JP4916518B2 - スピーカシステム - Google Patents

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Description

本願発明は、より広い周波数範囲において定指向性を得ることができ、また、より低い周波数において定指向性を得ることができるスピーカシステム、特に、複数台でスピーカクラスターシステムを構成することができるスピーカシステムに関する。
例えば、空港のロビーのようなある程度の広さを有する空間(音響空間)に音声を提供するために、ある周波数範囲において、一定の指向性を得ることができるように設計されたスピーカシステムを用いることがある。このようなスピーカシステムの典型的は例は、定指向性ホーン(コンスタント・ダイレクティビティー・ホーン)を用いたスピーカシステムである(例えば、非特許文献1参照)。
定指向性ホーンを用いたスピーカシステムは、キャビネットにウーハユニットを取り付けることによって構成されるボックススピーカと組合わせて使用されることが多い。このようなスピーカシステムによれば、定指向性ホーンによって提供される周波数帯域においては、比較的安定した指向性制御がなされる。つまり、比較的広い周波数範囲において、一定の指向性を得ることができる。
しかし、定指向性ホーンを用いたスピーカシステムと、ウーハユニットを有するボックススピーカとが金具などで連結される場合が多い。このように連結して構成された組合せ体は、寸法が大きくなり、また、全体の形状が複雑になる。よって、音響空間における設置工事が容易ではない。
また、定指向性ホーンよりもコンパクトで、かつ、より広い周波数範囲において一定の指向性を得ることができるスピーカシステムに対する要望もある。
一方、キャビネットにウーハとツイータとを取り付けたボックス型のスピーカシステムが用いられることもある。このツイータはホーンを有するタイプのツイータである。このようなスピーカシステムは、ウーハとツイータとがキャビネットに取り付けられているため、音響空間における設置工事が容易である。また、ウーハとツイータとがキャビネットに収められているので、好ましい意匠を提する。しかし、ツイータのホーンが比較的小型であるため、指向性の制御を定指向性ホーンほど広い周波数帯域において安定して行うことはできない。
佐伯多門,「新版スピーカー&エンクロージャー百科」,(日本国),株式会社誠文堂新光社,1999年5月28日,p.36−37
本願発明の目的は、コンパクトであるにもかかわらず、広い周波数範囲に渡って一定の指向性を得ることができるようなスピーカシステム、特に、複数台でスピーカクラスターシステムを構成することができるスピーカシステムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本願発明に係るスピーカシステムは、エンクロージャと、複数の第2スピーカユニットとを備え、該エンクロージャは、バッフル板としての前板部と、後板部とを有し、該後板部の、前後方向に直交する第1方向に沿った長さが、該前板部の該第1方向に沿った長さよりも短く、該複数の第2スピーカユニットが、該第1方向に沿って、該前板部側に並設され、さらに連結手段を備え、該連結手段は、該スピーカシステムの該前板部の該第1方向における端部と、他のスピーカシステムの前板部の該第1方向における端部とが近接するように、両スピーカシステムを該第1方向に沿って連結することができ、該連結手段は、前後方向および該第1方向に直交する第2方向に伸延する線であって、該前板部の該第1方向における端部の近傍に位置する線を中心線として、所定角度範囲内で該他のスピーカシステムとの角度を変更することができ、該複数の第2スピーカユニットのうちの隣り合う二の第2スピーカユニットの中心間距離が、該前板部の該第1方向における一端に最も近い第2スピーカユニットの中心から該一端側の該中心線までの距離と、該前板部の該第1方向における他端に最も近い第2スピーカユニットの中心から該他端側の該中心線までの距離との合計距離と、略同一である。
かかるスピーカシステムによれば、高い周波数帯域用の第2スピーカユニットが、該第1方向に沿って並設されるので、前面板に沿った波面(同位相面)が形成される。このようなスピーカシステム複数台を該第1方向において隣接配置すると、低い周波数から高い周波数までの周波数範囲において、滑らかな波面が形成され、定指向性を得ることができる。
また、このように構成されたスピーカシステム複数台が該第1方向に隣接配置されたときには、隣接する2台のスピーカシステムからの音波同士の干渉による指向性パターン上のピークやディップを減ずることができる。
さらに、このように構成されたスピーカシステム複数台が該第1方向に隣接配置されたときには、複数のスピーカシステムの前板部全体がなす形状に近い形状の滑らかな波面が形成される。よって、広い周波数範囲に渡り、定指向性を得ることができる。
本願発明によれば、より広い周波数範囲に渡って一定の指向性を得ることができる。また、所定の角度範囲において、任意に指向角を設定することができる。
スピーカシステムの図であり、(a)はその正面図、(b)はその平面図、(c)はその側面図である。 図1のII−II線矢視断面図である。 スピーカクラスターシステムの外観図である。 スピーカシステムと連結手段の外観を示す図である。 前側連結金具によって2台のスピーカシステムの前部を連結する手順を段階的に示す図である。 2台のスピーカシステムが前側連結金具等により連結された状態を模式的に示す図である。 後側連結部によって2台のスピーカユニットの後部を連結する方法を示す図である。 スピーカクラスターシステムの正面図である。 スピーカクラスターシステムの平面図である。 スピーカクラスターシステムの一部横断面図であり、(a)はツイータユニットを含む横断面を、(b)はウーハユニットを含む横断面を示す。 指向角周波数特性の測定結果を示す図である。 定指向性ホーンの図であり、(a)はその正面図、(b)はその平面図、(c)はその側面図である。 指向角周波数特性の測定結果を示す図である。 スピーカクラスターシステムの平面図である。 指向角周波数特性の測定結果を示す図である。 スピーカクラスターシステムの平面図である。 スピーカクラスターシステムの平面図である。 スピーカクラスターシステムの平面図である。 スピーカシステムにおける3台のツイータユニットの配置状態を示す断面図である。 スピーカシステム10の平面図である。 前側連結金具を重ねて表した、スピーカシステム10の横断面図である。 第1連結金具と第2連結金具とによって連結された、2台のスピーカシステムの平面図である。 仮想枢軸を中心として、所定角度範囲内で隣り合うスピーカシステム間の角度を変更することができるような連結手段で連結された2台のスピーカシステムの平面図である。 スピーカシステムが壁面に密着して取り付けられた状態を示す図である。 定指向性ホーンと、ウーハを内蔵したキャビネットとの組合せ体が、壁面に密着して取り付けられた状態を示す図である。 スピーカクラスターシステムが壁面に密着して取り付けられた状態を示す図である。
上記したスピーカシステムにおいて、該連結手段が仮想枢軸を有し、該仮想枢軸の位置が該中心線と一致するように構成してもよい。
また、上記したスピーカシステムにおいて、該連結手段が、該第1方向における一端側、他端側または両端側において該仮想枢軸を有するように構成してもよい。
また、上記したスピーカシステムにおいて、該連結手段が枢軸支部材を有し、該枢軸支部材の中心軸の位置が該中心線と一致するように構成してもよい。
また、上記したスピーカシステムにおいて、該連結手段が、該第1方向における一端側、他端側または両端側において該枢軸支部材を有するように構成してもよい。
また、上記したスピーカシステムにおいて、第1スピーカユニットをさらに備え、該第1スピーカユニットは、所定周波数よりも低い周波数帯域の音声を拡声し、該第2スピーカユニットは、該所定周波数よりも高い周波数帯域の音声を拡声するように構成してもよい。
また、上記したスピーカシステムにおいて、該複数の第2スピーカユニットの振動板が、前後方向において該前板部の近傍に位置することが望ましい。
また、上記したスピーカシステムにおいて、該中心線と該前板部の前面との間の前後方向における距離が20mm以下であることが望ましい。
また、上記したスピーカシステムにおいて、該中心線が、該前板部の前面よりも前方に位置することが望ましい。
また、上記したスピーカシステムにおいて、該連結手段が後側連結部を有し、該後側連結部が補強部材を有し、該補強部材が金属製であり、該補強部材の該第1方向に沿った長さが、該後板部の該第1方向に沿った長さに略等しく、該補強部材が、該後板部の近傍において、その該第1方向における両端が該後板部の該第1方向における両端近傍に位置するように、該エンクロージャに取り付けられた構成としてもよい。
このように構成すると、スピーカシステムを複数台隣接配置してスピーカクラスターシステムを構成しようとするとき、金属製の補強部材を介して隣り合う2台のスピーカシステムを連結することができる。そうすると、エンクロージャがこの補強部材によって補強される。
また、上記したスピーカシステムにおいて、該複数の第2スピーカユニットのうちの隣り合う二の第2スピーカユニットの中心間距離の全てが60mm以下であるように構成してもよい。
このように構成すると、複数の第2スピーカユニットからの音波同士の干渉による指向性パターン上のピークやディップを減ずることができる。
また、上記したスピーカシステムにおいて、該複数の第2スピーカユニットのうちの隣り合う二の第2スピーカユニットの中心間距離の全てが略等しくなるように構成してもよい。
また、上記したスピーカシステムにおいて、該複数の第2スピーカユニットのうちの隣り合う二の第2スピーカユニットの間隔の全てが、該第2スピーカユニットの口径よりも短くなるように構成してもよい。
このように構成すると、複数の第2スピーカユニットからの音波同士の干渉の影響を少なくし、指向性パターン上のピークやディップを減ずることができる。
また、上記したスピーカシステムにおいて、該複数の第2スピーカユニットのうちの少なくともの一の第2スピーカユニットの前方にイコライザが設けられるように構成してもよい。
このように構成すると、複数の第2スピーカユニットからの音波の波面が、より滑らかになる。
以下、図面を参照しつつ、本願発明の一実施形態たるスピーカシステムおよびスピーカクラスターシステムを説明する。
図1は、スピーカシステム10の図であり、(a)はその正面図、(b)はその平面図、(c)はその側面図である。図1には、このスピーカシステム10の概略寸法が記載されている。
スピーカシステム10は、エンクロージャ20と、第1スピーカユニットたるウーハユニット30と、第2スピーカユニットたるツイータユニット31,32,33とを備えている。
エンクロージャ20は、バッフル板としての前板部21と、後板部22と、左側板部23と右側板部24と、天板部25と、底板部26とを備える。これらの板部を外壁部として、エンクロージャ20が構成されている。
後板部22の幅は、前板部21よりも狭い。左側板部23と右側板部24とは、前板部21と後板部22との間に介在している。図1(b)から理解されるように、左側板部23と右側板部24とは略平板状である。左右の両側板部23,24は、前方に向かって開
くように配置されている。図1(b)から理解されるように、エンクロージャ20の平面視形状は略台形状である。
前板部21には、ウーハユニット30と、3台のツイータユニット31,32,33とが取り付けられている。図1(a)から理解されるように、ウーハユニット30の中心と、ツイータユニット31,32,33の中心との間の上下方向における距離は、120mmである。この距離は、120mm以下であることが望ましい。
3台のツイータユニット31,32,33は、ウーハユニット30よりも上方に取り付けられている。エンクロージャ20の前板部21における、ツイータユニット31,32,33よりも上の位置には、開口部27が形成されている。この開口部27は、バスレフポートの出口開口である。
エンクロージャ20の内部にはデバイディングネットワークが組み込まれている。そのクロスオーバー周波数は略2500Hzである。ウーハユニット30は120Hzから2500Hzまでの周波数範囲の音声を拡声する。ツイータユニット31,32,33は、2500Hzから20kHzまでの周波数範囲の音声を拡声する。
図2は、図1のII−II線矢視断面図である。図2によって、3台のツイータユニット31,32,33の構造をより良く理解することができる。3台のツイータユニット31,3
2,33は、全て、同一の構造を有する。3台のツイータユニット31,32,33の口径
寸法は略34mmである。
3台のツイータユニット31,32,33は、前板部21の左右方向に沿って並設されている。なお、本実施例での「左右方向」は「前後方向」に直交する第1方向であり、「幅方向」は「左右方向」に一致する方向である。
3台のツイータユニット31,32,33は、略等間隔で配置されている。
ツイータユニット31とツイータユニット32との間隔、および、ツイータユニット32とツイータユニット32との間隔は、ともに略6mmである。この間隔(略6mm)は、ツイータユニット31,32,33の口径(略34mm)以下の長さであり、さらに、ツイータユニット31,32,33の口径(略34mm)の2分の1以下の長さでもある。
このように、隣り合う2台のツイータユニットの間隔を短くしたのは、3台のツイータ
ユニット31,32,33からの音波の波面を、より直線的な波面に近づけるためである。直線的な波面を形成しようとするのは、一台のスピーカシステム10が有する3台のツイータユニット31,32,33からの音波同士の干渉によって生ずる、指向性パターン上のピークやディップを減ずるためであり、さらに、隣接して使用される複数のスピーカシステム10のツイータユニットからの音波同士の干渉による、指向性パターン上のピークやディップを減ずるためでもある。
ツイータユニット31の中心軸31aとツイータユニット32の中心軸32aとの距離、および、ツイータユニット32の中心軸32aとツイータユニット33の中心軸33aとの距離は、ともに略40mmである。つまり、スピーカシステム10において、隣り合う二のツイータユニットの中心間距離の全てが40mmである。この中心間距離は、60mm以下に設計することが好ましい。
このように、隣り合う2台のツイータユニットの中心間距離を短くしたのも、3台のツイータユニット31,32,33からの音波の波面を、より直線的な波面に近づけるためである。
3台のツイータユニット31,32,33の内の最も左に配置されたものは、ツイータユニット33である。ツイータユニット33の左端は、前板部21の左端の近傍に位置する。3台のツイータユニット31,32,33の内の最も右に配置されたものは、ツイータユニット31である。ツイータユニット31の右端は、前板部21の右端の近傍に位置する。ツイータユニット32は、ツイータユニット31とツイータユニット33との間の略中央点に位置する。
前板部21のほぼ全幅に渡って、複数のツイータユニット31,32,33を配置したのは、ツイータユニット31,32,33からの音波の波面をより直線的な波面に近づけるためであり、特に、隣接して使用される2台のスピーカシステム10のツイータユニットからの音波同士の干渉による、指向性パターン上のピークやディップを減ずるためである。
ツイータユニット31,32,33の振動板31b,32b,33bは、前後方向において前板部21の近傍に位置する。
各ツイータユニット31,32,33には、振動板31b,32b,33bの前方にイコライザ31c,32c,33cが設けられている。このイコライザ31c,32c,33cによって、振動板31b,32b,33bから放射される音波の経路が変化し、二点鎖線37で示すような波面が形成される。つまり、イコライザ31c,32c,33cの作用によって、ツイータユニット31,32,33からの音波の波面を、より直線的な波面に近づけることができる。
図3は、図1に示すスピーカシステム10を4台組み合わせて構成されたスピーカクラスターシステム40の外観図である。このスピーカクラスターシステム40は、4台のスピーカシステム10を連結することによって構成されている。4台のスピーカシステム10は、左右方向に沿って一列に並設されており、それらの前板部21は全体的に円弧に沿って並んでいる。複数台のスピーカシステム10をこのように連結させると、外観上も一体感があるので多くの聴取者に好まれる。また、一体のスピーカクラスターシステム40として取り扱うことができるので、音響空間における設置工事も容易である。以下に、スピーカシステム10同士の連結方法を示す。
図4は、スピーカシステム10と連結手段の外観を示す図である。連結手段は前側連結部と後側連結部とを有する。複数のスピーカシステム10は、前側連結部を構成する前側
連結金具51によって連結されている。また、後側連結部を構成する、補強部材たる後側連結補強金具52と、金具53とによっても連結されている。金具53は、二枚の後側連結補強金具52同士を連結するための部材である。
前側連結金具51、後側連結補強金具52および金具53は、すべて板状であり、かつ、鉄製である。なお、鉄製でなくとも、他の材質製であってもよい。しかし、後側連結補強金具52には強度が要求されるので、銅製、真鍮製、アルミニウム製などの金属製であることが望ましい。
前側連結金具51には、2の取付孔51aと、1の軸孔51bとが形成されている。スピーカシステム10の天板部25には、前側連結金具51を固定するための、4の雌ねじ孔58が形成されている。
後側連結補強金具52には、4の取付孔52aが形成されている。スピーカシステム10の後部には、後側連結補強金具52を固定するための、4の雌ねじ孔59が形成されている。
金具53には4の孔53aが形成されている。
2台のスピーカユニット10を連結させるには、まず、前側連結金具51で2台のスピーカシステム10の前部を連結し、次に、後側連結補強金具52と金具53とによって2台のスピーカシステム10の後部を連結すればよい。
図5は、前側連結金具51によって2台のスピーカシステム10の前部を連結する手順を、段階的に示す図である。まず(a)に示すように、前側連結金具51を、ボルト61によってスピーカシステム10に固定する。ボルト61は、前側連結金具51の取付孔51aを通ってスピーカシステム10の雌ねじ孔58に螺合している。
次に(b)に示すように、2台のスピーカシステム10に取り付けられた前側連結金具51同士を、ボルト62とナット(図示せず)とによって繋ぐ。ボルト62とナットが螺合し、かつ、両者が強く締め付けられない状態では、2台のスピーカシステム10の連結角度を所定の角度範囲で自由に調整することができる。
前側連結金具51は、それが取り付けられたスピーカシステム10の前板部21の側方に突出している。この突出した部分(突出部)51c(図5(a)参照)に形成された軸孔51bをボルト62が通り(図5(b)参照)、このボルト62がナットと螺合している。ボルト62は上下方向に伸延している。このようにして、前側連結金具51の突出部51cにおいて、前板部21の端部の近傍に位置する枢軸支部が形成されている。ボルト62が上下方向に伸延しているので、枢軸支部の中心軸も上下方向に伸延しているということができる。なお、本実施例での「上下方向」は「前後方向」および「左右方向」に直交する第2方向である。
このような枢軸支部を設けたのは、隣接する2台のスピーカシステム10の連結角度を、所定の角度範囲において自由に設定することができるようにするためである。このように構成すると、スピーカクラスターシステム40(図3参照)の開き角を所定の角度範囲内において任意に設定することができる。これにより、スピーカクラスターシステム40の指向角を所定の角度範囲内において任意に設定することができる。
また、この枢軸支部が、ウーハユニット30やツイータユニット31,32,33が取り付けられた前板部21の側方に突出した突出部51cにおいて、前板部21の左右方向に
おける端部の近傍に設られているので、2台のスピーカシステム10の連結角度がどのような角度に設定されても、2台のスピーカシステム10の前板部21の端部同士が近接する。よって、2台のスピーカシステム10のウーハユニット30やツイータユニット31,32,33は大きく離れない。2台のスピーカシステム10のウーハユニット30同士やツイータユニット31,32,33同士が大きく離れてしまうと、滑らかな波面を得ることができなくなり、指向性パターン上でピークやディップが生ずる。
図6は、2台のスピーカシステム10が前側連結金具51等により連結された状態を模式的に示す図である。図中の左側のスピーカシステム10においては、最も右側に配置されたツイータユニット31の右端が、前板部21の右端の近傍に位置する。図中の右側のスピーカシステム10においては、最も左側に配置されたツイータユニット33の左端が、前板部21の左端の近傍に位置する。枢軸支部を構成するボルト62は、両前板部21の端部の近傍に位置する。
このような連結状態であるから、2台のスピーカシステム10の連結角度がどのような角度に設定されても、滑らかな波面を得ることができる。
なお、図示していないが、2台のスピーカユニット10の底板部26の前部も、上記と同様の方法で連結される。
図7は、後側連結部によって2台のスピーカユニット10の後部を連結する方法を示す図である。
図7(a)は、後側連結補強金具52がその上に置かれた、2台のスピーカシステム10を示す。後側連結補強金具52は、その取付孔52aがスピーカシステム10の雌ねじ孔59に対応するように、スピーカシステム10の上に置かれている。図7(a)からも理解されるように、後側連結補強金具52は、後板部22の近傍に配置されている。そして、後側連結補強金具52の幅寸法は、スピーカシステム10の後板部22の幅寸法に略等しい。また、後側連結補強金具52の左右方向における両端は、後板部22の左右方向における両端の近傍に位置している。
図7(b)は、金具53とボルト64とによって、2のスピーカシステム10の後部が連結された状態を示す図である。金具53は、2枚の後側連結補強金具52に重なるようにして配置されている。ボルト64は、金具53の孔53aと後側連結補強金具52の取付孔52aとを通過して、スピーカシステム10の後部の雌ねじ孔59に螺合し、かつ、そこに締め付けられている。
このようにして2台のスピーカシステム10の前部と後部とを、種々の金具で連結し、その後、図6に示すボルト62をナット(図示せず)に対して強く締め付ける。
2台のスピーカシステム10同士の連結角度は、図7(b)に示す金具53の幅(左右方向寸法)を変更することによって、種々に変更することができる。
図7(a)(b)に、後側連結補強金具52を示した。この後側連結補強金具52は、連結される複数台のスピーカシステム10に強度を与えるためのものである。つまり、2台だけでなく、より多くのスピーカシステムを連結させるときには、スピーカシステム10の後部に大きな力が加わることがある。例えば、スピーカクラスターシステム40を、ある音響空間の天井から吊り下げることもある。このときには、天井からのワイヤが金具53に固定されることがある。そうすると、スピーカシステム10のエンクロージャ20の後部に大きな力が加わる。後側連結補強金具52は、このときに加わる力が、エンクロ
ージャ20に直接的に作用しないようにするためのものである。
なお、この後側連結補強金具52は、エンクロージャ20の外側に配置することもできるが、予め、エンクロージャ20の内側に配置しておいてもよい。そして、後側連結補強金具の取付孔を雌ねじ孔として形成しておいてもよい。
図7(c)は、予め、エンクロージャ20の内側に配置された後側連結補強金具54同士が、金具53を介して連結された状態を示す図である。このような構造においても、後側連結補強金具54によって、連結される複数台のスピーカシステムに強度が与えられる。
図8は、図3に示すスピーカクラスターシステム40の正面図である。この図には、スピーカクラスターシステム40の寸法が記されている。
図9は、図3に示すスピーカクラスターシステム40の平面図である。この図にも、スピーカクラスターシステム40の寸法が記されている。並列配置された複数のスピーカシステム10のうちの両端のスピーカシステム10には、左右方向における一方端にのみ、前側連結金具51が設けられている。それ以外のスピーカシステム10には、左右方向における両端に、前側連結金具51が設けられている。
この図から理解されるように、複数のスピーカシステム10が円弧に沿って放射状に並設されている。この円弧の中心点40aの位置を、スピーカクラスターシステム40の仮想音源の位置と見なすことができる。つまりスピーカクラスターシステム40は、中心点40a上に位置する仮想音源から、所定の角度範囲においてほぼ一定の音圧を提供できると考えられる。
図10は、図8、図9に示すスピーカクラスターシステム40の一部横断面図であり、(a)はツイータユニット31,32,33を含む横断面を、(b)はウーハユニット30を含む横断面を示す。
図10(a)には、12のツイータユニット31,32,33によって形成されたツイータユニット列が示されている。このツイータユニット列における隣り合う二のツイータユニットの中心間距離は、全て略40mmである。この中心間距離は、60mm以下に設計することが好ましい。
このツイータユニット列においては、複数のツイータユニット31,32,33が密接に並設されているので、複数のツイータユニット31,32,33からの音波同士の干渉による指向性パターン上のピークやディップを減ずることができる。
図10(b)には、4のウーハユニット30によって形成されたウーハユニット列が示されている。このウーハユニット列における隣り合う二のウーハユニットの中心間距離は、全て略135mmである。この中心間距離は、140mm以下に設計することが好ましい。
このウーハユニット列においては、複数のウーハユニット30が密接に並設されているので、複数のウーハユニット30からの音波同士の干渉による指向性パターン上のピークやディップを減ずることができる。
出願人は、図8,図9に示されるスピーカクラスターシステム40と同一寸法かつ同一
構造のスピーカクラスターシステムを使用して、水平面内における指向角周波数特性を測
定した。指向角とは、音圧レベルが基準軸の音圧レベルよりも6dB小さくなる二つの方向の開き角のことである。
図11は、この測定結果を示すものである。一般的に言うと、小型のスピーカ装置によって、低い周波数における狭い指向角を得ることは困難である。ここでは60度の指向角を基準とし、どの程度低い周波数まで60度の指向角を維持することができるかに着目する。図11に示される指向角周波数特性においては、800Hzまで、約60度の指向角が維持されている。
一方、出願人は、出願人が保有する定指向性ホーンにドライバユニットを取り付け、その定指向性ホーンの水平面内における指向角周波数特性を測定した。
図12は、この定指向性ホーン70の図であり、(a)はその正面図、(b)はその平面図、(c)はその側面図である。図12には、定指向性ホーン70の寸法が記されている。
図13は、図12の定指向性ホーン70に関する測定結果を示すものである。図13に示される指向角周波数特性においては、1.6kHzの周波数までしか、約60度の指向角が維持されない。
図8,図9,図12から理解されるように、スピーカクラスターシステム40は、高さ、横幅および奥行き寸法において、図12の定指向性ホーン70と略同一である。しかし、定指向性ホーン70はドライバユニットを取り付けて使用されるので、定指向性ホーン70を用いたスピーカ装置の奥行き寸法は、図12に記載された奥行き寸法よりもかなり大きくなる。
一方、図11と図13との比較から理解されるように、定指向性ホーン70よりもスピーカクラスターシステム40の方が、より低い周波数まで60度の指向角を維持している。
以上のことから、スピーカクラスターシステム40と、従来の定指向性(コンタント・ダイレクティビティ)を目的としたスピーカ装置とを比べると、高さ、横幅 および 指向角において略同一であるにもかかわらず、スピーカクラスターシステム40の方が各段に小さな奥行き寸法に、かつ、コンパクトに設計することができるということが理解される。
また、定指向性ホーン70は、単独では十分に低い周波数において音声を拡声することができない。よって、定指向性ホーン70はウーハシステムと併用されることが多い。このため、装置全体がより大型化する。これに対して、スピーカクラスターシステム40は、ウーハユニット30を有するので、十分に低い周波数において音声を拡声することができる。よって、別個のウーハシステムを併用する必要はない。この意味においても、定指向性ホーン70を用いたスピーカ装置に比べて、スピーカクラスターシステム40の方が各段にコンパクトであると言うことができる。
さらに、図11からも理解されるように、スピーカクラスターシステム40を用いると、ウーハが適用されるような低い周波数帯域においても、十分に指向性を制御することができる。スピーカクラスターシステム40が低い周波数における指向性制御にいかに有効であるかは、図11と図13とを比較すると明らかである。
先に、2台のスピーカシステム10同士の連結角度は、金具53(図8参照)を異なる
寸法の金具に変更することによって、種々に変更することができるということを説明した。
図14は、幅のより大きな金具55で4台のスピーカシステム10を連結することによって構成されたスピーカクラスターシステム72の平面図である。このスピーカクラスターシステム72のスピーカシステム10の構造や寸法は、図1に示すスピーカシステム10と同一である。点72aは、このスピーカクラスターシステム72の仮想音源の位置を示す。
出願人は、図14に示されるスピーカクラスターシステム72と同一寸法かつ同一構造のスピーカクラスターシステムを使って、水平面内における指向角周波数特性を測定した。
図15は、この測定結果を示すものである。ここでは、35度の指向角を基準とし、どの程度低い周波数まで35度の指向角を維持することができるかに着目する。図15に示される指向角周波数特性においては、1.4kHzの周波数まで、約35度の指向角が維持されている。
図14のスピーカクラスターシステム72が、図12の定指向性ホーン70とほぼ同一寸法であることと、図12の定指向性ホーン70では、60度の指向角が1.6kHzまでしか維持されないことを考えると、図14のスピーカクラスターシステム72によれば低い周波数においてもより狭い指向角を得ることができるということが理解できる。
図16は、図14のスピーカクラスターシステム72と同一のものを2組用意し、これらを左右に隣接させて連結させることによって構成されるスピーカクラスターシステム74の平面図である。このスピーカクラスターシステム74は、図8,図9のスピーカクラ
スターシステム40の約2倍の幅寸法を有している。また、仮想音源の位置を示す点74aを中心とする開き角は、図8,図9のスピーカクラスターシステム40と同程度である
図8,図9のスピーカクラスターシステム40の指向角周波数特性においては、800
Hzまで約60度の指向角が維持されることを考えると、図16のスピーカクラスターシステム74の指向角周波数特性においては、約400Hzまで約60度の指向角が維持されることが期待できる。
図17は、図8,図9のスピーカクラスターシステム40と図14のスピーカクラスタ
ーシステム72とを左右に隣接させて連結させることによって構成されるスピーカクラスターシステム76の平面図である。このスピーカクラスターシステム76では、1kHz付近の周波数まで約90度の指向角が維持されることが期待できる。
図18は、スピーカクラスターシステム78の平面図である。このスピーカクラスターシステム78は、図9に示すスピーカクラスターシステム40と同一の開き角を有する。
スピーカクラスターシステム78を構成する複数のスピーカシステム10は、前側連結部を構成する前側連結金具51によって連結されている。この前側連結金具51は、図9のスピーカクラスターシステム40において使用されている前側連結金具51と同一のものである。
スピーカクラスターシステム78を構成する複数のスピーカシステム10は、連結部材たる連結金具57によっても連結されている。連結金具57は、鉄製である。
各連結金具57は、隣り合う2のスピーカシステム10を連結している。隣り合う連結金具57同士は、一部において重なっている。この重なり部分を、ボルト64が貫通している。このボルト64は、スピーカシステム10の天板部25に形成された雌ネジ孔(図示せず)に螺合し、ここ(雌ネジ孔)に締め付けられている。
3枚の連結金具57によって、最左端に配置されたスピーカシステム10から最右端に配置されたスピーカシステム10までの間が途切れることなく橋渡しされている。このように、3枚の連結金具57を連結することによって、架橋手段が構成されている。
このようにして、4台のスピーカシステム10が、3枚の連結金具57によって連結され、強固に一体化している。
図1のスピーカシステム10を4台用意し、その側面同士を近接させると、約60度の定指向性を得ることができた。しかし、それ以上に広い角度の定指向性を、図1のスピーカシステム10を4台組合わせることによって得ることはできない。このことは、図9を参照することによって理解できる。つまり、隣接するスピーカシステム10同士の後部が近接しているので、4台のスピーカシステム10を、これ以上広く開くように配置させることができないのである。
しかし、スピーカシステム10の後板部22の幅をより狭くすると、より開き角の大きなスピーカクラスターシステムを構成することができる。例えば、後板部の幅がより狭いスピーカシステムを4台組み合わせることによって、約120度の定指向性を得ることができるようなスピーカクラスターシステムを構成することもできる。この場合は、スピーカシステムにおけるツイータユニットを、図2に示すように直線に沿って配置するのではなく、凸円弧に沿って配置することが望ましい。なぜなら、4台のスピーカシステムの組合せによって中心角が約120度である円弧状の波面を形成することが望ましく、そのためには、1台のスピーカシステムが放射する音波の波面が、中心角が約30度である円弧状の波面であることが望ましいからである。なお、ここに言う「凸円弧」の突出方向は、スピーカシステムにおける前向きの方向である。
図19は、スピーカシステム11における3台のツイータユニット31,32,33の配置状態を示す断面図であり、図2と対比されるべき図である。図19を参照すると、3台のツイータユニット31,32,33は凸円弧に沿って配置されている。よって、スピーカシステム11から放射される音波の波面も円弧状になる。図中の二点鎖線38はその波面を示す。
図20は、スピーカシステム10の平面図であり、図1(b)と同様の図である。ここで、左側板部23は、スピーカシステム10のエンクロージャの第1方向における一方側板部に相当し、右側板部24は、スピーカシステム10のエンクロージャの第1方向における他方側板部に相当する。
スピーカシステム10の左側板部23と右側板部24とのなす角(α)は、略15度である。このように、なす角(α)を略15度とするのが、複数のスピーカシステム10によってスピーカクラスターシステムを構成するためには最も適している。なお、このなす角(α)は略15度である必要はないが、15度以上にするのが好ましい。
図21は、スピーカシステム10の横断面図であり、この横断面図に前側連結金具51を重ねて示している。
この図から理解されるように、枢軸支部たるボルト62の中心軸と、前板部21との間の前後方向における距離は、略14mmである。
枢軸支部の中心軸は、前後方向において前板部21の近傍に位置することが好ましいことは前述したとおりであるが、枢軸支部の中心軸と前板部21の前面との間の前後方向における距離が20mm以下であることがより望ましい。また、枢軸支部の中心軸は、前板部21の前面よりも前方に位置しても、後方に位置してもよいが、図21のように前方に位置する方が望ましい。
図9に、スピーカクラスターシステム40の平面図を示した。この平面図から理解されるように、スピーカクラスターシステム40は、複数のスピーカシステム10が、連結手段によって連結されることによって構成されている。図9の連結手段によって連結されることにより、隣り合うスピーカシステム10間の角度が定まる。
しかし、隣り合うスピーカシステム間の角度を、所定角度範囲内で変更できるような連結手段を用いることもできる。
図22は、第1連結金具101と第2連結金具102とによって連結された、2台のスピーカシステム10の平面図である。第1連結金具101と第2連結金具102とによって、連結手段が構成されている。
第1連結金具101は、図9の前側連結金具51と同様に構成されている。ボルト62が枢軸支部として機能する。第2連結金具102は、円弧状のスリット102aが形成された、板状の部材である。この円弧の中心は、ボルト62の中心軸に一致する。スリット102aを通ってボルト65がスピーカシステム10の天板部25に形成された雌ネジに螺合されている。これにより、ボルト62を中心として、所定角度範囲内で2台のスピーカシステム10の間の角度を、所定角度範囲内で変更できる。
図22(a)は、2本のボルト65がスリット102aの両端に位置する場合を示している。この場合は、2台のスピーカシステム10の間の角度は最も大きくなる。
図22(b)は、2本のボルト65がスリット102aの中ほどに位置する場合を示している。この場合は、2台のスピーカシステム10の間の角度は最も小さくなる。
このような連結手段を用いると、スピーカクラスターシステムの開き角を所定角度範囲内で容易に変更することができる。
さらに、仮想枢軸を中心として、所定角度範囲内で隣り合うスピーカシステム間の角度を変更することができるような、連結手段を用いることもできる。
図23は、このような連結手段で連結された2台のスピーカシステム10の平面図である。
図23(a)に示される連結手段は、第3連結金具103と第4連結金具104とによって構成されている。
第4連結金具104は、図22の第2連結金具102と同様に構成されている。第3連結金具103は、第4連結金具104より少し短いが、ほぼ同様に構成されている。
第3連結金具103には円弧状のスリット103aが形成されている。スリット103
aを通ってボルト65がスピーカシステム10の天板部25に形成された雌ネジに螺合されている。第4連結金具104にも円弧状のスリット104aが形成されている。スリット104aを通ってボルト65がスピーカシステム10の天板部25に形成された雌ネジに螺合されている。これにより、2台のスピーカシステム10間の前板部近傍に、仮想枢軸Pを想定することができる。つまり、ボルト65を少し緩めて、スリット103a,1
04a内でこれらボルト65をスライドさせるようにして2台のスピーカシステム10間の角度を変更させると、あたかも仮想枢軸Pを中心としたかのように、2台のスピーカシステム10間の角度が変更されるのである。スリット103aとスリット104aとが円弧状であることを前述したが、これら円弧の中心は、仮想枢軸Pに一致する。
スピーカシステム10を、図23(a)の実線で示すような状態にすることもできるし、一点鎖線で示すような状態にすることもできる。このように、仮想枢軸Pを中心として、所定角度範囲内で隣り合う2台のスピーカシステム10間の角度を変更することができる。
図23(b)に示される連結手段は、第5連結金具105によって構成されている。
第5連結金具105は、図23(a)の第3連結金具103と第4連結金具104とが一体化したような構造である。つまり前後に円弧状のスリット103a,104aが形成
されている。このような連結手段を用いた場合も、2台のスピーカシステム10間の前板部近傍に、仮想枢軸Pを想定することができる。そして、この仮想枢軸Pを中心として、所定角度範囲内で隣り合う2台のスピーカシステム10間の角度を変更することができる。
先に、図21を参照しつつ、枢軸支部の中心軸と前板部21の前面との間の前後方向における距離が20mm以下であることがより望ましいことを説明した。また、枢軸支部の中心軸が、前板部21の前面よりも前方に位置する方が望ましいことを説明した。
同様に、図23(a)(b)のような連結手段を用いた場合も、仮想枢軸Pと前板部21の前面との間の前後方向における距離が20mm以下であることがより望ましい。また、仮想枢軸Pが、前板部21の前面よりも前方に位置する方が望ましい。
もちろん、図23(a)(b)に示すような仮想枢軸Pが、スピーカシステム10の左右方向における右端側のみに想定されるようにしてもよいし、左端側のみに想定されるようにしてもよいし、両端側に想定されるようにしてもよい。
先に、図9のスピーカクラスターシステム40では、仮想音源の位置を規定できるということを説明した。このことにより、スピーカクラスターシステム40を音響空間の壁面に密着させて取り付けると、鏡像音源の問題を回避できる。以下にこのことを説明する。
図24は、キャビネット80にウーハユニット81とツイータユニット82とを取り付けることによって構成されたボックス型のスピーカシステム83が、壁面Wに密着して取り付けられた状態を示す図である。ツイータユニット82から聴取者Aまでの音波の経路は複数ある。その内の一つは、なんらの反射もせずにツイータユニット82から直接的に聴取者Aまで達する音波の経路(第1経路)85である。他の一つは、壁面Wで反射してから聴取者Aに達する音波の経路(第2経路)86である。スピーカシステム83が壁面Wに密着しているため、ツイータユニット82からの音波は壁面Wで反射しても大きく減衰はしない。第2経路86に沿って伝搬する音波は、鏡像音源87から放射される音波のように作用する。第1経路85の経路長と第2経路86の経路長との差によって、音波の干渉が生ずる。このため、聴取者Aの位置での振幅周波数特性において大きなピークやデ
ィップが生ずる。このことが、スピーカシステム83からの音声の明瞭度を低下させる。
図25は、定指向性ホーン88と、ウーハを内蔵したキャビネット89とが組み合わされて構成された組合せ体90が、壁面Wに密着して取り付けられた状態を示す図である。この場合も、鏡像音源91が作られ、定指向性ホーン88から聴取者Aまでの音波の経路が複数作られる。定指向性ホーン88から直接的に聴取者Aまで達する音波と、壁面Wで反射してから聴取者Aに達する音波とが干渉するので、音声の明瞭度が低下する。
図26は、図9のスピーカクラスターシステム40が壁面Wに密着して取り付けられた状態を示す図である。この場合は、鏡像音源の位置が実音源の位置に一致する。なぜなら、スピーカクラスターシステム40においては、複数のスピーカシステムがその上に配置された円弧の中心点に仮想音源が形成され、この仮想音源を実音源とみなすことができるからであり、図26に示すようにスピーカクラスターシステム40の仮想音源は壁面W上の点40aに位置するからである。よって、スピーカクラスターシステム40からの音声の明瞭度が、音波の壁面Wでの反射によって低下することがない。
本願発明によれば、小型のシステムによって、より広い周波数範囲に渡って定指向性を得ることができる。よって、電気音響の技術分野において、特にスピーカシステムの技術分野において有益である。
10,11 スピーカシステム
20 エンクロージャ
21 前板部
22 後板部
23 左側板部
24 右側板部
25 天板部
26 底板部
27 開口部
30 ウーハユニット
31,32,33 ツイータユニット
31a,32a,33a 中心軸
31b,32b,33b 振動板
31c,32c,33c イコライザー
40,72,74,76,78 スピーカクラスターシステム
51 前側連結金具
52,54 後側連結補強金具
53,55 金具
57 連結金具
61,62,64 ボルト
70 定指向性ホーン
83 スピーカシステム
87 鏡像音源
90 組合せ体
91 鏡像音源
A 聴取者
W 壁面

Claims (14)

  1. エンクロージャと、複数の第2スピーカユニットとを備え、
    該エンクロージャは、バッフル板としての前板部と、後板部とを有し、
    該後板部の、前後方向に直交する第1方向に沿った長さが、該前板部の該第1方向に沿った長さよりも短く、
    該複数の第2スピーカユニットが、該第1方向に沿って、該前板部側に並設され、
    さらに連結手段を備え、
    該連結手段は、該スピーカシステムの該前板部の該第1方向における端部と、他のスピーカシステムの前板部の該第1方向における端部とが近接するように、両スピーカシステムを該第1方向に沿って連結することができ、
    該連結手段は、前後方向および該第1方向に直交する第2方向に伸延する線であって、該前板部の該第1方向における端部の近傍に位置する線を中心線として、所定角度範囲内で該他のスピーカシステムとの角度を変更することができ
    該複数の第2スピーカユニットのうちの隣り合う二の第2スピーカユニットの中心間距離が、該前板部の該第1方向における一端に最も近い第2スピーカユニットの中心から該一端側の該中心線までの距離と、該前板部の該第1方向における他端に最も近い第2スピーカユニットの中心から該他端側の該中心線までの距離との合計距離と、略同一である、スピーカシステム。
  2. 該連結手段が仮想枢軸を有し、該仮想枢軸の位置が該中心線と一致する、請求項1記載のスピーカシステム。
  3. 該連結手段が、該第1方向における一端側、他端側または両端側において該仮想枢軸を有する、請求項2記載のスピーカシステム。
  4. 該連結手段が枢軸支部材を有し、該枢軸支部材の中心軸の位置が該中心線と一致する、請求項1記載のスピーカシステム。
  5. 該連結手段が、該第1方向における一端側、他端側または両端側において該枢軸支部材を有する、請求項4記載のスピーカシステム。
  6. 第1スピーカユニットをさらに備え、
    該第1スピーカユニットは、所定周波数よりも低い周波数帯域の音声を拡声し、
    該第2スピーカユニットは、該所定周波数よりも高い周波数帯域の音声を拡声する、請求項1乃至5のいずれか一の項に記載のスピーカシステム。
  7. 該複数の第2スピーカユニットの振動板が、前後方向において該前板部の近傍に位置する、請求項1乃至6のいずれか一の項に記載のスピーカシステム。
  8. 該中心線と該前板部の前面との間の前後方向における距離が20mm以下である、請求項1乃至7のいずれか一の項に記載のスピーカシステム。
  9. 該中心線が、該前板部の前面よりも前方に位置する、請求項8記載のスピーカシステム。
  10. 該連結手段が後側連結部を有し、
    該後側連結部が補強部材を有し、
    該補強部材が金属製であり、
    該補強部材の該第1方向に沿った長さが、該後板部の該第1方向に沿った長さに略等しく、
    該補強部材が、該後板部の近傍において、その該第1方向における両端が該後板部の該第1方向における両端近傍に位置するように、該エンクロージャに取り付けられた、請求項1乃至9のいずれか一の項に記載のスピーカシステム。
  11. 該複数の第2スピーカユニットのうちの隣り合う二の第2スピーカユニットの中心間距離の全てが60mm以下である、請求項1乃至10のいずれか一の項に記載のスピーカシステム。
  12. 該複数の第2スピーカユニットのうちの隣り合う二の第2スピーカユニットの中心間距離の全てが略等しい、請求項1乃至11のいずれか一の項に記載のスピーカシステム。
  13. 該複数の第2スピーカユニットのうちの隣り合う二の第2スピーカユニットの間隔の全てが、該第2スピーカユニットの口径よりも短い、請求項11又は12記載のスピーカシステム。
  14. 該複数の第2スピーカユニットのうちの少なくともの一の第2スピーカユニットの前方にイコライザが設けられた、請求項1乃至13のいずれか一の項に記載のスピーカシステム。
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