JP4921231B2 - 酸素濃縮装置 - Google Patents

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Description

本発明は、酸素濃縮装置に関し、詳しくは慢性気管支炎等の呼吸器系器官の疾患の治療法として有効な酸素吸入療法に使用される酸素濃縮装置に関する。
この種の酸素濃縮装置(酸素濃縮器ともいわれる。以下、単に装置ともいう)は、空気中の酸素よりも窒素を選択的(優先的)に吸着する吸着剤(例えばゼオライト)を用いた、いわゆる吸着型酸素濃縮装置が広く使用されている(特許文献1)。この酸素濃縮装置においては、吸着剤(ゼオライト)を充填した通常2つの窒素吸着容器内(吸着筒)に、交互に、圧縮空気を供給して吸着剤に加圧状態で窒素を吸着させることとし、それによって、高酸素濃度ガス(酸素濃縮空気)を得る加圧工程(吸着工程)と、窒素吸着容器内の圧力を減じて吸着された窒素を外部に排気(放出)することで吸着剤の再生を行う減圧工程(再生工程)とを交互に(順次)繰り返し行うようにしている。そして、生成された高圧の高酸素濃度ガスは、これを一時的に貯蔵する製品タンク(リザーバ)へ送り込まれ、レギュレータ及び流量設定器で、圧力、流量が調整され、加湿などの処理を施された後、患者に供給される。
図11は、このような酸素濃縮装置1の要部を配管系統図(回路図)として示したものである。すなわち、コンプレッサ7から窒素吸着容器31,32に圧縮空気を供給するための配管(以下、圧縮空気供給配管、又は空気供給配管ともいう)10〜12及び、窒素吸着容器31,32において窒素を吸着することで生成される高酸素濃度ガス(製品ガス)が製品タンク71に搬送されるまでの配管(以下、高酸素濃度ガス搬送配管、又は酸素搬送配管ともいう)21〜23の部位を示したものである。同図に示したように、このような酸素濃縮装置1においては、圧縮空気供給配管10〜12には、窒素吸着容器31,32内の圧力を減じるための排気用の配管(以下、排気用配管ともいう)15〜17が接続されている。これらの配管により、一方の窒素吸着容器において加圧工程が行われているとき、他方の容器では減圧工程が行われるように、各配管に設けられた切換え弁41〜44が、図12のタイムチャートに示したように開閉制御される。
一方、各窒素吸着容器31,32で窒素が吸着されることによって生成された高酸素濃度ガスは、図11に示したように、高酸素濃度ガス搬送配管21,22及びその合流配管23を経て、製品タンク71に送り込まれるが、その各配管21,22途中には、製品タンク71に送り込んだ高酸素濃度ガスが窒素吸着容器31,32に逆流するのを防止するための逆流防止弁として、逆止弁61,62が設けられている。さらに、この各高酸素濃度ガス搬送配管21,22は、窒素吸着容器と逆止弁との間において相互に配管(以下、連結配管ともいう)27で連結されており、その連結配管27途中には、一方の窒素吸着容器内で吸着した窒素を効率的に排気するため、他方の窒素吸着容器において得られた高酸素濃度ガスの一部を交互に送り込むために開閉制御される電磁弁(本明細書において、パージ弁ともいう)63が設けられている。このパージ弁63は、他の弁と共に、図12のタイムチャートに示したように開閉制御され、窒素の排気の促進が図られるようにされている。
ところで、このパージ弁63の一方又は両配管接続口側(図示においては両配管接続口側)の各連結配管27には、微小な内径(例えば、直径1mm)で高精度に仕上げられたオリフィス(固定絞り)28,29がその配管部位の管流路に設けられている。このようなオリフィス28,29を設ける目的ないし理由は次のようである。すなわち、一方(例えば、図11の右)の窒素吸着容器32内の窒素をパージするためには、他方(図11の左)の窒素吸着容器31で製造された高酸素濃度ガスの一部を利用し、そのガスを右の窒素吸着容器32内にその下流側(高酸素濃度ガス搬送配管寄り側)から同容器32の上流側(圧縮空気供給配管側)に逆流させるのが効果的である。ところが、そのパージのために同ガスを多量に消費することは製品ガスの無駄の増大となることから許されない。すなわち、窒素をパージするためでも、高酸素濃度ガスはその一部(少量)しか用いることができない。したがって、この少量のガスで交互に効率的にパージするためには、同一量のパージガスを交互に正確に送り込む必要がある。このために、パージ弁63における少なくとも一方の配管接続口側の連結配管27には、微小な内径で高精度に仕上げられたオリフィス28,29を設ける必要があるのである。
他方、この種の酸素濃縮装置1は、在宅療法に使用されることから、小型、軽量化とともに、高度の低騒音性能が要求される。とりわけ、本装置は、患者が睡眠時も含め昼夜(常時)連続して長期間にわたって使用されるものであることから、その使用(運転)においては、あらゆる種類の音の発生を如何にして抑えるかが基本的かつ重大な課題とされている。このため、コンプレッサ7及びその駆動用のモータの音が外部に漏れ出ないように、これらは同装置内において防音室内に配置されるのが普通である。また、ガスの排気音の低減を図るため、排気配管17には排気マフラ60が取り付けられるなど、様々な防音手段が講じられている。
特開2006−62932号公報
ところが、上記した構成を有する酸素濃縮装置1においては、その運転中において、原因不明であるが、その装置内から、「ブー、ブー」といった所謂、チャタリングによる音が発生することがある、といった問題があった。本願発明者においては、その原因を究明したところ、窒素吸着容器31,32の2次側の高酸素濃度ガス搬送配管21,22の途中に設けられている逆止弁61,62に、その原因があることが判明した。その具体的内容は次のように考えられる。
上記の構成の酸素濃縮装置(以下、単に装置とも言う)1において、その各弁41〜44、61〜63は、図12の上に示したタイムチャートに示されるようにその開閉制御が行われる。もっとも、逆止弁61,62の開閉については、他の弁の開閉に伴う配管内のガス圧自体の変動に依存して、内部のバネ作用に基づいて行われるものであり、したがって、同タイムチャートに示される逆止弁61,62の開閉状態は、圧力変動に基づいて推定される開閉状態を示している。同タイムチャートに示したように、例えば、図11における切換弁43の閉弁状態において切換弁41を開弁すると、窒素吸着容器31内に圧縮空気が送り込まれることからその内部の圧力は上昇する。そして、この圧力により高酸素濃度ガス搬送配管21途中における逆止弁61は開弁され、製品ガスは配管21,23を経て製品タンク71に送られる。このような切換弁41の開弁状態においては、製品タンク71内に至る高酸素濃度ガス搬送配管21内の圧力(吸着筒1内又は図11の圧力センサP1の設置配管位置),は、圧縮空気供給配管10内のガス圧(コンプレッサ圧。図11の圧力センサP0の設置配管位置)に対応して上昇することになる。
なお、図12のタイムチャートに示した弁の開閉制御による場合には、一方の加圧用の切換弁41(42)の開弁(T0〜T4、又はT5〜T9)中は、コンプレッサ7、窒素吸着容器及び製品タンク71に至る配管内の圧力は微妙な相違はあるが、いずれも一連に連なった空間であることから基本的に同じである。図11中のP0〜P3は圧力センサ(ガス圧計)を示している。
しかし、この圧力上昇は、切換弁41の開弁中において、その開弁時間帯の前半(T0〜T2)においては急上昇するが、その途中から後半(T3〜T4)においては、逆に緩やかにではあるが若干下降気味となってしまう。これは、切換弁41の開弁の中間の時間帯においてパージ弁63が開弁制御され、高酸素濃度ガスの一部を他方の窒素吸着容器32内に送り込み、窒素の排気を促進する設定とされているためである。すなわち、このパージ弁63の開弁は、いわばガスのリーク状態を発生させていることになるため、圧力の下降が生じるのである。このように、切換弁41の開弁(T0〜T4)中、その後半の時間帯(T3〜T4)においては、圧力が低下傾向となることから、逆止弁61内の弁体を内部のバネに抗して押して開弁する力は相対的に小さくなる。この結果、その後半の時間帯(T3〜T4)においては、逆止弁61は正しく開弁しない、いわば半開き状態になり易い。そして、このように半開き状態にあると、その内部の弁体が不安定となるために振動を起こし、それがチャタリング(音)を起こす原因になっていると考えられる。
本発明は、こうした問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、上記したチャタリングによる音の発生を防止することにある。そして、本発明の第2の目的は、このような酸素濃縮装置においては、上記もしたようにその低騒音化に加えて、小型化の要請も極めて高いことに基づき、窒素吸着容器の2次側である高酸素濃度ガス搬送配管のコンパクト化とその省配管(接続作業化)化を図り、酸素濃縮装置の小型化、さらには低コスト化に資することをその目的としている。
請求項1に記載の本発明は、酸素よりも窒素を優先的に吸着し得る吸着剤を充填した窒素吸着容器内に圧縮空気を供給することによって高酸素濃度ガスを得る加圧工程と、この窒素吸着容器内の圧力を減じることによって吸着された窒素を外部に排気することで吸着剤の再生を行う減圧工程とを、交互に繰り返し行うことによって高酸素濃度ガスを得る方式の圧力変動吸着型の酸素濃縮装置であって、
2以上の窒素吸着容器を有すると共に、各窒素吸着容器には加圧工程で得られた高酸素濃度ガスを製品タンクに送り込むための高酸素濃度ガス搬送配管が接続されていると共に、その各高酸素濃度ガス搬送配管の途中には、前記製品タンクに送り込まれる高酸素濃度ガスが逆流するのを防止するための逆流防止弁が設けられており、
しかも、各高酸素濃度ガス搬送配管における前記窒素吸着容器と前記逆流防止弁との間の部位においては、各高酸素濃度ガス搬送配管が連結配管で相互に連結されていると共に、その連結配管の途中には、窒素吸着容器内において吸着された窒素を排気するために、他の窒素吸着容器で得られた高酸素濃度ガスの一部を送り込むために開閉制御されるパージ弁が設けられていると共に、そのパージ弁における両配管接続口側の少なくとも一方にオリフィスが設けられてなる酸素濃縮装置において、
前記逆流防止弁を電磁弁として、その開閉を制御する構成とし、前記各窒素吸着容器において前記加圧工程と前記減圧工程とを交互に繰り返し行うために、前記パージ弁の閉弁中において、加圧すべき窒素吸着容器に接続されている高酸素濃度ガス搬送配管の途中に設けられている逆流防止弁をなす閉弁状態にある電磁弁を開弁して、該窒素吸着容器で得られた高酸素濃度ガスを前記製品タンクに送り込むと共に、
該電磁弁の開弁中において前記パージ弁を開弁して前記高酸素濃度ガスのうちの一部を、他の窒素吸着容器内に逆流状に送り込み、該他の窒素吸着容器内において吸着された窒素を排気し、該パージ弁の開弁中に該電磁弁を閉弁し、その後、該パージ弁を閉弁するという、弁の開閉制御を繰り返し行う構成を備えてなることを特徴とする。
請求項2に記載の本発明は、前記高酸素濃度ガス搬送配管のうち、各窒素吸着容器から前記各逆流防止弁をなす電磁弁に至る第1配管の少なくとも一部と、この逆流防止弁をなす電磁弁から前記製品タンクに至る第2配管の少なくとも一部、そして、前記連結配管の少なくとも一部、のそれぞれが構成するガス流路を、
それらの配管に代えて、マニホールドブロック内に形成し、
前記逆流防止弁をなす電磁弁と前記パージ弁の各配管接続口に、直接又は間接に接続されるべき各接続口を、そのマニホールドブロックの表面に開口するように形成し、この各接続口に対し、前記各配管接続口を直接又は間接に接続してなることを特徴とする請求項1に記載の酸素濃縮装置である。
請求項3に記載の本発明は、前記オリフィスが、前記マニホールドブロックに形成された、前記連結配管に代わるガス流路中に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の酸素濃縮装置である。そして、請求項4に記載の本発明は、前記オリフィスが、オリフィス部材に形成され、該オリフィス部材がマニホールドブロックに備えられていることを特徴とする請求項2に記載の酸素濃縮装置である。また、請求項5に記載の本発明は、前記オリフィスが2以上設けられてなる酸素濃縮装置であって、少なくとも1つのオリフィスが、前記マニホールドブロックに形成された、前記連結配管に代わるガス流路中に形成されており、残る他の少なくとも1つのオリフィスが、オリフィス部材に形成され、該オリフィス部材がマニホールドブロックに備えられていることを特徴とする請求項2に記載の酸素濃縮装置である。
請求項6に記載の本発明は、前記オリフィスが2以上設けられてなる酸素濃縮装置であって、その各オリフィスが、1つのオリフィス部材に形成され、該オリフィス部材がマニホールドブロックに備えられていることを特徴とする請求項2に記載の酸素濃縮装置である。また、請求項7に記載の本発明は、前記オリフィスが1以上設けられてなる酸素濃縮装置であって、そのオリフィスが、個別のオリフィス部材に形成され、該オリフィス部材が前記マニホールドブロックに備えられていることを特徴とする請求項2に記載の酸素濃縮装置である。そして、請求項8に記載の本発明は、前記第2配管に対応するガス流路が、前記マニホールドブロック内において1つに合流するように連結され、該ガス流路における該マニホールドブロックにおける出口が、前記製品タンクに接続される1つの配管接続口としてそのマニホールドブロックの表面に開口されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の酸素濃縮装置である。
請求項1に記載の本発明においては、逆流防止弁を従来のように逆止弁ではなく、電磁弁としてその開閉を制御する構成としたため、従来のように加圧される窒素吸着容器内が、その加圧時間帯においてパージ弁が開弁されて圧力が下降気味となったとしても、逆止弁の使用におけるような半開き状態となることはない。したがって、チャタリング音の発生も起こさないことから、このような酸素濃縮装置の一層の低騒音化を図ることができる。
請求項2に記載の発明においては、高酸素濃度ガス搬送配管等が構成するガス流路をマニホールドブロック内に形成して、マニホールドブロック化したため、その分、コンパクト化と省配管化が図られる。なお、請求項2に記載の発明において、「配管の少なくとも一部」としたのは、それぞれが構成するガス流路の全部(例えば、窒素吸着容器から前記各逆流防止弁をなす電磁弁に至る配管の全部)をマニホールドブロック内に形成してもよい一方、全部でなくともよいことを意味する。各配管が構成するガス流路の全部をマニホールドブロック内に形成することとした場合には、各窒素吸着容器と製品タンクとの間がマニホールドブロックを介して接続されることになる。
オリフィスは、請求項3に記載のように、マニホールドブロックに形成された、前記連結配管に代わる(対応する)ガス流路中に形成されているものとしてもよいし、請求項4に記載のように、オリフィスが形成されたオリフィス部材をマニホールドブロックに設けてもよい。このようにマニホールドブロックとは別の部品からなるオリフィス部材を用いる場合には、次のような効果が得られる。前記オリフィスは、上記した理由から、微小な内径で高精度に形成する必要があるところ、オリフィスをマニホールドブロックにおいて、ガス流路の一部として形成する場合には、マニホールドブロック自体をステンレス鋼や黄銅などの金属のように、高精度の加工が可能の素材として形成する必要がある。
したがって、他のガス流路は、さほど高精度で形成される必要がないにもかかわらず、オリフィスの形成のためにマニホールドブロック自体の製造コストが高くつく。これに対して、請求項4の発明では、マニホールドブロックとは別のオリフィス部材にオリフィス(空孔)を形成し、このオリフィス部材をマニホールドブロックに設けるものであるから、トータルとして製造コストの低減が図られる。しかも、このようにすれば、マニホールドブロック自体は金属製である必要はなく、樹脂製のものとして製造できるため、その製造の容易化、さらなる低コスト化が図られる。この請求項4の発明におけるオリフィス部材には、1つのオリフィスを形成してもよいし、複数のオリフィスを形成してもよい。なお、請求項5の発明は、請求項3と4とを組み合わせたものであり、したがって、それぞれの効果を併せ持つ。また、請求項6に記載の発明においては、複数のオリフィスが、1つのオリフィス部材に形成されているから、部品点数を減らすことができる。
さらに、このようにオリフィス部材としてマニホールドブロックとは別途に形成しておくことで、オリフィスの流量特性が悪い場合や、流れの向きによるガス流のアンバランスがある場合でも、オリフィス部材のみの交換等で対応できるから、事後的な対応を容易にできる。なお、オリフィス部材は、請求項7に記載のようにし、パージ弁の各配管接続口に個別に対応するものとして形成しておいてもよい。また、請求項8に記載の発明においては、前記製品タンクに対し、1本の高酸素濃度ガス搬送配管で接続できるから、その省配管化が一層図られる。
本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図8に基いて詳細に説明する。本酸素濃縮装置1は、図2の要部の配管系統図(回路図)に示されるように、上記した図11に示した装置のそれと、高酸素濃度ガス搬送配管21,22の途中に設けられた逆流防止弁161,162が、逆止弁61,62に代えて電磁弁となっている点を除くと、回路図としては異なる点はない。ただし、図3〜図8に示したように、高酸素濃度ガス搬送配管のなす流路(ガス流路)はマニホールドブロック化されている。なお、マニホールドブロック101内のガス流路は配管と回路上は同意味であるため、以下の全体構成の説明においては配管として説明する。
本形態の酸素濃縮装置1は、図1,2の回路図に示したように、空気取入れ口2から取込んだ空気を、防塵フィルター4a、吸気フィルター4b等を通して圧縮空気供給源であるコンプレッサ7に供給可能に配管されている。そして、コンプレッサ7で圧縮された空気を、本例では2本並列状に配置された窒素吸着容器(吸着筒)31、32に供給するため、その間が圧縮空気供給配管10、11,12で接続されている。なお、窒素吸着容器31,32にはその内部に酸素よりも窒素を選択的に吸着する窒素吸着剤として例えばゼオライト(粉末ないし粒体)が充填されている。
圧縮空気供給配管10は、図1,2に示したように、管路が2つに分岐されて各窒素吸着容器31,32に配管接続されている。そして、このように分岐された圧縮空気供給配管11,12の配管途中には、窒素吸着容器31,32への加圧用の切換え弁(開閉弁)41,42が設けられている。また、この加圧用の各切換え弁41,42と各窒素吸着容器31,32とを接続する各圧縮空気供給配管11,12の配管途中には、窒素吸着容器31,32を加圧した後において、内部に吸着された窒素を外部に排気して窒素吸着剤を再生するための排気用配管15,16がそれぞれ分岐される形で取り出されている。そして、その各排気用配管15,16には排気用の切換え弁(開閉弁)43,44が設けられている。なお、これらの切換弁41〜44は、ともに電磁弁(例えばパイロット方式の電磁弁(2方弁))であり、図12に示したタイムチャートに示されるように、その開閉が制御されるように設定されている。本例では各排気用配管15,16は、連結されて1本の排気管17とされ、その先端には排気マフラ60が取り付けられている。
一方、2つの窒素吸着容器31,32の下流側(図1、2上方)には、生成された高酸素濃度ガスを製品タンク71に送り込むための高酸素濃度ガス搬送配管21,22が接続されている。ただし、この高酸素濃度ガス搬送配管21,22は、1本の配管23に接続されて製品タンク71に接続されている。そして、各高酸素濃度ガス搬送配管21,22の途中には、それぞれ、製品タンク71に送り込んだ高酸素濃度ガスが逆流するのを防止するため、電磁弁からなる逆流防止弁(以下、開閉弁又は電磁弁ともいう)161,162が設けられている。そして、各窒素吸着容器31,32と、この開閉弁161,162とをそれぞれ接続する各高酸素濃度ガス搬送配管21,22は連結配管27で連結されている。ただし、この連結配管27の途中には、電磁弁(開閉弁)からなるパージ弁63が設けられている。そして、このパージ弁63における各側には、片側でもよいが本例では両側の配管接続口側の連結配管27に、内径が例えば1mmのオリフィス(円形孔)28,29が設けられており、固定絞りとされている。
また、製品タンク71の2次側の酸素出口100に至る配管途中には、レギュレータ(流量調整弁)73、流量設定器77、及び加湿器79等が取り付けられており、その酸素出口100から、カニューラを介して高濃度酸素ガスを患者に供給するように構成されている。なお、図中の矢印は、ガスの流れ方向を示している。
さて、このような装置1において、本形態では、図1、2中、1点鎖線で囲まれた部位の配管部位101は、次のようにマニホールドブロック化されている(図3〜図8参照)。すなわち、本形態では、図2、図3に示したように、高酸素濃度ガス搬送配管21,22のうち、各窒素吸着容器31,32から各逆流防止弁をなす電磁弁161,162に至る第1配管部位21a,22aと、この逆流防止弁をなす電磁弁161,162から製品タンク71に至る途中の第2配管部位21b,22b、そして、連結配管27に代わる、或いは対応するガス流路21a,22a、21b,22b、27が、直方体形状のマニホールドブロック101内に、縦横に干渉しない配置でトンネル状に形成されている。これら各ガス流路の配置の詳細については図3〜図8に示されるようである。
本形態では、逆流防止弁をなす電磁弁161,162と、パージ弁63の各配管接続口に接続されるべき、各接続口161a、161b、162a、162b、63a、63bは、そのマニホールドブロック101の表面(上)に開口するように形成されている。これらの各弁は各接続口に対し、ニップルなどの配管部材を介して接続してもよいが、本例では各電磁弁の各配管接続口を直接、詳しくは図示しないが、各電磁弁の取付けフランジを、マニホールドブロック101の表面に押付ける形態として固定することで接続されている。これらの各接続口は、各弁の各配管接続口の接続方式に応じて形成しておけばよい。
本形態では、図3〜図5に示したように、各ガス流路よりも小径のオリフィス28,29を有して円筒状をなすオリフィス部材128,129が、それぞれマニホールドブロック101におけるガス流路27において固定絞りをなすように設けられている。ただし、本例では、ガス流路27のうちの上向きに延びる端部であり、パージ弁63の各配管接続口に接続されるべき、各接続口63a、63bの近傍に脱着可能に取付けられている。この取り付けは、各接続口63a、63bの近傍に拡径状に設けられた嵌入部に、各オリフィス部材128,129を同心状にして嵌入し、その後、ブロック101の外側(図上)から、例えばオリフィスの孔より大径の貫通孔(ガス流路)を有するネジプラグ65をねじ込むなどしてその固定がなされている。
また、本形態では、第2配管21b、22bに対応するガス流路21b,22bが、マニホールドブロック101内において合流するように連結されて、図1,2の1本の配管23に対応するガス流路23とされており、その端部を製品タンク71に配管接続される1つのタンク用配管接続口23kとしてそのマニホールドブロック101の表面(図3,4右手前、図8右)に開口している。なお、マニホールドブロック101の表面(図3,4左手前)には、第1配管の部位に対応するガス流路21a,22aの端部21k,22kがそれぞれ開口されており、各端部21k,22kのそれぞれと各窒素吸着容器31,32とが接続されている。ただし、そのいずれの開口も内周面には、配管接続が可能なようにネジが形成されている。ただし、 閉塞されるべき開口には、図中、Pで示したようにネジプラグ(栓)が取付けらけれている。
このような本形態の酸素濃縮装置1においては、上記した各切換え弁(電磁弁)41〜44、パージ弁(電磁弁)63及び逆流防止用の電磁弁161,162を、図12のタイムチャートに示したように開閉制御することで、左右の窒素吸着容器31,32が、交互に加圧、減圧を繰り返し行われる。なお、電磁弁161,162の開閉制御は、図12のタイムチャートに示した逆止弁61,62の開閉制御と同じ制御とされる。例えば、図1,2の一方(左)の窒素吸着容器31内に圧縮空気を送り込むことでその内部を加圧して窒素を吸着して高酸素濃度ガスを生成するときは、切換え弁41を開弁し、その開弁よりも若干遅れて逆流防止(閉弁)状態にあった電磁弁161を開弁して高酸素濃度ガスを製品タンク71に送る(図6、図8参照)。そして、電磁弁161の開弁後であり、切換弁41の開弁時間帯の後半において、パージ弁63を開弁制御することにより、その加圧により得られる高酸素濃度ガスのうちの一部を、連結配管27及びオリフィス28,29を通過させて、他方の窒素吸着容器32内に逆流状に送り込み、その他方の窒素吸着容器32内において吸着された窒素を排気して吸着剤の再生を行う。そして、この加圧、減圧を左右の窒素吸着容器について交互に行うことで、高酸素濃度ガスを交互に製品タンク71に送り込むようにされている。なお、電磁弁161の閉弁すなわち逆流防止の開始は、切換弁41の閉弁と同期するように設定されている。
しかして、本形態の装置においても、その運転稼動中はその配管各部(図1,2中のP0〜P3)の圧力が従来と同様に変動することになる。したがって、切換弁41を開弁して一方の窒素吸着容器31内に圧縮空気を送り込んで加圧している過程(図12のタイムチャートにおける、T0〜T4)のうちの後半(T3,T4)において、他方の窒素吸着容器32内の窒素を排気するためにパージ弁63を開弁している過程では、図5中において、点線で示したようにパージガスが、オリフィス28、パージ弁63、オリフィス29を経て連結配管に対応するガス流路27内を流れて、大気開放されている窒素吸着容器32内に流れることから、窒素吸着容器31内の圧力は、図12のタイムチャートにおける、T3,T4の間は下降気味となる。しかし、このように下降気味となったとしても、逆流防止弁は、従来のようなガス流路内のその弁前後の圧力差によって開閉が制御される逆止弁ではなく、電磁弁161であるため開弁状態に制御(保持)されている。したがって、従来のように、加圧される窒素吸着容器31内が、その加圧時間帯において圧力が下降気味となったとしても、逆止弁の使用におけるような半開き状態ということがない。かくして、逆止弁の使用におけるようなチャタリング音の発生を確実に防止できるので、一層の低騒音化が図られる。
そして、本形態の装置1では、このような低騒音化が図られるという効果に加えて、上記したように、高酸素濃度ガス搬送配管に対応するガス流路をマニホールドブロック101内に形成しているから、そのガス流路のための配管を省略できるという効果が得られる。また、このようにマニホールドブロック化したことにより、配管のためのスペースを小さくできるため、装置の小型化が図られる。とくに、第2配管21b、22bの部位に対応するガス流路21b、22bが、マニホールドブロック101内において合流するように連結されて1つの流路23をなし、製品タンク71に接続される1つのタンク用配管接続口23kとしてその端部がマニホールドブロック101の表面に開口されていることから、省配管化が大きく図られる。
なお、本形態では、オリフィス28,29は、マニホールドブロック101の表面に開口する、パージ弁63の各配管接続口に接続されるべき各接続口63a、63bの近傍におけるガス流路中に、別に円筒状に形成されたオリフィス部材128,129として嵌入されたものとして形成されている。しかし、ガス流路において、オリフィス28,29用に、小径の穴(円筒穴)として、マニホールドブロック101自体に加工によって形成されていてもよい。ただし、上記したようにオリフィス28,29をマニホールドブロック101と別に形成する場合においは、上記もしたように、オリフィスの流量特性が悪い場合や、流れの向きによるガス流のアンバランスがある場合でも、オリフィス部材のみの交換等で対応できるから、事後的な対応を容易にできる。また、上記したようにオリフィス28,29をオリフィス部材128,129として、マニホールドブロック101と別に形成する場合においは、マニホールドブロック101ではなく、パージ弁63の各配管接続口又はそれに配管される配管部材に、オリフィス部材128,129を設けておいてもよい。
なお、オリフィス部材を用いてオリフィスを形成するのに、上記においては、個々のオリフィスに対応するオリフィス部材を用いた場合を説明したが、オリフィス部材はこのようなものに限定されるものではない。図9、図10に示したマニホールドブロック101はその一例を示したものである。すなわち、このものは、1つのパージ弁63における各配管接続口に対応する位置にオリフィス28,29を備えてなる、プレート(円形プレート)状の1つのオリフィス部材130として形成したものである。本例のオリフィス部材130では、その各オリフィス28,29が、マニホールドブロック101の表面に開口する、パージ弁63の各配管接続口に接続されるべき各接続口63a、63bと、パージ弁63における各配管接続口とに対応するようにして、両者間に介在させたものである。なお、このようなオリフィス部材130は、マニホールドブロック101に対して、気密を保持しつつ図示しないネジ部材によるネジ締めなどの固定手段によって固定してもよいし、パージ弁63に対して固定しておいてもよい。
また、前記したようにオリフィス部材を用いる場合には、オリフィス部材は金属製とする一方、マニホールドブロック101は例えば樹脂製ブロックを素材として、それにガス流路等を機械加工により形成してもよい。このようにしておけば、ガス流路等の加工が容易に行える。なお、上記実施例ではオリフィスをパージ弁の両配管接続口側に設けた場合で説明したが、このオリフィスは、オリフィス部材を用いて形成するか否かに関係なく、パージ弁における一方の配管接続口側にのみ設けるようにしてもよい。
本発明の酸素濃縮装置は、上記した実施の形態のものに限定されるものではなく、適宜に設計変更して具体化できる。例えば、上記においては2つの窒素吸着容器を有するものとして具体化したが、その数は3以上であってもよい。また、コンプレッサに代えて空気ポンプを圧縮空気供給源(圧縮空気供給手段)としても良い。さらに、マニホールドブロックとして、その内部に設けるガス流路の配置は適宜の配置とすればよい。
本発明の酸素濃縮装置の配管系統図(回路図)。 本発明の酸素濃縮装置の要部の配管系統図(回路図)。 図2における配管部位をマニホールド化したマニホールドブロックのガス流路を透視状態で示した説明用斜視図。 図3のマニホールドブロックにおいて、ガス流路を鎖線で示した各弁の取付け前の説明用分解斜視図。 図3のマニホールドブロックのA−A線断面図。 図3のマニホールドブロックのB−B線断面図。 図3のマニホールドブロックのC−C線断面図。 図3のマニホールドブロックのD−D線断面図。 図5において、オリフィス部材を別例とした断面図。 図9のマニホールドブロックにおいて、ガス流路を鎖線で示した各弁の取付け前の説明用分解斜視図。 従来の酸素濃縮装置の要部の配管系統図(回路図)。 図11の酸素濃縮装置における各弁の開閉制御のタイムチャートの図。
符号の説明
1 酸素濃縮装置
7 コンプレッサ(圧縮空気供給源)
21,22,23 高酸素濃度ガス搬送配管(対応するガス流路)
21a,22a 第1配管(対応するガス流路)
21b,22b 第2配管(対応するガス流路)
27 連結配管(対応するガス流路)
28,29 オリフィス
21k,22k,23k マニホールドブロックにおける各接続口
31,32 窒素吸着容器
41,42 加圧用の切換え弁
43,44 減圧用の切換え弁
63 パージ弁
71 製品タンク
101 マニホールドブロック
128,129,130 オリフィス部材
161、162 逆流防止弁(電磁弁)

Claims (8)

  1. 酸素よりも窒素を優先的に吸着し得る吸着剤を充填した窒素吸着容器内に圧縮空気を供給することによって高酸素濃度ガスを得る加圧工程と、この窒素吸着容器内の圧力を減じることによって吸着された窒素を外部に排気することで吸着剤の再生を行う減圧工程とを、交互に繰り返し行うことによって高酸素濃度ガスを得る方式の圧力変動吸着型の酸素濃縮装置であって、
    2以上の窒素吸着容器を有すると共に、各窒素吸着容器には加圧工程で得られた高酸素濃度ガスを製品タンクに送り込むための高酸素濃度ガス搬送配管が接続されていると共に、その各高酸素濃度ガス搬送配管の途中には、前記製品タンクに送り込まれる高酸素濃度ガスが逆流するのを防止するための逆流防止弁が設けられており、
    しかも、各高酸素濃度ガス搬送配管における前記窒素吸着容器と前記逆流防止弁との間の部位においては、各高酸素濃度ガス搬送配管が連結配管で相互に連結されていると共に、その連結配管の途中には、窒素吸着容器内において吸着された窒素を排気するために、他の窒素吸着容器で得られた高酸素濃度ガスの一部を送り込むために開閉制御されるパージ弁が設けられていると共に、そのパージ弁における両配管接続口側の少なくとも一方にオリフィスが設けられてなる酸素濃縮装置において、
    前記逆流防止弁を電磁弁として、その開閉を制御する構成とし、前記各窒素吸着容器において前記加圧工程と前記減圧工程とを交互に繰り返し行うために、前記パージ弁の閉弁中において、加圧すべき窒素吸着容器に接続されている高酸素濃度ガス搬送配管の途中に設けられている逆流防止弁をなす閉弁状態にある電磁弁を開弁して、該窒素吸着容器で得られた高酸素濃度ガスを前記製品タンクに送り込むと共に、
    該電磁弁の開弁中において前記パージ弁を開弁して前記高酸素濃度ガスのうちの一部を、他の窒素吸着容器内に逆流状に送り込み、該他の窒素吸着容器内において吸着された窒素を排気し、該パージ弁の開弁中に該電磁弁を閉弁し、その後、該パージ弁を閉弁するという、弁の開閉制御を繰り返し行う構成を備えてなることを特徴とする酸素濃縮装置。
  2. 前記高酸素濃度ガス搬送配管のうち、各窒素吸着容器から前記各逆流防止弁をなす電磁弁に至る第1配管の少なくとも一部と、この逆流防止弁をなす電磁弁から前記製品タンクに至る第2配管の少なくとも一部、そして、前記連結配管の少なくとも一部、のそれぞれが構成するガス流路を、
    それらの配管に代えて、マニホールドブロック内に形成し、
    前記逆流防止弁をなす電磁弁と前記パージ弁の各配管接続口に、直接又は間接に接続されるべき各接続口を、そのマニホールドブロックの表面に開口するように形成し、この各接続口に対し、前記各配管接続口を直接又は間接に接続してなることを特徴とする請求項1に記載の酸素濃縮装置。
  3. 前記オリフィスが、前記マニホールドブロックに形成された、前記連結配管に代わるガス流路中に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の酸素濃縮装置。
  4. 前記オリフィスが、オリフィス部材に形成され、該オリフィス部材がマニホールドブロックに備えられていることを特徴とする請求項2に記載の酸素濃縮装置。
  5. 前記オリフィスが2以上設けられてなる酸素濃縮装置であって、少なくとも1つのオリフィスが、前記マニホールドブロックに形成された、前記連結配管に代わるガス流路中に形成されており、
    残る他の少なくとも1つのオリフィスが、オリフィス部材に形成され、該オリフィス部材がマニホールドブロックに備えられていることを特徴とする請求項2に記載の酸素濃縮装置。
  6. 前記オリフィスが2以上設けられてなる酸素濃縮装置であって、その各オリフィスが、1つのオリフィス部材に形成され、該オリフィス部材がマニホールドブロックに備えられていることを特徴とする請求項2に記載の酸素濃縮装置。
  7. 前記オリフィスが1以上設けられてなる酸素濃縮装置であって、そのオリフィスが、個別のオリフィス部材に形成され、該オリフィス部材が前記マニホールドブロックに備えられていることを特徴とする請求項2に記載の酸素濃縮装置。
  8. 前記第2配管に対応するガス流路が、前記マニホールドブロック内において1つに合流するように連結され、該ガス流路における該マニホールドブロックにおける出口が、前記製品タンクに接続される1つの配管接続口としてそのマニホールドブロックの表面に開口されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の酸素濃縮装置。
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