JP4915189B2 - スポット溶接の品質判定方法及び品質判定システム - Google Patents
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例えば、特許文献1には、スポット溶接において、電流値が閾値の範囲内であるか否かによって溶接の品質を判定する品質判定方法が開示されており、具体的には、予め設定された溶接回数ごとに、かかる閾値を一定の傾向で変化させる(再設定させる)ことで、電流設定値が度々更新されても作業者の手を煩わすことがなく、また、設置台数が多くても入力作業を簡易に行えるようにした方法が開示されている(特許文献1参照)。
また、スポット溶接時若しくは溶接前の被溶接物の板組み状態に起因する溶接異常を予め検出することができ、判定効率をより向上できる。
また、スポット溶接時若しくは溶接前の被溶接物の板組み状態に起因する溶接異常を予め検出することができ、判定効率をより向上できる。
図1は本発明の一実施例に係る品質判定システムを備えた溶接システムの全体的な構成を示した側面図、図2は溶接ガンに固定された状態の被溶接物の側断面図、図3は品質判定システムのスケルトン図、図4は品質判定システムを用いた品質判定方法を示すフローチャート、図5は品質判定システムにおける被溶接物に通電される電流値の経時変化を示した図、図6は別実施例の品質判定システムのスケルトン図、図7は別実施例の品質判定システムを用いた品質判定方法を示すフローチャート、図8は別実施例の品質判定システムにおける被溶接物に通電される電流値の経時変化を示した図である。
図1及び図2に示すように、本実施例のスポット溶接システム1は、例えば、自動車の車体を溶接組立する製造ラインの側近に配備されて、図示せぬ搬送装置によって搬送される被溶接物としてのワークWの所定箇所に所定条件でスポット溶接を行うシステムであって、ワークWへの溶接を行う溶接ガン3を有する溶接ロボット2と、溶接ロボット2を稼動させて所定の溶接条件に基づいてワークWに対する溶接を制御する制御装置4と、ワークWの品質判定システム5等とで構成されている。
図3及び図4に示すように、品質判定システム5は、上述したスポット溶接システム1に設けられており、スポット溶接時に同時にワークWの品質を判定するものである。
なお、「ワークWの品質の良否を判定する」とは、スポット溶接によって完全に溶着された、若しくは溶着させることができるワークWの品質を判定することをいい、本実施例では、スポット溶接するワークWにおける、所定加圧下での板組みごとの板隙Dに対応した電極チップ30・30間の抵抗値が、閾値の範囲内であるか否かに基づいてその品質の良否を判定することをいう。
電圧検出部50では、溶接ガン3に設けられた電圧センサによって電極チップ30・30間の電圧が測定され、図示せぬ波形復元回路により得られたアナログ信号の検出信号がAD変換器52を介してデジタル信号に変換されてコンピュータ装置54に出力される。
電流検出部51では、溶接ガン3の一方の電極チップ30に付設されたトロイダルコイル型の電流センサ51aによって電流が測定され、図示せぬ波形復元回路により得られたアナログ信号の検出信号がAD変換器52を介してデジタル信号に変換されてコンピュータ装置54に出力される。
なお、「板組み情報」とは、ワークWを構成する板組み(薄鋼板)の素材、材質、強度、薄鋼板一枚当たりの厚さ、及び薄鋼板の組み合せ等に関する情報のことをいう。
なお、「溶接条件」とは、スポット溶接を行う際の溶接内容を表すものであって、溶接位置、電流値、電圧値、溶接時間、及び加圧力等に関する情報が含まれる。
なお、「判定条件」とは、ワークWの品質を判定する際の判定内容を表すものであって、溶接位置、電流値、電圧値、溶接時間、及び加圧力等に関する情報の他に、板組みごとの所定加圧下での板隙Dに対応した抵抗値の閾値に関する情報が含まれる。
品質判定部54dにおいて、実測抵抗値R1が判定条件抽出部54bで抽出された閾値の範囲内にあってワークWの品質が「良」であると判定された場合には、ワークWの板隙Dの離間が所定範囲内であって、形成されたナゲットNによって各板組みが十分に溶着されることを意味する。一方、実測抵抗値R1が判定条件抽出部54bにて抽出された閾値の範囲外にあってワークWの品質が「否」であると判定された場合には、ワークWの板組みの板隙Dが所定範囲以上に離間していて、形成されたナゲットNによっても各板組みが十分に溶着されないことを意味する。
特に、本実施例の判定条件テーブル56aは、まず、所定のワークWに対して通電時間と電流値の大きさを変化させた時の、各通電時間および電流値における板隙Dと抵抗値との相関が調べられ、次いで、同じワークWに対して加圧力を変化させたときの、各加圧力における板隙Dと抵抗値との相関が調べられて、所定加圧下での各板隙Dに対応した抵抗値の閾値が記憶される。
また、この判定条件テーブル56aには、ワークWに応じて最適な判定条件が選定されて記憶されており、具体的には、板組み情報ごとに、板隙Dと抵抗値との間に相関関係が得られる最適な通電時間、電流値、加圧力、及び抵抗値の閾値が記憶される。
品質判定時の所定加圧力は、板隙Dと抵抗値とが相関を有するように選定され、また、板組みの薄鋼板一枚当たりの厚さが薄い場合は低加圧とし、厚い場合はそれより高加圧とするのが好ましい。ただし、何れの場合の加圧力もスポット溶接時の加圧力と比べて小さいことが好ましい。
抵抗値の閾値は、板隙Dに対応する実測抵抗値R1の上限値及び下限値として、例えば、実測抵抗値R1が初期値からの上昇率(変化率)で60%〜70%となる値(範囲)が選定される。
図4及び図5に示すように、ワークWの品質判定を行うにあたり、まず溶接ガン3に取り付けられたワークWの板組み情報を入力部53より入力する(S100)。入力部53で入力された板組み情報に基づいて、溶接条件抽出部54aで溶接条件記憶部55に記憶された溶接条件テーブル55aからワークWに応じた溶接条件を抽出する(S101)。これと同時に、入力部53により入力された板組み情報に基づいて、判定条件抽出部54bで判定条件記憶部56に記憶された判定条件テーブル56aからワークWに応じた判定条件(抵抗値の閾値)を抽出する(S102)。
本実施例では、スポット溶接前(若しくはスポット溶接の初期)にワークWの品質判定を行うように制御される(図5参照)。すなわち、まず判定条件に基づいて所定加圧下で所定時間だけ通電し、抵抗値検出部54cにて、電圧検出部50及び電流検出部51より出力された電圧値及び電流値から電極チップ30・30間の実測抵抗値R1を演算して検出する(S103)。そして、品質判定部54dにて、抵抗値検出部54cで検出された実測抵抗値R1が判定条件抽出部54bで抽出された抵抗値の閾値の範囲内にあるか否かを判定する(S104)。
2 溶接ロボット
3 溶接ガン
4 制御装置
5 品質判定システム
53 入力部
54 コンピュータ装置
54a 溶接条件抽出部
54b 判定条件抽出部
54c 抵抗値検出部
54d 品質判定部
55 溶接条件記憶部
55a 溶接条件テーブル
56 判定条件記憶部
56a 判定条件テーブル
W ワーク(被溶接物)
Claims (5)
- スポット溶接における被溶接物の品質の良否を判定する品質判定方法であって、
被溶接物の板組み情報を入力する入力工程と、
予め板組みごとに設定された所定加圧下での板隙に対応した抵抗値の閾値から、前記入力工程で入力された板組み情報に対応する板組みの抵抗値の閾値を抽出する抽出工程と、
前記所定加圧下で通電して電極間の抵抗値を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出された抵抗値が、前記抽出工程で抽出された閾値の範囲内にあるか否かを判定する判定工程とを有し、
前記検出工程は、スポット溶接時よりも低い電流値で通電し、通電初期の抵抗値を検出する、
ことを特徴とするスポット溶接の品質判定方法。 - 前記判定工程にて、前記検出工程で検出された抵抗値が前記閾値の範囲内に入っていないと判定した場合に、通電を中止する中止工程を有することを特徴とする請求項1に記載のスポット溶接の品質判定方法。
- 前記検出工程で検出された抵抗値から、単位検出回数当たりの平均抵抗値を算出して、該平均抵抗値に基づいて、前記抽出工程にて抽出された板組みの抵抗値の閾値を変更する設定変更工程を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスポット溶接の品質判定方法。
- スポット溶接における被溶接物の品質の良否を判定する品質判定システムであって、
被溶接物の板組み情報を入力する入力手段と、
予め板組みごとに設定された所定加圧下での板隙に対応した抵抗値の閾値から、前記入力工程で入力された板組み情報に対応する板組みの抵抗値の閾値を抽出する抽出手段と、
前記所定加圧下で通電して電極間の抵抗値を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出された抵抗値が、前記抽出手段で抽出された閾値の範囲内にあるか否かを判定する判定手段とを備え、
前記検出手段は、スポット溶接時よりも低い電流値で通電し、通電初期の抵抗値を検出する、
ことを特徴とするスポット溶接の品質判定システム。 - 前記検出手段で検出された抵抗値から、単位検出回数当たりの平均抵抗値を算出して、該平均抵抗値に基づいて、前記抽出工程にて抽出された板組みの抵抗値の閾値を変更する設定変更手段を備えることを特徴とする請求項4に記載のスポット溶接の品質判定システム。
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