JP4915003B2 - 交流電動機の制御装置および制御方法 - Google Patents
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Description
ここで、α、β:静止座標軸。
交流電動機の速度制御装置において、瞬時空間電圧ベクトルインバータを用いて交流電動機に電圧を印加する場合、インバータの出力可能な6つの電圧ベクトルV1(100),V2(110),V3(010),V4(011),V5(001),V6(101)および2つの零電圧ベクトルV0(000),V7(111)を組み合わせることで、任意の電圧を印加する。
ここで、Ts:サンプリング周期、
t1:電圧ベクトルV1の出力期間、
t2:電圧ベクトルV2の出力期間。
ここで、n,n+1:サンプル点。
図に示すように、インバータのスイッチング信号U+、V+およびW+は、電圧ベクトルV1の出力期間t1、電圧ベクトルV2の出力期間t2と三角波キャリアを比較し、その比較結果から電圧ベクトルV1、V2と零電圧ベクトルV7を選択することで与えられる。ここで出力される零電圧ベクトルは、全体のスイッチング周波数を抑えるため、1相分のスイッチングで達成できるものが選ばれる。図9の場合は、W相のスイッチングのみで達成できる零電圧ベクトルV7が選択され、このとき、U相アームの上側スイッチが常にオンの状態となる。
コンパレータ21,22は、アップ/ダウン・カウンタ(以下、U/Dカウンタと記す)23により作られた三角波キャリアと、マイコンやDSPなどのコントローラ(図示せず)から与えられる電圧ベクトルV1の出力期間t1、電圧ベクトルV2の出力期間t2を比較し、信号C1,C2を作る。信号C1,C2により、図9のように出力電圧ベクトルが切り替えられる。
信号C1,C2は、電圧ベクトルV1の出力期間t1、電圧ベクトルV2の出力期間t2を与えたあと、ソフトウェアと独立した外部回路により決定される。
しかし、スイッチングパターンの決定には領域信号θおよび正転/逆転信号(F/B)も必要であるため、一般には1サンプリング時間(Ts)あるいは1/2サンプリング時間(Ts/2)後に、電圧ベクトルV1の出力期間t1、電圧ベクトルV2の出力期間t2および領域信号θ、正転/逆転信号(F/B)を同時に与え、領域信号θ、正転/逆転信号(F/B)、電圧ベクトルV1の出力期間t1、電圧ベクトルV2の出力期間t2の切り替えと、三角波キャリアを同期させる。
例えばベクトル制御の場合、電流を直交する2軸成分に分けてPI制御し、そのPI補償器の出力をインバータの電圧指令とするが、電圧出力中に電流制御演算が終了し、スイッチング信号や出力期間を変更する必要が生じた場合においても、領域指定とキャリアを同期させるため、次のサンプリング点あるいはTs/2だけ遅れた時点においてしか、これらを変更することができなかった。
従来の瞬時空間電圧ベクトルインバータのスイッチング制御方法では、電流制御演算の結果、スイッチング信号を変更する必要が生じても、三角波キャリアが最大となる1/2サンプリング後において変更するため、制御遅れ時間が50μsと大きくなる。そのため、高ゲインでの電流制御を行った場合には、図11に示すようにオーバーシュートが生じ、電流が振動的な応答となる。
図1はこの発明の実施の形態1に係るスイッチングパターン生成方法およびスイッチングパターン生成手段における電圧ベクトルを示す図である。
従来の瞬時空間電圧ベクトルインバータでは、図7に示す6つの電圧ベクトルを全て用いてスイッチング信号を決定するのに対し、この発明の実施の形態1に係るスイッチング制御方法およびスイッチング制御手段では、図1に示す3つのベクトル Vu(= V1)、Vv(=V3)、Vw(=V5)のみを用いてスイッチング信号を決定する。また、従来は2つの零電圧ベクトルV0,V7を用いていたが、零電圧ベクトルには、すべてV0を用いる。
例えば、図2のような電圧指令が与えられた場合には、ベクトルVu、Vvを合成することでインバータ出力電圧指令v*を実現し、ベクトルVwは出力されない。この出力されない電圧ベクトルは、電圧指令の存在する領域により決定し、出力しない相の下側スイッチが常にオンの状態となる。
この発明の実施の形態1に係るスイッチングパターン生成方法およびスイッチングパターン生成手段では、各相スイッチのオン時間tu,tv,twのうち最大のものをtmaxとし、これがサンプリング周期Tsと一致するよう(6)式、(7)式のように計算する。
ここで、n,n+1:サンプル点
(5)式で求めた各相スイッチのオン時間tu,tv,twは、図3のように三角波キャリアと比較され、各相のスイッチング信号を決定する。図9に示す従来のスイッチング制御方法とは、瞬時空間電圧ベクトルを出力する順序が異なる。また、零電圧ベクトルもV0となっているが、1サンプリング期間内で出力される電圧ベクトルの合成ベクトル(インバータ出力電圧指令)v*としては等価なものとなっている。この方法は、零電圧ベクトルV7を出力しないため、上側スイッチが常にオンの状態になることがなく、従来の二相変調とは異なる。
コンパレータ1は、U/Dカウンタ23により作られた三角波キャリアと、マイコンやDSPなどのコントローラ(図示せず)から与えられるU相スイッチのオン時間tuを比較し、スイッチング信号U+を作る。また、コンパレータ2は、U/Dカウンタ22により作られた三角波キャリアと、コントローラ(図示せず)から与えられるV相スイッチのオン時間tvを比較し、スイッチング信号V+を作る。また、コンパレータ3は、U/Dカウンタ22により作られた三角波キャリアと、コントローラ(図示せず)から与えられるW相スイッチのオン時間twを比較し、スイッチング信号W+を作る。
コントローラ(図示せず)から各相スイッチのオン時間tu,tv,twを与えたあとは、ソフトウェアと独立して動作する回路がスイッチング信号を決定するため、ソフトウェアと同期させる必要がなく、任意の時刻に各相スイッチのオン時間tu,tv,twを与えることが可能となる。
この発明の実施の形態1に係るスイッチングパターン生成方法およびスイッチングパターン生成手段においては、電流制御系の演算がサンプリング点から11μs後に終了し、その時点でスイッチング信号を変更しているため、制御遅れ時間が短くなる。したがって、図5に示すように、高ゲインでの電流制御を行っても、オーバーシュートも無く、安定した制御特性が得られる。
図において、速度制御部10は、速度指令値ωm*、および速度演算部11から出力される速度検出値ωmを基にq軸電流指令値iq*を演算し、q軸電流制御部12に出力する。q軸電流制御部12は、q軸電流指令値iq*およびαβ/dq座標変換部14から出力されるq軸電流検出値iqを基にq軸電圧指令値vq*を演算し、dq/αβ座標変換部15に出力する。
また、d軸電流制御部13はd軸電流指令値id*およびαβ/dq座標変換部14から出力されるd軸電流検出値idを基にd軸電圧指令値vd*を演算し、dq/αβ座標変換部15に出力する。
dq/αβ座標変換部15は、d軸電圧指令値vd*、q軸電圧指令値vq*およびモータ16に接続されている検出器17から出力される位置検出値θmを基にvα*,vβ*を演算し、スイッチングパターン生成部18に出力する。
また、速度演算部11は検出器17から出力される位置検出値θmを基に速度検出値ωmを演算する。
Claims (8)
- 交流電動機の電流を制御する電流制御手段を備えた交流電動機の制御装置において、インバータの出力電圧ベクトルのうち1相のみから出力する状態を示す3つの前記出力電圧ベクトルを3つの相電圧ベクトルとし、電圧指令ベクトルが前記相電圧ベクトルのうちの2つのベクトルを用いて合成されることを条件として各相のスイッチング時間を演算し、これらをキャリア変調してインバータのスイッチング信号を決定し、交流電動機を制御することを特徴とする交流電動機の制御装置。
- 前記電圧指令ベクトルのα―β静止座標における位置に基づいて、当該電圧指令ベクトルを合成する2つのベクトルを選択することを特徴とする請求項1記載の交流電動機の制御装置。
- 交流電動機の電流を制御する交流電動機の制御方法において、インバータの出力電圧ベクトルのうち1相のみから出力する状態を示す3つの前記出力電圧ベクトルを3つの相電圧ベクトルとし、電圧指令ベクトルが前記相電圧ベクトルのうちの2つのベクトルを用いて合成されることを条件として各相のスイッチング時間を演算し、これらをキャリア変調してインバータのスイッチング信号を決定し、交流電動機を制御することを特徴とする交流電動機の制御方法。
- 前記電圧指令ベクトルのα―β静止座標における位置に基づいて、当該電圧指令ベクトルを合成する2つのベクトルを選択することを特徴とする請求項3記載の交流電動機の制御方法。
- 交流電動機の電流を回転するd−q座標上の成分に分けてそれぞれを制御する電流制御手段を備えた交流電動機の制御装置において、電流制御器の出力をd−q座標上の電圧指令とし、当該電圧指令をα−β静止座標上の値に変換した変換後電圧指令値を電圧指令ベクトルとし、インバータの出力電圧ベクトルのうち1相のみから出力する状態を示す3つの前記出力電圧ベクトルを3つの相電圧ベクトルとし、前記電圧指令ベクトルが前記相電圧ベクトルのうちの2つのベクトルを用いて合成されることを条件として各相のスイッチング時間を演算し、これらをキャリア変調してインバータのスイッチング信号を決定し、交流電動機を制御することを特徴とする交流電動機の制御装置。
- 交流電動機の電流を回転するd−q座標上の成分に分けてそれぞれを制御する交流電動機の制御方法において、電流制御器の出力をd−q座標上の電圧指令とし、当該電圧指令をα−β静止座標上の値に変換した変換後電圧指令値を電圧指令ベクトルとし、インバータの出力電圧ベクトルのうち1相のみから出力する状態を示す3つの前記出力電圧ベクトルを3つの相電圧ベクトルとし、前記電圧指令ベクトルが前記相電圧ベクトルのうちの2つのベクトルを用いて合成されることを条件として各相のスイッチング時間を演算し、これらをキャリア変調してインバータのスイッチング信号を決定し、交流電動機を制御することを特徴とする交流電動機の制御方法。
- 交流電動機の電流を回転するd−q座標上の成分に分けてそれぞれを制御する電流制御手段を備えた交流電動機の制御装置において、電流制御器の出力をd−q座標上の電圧指令とし、それをα−β静止座標上の値に変換し、それらの値から出力電圧ベクトルの出力時間を決定する瞬時空間ベクトルインバータで、インバータの電圧飽和処理により短縮された電圧出力時間から再計算される電圧指令値を電圧指令ベクトルとし、インバータの出力電圧ベクトルのうち1相のみから出力する状態を示す3つの前記出力電圧ベクトルを3つの相電圧ベクトルとし、前記電圧指令ベクトルが前記相電圧ベクトルのうちの2つのベクトルを用いて合成されることを条件として各相のスイッチング時間を演算し、これらをキャリア変調してインバータのスイッチング信号を決定し、交流電動機を制御することを特徴とする交流電動機の制御装置。
- 交流電動機の電流を回転するd−q座標上の成分に分けてそれぞれを制御する交流電動機の制御方法において、電流制御器の出力をd−q座標上の電圧指令とし、それをα−β静止座標上の値に変換し、それらの値から出力電圧ベクトルの出力時間を決定する瞬時空間ベクトルインバータで、インバータの電圧飽和処理により短縮された電圧出力時間から再計算される電圧指令値を電圧指令ベクトルとし、インバータの出力電圧ベクトルのうち1相のみから出力する状態を示す3つの前記出力電圧ベクトルを3つの相電圧ベクトルとし、前記電圧指令ベクトルが前記相電圧ベクトルのうちの2つのベクトルを用いて合成されることを条件として各相のスイッチング時間を演算し、これらをキャリア変調してインバータのスイッチング信号を決定し、交流電動機を制御することを特徴とする交流電動機の制御方法。
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