザーポリトロン(KINEMATICA)を用いて、20,000/min で1分間粗乳化した。高圧ホモジュナイザーMicronLab40(APV Gaulin)を用いて1,500barの圧力、パス回数10で精乳化した。得られた乳化組成物をポアサイズ0.45μmのメンブレンフィルター(Millipore Sterivex-HV)でろ過し、3.5Pバイアルに2.5ml充填後、窒素置換し密栓した。これを121℃で15分間オートクレーブ滅菌処理し、上記組成を有する乳化組成物を得た。化合物72の濃度は仕込みどおり安定に30.86mg/mlであり、pHは3.85であった。化合物72が溶解している分散相の平均粒子径は258nmであった。
【0104】
実施例7
1)参考例B66の化合物72 1000mg
2)大豆油 20g
3)精製卵黄レシチン 1.2g
4)グリセリン 2.25g
5)MilliQ 全量100ml
大豆油(吉原製油 Lot 000508)40.00gに参考例B66の化合物72を2149.32mg溶解した。MilliQ水125mlにグリセリン(和光純薬 Lot SER4725)4.51gおよび精製卵黄レシチン(キューピーPL-100M Lot DE7032)2.48gを60℃で溶解/分散した。これらを混合し、ホモジュザイザーポリトロン(ULTRA TURRAX)を用いて、16,000/min で1分間粗乳化した。メスシリンダーでMilliQ水を用いて200mlに容量を調整した。高圧ホモジュナイザーナノマイザー(ナノマイザー)を用いて1,000kgf/cm2の圧力、40分間で精乳化した。得られた乳化組成物をポアサイズ0.45μmのメンブレンフィルター(Millipore Sterivex-HV)でろ過し、2ml用アンプルに2ml充填後、窒素置換し熔閉した。これを121℃で15分間オートクレーブ滅菌処理し、上記組成を有する乳化組成物を得た。化合物72の濃度は仕込みどおり安定に10.11mg/mlであり、pHは4.22であった。化合物72が溶解している分散相の平均粒子径は190nmであった。
【0105】
実施例8
1)参考例B66の化合物72 1000mg
2)大豆油 20g
3)精製卵黄レシチン 1.2g
4)グリセリン 2.25g
5)ホスファチジン酸 20mg
6)MilliQ 全量100ml
大豆油(吉原製油 Lot 000508)8.01gに参考例B66の化合物72を403.72mg溶解した。MilliQ水30mlにグリセリン(和光純薬 Lot SER4725)0.90g、精製卵黄レシチン(旭化成 Lot NY000102)0.49gおよびホスファチジン酸(Sigma Lot 77H8071)8.18mgを60℃で溶解/分散した。これらを混合し、ホモジュザイザーポリトロン(KINEMATICA)を用いて、20,000/min で1分間粗乳化した。高圧ホモジュナイザーMicronLab40(APV Gaulin)を用いて1,500barの圧力、パス回数10で精乳化した。得られた乳化組成物をポアサイズ0.45μmのメンブレンフィルター(Millipore Sterivex-HV)でろ過し、2ml用アンプルに2ml充填後、窒素置換し熔閉した。これを121℃で15分間オートクレーブ滅菌処理し、上記組成を有する乳化組成物を得た。化合物72の濃度は仕込みどおり安定に10.68mg/mlであり、pHは4.09であった。化合物72が溶解している分散相の平均粒子径は215nmであった。
【0106】
実施例9
1)参考例B66の化合物72 1000mg
2)大豆油 20g
3)精製卵黄レシチン 1.2g
4)グリセリン 2.25g
5)ホスファチジルセリン 20mg
6)MilliQ 全量100ml
大豆油(吉原製油 Lot 000508)8.06gに参考例B66の化合物72を400.62mg溶解した。MilliQ水30mlにグリセリン(和光純薬 Lot SEJ4177)0.90g、精製卵黄レシチン(旭化成 Lot NY000102)0.49gおよびホスファチジルセリン(Sigma Lot 80K1453)8.02mgを60℃で溶解/分散した。これらを混合し、ホモジュザイザーポリトロン(KINEMATICA)を用いて、20,000/min で1分間粗乳化した。高圧ホモジュナイザーMicronLab40(APV Gaulin)を用いて1,500barの圧力、パス回数10で精乳化した。得られた乳化組成物をポアサイズ0.45μmのメンブレンフィルター(Millipore Sterivex-HV)でろ過し、2ml用アンプルに2ml充填後、窒素置換し熔閉した。これを121℃で15分間オートクレーブ滅菌処理し、上記組成を有する乳化組成物を得た。化合物72の濃度は仕込みどおり安定に10.45mg/mlであり、pHは4.02であった。化合物72が溶解している分散相の平均粒子径は242nmであった。
【0107】
実施例10
1)参考例B66の化合物72 1000mg
2)大豆油 20g
3)精製卵黄レシチン 1.2g
4)グリセリン 2.25g
5)ホスファチジルイノシトール 20mg
6)MilliQ 全量100ml
大豆油(吉原製油 Lot 000508)8.01gに参考例B66の化合物72を401.06mg溶解した。MilliQ水30mlにグリセリン(和光純薬 Lot SEJ4177)0.91g、精製卵黄レシチン(旭化成 Lot NY000102)0.49gおよびホスファチジルイノシトール(Sigma Lot 49H8006)8.09mgを60℃で溶解/分散した。これらを混合し、ホモジュザイザーポリトロン(KINEMATICA)を用いて、20,000/min で1分間粗乳化した。高圧ホモジュナイザーMicronLab40(APV Gaulin)を用いて1,500barの圧力、パス回数10で精乳化した。得られた乳化組成物をポアサイズ0.45μmのメンブレンフィルター(Millipore Sterivex-HV)でろ過し、2ml用アンプルに2ml充填後、窒素置換し熔閉した。これを121℃で15分間オートクレーブ滅菌処理し、上記組成を有する乳化組成物を得た。化合物72の濃度は仕込みどおり安定に10.44mg/mlであり、pHは4.21であった。化合物72が溶解している分散相の平均粒子径は244nmであった。
【0108】
試験例1
実施例1で得られた乳化組成物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析したところ、化合物72の分解物であるアニリン体の生成率は調整したpHに依存していることが判明した〔図1〕。pH2.95から5.44まではほとんどアニリン体分解物が生成しないにもかかわらず、pH6.23から9.56まではpHが増加するに従い生成率が増加した。なお、生成率とは、化合物72のHPLCピーク面積とアニリン体HPLCピーク面積の和に対するアニリン体HPLCピーク面積である。
【0109】
試験例2 NO産生に対する抑制効果
iNOS誘導細胞としてマウスマクロファージ系細胞株RAW264.7を用い、NO産生に対する被検化合物の抑制率を測定した。被検化合物は10mMとなるようにN,N−ジメチルホルムアミドに溶かし、0.1mMとなるようにRPMI−1640培地により希釈した。さらに最終濃度が10μMから10倍希釈で10nMになるよう培地で調製し培養液中に添加した。実験前日、細胞が5x105個/mlになるよう非働化牛胎児血清10%添加RPMI−1640倍地で調製し、96穴プレートへ1穴あたりに細胞が1x105個/0.2mlになるよう蒔いた。37℃、5%CO2/95%air下で一晩培養した後、調製した被検化合物を加え、LPSとインターフェロンガンマを,それぞれ終濃度で5ng/ml、1U/mlとなるように添加した。さらに一晩培養後、培養上清中の亜硝酸イオン(NOの安定代謝物)濃度を測定し、NO産生の指標とした。亜硝酸イオン濃度は、培養上清50μlに20μg/ml2、3−ジアミノナフタレン(DAN)を25μl添加し、室温で10分間インキュベーションした後、0.5N NaOHを25μl添加し、450nm(励起波長365nm)の蛍光を測定することにより定量した。その結果を表13〜表15に示す。IC50は50%のNO産生抑制を示す被検化合物濃度を示す。
【0110】
【表13】
Figure 0004863553
【表14】
Figure 0004863553
【表15】
Figure 0004863553
表13〜表15中、化合物1については7回、化合物3については9回測定を行ない、IC50の最低値および最高値を示した。
被検化合物はRAW264.7細胞からのNO産生を強く阻害し、本発明のオキサゾール誘導体が、優れたNO産生阻害作用を有することが分かった。
【0111】
試験例3 サイトカイン産生に対する抑制効果
マウスマクロファージ系細胞株RAW264.7を用い、サイトカイン産生に対する被検化合物の抑制率を測定した。被検化合物は10mMとなるようにN,N−ジメチルホルムアミドに溶かし、0.1mMとなるように RPMI−1640培地により希釈した。さらに最終濃度が10μMから10倍希釈で10nMになるよう培地で調製し培養液中に添加した。実験前日、細胞が5x105個/mlになるよう非働化牛胎児血清10%添加RPMI−1640倍地で調製し、96穴プレートへ1穴あたりに細胞が1x105個/0.2mlになるよう蒔いた。37℃、5%CO2/ 95%air下で一晩培養した後、調製した被検化合物を加え、LPSとインターフェロンガンマを,それぞれ終濃度で 5ng/ml、1U/mlとなるように添加した。さらに一晩培養後、培養上清中のTNF−α、IL−6濃度を測定した。また、IL−1α測定の場合はLPSを1.0μg/mlとし、インターフェロンガンマ無添加で同様の試験を行った。なお、各サイトカインの定量はアマシャム社製の定量キットを用いた。結果を表16に示す。IC50は50%のサイトカイン産生抑制を示す被検化合物濃度を示す。
【0112】
【表16】
Figure 0004863553
表16中、TNF−αおよびIL−6については2回測定を行い、それぞれのIC50値を示した。
【0113】
試験例4 血中窒素酸化物濃度上昇に対する効果
感染などに対する生体防御反応や免疫異常などに伴い生体内でNOが産生されると、すみやかに亜硝酸、硝酸へと代謝され、血中の窒素酸化物濃度(NOx)が上昇する。そこで実験動物を用いて血中NOx濃度上昇に対する被検化合物の作用を検討した。
雌性BALB/cマウス(6週齢)を購入し、1週間の予備飼育の後、1群6−8匹に群分けした。被検群には被検化合物を0.5%メチルセルロース水溶液に懸濁し、30mg/kgを経口投与した。対照群には溶媒を同様に投与した。その1時間後、LPS(10mg/kg)を被検群および対照群に腹腔内投与し、LPS投与後6時間後に採血し、血清中の硝酸イオン+亜硝酸イオン濃度を測定した。硝酸イオンはnitrate reductaseで亜硝酸イオンに変換し、総亜硝酸イオン濃度として前記のDANを用いた蛍光法により定量した。対照群に対する被検群の抑制率を表17に示した。
【0114】
【表17】
Figure 0004863553
【0115】
試験例5 血中サイトカイン濃度上昇に対する効果
感染などに対する生体防御反応や免疫異常などに伴い生体内では種々のサイトカインが産生される。そこで実験動物を用いて血中サイトカイン濃度上昇に対する被検化合物の作用を検討した。
雌性BALB/cマウス(6週齢)を購入し、1週間の予備飼育の後、1群6−8匹に群分けした。被検群には被検化合物を0.5%メチルセルロース水溶液に懸濁し、30mg/kgを経口投与した。対照群には溶媒を同様に投与した。その1時間後、LPS(10mg/kg)を被検群および対照群に腹腔内投与し、LPS投与後1時間後に採血し、血清中のTNF−α濃度を測定した。また、IL−1α、IL−1β、IL−6濃度は、LPS投与後6時間後に採血した血清を測定した。対照群に対する被検群の抑制率を表18に示した。なお、各サイトカインの定量はアマシャム社製の定量キットを用いた。
【0116】
【表18】
Figure 0004863553
【0117】
前記の表6から表9より、前記化合物(Ie)は優れたNO産生抑制効果、サイトカイン産生抑制効果、血中窒素酸化物濃度上昇抑制効果および血中サイトカイン濃度上昇抑制効果を有することがわかる。
【0118】
【試験例6】
長期安定性
実施例7で得られた乳化組成物の25℃における3ヶ月後の薬物濃度、平均粒子径、pHおよびアニリン体の生成率を測定した。結果を表19に示した。
【表19】
Figure 0004863553
表19から明かなように初期値に対して変化なく、長期安定性に優れていた。
なお、前記表13から表18中の化合物番号は表1〜表12記載の化合物番号を示す。
【0119】
【発明の効果】
本発明の組成物はpHが約6以下に調整されているので、オートクレーブ等で滅菌した後も、主成分である本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグ、および本発明の組成物は優れた安定性を有している。
さらに、本発明の組成物は、本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグの濃度を高めることができるとともに、分散相粒子の粒子径を制御することにより、血液での滞留性、血管透過性および炎症部位に対する移行性を高めることができる。そのため、本発明の化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグの体内動態・体内分布を改善できるとともに、標的化が可能になり、より有効で副作用が抑制された薬物の投与が可能となる。従って、本発明の組成物は、特に、静脈内投与により対象疾患を治療する上で有用である。
【0120】
【図面の簡単な説明】
【図1】種々のpHで調整された実施例1の乳化組成物に含まれるアニリン体を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果を示す。

Claims (25)

  1. (1)油成分、乳化剤および(1)d-エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、(2)d-エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、(3)エチル 6-[N-(2-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、および(4)エチル 6-[N-(2-クロロ-4-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートから選ばれる化合物、またはその塩を含む分散相粒子、および
    (2)この分散相粒子が分散された水
    とで構成され、pHが6以下に調整された乳化組成物。
  2. 水中油型である請求項1記載の組成物。
  3. pHが3〜6に調整された請求項1記載の組成物。
  4. 注射用である請求項1記載の組成物。
  5. 油成分が植物油、植物油の部分水素添加油、単酸基グリセライド、混酸基グリセライドまたは中鎖脂肪酸グリセリンエステルである請求項1記載の組成物。
  6. 油成分が植物油である請求項1記載の組成物。
  7. 植物油が大豆油、綿実油、ナタネ油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、米ヌカ油、コーン胚芽油、ヒマワリ油、ケシ油またはオリーブ油である請求項記載の組成物。
  8. 植物油が大豆油である請求項記載の組成物。
  9. 乳化剤がリン脂質または非イオン性界面活性剤である請求項1記載の組成物。
  10. 乳化剤がリン脂質である請求項1記載の組成物。
  11. リン脂質が卵黄レシチン、大豆レシチン、これらの水素添加生成物、フォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン類、フォスファチジン酸、フォスファチジルセリンまたはフォスファチジルイノシトール、ファスファチジルグリセロールである請求項10記載の組成物。
  12. リン脂質が卵黄レシチンである請求項11記載の組成物。
  13. 油成分の使用量が組成物全体に対して1〜30重量%である請求項1記載の組成物。
  14. 乳化剤の使用量が組成物全体に対して0.1〜10%(W/V)である請求項1記載の組成物。
  15. 油成分に対する乳化剤の割合が0.1〜150重量%である請求項1記載の組成物。
  16. 植物油およびリン脂質を含有する請求項1記載の組成物。
  17. 大豆油、卵黄レシチン、グリセリンおよび精製水を含有する請求項1記載の組成物。
  18. 組成物全体に対して化合物またはその塩を0.001〜95重量%含有する請求項1記載の組成物。
  19. 組成物全体に対して化合物またはその塩を0.01〜30重量%含有する請求項1記載の組成物。
  20. 分散相の平均粒子径が25〜500nmである請求項1記載の組成物。
  21. 一酸化窒素および/またはサイトカイン産生抑制剤である請求項1記載の組成物。
  22. 心疾患、自己免疫疾患、セプシスまたはセプティックショックの予防・治療剤である請求項1記載の組成物。
  23. (1)油成分、乳化剤および(1)d-エチル 6-[N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、(2)d-エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、(3)エチル 6-[N-(2-クロロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、および(4)エチル 6-[N-(2-クロロ-4-メチルフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートから選ばれる化合物、またはその塩を含む分散相粒子、および
    (2)この分散相粒子が分散された水
    とで構成される乳化組成物のpHを6以下に調整することを特徴とする当該組成物の安定化方法。
  24. オートクレーブ滅菌時の安定性を向上する請求項23記載の安定化方法。
  25. 心疾患、自己免疫疾患、セプシスまたはセプティックショックの予防・治療剤を製造するための請求項1記載の組成物の使用。
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