JP4918626B2 - 半導体素子、半導体装置および電力変換器 - Google Patents

半導体素子、半導体装置および電力変換器 Download PDF

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Description

本発明は、半導体素子に関する。特に、高耐圧、大電流用に使用される、炭化珪素半導体素子(パワー半導体デバイス)に関する。本発明はまた、炭化珪素半導体素子を備えた半導体装置および電力変換器に関する。
炭化珪素(シリコンカーバイド:SiC)は、珪素(Si)に比べてバンドギャップの大きな高硬度の半導体材料であり、パワー素子、耐環境素子、高温動作素子、高周波素子等の種々の半導体装置に応用されている。中でも、半導体素子や整流素子などのパワー素子への応用が注目されている。SiCを用いたパワー素子は、Siパワー素子よりも電力損失を大幅に低減できるなどの利点がある。また、SiCパワー素子は、そのような特性を活かして、Siパワー素子と比較して、より小型の半導体装置を実現することができる。
SiCを用いたパワー素子のうち代表的な半導体素子は金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタ(Metal−Insulator−Semiconductor Field−Effect Transistor:MISFET)である。以下、SiCのMISFETを、単に「SiC−FET」と称する場合がある。金属−酸化物−半導体電界効果トランジスタ(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor:MOSFET)は、MISFETの一種である。SiCのpn接合に順方向電流を流すと、基板底面転位に起因して積層欠陥が増大するというSiC固有の問題が報告されている。SiC−FETをスイッチング素子として、例えば、モータ等の負荷を駆動制御する電力変換器などに用いる場合に、この問題が生じる。同期整流型制御を行う電力変換器のスイッチング素子としてSiC−FETを用いる場合、後に詳しく説明するように、SiC−FETがオフ状態に「還流電流」を流す必要がある。この還流電流の経路として、SiC−FETに内在するpn接合を用いることがある。このようなpn接合は、SiC−FETを構成する半導体素子の内部に存在し、ダイオードとして機能するため、「ボディダイオード」と称されている。SiC−FETに内在するpn接合ダイオード(ボディダイオード)を還流ダイオードとして用いると、pn接合であるボディダイオードに順方向に電流を流すことになる。このような電流がSiCのpn接合を流れると、ボディダイオードによるバイポーラ動作によってSiC−FETの結晶劣化が進行すると考えられている(例えば、特許文献1、非特許文献1、2)。
SiC−FETの結晶劣化が進行すると、ボディダイオードのON電圧が上昇する可能性がある。また、ボディダイオードを還流ダイオードとして用いると、pn接合ダイオードのバイポーラ動作に起因して、ダイオードがオン状態からオフ状態に遷移するとき、逆回復電流が流れる。逆回復電流はリカバリー損失を発生させ、スイッチング速度の低下も招く。
ボディダイオードを還流ダイオードとして用いることによって生じる、このような問題を解決するため、電子部品である還流ダイオード素子をSiC−FETと逆並列に接続し、還流ダイオード素子に還流電流を流すことが提案されている(例えば特許文献2)。
図1は、還流ダイオード素子を有する典型的なインバータ回路1000の構成を示している。
インバータ回路1000は、モータなどの負荷1500を駆動するための回路であり、SiC−FETからなる複数の半導体素子1100を備えている。インバータ回路1000では、半導体素子1100と、逆並列で還流ダイオード素子1200が接続されている。半導体素子1100を通してオン電流(IF)が流れ、還流ダイオード素子1200を通して還流電流(IR)が流れる。直列に接続された2つの半導体素子1100から1つのセットが構成されており、3つのセットが直流電源2000に対して並列的に設けられている。各半導体素子1100のゲート電位は、コントローラによって制御される。
図2(a)は、半導体素子(SiC−FET)1100の構成を示している。半導体素子1100は、炭化珪素(SiC)半導体から構成されており、n+基板(SiC基板)110の上に、n-ドリフト層120が積層された構造を有している。n-ドリフト層120の上部には、pボディ領域130が形成されており、pボディ領域130の上部に、pボディコンタクト領域132とn+ソース領域140とが形成されている。そして、pボディコンタクト領域132およびn+ソース領域140の上には、ソース電極145が形成されている。
-ドリフト層120、pボディ領域130およびn+ソース領域140の表面には、チャネルエピタキシャル層150が形成されている。さらに、チャネルエピタキシャル層150の上には、ゲート絶縁膜160およびゲート電極165が形成されている。チャネルエピタキシャル層150のうち、pボディ領域130の上面に接する部分には、チャネル領域が形成される。n+基板110の裏面にはドレイン電極170が形成されている。
半導体素子1100には、ボディダイオード180が内蔵されている。すなわち、pボディ領域130とn-ドリフト層120との間のpn接合によって、ボディダイオード180が形成されている。
SiCはワイドバンドギャップ半導体であるので、ボディダイオード180の室温での立ち上がり電圧Vfは、3V付近(約2.7V)と比較的高く、損失が大きい。
図4は、異なる動作温度における、ボディダイオード180の電流電圧特性および立ち上がり電圧を表している。ボディダイオード180について、その電流電圧特性を示すカーブから接線近似で求めた立ち上がり電圧Vfは、25℃で約2.8Vと高く、このような高い立ち上がり電圧のダイオードは実用的ではない。動作温度が高くなると、Vfは小さくなる。また、前述したように、ボディダイオード180を還流ダイオードとして用いると、半導体素子1100の結晶劣化が進行し、信頼性が低下してしまうという問題がある。
したがって、インバータ回路1000においてボディダイオード180を還流ダイオード素子1200の代わりとして使用することは困難である。また、SiC固有の課題として、pn接合に順方向電流を流し続けると、SiCの結晶欠陥が増大し、それによって、損失が増大するという問題も発生する。
ボディダイオード180はpn接合ダイオードであり、バイポーラ動作の素子である。ボディダイオード180がオフになるとき、逆回復電流が流れ、それゆえに、リカバリー損失が発生する。その結果、逆回復電流が流れる期間が発生するため、半導体素子1100の高速スイッチングを実行することが極めて難しくなる。また、スイッチング損失が増大するため、スイッチング周波数を上げることが困難になる。
図2(b)に示した半導体素子1110は、SiCを用いた絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)である。この半導体素子1110の場合は、そもそも、ボディダイオード181を還流ダイオードとして使用することができない。これは、半導体素子1110の基板112が、p+基板であるからである。半導体素子1110の場合、pボディ領域130とn-ドリフト層120との間のボディダイオード181の他に、p+基板112とn-ドリフト層120との間のpn接合によるボディダイオード182も内蔵されており、ボディダイオード182の存在によって、還流電流(IR)を流すことができない。
図17は、図1中の一部構成を説明のために抜き出して示す回路図である。図17によれば、直流電源2000がモータ等の誘導性負荷2100に電力を供給する。ハイサイドMISFET Hと、ローサイドMISFET Lとが直列に接続されている。ハイサイドMISFET HとローサイドMISFET Lを駆動するコントローラ2200は、ハイサイドMISFET Hのゲート駆動電圧Vg1と、ローサイドMISFET Lのゲート駆動電圧Vg2を出力する。
コントローラ2200は、直流電源2000とともに、各MOSFET(半導体素子)の電位を設定する「電位設定部」として機能し、この電位設定部により、図示される半導体装置が駆動される。
図17において、矢印で示される電流I1、I2は、矢印の方向に流れるとき、正の値を有し、矢印の方向とは反対の方向に流れるとき、負の値を有するものとする。
図18(a)〜(e)は、図17に示した回路の動作波形であり、誘導性負荷2100へ電流を流す時の各部の電圧および電流を示すタイミングチャートである。
ハイサイドMISFET Hのゲート駆動電圧Vg1と、ローサイドMISFET Lのゲート駆動電圧Vg2とは排他的にオン、オフされる。また、ハイサイドMISFET HとローサイドMISFET Lとが同時にオンし短絡破壊することを防止するため、Vg1とVg2との間にはデッドタイムTd1、Td2が設けられる。
図18のタイミングチャートにおける初期状態は、Vg2がオンし、図17に示した矢印96の経路に電流が流れている状態を示している。次に、Vg2がオフし、デッドタイム期間Td1の間、図17に示した矢印97の経路、すなわちローサイドMISFET Lに逆並列に接続された還流ダイオード素子を電流が流れる。このとき、電流I1は負の値を示している。
ローサイドMISFET Lに逆並列に接続された還流ダイオード素子に電流が流れている状態で、ハイサイドMISFET Hをオンすると、ローサイドMISFET Lに逆並列に接続された還流ダイオード素子に電圧が印加される。この電圧は、還流ダイオード素子にとっては逆方向電圧である。このため、図17に示した矢印95の経路で、ローサイドMISFET Lに逆並列に接続された還流ダイオード素子に逆回復電流が流れた後、ローサイドMISFET Lに逆並列に接続された還流ダイオード素子がオフする。より詳しくは、ハイサイドMISFET Hがオンすると、そのタイミングでハイサイドMISFET HからローサイドMISFET Lに逆並列に接続された還流ダイオード素子を貫通する逆回復電流が、ピーク電流98で示すように過渡的に流れる。この逆回復電流は、誘導性負荷2100に流れることはないが、図17の矢印95で示すようにハイサイドMISFET Hに流れる電流に重畳され、スイッチング損失の増大、過電流による素子破壊、ノイズ発生等を引き起こす原因となる。
ローサイドMISFET Lに逆並列に接続された還流ダイオード素子がオフすると、図17に示した矢印94の経路で電流が流れる。次に、Vg1がオフし、デッドタイム期間Td2の間、図17に示した矢印97の経路、すなわちローサイドMISFET Lに逆並列に接続された還流ダイオード素子に電流が流れる。
ローサイドMISFET Lに逆並列に接続された還流ダイオード素子を電流が流れている状態で、ローサイドMISFET Lがオンし、図17に示した矢印96の経路で、すなわちローサイドMISFET Lのチャネルに電流が流れ、初期状態に戻る。なお、ハイサイドMISFET HとローサイドMISFET Lとではオン/オフ動作のタイミングが異なるが、逆回復電流はハイサイド側でも発生するため、ハイサイド側の還流ダイオード素子にも電流は流れる。
次に、図3を参照しながら、pn接合ダイオードの逆回復電流について説明する。図3中の曲線(a)及び(b)は、Siを用いたpn接合ダイオード(Si−PND)の電流変化の測定結果を示している。曲線(a)は25℃(Tj=25℃)の結果であり、曲線(b)は150℃(Tj=150℃)の結果である。
曲線(a)及び(b)からわかるように、pn接合ダイオードには逆回復電流が発生する期間があり、それにより、インバータ回路1000の特性の悪化(例えば、スイッチングの高速化の阻害およびスイッチング損失の増大)を招く。逆回復電流は、25℃の曲線(a)よりも、150℃の曲線(b)の方が大きく、したがって、pn接合ダイオードは高温ほど特性が悪化する。
一方、図3中の曲線(c)は、SiCを用いたショットキーバリアダイオード(SiC−SBD)の電流変化の測定結果を示している。曲線(c)の場合、逆回復電流は、曲線(a)および(b)と比較して小さいことがわかる。また、曲線(c)は、25℃と150℃との両方の結果であるので、SiC−SBDでは高温の場合でも逆回復電流はほとんど生じないことがわかる。それゆえに、Si−PNDと比較すると、還流ダイオード素子1200としてSiC−SBDを使用することが好ましい。
しかしながら、SiC−SBDは高価であるという問題がある。さらには、インバータ回路1000において還流電流のために部品点数を増やすことは回路コストの増大を招くことになる。
特開2008−17237号公報 特開2002−299625号公報
荒井和雄、吉田貞史 共編、SiC素子の基礎と応用(オーム社、2003、P206) Materials Science Forum Vols.389−393(2002)pp.1259−1264
特許文献2に開示されたSiC半導体装置は、「還流ダイオード素子」としてSiCのSBDを用いている。SBDは、立ち上がり電圧がSiC−FETのボディダイオードと比較して低い。このため、還流電流が小さいときは、SBDに還流電流が流れるため、ボディダイオードに還流電流が流れることはない。
しかしながら、還流ダイオード素子としてSiCのSBDを用いると、炭化珪素半導体材料はまだ高価であるがゆえにSiCのSBDも高価であり、回路コストの増大を招くことになる。更に特許文献2のSiC−FETを電力変換器に用いると、ボディダイオードに還流電流が流れた場合にSiC−FETの故障率が上昇し、信頼性の低い電力変換器となるという問題もある。また、SiC−SBD搭載分だけ部品点数が多くなることで電力変換器がその分大きくなり、小型化軽量化が望まれる電力変換器の要望に逆行することとなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、部品点数を増やすことなく、SiC半導体装置の結晶劣化の進行を抑制することで高信頼性を保つことが可能なSiC半導体素子を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、損失を低減しつつ高速動作することが可能なSiC半導体素子を提供することにある。
本発明の半導体装置は、金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを含む半導体素子と、前記半導体素子の電位を設定する電位設定部とを備える半導体装置であって、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の主面上に位置する第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、前記第1の炭化珪素半導体層内に位置する第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域内に位置する第1導電型のソース領域と、前記第1の炭化珪素半導体層上でかつ前記ボディ領域および前記ソース領域の少なくとも一部に接して形成された第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、前記ソース領域に接触するソース電極と、前記半導体基板の裏面に設けられたドレイン電極とを備え、前記ソース電極の電位を基準とする前記ドレイン電極の電位をVds、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVgs、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタのゲート閾値電圧をVth、前記ドレイン電極から前記ソース電極へ流れる電流の向きを順方向、前記ソース電極から前記ドレイン電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義し、前記電位設定部は、トランジスタ動作ONモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsをゲート閾値電圧Vth以上に上昇させることにより、前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極と前記ソース電極との間を導通させ、トランジスタ動作OFFモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsを0ボルト以上ゲート閾値電圧Vth未満にすることにより、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを、前記ソース電極から前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能させる。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は前記ボディ領域と前記第1の炭化珪素半導体層とにより構成されるボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さい。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値と前記ボディダイオードの立ち上がり電圧との差が、0.7ボルト以上である。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.3ボルト未満である。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.0ボルト未満である。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において0.6ボルト未満である。
本発明の他の半導体素子は、金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを含む半導体素子であって、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の主面上に位置する第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、前記第1の炭化珪素半導体層内に位置する第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域内に位置する第1導電型のソース領域と、前記第1の炭化珪素半導体層上でかつ前記ボディ領域および前記ソース領域の少なくとも一部に接して形成された第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、前記ソース領域に接触するソース電極と、前記半導体基板の裏面に設けられたドレイン電極とを備え、前記ソース電極の電位を基準とする前記ドレイン電極の電位をVds、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVgs、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタのゲート閾値電圧をVth、前記ドレイン電極から前記ソース電極へ流れる電流の向きを順方向、前記ソース電極から前記ドレイン電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義すると、Vgs≧Vthの場合、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極と前記ソース電極との間を導通し、0ボルト≦Vgs<Vthの場合、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、前記順方向に電流を流さず、Vds<0ボルトのとき、前記ソース電極から前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能し、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、前記ボディ領域と前記第1の炭化珪素半導体層とにより構成されるボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さい。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値と前記ボディダイオードの立ち上がり電圧との差が、0.7ボルト以上である。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.3ボルト未満である。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.0ボルト未満である。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において0.6ボルト未満である。
好ましい実施形態において、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、およびチャネル領域を有するトランジスタを含む半導体素子と、前記ゲート電極の電位を設定する電位設定部と、を備え、前記ソース電極の電位を基準とする前記ドレイン電極の電位をVds、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVgs、前記トランジスタのゲート閾値電圧をVth、前記ドレイン電極から前記ソース電極へ流れる電流の向きを順方向、前記ソース電極から前記ドレイン電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義し、前記電位設定部は、トランジスタ動作ONモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsをゲート閾値電圧Vth以上に上昇させることにより、前記チャネル領域を介して前記ドレイン電極と前記ソース電極との間を導通させ、トランジスタ動作OFFモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsを0ボルト以上ゲート閾値電圧Vth未満にすることにより、前記トランジスタを、前記ソース電極から前記チャネル領域を介して前記ドレイン電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能させる半導体装置に用いられる。
本発明の他の半導体素子は、金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを含む半導体素子であって、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の主面上に位置する第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、前記第1の炭化珪素半導体層内に位置する第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域内に位置する第1導電型のソース領域と、前記第1の炭化珪素半導体層上でかつ前記ボディ領域および前記ソース領域の少なくとも一部に接して形成された第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、前記ソース領域に接触するソース電極と、前記半導体基板の裏面に設けられたドレイン電極とを備え、前記第2の炭化珪素半導体層は、第1導電型不純物がドープされた少なくとも1つの不純物ドープ層を含み、前記第2の炭化珪素半導体層における不純物濃度の平均をN(cm-3)、厚さをd(nm)とすると、Nおよびdが、
1.3×d^a1.3≦N<b0×d^a0
0=1.349×1021
0=−1.824、
1.3=2.399×1020
1.3=−1.774
の関係を満足する。
好ましい実施形態において、さらに、
N≧b1×d^a1
1=2.188×1020
1=−1.683
の関係を満足する。
好ましい実施形態において、さらに、
N≧b0.6×d^a0.6
0.6=7.609×1020
0.6=−1.881
の関係を満足する。
好ましい実施形態において、dが5nm以上200nm以下である。
好ましい実施形態において、dが10nm以上100nm以下である。
好ましい実施形態において、dが20nm以上75nm以下である。
好ましい実施形態において、前記第2の炭化珪素半導体層は、前記第1の炭化珪素半導体層上にエピタキシャル成長した層である。
好ましい実施形態において、前記第2の炭化珪素半導体層は、前記第1の炭化珪素半導体層にイオン注入を行うことにより形成された層である。
本発明の電力変換器は、上記の何れかの半導体素子と、電源電圧の少なくとも一部を前記半導体素子のソース電極とドレイン電極との間に印加する第1配線と、前記半導体素子のスイッチングを制御するコントローラからの電圧を前記半導体素子のゲート電極に印加する第2配線とを備え、負荷に供給する電力を出力する。
好ましい実施形態において、電源と電気的に接続される端子をさらに備える。
好ましい実施形態において、誘導性負荷と電気的に接続される端子をさらに備える。
本発明の他の半導体装置は、金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを含む半導体素子と、前記半導体素子の電位を設定する電位設定部とを備える半導体装置であって、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の主面上に位置する第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、前記第1の炭化珪素半導体層上に位置する第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域上に位置する第1導電型のソース領域と、前記ボディ領域および前記ソース領域を貫通し、前記第1の炭化珪素半導体層に達する凹部と、前記凹部の側面を含み、前記ボディ領域および前記ソース領域の少なくとも一部に接して形成された第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、前記ソース領域に接触するソース電極と、前記半導体基板の裏面に設けられたドレイン電極とを備え、前記ソース電極の電位を基準とする前記ドレイン電極の電位をVds、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVgs、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタのゲート閾値電圧をVth、前記ドレイン電極から前記ソース電極へ流れる電流の向きを順方向、前記ソース電極から前記ドレイン電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義し、前記電位設定部は、トランジスタ動作ONモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsをゲート閾値電圧Vth以上に上昇させることにより、前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極と前記ソース電極との間を導通させ、トランジスタ動作OFFモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsを0ボルト以上ゲート閾値電圧Vth未満にすることにより、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを、前記ソース電極から前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能させる。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は前記ボディ領域と前記第1の炭化珪素半導体層とにより構成されるボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さい。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値と前記ボディダイオードの立ち上がり電圧との差が、0.7ボルト以上である。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.3ボルト未満である。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.0ボルト未満である。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において0.6ボルト未満である。
本発明の更に他の半導体素子は、金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを含む半導体素子であって、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の主面上に位置する第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、前記第1の炭化珪素半導体層上に位置する第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域上に位置する第1導電型のソース領域と、前記ボディ領域および前記ソース領域を貫通し、前記第1の炭化珪素半導体層に達する凹部と、前記凹部の側面を含み、前記ボディ領域および前記ソース領域の少なくとも一部に接して形成された第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、前記ソース領域に接触するソース電極と、前記半導体基板の裏面に設けられたドレイン電極とを備え、前記ソース電極の電位を基準とする前記ドレイン電極の電位をVds、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVgs、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタのゲート閾値電圧をVth、前記ドレイン電極から前記ソース電極へ流れる電流の向きを順方向、前記ソース電極から前記ドレイン電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義すると、Vgs≧Vthの場合、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極と前記ソース電極との間を導通し、0ボルト≦Vgs<Vthの場合、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、前記順方向に電流を流さず、Vds<0ボルトのとき、前記ソース電極から前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能し、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、前記ボディ領域と前記第1の炭化珪素半導体層とにより構成されるボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さい。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値と前記ボディダイオードの立ち上がり電圧との差が、0.7ボルト以上である。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.3ボルト未満である。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.0ボルト未満である。
好ましい実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において0.6ボルト未満である。
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、およびチャネル領域を有するトランジスタを含む半導体素子と、前記半導体素子の電位を設定する電位設定部とを備え、前記ソース電極の電位を基準とする前記ドレイン電極の電位をVds、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVgs、前記トランジスタのゲート閾値電圧をVth、前記ドレイン電極から前記ソース電極へ流れる電流の向きを順方向、前記ソース電極から前記ドレイン電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義し、前記電位設定部は、トランジスタ動作ONモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsをゲート閾値電圧Vth以上に上昇させることにより、前記チャネル領域を介して前記ドレイン電極と前記ソース電極との間を導通させ、トランジスタ動作OFFモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsを0ボルト以上ゲート閾値電圧Vth未満にすることにより、前記トランジスタを、前記ソース電極から前記チャネル領域を介して前記ドレイン電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能させる半導体装置に用いられる。
本発明の更に他の半導体素子は、金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを含む半導体素子であって、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の主面上に位置する第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、前記第1の炭化珪素半導体層上に位置する第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域上に位置する第1導電型のソース領域と、前記ボディ領域および前記ソース領域を貫通し、前記第1の炭化珪素半導体層に達する凹部と、前記凹部の側面を含み、前記ボディ領域および前記ソース領域の少なくとも一部に接して形成された第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、前記ソース領域に接触するソース電極と、前記半導体基板の裏面に設けられたドレイン電極とを備え、前記第2の炭化珪素半導体層は、第1導電型不純物がドープされた少なくとも1つの不純物ドープ層を含み、前記第2の炭化珪素半導体層における不純物濃度の平均をN(cm-3)、厚さをd(nm)とすると、Nおよびdが、
1.3×d^a1.3≦N<b0×d^a0
0=1.349×1021
0=−1.824
1.3=2.399×1020
1.3=−1.774
の関係を満足する。
好ましい実施形態において、さらに、
N≧b1×d^a1
1=2.188×1020
1=−1.683
の関係を満足する。
好ましい実施形態において、さらに、
N≧b0.6×d^a0.6
0.6=7.609×1020
0.6=−1.881
の関係を満足する。
好ましい実施形態において、dが5nm以上200nm以下である。
好ましい実施形態において、dが10nm以上100nm以下である。
好ましい実施形態において、dが20nm以上75nm以下である。
好ましい実施形態において、前記第2の炭化珪素半導体層は、エピタキシャル成長により形成された層である。
好ましい実施形態において、前記第2の炭化珪素半導体層は、イオン注入により形成された層である。
本発明の他の電力変換器は、上記の何れかの半導体素子と、電源電圧の少なくとも一部を前記半導体素子のソース電極とドレイン電極との間に印加する第1配線と、前記半導体素子のスイッチングを制御するコントローラからの電圧を前記半導体素子のゲート電極に印加する第2配線とを備え、負荷に供給する電力を出力する。
好ましい実施形態において、電源と電気的に接続される端子をさらに備える。
好ましい実施形態において、誘導性負荷と電気的に接続される端子をさらに備える。
本発明によれば、ダイオード電流をpn接合からなるボディダイオードではなく、チャネルに流すので、立ち上がり電圧がボディダイオードよりも低く、導通損失を低減できる。特に、炭化珪素半導体のようなワイドバンドギャップ半導体では、ボディダイオードの立ち上がり電圧が高くなるので、より効果的である。また、チャネルに電流が流れるダイオードの室温(25℃)における立ち上がり電圧をできるだけ小さくすることにより、炭化珪素半導体のpn接合に直接印加される電圧をボディダイオードの立ち上がり電圧(2.7V)未満に保つことができ、炭化珪素半導体のpn接合に順方向電流を流すことによる結晶欠陥増加の問題を回避することができる。さらには、バイポーラ動作でなく、ユニポーラ動作となるので、逆回復電流が軽減され、逆回復電流損失の低減、スイッチング損失の低減、スイッチングの高速化が可能となる。また、本素子を使用することにより、電力変換回路の還流ダイオード素子が不要となり、部品点数を低減することが可能となる。言い換えれば、本発明によれば、素子の電極に印加する電圧に応じて、1つの素子をMISFETとして動作させたり、ダイオードとして動作させたりすることができる。その結果、回路コストの低減が可能となる。
典型的なインバータ回路1000の構成を示す回路図 (a)は半導体素子(SiC−MISFET)1100の断面図、(b)は半導体素子(SiC−IGBT)1110の断面図 pn接合ダイオードの逆回復電流について説明するためのグラフ SiCボディダイオードの立ち上がり電圧を説明するためのグラフ (a)は、本発明の実施形態に係る半導体素子100の構成を模式的に示す断面図、(b)は半導体素子100の回路略号 (a)は、チャネル領域55とゲート絶縁膜60との界面におけるコンダクションバンドエネルギー分布を説明するための断面図、(b)および(c)は、それぞれ、順方向および逆方向の場合におけるチャネル横方向のコンダクションバンドエネルギー分布を示すグラフ 半導体素子100のI−V特性を示すグラフ Siを用いたMOSFET(比較例)のI−V特性を示すグラフ (a)および(b)は、順方向のVthと逆方向のVf0との相関図 チャネルエピ層50の厚さや不純物濃度を変化させた場合において、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)が所定範囲になる領域を示すグラフ チャネルエピ層50の厚さや不純物濃度を変化させた場合において、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)が所定範囲になる領域を示すグラフ チャネルエピ層50の厚さや不純物濃度を変化させた場合において、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)が所定範囲になる領域を示すグラフ チャネルエピ層50の厚さや不純物濃度を変化させた場合において、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)が所定範囲になる領域を示すグラフ 本発明の実施形態に係る半導体素子100を用いた電力変換回路200の構成を示す回路図 シミュレーションで使用した、チャネルエピ層50がない半導体素子の構造を示す断面図 (a)および(b)は、それぞれ、リニアな目盛および対数目盛(片対数)で表した逆方向電流のId−Vd特性のグラフ (a)および(b)は、逆方向特性におけるチャネル横方向コンダクションバンドエネルギー分布を示すグラフ (a)および(b)は、順方向特性におけるチャネル横方向コンダクションバンドエネルギー分布を示すグラフ チャネル界面コンダクションバンドエネルギーのVgs依存性を示すグラフ 図1に示したインバータ回路の3相インバータの1相分を取り出した回路図 (a)から(e)は、図17に示した回路の動作波形を示す図(タイミングチャート) 昇降圧コンバータ210を示す回路図 昇圧コンバータ220を示す回路図 本実施形態に係る半導体素子100の構成を模式的に示す断面図 (a)から(c)は、半導体素子100の製造方法を説明するための工程断面図 (a)から(c)は、半導体素子100の製造方法を説明するための工程断面図 (a)から(c)は、半導体素子100の製造方法を説明するための工程断面図 (a)から(c)は、半導体素子100の製造方法を説明するための工程断面図 本実施形態に係る半導体素子100の他の構成を模式的に示す断面図 (a)から(c)は、半導体素子100’の製造方法を説明するための工程断面図 (a)から(c)は、半導体素子100’の製造方法を説明するための工程断面図 (a)および(b)は、半導体素子100’の製造方法を説明するための工程断面図 (a)および(b)は、半導体素子100’の製造方法を説明するための工程断面図 Si−MOSFETの等価回路 Si−MOSFETと還流ダイオードの組み合わせの等価回路 Si−MOSFETとSiC−SBDの組み合わせの等価回路 Si−IGBTと還流ダイオードの組み合わせの等価回路 半導体素子100の改変例を示す構成を模式的に示す断面図 チャネルエピ層50の厚さや不純物濃度を変化させた場合の順方向のVthと逆方向のVf0との相関図
本発明の半導体装置は、MISFETを含む半導体素子と、この半導体素子の電位を設定する電位設定部を備えている。この半導体素子は、チャネル領域として機能する炭化珪素半導体層を有し、基板の主面側にゲート電極およびソース電極を有し、基板の裏面側にドレイン電極を有するMISFETを含んでいる。上記電位設定部は、ソース電極の電位を基準としてゼロ以上であってトランジスタの閾値電圧Vth未満の電位をゲート電極に付与することにより、上記MISFETを、ソース電極からチャネル領域を介してドレイン電極に電流を流すダイオードとして動作させる。
また、本発明の半導体素子は、チャネル領域として機能する炭化珪素半導体層を有し、基板の主面側にゲート電極およびソース電極を有し、基板の裏面側にドレイン電極を有するMISFETを含んでいる。このMISFETは、ソース電極の電位を基準とするゲート電極の電位がゼロ以上であってトランジスタの閾値電圧Vth未満の場合に、ソース電極からチャネル領域を介してドレイン電極に電流を流すダイオードとして動作する。
以下、図面を参照しながら、本発明による半導体素子の実施の形態を説明する。本発明は以下の実施形態に限定されない。
図5(a)および(b)を参照しながら、本発明の実施形態に係る半導体素子100について説明する。図5(a)は、本実施形態の半導体素子100の構成を模式的に示す断面図である。なお、図5(b)は、本実施形態の半導体素子100の回路略号を表している。図5(b)に記されているダイオード記号は、半導体素子100のチャネル領域を介して電流を流すダイオードを意味する。Gはゲート電極、Sはソース電極、Dはドレイン電極を示す。
本明細書では、ソース電極Sの電位を基準とするドレイン電極Dの電位をVds、ソース電極Sの電位を基準とするゲート電極Gの電位をVgsとし、ドレイン電極Dからソース電極Sへ流れる電流の向きを「順方向」、ソース電極Sからドレイン電極Dへ流れる電流の向きを「逆方向」と定義する。なお、電位および電圧の単位は、いずれも、ボルト(V)である。
本実施形態の半導体素子100は、MISFETを含む半導体素子であり、所定条件下でMISFETのチャネル領域がダイオード特性を発揮する。
図5(a)に示すように、本実施形態における半導体素子100は、第1導電型の炭化珪素半導体基板10と、基板10の表面10a上に形成された第1導電型の第1の炭化珪素半導体層20とを含んでいる。本実施形態の炭化珪素半導体基板10は、n+基板(n+SiC基板)であり、第1の炭化珪素半導体層20は、n-ドリフト層である。すなわち、本実施形態では、第1導電型がn型、第2導電型がp型である。n型とp型は相互に入れ替わっても良い。なお、「n+」又は「n-」の符号における上付き文字の「+」又は「−」の表記は、不純物の相対的な濃度を表している。「n+」は「n」よりもn型不純物濃度が高いことを意味し、「n-」は「n」よりもn型不純物濃度が低いことを意味している。
第1の炭化珪素半導体層20には、第2導電型のボディ領域(ウェル領域)30が形成されている。ボディ領域30内には、第1導電型のソース領域40が形成されている。本実施形態のボディ領域30はp型であり、ソース領域40はn+型である。
ボディ領域30にはp型のコンタクト領域32が形成されている。ソース領域40上にはソース電極45が形成されている。ソース電極45は、n+ソース領域40およびpコンタクト領域32の表面に形成され、n+ソース領域40およびpコンタクト領域32の両方と電気的に接触している。
第1の炭化珪素半導体層(n-ドリフト層)20の表面部のうち、ボディ領域30に挟まれた領域22は、JFET(Junction Field−Effect Transistor)領域として機能する。
第1の炭化珪素半導体層20上には、第2の炭化珪素半導体層50がpボディ領域30およびn+ソース領域40の少なくとも一部に接して形成されている。本実施形態における第2の炭化珪素半導体層50は、pボディ領域30およびn+ソース領域40が形成されたn-ドリフト層20の上に、エピタキシャル成長によって形成されている。第2の炭化珪素半導体層50は、pボディ領域30の上方に位置する箇所にチャネル領域55を含んでいる。ここでは、この第2の炭化珪素半導体層50を「チャネルエピ層」と称することにする。チャネル領域55の長さ(チャネル長)は、図5(a)に示されている2つの双方向矢印で示される長さに相当する。すなわち、MISFETの「チャネル長」は、図面上における、pボディ領域30の上面(チャネルエピ層50と接する表面)の水平方向サイズで規定される。
チャネルエピ層50の上にはゲート絶縁膜60が形成されている。ゲート絶縁膜60の上にはゲート電極65が形成されている。基板10の裏面10bには、ドレイン電極70が形成されている。
半導体素子100のMISFETの閾値電圧(順方向電流の閾値電圧)をVthとする。MISFETは、Vgs≧Vthの場合(トランジスタ動作ONモード)、チャネルエピ層50を介してドレイン電極70とソース電極45との間を導通する(Vds>0Vの場合には、ドレイン電極70からソース電極45へオン電流が流れる)が、Vgs<Vthの場合、トランジスタとしてはオフ状態になる。
しかし、このMISFETは、トランジスタ動作OFFモードにおいて、0V≦Vgs<Vthの場合であっても、Vds<0Vのときは、チャネルエピ層50を介してソース電極45からドレイン電極70に電流を流すダイオードとして機能する。以降、本明細書において、チャネル層を介してソース電極からドレイン電極に電流を流すダイオードを、「チャネルダイオード」と記載することがある。本明細書では、ドレイン電極70からソース電極45への向きを「順方向」、ソース電極45からドレイン電極70への向きを「逆方向」と定義しているため、このダイオードが電流を流す方向は、「逆方向」である。
MISFETのチャネル領域を電流経路とする、このダイオード(チャネルダイオード)は、Vds>Vf0(Vf0は負の値)の場合に1mA以上の電流を流さず、Vds≦Vf0の場合に1mA以上の電流を流す特性を有している。言い換えると、このダイオードを流れる電流は、Vds>Vf0(Vf0は負の値)のとき、ほとんどゼロ(1mA未満)であるが、Vdsをゼロから徐々に小さくしていく(Vdsの絶対値を増加させていく)と、VdsがVf0に達したとき、1mAの電流を流し始め、更にVdsの絶対値を増加させていくと、電流が更に増加していくことになる。この意味で、Vf0は、ダイオードの電流−電圧特性における「立ち上がり電圧」に相当する。
本願明細書では、ダイオードの電流−電圧特性における「立ち上がり電圧」を、MISFETがオンの状態(定格電流が流れるようにVgsがVthよりも十分に大きく、かつVdsが1V)のときにMISFETに流れる電流が1A以上である半導体素子(電流容量の大きい半導体素子)と、1Aより小さい半導体素子(電流容量の小さい半導体素子)とに分けて定義する。
前者の半導体素子(電流容量の大きい半導体素子)の場合、ダイオードにとって順方向となる電圧がダイオードに印加され、ダイオードを流れる電流の絶対値が1mA以上となるとき、ダイオード電流が立ち上がったと定義する。そして、ダイオードを流れる電流の絶対値が1mAとなるときにダイオードに印加されている電圧(Vf0)を「立ち上がり電圧」と定義する。一方、後者の半導体素子(電流容量の小さい半導体素子)の場合は、ダイオードを流れる電流が、MISFETがオンの状態であってVdsが1VのときにMISFETに流れる電流の1千分の1の電流値となるときにダイオードに印加されている電圧(Vf0)を「立ち上がり電圧」と定義する。
本発明では、電位設定部により、半導体素子100のゲート電極に所定の電位が付与される。こうして、VgsをVth以上に上昇させることにより、チャネルエピ層50を介してドレイン電極70とソース電極45との間を導通させるステップが実行される。また、電位設定部により、Vgsを0ボルト以上ゲート閾値電圧Vth未満にすることにより、MISFETを、ソース電極45からチャネルエピ層50を介してドレイン電極70へ逆方向に電流を流す「ダイオード」として機能させるステップが実行される。
本発明では、後述する理由により、Vf0の絶対値(ダイオードの立ち上がり電圧)を2.7ボルトよりも小さく設定している。
本実施形態の半導体素子100は、上述の構成を有しているがゆえに、半導体素子100がダイオードとして機能する際のダイオード電流90は、チャネルエピ層50を通って、ソース電極45からドレイン電極70へと流れる。ダイオード電流90の経路は、寄生のボディダイオード(ボディ領域30と半導体層20とのpn接合)を流れる電流92の経路とは全く異なる。
本実施形態の半導体素子100によれば、ダイオード電流をpn接合であるボディダイオードでなく、チャネル領域を介して流すので、ダイオードの立ち上がり電圧をボディダイオードの立ち上がり電圧よりも低くすることが可能となり、導通損失を低減できる。
pn接合ダイオードの立ち上がり電圧は半導体材料のバンドギャップの大きさに依存する。炭化珪素半導体のようなワイドバンドギャップ半導体では、ボディダイオードの立ち上がり電圧が特に高く、本発明における立ち上がり電圧の低減はより効果的である。
本実施形態の半導体素子100では、チャネルエピ層50を介してダイオード電流90を流すので、炭化珪素半導体のpn接合に順方向電流を流すことによる結晶欠陥増加の問題を回避することができる。チャネルエピ層を介して電流を流すダイオードの動作は、pn接合を介した正孔、電子によるバイポーラ動作でなく、ユニポーラ動作となるので、逆回復電流が軽減される。このため、逆回復電流損失の低減、スイッチング損失の低減、スイッチングの高速化が可能となる。
スイッチング損失が低減すると、スイッチング周波数を上げることが可能になる。その結果、受動部品であるキャパシターのキャパシタンスの値および受動部品であるリアクトルのインダクタンスの値を小さくすることができるため、キャパシターとリアクトルの小型化とコストの低減が可能になる。また、部品点数が低減できることにより、回路の寄生インダクタンス、寄生リアクタンス、寄生抵抗の低減ができ、その結果、損失の低減が可能になり、また、ノイズの低減ができるためノイズフィルタを構成するキャパシターとリアクトルの小型化とコストの低減も可能になる。
加えて、本実施形態の半導体素子100を用いた場合、インバータ回路1000の還流ダイオード素子1200が不要となるので、部品点数を低減することが可能となり、その結果、回路コストの大幅な低減が可能となる。
次に、図6を参照しながら、さらに、本実施形態の半導体素子100の動作について説明する。
図6は、チャネルエピ層50とゲート絶縁膜60との界面におけるコンダクションバンドエネルギー分布を説明するための図である。図6(a)は、コンダクションバンドエネルギー分布を計算するための構造モデルであり、図6(a)中のA−A’ラインが、図6(b)および(c)の横軸[μm]に相当する。図6(b)および(c)は、それぞれ、順方向および逆方向の場合におけるチャネル横方向のコンダクションバンドエネルギー分布を示している。なお、図6(b)および(c)の縦軸は、コンダクションバンドエネルギー[eV]を表している。
まず、順方向、すなわち、Vdsが0Vより大きい場合について説明する。図6(b)に示すように、順方向の場合、チャネルエピ層50のうち、pボディ領域(またはpウェル)30と接する領域のコンダクションバンドエネルギー(すなわち、チャネル領域55のコンダクションバンドエネルギー)が、チャネルエピ層50のうち、ソース領域40上およびJFET領域(ドレイン領域)22上の領域のコンダクションバンドエネルギーよりも高いため、キャリアが流れない。
次いで、Vgsを0Vよりも正の方向に上げていくと、チャネル領域55のコンダクションバンドエネルギーが下がり、チャネルエピ層50のうち、ソース領域40上の領域とチャネル領域55との間の障壁がなくなる。したがって、ソース領域40からチャネル領域55へキャリアが流れ込む。
次に、逆方向、すなわち、Vdsが0V以下の場合について説明する。Vdsが0Vの状態からスタートして、Vdsを0Vから下げていくと、図6(c)に示すように、チャネルエピ層50のうち、JFET領域(ドレイン領域)22上の領域のコンダクションバンドエネルギーが上がっていき、チャネル領域55との障壁が低くなる。したがって、JFET領域(ドレイン領域)22上の領域からキャリア(電子)が流れ込む。
すなわち、逆電流は、ボディダイオードを流れるよりも前に、チャネルエピ層50(又はチャネル領域55)に流れ始める。チャネルエピ層50を流れるので、MISFET(またはMOSFET)の順方向電流と同じく、ユニポーラ動作である。したがって、逆回復電流も生じず、それゆえに、リカバリー損失を発生しない。また、ワイドバンドギャップ半導体であるSiCのpn接合の拡散電位に起因する立ち上がり電圧よりも低い立ち上がり電圧を持たせることができる。
要約すると、本実施形態の半導体素子100においては、図6(b)に示すように、順方向ではゲート電圧の印加によってチャネル領域55のコンダクションバンドエネルギーが低下して電流が流れる。一方、逆方向では、図6(c)に示すように、ドレイン側のコンダクションバンドエネルギーが上昇することによって、チャネル・ドレイン間に存在するエネルギー障壁が低くなり、電流が流れる。
次に、図7を参照しながら、半導体素子100の特性について説明する。図7は、本願発明者が試作した半導体素子100の室温におけるI−V特性を示している。試作した半導体素子100は、MISFETの一種であるSiCを用いたDMOSFET(Double Implanted MOSFET)であり、図5に示した構造と同じ構造を有している。図7のグラフの横軸はVdsであり、縦軸はドレイン電極からソース電極へ「順方向」に流れる電流の値である。電流がソース電極からドレイン電極へ「逆方向」に流れるとき、その電流は負の値を有しているものとする。
順方向(Vds>0V)のI−V特性は、Vgs=0V、5V、10V、15V、20Vの場合に測定されたカーブである。逆方向(Vds≦0V)のI−V特性は、Vgs=0Vの場合に測定されたカーブである。
図7からわかるように、半導体素子100では、逆方向電流の立ち上がり電圧(Vf0の絶対値)が、SiCのpn拡散電位である2.7Vよりも小さい値(1V付近)である。逆方向電流の立ち上がり電圧(Vf0の絶対値)がボディダイオードの立ち上がり電圧よりも低いことから、ダイオード電流が、pn接合であるボディダイオードでなく、MISFETのチャネル領域を介して流れていることがわかる。その結果、半導体素子100を用いることにより導通損失を低減できる。pn接合ダイオードの立ち上がり電圧は半導体材料のバンドギャップの大きさに依存するので、炭化珪素半導体のようなワイドバンドギャップ半導体では、ボディダイオードの立ち上がり電圧が特に高く、本発明における立ち上がり電圧の低減はより効果的である。
図8は、比較例として、Siを用いたMOSFETの室温におけるI−V特性を示している。この比較例の場合、逆方向電流の閾値Vf0の絶対値は0.6Vである。このときの逆方向電流は、ボディダイオードを流れており、逆方向電流の立ち上がり電圧はボディダイオードのpn接合の立ち上がり電圧である。比較例の場合、SiはSiCに比べ絶縁破壊電界が低いので、SiCと同じ耐圧を有するためには、少なくともドリフト層の膜厚を大きくし、ドリフト層の不純物濃度を小さくする必要がある。これにより、Si−MISFETは同じ耐圧を持つSiC−MISFETに比べ導通損失が高くなる。また、Siはバンドギャップが1.1eVと低いので、150℃程度でpn接合のリーク電流が増大する。したがってSi−MISFETを用いる場合は動作温度が限定される。
図9は、順方向電流の閾値電圧Vthと、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0との相関図を示している。図9(a)は、試作品の実測値データに基づいた相関図である。このグラフでは、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0として、電流Idが2mAに達したときの電圧を採用した。ボディ領域の不純物濃度およびゲート絶縁膜の厚さは条件を固定している。図9(b)は、MOSFET素子の幾つかのパラメータ(例えば、チャネルエピ層50の厚さ又は濃度など)を変更した構造についてのシミュレーション結果に基づいた相関図である。
図9(a)から理解できるように、Vthが低いほど、|Vf0|も小さくなることがわかる。この傾向は、図9(b)についても同様である。ここで、本実施形態の半導体素子100において|Vf0|は小さいことが望ましいが、順方向電流の閾値電圧Vthは2V以上あることが好ましい。その理由は次の通りである。
図1に示したようなパワー回路であるインバータ回路1000において一般的に使用する半導体素子(MISFET)1100は、ノーマリーオフ(Vth>0V)であることが好ましい。なぜならば、何らかの要因でゲート制御回路が故障し、ゲート電圧が0Vになってしまっても、ドレイン電流を遮断することができるので、安全だからである。また、MISFETの閾値電圧は高温になると低下する。例えば、SiC−MOSFETの場合、100℃の温度上昇で約1V低下する場合がある。ここで、ノイズでゲートがオンになってしまわないようにノイズマージンを1Vとすれば、室温でのVthは2V(1V+1V)以上に設定することが好ましい。
したがって、順方向電流の閾値電圧Vthはある程度高く、しかも、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)はできるだけ低くという、相反する要求を満たすことが求められる。
本願発明者は、そのように相反する要求を満たすことができるかどうか鋭意検討した。種々の検討の結果、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)は、チャネル層の不純物濃度および厚さにより調節することができることを見出した。また、チャネル層を備えていない反転型のMISFETとは異なり、本発明の半導体素子におけるMISFETは、チャネル層を備えていることから、チャネル層の不純物濃度および厚さに加えて、pボディ領域の不純物濃度やゲート絶縁膜の膜厚を適切に選択することにより、順方向電流の閾値電圧Vthと逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)とをそれぞれ独立に制御することができることを見出した。
図36は、本発明の半導体素子における、順方向電流の閾値電圧Vthと逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)との相関を示す図である。図36において、横軸は順方向電流の閾値電圧Vth、縦軸は逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)を示す。本図を得るために実施したシミュレーションにおいて、p型ボディ領域(ウェル領域)の濃度は1×1019cm-3、ゲート絶縁膜の厚さは70nmで固定している。他のパラメータの範囲は以下の通りである。
・チャネルエピ層の厚さ:20〜70nm
・チャネルエピ層の濃度:1×1017〜4×1018cm-3
図36から、例えば、チャネルエピ層の厚さを薄くし、かつチャネルエピ層の不純物濃度を高くすることにより、|Vf0|を一定にしながら、Vthを大きくすることが可能であることがわかる。したがって、チャネルエピ層の不純物濃度と厚さを適度に設定することにより、Vthと|Vf0|とをそれぞれ独立に制御することが可能である。
例えばVth=5V、|Vf0|=1Vに制御する場合のチャネルエピ層の厚さと不純物濃度の設定方法を、この図を用いて説明する。
まず、Vth=5Vと、|Vf0|=1Vとの交点を通る相関直線に対応するチャネルエピ層の厚さを読み取る。図36では約40nmと読み取ることができる。したがって、チャネルエピ層の厚さを40nmに設定する。次に上記のチャネルエピ層の厚さにおいて、Vth=5Vとなる不純物濃度を設定すればよい。ここでは、データが存在する2点の濃度、すなわち7×1017cm-3と1×1018cm-3の中間をとって、約8.5×1017cm-3に設定すればよい。
このように、本発明にかかる半導体素子において、第2の炭化珪素半導体層(チャネルエピ層)の厚さと不純物濃度を調整することにより、チャネルを介したダイオードの立ち上がり電圧の絶対値が、ボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さくなるように設定することができる。
図10A〜10Dは、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)が所定範囲の値となるために、チャネルエピ層50の厚さd(nm)および不純物(ドナー)濃度N(cm-3)が取る必要のある条件の領域を示すグラフである。グラフの縦軸はチャネルエピ層の不純物濃度[cm-3]、横軸はチャネルエピ層の厚さ[nm]を示している。縦軸の例えば「1E+20」の標記は、1×1020を意味している。図中の点はシミュレーションで得た値をプロットしたものである。本図を得るために実施したシミュレーションにおけるパラメータの範囲は以下の通りである。
・ゲート絶縁膜の厚さ:60〜120nm
・p型ボディ領域(ウェル領域)の濃度:2×1018〜2×1019cm-3
・チャネルエピ層の厚さ:10〜70nm
・チャネルエピ層の濃度:1×1017〜1.5×1019cm-3
なお、いずれの場合も、順方向電流の閾値電圧Vthが0V以上、すなわちMISFETがノーマリオフとなるように調整されている。
図10Aから図10Dにおいて、(i)〜(v)はそれぞれ境界領域を示す直線である。これらの直線を式で表すと、以下の通りである。
直線(i)に対応する式:
N=b0×d^a0
0=1.349×1021
0=−1.824
直線(ii)に対応する式:
N=b0.6×d^a0.6
0.6=7.609×1020
0.6=−1.881、
直線(iii)に対応する式:N=b1×d^a1
1=2.188×1020
1=−1.683、
直線(iv)に対応する式:
N=b1.3×d^a1.3
1.3=2.399×1020
1.3=−1.774、
直線(v)に対応する式:
N=b2×d^a2
2=5.754×1020
2=−2.380
である。
ここで、^は冪乗を示し、A^Bは、ABを意味する。
例えば、0<|Vf0|≦2.0Vを満たすために必要な条件は、チャネルエピ層50の厚さd(nm)および不純物濃度N(cm-3)が直線(i)と直線(v)で挟まれた領域にあること、すなわち、b2×d^a2≦N<b0×d^a0を満足することである(図10A参照)。
0<|Vf0|≦1.3Vを満たすために必要な条件は、チャネルエピ層50の厚さd(nm)および不純物濃度N(cm-3)が直線(i)と直線(iv)で挟まれた領域にあること、すなわち、b1.3×d^a1.3≦N<b0×d^a0を満足することである(図10B参照)。
0<|Vf0|≦1.0Vを満たすために必要な条件は、チャネルエピ層50の厚さd(nm)および不純物濃度N(cm-3)が直線(i)と直線(iii)で挟まれた領域にあること、すなわち、b1×d^a1≦N<b0×d^a0を満足することである(図10C参照)。
0<|Vf0|≦0.6Vを満たすために必要な条件は、チャネルエピ層50の厚さd(nm)および不純物濃度N(cm-3)が直線(i)と直線(ii)で挟まれた領域にあること、すなわち、b0.6×d^a0.6≦N<b0×d^a0を満足することである(図10D参照)。
なお、シミュレーションのパラメータ範囲内でグラフを作成したが、シミュレーションのパラメータ範囲外の点であっても、Nとdが上記の各領域に対応する数式で示された範囲内であれば、それぞれ、0<|Vf0|≦2.0V、0<|Vf0|≦1.3V、0<|Vf0|≦1.0V、0<|Vf0|≦0.6Vを満たすと考えられる。
例えば、0<|Vf0|≦0.6Vの特性を実現したい場合、直線(i)と直線(ii)で挟まれた領域における、チャネルエピ層50の厚さdおよび不純物濃度Nを選択する。例えば、チャネルエピ層50の不純物濃度と膜厚を、それぞれ、4×1018cm-3、20nmと設定する。ここで、さらに所望のVth(ここでは2V以上8V以下)が得られるように、pボディ領域30の濃度、および、ゲート絶縁膜60の膜厚を選択する。pボディ領域30の不純物(アクセプタ)濃度を例えば1×1019cm-3、および、ゲート絶縁膜60の膜厚を例えば70nmに設定することにより、|Vf0|=約0.5Vとすることが可能となり、Vthも約3.8Vという値が得られる。
pボディ領域30の濃度やゲート絶縁膜60の厚さは、要求されるデバイス性能や、製造プロセス上の制約を考慮した上で、適宜選択すればよい。
チャネルエピ層の厚さdは5nm以上であることが好ましい。チャネルエピ層の厚さdを5nm以上にすると、成膜や加工プロセスのばらつきが生じても、チャネルエピ層が一部消失してしまうことがないためである。
チャネルエピ層の厚さdは10nm以上であることがさらに好ましい。チャネルエピ層の厚さdを10nm以上にすると、チャネルエピ層の膜厚の均一性が向上する。
チャネルエピ層の厚さdは20nm以上であることがさらに好ましい。チャネルエピ層の厚さdを20nm以上にすると、チャネルエピ層の膜厚の均一性がさらに向上し、チャネルエピ層成膜安定性が向上する。
また、チャネルエピ層の厚さdは200nm以下であることが好ましい。チャネルエピ層の厚さdが200nm以下であると、ソース電極を形成するためにチャネルエピ層をエッチングする工程において、エッチングに長時間を要することがないためである。
チャネルエピ層の厚さdは100nm以下であることがさらに好ましい。100nm以下であると、MISFETとして使用する場合の適度な閾値電圧Vthと、還流ダイオードの小さな立ち上がり電圧|Vf0|とを容易に両立することができる。
チャネルエピ層の厚さdは75nm以下であることがさらに好ましい。75nm以下であると、MISFETとして使用する場合の適度な閾値電圧Vthと、還流ダイオードの小さな立ち上がり電圧|Vf0|とをさらに容易に両立することができる。
室温におけるチャネルダイオードの立ち上がり電圧はできるだけ小さいことが好ましい。これにより、炭化珪素半導体のpn接合に直接印加される電圧をボディダイオードの立ち上がり電圧(2.7V)以下に保つことができ、炭化珪素半導体のpn接合に順方向電流を流すことによる結晶欠陥増加の問題を回避することができる。これについて、図5を用いて説明する。|Vf0|が例えば約0.6Vの場合、例えばソースに0V、ドレインに−0.6V以下の電位を与えるとダイオードとして機能する。この場合、電流はチャネル領域55を介して経路90で流れる。次に、ソースに0V、ドレインに−2.7Vの電位を与えた場合であっても、ダイオードの電流は経路92を通らず、経路90で流れる。この理由を以下に述べる。ソースに0V、ドレインに−2.7Vより大きい電位を与えた場合、まず経路90に対してダイオード電流が流れる。ここで、基板10およびドリフト層20が経路90に含まれている。ここで流れている電流をI、基板抵抗をRsub、ドリフト層20のうち、pウェル領域30より下の抵抗をRdとすると、pウェル領域30とドレイン間において、I×(Rsub+Rd)の分だけ電圧降下が起こる。このとき、pウェル領域30とドリフト層20の間にかかる電圧は、ソース−ドレイン間電圧からI×(Rsub+Rd)を差し引いた電圧となる。つまり、ソース−ドレイン間電圧として、本来ボディダイオードに電流が流れうる2.7Vの電圧を印加しても、ボディダイオードに並列する形でチャネルダイオードが存在しているため、ソースドレイン間の電圧を|Vds|、ボディダイオードのpn接合にかかる電圧をVpnとすると、
Vpn=|Vds|−I×(Rsub+Rd)
となる。経路90で示されるチャネルダイオードの|Vf0|が小さいほど、同じ|Vds|に対してIが大きくなるため、ボディダイオードのpn接合にかかる電圧Vpnは小さくなる。そのため、ボディダイオードのpn接合にかかる電圧Vpnが、本来ボディダイオードに電流が流れ始める2.7Vの電圧に到達しないので、ボディダイオードには電流が流れない。つまり、炭化珪素半導体のpn接合に順方向電流を流すことによる結晶欠陥増加の問題を回避することができる。
SiCはワイドギャップ半導体であるので、Siと比較して特に高温領域(300℃以上)の環境温度での使用が可能となる高温環境においてもボディダイオードに電流が流れないようにするために、室温における|Vf0|は1.3V以下であることが好ましい。
また、室温における|Vf0|は、1.0V未満であることが好ましく、0.6V未満であることが更に好ましい。室温における|Vf0|が1.0V未満であれば、SiC−SBD(逆方向電流の立ち上がり電圧:1.0V程度)を還流ダイオード素子として用いた場合よりも優れた動作が実現する。また、室温における|Vf0|が0.6V未満であると、Si−pinダイオード(逆方向電流の立ち上がり電圧:0.6V程度)を還流ダイオード素子として用いた場合よりも優れた動作が実現する。
図11は、本実施形態の半導体素子100を用いた電力変換回路(ここでは、インバータ回路)200、負荷500、電源2000及びコントローラを示している。本実施形態の半導体素子100は、還流ダイオード融合型のMISFETであるので、図1に示した還流ダイオード素子1200が不要となる。したがって、図1では、1つのインバータ回路1000において半導体素子1100が6個と還流ダイオード素子1200が6個の合計12個の素子が必要であったが、図11に示した本実施形態の半導体素子100を用いると合計6個の素子でインバータ回路200を構築することができる。コントローラが本発明における電位設定部に相当する。コントローラは、各半導体素子100のゲートに印加される電位を制御する。コントローラは、各半導体素子のゲートの電位を、例えば、Vgs>Vthと、Vgs=0Vとを切り替えるように制御する。
半導体素子100及びコントローラが、本発明の半導体装置に相当する。本発明の半導体装置は、電源2000と電気的に接続される端子を備える。また、本発明の半導体装置は、誘導性の負荷500と電気的に接続される端子を備える。
本実施形態のインバータ回路200では部品点数が半分になることにより、コストの大幅な低減を図ることができる。また、部品点数が少なくなることにより、インバータ回路1000と比較して、各素子の損失(接続損失など)を低減することができ、その結果、インバータ回路200の性能を向上させることができる。加えて、本実施形態の構成では、インバータ回路1000と比較して、部品点数が半分になることで、インバータ回路200を小型化・軽量化させることができ、あるいは、ノイズ低減を図ることが可能となる。
さらに、部品点数が少なくなることによって、寄生のC(容量)及び/または寄生のL(インダクタンス)を低減することができるので、その点でも、損失を低減でき、そして、電磁妨害(EMI:Electro Magnetic Interference)の問題(ノイズの問題)を緩和することができる。さらに、損失を低減できることから、インバータ回路200において発生熱量を減らすことができ、それゆえに、ヒートシンクを小型化でき、あるいは、冷却化手段の対策を容易にすることが可能となる。そして、損失を低減できると、周波数を上げることができ、例えば周波数を2倍にすることができれば、それにより、使用するコンダクタ素子(C)、インダクタ素子(L)の体積を1/2にすることが可能となり、その結果、使用する素子の小型化・軽量化と、コスト低減を図ることができる。
なお、本実施形態ではインバータ回路を例にして説明したが、本実施形態の半導体素子100は、広く電力変換器(例えば、インバータ、コンバータ、マトリックスコンバータ等)に用いることができる。また、半導体素子100が使用できる用途であれば、電力変換回路に限らず、他の回路(例えば、ロジックなどのデジタル回路等)に用いることができる。電源は、直流電源に限定されず、交流電源でもよい。回路の用途によって、適宜選択することができる。
次に、図12から図16を参照しながら、本実施形態の半導体素子100の説明をさらに続ける。
本願発明者は、チャネルエピ層50がある場合とない場合との特性の差異をシミュレーション解析により検討した。
図12は、シミュレーションで使用した、チャネルエピ層50がない半導体素子(反転型MISFET)の構造を示す断面図である。
図13は、シミュレーションで解析した逆方向電流のId−Vds特性(Id;ドレイン電流、Vds;ドレイン電圧)を示している。ここで、Vgsは0Vである。図13(a)は、リニアな目盛で表しており、図13(b)は、対数目盛(片対数)で表している。また、曲線Iがチャネルエピ層ありの場合の結果で、曲線IIはチャネルエピ層なしの場合の結果である。
曲線Iおよび曲線IIについての半導体素子100も、共に、Vth=約3.5Vになるようにしている。共通条件としては、ゲート絶縁膜60の膜厚は70nm、チャネル長Lgは0.5μmである。また、JFET領域22の不純物濃度は、1×1017cm-3である。
図13から理解できるように、順方向電流の閾値電圧Vthがほぼ同じでも、逆方向電流は、チャネルエピ層がある場合(曲線I)の方が流れやすいことがわかる。したがって、本発明では、MISFETのチャネル領域をチャネル層内に形成する。
さらに、図14および図15を参照しながら説明を続ける。図14は、逆方向特性(逆方向電流が流れる時の特性)におけるチャネル横方向のEc分布を示すグラフである。なお、「Ec」は、「Conduction Band Energy」の略語である。図中のΦは、JFET領域側のEcとチャネル領域中の最大のEcの差であるエネルギー障壁を表す。図14(a)および図15(a)は、チャネルエピ層なしの場合の結果で、図14(b)および図15(b)は、チャネルエピ層ありの場合の結果である。チャネルエピあり・無しの半導体素子100の両者とも、Vth=約3.5Vで比較している。
逆方向に流れる電子はJFET領域側からチャネル領域のEcを飛び越えてソース領域上に流れる。図に示すように、Vdsを下げるとJFET側のEcは上昇し、エネルギー障壁Φが低下し、VdsがVf0以下になると、電子がエネルギー障壁Φを超えて流れるようになる。
図15は、順方向特性におけるチャネル横方向Ec分布を示すグラフである。図15に示すΦはソース領域上のEcとチャネル領域の最大のEcの差であるエネルギー障壁を表す。順方向に流れる電子は、ソース領域上からチャネル領域の最大のEcを飛び越えてJFET領域に流れる。図15に示すように、Vgsを上げるとチャネル領域のEcが低下し、エネルギー障壁Φが低下する。VgsがVth以上になると、電子がエネルギー障壁Φを超えて流れる。
図14(a)および(b)を比べると、Vthが同じであれば、チャネルエピ層なしの場合(図14(a))の方が、チャネルエピ層ありの場合(図14(b))よりも、エネルギー障壁φが高いことがわかる。したがって、チャネルエピ層ありの構成の半導体素子100の方が逆方向電流は流れやすい。
図16は、チャネル界面EcのVgs依存性を示すグラフである。図16中の曲線Iがチャネルエピ層ありの場合の結果で、曲線IIがチャネルエピ層なしの場合の結果である。図16から、曲線IのEcは曲線IIより低いので|Vf0|が低く、逆電流が流れやすいことが判る。
半導体素子100においては、Vthが同じでも、チャネルエピ層ありの方がVgs=0Vでのチャネル領域のコンダクションバンドエネルギーの障壁(φ)が低く、逆方向電流が流れやすい。
図11に示す本発明の電力変換器(インバータ回路200)は、例えば図17に示す従来の回路構成において、還流ダイオード素子と接続されたハイサイドMISFET HおよびローサイドMISFET Lを、本実施形態の半導体素子100で置き換えることによって実現される。本発明の電力変換器によれば、MISFETのボディダイオードに比べて、逆回復電流のピーク値(図18の98)を減らすことができる。その結果、スイッチング損失を大幅に低減でき、さらに、ノイズの発生を抑制することができる。本発明の電力変換器によれば、MISFETのpn接合ダイオード(ボディダイオード)を還流ダイオードとして用いる場合に比べて、閾値の絶対値|Vf0|が低く、それゆえ、導通損失を低減することができる。
なお、上述の実施形態では、電力変換器としてインバータ回路200を例示して説明したが、本実施形態の構成はそれに限定されない。図19は、本実施形態の半導体素子100を含む昇降圧コンバータ210の回路図である。コントローラが本発明における電位設定部に相当する。
この昇降圧コンバータ210は、半導体素子100から構成されているので、上述した効果を得ることができる。すなわち、ボディダイオードに比べて逆回復電流が低減できるので、スイッチング損失を大幅に低減でき、さらに、ノイズの発生を抑制することができる。そして、MISFETのボディダイオードに比べて、閾値の絶対値|Vf0|が低く、それゆえ、導通損失を低減することができる。なお、昇降圧コンバータ210におけるタイミングチャートは、図18に示したタイミングチャートのピーク電流98が低減されたものと同様または類似のものである。
加えて、図20は、本実施形態の半導体素子100を含む昇圧コンバータ220の回路図である。図19に示した構成における上アームの半導体素子100におけるゲートとソースがショートした構成となっている。詳述すると、コンバータ220は、上アームがダイオードであり、下アームがスイッチとなった昇圧コンバータである。コントローラが本発明における電位設定部に相当する。
次に、図21、および、図22から図25を参照しながら、本実施形態の半導体素子100の構造と製造方法を詳述する。
図21に示した半導体素子100は、縦型のDMISFETの構造を有しており、基本的に、図5に示した構成と同じである。「DMISFET」は、Double−implanted−MISFETの略である。
図5に示した構造と異なる点は、ゲート電極65の上に層間絶縁膜67が形成されており、そして、ソース電極45および層間絶縁膜67の上に、ソース配線(又はソースパッド)47が形成されている点である。なお、ドレイン電極70の裏面に、ダイボンド用の裏面電極72が形成されている点も異なる。ダイボンド用の裏面電極72は、例えば、Ti/Ni/Agの積層電極である。
続いて図21に示した半導体素子100の製造方法を説明する。まず、図22(a)に示すように、基板10を準備する。基板10は、例えば、低抵抗のn型4H−SiCオフカット基板である。
次に、図22(b)に示すように、基板10の上に高抵抗のドリフト領域20をエピタキシャル成長する。ドリフト領域20は、例えば、n型4H−SiCを用いる。次に、図22(c)に示すように、ドリフト領域20の上に、例えばSiO2からなるマスク81を形成し、例えばAlまたはBのイオン82をイオン注入する。
イオン注入後、マスク81を除去し、例えば1700℃程度の高温において不活性雰囲気中で活性化アニールを行うと、図23(a)に示すように、pウェル領域(ボディ領域)30が形成される。
続いて、図23(b)に示すように、マスク(不図示)を用いてpウェル領域30に、例えば窒素をイオン注入することによってソース領域40を形成し、例えばAlを注入することによってコンタクト領域32を形成する。イオン注入後に、マスクを除去して活性化アニールを行う。
なお、ここでは図23(a)で示した工程で活性化アニールを実施したが、図23(a)の工程では実施せず、図23(b)の工程における活性化アニールで兼用してもよい。
次に、図23(c)に示すように、pウェル領域30、ソース領域40およびコンタクト領域32を含むドリフト領域20の表面全体に、炭化珪素を用いてエピタキシャル層(チャネルエピ層)50を成長させる。本実施形態では、チャネルエピ層50の不純物濃度N(cm-3)および厚さd(nm)を、例えば以下の条件を満たす範囲に調整する。
1×d^a1≦N<b0×d^a0
0=1.349×1021
0=−1.824
1=2.188×1020
1=−1.683
次いで、図24(a)に示すように、チャネルエピ層50の所定部位をドライエッチングした後、例えば熱酸化によって、チャネルエピ層50の表面にゲート絶縁膜60を形成する。その後、図24(b)に示すように、ゲート絶縁膜60の表面に、リンを7×1020cm-3程度ドーピングした多結晶シリコン膜64を堆積する。多結晶シリコン膜64の厚さは、例えば、500nm程度である。
次に、図24(c)に示すように、マスク(不図示)を用いて、多結晶シリコン膜64をドライエッチングすることにより、所望の領域にゲート電極65を形成する。続いて、図25(a)に示すように、ゲート電極65の表面およびドリフト領域20の表面を覆うように、例えばSiO2を用いた層間絶縁膜67をCVD法によって堆積する。層間絶縁膜67の厚さは、例えば、1.5μmである。
次に、図25(b)に示すように、マスク(不図示)を用いて、ドライエッチングにより、コンタクト領域32の表面上と、ソース領域40の一部の表面上との層間絶縁膜67を除去することによって、ビアホール68が形成される。
その後、図25(c)に示すように、例えば厚さ50nm程度のニッケル膜を、層間絶縁膜67上に形成し、次いで、エッチングによって、ビアホール68の内部およびその周辺の一部を残して、ニッケル膜を除去する。エッチング後、不活性雰囲気内で例えば950℃、5分間の熱処理によって、ニッケルを炭化珪素表面と反応させることによって、ニッケルシリサイドで構成されるソース電極45を形成する。なお、基板10の裏面にも、例えばニッケルを全面に堆積させ、同様に熱処理によって炭化珪素と反応させて、ドレイン電極70を形成する。
続いて、層間絶縁膜67およびビアホール68の上に、厚さ4μm程度のアルミニウムを堆積し、所望のパターンにエッチングすると、図21に示したように、ソース配線(又はソースパッド)47が得られる。なお、図示しないが、チップ端にゲート電極と接触するゲート配線(またはゲートパッド)も他の領域に形成する。さらに、ドレイン電極70の裏面に、ダイボンド用の裏面電極72として、例えばTi/Ni/Agを堆積する。このようにして、図21に示した半導体素子100が得られる。
次に、図26、および、図27から図30を参照しながら、本実施形態の他の半導体素子100’の構造と製造方法を詳述する。
図26に示した半導体素子100’は、縦型トレンチMISFETの構造を有している。図26に示した半導体素子100’は、トレンチ(凹部)が形成された形態である点が、図5または図21に示した半導体素子100の構成と異なるが、図26に示した半導体素子100’の形態でも、上述した本実施形態の効果を得ることができる。
続いて図26に示した半導体素子100’の構造の説明も兼ねつつ、当該半導体素子100’の製造方法を説明する。
まず、図27(a)に示すように、基板10を準備する。基板10は、例えば、低抵抗のn型4H−SiCオフカット基板である。次に、図27(b)に示すように、基板10の上に、高抵抗のドリフト領域20をエピタキシャル成長する。ドリフト領域20は、例えば、n型4H−SiCを用いる。
次に、図27(c)に示すように、ドリフト領域20の表面の上に、例えば、厚さ0.5μm〜1μm程度のpベース層(ボディ領域)30をエピタキシャル成長させる。続いて、図28(a)に示すように、pベース層30の表面に、例えば窒素のイオン注入によって、あるいは、エピタキシャル成長によって、高濃度のn+ソース領域40を形成する。加えて、例えばAlのイオン注入によってn+ソース領域40の表面から、pベース層30に到達するp型のコンタクト領域32を形成する。ここで、活性化アニールは、例えば不活性雰囲気中で1700〜1800℃程度で30分程度実行する。
次に、図28(b)に示すように、マスク(不図示)を用いて、炭化珪素をドライエッチングすることによって、所望の領域にトレンチ69を形成する。トレンチ69は、n+ソース領域40およびpベース層30を貫通し、ドリフト領域20に到達する凹部である。
次に、図28(c)に示すように、トレンチ69の側面を含む領域上に、炭化珪素層(チャネルエピ層)50をエピタキシャル成長させる。本実施形態では、チャネルエピ層50の不純物濃度N(cm-3)および厚さd(nm)を、例えば以下の条件を満足する範囲に調整する。
1×d^a1≦N<b0×d^a0
0=1.349×1021
0=−1.824
1=2.188×1020
1=−1.683
チャネルエピ層50は、前述した通り、不純物濃度が厚さ方向に変化する構造を有していてもよい。
次いで、図29(a)に示すように、チャネルエピ層50をドライエッチングによって、所望のパターンに形成した後、例えば熱酸化によってゲート絶縁膜60を形成する。
続いて、図29(b)に示すように、ゲート絶縁膜60の表面に、例えばリンを7×1020cm-3程度ドーピングした厚さ500nm程度の多結晶シリコン膜を堆積し、次いで、所望のパターンにドライエッチングすることによって、ゲート電極65を形成する。
次に、図30(a)に示すように、ゲート電極65の表面に、層間絶縁膜67として、例えば厚さ1.5μmのSiO2を堆積し、次いで、ドライエッチングすることによって、コンタクト領域32の表面およびソース領域40の一部の表面にある層間絶縁膜67を除去する。このようにして、コンタクト領域32とソース領域40の一部とを露出させるビアホールを形成する。
その後、図30(b)に示すように、例えば厚さ50nm程度のニッケル膜を、層間絶縁膜67上に形成し、次いで、エッチングによって、ビアホールの内部およびその周辺の一部を残して、ニッケル膜を除去する。エッチング後、不活性雰囲気内で例えば950℃、5分間の熱処理によって、ニッケルを炭化珪素表面と反応させることによって、ニッケルシリサイドで構成されるソース電極45を形成する。なお、基板10の裏面にも、例えばニッケルを全面に堆積させ、同様に熱処理によって炭化珪素と反応させて、ドレイン電極70を形成する。
続いて、層間絶縁膜67およびビアホールの上に、例えば厚さ4μm程度のアルミニウムを堆積し、所望のパターンにエッチングすると、図26に示したように、ソース配線(又はソースパッド)47が得られる。なお、図示しないが、チップ端にゲート電極と接触するゲート配線(またはゲートパッド)も他の領域に形成する。さらに、ドレイン電極70の裏面に、ダイボンド用の裏面電極72として、例えばTi/Ni/Agを堆積する。このようにして、図26に示した半導体素子100’が得られる。
従来技術における半導体素子とダイオード素子の組み合わせを図31から図34に示し、本発明と比較し本発明の効果を説明する。
図31は、Si−MOSFETの単体の場合の等価回路である。Dはドレイン端子、Sはソース端子、Gはゲート端子である。Ifは順方向電流、Irは逆方向電流である。この回路では、還流電流が逆方向電流IrとしてSi−MOSFETの内部のボディダイオードを流れる。ボディダイオードはバイポーラ素子であるので、逆回復電流が流れるため、スイッチング損失が大きく、スイッチング時間も大きい。これに対し、本発明の半導体素子は、逆方向電流はユニポーラ動作をするチャネル層を流れるため、逆回復電流が非常に小さくなる。そのため、スイッチング損失は小さく、スイッチング時間も短いという効果がある。
図32は、Si−MOSFETと還流ダイオード素子の組み合わせの等価回路を示す。図32の還流ダイオード素子はSi−pinダイオードである。還流ダイオード素子がバイポーラ素子であるため、図31の回路と同様に、逆回復電流が流れる。このため、スイッチング損失が大きく、スイッチング時間も大きい。
これに対し、本発明の半導体素子によれば、前述したように、逆回復電流が非常に小さく、スイッチング時間も短い。また、図32で示す回路構成では、還流ダイオード素子を別の部品として用意し、Si−MOSFETと接続しているため、部品数が2個必要であるが、本発明では、そのような還流ダイオード素子は不要であるため、部品点数の低減が可能となる。
図33は、Si−MOSFETとSiC−SBDの組み合わせの等価回路である。図33の還流ダイオード素子はSiC−SBDである。Si−MOSFETのドレイン側に直列にチェナーダイオードが設置されている。チェナーダイオードは逆方向電流を還流ダイオードに流すために必要となる。Si−MOSFETにはpn接合のボディダイオードが内蔵されており、この|Vf0|は約0.6Vである。還流ダイオードの|Vf0|は約1Vである。
もしチェナーダイオードがないと、逆方向電流が流れるときに、Vf0の絶対値が低い方に電流が流れるため、還流ダイオードには流れずSi−MOSFETのボディダイオードを流れる。逆方向電流がSi−MOSFETのボディダイオードに流れることを防ぐためにチェナーダイオードが設置されている。
順方向電流が流れるときは、チェナーダイオードの導通損失が発生し、またスイッチング時にもチェナーダイオードのスイッチング損失が発生する。還流ダイオードは寄生キャパシタンスを持つので、寄生キャパシタンスに蓄積されるエネルギーはスイッチング時にスイッチング損失の増加を伴う。
これに対し、本発明の半導体素子によれば、Si−MOSFETとSiC−SBDの組み合わせで発生する、チェナーダイオードの導通損失とスイッチング損失および、還流ダイオードの寄生キャパシタンスによる損失は発生しない。このため、損失の低減が可能となる。また、図33の構成では、部品点数が3個であるが、本発明では1個でよいので、1/3の部品点数の低減が可能となる。
図34は、Si−IGBTと還流ダイオードの組み合わせの等価回路である。図34の還流ダイオードはSi−pinダイオードである。この組み合わせの場合は、半導体素子もダイオード素子もバイポーラ素子であるので、スイッチング時に半導体素子にテール電流が流れスイッチング損失が大きく、スイッチング時間は長い。また、ダイオードは逆回復電流が大きいため、スイッチング損失が大きく、スイッチング時間は長い。
これに対し、本発明の半導体素子によれば、スイッチング損失は小さく、スイッチング時間は短い。部品点数は、従来技術では2個、本発明では1個の構成であるので、部品点数の低減が可能である。
以上、本発明の半導体装置を使用すれば、還流ダイオードが不要になることを示したが、本発明の半導体装置に内蔵されるチャネル領域を流れるダイオードの電流容量より要求される負荷電流が大きい場合には、還流ダイオード素子を追加してもよい。この場合、負荷電流は、本発明の半導体装置と還流ダイオード素子の両方を流れるため、還流ダイオード素子の電流容量は、従来技術における還流ダイオード素子の電流容量より小さくしてもよい。このため、還流ダイオードのチップ面積の低減と、これによるコストの低減が可能になる。
以上、本発明を好適な実施形態について説明してきたが、こうした記述は発明に対する限定事項ではなく、勿論、上記の実施形態に対する種々の改変が可能である。
図35は図5の構成に対する改変例を示した断面図である。図35の例は、チャネルエピ層50の上面がn+ソース領域40、pコンタクト領域32の上面と同一面上に存在するという点で図5の構成と異なる。本改変例の半導体素子101は、例えば、ボディ領域30を形成した後にチャネルエピ層50を形成する工程、該当箇所にn+ソース領域40、pコンタクト領域32を形成する工程を順次実行することで実現できる。
なお、チャネルエピ層50の代わりに該当部分にn型の不純物を注入したイオン注入層を用いてもよい。すなわち、本発明において、ボディ領域およびソース領域の少なくとも一部に接して形成された「第2の炭化珪素半導体層」は、ドリフト層(第1の炭化珪素半導体層)上にエピタキシャル成長によって形成された層には限定されず、第1の炭化珪素半導体層の表面のうち不純物イオンが注入された領域であってもよい。例えば、図23(b)の工程の後で、第1の炭化珪素半導体層(ドリフト層)20の表面(基板10に接する面ではなく、その反対側の面)に対して、例えば窒素やリンのイオンを注入する。このとき、第1の炭化珪素半導体層20の表面に位置するボディ領域30の内側であって、ボディコンタクト領域32およびソース領域40が形成されていない領域がチャネル領域となる。このチャネル領域に例えば窒素やリンをイオン注入することで、n型不純物であるドナーと、p型不純物であるアクセプタが共存することになる。ここで、ドナー濃度Ndとアクセプタ濃度Naの差(Nd−Na=N)が、例えば以下の条件を満足するように、イオン注入ドーズ量や注入エネルギーを決定する。
1×d^a1≦N<b0×d^a0
0=1.349×1021
0=−1.824
1=2.188×1020
1=−1.683
dはイオン注入によって形成された第2の炭化珪素半導体層の厚さである。本実施形態における「d」は、Nd>Naの関係を満足する注入領域の厚さであると定義する。すなわち、dは、Nd>Naの関係を満足する注入領域の、基板10に垂直な方向におけるサイズであり、第1の炭化珪素半導体層(ドリフト層)20の表面からNd=Naとなる位置までの距離(深さ)にほぼ等しい。
本発明の半導体素子において、ソース電極からチャネル層を介してドレイン電極に電流が流れるダイオードの立ち上がり電圧は、例えば、Vgsが0Vのときに測定すればよい。
本発明の半導体装置、半導体素子におけるボディダイオードには、Vgsを十分にマイナスに設定して(例えばVgs=−20V)、MISFETのチャネル領域が完全にオフ、すなわち導通していない状態において、Vds<0となる電圧を印加することにより電流を流すことができる。この状態において、ボディダイオードの立ち上がり電圧を測定することができる。
チャネル層として炭化珪素層を用いたMISFETにおいて、室温における、0ボルト≦Vgs<Vthのとき、例えばVgsが0Vでの逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)が、上記の測定方法により求めたボディダイオードの立ち上がり電圧よりも小さければ、ソース電極からチャネル層を介してドレイン電極に電流が流れるダイオードとして機能しているとみなすことができる。
なお、これまで2.7Vとして記載してきたボディダイオードの立ち上がり電圧は、作成された素子のパラメータによって若干変動するため、適宜読み替える必要がある。また、MISFETに対してVgs=0の電圧を印加していても、チャネルが十分にオフできない場合や、ボディダイオードのpn接合に欠陥がある場合、リーク電流がドレイン−ソース間に流れることがある。この場合はボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値より小さい電圧領域においても、若干のリーク電流が観測され、見かけ上の立ち上がり電圧の値が変化することがある。
上記のリーク電流がある場合に、チャネルダイオードとして機能しているか否かを判断するためには、例えば下記の方法が有効である。Vgs=0Vのときにソース電極からドレイン電極に流れるダイオードの電流が1A流れるときの電圧が、上記の(Vgsを十分にマイナスに設定してVds<0となる電圧を印加して電流を流すことにより決定した)立ち上がり電圧より大きい場合は、ボディダイオードに電流が流れていると判断できる。またVgs=0Vのときにソース電極からドレイン電極に流れるダイオードの電流が1A流れるときの電圧が、上記の(Vgsを十分にマイナスに設定してVds<0となる電圧を印加して電流を流すことにより決定した)立ち上がり電圧より小さい場合は、チャネルダイオードに電流が流れていると判断できる。
本発明によれば、部品点数を増やすことなく、SiC半導体装置の結晶劣化の進行を抑制することが可能な半導体素子を提供することができる。
10、110 基板(炭化珪素半導体基板)
20、120 第1の炭化珪素半導体層(ドリフト層)
22 JFET領域
30、130 ボディ領域(ウェル領域)
32、132 ボディコンタクト領域(コンタクト領域)
40、140 ソース領域
45、145 ソース電極
47 ソース配線(ソースパッド)
50、150 第2の炭化珪素半導体層またはチャネル層(チャネルエピ層)
55 チャネル領域
60、160 ゲート絶縁膜
64 多結晶シリコン膜
65、165 ゲート電極
67 層間絶縁膜
68 ビアホール
69 トレンチ
70、170 ドレイン電極
72 裏面電極
81 マスク
90 ダイオード電流
100 半導体素子
100’ 半導体素子
101 半導体素子
102 半導体素子
112 基板
180、181、182 ボディダイオード
200 電力変換回路(インバータ回路)
210 昇降圧コンバータ
220 昇圧コンバータ
500 負荷
1000 インバータ回路
1100 半導体素子
1110 半導体素子
1200 還流ダイオード素子
1500 負荷
2000 直流電源
2100 誘導性負荷
2200 コントローラ

Claims (38)

  1. 金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを含む半導体素子と、
    前記半導体素子の電位を設定する電位設定部と、
    を備える半導体装置であって、
    前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、
    第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板の主面上に位置する第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、
    前記第1の炭化珪素半導体層内に位置する第2導電型のボディ領域と、
    前記ボディ領域内に位置する第1導電型のソース領域と、
    前記第1の炭化珪素半導体層上でかつ前記ボディ領域および前記ソース領域の少なくとも一部に接して形成された第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、
    前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、
    前記ソース領域に接触するソース電極と、
    前記半導体基板の裏面に設けられたドレイン電極と
    を備え、
    前記第2の炭化珪素半導体層は、前記第1の炭化珪素半導体層上にエピタキシャル成長した層であり、
    前記ソース電極の電位を基準とする前記ドレイン電極の電位をVds、
    前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVgs、
    前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタのゲート閾値電圧をVth、
    前記ドレイン電極から前記ソース電極へ流れる電流の向きを順方向、
    前記ソース電極から前記ドレイン電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義し、
    Vthは、室温において2ボルト以上であり、
    前記電位設定部は、
    トランジスタ動作ONモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsをゲート閾値電圧Vth以上に上昇させることにより、前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極と前記ソース電極との間を導通させ、
    トランジスタ動作OFFモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsを0ボルト以上ゲート閾値電圧Vth未満にすることにより、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを、前記ソース電極から前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能させ、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は前記ボディ領域と前記第1の炭化珪素半導体層とにより構成されるボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さく、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値と前記ボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値との差が0.7ボルト以上であり、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.0ボルト未満である半導体装置。
  2. 前記第2の炭化珪素半導体層は、前記ソース領域の少なくとも一部の上に接しており、
    前記第2の炭化珪素半導体層の厚さは40nm以下である、請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記第2の炭化珪素半導体層における不純物濃度の平均が、1×1018cm−3以上である、請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において0.6ボルト未満である請求項1に記載の半導体装置。
  5. 金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを含む半導体素子であって、
    前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、
    第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板の主面上に位置する第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、
    前記第1の炭化珪素半導体層内に位置する第2導電型のボディ領域と、
    前記ボディ領域内に位置する第1導電型のソース領域と、
    前記第1の炭化珪素半導体層上でかつ前記ボディ領域および前記ソース領域の少なくとも一部に接して形成された第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、
    前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、
    前記ソース領域に接触するソース電極と、
    前記半導体基板の裏面に設けられたドレイン電極と
    を備え、
    前記第2の炭化珪素半導体層は、前記第1の炭化珪素半導体層上にエピタキシャル成長した層であり、
    前記ソース電極の電位を基準とする前記ドレイン電極の電位をVds、
    前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVgs、
    前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタのゲート閾値電圧をVth、
    前記ドレイン電極から前記ソース電極へ流れる電流の向きを順方向、
    前記ソース電極から前記ドレイン電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義すると、
    Vthは、室温において2ボルト以上であり、
    Vgs≧Vthの場合、
    前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極と前記ソース電極との間を導通し、
    0ボルト≦Vgs<Vthの場合、
    前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、前記順方向に電流を流さず、Vds<0ボルトのとき、前記ソース電極から前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能し、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、前記ボディ領域と前記第1の炭化珪素半導体層とにより構成されるボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さく、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値と前記ボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値との差が0.7ボルト以上であり、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.0ボルト未満である半導体素子。
  6. 前記第2の炭化珪素半導体層は、前記ソース領域の少なくとも一部の上に接しており、
    前記第2の炭化珪素半導体層の厚さは40nm以下である、請求項に記載の半導体素子。
  7. 前記第2の炭化珪素半導体層における不純物濃度の平均が、1×1018cm−3以上である、請求項に記載の半導体素子。
  8. 前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において0.6ボルト未満である請求項に記載の半導体素子。
  9. ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、およびチャネル領域を有するトランジスタを含む半導体素子と、
    前記ゲート電極の電位を設定する電位設定部と、
    を備え、
    前記ソース電極の電位を基準とする前記ドレイン電極の電位をVds、
    前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVgs、
    前記トランジスタのゲート閾値電圧をVth、
    前記ドレイン電極から前記ソース電極へ流れる電流の向きを順方向、
    前記ソース電極から前記ドレイン電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義し、
    前記電位設定部は、
    トランジスタ動作ONモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsをゲート閾値電圧Vth以上に上昇させることにより、前記チャネル領域を介して前記ドレイン電極と前記ソース電極との間を導通させ、
    トランジスタ動作OFFモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsを0ボルト以上ゲート閾値電圧Vth未満にすることにより、前記トランジスタを、前記ソース電極から前記チャネル領域を介して前記ドレイン電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能させる半導体装置に用いられる、請求項に記載の半導体素子。
  10. 金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを含む半導体素子であって、
    前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、
    第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板の主面上に位置する第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、
    前記第1の炭化珪素半導体層内に位置する第2導電型のボディ領域と、
    前記ボディ領域内に位置する第1導電型のソース領域と、
    前記第1の炭化珪素半導体層上でかつ前記ボディ領域および前記ソース領域の少なくとも一部に接して形成された第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、
    前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、
    前記ソース領域に接触するソース電極と、
    前記半導体基板の裏面に設けられたドレイン電極と
    を備え、
    前記第2の炭化珪素半導体層は、前記第1の炭化珪素半導体層上にエピタキシャル成長した層であり、
    前記第2の炭化珪素半導体層は、第1導電型不純物がドープされた少なくとも1つの不純物ドープ層を含み、前記第2の炭化珪素半導体層における不純物濃度の平均をN(cm−3)、厚さをd(nm)とすると、Nおよびdが、
    ×d^a<N<b×d^a
    =1.349×1021
    =−1.824
    =2.188×1020
    =−1.683
    の関係を満足し、
    Vthは、室温において2ボルト以上であり、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は前記ボディ領域と前記第1の炭化珪素半導体層とにより構成されるボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さく、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値と前記ボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値との差が0.7ボルト以上であり、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.0ボルト未満である半導体素子。
  11. 前記第2の炭化珪素半導体層は、前記ソース領域の少なくとも一部の上に接しており、
    前記第2の炭化珪素半導体層の厚さは40nm以下である、請求項10に記載の半導体素子。
  12. さらに、
    N≧b0.6×d^a0.6
    0.6=7.609×1020
    0.6=−1.881
    の関係を満足する、請求項10に記載の半導体素子。
  13. dが5nm以上200nm以下である、請求項10に記載の半導体素子。
  14. dが10nm以上100nm以下である、請求項10に記載の半導体素子。
  15. dが20nm以上75nm以下である、請求項10に記載の半導体素子。
  16. 前記第2の炭化珪素半導体層における不純物濃度の平均が、1×1018cm−3以上である、請求項11に記載の半導体素子。
  17. 請求項5から16の何れかに記載の半導体素子と、
    電源電圧の少なくとも一部を前記半導体素子のソース電極とドレイン電極との間に印加する第1配線と、
    前記半導体素子のスイッチングを制御するコントローラからの電圧を前記半導体素子のゲート電極に印加する第2配線と、
    を備え、
    負荷に供給する電力を出力する電力変換器。
  18. 電源と電気的に接続される端子をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
  19. 誘導性負荷と電気的に接続される端子をさらに備える、請求項18に記載の半導体装置。
  20. 金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを含む半導体素子と、
    前記半導体素子の電位を設定する電位設定部と、
    を備える半導体装置であって、
    前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、
    第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板の主面上に位置する第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、
    前記第1の炭化珪素半導体層上に位置する第2導電型のボディ領域と、
    前記ボディ領域上に位置する第1導電型のソース領域と、
    前記ボディ領域および前記ソース領域を貫通し、前記第1の炭化珪素半導体層に達する凹部と、
    前記凹部の側面を含み、前記ボディ領域および前記ソース領域の少なくとも一部に接して形成された第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、
    前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、
    前記ソース領域に接触するソース電極と、
    前記半導体基板の裏面に設けられたドレイン電極と
    を備え、
    前記第2の炭化珪素半導体層は、前記第1の炭化珪素半導体層上にエピタキシャル成長した層であり、
    前記ソース電極の電位を基準とする前記ドレイン電極の電位をVds、
    前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVgs、
    前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタのゲート閾値電圧をVth、
    前記ドレイン電極から前記ソース電極へ流れる電流の向きを順方向、
    前記ソース電極から前記ドレイン電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義し、
    Vthは、室温において2ボルト以上であり、
    前記電位設定部は、
    トランジスタ動作ONモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsをゲート閾値電圧Vth以上に上昇させることにより、前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極と前記ソース電極との間を導通させ、
    トランジスタ動作OFFモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsを0ボルト以上ゲート閾値電圧Vth未満にすることにより、前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを、前記ソース電極から前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能させ、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は前記ボディ領域と前記第1の炭化珪素半導体層とにより構成されるボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さく、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値と前記ボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値との差が0.7ボルト以上であり、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.0ボルト未満である半導体装置。
  21. 前記第2の炭化珪素半導体層は、前記ソース領域の少なくとも一部の上に接しており、
    前記第2の炭化珪素半導体層の厚さは40nm以下である、請求項20に記載の半導体装置。
  22. 前記第2の炭化珪素半導体層における不純物濃度の平均が、1×1018cm−3以上である、請求項21に記載の半導体装置。
  23. 前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において0.6ボルト未満である請求項20に記載の半導体装置。
  24. 金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを含む半導体素子であって、
    前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、
    第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板の主面上に位置する第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、
    前記第1の炭化珪素半導体層上に位置する第2導電型のボディ領域と、
    前記ボディ領域上に位置する第1導電型のソース領域と、
    前記ボディ領域および前記ソース領域を貫通し、前記第1の炭化珪素半導体層に達する凹部と、
    前記凹部の側面を含み、前記ボディ領域および前記ソース領域の少なくとも一部に接して形成された第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、
    前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、
    前記ソース領域に接触するソース電極と、
    前記半導体基板の裏面に設けられたドレイン電極と
    を備え、
    前記第2の炭化珪素半導体層は、前記第1の炭化珪素半導体層上にエピタキシャル成長した層であり、
    前記ソース電極の電位を基準とする前記ドレイン電極の電位をVds、
    前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVgs、
    前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタのゲート閾値電圧をVth、
    前記ドレイン電極から前記ソース電極へ流れる電流の向きを順方向、
    前記ソース電極から前記ドレイン電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義すると、
    Vthは、室温において2ボルト以上であり、
    Vgs≧Vthの場合、
    前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極と前記ソース電極との間を導通し、
    0ボルト≦Vgs<Vthの場合、
    前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、前記順方向に電流を流さず、Vds<0ボルトのとき、前記ソース電極から前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記ドレイン電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能し、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、前記ボディ領域と前記第1の炭化珪素半導体層とにより構成されるボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さく、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値と前記ボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値との差が0.7ボルト以上であり、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.0ボルト未満である半導体素子。
  25. 前記第2の炭化珪素半導体層は、前記ソース領域の少なくとも一部の上に接しており、
    前記第2の炭化珪素半導体層の厚さは40nm以下である、請求項24に記載の半導体素子。
  26. 前記第2の炭化珪素半導体層における不純物濃度の平均が、1×1018cm−3以上である、請求項25に記載の半導体素子。
  27. 前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において0.6ボルト未満である請求項24に記載の半導体素子。
  28. ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、およびチャネル領域を有するトランジスタを含む半導体素子と、
    前記半導体素子の電位を設定する電位設定部と、
    を備え、
    前記ソース電極の電位を基準とする前記ドレイン電極の電位をVds、
    前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVgs、
    前記トランジスタのゲート閾値電圧をVth、
    前記ドレイン電極から前記ソース電極へ流れる電流の向きを順方向、
    前記ソース電極から前記ドレイン電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義し、
    前記電位設定部は、
    トランジスタ動作ONモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsをゲート閾値電圧Vth以上に上昇させることにより、前記チャネル領域を介して前記ドレイン電極と前記ソース電極との間を導通させ、
    トランジスタ動作OFFモードにおいて、前記ソース電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgsを0ボルト以上ゲート閾値電圧Vth未満にすることにより、前記トランジスタを、前記ソース電極から前記チャネル領域を介して前記ドレイン電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能させる半導体装置に用いられる、請求項24に記載の半導体素子。
  29. 金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタを含む半導体素子であって、
    前記金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタは、
    第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板の主面上に位置する第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、
    前記第1の炭化珪素半導体層上に位置する第2導電型のボディ領域と、
    前記ボディ領域上に位置する第1導電型のソース領域と、
    前記ボディ領域および前記ソース領域を貫通し、前記第1の炭化珪素半導体層に達する凹部と、
    前記凹部の側面を含み、前記ボディ領域および前記ソース領域の少なくとも一部に接して形成された第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、
    前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、
    前記ソース領域に接触するソース電極と、
    前記半導体基板の裏面に設けられたドレイン電極と
    を備え、
    前記第2の炭化珪素半導体層は、前記第1の炭化珪素半導体層上にエピタキシャル成長した層であり、
    前記第2の炭化珪素半導体層は、第1導電型不純物がドープされた少なくとも1つの不純物ドープ層を含み、前記第2の炭化珪素半導体層における不純物濃度の平均をN(cm−3)、厚さをd(nm)とすると、Nおよびdが、
    ×d^a<N<b×d^a
    =1.349×1021
    =−1.824
    =2.188×1020
    =−1.683
    の関係を満足し、
    Vthは、室温において2ボルト以上であり、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は前記ボディ領域と前記第1の炭化珪素半導体層とにより構成されるボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さく、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値と前記ボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値との差が0.7ボルト以上であり、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.0ボルト未満である半導体素子。
  30. 前記第2の炭化珪素半導体層は、前記ソース領域の少なくとも一部の上に接しており、
    前記第2の炭化珪素半導体層の厚さは40nm以下である、請求項29に記載の半導体素子。
  31. さらに、
    N≧b0.6×d^a0.6
    0.6=7.609×1020
    0.6=−1.881
    の関係を満足する、請求項29に記載の半導体素子。
  32. dが5nm以上200nm以下である、請求項29に記載の半導体素子。
  33. dが10nm以上100nm以下である、請求項29に記載の半導体素子。
  34. dが20nm以上75nm以下である、請求項29に記載の半導体素子。
  35. 前記第2の炭化珪素半導体層における不純物濃度の平均が、1×1018cm−3以上である、請求項30に記載の半導体素子。
  36. 請求項24から35の何れかに記載の半導体素子と、
    電源電圧の少なくとも一部を前記半導体素子のソース電極とドレイン電極との間に印加する第1配線と、
    前記半導体素子のスイッチングを制御するコントローラからの電圧を前記半導体素子のゲート電極に印加する第2配線と、
    を備え、
    負荷に供給する電力を出力する電力変換器。
  37. 電源と電気的に接続される端子をさらに備える、請求項20に記載の半導体装置。
  38. 誘導性負荷と電気的に接続される端子をさらに備える、請求項37に記載の半導体装置。
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