JP2012099630A - 半導体装置および電力変換器 - Google Patents

半導体装置および電力変換器 Download PDF

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和広 安達
Koichi Hashimoto
浩一 橋本
Osamu Kusumoto
修 楠本
Masao Uchida
正雄 内田
Takashi Kazama
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Abstract

【課題】部品点数を増やすことなく、SiC半導体装置の結晶劣化の進行を抑制することが可能な半導体素子を提供する。
【解決手段】p型コレクタ域91およびn型コレクタ領域92を含むコレクタ層93と、n型半導体層20と、p型ボディ領域30と、n型エミッタ領域40と、ボディ領域30に接して形成されたチャネルエピ層50と、エミッタ電極45と、ゲート絶縁膜60と、ゲート電極65と、コレクタ電極70とを備える構造とする。双方向導通IGBT100のゲート電極65に印加する電圧が閾値電圧よりも小さい場合、エミッタ電極45からチャネルエピ層50を介してコレクタ電極70へ電流を流すダイオードとして機能させる。
【選択図】図5

Description

本発明は、スイッチング素子に関する。特に、高耐圧、大電流用に使用される、炭化珪素からなるスイッチング素子(パワー半導体デバイス)に関する。本発明はまた、炭化珪素からなるスイッチング素子を備えた電力変換器に関する。
炭化珪素(シリコンカーバイド:SiC)は、珪素(Si)に比べてバンドギャップの大きな高硬度の半導体材料であり、パワー素子、耐環境素子、高温動作素子、高周波素子等の種々の半導体装置に応用されている。中でも、半導体素子や整流素子などのパワー素子への応用が注目されている。SiCを用いたパワー素子は、Siパワー素子よりも電力損失を大幅に低減できるなどの利点がある。また、SiCパワー素子は、そのような特性を活かして、Siパワー素子と比較して、より小型の半導体装置を実現することができる。
しかし、SiCのpn接合に順方向電流を流すと、基板底面転位に起因して積層欠陥が増大するというSiC固有の問題が報告されている。SiC−半導体素子をスイッチング素子として、例えば、モータ等の負荷を駆動制御する電力変換器などに用いる場合に、この問題が生じる。同期整流型制御を行う電力変換器のスイッチング素子としてSiC−半導体素子を用いる場合、後に詳しく説明するように、SiC−半導体素子がオフ状態に「還流電流」を流す必要がある。この還流電流の経路として、SiC−半導体素子に内在するpn接合を用いることがある。このようなpn接合は、SiC−半導体素子を構成する半導体素子の内部に存在し、ダイオードとして機能するため、「ボディダイオード」と称されている。
裏面側にp型およびn型のコレクタ領域を形成し、双方向に電流が流れる「双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:以下、IGBTと略称する)」が開発されている(例えば、特許文献1)。双方向導通IGBTは、エミッタ電圧に対するコレクタ電圧をマイナスに印加すると、ボディダイオードがオンして逆方向に電流が流れるため、このボディダイオードを還流ダイオードとして利用することができる。ただし、この双方向導通IGBTは、SiCではなくSiから形成されている。
SiC−双方向導通IGBTに内在するボディダイオードを還流ダイオードとして用いると、pn接合であるボディダイオードに順方向に電流を流すことになる。このような電流がSiCのpn接合を流れると、ボディダイオードによるバイポーラ動作によってSiC−双方向導通IGBTの結晶劣化が進行すると考えられている(例えば、特許文献2、非特許文献1、2、3)。SiC-双方向導通IGBTの結晶劣化が進行すると、ボディダイオードのON電圧が上昇し、さらにはSiC−双方向導通IGBTそのものが破壊する可能性がある。
ボディダイオードを還流ダイオードとして用いることによって生じる、このような問題を解決するため、電子部品である還流ダイオード素子をSiC−IGBTと逆並列に接続し、還流ダイオード素子に還流電流を流すことが提案されている(例えば特許文献3)。このような還流ダイオード素子を、SiC−双方向導通IGBTに逆並列に接続すると、還流電流は還流ダイオードに流れボディダイオードに流れないので、前記の結晶劣化を避けることは可能となる。
図1は、還流ダイオード素子を有する典型的なインバータ回路1000の構成を示している。
インバータ回路1000は、モータなどの負荷1500を駆動するための回路であり、SiC−IGBTからなる複数の半導体素子1100を備えている。インバータ回路1000では、半導体素子1100と、逆並列で還流ダイオード素子1200が接続されている。半導体素子1100を通してオン電流(IF)が流れ、還流ダイオード素子1200を通して還流電流(IR)が流れる。直列に接続された2つの半導体素子1100から1つのセットが構成されており、3つのセットが直流電源2000に対して並列的に設けられている。各半導体素子1100のゲート電位は、コントローラによって制御される。
図2(a)は、図1に示す半導体素子1100として使用可能な通常のSiC−IGBTの構成例を示している。SiC−IGBTは、炭化珪素(SiC)半導体から構成されており、基板112上にn-ドリフト層120が積層された構造を有している。n-ドリフト層120の上部には、pボディ領域130が形成されており、pボディ領域130の上部に、pボディコンタクト領域132とn+エミッタ領域140とが形成されている。そして、pボディコンタクト領域132およびn+エミッタ領域140の上には、エミッタ電極145が形成されている。なお、「n+」又は「n-」の符号における上付き文字の「+」又は「−」の表記は、ドーパントの相対的な濃度を表している。「n+」は「n」よりもn型不純物濃度が高いことを意味し、「n-」は「n」よりもn型不純物濃度が低いことを意味している。このことは、n型に限らず、p型についても成立する。
-ドリフト層120、pボディコンタクト領域132及びn+エミッタ領域140の表面には、チャネルエピタキシャル層150が形成されている。さらに、チャネルエピタキシャル層150の上には、ゲート絶縁膜160およびゲート電極165が形成されている。チャネルエピタキシャル層150のうち、pボディ領域130の上面に接する部分には、チャネル領域が形成される。基板112の裏面にはコレクタ電極170が設けられている。
図示されているSiC−IGBTには、ボディダイオード180が内蔵されている。すなわち、pボディ領域130とn-ドリフト層120との間のpn接合によって、ボディダイオード180が形成されている。しかし、このSiC−IGBTの場合は、そもそも、ボディダイオード180を還流ダイオードとして使用することができない。これは、SiC−IGBTの基板112がp+基板であるからである。SiC−IGBTの場合、pボディ領域130とn-ドリフト層120との間のボディダイオード180の他に、p+基板112とn-ドリフト層120との間のpn接合によるボディダイオード182も内蔵されており、ボディダイオード182の存在によって、還流電流(IR)を流すことができない。
図2(b)は、還流ダイオード素子が不要な半導体素子1100として使用可能な双方向導通SiC−IGBTの構成を示している。半導体素子1100は、炭化珪素(SiC)半導体から構成されており、n-ドリフト層120の下部(裏面側)にコレクタ層93を有している。コレクタ層93には、p型のコレクタ領域91とn型コレクタ領域92が形成されており、コレクタ電極170はp型コレクタ領域91およびn型コレクタ領域92の両方に接触している。図2(b)では、MOS構造166が図示されている。
図2(b)に示す構成を備えるIGBTであれば、双方向に導通することが可能である。したがって、ボディダイオード180を還流ダイオードとして利用することができる。しかし、SiCはワイドバンドギャップ半導体であるので、ボディダイオード180の立ち上がり電圧Vfは、3V付近(約2.7V)と比較的高く、損失が大きい。
図3は、ボディダイオード180の立ち上がり電圧を表している。ボディダイオード180の立ち上がり電圧Vfは、25℃で約2.8Vと高く、このような高い立ち上がり電圧のダイオードは実用的ではない。また、前述したように、ボディダイオード180を還流ダイオードとして用いると、半導体素子1100の結晶劣化が進行し、信頼性が低下してしまうという問題がある。
したがって、インバータ回路1000においてボディダイオード180を還流ダイオード素子1200の代わりとして使用することは困難である。また、SiC固有の課題として、pn接合に順方向電流を流し続けると、SiCの結晶欠陥が増大し、それによって、損失が増大するという問題も発生する。
ボディダイオード180はpn接合ダイオードであり、バイポーラ動作の素子であるので、ダイオード180がオフになるとき、逆回復電流が流れ、それゆえに、リカバリー損失が発生する。その結果、逆回復電流が流れる期間が発生するため、半導体素子1100の高速スイッチングを実行することが極めて難しくなる。また、スイッチング損失が増大するため、スイッチング周波数を上げることが困難になる。
図18は、図1中の一部構成を説明のために抜き出して示す回路図である。図18によれば、直流電源2000がモータ等の誘導性負荷2100に電力を供給する。ハイサイド双方向導通IGBT Hと、ローサイド双方向導通IGBT Lとが直列に接続されている。ハイサイド双方向導通IGBT Hとローサイド双方向導通IGBT Lを駆動するコントローラは、ハイサイド双方向導通IGBT Hのゲート駆動電圧Vge1と、ローサイド双方向導通IGBT Lのゲート駆動電圧Vge2を出力する。
コントローラ2200は、直流電源2000とともに、各双方向導通IGBT(半導体素子)に電圧を印加する「電位設定部」として機能し、この電位設定部により、図示される半導体装置が駆動される。
図18において、矢印で示される電流I1、I2は、矢印の方向に流れるとき、正の値を有し、矢印の方向とは反対の方向に流れるとき、負の値を有するものとする。
図19(a)〜(d)は、図18に示した回路の動作波形であり、誘導性負荷2100へ電流を流出させる時の各部の電圧及び電流を示すタイミングチャートである。
ハイサイド双方向導通IGBT Hのゲート駆動電圧Vge1と、ローサイド双方向導通IGBT Lのゲート駆動電圧Vge2とは排他的にオン、オフされる。 図19のタイミングチャートにおける初期状態は、Vge1とVge2が共にオフし、図18に示した矢印94の経路に電流が流れている状態を示している。このとき電流経路(94)は、ハイサイド双方向導通IGBT Hに逆電流が流れている。
次に、Vge2がターンオンするスイッチング期間は、ローサイド双方向導通IGBT Lに順方向電流(図18の矢印96)が流れ始めると、ハイサイド双方向導通IGBT Hの逆方向電流が減少する。そして、ハイサイド双方向導通IGBT Hの逆方向電流がゼロになった後、ハイサイド双方向導通IGBT Hの逆回復電流による電流ピークが流れる。この電流ピークは図19のピーク98である。電流ピーク98が流れると同時に、ローサイド双方向導通IGBT Lの順方向電流にも電流ピーク(図19のピーク99)が流れる。電流ピーク99は、ハイサイド双方向導通IGBT Hの逆回復電流が、ローサイド双方向導通IGBT Lの順方向電流に重畳されたものであり、スイッチング損失の増大、過電流による素子破壊、ノイズ発生等を引き起こす原因となる。Vge2のターンオン期間が過ぎ、定常状態になると、図18の貫通電流95は無くなり、定常電流が図18の矢印96の方向に流れる。次に、Vge2がターンオフした後、ローサイド双方向導通IGBT Lがオフ状態になると、ハイサイド双方向導通IGBT Hに逆電流が図18の矢印94の方向に流れる。
従来の双方向導通IGBTをハイサイド双方向導通IGBT Hとローサイド双方向導通IGBT Lに使用した場合は、例えば図18の矢印94に示す電流は、ハイサイド双方向導通IGBT Hのボディダイオードに流れ、逆回復電流は大きくなる。
次に、図4を参照しながら、pn接合ダイオードの逆回復電流について説明する。図4中の曲線(a)及び(b)は、Siからなるpn接合ダイオード(Si−PND)の結果を示している。曲線(a)は25℃(Tj=25℃)の結果であり、曲線(b)は150℃(Tj=150℃)の結果である。
曲線(a)及び(b)からわかるように、pn接合ダイオードには逆回復電流が発生する期間があり、それにより、インバータ回路1000の特性の悪化(例えば、スイッチングの高速化の阻害およびスイッチング損失の増大)を招く。逆回復電流は、25℃の曲線(a)よりも、150℃の曲線(b)の方が大きく、したがって、pn接合ダイオードは高温ほど特性が悪化する。
一方、図4中の曲線(c)は、SiCからなるショットキーバリアダイオード(SiC−SBD)の結果を示している。曲線(c)の場合、逆回復電流は、曲線(a)及び(b)と比較して少ないことがわかる。また、曲線(c)は、25℃と150℃との両方の結果であるので、SiC−SBDでは高温の場合でも逆回復電流はほとんど生じないことがわかる。それゆえに、還流ダイオード素子1200としてSiC−SBDを使用することが好ましい。
しかしながら、SiC−SBDは高価であるという問題がある。さらには、インバータ回路1000において還流電流のために部品点数を増やすことは回路コストの増大を招くことになる。
特開2005−57235号公報 特開2008−17237号公報 特開2002−299625号公報
荒井和雄、吉田貞史 共編、SiC素子の基礎と応用(オーム社、20003) SEMI FORUM JAPAN 2008 パワーデバイスセミナー Siの壁を越える省エネパワーデバイス 資料 P65 Materials Science Forum Vols.389-393(2002)pp.1259-1264
特許文献3に開示されたSiC半導体装置は、「還流ダイオード素子」としてSiCのSBDを用いている。SBDは、ON開始電圧がSiC−FETのボディダイオードと比較して低い。このため、還流電流が小さいときは、SBDを還流電流が流れるため、ボディダイオードを還流電流が流れることはない。
しかしながら、還流電流の増加に伴ってSBDのON電圧が増加すると、ボディダイオードのON開始電圧を超える場合がある。このような場合には、ボディダイオードに還流電流が流れ、その結果、SiC−FETの故障率が上昇するという問題がある。
このような問題を解消するには、SBDの面積を大きくすればボディダイオードに通電されないようにすることができる。しかし、半導体装置の小型化(小面積化)に逆行し、またコスト高となるという問題が発生する。また、炭化珪素半導体材料はまだ高価であるがゆえにSiCのSBDも高価であり、還流電流のために部品点数を増やすことは回路コストの増大を招くことになる。更に特許文献3のSiC−FETを電力変換器に用いると、SiC−FETの故障率が上昇し、信頼性の低い電力変換器となるという問題もある。
このような問題を解決すべく、特許文献2によれば、スイッチング素子にSiC−MOSFETを用いる場合、還流時に還流ダイオードに発生する電圧を検知して、その電圧が所定のしきい値を越えたときにSiC−MOSFETをONすることでSiC−MOSFETのボディダイオードの還流を抑制し、故障率の低いSiC−FET装置を提案している。
一方で、SiCのSBDを用いずに、SiC−双方向導通IGBTに内在するボディダイオードを還流ダイオードとして用いると、部品点数を増やすことなく電力変換器を構成することができるが、pn接合の順方向に電流を流すことになるため、SiCの結晶劣化が進行し、SiC−双方向導通IGBTの信頼性が低下するという問題が未解決のままになってしまう。また、SiC−双方向導通IGBTに内在するボディダイオードを還流ダイオードとして用いた場合、pn接合ダイオードに起因するバイポーラ動作ゆえに、ダイオードがオフとなるとき、逆回復電流が流れ、それゆえに、リカバリー損失が発生する。さらに、逆回復電流が流れる期間が発生するため、スイッチング素子の高速スイッチングが極めて難しくなるという課題を有していた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、部品点数を増やすことなく、SiC半導体装置の結晶劣化の進行を抑制することで高信頼性を保ち、損失を低減しつつ高速動作することが可能なSiCからなるスイッチング素子を提供することにある。
本発明の半導体装置は、双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタを含む半導体素子と、前記半導体素子の電位を設定する電位設定部とを備える半導体装置であって、前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタは、第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、前記第1の炭化珪素半導体層内に位置するコレクタ層であって、第1導電型の第1コレクタ領域および第2導電型の第2コレクタ領域を含むコレクタ層と、前記第1の炭化珪素半導体層内に位置する第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域内に位置する第1導電型のエミッタ領域と、前記第1の炭化珪素半導体層と接して設けられ、前記ボディ領域、および前記エミッタ領域の少なくとも一部に接する第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、前記エミッタ領域に接触するエミッタ電極と、前記第1および第2コレクタ領域の両方に接触するコレクタ電極とを備え、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記コレクタ電極の電位をVce、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVge、前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタのゲート閾値電圧をVth、前記コレクタ電極から前記エミッタ電極へ流れる電流の向きを順方向、前記エミッタ電極から前記コレクタ電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義すると、前記電位設定部は、トランジスタ動作ONモードにおいて、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgeをゲート閾値電圧Vth以上に上昇させることにより、前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記コレクタ電極と前記エミッタ電極との間を導通させ、トランジスタ動作OFFモードにおいて、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgeを0ボルト以上ゲート閾値電圧Vth未満にし、かつ、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記コレクタ電極の電位Vceを0ボルト未満とすることにより、前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタを、前記エミッタ電極から前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記コレクタ電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能させる。
ある実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、前記ボディ領域と前記第1の炭化珪素半導体層とにより構成されるボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さい。
ある実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値と前記ボディダイオードの立ち上がり電圧との差が、0.7ボルト以上である。
ある実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.3ボルト未満である。
ある実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.0ボルト未満である。
ある実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において0.6ボルト未満である。
本発明の他の半導体素子は、双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタを含む半導体素子であって、前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタは、第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、前記第1の炭化珪素半導体層内に位置するコレクタ層であって、第1導電型の第1コレクタ領域および第2導電型の第2コレクタ領域を含むコレクタ層と、前記第1の炭化珪素半導体層内に位置する第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域内に位置する第1導電型のエミッタ領域と、前記第1の炭化珪素半導体層と接して設けられ、前記ボディ領域、および前記エミッタ領域の少なくとも一部に接する第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、前記エミッタ領域に接触するエミッタ電極と、前記第1および第2コレクタ領域の両方に接触するコレクタ電極とを備え、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記コレクタ電極の電位をVce、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVge、前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタのゲート閾値電圧をVth、前記コレクタ電極から前記エミッタ電極へ流れる電流の向きを順方向、前記エミッタ電極から前記コレクタ電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義すると、Vge≧Vthの場合、前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタは、前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記コレクタ電極と前記エミッタ電極との間を導通し、0ボルト≦Vge<Vthの場合、 前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタは、前記順方向に電流を流さず、Vce<0ボルトのとき、前記エミッタ電極から前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記コレクタ電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能し、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、前記ボディ領域と前記第1の炭化珪素半導体層とにより構成されるボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さい。
ある実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値と前記ボディダイオードの立ち上がり電圧との差が、0.7ボルト以上である。
ある実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.3ボルト未満である。
ある実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.0ボルト未満である。
ある実施形態において、前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において0.6ボルト未満である。
ある実施形態において、ゲート電極、エミッタ電極、コレクタ電極、およびチャネル領域を有するトランジスタを含む半導体素子と、前記ゲート電極の電位を設定する電位設定部とを備え、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記コレクタ電極の電位をVce、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVge、前記トランジスタのゲート閾値電圧をVth、前記コレクタ電極から前記エミッタ電極へ流れる電流の向きを順方向、前記エミッタ電極から前記コレクタ電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義し、前記電位設定部は、トランジスタ動作ONモードにおいて、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgeをゲート閾値電圧Vth以上に上昇させることにより、前記チャネル領域を介して前記コレクタ電極と前記エミッタ電極との間を導通させ、トランジスタ動作OFFモードにおいて、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgeを0ボルト以上ゲート閾値電圧Vth未満にし、かつ、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記コレクタ電極の電位Vceを0ボルト未満とすることにより、前記トランジスタを、前記エミッタ電極から前記チャネル領域を介して前記コレクタ電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能させる半導体装置に用いられる。
本発明のさらに他の半導体素子は、双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタを含む半導体素子であって、前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタは、第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、前記第1の炭化珪素半導体層内に位置するコレクタ層であって、第1導電型の第1コレクタ領域および第2導電型の第2コレクタ領域を含むコレクタ層と、前記第1の炭化珪素半導体層内に位置する第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域内に位置する第1導電型のエミッタ領域と、前記第1の炭化珪素半導体層と接して設けられ、前記ボディ領域、および前記エミッタ領域の少なくとも一部に接する第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、前記エミッタ領域に接触するエミッタ電極と、前記第1および第2コレクタ領域の両方に接触するコレクタ電極とを備え、前記第2の炭化珪素半導体層は、第1導電型不純物がドープされた少なくとも1つの不純物ドープ層を含み、前記第2の炭化珪素半導体層における不純物濃度の平均をN(cm-3)、厚さをd(nm)とすると、Nおよびdが、b1.3×d^a1.3≦N<b0×d^a0、b0=1.349×1021、a0=−1.824、b1.3=2.399×1020、a1.3=−1.774の関係を満足する。
ある実施形態において、さらに、N≧b1×d^a1、b1=2.188×1020、a1=−1.683の関係を満足する。
ある実施形態において、さらに、N≧b0.6×d^a0.6、b0.6=7.609×1020
0.6=−1.881の関係を満足する。
ある実施形態において、dが5nm以上200nm以下である。
ある実施形態において、dが10nm以上100nm以下である。
ある実施形態において、dが20nm以上75nm以下である。
ある実施形態において、前記第2の炭化珪素半導体層は、前記第1の炭化珪素半導体層上にエピタキシャル成長した層である。
ある実施形態において、前記エミッタ領域は、前記第1の炭化珪素半導体層の表面側に形成され、前記第1および第2コレクタ領域は、前記前記第1の炭化珪素半導体層の裏面側に形成されている。
ある実施形態において、前記エミッタ領域、ならびに前記第1および第2コレクタ領域は、いずれも、前記第1の炭化珪素半導体層の表面に形成されている。
ある実施形態において、前記第1の炭化珪素半導体層を支持する基板を更に備えている。
本発明の電力変換器は、上記の何れかの半導体素子と、電源電圧の少なくとも一部を前記半導体素子のエミッタ電極とコレクタ電極との間に印加する第1配線と、前記半導体素子のスイッチングを制御するコントローラからの電圧を前記半導体素子のゲート電極に印加する第2配線とを備え、負荷に供給する電力を出力する。
ある実施形態において、電源と電気的に接続される端子をさらに備える。
ある実施形態において、誘導性負荷と電気的に接続される端子をさらに備える。
本発明によれば、ダイオード電流をpn接合からなるボディダイオードではなく、チャネルに流すので、立ち上がり電圧がボディダイオードよりも低く、損失を低減できる。特に、炭化珪素半導体のようなワイドバンドギャップ半導体では、ボディダイオードの立ち上がり電圧が高くなるので、より効果的である。また、炭化珪素半導体のpn接合に順方向電流を流すことによる結晶欠陥増加の問題を回避することができる。さらには、バイポーラ動作でなく、ユニポーラ動作となるので、逆回復電流が軽減され、逆回復電流損失の低減、スイッチング損失の低減、スイッチングの高速化が可能となる。また、本素子を使用することにより、電力変換回路の還流ダイオード素子が不要となり、部品点数を低減することが可能となる。その結果、回路コストの低減が可能となる。あるいは、本発明によれば、従来必要とされていた電流容量の大きな還流ダイオード素子に代えて、電流容量が小さい還流ダイオード素子、つまり、チップ面積が小さい還流ダイオード素子を採用することができる。
典型的なインバータ回路1000の構成を示す回路図 (a)は半導体素子(SiC−IGBT)の断面図、(b)は半導体素子(SiC−双方向導通IGBT)の断面図 SiCボディダイオードの立ち上がり電圧を説明するためのグラフ pn接合ダイオードの逆回復電流について説明するためのグラフ (a)は、本発明の実施形態に係る半導体素子100の構成を模式的に示す断面図、(b)は半導体素子100の回路略号 チャネル領域55とゲート絶縁膜60との界面におけるポテンシャル分布を説明するための断面図 順方向の場合におけるチャネル横方向のポテンシャル分布を示すグラフ 逆方向の場合におけるチャネル横方向のポテンシャル分布を示すグラフ 順方向のVthと逆方向のVf0との相関図 順方向のVthと逆方向のVf0との他の相関図 チャネルエピ層50の厚さや不純物濃度を変化させた場合において、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)が所定範囲になる領域を示すグラフ チャネルエピ層50の厚さや不純物濃度を変化させた場合において、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)が所定範囲になる領域を示すグラフ チャネルエピ層50の厚さや不純物濃度を変化させた場合において、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)が所定範囲になる領域を示すグラフ チャネルエピ層50の厚さや不純物濃度を変化させた場合において、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)が所定範囲になる領域を示すグラフ チャネルエピ層50の厚さや不純物濃度を変化させた場合の順方向のVthと逆方向のVf0との相関図 本発明の実施形態に係る半導体素子100を用いた電力変換回路200の構成を示す回路図 図13は、シミュレーションで使用した、チャネルエピ層50がない半導体素子の構造を示す断面図 逆方向電流のId−Vd特性のグラフ (a)および(b)は、逆特性におけるチャネル横方向Ec分布を示すグラフ (a)および(b)は、順方向におけるチャネル横方向Ec分布を示すグラフ チャネル界面EcのVge依存性を示すグラフ インバータ回路の3相インバータの1相分を取り出した回路図 図18に示した回路の動作波形を示す図(タイミングチャート) 昇降圧コンバータ210を示す回路図 昇圧コンバータ220を示す回路図 第1の実施形態に係る半導体素子100の構成を模式的に示す断面図 (a)から(c)は、半導体素子100の製造方法を説明するための工程断面図 (a)から(c)は、半導体素子100の製造方法を説明するための工程断面図 (a)から(c)は、半導体素子100の製造方法を説明するための工程断面図 (a)および(b)は、半導体素子100の製造方法を説明するための工程断面図 (a)から(c)は、半導体素子100の製造方法を説明するための工程断面図 (a)および(b)は、半導体素子100の製造方法を説明するための工程断面図 半導体素子100の製造方法を説明するための工程断面図 半導体素子100の改変例(101)を示す構成を模式的に示す断面図 半導体素子100の改変例(102)を示す構成を模式的に示す断面図 第2の実施形態に係る半導体素子103の構成を模式的に示す断面図 半導体素子103の改変例の構成を模式的に示す断面図 半導体素子103の他の改変例の構成を模式的に示す断面図
<第1の実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明による半導体素子の実施の形態を説明する。本発明は以下の実施形態に限定されない。
図5(a)及び(b)を参照しながら、本発明の実施形態に係る半導体素子100について説明する。図5(a)は、本実施形態の半導体素子100の構成を模式的に示す断面図である。なお、図5(b)は、本実施形態の半導体素子100の回路略号を表している。図5(b)に記されているダイオード記号は、半導体素子100のチャネル領域を介して電流を流すダイオードを意味する。Gはゲート電極、Eはエミッタ電極、Cはコレクタ電極を示す。
本明細書では、エミッタ電極Eの電位を基準とするコレクタ電極Cの電位をVce、エミッタ電極Eの電位を基準とするゲート電極Gの電位をVgeとし、コレクタ電極Cからエミッタ電極Eへ流れる電流の向きを「順方向」、エミッタ電極Eからコレクタ電極Cへ流れる電流の向きを「逆方向」と定義する。なお、電位および電圧の単位は、いずれも、ボルト(V)である。
本実施形態の半導体素子100は、双方向導通IGBTを含む半導体素子であり、所定条件下で双方向導通IGBTのチャネル領域がダイオード特性を発揮する。
図5(a)に示すように、本実施形態における半導体素子100は、裏面側に炭化珪素半導体からなるコレクタ層93を備える第1導電型の第1の炭化珪素半導体層20を含んでいる。コレクタ層93には、第2導電型のp+型コレクタ領域91と第1導電型のn+型コレクタ領域92とが形成されている。なお、コレクタ層93には、p+型コレクタ領域91およびn+型コレクタ領域92以外の領域が存在していも良い。第1の炭化珪素半導体層20は、n-ドリフト層である。すなわち、本実施形態では、第1導電型がn型、第2導電型がp型である。n型とp型は相互に入れ替わっても良い。 第1の炭化珪素半導体層20には、第2導電型のボディ領域(ウェル領域)30が形成されている。ボディ領域30内には、第1導電型のエミッタ領域40が形成されている。本実施形態のボディ領域30はp型であり、エミッタ領域40はn+型である。
ボディ領域30にはp型のコンタクト(ボディコンタクト)領域32が形成されている。エミッタ領域40上にはエミッタ電極45が形成されている。エミッタ電極45は、n+エミッタ領域40及びpボディコンタクト領域32の表面に形成され、n+エミッタ領域40及びpボディコンタクト領域32の両方と電気的に接触している。
第1の炭化珪素半導体層(n-ドリフト層)20の表面部のうち、ボディ領域30に挟まれた領域22は、JFET(Junction Field−Effect Transistor)領域として機能する。
第1の炭化珪素半導体層20上には、第2の炭化珪素半導体層50がpボディ領域30およびn+エミッタ領域40の少なくとも一部に接して形成されている。本実施形態における第2の炭化珪素半導体層50は、pボディ領域30及びn+エミッタ領域40が形成されたn-ドリフト層20の上に、エピタキシャル成長によって形成されている。第2の炭化珪素半導体層50は、pボディ領域30の上方に位置する箇所にチャネル領域55を含んでいる。このため、ここでは、この第2の炭化珪素半導体層50を「チャネルエピ層」と称することにする。チャネル領域55の長さ(チャネル長)は、図5(a)に示されている2つの双方向矢印で示される長さに等しい。すなわち、双方向導通IGBTの「チャネル長」は、図面上における、pボディ領域30の上面(チャネルエピ層50と接する表面)の水平方向サイズである。
チャネルエピ層50の上にはゲート絶縁膜60が形成されている。ゲート絶縁膜60の上にはゲート電極65が形成されている。コレクタ層93には、p+型コレクタ領域91およびn+型コレクタ領域92の両方に接するようにコレクタ電極70が形成されている。
半導体素子100のおける双方向導通IGBTの閾値電圧をVthとする。双方向導通IGBTは、Vge≧Vthの場合(トランジスタ動作ONモード)、チャネルエピ層50を介してコレクタ電極70とエミッタ電極45との間を導通する(本実施形態においては、コレクタ電極70からエミッタ電極45へオン電流が流れる)が、0V≦Vge<Vthの場合、トランジスタとしてはオフ状態になる。
しかし、この双方向導通IGBTは、0V≦Vge<Vthの場合(トランジスタ動作OFFモード)であっても、Vce<0Vのときは、チャネルエピ層50を介してエミッタ電極45からコレクタ電極70へに電流を流すダイオードとして機能する。本明細書では、コレクタ電極70からエミッタ電極45への向きを「順方向」、エミッタ電極45からコレクタ電極70への向きを「逆方向」と定義しているため、このダイオードが電流を流す方向は、「逆方向」である。
双方向導通IGBTのチャネル領域を電流経路とする、このダイオードは、Vce>Vf0(Vf0は負の値)の場合に1mA以上の電流を流さず、Vce≦Vf0の場合に1mA以上の電流を流す特性を有している。言い換えると、このダイオードを流れる電流は、Vce>Vf0(Vf0は負の値)のとき、ほとんどゼロ(1mA未満)であるが、Vceをゼロから徐々に小さくしていく(Vceの絶対値を増加させていく)と、VceがVf0に達したとき、1mAの電流を流し始め、更にVceの絶対値を増加させていくと、電流が更に増加していくことになる。この意味で、Vf0は、ダイオードの電流−電圧特性における「立ち上がり電圧」に相当する。
本願明細書では、ダイオードにとって順方向となる電圧がダイオードに印加され、ダイオードを流れる電流が1mA以上となるとき、ダイオード電流が立ち上がったと定義する。そして、ダイオードを流れる電流が1mAとなるときにダイオードに印加されている電圧(Vf0)を「立ち上がり電圧」と定義する。以下、簡単のため、ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値を「ダイオードの立ち上がり電圧」と称することとする。
本発明では、コントローラおよび直流電源によって構成される電位設定部により、半導体素子100の電極に所定の電圧が印加される。こうして、VgeをVth以上に上昇させることにより、チャネルエピ層50を介してコレクタ電極70とエミッタ電極45との間を導通させるステップが実行される。また、電位設定部により、Vgeを0ボルト以上ゲート閾値電圧Vth未満にし、かつ、Vceを0ボルト未満とすることにより、双方向導通IGBTを、エミッタ電極45からチャネルエピ層50を介してコレクタ電極70へ逆方向に電流を流す「ダイオード」として機能させるステップが実行される。
本発明では、後述する理由により、Vf0の絶対値(ダイオードの立ち上がり電圧)を2.7ボルトよりも小さく、かつ、トランジスタの閾値電圧VthをVf0の絶対値(ダイオードの立ち上がり電圧)よりも大きく設定している。
本実施形態の半導体素子100は、上述の構成を有しているがゆえに、半導体素子100がダイオードとして機能する際のダイオード電流26は、チャネルエピ層50を通って、エミッタ電極45からコレクタ電極70へと流れる。ダイオード電流26の経路は、寄生のボディダイオード(ボディ領域30と半導体層20とのpn接合)を流れる電流28の経路とは全く異なる。
本実施形態の半導体素子100によれば、ダイオード電流をpn接合であるボディダイオードでなく、チャネル領域を介して流すので、ダイオードの立ち上がり電圧をボディダイオードの立ち上がり電圧よりも低くすることが可能となり、導通損失を低減できる。
pn接合ダイオードの立ち上がり電圧は半導体材料のバンドギャップの大きさに依存する。炭化珪素半導体のようなワイドバンドギャップ半導体では、ボディダイオードの立ち上がり電圧が特に高く、本発明による立ち上がり電圧の低減はより効果的である。
本実施形態の半導体素子100では、チャネルエピ層50を介してダイオード電流26を流すので、炭化珪素半導体のpn接合に順方向電流を流すことによる結晶欠陥増加の問題を回避することができる。チャネルエピ層50を介して電流を流すダイオードの動作は、pn接合を介した正孔、電子によるバイポーラ動作でなく、ユニポーラ動作となるので、逆回復電流が軽減される。このため、逆回復電流損失の低減、スイッチング損失の低減、スイッチングの高速化が可能となる。
スイッチング損失が低減すると、スイッチング周波数を上げることが可能になる。その結果、受動部品であるキャパシターのキャパシタンスの値とリアクトルのインダクタンスの値が小さくてよくなるため、キャパシターとリアクトルの小型化とコストの低減が可能になる。また、部品点数が低減できることにより、回路の寄生インダクタンス、寄生リアクタンス、寄生抵抗の低減ができ、その結果、損失の低減が可能になり、また、ノイズの低減ができるためノイズフィルタを構成するキャパシターとリアクトルの小型化とコストの低減も可能になる。
加えて、本実施形態の半導体素子100を用いた場合、電力変換回路1000の還流ダイオード素子1200が不要となるので、部品点数を低減することが可能となり、その結果、回路コストの大幅な低減が可能となる。
次に、図6を参照しながら、さらに、本実施形態の半導体素子100の動作について説明する。
図6および図7は、チャネルエピ層50とゲート絶縁膜60との界面におけるコンダクションバンドエネルギー分布を説明するための図である。図6は、コンダクションバンドエネルギー分布を計算するための構造モデルであり、図6中のA−A’ラインが、図7A及び図7Bの横軸[μm]に相当する。図7Aおよび図7Bは、それぞれ、順方向および逆方向の場合におけるチャネル横方向のコンダクションバンドエネルギー分布を示している。なお、図7Aおよび図7Bの縦軸は、コンダクションバンドエネルギー[eV]を表している。
まず、順方向、すなわち、コレクタ・エミッタ間に印加する電圧(Vce)>0Vの場合について説明する。図7Aに示すように、順方向の場合、pボディ領域(またはpウェル)30上に位置する箇所のチャネルエピ層50のコンダクションバンドエネルギー(すなわち、チャネル領域55の箇所のコンダクションバンドエネルギー)が、エミッタ領域40上およびJFET領域(コレクタ領域)22側のコンダクションバンドエネルギーよりも高いため、キャリアが流れない。
次いで、ゲート・エミッタ間に印加する正の電圧(Vge)を上げていくと、チャネル領域55のコンダクションバンドエネルギーが下がり、エミッタ領域40上とチャネル領域55との間の障壁がなくなる。したがって、エミッタ領域40からチャネル領域55へキャリアが流れ込む。
次に、逆方向、すなわち、Vce≦0Vの場合について説明する。Vce=0Vの状態からスタートして、Vceを0Vから下げていくと、図7Bに示すように、JFET領域(コレクタ領域)22側のコンダクションバンドエネルギーが上がっていき、チャネル領域55との障壁が低くなる。したがって、JFET領域(コレクタ領域)22側からキャリア(電子)が流れ込む。
すなわち、逆電流は、ボディダイオードを流れるよりも前に、チャネルエピ層50(又はチャネル領域55)に流れ始める。チャネルエピ層50を流れるので、双方向導通IGBTの順方向電流と同じく、ユニポーラ動作である。したがって、逆回復電流も生じず、それゆえに、リカバリー損失を発生しない。また、ワイドバンドギャップ半導体であるSiCのpn接合の拡散電位に起因する高いVfよりも低いVfを持たせることができる。
要約すると、本実施形態の半導体素子100においては、図7Aに示すように、順方向ではゲート電圧の印加によってチャネル領域55のコンダクションバンドエネルギーが低下して電流が流れる。一方、逆方向では、図7Aに示すように、コレクタ側のコンダクションバンドエネルギーが上昇することによって、エミッタ・コレクタ間(チャネル・コレクタ間)に存在するエネルギー障壁が低くなり、電流が流れる。
図8および図9は、順方向電流の閾値電圧Vthと、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0との相関図を示している。図8は、試作品の実測値データに基づいた相関図である。このグラフでは、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0として、電流Idが2mAに達したときの電圧を採用した。ボディ領域の不純物濃度およびゲート絶縁膜の厚さは条件を固定している。図9は、MOSFET素子の幾つかのパラメータ(例えば、チャネルエピ層50の厚さ又は濃度など)を変更した構造についてのシミュレーション結果に基づいた相関図である。
図8から理解できるように、Vthが低いほど、|Vf0|も小さくなることがわかる。この傾向は、図9についても同様である。ここで、本実施形態の半導体素子100において|Vf0|は小さいことが望ましいが、順方向電流の閾値電圧Vthは2V以上あることが好ましい。その理由は次の通りである。
図1に示したようなパワー回路であるインバータ回路1000において一般的に使用する半導体素子(MISFET)1100は、ノーマリーオフ(Vth>0V)であることが好ましい。なぜならば、何らかの要因でゲート制御回路が故障し、ゲート電圧が0Vになってしまっても、ドレイン電流を遮断することができるので、安全だからである。また、MISFETの閾値電圧は高温になると低下する。例えば、SiC−MOSFETの場合、100℃の温度上昇で約1V低下する場合がある。ここで、ノイズでゲートがオンになってしまわないようにノイズマージンを1Vとすれば、室温でのVthは2V(1V+1V)以上に設定することが好ましい。
したがって、順方向電流の閾値電圧Vthはある程度高く、しかも、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)はできるだけ低くという、相反する要求を満たすことが求められる。
本願発明者は、そのように相反する要求を満たすことができるかどうか鋭意検討した。種々の検討の結果、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)は、チャネル層の不純物濃度および厚さにより調節することができることを見出した。また、チャネル層を備えていない反転型のMISFETとは異なり、本発明の半導体素子におけるMISFETは、チャネル層を備えていることから、チャネル層の不純物濃度および厚さに加えて、pボディ領域の不純物濃度やゲート絶縁膜の膜厚を適切に選択することにより、順方向電流の閾値電圧Vthと逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)とをそれぞれ独立に制御することができることを見出した。
図11は、本発明の半導体素子における、順方向電流の閾値電圧Vthと逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)との相関を示す図である。図11において、横軸は順方向電流の閾値電圧Vth、縦軸は逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)を示す。本図を得るために実施したシミュレーションにおいて、p型ボディ領域(ウェル領域)の濃度は1×1019cm-3、ゲート絶縁膜の厚さは70nmで固定している。他のパラメータの範囲は以下の通りである。
・チャネルエピ層の厚さ:20〜70nm
・チャネルエピ層の濃度:1×1017〜4×1018cm-3
図11から、例えば、チャネルエピ層の厚さを薄くし、かつチャネルエピ層の不純物濃度を高くすることにより、|Vf0|を一定にしながら、Vthを大きくすることが可能であることがわかる。したがって、チャネルエピ層の不純物濃度と厚さを適度に設定することにより、Vthと|Vf0|とをそれぞれ独立に制御することが可能である。
例えばVth=5V、|Vf0|=1Vに制御する場合のチャネルエピ層の厚さと不純物濃度の設定方法を、この図を用いて説明する。
まず、Vth=5Vと、|Vf0|=1Vとの交点を通る相関直線に対応するチャネルエピ層の厚さを読み取る。図11では約40nmと読み取ることができる。したがって、チャネルエピ層の厚さを40nmに設定する。次に上記のチャネルエピ層の厚さにおいて、Vth=5Vとなる不純物濃度を設定すればよい。ここでは、データが存在する2点の濃度、すなわち7×1017cm-3と1×1018cm-3の中間をとって、約8.5×1017cm-3に設定すればよい。
このように、本発明にかかる半導体素子において、第2の炭化珪素半導体層(チャネルエピ層)の厚さと不純物濃度を調整することにより、チャネルを介したダイオードの立ち上がり電圧の絶対値が、ボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さくなるように設定することができる。
図10A〜10Dは、逆方向電流の立ち上がり電圧Vf0の絶対値(|Vf0|)が所定範囲の値となるために、チャネルエピ層50の厚さd(nm)および不純物(ドナー)濃度N(cm-3)が取る必要のある条件の領域を示すグラフである。グラフの縦軸はチャネルエピ層の不純物濃度[cm-3]、横軸はチャネルエピ層の厚さ[nm]を示している。縦軸の例えば「1E+20」の標記は、1×1020を意味している。図中の点はシミュレーションで得た値をプロットしたものである。本図を得るために実施したシミュレーションにおけるパラメータの範囲は以下の通りである。
・ゲート絶縁膜の厚さ:60〜120nm
・p型ボディ領域(ウェル領域)の濃度:2×1018〜2×1019cm-3
・チャネルエピ層の厚さ:10〜70nm
・チャネルエピ層の濃度:1×1017〜1.5×1019cm-3
なお、いずれの場合も、順方向電流の閾値電圧Vthが0V以上、すなわちMISFETがノーマリオフとなるように調整されている。
図10Aから図10Dにおいて、(i)〜(v)はそれぞれ境界領域を示す直線である。これらの直線を式で表すと、以下の通りである。
直線(i)に対応する式:
N=b0×d^a0
0=1.349×1021
0=−1.824
直線(ii)に対応する式:
N=b0.6×d^a0.6
0.6=7.609×1020
0.6=−1.881、
直線(iii)に対応する式:N=b1×d^a1
1=2.188×1020
1=−1.683、
直線(iv)に対応する式:
N=b1.3×d^a1.3
1.3=2.399×1020
1.3=−1.774、
直線(v)に対応する式:
N=b2×d^a2
2=5.754×1020
2=−2.380
である。
ここで、^は冪乗を示し、A^Bは、ABを意味する。
例えば、0<|Vf0|≦2.0Vを満たすために必要な条件は、チャネルエピ層50の厚さd(nm)および不純物濃度N(cm-3)が直線(i)と直線(v)で挟まれた領域にあること、すなわち、b2×d^a2≦N<b0×d^a0を満足することである(図10A参照)。
0<|Vf0|≦1.3Vを満たすために必要な条件は、チャネルエピ層50の厚さd(nm)および不純物濃度N(cm-3)が直線(i)と直線(iv)で挟まれた領域にあること、すなわち、b1.3×d^a1.3≦N<b0×d^a0を満足することである(図10B参照)。
0<|Vf0|≦1.0Vを満たすために必要な条件は、チャネルエピ層50の厚さd(nm)および不純物濃度N(cm-3)が直線(i)と直線(iii)で挟まれた領域にあること、すなわち、b1×d^a1≦N<b0×d^a0を満足することである(図10C参照)。
0<|Vf0|≦0.6Vを満たすために必要な条件は、チャネルエピ層50の厚さd(nm)および不純物濃度N(cm-3)が直線(i)と直線(ii)で挟まれた領域にあること、すなわち、b0.6×d^a0.6≦N<b0×d^a0を満足することである(図10D参照)。
なお、シミュレーションのパラメータ範囲内でグラフを作成したが、シミュレーションのパラメータ範囲外の点であっても、Nとdが上記の各領域に対応する数式で示された範囲内であれば、それぞれ、0<|Vf0|≦2.0V、0<|Vf0|≦1.3V、0<|Vf0|≦1.0V、0<|Vf0|≦0.6Vを満たすと考えられる。
例えば、0<|Vf0|≦0.6Vの特性を実現したい場合、直線(i)と直線(ii)で挟まれた領域における、チャネルエピ層50の厚さdおよび不純物濃度Nを選択する。例えば、チャネルエピ層50の不純物濃度と膜厚を、それぞれ、4×1018cm-3、20nmと設定する。ここで、さらに所望のVth(ここでは2V以上8V以下)が得られるように、pボディ領域30の濃度、および、ゲート絶縁膜60の膜厚を選択する。pボディ領域30の不純物(アクセプタ)濃度を例えば1×1019cm-3、および、ゲート絶縁膜60の膜厚を例えば70nmに設定することにより、|Vf0|=約0.5Vとすることが可能となり、Vthも約3.8Vという値が得られる。
pボディ領域30の濃度やゲート絶縁膜60の厚さは、要求されるデバイス性能や、製造プロセス上の制約を考慮した上で、適宜選択すればよい。
チャネルエピ層の厚さdは5nm以上であることが好ましい。チャネルエピ層の厚さdを5nm以上にすると、成膜や加工プロセスのばらつきが生じても、チャネルエピ層が一部消失してしまうことがないためである。
チャネルエピ層の厚さdは10nm以上であることがさらに好ましい。チャネルエピ層の厚さdを10nm以上にすると、チャネルエピ層の膜厚の均一性が向上する。
チャネルエピ層の厚さdは20nm以上であることがさらに好ましい。チャネルエピ層の厚さdを20nm以上にすると、チャネルエピ層の膜厚の均一性がさらに向上し、チャネルエピ層成膜安定性が向上する。
また、チャネルエピ層の厚さdは200nm以下であることが好ましい。チャネルエピ層の厚さdが200nm以下であると、ソース電極を形成するためにチャネルエピ層をエッチングする工程において、エッチングに長時間を要することがないためである。
チャネルエピ層の厚さdは100nm以下であることがさらに好ましい。100nm以下であると、MISFETとして使用する場合の適度な閾値電圧Vthと、還流ダイオードの小さな立ち上がり電圧|Vf0|とを容易に両立することができる。
チャネルエピ層の厚さdは75nm以下であることがさらに好ましい。75nm以下であると、MISFETとして使用する場合の適度な閾値電圧Vthと、還流ダイオードの小さな立ち上がり電圧|Vf0|とをさらに容易に両立することができる。
室温におけるチャネルダイオードの立ち上がり電圧はできるだけ小さいことが好ましい。これにより、炭化珪素半導体のpn接合に直接印加される電圧をボディダイオードの立ち上がり電圧(2.7V)以下に保つことができ、炭化珪素半導体のpn接合に順方向電流を流すことによる結晶欠陥増加の問題を回避することができる。これについて、図5を用いて説明する。|Vf0|が例えば約0.6Vの場合、例えばソースに0V、ドレインに−0.6V以下の電位を印加するとダイオードとして機能する。この場合、電流はチャネル領域55を介して経路26で流れる。次に、ソースに0V、ドレインに−2.7Vの電位を印加した場合であっても、ダイオードの電流は経路28を通らず、経路26で流れる。この理由を以下に述べる。ソースに0V、ドレインに−2.7Vより大きい電位を印加した場合、まず経路26に対してダイオード電流が流れる。ここで、基板10およびドリフト層20が経路26に含まれている。ここで流れている電流をI、基板抵抗をRsub、ドリフト層20のうち、pウェル領域30より下の抵抗をRdとすると、pウェル領域30とドレイン間において、I×(Rsub+Rd)の分だけ電圧降下が起こる。このとき、pウェル領域30とドリフト層20の間にかかる電圧は、ソース−ドレイン間電圧からI×(Rsub+Rd)を差し引いた電圧となる。つまり、ソース−ドレイン間電圧として、本来ボディダイオードに電流が流れうる2.7Vの電圧を印加しても、ボディダイオードに並列する形でチャネルダイオードが存在しているため、ソースドレイン間の電圧を|Vds|、ボディダイオードのpn接合にかかる電圧をVpnとすると、
Vpn=|Vds|−I×(Rsub+Rd)
となる。経路26で示されるチャネルダイオードの|Vf0|が小さいほど、同じ|Vds|に対してIが大きくなるため、ボディダイオードのpn接合にかかる電圧Vpnは小さくなる。そのため、ボディダイオードのpn接合にかかる電圧Vpnが、本来ボディダイオードに電流が流れ始める2.7Vの電圧に到達しないので、ボディダイオードには電流が流れない。つまり、炭化珪素半導体のpn接合に順方向電流を流すことによる結晶欠陥増加の問題を回避することができる。
SiCはワイドギャップ半導体であるので、Siと比較して特に高温領域(300℃以上)の環境温度での使用が可能となる高温環境においてもボディダイオードに電流が流れないようにするために、室温における|Vf0|は1.3V以下であることが好ましい。
また、室温における|Vf0|は、1.0V未満であることが好ましく、0.6V未満であることが更に好ましい。室温における|Vf0|が1.0V未満であれば、SiC−SBD(逆方向電流の立ち上がり電圧:1.0V程度)を還流ダイオード素子として用いた場合よりも優れた動作が実現する。また、室温における|Vf0|が0.6V未満であると、Si−pinダイオード(逆方向電流の立ち上がり電圧:0.6V程度)を還流ダイオード素子として用いた場合よりも優れた動作が実現する。
上記の図8〜図11を参照して説明した事項は、基本的には、図2(b)に示すMOS構造166と同様のMOS構造を有している場合に成立する。すなわち、コレクタ電極70が裏面側にある場合に限定されず、エミッタ電極45とコレクタ電極70がともに表面側に配置される横型のIGBTであっても、上述した事項がほぼ成立する。
図12は、本実施形態の半導体素子100を用いた電力変換回路(ここでは、インバータ回路)200及び負荷500を示している。本実施形態の半導体素子100は、還流ダイオード融合型の双方向導通IGBTであるので、図1に示した還流ダイオード素子1200が不要となる。したがって、図1では、一つのインバータ回路1000において半導体素子1100が6個と還流ダイオード素子1200が6個の合計12個の素子が必要であったが、図12に示した本実施形態の半導体素子100を用いると合計6個の素子でインバータ回路200を構築することができる。
本実施形態のインバータ回路200では部品点数が半分になることにより、コストの大幅な低減を図ることができる。また、部品点数が少なくなることにより、インバータ回路1000と比較して、各素子の損失(接続損失など)を低減することができ、その結果、インバータ回路200の性能を向上させることができる。加えて、本実施形態の構成では、インバータ回路1000と比較して、部品点数が半分になることで、インバータ回路200を小型化・軽量化させることができ、あるいは、ノイズ低減を図ることが可能となる。
さらに、部品点数が少なくなることによって、寄生のC(容量)及び/または寄生のL(インダクタンス)を低減することができるので、その点でも、損失を低減でき、そして、EMCの問題(ノイズの問題)を緩和することができる。さらに、損失を低減できることから、インバータ回路200において発生熱量を減らすことができ、それゆえに、ヒートシンクを小型化でき、あるいは、冷却化手段の対策を容易にすることが可能となる。そして、損失を低減できると、周波数を上げることができ、例えば周波数を2倍にすることができれば、それにより、使用するコンダクタ素子(C)、インダクタ素子(L)の体積を1/2にすることが可能となり、その結果、使用する素子の小型化・軽量化と、コスト低減を図ることができる。
なお、本実施形態ではインバータ回路を例にして説明したが、本実施形態の半導体素子100は、広く電力変換器(例えば、インバータ、コンバータ、マトリックスコンバータ)に用いることができる。また、半導体素子100が使用できる用途であれば、電力変換回路に限らず、他の回路(例えば、ロジックなどのデジタル回路)に用いることができる。
次に、図13から図17を参照しながら、本実施形態の半導体素子100の説明をさらに続ける。
本願発明者は、チャネルエピ層50がある場合とない場合との特性の差異をシミュレーション解析により検討した。
図13は、シミュレーションで使用した、チャネルエピ層50がない半導体素子の構造を示す断面図である。
図14は、シミュレーションで解析した逆方向電流のIc−Vce特性(Ic;コレクタ電流、Vce;コレクタ電圧)を示している。ここで、Vgeは0Vである。また、曲線Iがチャネルエピ層ありの場合の結果で、曲線IIはチャネルエピ層なしの場合の結果である。
曲線I及び曲線IIについての半導体素子100も、共に、Vth=約3.5Vになるようにしている。共通条件としては、ゲート絶縁膜60の酸化膜厚は70nm、チャネル長Lgは0.5μmである。また、JFET領域22の不純物濃度は、1×1017cm-3である。
図14から理解できるように、順方向電流の閾値電圧Vthがほぼ同じでも、逆方向電流は、チャネルエピ層が有る場合(曲線I)の方が流れやすいことがわかる。したがって、本発明では、双方向導通IGBTのチャネル領域をチャネルエピ層50内に形成する。コレクタ電圧Vceをマイナスに下げていくと、|Vce|>|Vf0|でチャネル電流26が流れ始め、更にVceをマイナスに下げていくと、チャネル電流26に加えてボディダイオード電流28が流れ始める。図14中のコレクタ電流の曲線が急激に変化している点Aは、ボディダイオード電流28が流れ始めていることを示す。Aより低いコレクタ電流の範囲である図中の範囲aは、チャネル電流26のみが流れる範囲であり、範囲bはチャネル電流に加えてボディダイオード電流28も流れている範囲である。図14の範囲bからも分かるように、チャネル電流26とボディダイオード電流28の両方を流すことで、CEなしの曲線IIより、より多くの電流を流すことができる。つまり、導通損失を低減することができる。
さらに、図15及び図16を参照しながら説明を続ける。図15は、逆方向特性(逆方向電流が流れる時の特性)におけるチャネル横方向のEc分布を示すグラフである。なお、「Ec」は、「Conduction Band Energy」の略語である。図中のΦは、JFET側のEcとチャネル領域中の最大のEcの差であるエネルギー障壁を表す。逆方向に流れる電子はJFET側からチャネル領域のEcを飛び越えてエミッタ上に流れる。図に示すように、Vceを下げるとJFET側のEcは上昇し、エネルギー障壁Φが低下し、VceがVf0以下になると、電子がエネルギー障壁Φを超えて流れるようになる。
図16は、順方向特性におけるチャネル横方向Ec分布を示すグラフである。図16に示すΦはエミッタ上のEcとチャネル領域の最大のEcの差であるエネルギー障壁を表す。順方向に流れる電子は、エミッタ上からチャネル領域の最大のEcを飛び越えてJFET領域に流れる。図16に示すように、Vgeを上げるとチャネル領域のEcが低下し、エネルギー障壁Φが低下する。VgeがVth以上になると、電子がエネルギー障壁Φを超えて流れる。図15(a)及び図16(a)は、チャネルエピ層なしの場合の結果で、図15(b)及び図16(b)は、チャネルエピ層ありの場合の結果である。チャネルエピ有り・無しの半導体素子100の両者とも、Vth=約3.5Vで比較している。
図15(a)及び(b)を比べると、Vthが同じであれば、チャネルエピ層なしの場合(図15(a))の方が、チャネルエピ層ありの場合(図15(b))よりも、エネルギー障壁φが高いことがわかる。したがって、チャネルエピ層ありの構成の半導体素子100の方が逆方向電流は流れやすい。
図17は、チャネル界面EcのVge依存性を示すグラフである。図17中の曲線Iがチャネルエピ層ありの場合の結果で、曲線IIがチャネルエピ層なしの場合の結果である。図17から、曲線IのEcは曲線IIより低いのでVf0が低く、逆電流が流れやすいことが判る。
半導体素子100においては、Vthが同じでも、チャネルエピ層ありの方がVge=0Vでのチャネル領域のコンダクションバンドエネルギーの障壁(φ)が低く、逆方向電流が流れやすい。
図12に示す本発明の電力変換器(インバータ回路200)は、例えば図18に示す従来の回路構成において、還流ダイオード素子と接続されたハイサイド双方向導通IGBT Hおよびローサイド双方向導通IGBT Lを、本実施形態の半導体素子100で置き換えることによって実現される。本発明の電力変換器によれば、双方向導通IGBTのボディダイオードに比べて、逆回復電流のピーク値(図19の98)を減らすことができる。その結果、スイッチング損失を大幅に低減でき、さらに、ノイズの発生を抑制することができる。本発明の電力変換器によれば、双方向導通IGBTのpn接合ダイオード(ボディダイオード)を還流ダイオードとして用いる場合に比べて、立ち上がり電圧Vf0が低く、それゆえ、導通損失を低減することができる。
なお、上述の実施形態では、電力変換器としてインバータ回路200を例示して説明したが、本実施形態の構成はそれに限定されない。図20は、本実施形態の半導体素子100を含む昇降圧コンバータ210の回路図である。
この昇降圧コンバータ210は、半導体素子100から構成されているので、上述した効果を得ることができる。すなわち、ボディダイオードに比べて逆回復電流が低減できるので、スイッチング損失を大幅に低減でき、さらに、ノイズの発生を抑制することができる。そして、双方向導通IGBTのボディダイオードに比べて、立ち上がり電圧Vf0が低く、それゆえ、導通損失を低減することができる。なお、昇降圧コンバータ210におけるタイミングチャートは図19に示したものと同様ないし類似のものである。
加えて、図21は、本実施形態の半導体素子100を含む昇圧コンバータ220の回路図である。図20に示した構成における上アームの半導体素子100におけるゲートとエミッタがショートした構成となっている。詳述すると、コンバータ220は、上アームがダイオードであり、下アームがスイッチとなった昇圧コンバータである。
次に、図22、および、図23から図29を参照しながら、本実施形態のスイッチング素子100の構造と製造方法を詳述する。
図22に示すスイッチング素子100は、基本的には図5に示すスイチッング素子と同様に縦型の双方向導通IGBTの構造を有している。
本実施形態のスイッチンク素子100の構造が図5に示した構造と異なる点は、ゲート電極65の上に層間絶縁膜67が形成されており、エミッタ電極45及び層間絶縁膜67の上に、エミッタ配線(又はエミッタパッド)47が形成されている点である。なお、コレクタ電極70の裏面に、ダイボンド用の裏面電極72が形成されている点も異なる。ダイボンド用の裏面電極72は、例えば、Ti/Ni/Agの積層電極である。
続いて図23に示したスイッチング素子100の製造方法を説明する。
まず、図23(a)に示すように、低抵抗のn型4H−SiCオフカット基板10を準備する。次に、図23(b)に示すように、基板10の上に、例えば1μmの厚さのn型4H−SiCのコレクタ層93をエピタキシャル成長する。次に、コレクタ層93の上に、例えばSiO2からなるマスク81を形成し、AlまたはBイオン(P型ドーパント82)をイオン注入し、p+型コレクタ領域91を形成する。次に、マスク81を除去し、図23(c)に示すように、コレクタ層93の上に、SiO2からなるマスク83を形成し、窒素(N型ドーパント84)をイオン注入し、n+型コレクタ領域92を形成する。このとき、p+型コレクタ領域91とn+型コレクタ領域92の不純物濃度は、例えば、1×1020cm-3である。次に、マスク83を除去する。マスク81とマスク83は、例えば、反転パターンの関係がある。
次に、図23(b)のエピタキシャル成長工程と図23(c)のイオン注入工程とを繰り返し、p+型コレクタ領域91とn+型コレクタ領域92を厚くする。繰り返す回数は、例えば4回である。図24(a)は、このようにして形成したp+型コレクタ領域91およびn+型コレクタ領域92を備える基板10の断面を示している。
図24(b)に示すように、p+型コレクタ領域91とn+型コレクタ領域92の上に、高抵抗n型SiCをエピタキシャル成長し、例えば厚さ30μmのドリフト層20を形成する。
次に、図24(c)に示すように、ドリフト層20の上に、例えばSiO2からなるマスク85を形成し、AlまたはBイオン(82)をイオン注入する。イオン注入後、マスク85を除去すると、図25(a)に示すように、Pウェル領域30’が形成される。
続いて、図25(b)に示すように、マスク(不図示)を用いてPウェル領域30’に窒素をイオン注入することによってエミッタ領域40’を形成し、Alを注入することによってコンタクト領域32’を形成する。イオン注入後に、マスクを除去する。
次に、例えば1,700℃の活性化アニールを行うと、図25(c)に示すように、Pウェル領域30、エミッタ領域40およびコンタクト領域32が形成される。次に、Pウェル領域30、エミッタ領域40およびコンタクト領域32を含むドリフト層20の表面全体に、炭化珪素からなるエピタキシャル層(チャネルエピ層)50を成長させる。
次いで、図26(a)に示すように、チャネルエピ層50の所定部位をドライエッチした後、熱酸化によって、チャネルエピ層50の表面にゲート酸化膜60を形成する。その後、図26(b)に示すように、ゲート絶縁膜60の表面に、リンを70×1020cm-3程度ドーピングした多結晶シリコン薄膜64を堆積する。多結晶シリコン薄膜64の厚さは、例えば、500nm程度である。
次に、図27(a)に示すように、マスク(不図示)を用いて、多結晶シリコン膜64をドライエッチングすることにより、所望の領域にゲート電極65を形成する。続いて、図27(b)に示すように、ゲート電極65の表面およびドリフト層20の表面を覆うように、SiO2からなる層間絶縁膜67をCVD法によって堆積する。層間絶縁膜67の厚さは、例えば、1.5μmである。
次に、図27(c)に示すように、基板10の裏面からp+型コレクタ領域91とn+型コレクタ領域92の途中まで研削する。研削方法は、例えばダイアモンド砥粒を用いたラッピングである。研削する厚さの精度を考慮して、研削後のコレクタP層91とコレクタN層の残された厚さが、例えば1μm以上になるように、図23(b)と(c)の繰り返し回数を決めて図24(a)のp+型コレクタ領域91とn+型コレクタ領域92の厚さを決めておく。
次に、図28(a)に示すように、マスク(不図示)を用いて、ドライエッチングにて、コンタクト領域32の表面上と、エミッタ領域40の一部の表面上との層間絶縁膜67を除去することによって、ビアホール68が形成される。
その後、図28(b)に示すように、例えば厚さ50nm程度のニッケル薄膜を層間絶縁膜67上に形成し、次いで、エッチングによって、ビアホール68の内部およびその周辺の一部を残してニッケル薄膜を除去する。エッチング後、不活性雰囲気内で例えば950℃、5分間の熱処理によって、ニッケルを炭化珪素表面と反応させることによって、ニッケルシリサイドからなるエミッタ電極45を形成する。なお、基板10の裏面にもニッケルを全面に堆積させ、同様に熱処理によって炭化珪素と反応させ、それにより、コレクタ電極70を形成する。
続いて、層間絶縁膜67およびビアホール68の上に、厚さ4μm程度のアルミニウムを堆積し、所望のパターンにエッチングすると、図29に示すように、エミッタ配線(又はエミッタパッド)47が得られる。なお、図示しないが、チップ端にゲート電極と接触するゲート配線(またはゲートパッド)も他の領域に形成する。さらに、コレクタ電極70の裏面に、ダイボンド用の裏面電極72として、Ti/Ni/Agを堆積する。このようにして、図22に示したスイッチング素子100が得られる。
以上、本発明の半導体装置を使用すれば還流ダイオードが不要になることを説明してきた。しかし、本発明の半導体装置に内蔵されるチャネル領域を流れるダイオードの電流容量よりも、要求される負荷電流が大きい場合には、還流ダイオードを追加することは可能である。この場合、負荷電流は本発明の半導体装置に流れる電流と還流電流の両方に分かれるため、還流ダイオードの電流容量は、従来技術における還流ダイオードの電流容量より小さくてよい。このため、還流ダイオードのチップ面積の低減とこれによるコストの低減が可能になる。
また、将来、ボディダイオードを使用しても結晶劣化の問題が解決され、ボディダイオードを使用しても問題にならなくなるかもしれない。そのような場合でも、本発明のSiC双方向導通IGBTを用いると、還流電流をMOS構造のチャネル領域にも流すことができ、かつ、ボディダイオードにも流すことがきるので、従来の双方向導通IGBTに比べ、逆方向特性のオン抵抗を低減することが可能である。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
図30は図5に示すスイッチング素子100の改変例を示している。図30のスイッチング素子101は、チャネル層50の位置がn+エミッタ領域40やpボディコンタクト層32と同一面上に存在するという点で図5のスイッチング素子100と異なる。スイッチング素子101は、例えば、ボディ領域30にチャネル層50を形成した後、該当箇所にn+エミッタ領域40やpボディコンタクト層32を形成することで実現できる。チャネル層50は、エピタキシャル成長により形成してもよいし、n型のイオン注入により形成してもよい。
また、図31においては、チャネル層50がボディ領域30内にのみ形成されている点が、図30のスイッチング素子101と異なる。本改変例のスイッチング素子102は、例えば、ボディ領域30を形成する際に同一マスクでチャネル層50をn型のイオン注入にて形成後、該当箇所にn+エミッタ領域40やpボディコンタクト層32を形成することで実現できる。
なお、本実施形態のスイッチング素子100は、図5及び図31に示した構造に限らず、他の構造であってもよい。上述したように、本実施形態のスイッチング素子100におけるチャネル層(チャネルエピ層)50にδドープ積層構造を持たせることも可能であり、そのようなスイッチング素子、すなわち、DAC双方向導通IGBT(Delta−Doped Accumulation Channel 双方向導通IGBT)の形態にすることも可能である。また、上述したように、チャネル層50は、チャネルエピ層の形態のものの他、イオン注入にて作製された層であってもよい。
<第2の実施形態>
以下、図32を参照しながら、本発明による半導体素子の第2の実施形態を説明する。図32の半導体素子103は、横型の双方向導通IGBTを備えている点で第1の実施形態における半導体素子とは異なっているが、所定条件下で双方向導通IGBTのチャネル領域がダイオード特性を発揮する。第1の実施形態の各構成要素に対応する構成要素には共通の参照符号を付している。
本実施形態における半導体素子103は、第1導電型または第2導電型の炭化珪素半導体基板10と、基板10の表面上に形成された第1導電型の第1の炭化珪素半導体層20とを含んでいる。
第1の炭化珪素半導体層20は、n-ドリフト層である。第1の炭化珪素半導体層20には、第2導電型のボディ領域(ウェル領域)30と、p+型コレクタ領域91およびn+型コレクタ領域92を含むコレクタ層93が形成されている。
ボディ領域30内には、第1導電型のエミッタ領域40および第2導電型のコンタクト(ボディコンタクト)領域32が形成されている。本実施形態のボディ領域30はp型であり、エミッタ領域40はn+型である。
エミッタ領域40上にはエミッタ電極45が形成され、コレクタ層93上にはコレクタ電極70が形成されている。エミッタ電極45は、n+エミッタ領域40及びpボディコンタクト領域32の表面に形成され、n+エミッタ領域40及びpボディコンタクト領域32の両方と電気的に接触している。コレクタ電極70は、コレクタ層93の表面に形成され、p+型コレクタ領域91およびn+型コレクタ領域92の両方と電気的に接触している。
第1の炭化珪素半導体層20上には、第2の炭化珪素半導体層50がpボディ領域30およびn+エミッタ領域40の少なくとも一部に接して形成されている。本実施形態における第2の炭化珪素半導体層50は、pボディ領域30及びn+エミッタ領域40が形成されたn-ドリフト層20の上に、エピタキシャル成長によって形成されている。第2の炭化珪素半導体層50は、pボディ領域30の上方に位置する箇所にチャネル領域を含んでいる。本実施形態の半導体素子103では、エミッタ電極45およびコレクタ電極70の両方が第1の炭化珪素半導体層20の表面に形成されており、コレクタ層93がpボディ領域30から離間している。
また、炭化珪素半導体基板10の裏面には、裏面電極72が形成されている。裏面電極72の電位は、エミッタ電極45の電位と同電位になるように設定される。
本実施形態においても、第1の実施形態について説明したように、双方向導通IGBTは、Vge≧Vthの場合(トランジスタ動作ONモード)、チャネルエピ層50を介してコレクタ電極70とエミッタ電極45との間を導通する(本実施形態においては、コレクタ電極70からエミッタ電極45へオン電流が流れる)が、0V≦Vge<Vthの場合、トランジスタとしてはオフ状態になる。そして、この双方向導通IGBTは、0V≦Vge<Vthの場合(トランジスタ動作OFFモード)であっても、Vce<0Vのときは、チャネルエピ層50を介してエミッタ電極45からコレクタ電極70へ電流を流すダイオードとして機能する。本明細書では、コレクタ電極70からエミッタ電極45への向きを「順方向」、エミッタ電極45からコレクタ電極70への向きを「逆方向」と定義しているため、このダイオードが電流を流す方向は、「逆方向」である。
双方向導通IGBTのチャネル領域を電流経路とする、このダイオードは、Vce>Vf0(Vf0は負の値)の場合に1mA以上の電流を流さず、Vce≦Vf0の場合に1mA以上の電流を流す特性を有している。言い換えると、このダイオードを流れる電流は、Vce>Vf0(Vf0は負の値)のとき、ほとんどゼロ(1mA未満)であるが、Vceをゼロから徐々に小さくしていく(Vceの絶対値を増加させていく)と、VceがVf0に達したとき、1mAの電流を流し始め、更にVceの絶対値を増加させていくと、電流が更に増加していくことになる。
本実施形態の半導体素子103でも、前述した理由により、Vf0の絶対値(ダイオードの立ち上がり電圧)を2.7ボルトよりも小さく、かつ、トランジスタの閾値電圧VthをVf0の絶対値(ダイオードの立ち上がり電圧)よりも大きく設定している。
図33および図34は、それぞれ、図32に示す第2の実施形態の改変例を示している。図33に示す改変例の半では、コレクタ層93とボディ領域30との間に高濃度ドリフト層24が設けられている。一方、図34の改変例では、コレクタ層93とボディ領域30との間に高濃度ドリフト層24およびLDD(Lightly Doped Drain)領域26が設けられている。
高濃度ドリフト層24の不純物濃度は、例えば1×1013cm-3以上1×1016cm-3以下の範囲に設定され、LDD領域26の不純物濃度は、例えば1×1012cm-3以上1×15cm-3以下の範囲に設定され得る。高濃度ドリフト層24を設けることにより、オン抵抗を低減することができるという効果が得られる。また。LDD領域26を設けることにより、エミッタ電極Eとコレクタ電極Cの間の耐圧を向上させることができるという効果が得られる。高濃度ドリフト層24およびLDD領域26は、公知のフォトリソグラフィ工程によって形成したマスク(不図示:最終的に除去される。)を用いたイオン注入により作製され得る。
横型の双方向導通IGBTの場合、図32から図34に示すように、基板を除去する必要は無く、また基板の導電型も任意である。このような横型の双方向導通IGBTを備える半導体素子であっても、第1の実施形態における半導体素子と同様に、還流ダイオード素子が不要になるという効果が得られる。
本発明によれば、部品点数を増やすことなく、SiC半導体装置の結晶劣化の進行を抑制することが可能な半導体素子を提供することができる。
10 基板(炭化珪素半導体基板)
20,120 半導体層(ドリフト層)
22 JFET領域
26 チャネル電流
28 ボディダイオード電流
30,130 ボディ領域(ウェル領域)
30’ ボディ領域(ウェル領域)
32、132 ボディコンタクト領域
32’ ボディコンタクト領域
40、140 エミッタ領域
40’ エミッタ領域
45,145 エミッタ電極
47 エミッタ配線(エミッタパッド)
50,150 チャネル層(チャネルエピ層)
55 チャネル領域
60,160 ゲート絶縁膜
64 多結晶シリコン薄膜
65,165 ゲート電極
67 層間絶縁膜
68 ビアホール
70 コレクタ電極
72 裏面電極
81 マスク
82 P型ドーパント
83 マスク
84 N型ドーパント
85 マスク
91p型コレクタ領域
92 n型コレクタ領域
93 コレクタ層
94 還流電流
95 貫通電流
96 オン電流
98、99 ピーク電流
100、101、102 スイッチング素子
166 MOS構造
180 ボディダイオード
200、210、220 電力変換回路(インバータ回路)
1000 インバータ回路
1100 半導体素子
1200 還流ダイオード
500、1500 負荷
2000 電源
2100 誘導負荷
2200 コントローラ

Claims (25)

  1. 双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタを含む半導体素子と、
    前記半導体素子の電位を設定する電位設定部と、
    を備える半導体装置であって、
    前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタは、
    第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、
    前記第1の炭化珪素半導体層内に位置するコレクタ層であって、第1導電型の第1コレクタ領域および第2導電型の第2コレクタ領域を含むコレクタ層と、
    前記第1の炭化珪素半導体層内に位置する第2導電型のボディ領域と、
    前記ボディ領域内に位置する第1導電型のエミッタ領域と、
    前記第1の炭化珪素半導体層と接して設けられ、前記ボディ領域、および前記エミッタ領域の少なくとも一部に接する第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、
    前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、
    前記エミッタ領域に接触するエミッタ電極と、
    前記第1および第2コレクタ領域の両方に接触するコレクタ電極と
    を備え、
    前記エミッタ電極の電位を基準とする前記コレクタ電極の電位をVce、
    前記エミッタ電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVge、
    前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタのゲート閾値電圧をVth、
    前記コレクタ電極から前記エミッタ電極へ流れる電流の向きを順方向、
    前記エミッタ電極から前記コレクタ電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義すると、
    前記電位設定部は、
    トランジスタ動作ONモードにおいて、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgeをゲート閾値電圧Vth以上に上昇させることにより、前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記コレクタ電極と前記エミッタ電極との間を導通させ、
    トランジスタ動作OFFモードにおいて、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgeを0ボルト以上ゲート閾値電圧Vth未満にし、かつ、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記コレクタ電極の電位Vceを0ボルト未満とすることにより、前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタを、前記エミッタ電極から前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記コレクタ電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能させる、半導体装置。
  2. 前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、前記ボディ領域と前記第1の炭化珪素半導体層とにより構成されるボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さい、請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値と前記ボディダイオードの立ち上がり電圧との差が、0.7ボルト以上である、請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.3ボルト未満である請求項2に記載の半導体装置。
  5. 前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.0ボルト未満である請求項2に記載の半導体装置。
  6. 前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において0.6ボルト未満である請求項2に記載の半導体装置。
  7. 双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタを含む半導体素子であって、
    前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタは、
    第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、
    前記第1の炭化珪素半導体層内に位置するコレクタ層であって、第1導電型の第1コレクタ領域および第2導電型の第2コレクタ領域を含むコレクタ層と、
    前記第1の炭化珪素半導体層内に位置する第2導電型のボディ領域と、
    前記ボディ領域内に位置する第1導電型のエミッタ領域と、
    前記第1の炭化珪素半導体層と接して設けられ、前記ボディ領域、および前記エミッタ領域の少なくとも一部に接する第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、
    前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、
    前記エミッタ領域に接触するエミッタ電極と、
    前記第1および第2コレクタ領域の両方に接触するコレクタ電極と
    を備え、
    前記エミッタ電極の電位を基準とする前記コレクタ電極の電位をVce、
    前記エミッタ電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVge、
    前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタのゲート閾値電圧をVth、
    前記コレクタ電極から前記エミッタ電極へ流れる電流の向きを順方向、
    前記エミッタ電極から前記コレクタ電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義すると、
    Vge≧Vthの場合、
    前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタは、前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記コレクタ電極と前記エミッタ電極との間を導通し、
    0ボルト≦Vge<Vthの場合、
    前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタは、前記順方向に電流を流さず、Vce<0ボルトのとき、前記エミッタ電極から前記第2の炭化珪素半導体層を介して前記コレクタ電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能し、
    前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、前記ボディ領域と前記第1の炭化珪素半導体層とにより構成されるボディダイオードの立ち上がり電圧の絶対値よりも小さい、半導体素子。
  8. 前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値と前記ボディダイオードの立ち上がり電圧との差が、0.7ボルト以上である、請求項7に記載の半導体素子。
  9. 前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.3ボルト未満である請求項7に記載の半導体素子。
  10. 前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において1.0ボルト未満である請求項7に記載の半導体素子。
  11. 前記ダイオードの立ち上がり電圧の絶対値は、室温において0.6ボルト未満である請求項7に記載の半導体素子。
  12. ゲート電極、エミッタ電極、コレクタ電極、およびチャネル領域を有するトランジスタを含む半導体素子と、
    前記ゲート電極の電位を設定する電位設定部と、
    を備え、
    前記エミッタ電極の電位を基準とする前記コレクタ電極の電位をVce、
    前記エミッタ電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位をVge、
    前記トランジスタのゲート閾値電圧をVth、
    前記コレクタ電極から前記エミッタ電極へ流れる電流の向きを順方向、
    前記エミッタ電極から前記コレクタ電極へ流れる電流の向きを逆方向と定義し、
    前記電位設定部は、
    トランジスタ動作ONモードにおいて、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgeをゲート閾値電圧Vth以上に上昇させることにより、前記チャネル領域を介して前記コレクタ電極と前記エミッタ電極との間を導通させ、
    トランジスタ動作OFFモードにおいて、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記ゲート電極の電位Vgeを0ボルト以上ゲート閾値電圧Vth未満にし、かつ、前記エミッタ電極の電位を基準とする前記コレクタ電極の電位Vceを0ボルト未満とすることにより、前記トランジスタを、前記エミッタ電極から前記チャネル領域を介して前記コレクタ電極へ前記逆方向に電流を流すダイオードとして機能させる半導体装置に用いられる、請求項7に記載の半導体素子。
  13. 双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタを含む半導体素子であって、
    前記双方向導通絶縁ゲートバイポーラトランジスタは、
    第1導電型の第1の炭化珪素半導体層と、
    前記第1の炭化珪素半導体層内に位置するコレクタ層であって、第1導電型の第1コレクタ領域および第2導電型の第2コレクタ領域を含むコレクタ層と、
    前記第1の炭化珪素半導体層内に位置する第2導電型のボディ領域と、
    前記ボディ領域内に位置する第1導電型のエミッタ領域と、
    前記第1の炭化珪素半導体層と接して設けられ、前記ボディ領域、および前記エミッタ領域の少なくとも一部に接する第1導電型の第2の炭化珪素半導体層と、
    前記第2の炭化珪素半導体層上のゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、
    前記エミッタ領域に接触するエミッタ電極と、
    前記第1および第2コレクタ領域の両方に接触するコレクタ電極と
    を備え、
    前記第2の炭化珪素半導体層は、第1導電型不純物がドープされた少なくとも1つの不純物ドープ層を含み、前記第2の炭化珪素半導体層における不純物濃度の平均をN(cm-3)、厚さをd(nm)とすると、Nおよびdが、
    1.3×d^a1.3≦N<b0×d^a0
    0=1.349×1021
    0=−1.824
    1.3=2.399×1020
    1.3=−1.774
    の関係を満足する半導体素子。
  14. さらに、
    N≧b1×d^a1
    1=2.188×1020
    1=−1.683
    の関係を満足する、請求項13に記載の半導体素子。
  15. さらに、
    N≧b0.6×d^a0.6
    0.6=7.609×1020
    0.6=−1.881
    の関係を満足する、請求項13に記載の半導体素子。
  16. dが5nm以上200nm以下である、請求項13に記載の半導体素子。
  17. dが10nm以上100nm以下である、請求項13に記載の半導体素子。
  18. dが20nm以上75nm以下である、請求項13に記載の半導体素子。
  19. 前記第2の炭化珪素半導体層は、前記第1の炭化珪素半導体層上にエピタキシャル成長した層である請求項13に記載の半導体素子。
  20. 前記エミッタ領域は、前記第1の炭化珪素半導体層の表面側に形成され、前記第1および第2コレクタ領域は、前記前記第1の炭化珪素半導体層の裏面側に形成されている請求項7に記載の半導体素子。
  21. 前記エミッタ領域、ならびに前記第1および第2コレクタ領域は、いずれも、前記第1の炭化珪素半導体層の表面に形成されている請求項20に記載の半導体素子。
  22. 前記第1の炭化珪素半導体層を支持する基板を更に備えている請求項21に記載の半導体素子。
  23. 請求項7から22の何れかに記載の半導体素子と、
    電源電圧の少なくとも一部を前記半導体素子のエミッタ電極とコレクタ電極との間に印加する第1配線と、
    前記半導体素子のスイッチングを制御するコントローラからの電圧を前記半導体素子のゲート電極に印加する第2配線と、
    を備え、
    負荷に供給する電力を出力する電力変換器。
  24. 電源と電気的に接続される端子をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
  25. 誘導性負荷と電気的に接続される端子をさらに備える、請求項24に記載の半導体装置。
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