JP4920078B2 - 注入装置のための駆動機構および注入装置 - Google Patents

Description

本発明は、注入装置のための駆動機構および注入装置に関し、具体的には規制量の薬剤を投与するための携帯用注入装置のための駆動機構および注入装置に関する。

患者自らが薬剤を投与するための注入装置は公知である。一例を挙げれば、糖尿病患者は、場合によっては、インスリンを定期的に注射する必要がある。注入装置は、患者が用量を選択して、その用量を投与することを可能にする。この過程を自動化することは公知であり、使用者はただボタンを押せば良く、あとは注入装置が選択した用量の薬剤を投与してくれる。このような自動化は、注入装置から手動で薬剤を排出させながら投与量を調節する作業を患者から開放してくれる。しかしこうした注入装置は、高齢者、体力が十分でない者、視力に問題がある者、糖尿病に関連して機能が失われているその他の者にとって、特に問題がある。

米国特許第１９９７１２９号明細書 米国特許第２７９２１５７号明細書 国際公開第９８／５７６８８号

通常、薬剤は注入装置の中に置かれたカートリッジの中に含まれている。カートリッジは押子またはピストンを備え、その一方の端はカートリッジの第二の端に向かって駆動され、注入装置から薬剤が排出される。注入装置の一つの問題点は、上着のポケットかまたはハンドバッグに簡単に収まる大きさでなければならないことである。同時に、注入装置は、カートリッジ内部のカートリッジ押子を駆動するために使用されるピストンまたはそれに類するものが、カートリッジ内の最大投与位置と、カートリッジを交換できるようカートリッジから完全に引き抜いた位置の、両位置まで移動しうる大きさでなければならない。

本発明の目的は、対立するこれらの要求を満たすことのできる、改良された注入装置のための駆動機構および注入装置を提供することにある。

本発明の第一の態様によれば、注入装置のための駆動機構は、ピストンが薬剤を含む薬剤カートリッジの第一の端に対して第一の軸に沿って逐次的に運動して、選択的に、薬剤カートリッジの第一の端を封鎖する押子を薬剤カートリッジの中に駆動して、薬剤を、薬剤カートリッジの第二の端に装着された送液部材を通して排出させる駆動機構であって、移動機構は、第一の軸と平行な第二の軸に沿って配置された用量設定スピンドルと、用量設定スピンドルとピストンとの間を連結する伝動手段と、薬剤カートリッジに対して用量設定スピンドルを移動させる移動手段とを具備し、移動手段が第一方向に運動すると、用量設定スピンドルとピストンとが第一方向に運動する、注入装置のための駆動機構を特徴とする。

駆動機構は、好ましくは、さらに、用量設定スピンドルの動きを制御するための、用量設定スピンドルに接続されて成る用量ダイヤル機構を具備する。用量設定スピンドルは、さらに好ましくは、スプラインによって用量ダイヤル機構に接続される。

ピストンは、好ましくは、駆動ラックに連結したスリーブ部材と、スリーブ部材の中に同心的に配置され、スリーブ部材から外に向かって延びるピストン部材とを具備する。

本発明の第二の態様によれば、注入装置は、本体ハウジングを有し、本発明の第一の態様による駆動機構を具備する。

移動手段は、好ましくは、押しボタンを具備し、注入装置のハウジング内の移動のために配置される。用量ダイヤル機構は、さらに好ましくは、押しボタンの中に保持される。

注入装置は、好ましくは、さらに本体ハウジングに対して移動に適する副ハウジングを具備し、伝動手段上に設けられた当接面と当接するウェブを副ハウジングに設けて、ピストンが第一の軸に沿って第一方向とは反対方向に移動できるようにする。

本発明による駆動機構を具備した注入装置の側断面図であり、注入装置は閉じられていて、薬剤カートリッジは充満状態にある。 図１と同様の側断面図であり、注入装置は使用待機状態にある。 図１と同様の側断面図であり、薬剤用量がダイヤル設定された状態にある。 図１と同様の側断面図であり、用量を送液し終わった状態にある。 図１と同様の側断面図であり、注入装置が閉じられていて、薬剤カートリッジは充満状態の半分量になっている。 図１における駆動機構の側断面図であり、薬剤カートリッジは空の状態である。 図１と同様の側断面図であり、駆動機構は完全に引き抜かれ、カートリッジ交換カバーを取り去った状態である。

以下、本発明の具体例について添付の図面を参照しながら、もっぱら実施例に基づいて説明する。図１は、本発明による駆動機構を具備した注入装置の側断面図であり、注入装置は閉じられていて、薬剤カートリッジは充満状態にある。図２は、図１と同様の側断面図であり、注入装置は使用待機状態にある。図３は、図１と同様の側断面図であり、薬剤用量がダイヤル設定された状態にある。図４は、図１と同様の側断面図であり、用量を送液し終わった状態にある。図５は、図１と同様の側断面図であり、注入装置が閉じられていて、薬剤カートリッジは充満状態の半分量になっている。図６は、図１における駆動機構の側断面図であり、薬剤カートリッジは空の状態である。図７は、図１と同様の側断面図であり、駆動機構は完全に引き抜かれ、カートリッジ交換カバーを取り去った状態である。なお、注入装置の同じ部品には同じ番号が使用してある。

まず図１を参照しながら、本発明による注入装置２について説明する。注入装置２は、本体ハウジング４、副ハウジング６、用量ダイヤル機構８、駆動機構１０、押しボタン１２およびカバー１４を具備している。中空針から成る送液部材を具備するニードルユニット１６は、本体ハウジング４の第一の端に固定されている。第一の端と第二の端とを有する薬剤カートリッジ１８は、本体ハウジング４の中に収容することができる。図示する実施例において、薬剤カートリッジ１８は、本体ハウジング４と副ハウジング６との間に配置されている。

ニードルユニット１６が所定の位置にあるとき、ニードルユニットは、薬剤カートリッジ１８の第一の端にある柔軟な膜を貫通する。移動可能な押子２０は、薬剤カートリッジ１８の第二の端に配置されている。本体ハウジング４の第一の端には、ニードルユニット１６を損傷から守るだけでなく、その針が誤って使用者に刺さらないようにするため、カバー１４が取り付けられている。さらに、カバー１４は、注入装置２に対して別個の外観を与える。

副ハウジング６は、本体ハウジング４に対して移動が可能なため、使用者は薬剤カートリッジ１８にアクセスできる。図示する実施例において分かるとおり、副ハウジング６は、滑らせるようにして本体ハウジング４内に収納することができる（図７）。副ハウジング６は、副ハウジング６の内部へ向かって延びるウェブ７を具備している。

押しボタン１２は、本体ハウジング４内を滑動できるようにカップの形をしていることが好ましい。本体ハウジング４および押しボタン１２は、止め具を具備し、それにより押しボタン１２を閉あるいは「オフ」位置に解除可能に保持できるようにすることが好ましい。図示する実施例において、本体ハウジング４は、開口部２２を備え、押しボタン１２と、フレキシブルタブまたはキャップ２６とから、開口部の中へフィンガ２４が延びている。

キャップ２６およびフィンガ２４は、通常の状態では、それぞれ開口部２２を通って途中まで延びている。キャップ２６を押すと、フィンガ２４が押され、押しボタン１２は、開口部から解除される。キャップ２６を押すのを止めると、キャップ２６は元の位置に戻り、押しボタン１２を押し下げれば、フィンガ２４は開口部２２に入る。フィンガ２４は、本体ハウジング４上のリップ２８と係合して、押しボタン１２を本体ハウジング４の中に保持するのに使用することができる。

用量ダイヤル機構８は、押しボタン１２内に配置されている。押しボタン１２が完全に押し下げられた位置にあるときは、用量ダイヤル機構８は、隠れて目に見えない。押しボタン１２を解除すると、用量ダイヤル機構８が現れ、使用者の操作により必要な用量を設定することが可能となる。

用量設定スピンドル３０は、スプライン３２によって、第一の端で用量ダイヤル機構８に連結されている。用量設定スピンドル３０には、ねじ付き部分が具備されている。カウンタ・ロッド３４は、用量設定スピンドル３０の第二の端から延びている。閉位置では、放射状に延在するフランジ３８は、本体ハウジング４に具備された当接面４０に当接する。

本体ハウジング４には、さらに、カウンタ・コンタクト４２の第一セットが具備されている。注入装置２が「使用待機」状態にあるとき、カウンタ・ロッド３４上のカウンタ・コンタクト３６は、本体ハウジング４内のカウンタ・コンタクト４２の第一セットに結合するか、あるいは調和する。

駆動手段は、用量設定スピンドル３０によって運ばれるような形で設けられている。駆動手段は、ねじ穴を持つ部材として、駆動ラック４４を具備している。駆動ラック４４は、用量設定スピンドル３０のねじによって運ばれ、用量設定スピンドル３０が回転すると、駆動ラック４４が用量設定スピンドル３０に沿って摂動するように作られている。駆動ラック４４は、ピストン４６に連結されている。完全に引き抜いた位置では、駆動ラック４４は、用量ダイヤル機構８に隣接する用量設定スピンドル３０の上に配置される。

ピストン４６は、スリーブ部材５０の中に同心的に配置され、スリーブ部材５０から外部に向かって延びるピストン部材４８を具備し、使用中は、スリーブ部材５０は薬剤カートリッジ１８の外部を通って、またピストン部材４８は薬剤カートリッジ１８の中を通って、移動可能な薬剤カートリッジ押子２０に当接してこれを駆動する。図に示されるように、ピストン４６および薬剤カートリッジ１８は、第一軸に沿って配置されている。

完全に引き抜いた位置では、ピストン４６の最後部面は、押しボタン１２の内表面に当接してもよい。

注入装置２を操作するには、これまで述べてきたように、使用者がまず押しボタン１２を解除して、押しボタン１２を「使用待機」位置まで動かす（図２）。これで、用量ダイヤル機構８を操作して用量設定スピンドル３０を回転させることができる。これにより、駆動ラック４４は、用量設定スピンドル３０に沿って、所定の距離だけ摂動する（図３）。この距離は、所要量の薬剤を投与するために必要なカートリッジ押子２０の移動距離に対応する。カウンタ・コンタクト３４および４２を使用して用量設定スピンドル３０の回転量を計測できるため、用量スピンドルは、駆動ラック４４がどれだけ動いたかを正確に示すことになる。用量設定スピンドル３０と駆動ラック４４とを含む用量ダイヤル機構は、第二の軸に沿って配置されている。第二の軸は、第一の軸に平行に配置されている。

次に、押しボタン１２を押すと、ピストン部材４８が薬剤カートリッジ１８の移動可能な押子２０の中へ駆動され、用量設定スピンドル３０の放射状に延在するフランジ３８が、再び、本体ハウジング４の当接面４０に当接する。この位置で、押しボタン１２のフィンガ２４は、本体ハウジング４の開口部２２の中に再び延在する（図４）。

次に注入装置２を使用するときは、ピストン部材４８は、少なくともある程度薬剤カートリッジ１８から引き抜かれる。それは、ピストン４６とピストン部材４８が一緒に、押しボタン１２によって本体ハウジング４の第一の端から引き離されるからである。押しボタン１２を押す前に、用量を新たに設定して、駆動ラック４４を用量設定スピンドル３０に沿って摂動させる。この過程を順次繰り返してゆくと、駆動ラック４４は用量設定スピンドル３０に沿ってさらに摂動が進行する（図５）。

この過程は、薬剤カートリッジ１８が空になるか、薬剤カートリッジ１８の薬剤量が不足して、ダイヤル設定量の薬剤を送液することができなくなるか、あるいは何か別の状況が起きるまで繰り返すことができる。例えば駆動ラック４４が用量設定スピンドル３０の放射状に延在するフランジ３８に接触して、それ以上は摂動しないようにすることができ、用量設定スピンドル３０を適切な長さにすれば、移動可能な押子２０が薬剤カートリッジ１８の中をそれ以上進めなくなったとき、駆動ラック４４が放射状に延在するフランジ３８に当接するようにすることもできる（図６）。

ここでピストン部材４８を引き抜けば、薬剤カートリッジ１８を交換することができる。図示する実施例では、薬剤カートリッジの交換は、次のようにして行われる。使用者が本体ハウジング４の第一の端から遠ざかるように副ハウジングを第三の軸に沿って移動させる。第三の軸は、第一および第二の軸とほぼ平行である。副ハウジング６を動かしてゆくと、この目的のために駆動ラック４４上に設けられた当接面４５にウェブ７が当接する。

副ハウジング６をさらに動かしてゆくと、駆動ラック４４とピストン４６が一緒に、第一軸に沿って本体ハウジング４の第一の端から遠ざかる方向に動き、最後には、ピストン４６が薬剤カートリッジ１８の内部から取り外される。したがって、図７に示されるように、副ハウジングが完全に移動させられると、ピストン４６が薬剤カートリッジ１８から引き抜かれる。すると、使用者は薬剤カートリッジ１８を自由に取り外すことができ、必要に応じて、薬剤カートリッジ１８を交換することができる。

ここまで説明してきた注入装置２の利点は、組み立てが比較的簡便であること、そして可動部品が比較的少ないということである。カウンタ・コンタクト３６および４２は、用量設定スピンドル３０の角度位置を決定できるため、ピストン部材４８の正確な位置測定が可能である。さらに、用量ダイヤル機構８は、押しボタン１２を解除するまで隠されているため、押しボタン１２が押し下げられている限り、誤って手が用量ダイヤル機構８に触れる心配はない。

さらに、ピストンと、ピストンを逐次的に移動させるための駆動手段とが単一の軸に沿って配置されている公知のペン型注入器と比較すると、本発明が提供するペン型注入器は、よりコンパクトな設計になっている。

駆動機構と薬剤カートリッジの適切な配置によって、本体ハウジングは比較的広い平坦面を確保することができ、その結果、比較的大きな用量ディスプレー、例えば液晶ディスプレーを配置することが可能となる。これによって比較的大きな数字や文字を用量ディスプレーに使用することが可能となり、視力の弱い人にとって好都合である。

Claims (10)

1. ピストンが薬剤を含む薬剤カートリッジの第一の端に対して前記薬剤カートリッジの長さ方向中心軸である第一の軸に沿って逐次的に運動して、選択的に、前記薬剤カートリッジの第一の端を封鎖する押子を前記薬剤カートリッジの中に駆動して、前記薬剤カートリッジの第二の端に配置された送液部材を通して薬剤を排出する駆動機構において、
   移動機構は、第一の軸と平行な第二の軸に沿って前記第二の軸の周囲を回転可能に配置された用量設定スピンドルと、前記用量設定スピンドルと前記ピストンとの間を連結する伝動手段と、前記薬剤カートリッジに対して前記用量設定スピンドルを移動させるための移動手段とを具備し、前記移動手段が第一方向に運動すると、前記用量設定スピンドルと前記ピストンとが前記第一方向に運動するようになされ、
   前記駆動機構は、前記用量設定スピンドルの回転運動を制御するために、前記用量設定スピンドルに接続される用量ダイヤル機構を具備し、
   前記伝動手段は駆動ラックを具備し、前記駆動ラックは前記ピストンに接続されていることを特徴とする注入装置のための駆動機構。
2. 前記ピストンは、前記駆動ラックに連結されたスリーブ部材と、前記スリーブ部材の中に同心的に配置され、前記スリーブ部材から外に向かって延びるピストン部材とを具備することを特徴とする請求項１に記載の注入装置のための駆動機構。
3. 前記用量設定スピンドルは、カウンタ・コンタクトを具備することを特徴とする請求項１に記載の注入装置のための駆動機構。
4. ピストンが薬剤を含む薬剤カートリッジの第一の端に対して前記薬剤カートリッジの長さ方向中心軸である第一の軸に沿って逐次的に運動して、選択的に、前記薬剤カートリッジの第一の端を封鎖する押子を前記薬剤カートリッジの中に駆動して、前記薬剤カートリッジの第二の端に配置された送液部材を通して薬剤を排出する駆動機構において、
   移動機構は、第一の軸と平行な第二の軸に沿って前記第二の軸の周囲を回転可能に配置された用量設定スピンドルと、前記用量設定スピンドルと前記ピストンとの間を連結する伝動手段と、前記薬剤カートリッジに対して前記用量設定スピンドルを移動させるための移動手段とを具備し、前記移動手段が第一方向に運動すると、前記用量設定スピンドルと前記ピストンとが前記第一方向に運動するようになされ、
   前記駆動機構は、前記用量設定スピンドルの回転運動を制御するために、前記用量設定スピンドルに接続される用量ダイヤル機構を具備し、
   前記伝動手段は駆動ラックを具備し、
   前記用量設定スピンドルの回転が前記駆動ラックを前記用量設定スピンドルに沿って摂動させることを特徴とする注入装置のための駆動機構。
5. 前記ピストンは、前記駆動ラックに連結されたスリーブ部材と、前記スリーブ部材の中に同心的に配置され、前記スリーブ部材から外に向かって延びるピストン部材とを具備することを特徴とする請求項４に記載の注入装置のための駆動機構。
6. 前記用量設定スピンドルは、カウンタ・コンタクトを具備することを特徴とする請求項４に記載の注入装置のための駆動機構。
7. 請求項１〜６の何れかに記載の駆動機構を収容する本体ハウジングを具備することを特徴とする注入装置。
8. 前記移動手段は、移動のために、前記注入装置のハウジングの中に配置される押しボタンを具備することを特徴とする請求項７に記載の注入装置。
9. 前記用量ダイヤル機構は、前記押しボタンの中に保持されることを特徴とする請求項７に記載の注入装置。
10. 前記注入装置は、さらに、前記本体ハウジングに対して移動する副ハウジングを具備し、前記伝動手段上に設けられた当接面と当接するウェブを前記副ハウジングに設けて、前記ピストンが前記第一の軸に沿って前記第一方向とは反対方向に移動できるようにしてあることを特徴とする請求項７〜９の何れか１項に記載の注入装置。

Images