JP4918014B2 - コンクリート複合構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
両枠材1,2は、その硬化したコンクリートcと一体化して構造体の一部として機能する。このため、より曲げ、引張り、せん断強度の高い構造体を得ることを求めたものである。
これは、コンクリート複合管を推進管として使用する場合において、金属製の外管2が曲げ荷重への抵抗性を高めるとともに外圧に対する強度を向上させ、合成樹脂製の内管1が防食機能及び流下機能を発揮することを期待したものである。
また、特許文献2は、内外管1,2間の環状空間に鉄筋籠と呼ばれる鉄筋を配置して、コンクリート複合管の強度を高めたものである。
また、特許文献2に示すように、枠材1,2の間に鉄筋籠と呼ばれる鉄筋を配置することにより、さらにその強度を高める技術もある。
補強部材が板状で、その補強部材の板面を枠材の対向面に交差する向きに配置すれば、より強度の高いコンクリート複合構造体とすることができ、また孔が設けられていれば、コンクリートが枠材間の空間全体に行き渡ることを阻害しない。また、その孔は、コンクリートと補強部材との付着性能を高める効果を発揮し得る。
また、エクスパンドメタルを採用した場合、前記補強部材に設けられる孔は、前記エクスパンドメタルのメッシュで囲まれた空間とすることができる。
補強部材として、パンチングメタルやエクスパンドメタルを採用すれば、従来の鉄筋を用いた構造体では得られなかった高度な曲げ、引っ張り、せん断に対する強度、その他複合力に対する強度が期待できる。また、パンチングメタルやエクスパンドメタルを採用すれば、同時に、そのコンクリートとの高い付着性能により構造体の強度を向上でき、その構造体の用途を広げることができる。孔が全面に亘って均等に分布している点も有効である。
補強フランジにパンチングメタルを使用した場合、その補強フランジは、軸方向に直交する方向に全周に亘って連続的に外側の枠材に接続される構造とすることができる。このため、補強フランジにエクスパンドメタルを用いた場合と比較して、軸方向に作用する外圧荷重に対し優位な抵抗性を発揮することができる。
このように、一方の枠材又は両方の枠材が樹脂製である場合、同厚の金属製の枠材を用いた場合と比較して相対的に構造体の強度が劣ることとなるので、上記のように補強部材を配置する効果がより高くなる。これは、板状の構造体である場合においても、環状の構造体である場合においても同様である。
このようにすれば、相対的に強度が劣る樹脂製の枠材をその板面方向に沿う金属製の強化板によって補強することができる。なお、強化板は、前記一方の枠材に固定することによりさらに強度を高めることができるが、強度が充分である場合には、強化板と一方の枠材とを固定しない構成も採用することが可能である。
なお、前記補強部材と前記一方の枠材とを前記強化板を介して接合することもできる。一方の枠材と強化板とを固定する場合、その固定は接着固定、ビスやピンなどによる固定など、周知の手法を採用し得るほか、前記補強部材が金属製である場合は、その補強部材を前記強化板に溶接固定する構成を採用し得る。
また、補強フランジにパンチングメタルを使用した場合、その補強フランジは、軸方向に直交する方向に沿って連続的に前記強化板に接続される構造とすることができる。このため、補強フランジにエクスパンドメタルを用いた場合と比較して、軸方向に作用する外圧荷重に対し優位な抵抗性を発揮することができる。エクスパンドメタルは、その切断面が点状であるのに対し、パンチングメタルの切断面は線状になるため、軸方向の外圧加重に対してその補強フランジの円盤形状(円弧形状)によるアーチ効果を発揮させる上でより有利だからである。
一方の枠材の対向面に複数の凹部を設けると、その枠材の剛性が高まるとともに、枠材とコンクリートとの付着力が高まるので、構造体の強度を高める点でより好ましいといえる。しかし、上記のように強化板を固定するだけでは、その凹部内にコンクリートは入り込まなくなるので、上記構造体の強度を高める効果が落ちてしまう。
このため、強化板に、前記凹部に臨むとともに未硬化のコンクリートが通過できる複数の孔を設ければ、凹部内にコンクリートが入り込むので、それらの問題を解消することができる。また、凹部内にコンクリートが入り込めば、一方の枠材とコンクリートとの付着力を高めることができる。
強化板として、パンチングメタルやエクスパンドメタルを採用すれば、補強部材の場合と同様、従来の鉄筋を用いた構造体では得られなかった高度な曲げ、引っ張り、せん断に対する強度、その他複合力に対する強度が期待できる。また、パンチングメタルやエクスパンドメタルを採用すれば、同時に、そのコンクリートとの高い付着性能により構造体の強度を向上でき、その用途を広げることができる。
第一の実施形態を図1に基づいて説明する。この実施形態は、同心状に配置した樹脂製の内管(一方の枠材)1と金属製の外管(他方の枠材)2との間の環状空間に、コンクリートcを打設して、そのコンクリートcと前記内外管1,2とを一体化したコンクリート複合管(コンクリート複合構造体)10である。
このとき、外管2の一端に固定された金属製の挿し口用部材9が挿し口6の外周面を形成し、外管2の他端が受口5の内周面を形成するようになっている。なお、受口5と挿し口6とは、通常、図示しないゴム輪等を介在して接続され、その内外周面間の水密あるいは気密が維持される。
このうち内管1は、管路の内部に供給される搬送物がコンクリートに直接触れないようにする機能を有する。すなわち、内管1により、コンクリートの腐食、劣化を防止し、また流下性能を向上させることができる。
また、外管2は、構造体の一部として強度の一部を担っている。特に、コンクリート複合管10を推進管として使用する場合において、外管2は曲げ荷重への抵抗性を高め、また、その推進時や管路の敷設後における外圧に対する強度を高める機能を有している。
この受口側端面板7と挿し口側端面板8は、受口5内に挿し口6を差し込んだ場合における両コンクリート複合管10同士の軸方向への位置決め機能(嵌め込み度合いを決めるストッパ)としても機能し得るようになっている。
また、その補強リブRは、周方向に沿って等間隔で設けられている。各補強リブRを構成するパンチングメタルpの板面の面方向は、前記環状空間の径方向に向くように配置されている。
また、その補強フランジFは、前記環状空間における挿し口6の挿し口用部材9の介在する部分と、受口5に相当する部分を除く部分において、軸方向に沿って等間隔に設けられている。各補強フランジFを構成するパンチングメタルpの板面の面方向は、前記環状空間の径方向に向くように配置されている。
なお、この実施形態では、補強リブRを周方向に沿って12箇所、補強フランジFを軸方向に沿って4箇所としたが、口径によってその数が変更しても構わない。
なお、強化板12は、筒状のエクスパンドメタルeを内管1の外周に密着させるように接着固定される。
まず、強化板12の外周に補強フランジFを溶接により接合する。次に、同じく強化板12の外周に補強リブRを溶接により接合する。補強フランジFの周方向端縁が、補強リブRの周方向側面に突き合わされた状態にあるので、その部分を溶接により接合する。また、外管2の内側に挿し口側端面板8を挿入し、その挿し口側端面板8の外周を外管2に溶接接合する。
その一体となった強化板12、補強フランジF、補強リブRを、外管2の内周部に圧入接合するとともに、その外管2の内側から点溶接によって、外管2と強化板12、外管2と補強フランジF、外管2と補強リブRとをそれぞれ接合する。次に、強化板12の内周部に内管1を圧入接合する。
なお、受口側端面板7はコンクリート打ち込み後に挿入され、前記外管2に溶接接合されるようになっている。
なお、内管1に設けられる溝(凹部)3及び突条(凸部)4の形状は、このほかにも、それぞれ螺旋状に形成したり、あるいは、平面視円形、矩形、多角形を成す凹部3を、内管1の外周面に沿ってその周方向、軸方向に多数並べて配置してもよい。また、コンクリート複合管10に要求される性能によっては、前記溝(凹部)3及び突条(凸部)4は、内管1の内周面に形成してもよい。
このコンクリートcがスムーズに行き渡るよう、又環状空間に気泡が介在しないよう適宜振動を与えたり、手作業により下部に押し込んでもよい。この作業を続け、未硬化コンクリートcの打込み頂上面と、後付けする受口側端面板7との距離が約50mmとなった時点で、環状空間の一部を残し未硬化コンクリートcを打ち終える。
その直後、即座に受口側端面板7を予め設けられたストッパー位置まで押し込む。受口側端面板7にはアンカ筋が設けられているので(図示せず)、打ち終えたコンクリートが未だ硬化しないうちに、そのアンカ筋をコンクリート内に差し込み、振動を与えながら受口側端面板7とコンクリートとを一体化させる。その後、コンクリートが硬化するまで一定期間静置する。
なお、受口側端面板7に設けられるアンカ筋は、受口側端面板7の内面に、複数本の異形鉄筋が周方向に沿って取り付けられた構造となっている。アンカ筋は、例えば、周方向に沿って一定の間隔で6本配置することができる。
環状空間へのモルタル又はコンクリートの注入は、横向きとなった前記受口側端面板7の適当なところに注入孔を設け(図示せず)、また、前記受口側端面板7の上方寄りの部分に空気抜き孔を設けて、前記注入孔から専用機器で内部にモルタル又はコンクリートを注入しながら適宜振動を与え、その空気抜き孔から空気、気泡を追い出していく。
空気抜き孔より、未硬化のモルタル又はコンクリートが排出となれば、注入を終える。
モルタル又はコンクリートの硬化後、注入孔及び空気抜き孔を清掃し、鋼製ねじ蓋を嵌め込み取り付ける。その後、置場に移動、整理し封かん状態での養生期間を終え、コンクリート複合管10が完成する(図示せず)。
併せて、内管1の外周に沿う強化板12がコンクリート複合管10の前記曲げ強度を高めているとともに、及び、その強化板12の孔12aを介してコンクリートcが内管1の外周に設けた凹部3に入り込んでいることから、その内管1とコンクリートc、強化板12との付着力が高まり、コンクリート複合管10の前記曲げ強度の向上に寄与している。
このため、例えば、上記図1及び図2(a)に示すように、強化板12のみをエクスパンドメタルeとし、補強フランジF、及び補強リブRをパンチングメタルpとしてもよいし、図2(b)に示すように、補強フランジF、補強リブR、及び強化板12を全てパンチングメタルpとしてもよい。また、図2(c)に示すように、補強フランジFのみをパンチングメタルpとし、他をエクスパンドメタルeとしてもよい。ほかにも、強化板12のみ、補強リブRのみ、若しくは補強フランジFのみをエクスパンドメタルeとした各構成も考えられる。これは、後記各実施形態においても同様である。
第二の実施形態を図3に示す。この実施形態は、前記補強部材11のうち、補強フランジFを省略し、補強リブRのみを配置したものである。他の構成は、第一の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
第三の実施形態を図4に示す。この実施形態は、前記補強部材11のうち、補強リブRを省略し、補強フランジFのみを配置したものである。他の構成は、第一の実施形態と同様であるので、同じく説明を省略する。
第四の実施形態を図5に示す。この実施形態は、内管1の外周面1aに設ける凹部3及び凸部4を省略し、その外周面1aをフラットな円筒面としたものである。この構成において、強化板12に設けられる孔12aは省略してもよい。このため、孔のない平面状の金属板、孔のない筒状の金属板を強化板12として用いることができる。
第五の実施形態を図6に示す。この実施形態は、前記凹部3及び前記凸部4を内管1の内周面に形成したものである。前記凹部3及び前記凸部4は、それぞれ、内管1の管軸方向に沿って交互に形成される。また、その凹部3及び凸部4は、内管1の周方向に沿って螺旋状に又は環状に形成されたものを用いることができる。
前記凹部3及び前記凸部4が内管1の内周面にあれば、内部に供給される流体の流下抵抗を大きくすることができる。例えば、比較的短距離の管路で流量を制御する必要のある場合に活用することができる。
上記の各実施形態において、補強フランジF及び補強リブRは、それぞれ内管1及び外管2へ接合すること(強化板12を介して内管1に間接的に接合することを含む)が望ましいが、コンクリートcの打設時において、それらの補強フランジF及び補強リブRが移動しないような手段が施されている場合には、成形後のコンクリート複合管10の強度が許す限りにおいて、その内管1及び外管2への接合のいずれか又は両方を省略した構成も考えられる。
また、内管1に前記溝3を、強化板12に前記孔12aを設けた場合には、コンクリートcは強化板12の孔12aを通って溝3内にも入り込んでいく。
このコンクリート複合構造体10は、金属製の外管(他方の枠材)2内に、一定の間隔を隔てて複数本の樹脂製の内管(一方の枠材)1を、その外管2の管軸方向と内管1の管軸方向が平行になるように配置し、前記内外管1,2の間の空間にコンクリートcを打設して、そのコンクリートcと前記内外管1,2とを一体化した構造体である。
なお、内管1に設けられる溝(凹部)3及び突条(凸部)4の形状は、このほかにも、それぞれ螺旋状に形成したり、あるいは、平面視円形、矩形、多角形を成す凹部3を、内管1の外周面に沿ってその周方向、軸方向に多数並べて配置してもよい点も同様である。
また、その溝(凹部)3及び突条(凸部)4は、前記各内管1の全てに設けても良いし、一部の内管1にのみ設けてもよい。また、強化板12についても、前記各内管1の全てに設けても良いし、一部の内管1にのみ設けてもよい。
また、補強リブRは、その板面方向が管軸方向を向くように、内管1の外周面と外管2の内周面間を結ぶように配置してもよいし、隣りあう内管1の外周面同士を結ぶように配置してもよい。
外管2の断面形状が矩形(この実施形態では長方形)であることを除けば、図7に示す実施形態と同様の構成であるが、図8では、補強リブRを、前記補強フランジFに対してその板面に直交する方向に溶接固定しているものである。
2 枠材(外管)
3 凹部(溝)
4 凸部(突条)
5 受口
6 挿し口
7 受口側端面板
8 挿し口側端面板
9 挿し口用部材
10 コンクリート複合構造体(コンクリート複合管)
11 補強部材
11a 孔
12 強化板
12a 孔
13 吊り具用インサート
c コンクリート
e エクスパンドメタル
p パンチングメタル
F 補強フランジ
R 補強リブ
Claims (11)
- 対向して配置した枠材1,2の対向面間に未硬化のコンクリートcを流し込み、そのコンクリートcを硬化させるコンクリート複合構造体の製造方法において、
前記両枠材1,2間に板状を成す補強部材11を配置し、その補強部材11はその板面の面方向が前記両枠材1,2の面方向に交差する方向に配置されるとともに、前記補強部材11は前記未硬化のコンクリートcが通過できる複数の孔11aを有することを特徴とするコンクリート複合構造体の製造方法。 - 同心状に配置した径の異なる二つの筒状の枠材1,2間の環状空間に未硬化のコンクリートcを流し込み、そのコンクリートcを硬化させるコンクリート複合構造体の製造方法において、
前記両枠材1,2間の環状空間に板状を成す補強部材11を配置し、その補強部材11は、その板面の面方向が前記環状空間の径方向に向けて配置されるとともに、前記補強部材11は前記未硬化のコンクリートcが通過できる複数の孔11aを有することを特徴とするコンクリート複合構造体の製造方法。 - 前記補強部材11は、前記環状空間に沿って周方向に配置される補強フランジを備えることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート複合構造体の製造方法。
- 前記補強部材11は、前記環状空間に沿って軸方向に配置される補強リブを備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンクリート複合構造体の製造方法。
- 前記補強部材11は、前記両枠材1,2に接合されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコンクリート複合構造体の製造方法。
- 前記補強部材11は、パンチングメタル又はエクスパンドメタルであり、前記補強部材11に設けられる孔11aは、前記パンチングメタルの貫通孔又は前記エクスパンドメタルのメッシュで囲まれた空間であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のコンクリート複合構造体の製造方法。
- 前記両枠材1,2のうち少なくとも一方の枠材1は樹脂製であり、その一方の枠材1の板面のうち他方の枠材2側に向く対向面1aに金属製の強化板12を宛がったことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のコンクリート構造体の製造方法。
- 前記一方の枠材1は、前記対向面1aに複数の凹部を有し、前記強化板12は、前記凹部に臨むとともに前記未硬化のコンクリートcが通過できる複数の孔12aを有することを特徴とする請求項7に記載のコンクリート複合構造体の製造方法。
- 前記強化板12は、パンチングメタル又はエクスパンドメタルであり、前記強化板12に設けられる孔12aは、前記パンチングメタルの貫通孔又は前記エクスパンドメタルのメッシュで囲まれた空間であることを特徴とする請求項8に記載のコンクリート複合構造体の製造方法。
- 請求項1に記載のコンクリート複合構造体の製造方法によって製造されるコンクリート複合構造体10であって、
前記両枠材1,2間に板状を成す補強部材11を配置し、その補強部材11はその板面の面方向が前記両枠材1,2の面方向に交差する方向に配置されるとともに、前記補強部材11は前記未硬化のコンクリートcが通過できる複数の孔11aを有し、前記両枠材1,2間にコンクリートcが打設されていることを特徴とするコンクリート複合構造体。 - 請求項2に記載のコンクリート複合構造体の製造方法によって製造されるコンクリート構造体10であって、
前記両枠材1,2間の環状空間に板状を成す補強部材11を配置し、その補強部材11は、その板面の面方向が前記環状空間の径方向に向けて配置されるとともに、前記補強部材11は前記未硬化のコンクリートcが通過できる複数の孔11aを有し、前記両枠材1,2間にコンクリートcが打設されていることを特徴とするコンクリート複合構造体。
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