第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態による示すインバータ装置3の構成図である。インバータ装置3は、2つの3相電力機器、例えば、ハイブリッド車両や燃料電池車両や電動車両などの車両に駆動源として搭載されるDCブラシレスモータ等の第1負荷6と、例えば、車両に搭載される空調装置等を駆動する車両用補機としてのDCブラシレスモータなどの第2負荷8とを駆動制御するインバータ回路20を備え、例えば、直流電源2を直流電源として、モータECU18から入力されるゲート信号を受けて、第1負荷6及び第2負荷8の駆動及び回生を制御する。
インバータ装置3は、直流電源2、インバータ回路4、第1モータ(第1負荷)6及び第2モータ(第2負荷)8、バッテリ電圧センサ10、電流センサ12U,12V,12W、位置検出センサ14,16、並びにモータECU18を具備する。直流電源2は、第1及び第2負荷6,8を駆動するための蓄電装置であり、リチウムイオン電池やニッケル水素などであり、複数の単電池がモジュール化された複数のバッテリブロックが直列接続されている。直流電源2はキャパシタでも良い。
インバータ回路4は、平滑コンデンサC、トランジスタのスイッチング素子(例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar mode Transistor)素子を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路20及びゲート駆動回路22を有する。平滑コンデンサCは、直流電源2の正極端及び負極端の電源ラインに接続され、ブリッジ回路20のスイッチングによるノイズを除去するためのコンデンサである。
ブリッジ回路20は、各3段に配置されたIGBT素子UH,UM,UL、VH,VM,VL、WH,WM、WLにより3つの直列回路が並列に接続されたトリプルブリッジインバータ回路である。
直流電源2の正極端側(P側)のIGBT素子UH,VH,WHのコレクタは直流電源2の正極側端子に接続され、負極端側(N側)のIGBT素子UL,VL,WLのエミッタは直流電源2の負極側端子に接続され、P側のIGBT素子UH,VH,WHのエミッタは中段のIGBT素子UM,VM,WMのコレクタに接続され、中段のIGBT素子UM,VM,WMのエミッタはN側のIGBT素子UL,VL,WLのコレクタに接続され、P側のIGBT素子UH,VH,WH、中段のIGBT素子UM,VM,WM、N側のIGBT素子UL,VL,WLのコレクタ−エミッタ間にはエミッタからコレクタに向けて順方向となるようにしてフライホイールダイオードDUH,DUM,DUL、DVH,DVM,DVL、DWH,DWM,DWLが接続されている。
ゲート駆動回路22は、モータECU18から入力されるゲート信号に応じて、IGBT素子UH,UM,UL、VH,VM,VL、WH,WM,WLをオン/オフするパルスをIGBT素子UH,UM,UL、VH,VM,VL、WH,WM,WLのゲートに入力する。
IGBT素子UH,UM,UL,VH,VM,VL,WH,WM,WLをパルス幅変調(PWM)方式によりON/OFFするパルス信号(ゲート信号)がECU18よりゲート駆動回路22を通してIGBT素子UH,UM,UL,VH,VM,VL,WH,WM,WLのゲートに入力される。各IGBT素子UH,VH,WHのエミッタ及び各IGBT素子UM,VM,WMのコレクタは、第1モータ6のU,V,W相の例えば固定子巻線などのコイル端子(制御端子)に接続されている。また、各IGBT素子UM,VM,WMのエミッタ及び各IGBT素子UL,VL,WLのコレクタは、第2モータ8のU,V,W相の例えば固定子巻線などのコイル端子(制御端子)に接続されている。
インバータ回路4においては、第1モータ6の駆動及び回生作動を制御する際には、トリプルブリッジインバータ回路20の各相にある3つのIGBT素子においてN側のIGBT素子UL,VL,WLがON状態に固定され、例えば、図2(a)に示すように、IGBT素子UH,UM、VH,VM、WH,WMによる構成される等価的な第1インバータ4Aに対して、IGBT素子UH,UM、VH,VM、WH,WMをパルス幅変調によりON/OFF駆動するゲート信号がモータECU18から入力される。
また、第2モータ8の駆動及び回生作動を制御する際には、トリプルブリッジインバータ回路20の各相にある3つのIGBT素子においてP側のIGBT素子UH,VH,WHがON状態に固定され、例えば、図2(b)に示すように、IGBT素子UM,UL、VM,VL、WM,WLにより構成される等価的な第2インバータ4Bに対して、IGBT素子UM,UL、VM,VL、WM,WLをパルス幅変調によりON/OFF駆動するゲート信号がモータECU18から入力される。
第1及び第2モータ6,8は、インバータ回路4との間で電力変換が行われる負荷であり、3相電力機器、例えば、ハイブリッド車両や燃料電池車両や電動車両などの車両に駆動源として搭載されるDCブラシレスモータ等である。バッテリ電圧センサ10は、直流電源2の電圧を検出するセンサである。電流センサ(電流検出手段)12U,12V,12Wは、直流電源2の正極側に接続される電源ラインとP側のIGBT素子UH,VH,WHのコレクタ間に接続され、UH,VH,WHのコレクタに流れる電流iu,iv,iwを検出するセンサである。電流iu,iv,iwは、直流電源2の正極端の電源ラインからUH,VH,WHのコレクタに流れる電流を正とする。第1及び第2モータ6,8のU,V,Wの相電流を検出するセンサは設けられていない。
位置検出センサ14,16は、第1及び第2モータ6,8のステータとロータとの相対回転角θ1,θ2を検出するセンサである。センサ10,12U,12V,12W,14,16の出力信号は、モータECU18に入力され、アナログ/デジタル変換器によりアナログ信号からデジタル信号に変換されて、モータECU18で処理される。
モータECU18は、第1モータ6及び第2モータ8の負荷の駆動及び非駆動を制御するモータ制御手段(負荷制御手段)(インバータ制御手段)として機能するものであり、図3に示すように、第1目標Vd*,Vq*算出手段50、第1目標Vα*,Vβ*算出手段52、第1PWM制御手段54、第1ゲート信号出力手段56、第1相電流算出手段58、第2目標Vd*,Vq*算出手段60、第2目標Vα*,Vβ*算出手段62、第2PWM制御手段64、第2ゲート信号出力手段66及び第2相電流算出手段68をプログラムの実行などにより実現する機能を有する。
第1及び第2モータ6,8の二つのモータが同時に駆動されている期間は、両方のモータ6,8を駆動するためにIGBT素子UH,UM,UL、VH,VM,VL、WH,WM、WLにパルス幅制御信号に対応するゲート信号を出力する必要がある。そのため、図4に示すように、パルス幅変調方式に基づいてゲート信号を生成する際に用いるキャリア信号の1周期(キャリア周期Ts)を、二つの駆動期間に時分割し、T1を第1モータ6の駆動期間に、T2(=Ts−T1)を第2モータ8の駆動期間に割り当てる。
例えば、1キャリア周期Tsの前半が第1モータ6の駆動期間T1に、後半が第2モータ8の駆動期間T2に割り当てられる。第1モータ6の駆動期間T1では、第1インバータ回路4Aが駆動され、第2モータ8の駆動期間T2では、第2インバータ回路4Bが駆動される。駆動期間T1,T2(=Ts−T1)を第1インバータ駆動期間,第2インバータ駆動期間と呼ぶ。
第1及び第2インバータ駆動期間T1,T2は、第1インバータ回路4A及び第2インバータ回路4Bが第1及び第2負荷6,8との間で電力変換を行っている期間であり、第1負荷6及び第2負荷8がモータである場合は、モータの駆動及び回生の期間を含む。
第1インバータ駆動期間T1において、図5(a)に示すように、第2インバータ回路4Bをゼロベクトル、即ち、第2インバータ回路4BのIGBT素子UL,VL,WLを全てON状態にして、第1インバータ回路4Aを駆動制御する。同様に、第2インバータ駆動期間T2において、第1インバータ回路4Aをゼロベクトル、即ち、第1インバータ回路4AのIGBT素子UH,VH,WHを全てON状態にして、第2インバータ回路4Bを駆動制御する。
第1目標Vd*,Vq*算出手段50は、第1モータ6について、回転直交座標をなすdq座標上で電流のフィードバック制御を行うものであり、運転者のアクセル操作に係るアクセル開度を検出する図示しないアクセル開度センサ及び運転者のブレーキ操作に係る図示しないブレーキスイッチのON/OFF等の各センサによる検出信号等から算出された車両の運転状態に応じた第1モータ6に対する第1トルク指令値から、第1目標d軸電流id*及び第1目標q軸電流iq*を演算する。第1目標d軸電流id*、第1目標q軸電流iq*、回転角度θ1、並びに第1相電流算出手段58により算出されたU相電流iu1、V相電流iv1及びW相電流iw1の算出値をdq座標上に変換して得た第1d軸電流id及び第1q軸電流iqから、第1d軸電流id及び第1q軸電流iqと第1目標d軸電流id*及び第1目標q軸電流iq*との各偏差がゼロとなるように、第1目標d軸電圧Vd*及び第1目標q軸電圧Vq*を演算する。
第1目標Vα*,Vβ*算出手段52は、第1目標d軸電圧Vd*及び第1目標q軸電圧Vq*を静止座標系であるαβ座標軸上に変換して、第1目標電圧Vα*,Vβ*を演算する。
αβ座標系におけるベクトル(Vα*,Vβ*)を指令電圧ベクトルとする。第1PWM制御手段54は、第1目標電圧Vα*,Vβ*に基づき、T1を周期とする空間ベクトル変調方式により、UH,UM、VH,VM、及びWH,WMのゲートに印加するための4個のPWM制御パターンを求める。尚、パルス幅変調は、空間ベクトル変調方式以外の方式、例えば、正弦波・三角波比較方式でも良い。
空間ベクトル変調方式では、αβ座標空間が図6(a)に示すようにベクトルV1(100),V2(110),V3(010),V4(011),V5(001),V6(101)により領域I,II,III,IV,V,VIに分割される。(***)は、第1インバータ回路4Aを駆動する場合は、(UH/UM),(VH/VM),(WH/WM)のON,OFF状態を示し、1はH側がON、M側はOFF状態、0はH側がOFF状態,M側はON状態である。また、第2インバータ回路4Bを駆動する場合は、(UM/UL),(VM/VL),(WM/WL)のON状態,OFF状態を示し、1はM側がON状態、L側はOFF状態、0はM側がOFF状態,L側はON状態である。
図6(a)に示すαβ座標空間において、第1目標電圧Vα*,Vβ*に該当する空間ベクトルである指令電圧ベクトルを算出する。例えば、第1インバータ回路4Aについて、ある時点での指令電圧ベクトルが領域Iにある場合、領域Iの指令電圧ベクトルは、V1(100),V2(110)及びゼロベクトルの和で表され、第1インバータ駆動期間T1のTs/2において、V7→V1→V2→V7となる。
従って、そのときのPWM制御パターンは、(111)→(100)→(110)→(111)となる。パルス幅変調の変調率が高い場合は、ゼロベクトル期間が無くなることがある。また、ゼロベクトルはV7(111)の代わりに、V0(000)でも良い。ゼロベクトルの選択は、例えば、IGBT素子のスイッチング回数が少なくなるようにする。
尚、三角波キャリア変調方式の場合でも、T1において、三角波キャリア信号と目標Vd*,Vq*を座標変換して得られる目標相電圧Vu*,Vv*,Vw*を比較して、4個のPWM制御パターンを生成する。
第1ゲート信号出力手段56は、第1インバータ駆動期間T1において、第1PWM制御手段54により算出されたPWM制御パターンに対応するゲート信号をゲート駆動回路22を通して、UH,UM,UL、VH,VM,VL、WH,WM,WLのゲートに出力する。第1インバータ駆動期間T1において、UL,VL,WLに(111)ゼロベクトルを出力する。
第1相電流算出手段58は、第1インバータ駆動期間T1において電流センサ12U,12V,12Wの検出電流iu,iv,iwから以下に説明するように第1モータ6のU,V,W相の相電流(負荷電流)iu1,iv1,iw1を算出する。まず、検出電流iu,iv,iwと第1モータ6の相電流iu1,iv1,iw1及びPWM制御パターンの関係について、例を挙げて説明する。
第1インバータ回路4Aの指令電圧ベクトルが領域Iであると、図6(b)に示すように、UH,VH,WHがON状態、UM,VM,WMがOFF状態、UL,VL,WLがON状態となる回路状態A、UHがON状態、VH,WHがOFF状態、UMがOFF、VM,WMがON状態、UL,VL,WLがON状態となる回路状態B、UH,VHがON状態、WHがOFF状態、UM,VMがOFF状態、WMがON状態、UL,VL,WLがON状態となる回路状態C、UH,VH,WHがON状態、UM,VM,WMがOFF状態、UL,VL,WLがON状態となる回路状態DがPWM制御パターンの時間幅だけそれぞれ継続し、回路状態が順次遷移する。
第1インバータ駆動期間T1では、UL,VL,WLがON状態となっていることから、第2モータ8の相電流iu2,iv2,iw2は、UL,VL,WL又はDUL,DVL,DWLを還流している。相電流iu2,iv2,iw2が還流し、電流iu,iv,iwはUH,VH,WHのコレクタ電流であることから、相電流iu1,iv1,iw1のみを含み、相電流iu2,iv2,iw2を含むことがない。
回路状態Aでは、UH,VH,WHがON状態であることから、UH,VH,WH又はDUH,DVH,DWH、第1モータ6、UH,VH,WHのコレクタとP側の電源ラインに接続されるバスラインを通して、相電流iu1,iv1,iw1が還流する。UM,VM,WMがOFF状態であることから、図7(a)に示すように、電流iu=iu1,iv=iv1,iw=iw1となる。
回路状態Bでは、UHがON状態、VH,WHがOFF状態、UMがOFF状態、VM,WMがON状態、UL,VL,WLがON状態であることから、図7(a)に示すように、電流iu=相電流iu1となる。また、VH,WHがOFF状態であることから、電流iv=iw=0となる。
回路状態Cでは、UH,VHがON状態、WHがOFF状態、UM,VMがOFF状態、WMがON状態、UL,VL,WLがON状態であることから、図7(a),(b)に示すように、電流iu=相電流iu1となる。また、図7(a),(b)に示すように、電流iv=相電流iv1となる。WHがOFF状態であることから、電流iw=0となる。第1モータ6は、3相モータであることから、iu1+iv1+iw1=0が成り立ち、iw1=−(iu1+iv1)により算出することができる。回路状態Dでは、回路状態Aと同様に、図7(a)に示すように、iu=iu1,iv=iv1,iw=iw1となる。
このように、例えば、PWM制御パターンが(111),(100),(110),(111)の場合には、iu,iv,iwより相電流iu1,iv1,iw1を算出することができる。また、相電流が2個求められている場合は、残りの相電流は、その2個の相電流の和のマイナス値とすれば良い。パルス幅制御の変調率が高いことにより回路状態A,Dが存在しない場合でも、回路状態Cで相電流iu1,iv1を検出し、相電流iw1を算出することが可能である。
図6(a)で取り上げた指令電圧ベクトルでは、上記のように、回路状態A,C,Dで相電流iu1,iv1,iw1が検出・算出が可能となったが、どれか1つの回路状態から相電流iu1,iv1,iw1が検出又は演算により算出可能であれば制御上は問題ない。
全PWM制御パターンに通用する電流値の算出方法について説明する。図8において、H_IGBT ONはP側IGBTがON状態、M_IGBT ONはM側IGBTがON状態、L_IGBT ONはN側IGBTがON状態であることを示す。
第1インバータ駆動期間T1では、P側及びM側のIGBTを利用して、PWM制御を行うため、各相のスイッチング状態はH_IGBT ON、M_IGBT ONのどちらかの状態にある。電流センサ12U,12V,12Wは各相のP側IGBTのコレクタ端に存在するため、H_IGBT ON状態で検出する電流値は、iu=iu1,iv=iv1,iw=iw1となり、M_IGBT ON状態では、iu=0,iv=0,iw=0となる。
また、第2インバータ駆動期間T2では、M側及びN側のIGBTを利用して、PWM制御を行うため、各相のスイッチング状態は、M_IGBT ON、L_IGBT ONのどちらかの状態にある。電流センサ12U,12V,12Wは各相のP側IGBTのコレクタ端に存在するため、M_IGBT ON状態で検出する電流値は、iu=iu1+iu2,iv=iv1+iv2,iw=iw1+iw2となり、L_IGBT ON状態では、iu=iu1,iv=iv1,iw=iw1となる。これをスイッチング関数に表すと以下のようになる。
N相X段のIGBTのスイッチング関数SNXを次のように定義する。スイッチング関数SNXは、N相X段のIGBT素子がON状態のとき、SNX=1、N相X段のIGBT素子がOFF状態のとき、SNX=0と定義する。図9(a)において、SUH,SVH,SWHはUH,VH,WHのスイッチング関数、SUM,SVM,SWMはUM,VM,WMのスイッチング関数、SUL,SVL,SWLはUL,VL,WLのスイッチング関数である。
電流iu,iv,iwが検出する値は、スイッチング関数をあわせて表現すると、図9(b)に示すようになる。即ち、第1インバータ駆動期間T1では、電流iu=SUH*iu1、電流iv=SVH*iv1、電流iw=SWH*iw1となる。
空間ベクトル変調では、各キャリア期間に存在する4つの回路状態A〜Dのうち、1つの状態で少なくとも2つのP側のスイッチング素子は必ずON状態になる。上記より、ON状態となった2つの相は相電流を算出することができる。残りの相は、算出された2つ相電流の和のマイナス値とすることにより算出することができる。従って、4つの回路状態A〜Dが如何なる状態であっても、相電流iu1,iv1,iw1を算出することができる。
第1相電流算出手段(負荷電流算出手段)58は、第1インバータ駆動期間T1において、UH,VH,WHのON/OFF状態により以下のようにして、相電流iu1,iv1,iw1を検出及び算出し、図示しないメモリ等に書き込む。UHがON状態であれば、相電流iu1=電流iuとする。VHがON状態であれば、相電流iv1=電流ivとする。WHがON状態であれば、相電流iw1=電流iwとする。尚、二つの相電流u1,v1等が電流iu,iv,iwから算出されているとき、残りの相電流は、二つの相電流の和のマイナス値とする。
第2目標Vd*,Vq*算出手段60は、第2モータ8について、回転直交座標をなすdq座標上で電流のフィードバック制御を行うものであり、例えば、車両の運転状態等に応じた第2モータ8に対する第2トルク指令値から、第2目標d軸電流id*及び第2目標q軸電流iq*を演算する。第2目標d軸電流id*、第2目標q軸電流iq*、回転角度θ2、並びに、第2相電流算出手段68により算出されたU相電流iu2、V相電流iv2及びW相電流iw2の算出値をdq座標上に変換して得た第2d軸電流id及び第2q軸電流iqから、第2d軸電流id及び第2q軸電流iqと第2目標d軸電流id*及び第2目標q軸電流iq*との各偏差がゼロとなるように、第2目標d軸電圧Vd*及び第2目標q軸電圧Vq*を演算する。
第2目標Vα*,Vβ*算出手段62は、第2目標d軸電圧Vd*及び第2目標q軸電圧Vq*を静止座標系であるαβ座標軸上に変換して、第2目標電圧Vα*,Vβ*を演算する。第2PWM制御手段64は、第2インバータ駆動期間T2において、第2目標電圧Vα*,Vβ*に基づき、T2(=Ts−T1)を周期とする空間ベクトル変調方式により、UM,UL、VM,VL及びWM,WLのゲートに印加するための4個のPWM制御パターンを求める。尚、パルス幅変調方式は、空間ベクトル変調方式以外の三角波キャリア変調方式でも良い。
第2ゲート信号出力手段66は、第2インバータ駆動期間T2(=Ts−T1)において、第2PWM制御手段64により算出されたPWM制御パターンに対応するゲート信号をゲート駆動回路22を通して、UH,UM,UL、VH,VM,VL、WH,WM,WLのゲートに出力する。第2インバータ駆動期間T2において、UH,VH,WHに(111)ゼロベクトルを出力する。
第2相電流算出手段(負荷電流算出手段)68は、第2インバータ駆動期間T2において、電流センサ12U,12V,12Wの検出電流iu,iv,iw及び第1相電流算出手段58により算出された相電流iu1,iv1,iw1及びPWM制御パターンから次のようにして第2モータ8のU,V,W相の相電流iu2,iv2,iw2を算出し、図示しないメモリ等に書き込む。
まず、図6及び図7を用いて、具体例を説明する。図6(a)に示すように、例えば、第2インバータ回路4Bついて、ある時点の指令電圧ベクトルが領域VIに存在したとき、その時のPWM制御パターンは、V7(111),V6(101),V1(100),V7(111)となる。
ゼロベクトルは(111)の代わりに、(000)でも良い。ゼロベクトルの選択は、IGBT素子のスイッチング回数が少なくなるようにする。パルス幅制御の変調率が高い場合は、ゼロベクトル期間が無くなることがある。尚、三角波キャリア変調方式の場合でも、T2(=Ts−T1)において、三角波キャリア信号と目標Vd*,Vq*を座標変換して得られる目標Vu*,Vv*,Vw*を比較して、PWM制御パターンを生成すれば良い。
第2インバータ回路4Bについて、ある時点の指令電圧ベクトルが領域VIに存在すると、図6(b)に示すように、UH,VH,WHがON状態、UM,VM,WMがON状態、UL,VL,WLがOFF状態となる回路状態E、UH,VH,WHがON状態、UM,WMがON状態、VMがOFF状態、UL,WLがOFF状態、VLがON状態となる回路状態F、UH,VH,WHがON状態、UMがON状態、VM,WMがOFF状態、ULがOFF状態、VL,WLがON状態となる回路状態G、UH,VH,WHがON状態、UMがON状態、VM,WMがOFF状態、ULがOFF状態、VL,WLがON状態となる回路状態G、及びUH,VH,WHがON状態、UM,VM,WMがON状態、UL,VL,WLがOFF状態となる状態HがPWM制御パターンの時間幅、それぞれ継続し、回路状態が順次遷移する。
第2インバータ駆動期間T2では、UH,VH,WHがON状態となっていることから、第1モータ6では、UH,VH,WH又はDUH,DVH,DWHを通して、相電流iu1,iv1,iw1が還流している。このときの相電流iu1,iv1,iw1は、直前の第1モータ駆動期間T1で算出された相電流iu1,iv1,iw1(最後のゼロベクトル期間で算出された相電流を含む)が利用できる。
回路状態Eでは、相電流iu1,iv1,iw1が、UH,VH,WH又はDUH,DVH,DWH及び第1モータ6を通して、還流していること、並びにUM,VM,WMがON状態、UL,VL,WLがOFF状態であることより、iu=iu1+iu2,iv=iv1+iv2,iw=iw1+iw2となる。従って、相電流iu2=iu−iu1,iv2=iv−iv1,iw2=iw−iw2により相電流iu2,iv2,iw2を算出することができる。相電流iu1,iv1,iw1は、直前の第1インバータ駆動期間T1で算出された相電流である。
回路状態Fでは、相電流iu1,iv1,iw1が、UH,VH,WH又はDUH,DVH,DWHを通して、還流していること、並びにUMがON状態、VMがOFF状態、WMがON状態であり、ULがOFF状態、VLがON状態、WLがOFF状態であることから、図7(a)に示すように、iu=iu1+iu2となる。
また、VMがOFF状態であることから、電流ivは相電流iv1として還流し、図7(a)に示すように、iv=iv1となる。WMがON状態であることから、電流iwはWHのエミッタ側で第1モータ6のW相のコイルに流れる電流とWMに流れる電流に分岐し、相電流iw1は還流する。WMに分岐した電流は、WM→第2モータ8のW相のコイル→第2モータ8のV相のコイル→VLと流れ、図7(a)に示すように、iw=iw1+iw2となる。よって、iu2=iu−iu1,iw2=iw−iw1により、相電流iu2,iw2を算出することができる。また、iv2=−(iu2+iw2)により相電流iv2を算出することができる。
回路状態Gでは、相電流iu1,iv1,iw1が、UH,VH,WH又はDUH,DVH,DWHを通して、還流していること、並びにUMがON状態、VMがOFF状態、WMがOFF状態、ULがOFF状態、VLがON状態、WLがON状態であることから、図7(a)に示すように、iu=iu1+iu2となる。
また、VMがOFF状態であることから、電流ivは相電流iv1として還流し、図7(a)に示すように、iv=iv1となる。WMがOFF態であることから、電流iwは相電流iw1として還流し、図7(a)に示すように、iw=iw1となる。よって、iu2=iu−iv1により、相電流iu2を算出することができる。
尚、このiv1,iw1を用いて、iv=iv1+iv2,iw=iw1+iw2が成立したとき、iv2=iv−iv1,iw2=iw−iw1により相電流iv2,iw2を算出しても良い。
回路状態Hでは、回路状態Eと同様に、iu=iu1+iu2,iv=iv1+iv2,iw=iw1+iw2となり、iu2=iu−iu1,iv2=iv−iv1,iw2=iw−iw1より相電流iu2,iv2,iw2を算出できる。
図6(a)で取り上げた指令電圧ベクトルでは、上記説明のように、回路状態E,F,Hでiu2,iv2,iw2が検出可能となったが、どれか1つの回路状態で検出可能であれば、制御上は問題ない。
以上より、全PWM制御パターンに通用する電流値の算出方法について説明する。第2インバータ回路4BのUM,VM,WM,UL,VL,WLのスイッチング状態と電流との関係を表すと、図8のようになる。即ち、UMがON状態でiu=iu1+iu2,VMがON状態でiv=iv1+iv2,WMがON状態でiw=iw1+iw2となる。電流iu,iv,iwはスイッチング関数をあわせて表現すると図9(b)に示すようになる。即ち、図9(b)に示すように、第2インバータ駆動期間T2では、電流iu=SUH*iu1+SUM*iu2、電流iv=SVH*iv1+SVM*iv2、電流iw=SWH*iw1+SWM*iw2となる。
空間ベクトル変調では、各キャリア期間T2に存在する4つの回路状態E〜Fのうち、少なくとも、1つの状態で2つのM側のIGBTは必ずON状態になること、相電流iu1,iv1,iw1は第1インバータ駆動制御期間T1で算出されていることから、ON状態となった2つの相電流を必ず算出することができる。残りの相は、算出された2つ相電流の和のマイナス値とすることにより算出することができる。従って、4つの回路状態E〜Fが如何なる状態であっても、相電流iu2,iv2,iw2を算出することができる。
第2相電流算出手段68は、UM,VM,WMのON/OFF状態より以下のようにして、相電流iu2,iv2,iw2を算出する。UMがON状態であれば、相電流iu2=iu−iu1とする。VMがON状態であれば、相電流iv2=iv−iv1とする。WMがON状態であれば、相電流iw2=iw−iw1とする。iu1,iv1,iw1は直前の第1インバータ駆動期間T1で検出された相電流である。尚、二つの相電流iu2,iv2等が算出されているとき、残りの相電流iw2等は、二つの相電流の和のマイナス値とする。
図10に示すように、例えば、2つの連続するキャリア周期Tsについて、時間順に、第1インバータ駆動期間T1a,第2インバータ駆動期間T2a,第1インバータ駆動期間T1b,第2インバータ駆動期間T2bとする。
第1相電流算出手段58は、第1インバータ駆動期間T1a,T1bにおいて、第1相電流iu1,iv1,iw1を算出する。また、第2相電流算出手段68は、第2インバータ駆動期間T2a,T2bにおいて、直前の第1インバータ駆動期間T1a,T1bにおいて第1相電流算出手段58が検出・算出した第1相電流iu1,iv1,iw1を用いて、第2相電流iu2,iv2,iw2を算出する。
第1インバータ駆動期間T1aにおけるPWM制御パターンは直前の第2インバータ駆動期間で決定される。第1インバータ駆動期間T1bにおけるPWM制御パターンは直前の第2インバータ駆動期間T2aで決定される。第2インバータ駆動期間T2a,T2bにおけるPWM制御パターンは直前の第1インバータ駆動期間T1a,T1bで決定される。
第1インバータ駆動期間T1aで決定される第2インバータ駆動期間T2aのPWM制御パターンは、直前の第2インバータ駆動期間で算出された相電流iu2,iv2,iw2を用いて決定される。第1インバータ駆動期間T1bで決定される第2インバータ駆動期間T2bのPWM制御パターンは、直前の第2インバータ駆動期間T2aで算出された相電流iu2,iv2,iw2を用いて決定される。
第2インバータ駆動期間T2a,T2bで決定される第1インバータ駆動期間T1b,T1cのPWM制御パターンは、直前の第1インバータ駆動期間T1a,T1bで算出された相電流iu1,iv1,iw1を用いて決定される。
図11〜図15を参照して、本発明の実施形態によるモータ制御方法の一例の説明をする。図11中のステップS2で第1インバータ回路4Aを駆動するか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS4に進む。否定判定ならば、ステップS8に進む。ステップS4で第2インバータ回路4Bを駆動するか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS6に進む。否定判定ならば、ステップS10に進む。ステップS6で第1インバータ回路4A及び第2インバータ回路4Bを以下のようにして駆動する。
第1インバータ駆動期間T1において、第1インバータ回路4Aを次のようにして、駆動する。次のようにして、相電流iu1,iv1,iw1を算出する。
図12中のステップS80で第1インバータ駆動期間T1において電流iu,iv,iwを検出する。ステップS82でUHがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS84に進む。否定判定ならば、ステップS86に進む。ステップS84で相電流iu1=iuとする。
ステップS86でVHがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS88に進む。否定判定ならば、ステップS90に進む。ステップS88で相電流iv1=ivとする。ステップS90でWHがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS92に進む。否定判定ならば、ステップS94に進む。ステップS92で相電流iw1=iwとする。
ステップS94で第1インバータ駆動期間T1が終了したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS96に進む。否定判定ならば、ステップS80に戻る。ステップS96で相電流iu1,iv1,iw1検出済みであるか否かを判定する。肯定判定ならば、終了する。否定判定ならば、ステップS98に進む。ステップS98で検出済みの相電流の和のマイナス値とすることにより未検出相電流を算出する。例えば、iw1=−(iu1+iv1)により算出する。
算出された相電流iu1,iv1,iw1は、図10に示すように、直後の第2インバータ駆動期間T2において、相電流iu2,iv2,iw2の算出、及び直後の第2インバータ駆動期間T2において、直後の第1インバータ駆動期間T1のためのPWM制御パターン決定のための第1目標d軸電圧Vd*及び第1目標q軸電圧Vq*の演算に使用される。
第2インバータ駆動期間T2において、図13中のステップS38で直前の第1インバータ駆動期間T1においてステップS80〜S98により算出された相電流iu1,iw1,iw1を読み込む。ステップS40で車両の運転状態に応じた第1モータ6に対する第1トルク指令値から、第1目標d軸電流id*及び第1目標q軸電流iq*を演算する。第1目標d軸電流id*、第1目標q軸電流iq*、回転角度θ1、並びにステップS38で読み込まれたU相電流iu1、V相電流iv1及びW相電流iw1をdq座標上に変換して得た第1d軸電流id及び第1q軸電流iqから、第1d軸電流id及び第1q軸電流iqと第1目標d軸電流id*及び第1目標q軸電流iq*との各偏差がゼロとなるように、第1目標d軸電圧Vd*及び第1目標q軸電圧Vq*を演算する。
ステップS42で第1目標d軸電圧Vd*及び第1目標q軸電圧Vq*を静止座標系であるαβ座標軸上に変換して、第1目標電圧Vα*,Vβ*を演算する。ステップS44で第1目標電圧Vα*,Vβ*に基づき、T1におけるパルス幅変調により、UH,UM、VH,VM及びWH,WMのゲートに印加するための4個のPWM制御パターンを求める。
直後の第1インバータ駆動期間T1において、ステップS46でUH,VH,WH,UM,VM,WMのゲートにPWM制御パターンに該当するゲート信号を出力するとともに、UL,VL,WLにゼロベクトル(111)を出力する。
第2インバータ駆動期間T2において、第2インバータ回路4Bを以下のようにして、駆動する。次のようにして、相電流iu2,iv2,iw2を算出する。図14中のステップ110で第2インバータ駆動期間T2において電流iu,iv,iwを検出する。ステップS112でUMがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS114に進む。否定判定ならば、ステップS116に進む。ステップS116で相電流iu2=iu−iu1とする。
ステップS116でVMがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS118に進む。否定判定ならば、ステップS120に進む。ステップS118で相電流iv2=iv−iv1とする。ステップS120でWMがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS122に進む。否定判定ならば、ステップS124に進む。ステップS122で相電流iw2=iw−iw1とする。
ステップS124で第2インバータ駆動期間T2が終了したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS126に進む。否定判定ならば、ステップS110に戻る。ステップS126で相電流iu2,iv2,iw2が検出済みであるか否かを判定する。肯定判定ならば、終了する。否定判定ならば、ステップS128に進む。ステップS128で検出済みの相電流の和のマイナス値とすることにより未検出の相電流を算出する。例えば、iw2=−(iu2+iv2)により算出する。
第1インバータ駆動期間T1において、図15中のステップS59で直前の第2インバータ駆動期間T2においてステップS110〜S128により算出された相電流iu2,iw2,iw2を読み込む。ステップS60で車両の運転状態等に応じた第2モータ8に対する第2トルク指令値から、第2目標d軸電流id*及び第2目標q軸電流iq*を演算する。第2目標d軸電流id*、第2目標q軸電流iq*、回転角度θ2、並びにステップS59で読み込まれたU相電流iu2、V相電流iv2及びW相電流iw2をdq座標上に変換して得た第2d軸電流及び第2q軸電流から、第2d軸電流id及び第2q軸電流iqと第2目標d軸電流id*及び第2目標q軸電流iq*との各偏差がゼロとなるように、第2目標d軸電圧Vd*及び第2目標q軸電圧Vq*を演算する。
ステップS62で第2目標d軸電圧Vd*及び第2目標q軸電圧Vq*を静止座標系であるαβ座標軸上に変換して、第2目標電圧Vα*,Vβ*を演算する。ステップS64で第2目標電圧Vα*,Vβ*に基づき、T2(=Ts−T1)における空間ベクトル変調方式により、UM,UL、VM,VL及びWM,WLのゲートに印加するための4個のPWM制御パターンを求める。
直後の第2インバータ駆動期間T2において、ステップS66でUM,VM,WM,UL,VL,WLのゲートにPWM制御パターンに該当するゲート信号を出力するとともにUH,VH,WHにゼロベクトル(111)を出力する。
図11中のステップS10で第1インバータ回路4Aを駆動、第2インバータ回路4Bを非駆動とする。即ち、UH,UM,VH,VM,WH,WMには、1キャリア周期TsにおいてPWM制御パターンに該当するゲート信号を出力するとともに、第2インバータ回路4BのUL,VL,WLがON状態となるようゼロベクトル(111)に該当するゲート信号を出力する。第1インバータ回路4Aが駆動されている場合は、第1インバータ駆動期間T1と同様にして、電流iu,iv,iwより相電流iu1,iv1,iw1を算出し、相電流iu1,iv1,iw1等に基づいて、第1インバータ駆動期間T1における第1インバータ回路4Aの駆動制御と同様にして第1モータ6を駆動制御する。
ステップS12で第1インバータ回路4Aを非駆動、第2インバータ回路4Bを駆動とする。即ち、UH,UM,VHには、ON状態となるゼロベクトル(111)に該当するゲート信号を出力するとともに、UM,UL,VM,VL,WM,WLには、1キャリア周期TsにおいてPWM制御パターンに該当するゲート信号を出力する。
第1インバータ回路4Aが非駆動であるときは、第1モータ6が停止しており、相電流iu1=iv1=iw1=0であることから、上述の第2インバータ駆動期間T2において、相電流iu1=iv1=iw1=0として、相電流iu2,iv2,iw2を算出し、相電流iu2,iv2,iw2等に基づいて、第2インバータ駆動期間T2の第2インバータ回路4Bの駆動制御と同様にして第2モータ8を駆動制御する。ステップS14で第1インバータ回路4A及び第2インバータ回路4Bを非駆動とする。
第1実施形態によれば、UH,VH,WHのコレクタに流れる電流を検出する電流センサ12U,12V,12Wを設けたのみなので、電流センサの数を少なくすることができ、インバータ装置のコストを削減できるとともにサイズを小さくすることができる。
第1実施形態では、トリプルブリッジインバータ回路の場合を例に説明したが、一般に、M(M≧3)段に配置されたスイッチング素子により直列回路が構成されるとともに、N(N≧2)個の直列回路が並列に接続されたM段N相ブリッジインバータ回路と、M段N相ブリッジインバータ回路の各相のj(jは1から(M−1)までの自然数)段目のスイッチング素子と(j+1)段目のスイッチング素子との接続点に各制御端子からなるN個の制御端子を有する第j負荷が接続された構成においても、初段の各列のスイッチング素子に流れる電流を検知する電流センサを設ける。
この場合、パルス幅変調方式における1キャリア周期内を(M−1)個の以下の駆動期間に分割し、駆動期間毎に第j負荷(jは1から(M−1)までの自然数)を時分割で通電制御を行う。そして、各電流センサを流れる電流及び各スイッチング素子のON/OFF状態に基づき負荷電流を算出する。
第2実施形態
図16は本発明の第2実施形態によるインバータ装置の構成図であり、図1中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。図16に示すように、電流センサ12U,12V,12WをUH,VH,WHのエミッタ電流を検出するためにUH,VH,WHを流れるエミッタ電流が相電流iu1,iv1,iw1に分岐する分岐点よりも上流側に設けた点が図1のインバータ装置と異なる。図17に示すように、この電流センサ12U,12V,12Wが検出する電流iu,iv,iwと相電流iu1,iv1,iw1及び相電流iu2,iv2,iw2との関係は第1実施形態の場合と同じになる。よって、第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
一般に、M(M≧3)段に配置されたスイッチング素子により直列回路が構成されるとともに、N(N≧2)個の直列回路が並列に接続されたM段N相ブリッジインバータ回路と、M段N相ブリッジインバータ回路の各相のj(jは1から(M−1)までの自然数)段目のスイッチング素子と(j+1)段目のスイッチング素子との接続点に各制御端子からなるN個の制御端子を有する第j負荷が接続された構成においても、第1実施形態と同様に、初段の各列のスイッチング素子に流れる電流を検知する電流センサを設け、電流センサの検出値より負荷電流を算出することができる。
第3実施形態
図18は本発明の第3実施形態によるインバータ装置の構成図であり、図1中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。図18に示すように、電流センサ12U,12V,12WをUL,VL,WLのエミッタ電流が検出されるように設けた点が図1のインバータ装置と異なる。
図19はモータECU100のモータ制御手段に係る機能ブロック図であり、図3中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。図19に示すように、電流iu,iv,iwと相電流iu1,iv1,iw1及びiu2,iv2,iw2との関係が第1実施形態とは異なるので、第1相電流算出手段110及び第2相電流算出手段112が第1実施形態の第1相電流算出手段58及び第2相電流算出手段68と異なる。電流センサ12U,12V,12Wの検出電流iu,iv,iwは直流電源2の負極側の電源ラインからUL,VL,WLに流れる電流を正とする。
第1インバータ駆動期間T1では、図6(b)中の回路状態A,B,C,Dにおいて、電流iu,iv,iwと相電流iu1,iv1,iw1及び相電流iu2,iv2,iw2の関係は以下のようになる。
第1インバータ駆動期間T1では、UL,VL,WLがON状態となっていることから、第2モータ8では、UL,VL,WL又はDUL,DVL,DWLを通して、第2モータ8の相電流iu2,iv2,iw2が還流しているので、電流iu,iv,iwは相電流iu2,iv2,iw2を含む。
図20に示すように、回路状態Aでは、UH,VH,WHがON状態、UM,VM,WMがOFF状態であるため、相電流iu1,iv1,iw1は、UH,VH,WH又はDUH,DVH,DWHを通して、還流するので、iu=iu2,iv=iv2,iw=iw2となる。
回路状態Bでは、UHがON状態、UMがOFF状態であるので、iu=iu2となる。VHがOFF状態、VMがON状態であり、相電流iv1はVM→VLと流れるので、iv=iv1+iv2となる。同様に、WHがOFF状態、WMがON状態であることから、相電流iw1はWM→WLと流れるので、iw=iw1+iw2となる。
回路状態Cでは、UHがON状態、UMがOFF状態であることから、iu=iu2となる。VHがON状態、VMがOFF状態であることから、iv=iv2となる。また、WHがOFF状態、WMがON状態であることから、相電流iw1はWM→WLと流れるので、iw=iw1+iw2となる。回路状態Dでは、回路状態Aと同様に、iu=iu2,iv=iv2,iw=iw2となる。
後述するように、第2インバータ駆動期間T2では、相電流iu2,iv2,iw2が算出されるので、第1インバータ駆動期間T1では、相電流iu1,iv1,iw1が算出されるように電流iu,iv,iwと相電流iu1,iv1,iw1の関係を算出する。即ち、iu=iu1+iu2,iv=iv1+iv2,iw=iw1+iw2を算出する。
図21(a)に示すように、UMがON状態であれば、iu=iu1+iu2となる。VMがON状態であれば、iv=iv1+iv2となる。WMがON状態であれば、iw=iw1+iw2となる。これをスイッチング関数を用いて表すと図21(b)に示すようになる。即ち、iu=SUM*iu1+SUL*iu2,iv=SVM*iv1+SVL*iv2,iw=SWM*iw1+SWL*iw2が成り立つ。
空間ベクトル変調では、各キャリア期間T1に存在する4つの回路状態A〜Dのうち、少なくとも1つの状態で2つの相は必ずON状態になること、相電流iu2,iv2,iw2は直前のキャリア周期の第2インバータ駆動制御期間T2で算出されていることから、ON状態となった2つの相電流を必ず算出することができる。残りの相は、算出された2つ相電流の和のマイナス値とすることにより算出することができる。従って、4つの回路状態A〜Dが如何なる状態であっても、相電流iu1,iv1,iw1を算出することができる。
第1相電流算出手段110は、UMがON状態であれば、電流(iu1+iu2)=電流iuとする。VMがON状態であれば、電流(iv1+iv2)=電流ivとする。WMがON状態であれば、電流(iw1+iw2)=電流iwとする。尚、二つの検出電流(iu1+iu2),(iv1+iv2)等が相電流iu,iv等から算出されているとき、残りの電流(iw1+iw2)等は、二つの相電流の和のマイナス値とする。そして、検出電流(iu1+iu2),(iv1+iv2),(iw1+iw2)及び第2相電流算出手段112により算出された相電流iu,iv2,iw2より、相電流iu1=検出電流(iu1+iu2)−相電流iu2,相電流iv1=検出電流(iv1+iv2)−相電流iv2,相電流iw1=検出電流(iw1+iw2)−相電流iw2により算出する。
第2インバータ駆動期間T2では、図6(b)中の回路状態E,F,G,Hにおいて、センサ12U,12V,12Wに通電する電流iu,iv,iwと相電流iu1,iv1,iw1及び相電流iu2,iv2,iw2の関係は以下のようになる。
第2インバータ駆動期間T2では、UH,VU,WHがON状態であることから、相電流iu1,iv1,iw1は、UH,VH,WH又はDUH,DVH,DWHを還流しており、UM,VM,WMに流れる込むことはない。即ち、電流iu,iv,uwは相電流iu1,iv1,iw1を含まない。
回路状態Eでは、UL,VL,WLがOFF状態であることから、iu=iv=iw=0となる。回路状態Fでは、UMがON状態,ULがOFF状態であることから、iu=0となる。VMがOFF状態,VLがON状態であることから、電流iv=iv2となる。また、WMがON状態、WLがOFF状態であることから、iw=0となる。
回路状態Gでは、UMがON状態、ULがOFF状態であることから、iu=0となる。VMがOFF状態、VLがON状態であることから、iv=iv2となる。また、WMがOFF状態、WLがON状態であることから、iw=iw2となる。回路状態Hでは、回路状態Eと同様に、iu=iv=iw=0となる。
以上より、第2インバータ駆動期間T2では、相電流iu2,iv2,iw2を算出することができる。図21(a)に示すように、ULがON状態であれば、iu=iu2となる。VLがON状態であれば、iv=iv2となる。WLがON状態であれば、iw=iw2となる。スイッチング関数を用いて表すと図21(b)に示すようになる。即ち、iu=SUL*iu2,iv=SVL*iv2,iw=SWL*iw2が成り立つ。
空間ベクトル変調では、各キャリア期間T2に存在する4つの回路状態E〜Fのうち、少なくとも1つの状態で2つの相は必ずON状態になることから、ON状態となった2つの相電流を必ず算出することができる。残りの相は、算出された2つ相電流の和のマイナス値とすることにより算出することができる。従って、4つの回路状態E〜Fが如何なる状態であっても、相電流iu2,iv2,iw2を算出することができる。
第2相電流算出手段112は、ULがON状態であれば、相電流iu2=電流iuとする。VLがON状態であれば、相電流iv2=電流ivとする。WLがON状態であれば、相電流iw2=電流iwとする。尚、二つの相電流iu2,iv2等が電流iu,iv等から算出されているとき、残りの相電流iw2等は、二つの相電流の和のマイナス値とする。
図22及び図23を参照して、相電流iu1,iv1,iw1及び相電流iu2,iv2,iw2の算出方法の説明をする。図22中のステップS150で第1インバータ駆動期間T1において電流iu,iv,iwを検出する。ステップS152でUMがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS154に進む。否定判定ならば、ステップS156に進む。ステップS154で検出電流(iu1+iu2)=iuとする。
ステップS156でVMがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS158に進む。否定判定ならば、ステップS160に進む。ステップS158で検出電流(iv1+iv2)=ivとする。ステップS160でWMがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS162に進む。否定判定ならば、ステップS164に進む。ステップS162で検出電流(iw1+iw2)=iwとする。
ステップS164で第1インバータ駆動期間T1が終了したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS166に進む。否定判定ならば、ステップS150に戻る。ステップS166で電流(iu1+iu2),(iv1+iv2),(iw1+iw2)が検出済みであるか否かを判定する。肯定判定ならば、終了する。否定判定ならば、ステップS168に進む。ステップS168で検出電流(iu1+iu2),(iv1+iv2)等より、残りの電流(iw1+iw2)等を検出電流の和のマイナス値とする。
図23中のステップS180で第2インバータ駆動期間T2において電流iu,iv,iwを検出する。ステップS182でULがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS184に進む。否定判定ならば、ステップS186に進む。
ステップS184で相電流iu2=iuとする。ステップS186でVLがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS188に進む。否定判定ならば、ステップS190に進む。ステップS188で相電流iv2=ivとする。ステップS190でWLがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS192に進む。否定判定ならば、ステップS194に進む。ステップS192で相電流iw2=iwとする。
ステップS194で第2インバータ駆動期間T2が終了したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS196に進む。否定判定ならば、ステップS180に戻る。ステップS196で電流iu2,iv2,iw2が検出済みであるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS200に進む。否定判定ならば、ステップS198に進む。ステップS198で検出済み電流iu2,iv2等より、残りの電流iw2等を検出済み電流の和のマイナス値とする。
ステップS200で相電流iu1=検出電流(iu1+iu2)−相電流iu2とし、相電流iv1=検出電流(iv1+iv2)−相電流iv2とし、相電流iw1=検出電流(iw1+iw2)−相電流iw2とする。
第1インバータ回路4Aの駆動、第2インバータ回路4Bの非駆動の場合は、相電流iu2,iv2,iw2=0として、第1インバータ駆動期間T1と同様にして、相電流iu1,iv1,iw1を算出する。第1インバータ回路4Aの非駆動、第2インバータ回路4Bの駆動の場合は、相電流iu1,iv1,iw1=0として、第2インバータ駆動期間T2と同様にして、相電流iu2,iv2,iw2を算出する。
第3実施形態によれば、UH,VH,WHのコレクタに流れる電流を検出する電流センサ12U,12V,12Wを設けたのみなので、電流センサの数を少なくすることができ、インバータ装置のコストを削減できるともにサイズを小さくすることができる。
一般に、M(M≧3)段に配置されたスイッチング素子により直列回路が構成されるとともに、N(N≧2)個の直列回路が並列に接続されたM段N相ブリッジインバータ回路と、M段N相ブリッジインバータ回路の各相のj(jは1から(M−1)までの自然数)段目のスイッチング素子と(j+1)段目のスイッチング素子との接続点に各制御端子からなるN個の制御端子を有する第j負荷が接続された構成においても、最終段の各列のスイッチング素子に流れる電流を検知する電流センサを設ける。
この場合、パルス幅変調方式における1キャリア周期内を(M−1)個の以下の駆動期間に分割し、駆動期間毎に第j負荷(jは1から(M−1)までの自然数)を時分割で通電制御を行う。そして、そして、各電流センサを流れる電流及び各スイッチング素子のON/OFF状態に基づき負荷電流を算出する。
第4実施形態
図24は本発明の第4実施形態によるインバータ装置の構成図であり、図18中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。図24に示すように、電流センサ12U,12V,12WをUL,VL,WLのコレクタ電流を検出するために、UM,VM,WMのエミッタと第2モータ8への出力ラインとの接続点よりも下流側に設けた点が図18のインバータ装置と異なる。図25に示すように、この電流センサ12U,12V,12Wが検出する電流iu,iv,iwと相電流iu1,iv1,iw1及び相電流iu2,iv2,iw2との関係は第3実施形態の場合と同じになる。よって、第4実施形態は、第3実施形態と同様の効果を奏する。
一般に、M(M≧3)段に配置されたスイッチング素子により直列回路が構成されるとともに、N(N≧2)個の直列回路が並列に接続されたM段N相ブリッジインバータ回路と、M段N相ブリッジインバータ回路の各相のj(jは1から(M−1)までの自然数)段目のスイッチング素子と(j+1)段目のスイッチング素子との接続点に各制御端子からなるN個の制御端子を有する第j負荷が接続された構成においても、第3実施形態と同様に、最終段の各相のスイッチング素子に流れる電流を検知する電流センサを設け、電流センサの検出値より負荷電流を算出する。
第5実施形態
図26は本発明の第5実施形態によるインバータ装置の構成図であり、図1中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。図26に示すように、電流センサ12U,12V,12WをUM,VM,WMのコレクタ電流が検出されるように設けた点が図1のインバータ装置と異なる。
図27はモータECU120のモータ制御手段(インバータ制御手段)に係る機能ブロック図であり、図3中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。図27に示すように、電流iu,iv,iwと相電流iu1,iv1,iw1及びiu2,iv2,iw2との関係が第1実施形態と異なるので、第1相電流算出手段122及び第2相電流算出手段124が第1実施形態の第1相電流算出手段58及び第2相電流算出手段68と異なる。電流センサ12U,12V,12Wの検出電流iu,iv,iwはUM,VM,WMのコレクタからエミッタへ流れる電流を正とする。
第1インバータ駆動期間T1では、図6(b)中の回路状態A,B,C,Dにおいて、電流センサ12U,12V,12Wに通電する電流iu,iv,iwと相電流iu1,iv1,iw1及び相電流iu2,iv2,iw2の関係は以下のようになる。
第1インバータ駆動期間T1では、UL,VL,WLがON状態となっていることから、第2モータ8では、UL,VL,WL又はDUL,DVL,DWLを通して、相電流iu2,iv2,iw2が還流しているので、電流iu,iv,iwは相電流iu2,iv2,iw2を含まない。
回路状態Aでは、図28(b)に示すように、UH,VH,WHがON状態、UM,VM,WMがOFF状態であるので、図29(a)に示すように、相電流iu=iv=iw=0となる。回路状態Bでは、図29(b)に示すように、UHがON状態、UMがOFF状態であるので、iu=0となる。VHがOFF状態、VMがON状態であることから、電流iv=iv1となる。WHがOFF状態、WMがON状態であることから、図29(a)に示すように、iw=iw1となる。
回路状態Cでは、図28(a)に示すように、UHがON状態、UMがOFF状態であることから、図29(a)に示すように、iu=0となる。VHがON状態、VMがOFF状態であることから、図29(a)に示すように、iv=0となる。また、WHがOFF状態、WMがON状態であることから、図29(a)に示すように、iw=iw1となる。回路状態Dでは、回路状態Aと同様に、iu=iv=iw=0となる。
以上を一般化すると、図29(b)に示すように、UMがON状態ならば、iu=iu1となる。VMがON状態ならば、iv=iv1となる。また、WMがON状態ならば、iw=iw1となる。スイッチング関数を用いて表すと図29(c)に示すようになる。即ち、iu=SUM*iu1,iv=SVM*iv1,iw=SWM*iw1が成り立つ。
空間ベクトル変調では、各キャリア期間T1に存在する4つの回路状態A〜Dのうち、少なくとも、2つのM側のIGBTは必ずON状態になることから、ON状態となった2つの相電流を必ず算出することができる。残りの相は、算出された2つ相電流の和のマイナス値とすることにより算出することができる。従って、4つの回路状態A〜Dが如何なる状態であっても、相電流iu1,iv1,iw1を算出することができる。
第1相電流算出手段122は、UMがON状態ならば、相電流iu1=電流iuとする。VMがON状態ならば、相電流iv1=電流ivとする。また、WMがON状態ならば、相電流iw1=電流iwとする。尚、二つの相電流iu1,iv1等が電流iu,iv等から算出されているとき、残りの相電流iw1等は、二つの相電流の和のマイナス値とする。
また、第2インバータ駆動期間T2では、図6(b)中の回路状態E,F,G,Hにおいて、電流センサ12U,12V,12Wに通電する電流iu,iv,iwと相電流iu1,iv1,iw1及び相電流iu2,iv2,iw2の関係は以下のようになる。
第2インバータ駆動期間T2では、UH,VU,WHがON状態であることから、相電流iu1,iv1,iw1は、UH,VH,WH又はDUH,DVH,DWHを通して、還流しており、UM,VM,WMに流れる込むことはないので、電流iu,iv,iwは相電流iu1,iv1,iw1を含まない。
回路状態Eでは、UM,VM,WMがON状態であり、UL,VL,WLがOFF状態であることから、図29(a)に示すように、iu=iu2,iv=iv2,iw=iw2となる。回路状態Fでは、UMがON状態,ULがOFF状態であることから、図29(a)に示すように、iu=iu2となる。VMがOFF状態,VLがON状態であることから、図29(a)に示すように、電流iv=0となる。WMがON状態、WLがOFF状態であることから、図29(a)に示すように、iw=iw2となる。
回路状態Gでは、UMがON状態、ULがOFF状態であることから、図29(a)に示すように、iu=iu2となる。VMがOFF状態、VLがON状態であることから、図29(a)に示すように、iv=0となる。WMがOFF状態、WLがON状態であることから、図29(a)に示すように、iw=0となる。回路状態Hでは、回路状態Eと同様に、iu=iu2,iv=iv2,iw=iw2となる。
図29(b)に示すように、UMがON状態ならば、iu=iu2となる。VMがON状態ならば、iv=iv2となる。WMがON状態ならば、iw=iw2となる。スイッチング関数を用いて表すと図29(c)に示すようになる。即ち、iu=SUM*iu2,iv=SVM*iv2,iw=SWM*iw2が成り立つ。
空間ベクトル変調では、各キャリア期間T2に存在する4つの回路状態E〜Hのうち、少なくとも、2つのM側のIGBTは必ずON状態になることから、ON状態となった2つの相電流を必ず算出することができる。残りの相は、算出された2つ相電流の和のマイナス値とすることにより算出することができる。従って、4つの回路状態E〜Hが如何なる状態であっても、相電流iu2,iv2,iw2を算出することができる。
第2相電流算出手段124は、UMがON状態ならば、相電流iu2=電流iuとする。VMがON状態ならば、相電流iv2=電流ivとする。また、WMがON状態ならば、相電流iw2=電流iwとする。尚、二つの相電流iu2,iv2等が電流iu,iv等から算出されているとき、残りの相電流iw2等は、二つの相電流の和のマイナス値とする。
図30及び図31を参照して、相電流iu1,iv1,iw1及び相電流iu2,iv2,iw2の算出方法の説明をする。図30中のステップS210で第1インバータ駆動期間T1において電流iu,iv,iwを検出する。ステップS212でUMがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS214に進む。否定判定ならば、ステップS216に進む。
ステップS214で相電流iu1=iuとする。ステップS216でVMがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS218に進む。否定判定ならば、ステップS220に進む。ステップS218で相電流iv1=ivとする。ステップS220でWMがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS222に進む。否定判定ならば、ステップS224に進む。ステップS222で相電流iw1=iwとする。
ステップS224で第1インバータ駆動期間T1が終了したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS226に進む。否定判定ならば、ステップS210に戻る。ステップS226で電流iu1,iv1,iw1が検出済みであるか否かを判定する。肯定判定ならば、終了する。否定判定ならば、ステップS228に進む。ステップS228で検出済み電流iu1,iv1等より、残りの電流iw1等を検出済み電流の和のマイナス値とする。
図31中のステップS240で第2インバータ駆動期間T2において電流iu,iv,iwを検出する。ステップS242でUMがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS244に進む。否定判定ならば、ステップS246に進む。
ステップS244で相電流iu2=iuとする。ステップS246でVMがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS248に進む。否定判定ならば、ステップS250に進む。ステップS248で相電流iv2=ivとする。ステップS250でWMがON状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS252に進む。否定判定ならば、ステップS254に進む。ステップS252で相電流iw2=iwとする。
ステップS254で第2インバータ駆動期間T2が終了したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS256に進む。否定判定ならば、ステップS240に戻る。ステップS256で電流iu2,iv2,iw2が検出済みであるか否かを判定する。肯定判定ならば、終了する。否定判定ならば、ステップS258に進む。ステップS258で検出済み電流iu2,iv2等より、残りの電流iw2等を検出済み電流の和のマイナス値とする。
第1インバータ回路4Aの駆動、第2インバータ回路4Bの非駆動の場合は、相電流iu2,iv2,iw2=0として、第1インバータ駆動期間T1と同様にして、相電流iu1,iv1,iw1を算出する。第1インバータ回路4Aの非駆動、第2インバータ回路4Bの駆動の場合は、相電流iu1,iv1,iw1=0として、第2インバータ駆動期間T2と同様にして、相電流iu2,iv2,iw2を算出する。
第5実施形態によれば、UM,VM,WMのコレクタに流れる電流を検出する電流センサ12U,12V,12Wを設けたのみなので、電流センサの数を少なくすることができ、インバータ装置のコストを削減できるとともにサイズを小さくすることができる。
一般に、M(M≧3)段に配置されたスイッチング素子により直列回路が構成されるとともに、N(N≧2)個の直列回路が並列に接続されたM段N相ブリッジインバータ回路と、M段N相ブリッジインバータ回路の各相のj(jは1から(M−1)までの自然数)段目のスイッチング素子と(j+1)段目のスイッチング素子との接続点に各制御端子からなるN個の制御端子を有する第j負荷が接続された構成においても、j(j=2〜M−1)段の各列のスイッチング素子に流れる電流を検知する電流センサを設ける。
この場合、パルス幅変調方式における1キャリア周期内を(M−1)個の以下の駆動期間に分割し、駆動期間毎に第j負荷(jは1から(M−1)までの自然数)を時分割で通電制御を行う。そして、各電流センサを流れる電流及び各スイッチング素子のON/OFF状態に基づき負荷電流を算出する。
第6実施形態
図32は本発明の第6実施形態によるインバータ装置の構成図であり、図26中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。図32に示すように、電流センサ12U,12V,12WをUM,VM,WMのエミッタ電流を検出するために、UM,VM,WMのエミッタと第2モータ8の出力ラインとの接続点よりも上流側に設けた点が図25のインバータ装置と異なる。図33に示すように、この電流センサ12U,12V,12Wが検出する電流iu,iv,iwと相電流iu1,iv1,iw1及び相電流iu2,iv2,iw2との関係は第5実施形態の場合と同じになる。よって、第6実施形態は、第5実施形態と同様の効果を奏する。
一般に、M(M≧3)段に配置されたスイッチング素子により直列回路が構成されるとともに、N(N≧2)個の直列回路が並列に接続されたM段N相ブリッジインバータ回路と、M段N相ブリッジインバータ回路の各相のj(jは1から(M−1)までの自然数)段目のスイッチング素子と(j+1)段目のスイッチング素子との接続点に各制御端子からなるN個の制御端子を有する第j負荷が接続された構成においても、j(j=2〜M−1)段の各列のスイッチング素子に流れる電流を検知する電流センサを設け、第5実施形態と同様に相電流を算出する。
第7実施形態
図34は本発明の第7実施形態によるインバータ装置の構成図であり、図1中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。図34に示すように、電流センサ12がUH,VH,WHのコレクタ電流よりも上流の直流電源2の正極側の電源ラインを流れる一次側直流電流を検出するように設けられている点が図1のインバータ装置と異なる。
図35はモータECU130のモータ制御手段(インバータ制御手段)に係る機能ブロック図であり、図3中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。図35に示すように、電流iDCと相電流iu1,iv1,iw1及びiu2,iv2,iw2との関係が第1実施形態と異なるので、第1相電流算出手段132及び第2相電流算出手段134が第1実施形態の第1相電流算出手段58及び第2相電流算出手段68と異なる。電流センサ12の検出電流iDCは直流電源2の正極側の電源ラインからUH,VH,WHへ流れる電流を正とする。
第1インバータ駆動期間T1では、図6(b)中の回路状態A,B,C,Dにおいて、電流センサ12に通電する電流iDCと相電流iu1,iv1,iw1及び相電流iu2,iv2,iw2の関係は以下のようになる。
第1インバータ駆動期間T1では、UL,VL,WLがON状態であることから、相電流iu2,iv2,iw2は、UL,VL,WL又はDUL,DVL,DWLを通して、還流していることから、電流iDCは相電流iu2,iv2,iw2を含まない。
回路状態Aでは、図36(b)に示すように、UH,VH,WHがON状態、UM,VM,WMがOFF状態であり、相電流iu1,iv1,iw1は、UH,VH,WH又はDUH,DVH,DWHを通して、還流し、電流センサ12はUH,VH,WHのコレクタよりも上流側に配置されていることから、図37(a)に示すように、電流iDC=iu1+iv1+iw1=0となる。
回路状態Bでは、図36(b)に示すように、UHがON状態、VHがOFF状態、WHがOFF状態、UMがOFF状態、VHがON状態、VMがON状態であることから、図37(a)に示すように、電流iDC=iu1となる。
回路状態Cでは、図36(a)に示すように、UHがON状態、VHがON状態、WHがOFF状態、UMがOFF状態、VMがON状態、WMがON状態であることから、図37(a)に示すように、iDC=iu1+iv1となる。回路状態Dでは、回路状態Aと同様に、iDC=0となる。
以上を一般化すると、電流iDCはUH,VH,WHの中でON状態となっているIGBTについての相電流iu1,iv1,iw1の和となる。スイッチング関数を用いて表すと図37(b)に示すようになる。即ち、iDC=SUH*iu1+VH*iv1+SWH*iw1が成り立つ。
空間ベクトル変調では、各キャリア期間T1に存在する4つの回路状態A〜Dのうち、少なくとも、1個の回路状態では、一相(X1相)のみが必ずON状態(例えば、回路状態B)となることから、そのX1相についての相電流が算出することができる。X1相及び他の1相(Y1相)がON状態となる回路状態(例えば、回路状態C)が存在することから、X1相とY1相の相電流の和が検出され、この和からX1相の相電流の差分を取ることにより、Y1相の相電流が算出される。残りの相は、算出された2つ相電流の和のマイナス値とすることにより算出することができる。従って、4つの回路状態A〜Dが如何なる状態であっても、相電流iu1,iv1,iw1を算出することができる。
第1相電流算出手段132は、UHがON状態、VH,WHがOFF状態ならば、相電流iu1=電流iDCとする。VHがON状態、UH,WHがOFF状態ならば、相電流iv1=電流iDCとする。WHがON状態、UH,VHがOFF状態ならば、相電流iw1=電流iDCとする。
UH,VHがON状態、WHがOFF状態ならば、相電流(iu1+iv1)=電流iDCとする。UH,WHがON状態、VHがOFF状態ならば、相電流(iu1+iw1)=電流iDCとする。VH,WHがON状態、UHがOFF状態ならば、相電流(iv1+iw1)=電流iDCとする。
二つの相電流(iu1+iv1)等が算出されていて、どちらか一方の相電流iu1,iv1等が算出された場合は、前者から後者を引き算することにより、残りの相電流を算出する。更に、二つの相電流iu1,iv1等が算出されているときは、残りの相電流iw1等は、二つの相電流の和のマイナス値とする。
また、第2インバータ駆動期間T2では、図6(b)中の回路状態E,F,G,Hにおいて、電流センサ12に通電する電流iDCと相電流iu1,iv1,iw1及び相電流iu2,iv2,iw2の関係は以下のようになる。
第2インバータ駆動期間T2では、UH,VU,WHがON状態であり、相電流iu1,iv1,iw1は、UH,VH,WH及びUH,VH,WHを通して還流し、iu1+iv1+iw1=0であることから、電流iDCは相電流iu1,iv1,iw1を含まない。
回路状態Eでは、UM,VM,WMがON状態であり、UL,VL,WLがOFF状態であることから、図37(a)に示すように、iDC=iu2+iv2+iw2=0となる。回路状態Fでは、UMがON状態、VMがOFF状態、WMがON状態、ULがOFF状態、VLがON状態、WLがOFF状態であることから、図37(a)に示すように、iDC=iu2+iw2となる。回路状態Gでは、UMがON状態、VMがOFF状態、WMがOFF状態、ULがOFF状態、VLがON状態、WLがON状態であることから、図37(a)に示すように、iDC=iu2となる。回路状態Hでは、回路状態Eと同様に、iDC=0となる。
以上より一般化して、電流関数iDCをスイッチング関数を用いて表すと図37(b)に示すようになる。即ち、iDC=SUM*iu2+SVM*iv2+SWM*iw2が成り立つ。
空間ベクトル変調では、各キャリア期間T2に存在する4つの回路状態E〜Hのうち、少なくとも、1個の回路状態では、一相(X2相)のみが必ずON状態(例えば、回路状態G)となることから、そのX2相についての相電流が算出することができる。X2相及び他の1相(Y2相)がON状態となる回路状態(例えば、回路状態F)が存在することから、X2相とY2相の相電流の和が検出され、この和からX2相の相電流の差分を取ることにより、Y2相の相電流が算出される。残りの相は、算出された2つ相電流の和のマイナス値とすることにより算出することができる。従って、4つの回路状態E〜Hが如何なる状態であっても、相電流iu2,iv2,iw2を算出することができる。
第2相電流算出手段134は、UMがON状態、VM,WHがOFF状態ならば、相電流iu2=電流iDCとする。VMがON状態、UM,WMがOFF状態ならば、相電流iv2=電流iDCとする。WMがON状態、UM,VMがOFF状態ならば、相電流iw2=電流iDCとする。
UM,VMがON状態、WMがOFF状態ならば、相電流(iu2+iv2)=電流iDCとする。UM,WMがON状態、VMがOFF状態ならば、相電流(iu2+iw2)=電流iDCとする。VM,WMがON状態、UMがOFF状態ならば、相電流(iv2+iw2)=電流iDCとする。
二つの相電流(iu2+iv2)等が算出されていて、どちらか一方の相電流iu2,iv2等が算出された場合は、前者から後者を引き算することにより、残りの相電流を算出する。更に、二つの相電流iu2,iv2等が算出されているときは、残りの相電流iw2等は、二つの相電流の和のマイナス値とする。
図38〜図41を参照して、相電流iu1,iv1,iw1及び相電流iu2,iv2,iw2の算出方法の説明をする。ステップS280で第1インバータ駆動期間T1において電流iDCを検出する。ステップS282でUHがON状態、VH,WHがOFF状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS284に進む。否定判定ならば、ステップS286に進む。
ステップS284で相電流iu1=iDCとする。ステップS286でVHがON状態、UH,WHがOFF状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS288に進む。否定判定ならば、ステップS290に進む。ステップS288で相電流iv1=iDCとする。ステップS290でWHがON状態、UH,VHがOFF状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS292に進む。否定判定ならば、図39中のステップS294に進む。ステップS292で相電流iw1=iDCとする。
図39中のステップS294でUH,VHがON状態、WHがOFF状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS296に進む。否定判定ならば、ステップS298に進む。ステップS296で検出電流(iu1+iv1)=iDCとする。ステップS298でUH,WHがON状態、VHがOFF状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS300に進む。否定判定ならば、ステップS302に進む。ステップS302で検出電流(iu1+iw1)=iDCとする。ステップS302でVH,WHがON状態、UHがOFF状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS304に進む。否定判定ならば、ステップS306に進む。
ステップS304で検出電流(iv1+iw1)=iDCとする。ステップS306で第1インバータ駆動期間T1が終了したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS308に進む。否定判定ならば、図38中のステップS280に戻る。ステップS308で未検出相電流iu1等を検出電流(iu1+iv1)等の値から検出済みの相電流領域iv1の値等を引き算して算出する。更に、未検出相電流iw1等を検出済みの二つの相電流iu1,1v1等の和のマイナスとすることにより算出する。
図40中のステップS310で第2インバータ駆動期間T2において電流iDCを検出する。ステップS312でUMがON状態、VM,WMがOFF状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS314に進む。否定判定ならば、ステップS316に進む。
ステップS314で相電流iu2=iDCとする。ステップS316でVMがON状態、UM,WMがOFF状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS318に進む。否定判定ならば、ステップS320に進む。ステップS318で相電流iv2=iDCとする。ステップS320でWMがON状態、UM,VMがOFF状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS322に進む。否定判定ならば、図41中のステップS324に進む。ステップS322で相電流iw2=iDCとする。
図41中のステップS324でUM,VMがON状態、WMがOFF状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS326に進む。否定判定ならば、ステップS328に進む。ステップS326で検出電流(iu2+iv2)=iDCとする。ステップS328でUM,WMがON状態、VMがOFF状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS330に進む。否定判定ならば、ステップS332に進む。ステップS330で検出電流(iu2+iw2)=iDCとする。ステップS332でVM,WMがON状態、UMがOFF状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS334に進む。否定判定ならば、ステップS336に進む。
ステップS334で検出電流(iv2+iw2)=iDCとする。ステップS336で第2インバータ駆動期間T2が終了したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS338に進む。否定判定ならば、図40中のステップS310に戻る。ステップS338で未検出相電流iu2等を相電流(iu2+iv2)等の値から検出済みの相電流iv2の値等を引き算して算出する。更に、未検出相電流iw2等を検出済みの二つの相電流iu2,1v2等の和のマイナスとすることにより算出する。
第1インバータ回路4Aの駆動、第2インバータ回路4Bの非駆動の場合は、相電流iu2,iv2,iw2=0として、第1インバータ駆動期間T1と同様にして、相電流iu1,iv1,iw1を算出する。第1インバータ回路4Aの非駆動、第2インバータ回路4Bの駆動の場合は、相電流iu1,iv1,iw1=0として、第2インバータ駆動期間T2と同様にして、相電流iu2,iv2,iw2を算出する。
第7実施形態によれば、電流センサ12を直流電源2の正極側のUH,VH,WHのコレクタ電流よりも上流の電源ラインを流れる電流が検出されるように設けたのみなので、電流センサの数を少なくすることができ、インバータ装置のコストを削減できるとともに、サイズを小さくすることができる。
M(M≧3)段に配置されたスイッチング素子により直列回路が構成されるとともに、N(N≧2)個の直列回路が並列に接続されたM段N相ブリッジインバータ回路と、M段N相ブリッジインバータ回路の各相のj(jは1から(M−1)までの自然数)段目のスイッチング素子と(j+1)段目のスイッチング素子との接続点に各制御端子からなるN個の制御端子を有する第j負荷が接続された構成においても、初段のブリッジインバータ回路の入力側のバッテリの正極側が接続される電源ラインに流れる一次側直流電流を検知する電流センサを設ける。
この場合、パルス幅変調方式における1キャリア周期内を(M−1)個の以下の駆動期間に分割し、駆動期間毎に第j負荷(jは1から(M−1)までの自然数)を時分割で通電制御を行う。そして、各電流センサを流れる電流及び各スイッチング素子のON/OFF状態に基づき負荷電流を算出する。
第8実施形態
図42は本発明の第7実施形態によるインバータ装置の構成図であり、図34中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。図42に示すように、電流センサ12を直流電源2の負極側のUL,VL,WLのエミッタ電流よりも下流側の電源ラインに流れる一次側直流電流を検出するように設けた点が図33のインバータ装置と異なる。電流センサ12の検出電流iDCはUL,VL,WLから直流電源2の負極側の電源ラインへ流れる電流を正とする。図43に示すように、この場合の検出電流DCと相電流iu1,iv1,iw1及び相電流iu2,iv2,iw2の関係は第7実施形態の場合と同じになる。よって、第8実施形態は、第7実施形態と同様の効果を奏する。
M(M≧3)段に配置されたスイッチング素子により直列回路が構成されるとともに、N(N≧2)個の直列回路が並列に接続されたM段N相ブリッジインバータ回路と、M段N相ブリッジインバータ回路の各相のj(jは1から(M−1)までの自然数)段目のスイッチング素子と(j+1)段目のスイッチング素子との接続点に各制御端子からなるN個の制御端子を有する第j負荷が接続された構成においても、最終段のブリッジインバータ回路の出力側のバッテリの負極側が接続される電源ラインに流れる一次側直流電流を検知する電流センサを設ける。
この場合、パルス幅変調方式における1キャリア周期内を(M−1)個の以下の駆動期間に分割し、駆動期間毎に第j負荷(jは1から(M−1)までの自然数)を時分割で通電制御を行う。そして、各電流センサを流れる電流及び各スイッチング素子のON/OFF状態に基づき負荷電流を算出する。