なお、従来の遊技盤は、加工が容易な合板(ベニヤ)によって形成されているため、遊技盤の下辺部の形状を枠部材の形状に合わせて変更する作業を、ルータ加工などによって簡単に行うことができる。ところが近年、アクリル樹脂の射出成形によって形成された透明板と、透明板の背面に重ねて配置された合成樹脂製の裏ユニット板とからなる遊技盤が提案されている。この場合、透明板や裏ユニット板の形状を枠部材の形状に合わせようとすれば、透明板や裏ユニット板を成形するための金型を機種ごとに準備しなければならないため、製造コストが増加してしまう。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂材料の射出成形によって形成される遊技盤を、特定機種の遊技機の枠部材のみに対して取付可能とし、他機種の遊技機の枠部材に対しては取付不能とする構造を低コストで得ることができる遊技機を提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、遊技球が流下可能な遊技領域を区画するレールが設けられ、前記遊技領域内を流下する遊技球の方向を変更する複数の遊技釘が設けられ、樹脂材料の射出成形によって略矩形板状に形成された遊技盤本体と、前記遊技盤本体の背面に重ねて配置され、前記遊技盤本体と略同じ外形を有する枠状の裏ユニット板とを備える遊技盤が、機体を構成する枠部材に取り付けられた遊技機であって、前記裏ユニット板の下辺部の角部には、機種識別部材装着凹部が切欠形成され、前記機種識別部材装着凹部には、前記遊技盤本体及び前記裏ユニット板とは別体で作製されその外周部に第1識別部を有する機種識別部材が前記遊技盤本体の辺から平面方向に突出しないように配置されるとともに、前記機種識別部材は、前記遊技盤本体と前記裏ユニット板との間に少なくとも一部が挟み込まれた状態で固定され、前記枠部材において遊技盤取付時に前記機種識別部材と近接する箇所には、前記第1識別部に合った形状の第2識別部を有する受け部が設けられていることを特徴とする遊技機をその要旨とする。
従って、請求項1に記載の発明では、遊技機の機種が複数ある場合に、機種ごとに前記第1識別部の形状が異なる複数種類の機種識別部材を準備しておく(請求項7)と、遊技機の機種に合った機種識別部材を裏ユニット板に装着した場合のみに、第1識別部の形状が枠部材側の第2識別部の形状と一致するため、遊技盤の枠部材への取り付けが可能となる。しかも、機種識別部材の装着に伴って遊技盤本体を機種ごとに共通のものとすることができるため、請求項1に記載の発明のように遊技盤本体が樹脂材料の射出成形によって形成される場合に、遊技盤本体を形成するための金型を機種ごとに準備しなくても済む。よって、特定機種の遊技機の枠部材のみに対して遊技盤を取付可能とし、他機種の遊技機の枠部材に対しては遊技盤を取付不能とする構造を低コストで得ることができる。
なお、遊技盤本体は、着色された樹脂材料によって形成されていてもよいし、無色透明の樹脂材料によって形成されていてもよい。仮に、遊技盤本体を着色された樹脂材料によって形成すれば、遊技盤本体を装飾部材として用いることができる。一方、遊技盤本体を無色透明の樹脂材料によって形成すれば、裏ユニット板に図柄表示装置を取り付けた際に、図柄表示装置の表示画面が遊技盤本体を介して視認可能となる。なお、遊技機の機種が複数ある場合に、機種ごとに複数種類の機種識別部材を準備した場合、前記遊技盤本体が、無色透明の樹脂材料によって形成されるとともに、前記複数種類の機種識別部材が、互いに異なる色であって前記裏ユニット板とは異なる色に着色された樹脂材料によって形成されていること(請求項8)が好ましい。このようにすれば、機種識別部材の色を確認することによって遊技機の機種を認識できるため、遊技盤を誤って他機種の遊技機の枠部材に取り付けてしまう可能性を小さくすることができる。また、遊技盤本体が無色透明であって裏ユニット板が機種識別部材とは異なる色に着色されているため、遊技盤に装着されている機種識別部材の色を確認しやすくなる。
また、機種識別部材を形成する材料としては特に限定されないが、例えば樹脂材料や金属材料を挙げることができる。なお、機種識別部材を樹脂材料の射出成形によって形成するようにすれば、機種識別部材を容易に形成することができる。機種識別部材を形成するための樹脂材料の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂材料などが挙げられる。また、機種識別部材を形成する金属材料としては、例えば、アルミニウムや鉄などが挙げられる。
なお、機種識別部材の第1識別部は、遊技盤の枠部材への取り付けが可能となる際に、枠部材に設けられた受け部の第2識別部に一致する形状であることがよい。このようにすれば、遊技盤を枠部材に取り付けた際に、遊技盤が他機種の遊技機の枠部材に誤って取り付けられていないかを確実に判断することができる。ここで、第1識別部の形状としては、凹部を有する形状や凸部を有する形状などが挙げられる。また、機種識別部材の外周部において第1識別部を除く部分は、前記機種識別部材装着凹部の内面に面接触する形状をなしていることが好ましい。このようにすれば、機種識別部材のガタツキを防止することができ、機種識別部材の固定強度が向上する。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第1識別部は、前記機種識別部材の外周部の複数箇所に設けられた識別凹部であり、前記第2識別部は、前記受け部の外周部の複数箇所に設けられた識別凸部であり、前記識別凹部の内面に前記識別凸部の外面が面接触することにより、前記第1識別部と前記第2識別部とが互いに係合可能となることをその要旨とする。
従って、請求項2に記載の発明によると、識別凹部の内面に識別凸部の外面が面接触し、しかも識別凹部及び識別凸部が複数設けられるため、第1識別部と第2識別部とを係合した際のガタツキが小さくなる。従って、第1識別部と第2識別部とを互いに係合させれば、遊技機の機種に合った遊技盤が枠部材に取り付けられたか否かを確実に識別することができる。即ち、ガタツキがない場合に、遊技機の機種にあった遊技盤が枠部材に取り付けられていると識別することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記機種識別部材には、前記遊技盤本体側の第1被係合部と係脱可能に係合する第1係合部と、前記第1係合部とは異なる形状を有し、前記裏ユニット板側の第2被係合部と係脱可能に係合する第2係合部とが設けられていることをその要旨とする。
従って、請求項3に記載の発明によると、機種識別部材が、遊技盤本体と裏ユニット板との間に少なくとも一部が挟み込まれた状態で固定される際に、係合部を遊技盤本体側及び裏ユニット板側の両方に係合させることができる。これにより、機種識別部材と遊技盤との係合箇所が多くなるため、機種識別部材を遊技盤から取り外すことが困難になり、遊技盤を他機種の遊技機の枠部材に取り付けてしまう可能性がよりいっそう小さくなる。また、係合部が遊技盤本体側及び裏ユニット板側のいずれか一方のみに係合する場合に比べて、機種識別部材の固定強度が向上する。しかも、第1係合部及び第2係合部が互いに異なる形状を有しているため、機種識別部材の固定構造を複雑にすることができる。よって、機種識別部材を遊技盤から取り外すことがよりいっそう困難になる。
なお、第1係合部及び第2係合部は、従来公知の様々な構造を適用することが可能である。第1係合部及び第2係合部は、機種識別部材において1個のみ設けられてもよいし、複数個設けられてもよいが、複数個設けられることが好ましい。このようにすれば、機種識別部材が複数の係合部によって枠部材に固定されるため、機種識別部材を強固に取り付けることができる。さらに、第1係合部や第2係合部が複数個設けられている場合、各係合部を互いに離間して配置すれば、機種識別部材のガタツキを確実に防止することができる。なお、第1被係合部及び第2被係合部も、従来公知の様々な構造を適用することが可能である。
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記機種識別部材に、前記裏ユニット板側の面において開口する複数の肉抜き凹部が設けられ、前記第2係合部の少なくとも1つは、前記肉抜き凹部の底部に突設されたネジ孔を有するボス部であり、前記第2被係合部は、前記機種識別部材装着凹部側に突出し、ネジ挿通孔と、前記ボス部を外周面から覆う筒部とを有する突出片であり、前記遊技盤本体と前記裏ユニット板とで前記機種識別部材の少なくとも一部を挟み込んだ状態で、前記ネジ挿通孔にネジを挿通し、挿通したネジを前記ネジ孔に螺着させることにより、前記機種識別部材が前記遊技盤に固定されることをその要旨とする。
従って、請求項4に記載の発明によると、機種識別部材に設けられた肉抜き凹部の底部にボス部が突設され、裏ユニット板側に設けられた突出片の筒部によってボス部が覆われているため、機種識別部材の固定構造が複雑である。よって、単にボス部のネジ孔に螺着されているネジを取り外しただけでは、機種識別部材を遊技盤から取り外すことができないため、遊技盤を他機種の遊技機の枠部材に取り付けてしまう可能性がよりいっそう小さくなる。また、ネジがネジ孔に螺着するだけでなく、突出片の筒部がボス部に係合することによって機種識別部材が固定されるため、機種識別部材の固定強度がよりいっそう向上する。さらに、機種識別部材に複数の肉抜き凹部が設けられているため、機種識別部材でのヒケの発生を防止することができる。しかも、肉抜き凹部を設けることで材料が削減されるため、機種識別部材を低コストで製造することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記第2係合部の少なくとも1つは、前記機種識別部材の外周縁に突設された係止爪であり、前記遊技盤本体と前記裏ユニット板とで前記機種識別部材の少なくとも一部を挟み込んだ状態で、前記係止爪を前記第2被係合部に係止させることにより、前記機種識別部材が前記遊技盤に固定され、前記第2被係合部に対する前記係止爪の挿入方向が、前記ネジ孔に対する前記ネジの挿入方向とは反対方向になっていることをその要旨とする。
従って、請求項5に記載の発明によると、第2被係合部に対する係止爪の挿入方向が、ネジ孔に対するネジの挿入方向とは反対方向になっているため、機種識別部材の固定構造が複雑である。よって、単にボス部のネジ孔に螺着されているネジを取り外しただけでは、機種識別部材を遊技盤から取り外すことができないため、遊技盤を他機種の遊技機の枠部材に取り付けてしまう可能性がよりいっそう小さくなる。また、係止爪の挿入方向と同じ方向に外力が作用した場合であっても、ネジの挿入方向と同じ方向に外力が作用した場合であっても、機種識別部材のガタツキが防止されるため、機種識別部材の固定強度がよりいっそう向上する。
請求項6に記載の発明は、請求項3乃至5のいずれか1項において、前記第1係合部の少なくとも1つは、前記遊技盤本体側の面に突設された位置決めピンであり、前記第1被係合部は、前記遊技盤本体に設けられた位置決め孔であり、前記遊技盤本体と前記裏ユニット板とで前記機種識別部材の少なくとも一部を挟み込んだ状態で、前記位置決め孔に前記位置決めピンを挿入させることにより、前記機種識別部材が前記遊技盤に固定されることをその要旨とする。
従って、請求項6に記載の発明によると、第1係合部の形状に合わせて第1被係合部を単純な形状とすることができるため、第1被係合部の形成において遊技盤本体の形成に用いられる金型の形状を大きく変えなくても済む。よって、第1被係合部を設けたとしても、遊技盤本体を低コストで形成することができる。
以上詳述したように、請求項1〜8に記載の発明によれば、樹脂材料の射出成形によって形成される遊技盤を、特定機種の遊技機の枠部材のみに対して取付可能とし、他機種の遊技機の枠部材に対しては取付不能とする構造を低コストで得ることができる遊技機を提供することができる。特に、請求項3によれば、機種識別部材と遊技盤との係合箇所が多くなるため、機種識別部材を遊技盤から取り外すことが困難になり、遊技盤を他機種の遊技機の枠部材に取り付けてしまう可能性がよりいっそう小さくなる。
以下、本発明の遊技機をパチンコ機10に具体化した一実施形態を図面に基づき説明する。
(1)パチンコ機10全体の概略構成
図1には、パチンコ機10の機表側が略示されている。このパチンコ機10は機体の外郭をなす縦長方形状の外枠11を備えている。外枠11の開口前面側には、機体を構成する『枠部材』である縦長方形状の中枠12が、開閉及び着脱自在に組み付けられている。また、中枠12の前面側には、機内部に配置された遊技盤13を透視保護するためのガラス枠を備えた前枠14が、横開き状態で開閉可能に組み付けられている。なお、前枠14の下部には、上球皿15が一体的に組み付けられている。さらに、中枠12の前面側において前枠14の下方には、下球皿16が開閉可能に組み付けられている。
(2)中枠12の概略構成
図2,図3等に示されるように、中枠12は、上辺部21、下辺部22、左辺部23及び右辺部24によって外枠11の開口前面と略同じ外形に形成されている。そして、各辺部21〜24によって、遊技盤13を取り付けるための遊技盤取付孔25が構成されている。なお、下辺部22には、スピーカ17、打球発射装置18、操作ハンドル19及び灰皿20等が装着されている。また、左辺部23には、遊技盤13の左側端部を回転及び着脱可能に保持する2個の回転保持具26が上下に離間した状態に設けられている。上辺部21及び下辺部22における右端部には、遊技盤13を位置決め固定するための係止保持部27がそれぞれ設けられている。
図2,図4に示されるように、中枠12において下辺部22と左辺部23との接続部分には、遊技盤13を下方から支持するための受け部31がブロック状に形成されている。受け部31の外周部(右上部)の2箇所には、『第2識別部』である識別凸部32,33が設けられている。識別凸部32は、下辺部22と左辺部23との接続部分に設けられ、識別凸部33は、左辺部23において識別凸部32の右側に設けられている。また、識別凸部32の高さは、識別凸部33の高さの11倍程度に設定されている。従って、受け部31は、正面視で階段状に形成される。
(3)遊技盤13の構成
図5〜図7等に示されるように、遊技盤13は、『遊技盤本体』である透明板41と、透明板41の背面に重ねて配置された裏ユニット板51とを備えている。透明板41及び裏ユニット板51は、複数のネジ(図示略)によって互いに固定されている。透明板41は、無色透明の樹脂材料(例えばアクリル等)の射出成形によって略矩形板状に形成されている。一方、裏ユニット板51は、透明板41と略同じ外形を有し、黒色に着色された樹脂材料(例えばABS樹脂等)の射出成形によって略矩形枠状に形成されている。
(3−1)透明板41の構成
透明板41の前面41aには、遊技球が流下可能な遊技領域42を区画する内レール43a及び外レール43bが略円形状に敷設されている。内レール43aと外レール43bとの間に生じる発射経路には、前記操作ハンドル19を操作した際に前記打球発射装置18によって発射された遊技球が通過するようになっている。そして、発射経路を通過した遊技球は、発射経路の終端部から遊技領域42に進入し、遊技領域42内を流下するようになっている。また、遊技領域42内には複数の風車44が配設され、遊技領域42のほぼ全域には複数の遊技釘45が植設されている。風車44及び遊技釘45は、遊技領域42内を流下する遊技球の方向を変更するようになっている。
図1,図3,図5に示されるように、遊技盤13の遊技領域42の下部中央部には、始動入賞口61aが形成された始動入賞装置61が配設されている。なお、始動入賞装置61への遊技球の入賞を契機として後述する図柄表示装置71による図柄変動ゲームが開始されると、所定数(本実施形態では3個)の賞球の払い出しが行われるようになっている。
また、始動入賞装置61の下方には、図示しないソレノイドにより開閉動作を行う開閉扉を備えた大入賞装置62が配置されている。大入賞装置62では、大入賞口への遊技球の入賞を契機として、所定数(本実施形態では15個)の賞球の払い出しが行われるようになっている。なお、遊技領域42の最下部(前記内レール43aの下端部)には、いずれの入賞口(始動入賞装置61及び大入賞装置62など)にも入賞しなかった遊技球を回収するためのアウト口63が配置されている。また、遊技領域42の左側部には、遊技球の通過を検知する機能を有するゲート64が一体的に設けられている。ゲート64は、上下方向に開口しており、遊技領域42内を流下する遊技球が上方から通過可能になっている。
(3−2)裏ユニット板51の構成
図6に示されるように、裏ユニット板51には、複数種類の図柄を変動表示して図柄変動ゲームを行う図柄表示装置71が着脱可能に配設されている。図柄表示装置71を構成する収容ケース72には、各種図柄を表示可能な液晶パネル(図示略)が収容されている。収容ケース72の背面には、液晶パネルの表示を制御する表示制御装置(図示略)や、液晶パネルのバックライトを制御するインバータ装置(図示略)が配置されるようになっている。
図6,図7に示されるように、裏ユニット板51の略中央部には、略矩形状の可視表示部52が設けられている。可視表示部52は、図柄表示装置71の表示画面と同じ大きさとなっている。よって、図柄表示装置71の表示画面は、可視表示部52を介して前記透明板41の前面41a側から視認可能となる。なお本実施形態では、裏ユニット板51において可視表示部52よりも上側の部位を上枠部53とし、裏ユニット板51において可視表示部52よりも下側の部位を下枠部54とする。さらに、裏ユニット板51において可視表示部52の左側の部位(図6,図7では右側の部位)を左枠部55とし、裏ユニット板51において可視表示部52の右側の部位(図6,図7では左側の部位)を右枠部56とする。
図6,図7に示されるように、裏ユニット板51には、前側規制部、後側規制部、上側規制部、下側規制部及び側部規制部が設けられている。前側規制部は、図柄表示装置71の前面に当接して図柄表示装置71の前方移動を規制する基板カバー81である。後側規制部は、図柄表示装置71の背面73に当接して図柄表示装置71の後方移動を規制するロック部材82である。上側規制部は、図柄表示装置71の上面74に当接して図柄表示装置71の上方移動を規制する台座部材83である。下側規制部は、図柄表示装置71の下面に当接して図柄表示装置71の下方移動を規制する設置部材84である。側部規制部は、図柄表示装置71の側面75に当接して図柄表示装置71の側方移動を規制する規制壁85である。
図6〜図10に示されるように、裏ユニット板51の下辺部の角部(具体的には、前記下枠部54と前記左枠部55との接続部分)には、機種識別部材装着凹部91が切欠形成されている。機種識別部材装着凹部91の内側面は、下枠部54側に位置する第1面96と、左枠部55側に位置する第2面97と、第1面96及び第2面97の接続部分に位置する斜面98とからなっている(図8(b)参照)。また、裏ユニット板51には、下枠部54から機種識別部材装着凹部91内に突出する『第2被係合部』である突出片92が設けられている。突出片92の先端部には、前記透明板41側に突出する筒部93と、突出片92を厚さ方向に貫通して一端が筒部93内にて開口するネジ挿通孔94とが設けられている。さらに、左枠部55における機種識別部材装着凹部91の近傍には、『第2被係合部』である矩形状の係合孔95が設けられている。
(3−3)機種識別部材101の構成
図6〜図11に示されるように、機種識別部材装着凹部91には、透明板41及び裏ユニット板51とは別体で作製された機種識別部材101が配置されている。機種識別部材101は、透明板41の辺から平面方向に突出しないように配置されている。また、機種識別部材101は、前記遊技盤13を前記中枠12に取り付ける際に前記受け部31と近接する箇所に配置されている。
なお、機種識別部材101は、裏ユニット板51とは異なる色(青色)に着色された樹脂材料(例えばABS樹脂等)の射出成形によって形成されている。機種識別部材101の外周部において機種識別部材装着凹部91の内側面(前記第1面96、前記第2面97及び前記斜面98)と向かい合う部分は、装着部102となっている。さらに、装着部102において機種識別部材装着凹部91の斜面98と向かい合う箇所には、面取り部103が設けられている。面取り部103の長さは、斜面98の長さと等しくなっている。これにより、機種識別部材101は、機種識別部材装着凹部91の内側面に面接触するようになっている(図8(a)参照)。
図8〜図11に示されるように、機種識別部材101の外周部において装着部102とは反対側の箇所には、『第1識別部』である2個の識別凹部111,112が設けられている。識別凹部111は、前記受け部31の前記識別凸部32に一致する形状であるため、識別凹部111の内面に識別凸部32の外面が面接触可能となっている(図4参照)。また、識別凹部112は、受け部31の前記識別凸部33に一致する形状であるため、識別凹部112の内面に識別凸部33の外面が面接触可能となっている(図4参照)。その結果、識別凹部111と識別凸部32とが互いに係合可能となるとともに、識別凹部112と識別凸部33とが互いに係合可能となるため、遊技盤13の中枠12への取り付けが可能となる。
また図9〜図11に示されるように、機種識別部材101の前記透明板41側の面における略中央には、『第1係合部』である位置決めピン121が突設されている。位置決めピン121は、透明板41に設けられた『第1被係合部』である位置決め孔46に係合するようになっている。
図8〜図11等に示されるように、機種識別部材101には、前記裏ユニット板51側の面において開口する複数の肉抜き凹部131が設けられている。各肉抜き凹部131の深さは、前記突出片92の前記筒部93の突出量と等しくなっている。そして、各肉抜き凹部131のうちの1つの肉抜き凹部131の底部には、『第2係合部』である略円筒状のボス部132が突設されている。ボス部132は、機種識別部材101において位置決めピン121から離間して配置されており、位置決めピン121とは異なる形状を有している。ボス部132は、円形状のネジ孔133を有している。ボス部132の突出量は各肉抜き凹部131の深さと等しくなっており、ボス部132の外径は筒部93の内径よりも小さくなっている。そして、ボス部132の外周面は、筒部93によって覆われている。よって、機種識別部材101は、透明板41と前記裏ユニット板51とで機種識別部材101の一部(前記装着部102)を挟み込んだ状態で、前記ネジ挿通孔94に挿通したネジをネジ孔133に螺着させることにより、遊技盤13に固定される。
図10,図11等に示されるように、機種識別部材101の外周縁には、『第2係合部』である係止爪141が突設されている。係止爪141は、機種識別部材101において位置決めピン121及びボス部132から離間して配置されており、位置決めピン121及びボス部132とは異なる形状を有している。係止爪141は、機種識別部材101の外周面から垂直方向に延びる突出部142と、同突出部142の先端から裏ユニット板51側に延びる係止片143とを備えている。係止片143の幅は、前記係合孔95の長辺の長さと略等しくなっており、係止片143の厚さは、係合孔95の短辺の長さと略等しくなっている。なお、係止片143は、透明板41と裏ユニット板51とで機種識別部材101の一部を挟み込んだ状態で係合孔95内に挿入(係止)されるようになっている。なお、係合孔95に対する係止爪141の挿入方向は、ネジ孔133に対するネジの挿入方向とは反対方向になっている。
なお本実施形態では、パチンコ機10の機種として、受け部31が中枠12に設けられた機種A(図2,図4等参照)と、受け部31とは形状が異なる受け部151が中枠12に設けられた機種B(図12,図13参照)とが存在している。そして、機種識別部材101が装着された遊技盤13(図5〜図8等参照)であれば、遊技盤13を機種Aの中枠12に取り付けることができる。また、機種識別部材101とは形状が異なる機種識別部材161(図13〜図15参照)が装着された遊技盤13a(図14(a)参照)であれば、遊技盤13aを機種Bの中枠12に取り付けることができる。なお、遊技盤13,13aを構成する透明板41及び裏ユニット板51は、機種Aと機種Bとで共通のものが使用されている。
図13,図14に示されるように、受け部151は、外周部(右上部)の2箇所に、『第2識別部』である識別凸部152,153を有している。識別凸部152の高さは、識別凸部153の高さの約2.7倍に設定されている。
また図13〜図15に示されるように、機種識別部材161は、機種識別部材101及び裏ユニット板51とは異なる色(赤色)に着色された樹脂材料(例えばABS樹脂等)の射出成形によって形成されている。機種識別部材161の外周部において装着部102とは反対側の箇所には、『第1識別部』である2個の識別凹部162,163が設けられている。識別凹部162は、受け部151の識別凸部152に一致する形状であるため、識別凹部162の内面に識別凸部152の外面が面接触可能となっている(図13参照)。また、識別凹部163は、受け部151の識別凸部153に一致する形状であるため、識別凹部163の内面に識別凸部153の外面が面接触可能となっている(図13参照)。その結果、識別凹部162と識別凸部152とが互いに係合可能となるとともに、識別凹部163と識別凸部153とが互いに係合可能となり、遊技盤13を機種Bの中枠12に取り付けることが可能となる。
次に、中枠12に対する遊技盤13,13aの取付方法を説明する。
まず、受け部31が設けられた機種Aの中枠12(図2参照)に対して遊技盤13を取り付ける場合について説明する。即ち、機種A用の機種識別部材101の位置決めピン121を、透明板41の位置決め孔46に挿入することにより、機種識別部材101を位置決めする。次に、透明板41の背面に裏ユニット板51を重ねて配置し、機種識別部材101の一部(装着部102)を透明板41及び裏ユニット板51によって挟み込む。このとき、裏ユニット板51側の突出片92が有する筒部93によって機種識別部材101に設けられたボス部132が覆われるとともに、裏ユニット板51側の係合孔95に機種識別部材101に設けられた係止爪141が挿入される。そして、突出片92のネジ挿通孔94にネジを挿通し、挿通したネジをボス部132のネジ孔133に螺着させれば、機種識別部材101が遊技盤13に固定される(図8(a)参照)。
その後、機種Aの中枠12に対して上記の遊技盤13を取り付けると、機種識別部材101が有する識別凹部111,112の内面に受け部31が有する識別凸部32,33の外面がそれぞれ面接触する(図4参照)。その結果、識別凹部111と識別凸部32とが互いに係合可能となるとともに、識別凹部112と識別凸部33とが互いに係合可能となるため、上記の遊技盤13を機種Aの中枠12に取り付けることが可能となる。なお図4では、説明の便宜上、遊技盤13を構成する透明板41及び裏ユニット板51を表示せずに、機種識別部材101のみを表示している。
一方、受け部151が設けられた機種Bの中枠12(図12参照)に対して上記の遊技盤13を取り付けようとしても、識別凹部112の内面に識別凸部153の外面が面接触するものの、識別凹部111の内面と識別凸部152の外面との間には空間が生じてしまう。よって、上記の遊技盤13を機種Bの中枠12に取り付けることは不可能である。
次に、受け部151が設けられた機種Bの中枠12に対して遊技盤13aを取り付ける場合について説明する。即ち、機種B用の機種識別部材161の一部(装着部102)を透明板41及び裏ユニット板51によって挟み込む。そして、裏ユニット板51側の突出片92のネジ挿通孔94にネジを挿通し、挿通したネジを機種識別部材161に設けられたボス部132のネジ孔133に螺着させれば、機種識別部材161が遊技盤13aに固定される(図14(a)参照)。
その後、機種Bの中枠12に対して上記の遊技盤13aを取り付けると、機種識別部材161が有する識別凹部162,163の内面に受け部151が有する識別凸部152,153の外面がそれぞれ面接触する(図13参照)。その結果、識別凹部162と識別凸部152とが互いに係合可能となるとともに、識別凹部163と識別凸部153とが互いに係合可能となるため、上記の遊技盤13aを機種Bの中枠12に取り付けることが可能となる。なお図13では、説明の便宜上、遊技盤13aを構成する透明板41及び裏ユニット板51を表示せずに、機種識別部材161のみを表示している。
一方、機種Aの中枠12(図2参照)に対して上記の遊技盤13aを取り付けようとしても、識別凹部162の内面に識別凸部32の外面が面接触するものの、識別凹部163の内面と識別凸部33の外面との間には空間が生じてしまう。よって、上記の遊技盤13aを機種Aの中枠12に取り付けることは不可能である。
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、パチンコ機10の機種として機種A,Bが存在するとともに、機種A用の機種識別部材101、及び、機種B用の機種識別部材161が準備されている。このようにすれば、機種Aである場合に機種識別部材101を裏ユニット板51に装着すれば、識別凹部111,112の形状が中枠12側の識別凸部32,33の形状と一致するため、遊技盤13の中枠12への取り付けが可能となる。また、機種Bである場合に機種識別部材161を裏ユニット板51に装着すれば、識別凹部162,163の形状が中枠12側の識別凸部152,153の形状と一致するため、遊技盤13aの中枠12への取り付けが可能となる。しかも、機種識別部材101,161の装着に伴って透明板41及び裏ユニット板51を機種ごとに共通のものとすることができるため、透明板41及び裏ユニット板51を形成するための金型を機種ごとに準備しなくても済む。よって、特定機種のパチンコ機10の中枠12のみに対して遊技盤を取付可能とし、他機種のパチンコ機10の中枠12に対しては遊技盤を取付不能とする構造を低コストで得ることができる。
(2)特許文献1には、嵌合凹部を枠部材に形成するとともに、嵌合凹部に嵌合する嵌合凸部を遊技盤の下辺部に形成する技術が開示されている。しかし、嵌合凸部が遊技盤の下辺部から平面方向に突出しているため、製造時において遊技盤を搬送する際などに、嵌合凸部が邪魔になったり破損したりする可能性が高い。一方、本実施形態では、機種識別部材101が透明板41の辺から平面方向に突出しないようになっているため、製造時において遊技盤13,13aを搬送する際に機種識別部材101,161が邪魔になることはない。ゆえに、製造時における遊技盤13,13aの取扱性が向上する。
(3)本実施形態の機種識別部材101,161は、一部(装着部102)が透明板41と裏ユニット板51との間に挟み込まれた状態となっている。このため、単に機種識別部材101,161を遊技盤13,13aに対してネジ止めする場合に比べて、機種識別部材101,161の固定強度が向上する。また、機種識別部材101,161の一部を透明板41と裏ユニット板51との間に挟みこむことにより、機種識別部材101,161を遊技盤13,13aから取り外すことが困難になる。
(4)本実施形態では、係合孔95に対する係止爪141の挿入方向が、ネジ孔133に対するネジの挿入方向とは反対方向になっているため、機種識別部材101,161の固定構造が複雑である。しかも、透明板41及び裏ユニット板51は、複数のネジによって互いに固定されている。これにより、工場で一旦機種識別部材101,161を組み付けてしまうと、使用者が単にボス部132のネジ孔133に螺着されているネジを取り外しただけでは、機種識別部材101,161を遊技盤13,13aから取り外すことができない。その結果、遊技盤を他機種のパチンコ機10の中枠12に取り付けてしまう可能性がよりいっそう小さくなる。
(5)本実施形態では、中枠12に取り付けた際に空きスペースとなる部分、即ち、裏ユニット板51の下辺部の角部に機種識別部材装着凹部91が形成されているため、機種識別部材装着凹部91の形成が容易になる。しかも、機種識別部材装着凹部91に装着される機種識別部材101,161が遊技盤13,13aの下辺部に位置するようになる。その結果、遊技盤13,13aを中枠12に取り付ける際に、受け部31,151に対して遊技盤13,13a全体の自重が加わるため、機種識別部材101,161と受け部31,151とが確実に係合する。
なお、本発明の実施形態を以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、機種識別部材101,161に、1つの第1係合部(位置決めピン121)が設けられていたが、第1係合部は2つ以上設けられていてもよい。なお、第1係合部の形状や形成位置は、上記実施形態のものに限定される訳ではなく、任意に変更することが可能である。
・上記実施形態では、機種識別部材101,161に、2つの第2係合部(ボス部132及び係止爪141)が設けられていたが、第2係合部は、1つのみ設けられていてもよいし、3つ以上設けられていてもよい。なお、第2係合部の形状や形成位置は、上記実施形態のものに限定される訳ではなく、任意に変更することが可能である。
・上記実施形態では、パチンコ機10の機種として2種類の機種A,Bが存在し、機種A,B用の機種識別部材101,161が準備されたもので説明を行ったが、パチンコ機の機種(及び機種識別部材の種類)は、3種類以上あってもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)請求項1乃至8のいずれか1項において、前記機種識別部材は、樹脂材料の射出成形によって形成されることを特徴とする遊技機。
(2)請求項1乃至8のいずれか1項において、前記機種識別部材は、前記機種識別部材装着凹部の内側面に面接触する装着部を有することを特徴とする遊技機。
(3)請求項3乃至6のいずれか1項において、前記第1係合部及び前記第2係合部は、前記機種識別部材において互いに離間して配置されていることを特徴とする遊技機。