JP4916871B2 - 眼科用超音波診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、眼軸長、角膜厚等の眼球組織の診断に好適な眼科用超音波診断装置に関する。
プローブ内の超音波トランスデューサから超音波を送信し、眼球の各組織からの反射エコーを受信して処理することで眼球内部の組織情報を得る眼科用超音波診断装置が知られている。この装置では、眼球内部組織からの反射エコーを波形として表示し、眼軸長、角膜厚等の眼球内部組織の長さを算出するAモード法が使用される(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−187022号公報
この種の装置では、眼軸長等を算出してその測定結果を表示する際に、連続的にサンプリングされた結果から、所定の許容範囲に入る測定値を有効データとし、その有効データが設定個数(例えば、10個)だけ得られた時に自動的に測定が停止されるオート測定がある。
しかしながら、検者が不慣れで角膜に対してプローブが強く押し当てたり、傾けて押し当てたりする等でプローブを安定して角膜に当てられないと、測定値がばらつくため、信頼性の高い測定結果が得られず、また、なかなかオート測定が停止しない場合がある。測定時間が長引くと、被検者に負担が掛かる。
本発明は、上記従来装置の問題点に鑑み、信頼性の高い測定結果を得ることができ、また、測定時間もできるだけ長引かせることなく測定が行える眼科用超音波診断装置を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 被検眼角膜に接触させた超音波プローブによって受信した眼組織からの反射エコーに基づいて眼軸長、角膜厚等の測定対象領域の測定値をサンプリングし、所定の許容範囲に含まれる測定値を有効データとし、該有効データが所定個数になったときに自動的に測定を停止する眼科用超音波診断装置において、サンプリングされた測定値が前記有効データの許容範囲にあるか否かを判定し、測定値が前記有効データの許容範囲から外れたときは、測定値が前記有効データの許容範囲より短い側に外れたかを判定する判定手段と、該判定手段による判定結果を通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
(2) (1)の眼科用超音波診断装置において、前記通知手段は、測定値が前記有効データの許容範囲にある場合の判定結果と短い側に外れた場合の判定結果とをそれぞれ予め約束された異なる表示態様又は異なる音により測定中に通知する手段を含むことを特徴とする。
(3) (1)の眼科用超音波診断装置は、眼組織からの反射エコーに基づいてサンプリングされた測定対象組織の測定値を順次記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶された測定値について前記所定の許容範囲に含まれる測定値の個数が多いグループを有効データとして設定する有効データ設定手段と、を備え、前記判定手段は、前記記憶手段に測定値が記憶される毎に前記有効データ設定手段により設定された有効データの許容範囲に対して判定を行うことを特徴とする。
(4) (3)の眼科用超音波診断装置において、前記有効データ設定手段は、前記有効データの範囲から長い側に外れて得られた測定値について、所定の許容範囲に含まれる測定値が2個以上で設定された所定の個数以上あるときは、前記長い側に外れた各測定値を基準にそれぞれ前記所定の許容範囲のグループを設定し、該設定した各グループに含まれる測定値の個数が最も多いグループの測定値を新たな有効データとすることを特徴とする。
(5) (1)〜(4)の何れかの眼科用超音波診断装置において、前記判定手段はさらに測定値が前記有効データの許容範囲より長い側に外れたかをも判定し、前記通知手段は測定値が前記有効データの許容範囲にある場合の判定結果と、短い側に外れた場合の判定結果と、長い側に外れた場合の判定結果の3つの判定結果を通知する手段であることを特徴とする。
本発明によれば、信頼性の高い測定結果を得ることが可能になる。測定時間も長引かせることなく測定が行える。また、次の測定に対して適切な対応を取ることができる。
以下、本発明についてAモード法により眼軸長等を測定する場合の眼科用超音波診断装置を一実施形態として挙げ、図面に基づいて説明する。図1は本実施形態である眼科用超音波診断装置の外観略図、図2は制御系の要部構成図である。
装置本体1にはトランスデューサ12を有するAモード用の超音波プローブ2が接続されており、カラー表示可能な大型の液晶表示パネル3が装置本体1の前面に設けられている。液晶表示パネル3はタッチパネル式であり、検者は表示パネル3に表示される設定項目を選択操作することにより各種条件を設定することができる。測定・診断結果はプリンタ4により出力することができる。
制御部10は装置本体1に内蔵され、各種回路等を制御する。制御部10はクロック発生回路11を駆動制御し、送信器を介してプローブ2内に設けられたトランスデューサ12から超音波を発振させる。測定に際して、術者がプローブ2の先端を角膜に接触させると、被検眼の各組織からの反射エコーはトランスデューサ12で受信され、増幅器を介してA/D変換器13でデジタル信号に変換される。デジタル信号化された反射エコー情報は、サンプリングメモリ14に記憶される。制御部10は反射エコー情報を微細時間間隔ごとに抽出し、図3に示すような波形データを得た後、この波形データについての適否を判断する。例えば、所定の閾値レベルSLとの交点CPを順次求めて各組織(角膜厚、前房、水晶体、硝子体)の境界点BPを特定し、各組織の境界点BPが現われるべき範囲から外れている場合は、適正でない反射エコーであると判断される。反射エコーが適正な場合は、各組織の長さデータが制御部10により演算され、その測定結果がメモリ15に記憶される。なお、眼軸長は角膜エコーから網膜エコーまでの長さとして演算される。測定結果は、表示パネル3に表示される。
検者は測定において、オート測定モードとマニュアル測定モードを選択できる。オート測定モードでは、測定値及び波形データの適否が判断され、所定のバラツキの許容範囲に入る有効データが所定個数Np個(例えば、10個)得られたときに、測定が自動的に停止される。マニュアル測定モードでは、測定開始スイッチ16を押す毎に測定値のサンプリングが行われ、有効データか否かの判断無しに、10個の測定結果が得られると、測定が停止される。また、制御部10には、音発生手段としてのスピーカ18が接続されている。
次に、本装置における動作を説明する。検者は測定前に、有水晶眼、無水晶眼、IOL挿入眼のいずれであるかを表示パネル3に表示される項目から選択する。また、測定対象領域として、眼軸長、角膜厚等の測定モードを選択する。ここでは、オート測定モードにより眼軸長を測定する場合を説明する。
まず、オート測定による自動停止プログラムの第1例を、図4のフローチャート及び図5に基づいて説明する。図5は、縦軸に眼軸長の測定値の測定番号を取り、横軸に眼軸長の測定値を取り、眼軸長の測定値が得られる毎にその測定結果をプロットした図である。
検者がプローブ2を被検眼角膜に接触させると、トランスデューサ12から送信された超音波が被検眼内部の各組織によって反射され、表示パネル3の画面上に図3のような反射エコー波形が表示される。検者は随時表示される反射エコー波形を観察しながら、適正なエコー波形が得られるようにプローブ2の位置や角度を調整し、適正画像が得られるところで測定開始スイッチ16を押す。
制御部10は、測定開始スイッチ16からのトリガ信号を受信すると、メモリ14のデータをサンプリングする(S−1)。制御部10は、サンプリングした波形データについての適否を判断する(S−2)。例えば、図3に示すような波形データについて、所定の閾値レベルSLとの交点CPを順次求めて各組織(角膜厚、前房、水晶体、硝子体)の境界点BPを特定し、各組織の境界点BPが現われるべき範囲(人眼において想定される各組織の範囲)から外れているか否かを判断する。各組織の境界点BPが現われるべき範囲にあれば、適正とされる。サンプリングされた波形データが適正のときは、制御部10は眼軸長の測定値を演算し、これをメモリ15に記憶する(S−3)。波形データが適正でない場合は、サンプリングデータは削除され(S−4)、新たなサンプリングデータの取得を待つ。
新たな測定値Tnが得られると、メモリ15に記憶された測定値Tn(n=1,2,3,…)について、各測定値を基準としたバラツキの許容幅ΔD(例えば、測定値を中心に0.2mmの幅)のグループEnをそれぞれ設定する(S−5)。バラツキの許容幅ΔDについては標準偏差を適用することも可能である。各グループEnに含まれる測定値の個数Nnをそれぞれカウントする(S−6)。次に、各グループEnの測定値の個数Nnを比較し(S−7)、その個数Nnが最大となる個数をNmaxとし、個数NmaxとなるグループEnに含まれる測定値を有効データとする(S−8)。次に、新たにサンプリングされた測定値が有効データの範囲にあるか否かを判定し、測定値が有効データの範囲から外れた場合は、あらたに測定値が有効データの範囲より短い側にあるか、有効データの範囲より長い側にあるかを判定する(S−9)。
新たにサンプリングされた測定値は表示パネル3(図2参照)の左上方に位置する測定値表示部32に表示され、有効データとされた測定値は有効データ表示欄30に表示される。そして、前ステップでの3つの判定結果により、測定値表示部32に表示される表示態様が変えられる(S−10)。有効データの個数Nmaxが測定停止個数Np(10個)に達していないときは、測定が継続される(S−11)。
例えば、図5の具体例において、2回目の測定値T2が得られたとき、測定値T2を基準として設定されたグループE2に含まれる測定値は、T1,T2の2個である。さらに、このときに測定値T1を基準として設定されたグループE1に含まれる測定値もT1及びT2となる。
4回目の測定値T4が得られたときは、測定値T1を基準としたグループE1に含まれる測定値はT1,T2の2個であり、測定値T2を基準としたグループE2に含まれる測定値はT1,T2,T3,T4の4個である。測定値T3を基準としたグループE3及び測定値T4を基準としたグループE4に含まれる測定値は、それぞれT2,T3,T4の3個である。従って、測定値T4が得られときは、各グループE1,E2,E3,E4に含まれる測定値の個数を比較すると、グループE2の個数が4個で最大となる。グループE2に含まれる測定値の4個がNmaxとされ、その測定値T1,T2,T3,T4が有効データとされる。表示パネル3の表示欄30には、有効データとされた測定値T1,T2,T3,T4が表示される。
この要領にて、新たな測定値Tnが取得されるたびに、各測定値Tnを基準として許容幅ΔD(±0.1mm)のグループEnを設定し、これまでにメモリ15に記憶されたすべての測定値T1〜Tnについて、各グループEnに含まれる測定値の個数Nnをカウントし直し、個数Nnが最大となるときのグループEnの測定値を有効データとする。なお、個数Nnが最大となるパターンが複数あるときは、長い眼軸長が含まれるグループを有効データのグループとすることが好ましい。
図6は、14回目の測定値T14が得られるまでの各測定値を基準として設定されたグループE1〜E14について、各グループに含まれる測定値の個数Nnの結果を示した図である。図6では、縦軸にグループEnを特定する番号、横軸に測定値Tnを特定する番号が示されている。図6の結果を見ると、測定値T14が得られたとき、その測定値T14を基準としたグループE14に含まれる測定値は7個であるが、測定値T3を基準としたグループE3に含まれる測定値の数が10個であり、最大となっている。そして、この最大個数が測定停止条件Npである10個に達しているので、測定値T14が得られたときに測定が停止される。
上記のようなオート測定において、図4のステップS−9では、サンプリングされた測定値が有効データの範囲に属するか否か、有効データの範囲より短い側にあるか、有効データの範囲より長い側にあるかの3つ結果が判定される。そして、その3つの判定結果に応じて測定値表示部32に表示される測定値が予め約束された表示態様に変化される。異なる表示態様としては、視覚的に視認しやすい異なる色で表示することが好ましい。例えば、測定値が有効データの範囲にある場合、表示部32にはその測定値が黒色で表示される。これに対して、測定値が有効データの範囲より短い側にある場合、表示部32にはその測定値が赤色で表示される。逆に、測定値が有効データの範囲より長い側にある場合、表示部32にはその測定値が青色で表示される。
また、測定値が有効データの範囲より短い側又は長い側にある場合の結果をさらに視認しやすく検者に通知するために、表示部32の表示領域よりも広い領域の背景の色を変えても良い。例えば、表示パネル3の表示画面全体もしくは画面上部の色を変える。
また、このような判定結果の検者への通知は、スピーカ18により発する音を予め約束された異なる音に変化させることでも良い。スピーカ18から発せられる音は制御部10により制御される。例えば、測定値が有効データの範囲にある場合に発せられる音程を基準音とし、有効データの範囲より短い側にある場合には基準音に対して低い音が発せられ、有効データの範囲より長い側にある場合には基準音に対して高い音が発せられる。
このような表示部32の表示の違い又はスピーカ18からの音の違いにより、検者はプローブ2の眼球への当て方が安定しているか否かを知ることができ、その後のプローブ2の当て方を修正できる。測定値が有効データの範囲より短い側に多く現われる場合にはプローブ2を強く当てすぎの傾向があるので、その力を弱める。これにより、その後の測定値が有効データの範囲に入りやすくなり、オート測定の時間が短くなる。また、測定結果のバラツキが少なくなり、その信頼性が向上する。測定値が有効データの範囲より長めに現れる傾向の場合は、眼軸長測定においては、有効データとした測定値が短めであった可能性が考えられるので、再測定の対応を取ることができる。この場合、前の測定の際にプローブ2を強く当てすぎたことを考慮して弱めの力で押える対応が取れる。
なお、この種の超音波診断装置においては、ステップS−2により波形データが適正と判定された測定値のサンプリング間隔は1秒より短い時間であるので、測定値が得られる毎に表示部32の測定値の表示を切替えるのでなく、間欠的に表示を切替えた方が煩わしくなくて良い。例えば、初回の測定値T1を表示した後、2回分のサンプリング間隔を空けた後に次にサンプリングされた測定値T4を表示する。以後、2回分のサンプリング間隔を空けて測定値を表示していく。このとき、制御部10は、測定値が有効データの範囲より短い側に現われたら、2回分のサンプリング間隔の間欠に拘わらず、その測定値が得られた時点で測定値を赤色で表示する。測定値が有効データの範囲より長い側に現われた場合も同様に、測定値を青色で表示する。スピーカ18の音の発生でこれらを通知する場合も、同様に、測定値が有効データの範囲より短い側又は長い側に現われた時点で、音を変化させる。これにより、検者は測定の適否と、測定値が有効データの範囲に対して短い側又は長い側に現われたかを、タイムリーに知ることができる。
図5の測定結果例について説明する。測定値T5が得られた段階では、T2,T3,T4,T5が含まれるグループE3が有効データであり、これらが表示欄30に表示される。また、表示部32には測定値T5まで黒色で表示される。この間に、スピーカ18からは基準音が発せられる。検者は、基準音を聞くことにより有効データを取得していると知ることができる。
次に、眼軸長が短い測定値T6が得られると、このときの有効データはグループE3であるため、測定値T6はグループE3の有効データの範囲より短い側にあると判定される。そして、測定値T6が有効データの範囲より短めに現れていることを認識しやすくするため、表示部32には、測定値T6が赤く表示される。そして、短い側である旨の警告音が発せられる。これにより、検者は短めに測定が行われていると分かり、プローブ2の当て方の修正を行うことができる。
その後、測定値T7,T8,T9は何れも有効データのグループに入っている。次に、測定値T10が得られたときは、このときの有効データであるグループE3の範囲に対して短い側に現われているので、表示部32の測定値が赤色に変えられ、スピーカ18からその旨の音が発せられる。次に、測定値T12が得られたときは、このときの有効データとされるグループE3の範囲に対して、長い側に外れているので、表示部32の測定値が青色に変えられ、スピーカ18からその旨の音が発せられる。その後、測定値T14が得られることにより、有効データの個数が10個に達し、測定が終了される。
このように、有効データから短い側に外れた眼軸長が得られたときに、角膜に対するプローブ2の当て方を適切に誘導することにより、測定値が有効データ範囲に入りやすくなり(バラツキが少なくなり)、信頼性の高い測定結果を得ることができ、測定時間を短くできる。
なお、測定値を分類するグループの設定の方法は上記に限られない。例えば、所定の許容幅ΔDの範囲のグループを所定ステップ幅で予め複数個設定しておき、新たな測定値が得られる毎にその測定値を各グループに分類し、各グループに含まれる測定値の個数が最大となるグループの測定値を有効データとする。測定値が最大となるグループが複数ある場合は、長眼軸が最も多く含まれるグループを優先する。また、個数をカウントする際に長眼軸側の測定値に重み付けをしてカウントしても良い。
上記の測定値が有効データの範囲から外れた場合の判定結果の通知方法の変容例を説明する。図2における表示部32の表示態様の変化では、測定終了に至るまでに、有効データのグループに対して測定値がどのように変動してきたか、一見して把握することが難しい場合がある。また、有効データのグループ内でどのように変動してきたか、表示欄30を一見して把握するのは困難である。
そこで、図7に示すように、オート測定の測定中において、以前に取得した測定値の履歴を時系列的なグラフィックとして測定値履歴グラフ35で表示する。図2の表示パネル3で示した反射エコー波形33は、測定開始後は検者にとって必ずしも必要ではない。そのため、測定開始後は図7のように、反射エコー波形33の替わりに、測定値履歴グラフ35が表示される。縦軸が眼軸長であり、横軸が時間軸である。測定値T1より右方向へ測定値T2、T3、…というように時系列的にプロットされ、変化が分かりやすいように、折れ線グラフとして表示される。
グラフ35において、上側の横ライン36aと下側の横ライン36bとの間が有効データの範囲と判定されたグループを示し、この間にある有効データ範囲の測定値T2、T3、T4等が黒色でプロットされ、横ライン36aと横ライン36bの間の折れ線を黒色で表示される。そして、下側の横ライン36bより下側にある測定値T1、T6、T10は、有効データ範囲より短い側の測定値であり、これらは赤色でプロットされ、折れ線グラフも赤色で表示される。また、有効データ範囲より長い側の測定値T12は横ライン36aより上に青色でプロットされ、折れ線グラフも青色で表示される。各色はこれに限らず、違いが視覚的に分かりやすいものであれば良い。また、3つの判定結果に属する測定値の表示態様の変化は、色の違いで表現する変わりに、各測定値のプロットの点を四角形状、三角形状等のように、形状の違いで表現しても良い。また、折れ線グラフの表示態様も、線の太さの違い、線の種類の違いで表現しても良い。
このようなグラフ35の表示により、検者は一見してサンプリングされた測定値のバラツキ状態、測定値が有効データ範囲にあるか、短い側に外れたか、長い側に外れたか等の判定結果を容易に履歴として確認することができる。そして、これらの判定結果の表示により、検者自身がプローブ2の当て方の傾向を意識することで、その後の測定を修正することができる。
また、図7のグラフ35は、オート測定の測定中に表示しない場合であっても、有効データとしたグループに属する測定値が10個に達してオート測定が自動停止した後に表示される。測定終了後にこのような測定結果の履歴を確認することにより、検者はプローブ2の眼球への当て方の安定状態や測定結果のバラツキの傾向を知ることができ、次回の測定時にその修正を行うことができる。これにより、次回以降の測定をより早く、より正確に行うことが可能になる。
以上のように3つの判定結果を通知することが好ましいが、眼軸長測定においては、長い側に現れる測定値は有効データの可能性があるので、これを通知するのではなく、測定値が有効データの範囲にある場合と、短い側に現れた場合の2つを判定し、その2つの判定結果を通知するようにしてもよい。また、測定値が有効データより長い側の判定結果を通知するか否かを、表示パネル3で選択可能にしておくと都合がよい。
図4の自動停止プログラムは、所定の許容範囲に入る測定値の個数が多いグループを有効データとするブログラムであり、測定時間を優先させた方法であったが、眼軸長の場合、測定値の長い方を優先する場合の自動停止プログラムの例を、図8、図9により説明する。
図8、9のフローチャートにおいて、ステップS−101〜S−104までは、図4のステップS−1〜S−4までと同様であるので、説明を省略する。
眼軸長の測定値をメモリ15に記憶(S−103)した後は、測定値の長い側を優先的に有効データとするステップ(後述するステップS−161)を経たか否かを判断し、その後のフローを異にする。初めは、ステップS−161を経ていないので、次に、測定回数mが所定回数Cm(Cmは、測定停止条件の個数Np以下の数とし、ここでは5回とする)以上か否かを判断する(S−106)。
測定回数mが所定回数Cmに満たない場合、メモリ15に記憶された測定値について、図4のステップS−5〜S−11と同様に、各測定値を基準に所定のバラツキの許容幅ΔDのグループEnをそれぞれ設定し(S−107)、各グループEnに含まれる測定値の個数Nnを改めてカウントし直す(S−108)。次に、各グループEnの測定値の個数Nnを比較し(S−109)、その個数Nnが最大となる個数をNmaxとし、個数NmaxとなるグループEnに含まれる測定値を有効データとする(S−110)。次に、新たにサンプリングされた測定値が有効データの範囲にあるか否かを判定し、測定値が有効データの範囲から外れた場合は、さらに測定値が有効データの範囲より短い側にあるか、有効データの範囲より長い側にあるかを判定する(S−111)。有効データとされた測定値は有効データ表示欄30に表示され、前ステップでの3つの判定結果により、測定値表示部32に表示される表示態様が変えられる(S−112)。有効データの個数Nmaxが測定停止個数Np(10個)に達していないので、測定が継続される(S−113)。
次に、ステップS−106において、測定回数mが所定回数Cm(5回)以上となった場合、まず、(m―1)回目における有効データよりも長い測定値の個数Nqをカウントする(S−121)。その後、個数Nqが2個以上で設定される所定個数Nqp(例えば、3個とする)以上か否かを判断する(S−123)。個数Nqが個数Nqpに満たない場合は、先のステップS−107に移行する。
次に、ステップS−123において、有効データよりも長い側の測定値の個数Nqが個数Nqp(3個)以上の場合について説明する。個数Nqが個数Nqp以上のとき、(m―1)回目における有効データよりも長い側の測定値において、その個数Nqpである少なくとも3個の測定値が所定幅ΔDに含まれるか否かを判別する(S−125)。ステップS−125の判別において、3個以上の測定値が幅ΔDに含まれない場合、それらの測定値は信頼性が低いと考えられるので(ノイズ等により、たまたま眼軸長が長めの結果となった可能性がある)、これらを有効データとせずに、先のステップS−107に戻る。
一方、ステップS−125の判別において、今までに有効データとされた範囲に対して長い側に外れた測定値が3個以上あり、それらの測定値が3個以上許容幅ΔDに含まれると判定された場合、該測定値の信頼性が高いと考えられる。
ステップS−125でYESと判別された場合は、幅ΔDに含まれる測定値について、各測定値を基準とした許容幅ΔDのグループEnを再設定する(S−161)。次に、各グループEnに含まれる測定値の個数Nnをカウントし直す(S−163)。その後、ステップS―109、S−110のステップに移行し、それまでに有効データとされていたものに対して長い側に外れた各測定値を基準として新たに設定された各グループEnに含まれる測定値の個数が最も多いグループを有効データとする。
次に、ステップS−105でステップS−161を経ている場合について説明する。ステップS−161を経ることは、長い側に現れた測定値の信頼性がある程度有ると判定されているため、長い側の測定値を優先的に有効データとして扱うことを意味する。そして、ステップS−161を経て長い側の測定値を優先的に有効データとして扱い、その後も測定を継続する場合、本実施形態では有効データよりも短い側を有効データとして再設定されることがないものとする。ステップS−105にて、ステップS−161を経たと判別された場合、有効データよりも長い測定値の個数Nqをカウントし(S−171)、個数Nqが個数Nqp(3個)以上か否かを判断する(S−173)。個数Nqが個数Nqp(3個)以上の場合、(m―1)回目における有効データよりも長い側の測定値について、少なくとも個数Nqp(3個)の測定値が許容幅ΔDに含まれるか否かを判別する(S−175)。ステップS−175を満たす場合は、前述のステップS−161に移る。
一方、ステップS−173又はステップS−175でNOの場合は、(m−1)回目における有効データのグループEnはそのままにし、グループEnに含まれる測定値の個数をカウントし直し、個数Nmaxとする(S−177)。その後は、測定値が有効データの範囲にあるか、短い側にあるか、長い側にあるかの判定ステップS−111に移行する。
なお、ステップS−112における判定結果の測定値表示部32への表示については、先の例と同様に有効データについては間欠的に表示し、有効データの範囲より短い側に測定値が現われた場合は、その都度表示しても良い。また、判定結果の表示は図7と同様に、測定中に時系列的な履歴のグラフ35として表示すると、測定値の傾向が分かり(測定値が短い側に外れやすいか、有効データの範囲で安定しているか否か等)、プローブ2の当て方を適切に導きやすくなる。また、有効データが10個得られ、オート測定が終了すると、グラフ35が表示される構成としておくと、有効データの範囲より測定値が短い側に多く現われているか、長い側にも現われているか等の傾向を視覚的に認識しやすくなる。これにより、検者は次の測定に際してのプローブ2の当て方を修正し、適切な対応を取ることが可能になる。
眼軸長測定においては、短い側に測定値が現われた場合はプローブ2の当て方が押さえ気味である可能性が高いので、その旨を通知することによりプローブ2の当て方を適切に導くことができる。一方、測定値が長い側に現われた現われる場合は、それが正しい測定値である可能性もある。不慣れな検者においては、測定値が有効データより長い場合にその旨が通知されると、プローブ2を押え過ぎてしまうこともある。このため、一旦有効データとした範囲より長い側に測定値が外れていても、その場合には警告的な表示や警告音の発生を行わない構成としておいても良い。有効データとした範囲より長い側に測定値が外れていた場合に警告するか否かは、表示パネル3のタッチキーで選択可能しておくことができる。
眼科用超音波診断装置の外観略図である。 制御部の要部構成図である。 各組織領域の判別に関する説明図である。 第1実施例のフローチャートを説明する図である。 第1実施例の測定結果を説明する図である。 第1実施例の測定結果を説明する別の図である。 測定値履歴グラフを説明する図である。 第2実施例のフローチャートを説明する図である。 第2実施例のフローチャートを説明する図である。
符号の説明
2 超音波プローブ
3 表示パネル
10 制御部
12 トランスデューサ
14 サンプリングメモリ
15 メモリ
32 測定値表示部
35 測定値履歴グラフ

Claims (5)

  1. 被検眼角膜に接触させた超音波プローブによって受信した眼組織からの反射エコーに基づいて眼軸長、角膜厚等の測定対象領域の測定値をサンプリングし、所定の許容範囲に含まれる測定値を有効データとし、該有効データが所定個数になったときに自動的に測定を停止する眼科用超音波診断装置において、
    サンプリングされた測定値が前記有効データの許容範囲にあるか否かを判定し、測定値が前記有効データの許容範囲から外れたときは、測定値が前記有効データの許容範囲より短い側に外れたかを判定する判定手段と、
    該判定手段による判定結果を通知する通知手段と、を備えることを特徴とする眼科用超音波診断装置。
  2. 請求項1の眼科用超音波診断装置において、前記通知手段は、測定値が前記有効データの許容範囲にある場合の判定結果と短い側に外れた場合の判定結果とをそれぞれ予め約束された異なる表示態様又は異なる音により測定中に通知する手段を含むことを特徴とする眼科用超音波診断装置。
  3. 請求項1の眼科用超音波診断装置は、眼組織からの反射エコーに基づいてサンプリングされた測定対象組織の測定値を順次記憶する記憶手段と、
    該記憶手段に記憶された測定値について前記所定の許容範囲に含まれる測定値の個数が多いグループを有効データとして設定する有効データ設定手段と、を備え、
    前記判定手段は、前記記憶手段に測定値が記憶される毎に前記有効データ設定手段により設定された有効データの許容範囲に対して判定を行うことを特徴とする眼科用超音波診断装置。
  4. 請求項3の眼科用超音波診断装置において、前記有効データ設定手段は、前記有効データの範囲から長い側に外れて得られた測定値について、所定の許容範囲に含まれる測定値が2個以上で設定された所定の個数以上あるときは、前記長い側に外れた各測定値を基準にそれぞれ前記所定の許容範囲のグループを設定し、該設定した各グループに含まれる測定値の個数が最も多いグループの測定値を新たな有効データとすることを特徴とする眼科用超音波診断装置。
  5. 請求項1〜4の何れかの眼科用超音波診断装置において、前記判定手段はさらに測定値が前記有効データの許容範囲より長い側に外れたかをも判定し、前記通知手段は測定値が前記有効データの許容範囲にある場合の判定結果と、短い側に外れた場合の判定結果と、長い側に外れた場合の判定結果の3つの判定結果を通知する手段であることを特徴とする眼科用超音波診断装置。
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