JP2022165651A - モータ制御装置 - Google Patents

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Ryoya Kazaoka
友則 木村
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Abstract

【課題】1バッテリ1キャパシタ2インバータを用いて3相オープン巻線モータを駆動するシステムにおいて、キャパシタの初期充電が不要であり、かつ、トルクリップルを抑制するモータ制御装置を提供する。【解決手段】モータ制御装置の制御回路は、空間ベクトル変調を用いて2台のインバータに出力するゲート信号を生成する。電圧ベクトル選択部41は、指令電圧、電流極性モード、及び、充放電モードに基づき、空間ベクトル座標において、キャパシタを充電する電圧ベクトルである充電電圧ベクトル、キャパシタを放電する電圧ベクトルである放電電圧ベクトル、及び、キャパシタを充放電しない電圧ベクトルである保持電圧ベクトルから、使用する電圧ベクトルセットを決定する。Duty比計算部42は、電圧ベクトル選択部41が決定した電圧ベクトルセットについて、指令電圧、バッテリ電圧V1及びキャパシタ電圧V2に基づき、Duty比を計算する。【選択図】図3

Description

本発明は、2台のインバータを備えるモータ制御装置に関する。
従来、2つの電源及び2台のインバータを用いて3相オープン巻線モータを駆動するモータ駆動システムにおいて、一方の電源にバッテリを用い、他方の電源にキャパシタを用いた「1バッテリ1キャパシタ2インバータシステム」が知られている。以下、本明細書におけるモータとは、ハイブリッド自動車や電気自動車において電動機及び発電機として機能するモータジェネレータを意味する。
例えば特許文献1には、三角波比較PWM変調法を用いた1バッテリ1キャパシタ2インバータシステムの駆動方法が開示されている。非特許文献1には、空間ベクトル変調法を用いた1バッテリ1キャパシタ2インバータシステムの駆動方法が開示されている。
特許第6174498号公報
Y. Oto, "Space Vector Modulation of Dual-Inverter System Focusing on Improvement of Multilevel Voltage Waveforms," IEEE Transactions on Industrial Electronics, vol.66, No.12, pp.9139-9148, Dec.2019
特許文献1の従来技術は、1バッテリ1キャパシタ2インバータシステムで非同期PWMの駆動時に、モータの制駆動に伴う充放電の繰り返しをキャパシタで行うことで、バッテリの内部抵抗による損失低減や劣化低減を図っている。
さらに1バッテリ1キャパシタ2インバータシステムでは、キャパシタ電圧をバッテリ電圧より小さくすることで、マルチレベル駆動によるモータ損失低減が期待できる。しかし、特許文献1の駆動方法では、キャパシタ側駆動モード及びバッテリ側駆動モードの場合、2台のインバータのうち一方のみが駆動する。また、キャパシタ充電モードの場合、2台のインバータが同位相の基本波に基づいて駆動し、各相のレグが同時にスイッチングするため、駆動電圧波形はマルチレベルにならない。
これに対し、非特許文献1の従来技術は、1バッテリ1キャパシタ2インバータシステムで非同期PWMでの駆動時に、キャパシタ電圧をバッテリ電圧の2分の1に制御することで、電圧変調率の全域でマルチレベル駆動によるモータ損失の低減が可能となる。
しかし、非特許文献1に開示された空間ベクトル変調法ではキャパシタ電圧をバッテリ電圧の2分の1に固定しており、充電電圧ベクトルと放電電圧ベクトルとが一致していることが条件となる。そのため、車両起動後にモータを駆動する直前にキャパシタ電圧をバッテリ電圧の2分の1にまで充電する必要がある。キャパシタ電圧がバッテリ電圧の2分の1未満の状態でマルチレベル駆動すると、モータ相電流が歪み、トルクリップルが大きくなる。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、1バッテリ1キャパシタ2インバータを用いて3相オープン巻線モータを駆動するシステムにおいて、キャパシタの初期充電が不要であり、かつ、トルクリップルを抑制するモータ制御装置を提供することにある。
本発明は、第1の電源電圧(V1)を出力する第1の電源(11)、及び、充放電可能であり、充電状態に応じて変化する第2の電源電圧(V2)を出力する第2の電源(12)から個別に直流電力が入力される2台のインバータを用いて、中性点がオープンである3相巻線(81、82、83)を有するモータ(80)を駆動するモータ駆動システムにおいて、モータの通電を制御する制御装置である。典型的に第1の電源はバッテリであり、第2の電源はキャパシタである。
モータ制御装置は、第1インバータ(60)と、第2インバータ(70)と、制御回路(30)と、駆動回路(56、57)と、を備える。第1インバータは、第1の電源から入力される直流電力を交流電力に変換し、3相巻線の一端に供給する。第2インバータは、第2の電源から入力される直流電力を交流電力に変換し、3相巻線の他端に供給する。
制御回路は、空間ベクトル変調を用いて2台のインバータに出力するゲート信号を生成する。駆動回路は、制御回路が生成したゲート信号に基づき2台のインバータをスイッチング動作させる。制御回路は、指令電圧演算部(34、35)と、電流極性モード判定部(37)と、充放電モード判定部(38)と、電圧ベクトル選択部(41)と、Duty比計算部(42)と、を有する。
指令電圧演算部は、モータへの指令トルクに基づき、電流フィードバック制御により指令電圧を演算する。電流極性モード判定部は、モータに流れる相電流に基づき、電流の極性状態を示す電流極性モードを判定する。充放電モード判定部は、第2の電源電圧に基づき、第2の電源に充電が必要な充電モード、第2の電源に放電が必要な放電モード、又は、第2の電源に充電及び放電のいずれも必要の無い保持モードのうちいずれかの充放電モードを判定する。
電圧ベクトル選択部は、指令電圧、電流極性モード及び充放電モードに基づき、空間ベクトル座標において、第2の電源を充電する電圧ベクトルである充電電圧ベクトル、第2の電源を放電する電圧ベクトルである放電電圧ベクトル、及び、第2の電源を充放電しない電圧ベクトルである保持電圧ベクトルから、使用する電圧ベクトルセットを決定する。
Duty比計算部は、電圧ベクトル選択部が決定した電圧ベクトルセットについて、指令電圧、第1の電源電圧、及び、「0以上、第1の電源電圧以下」の範囲で可変である第2の電源電圧に基づき、「空間ベクトル変調の一周期における各電圧ベクトルの印加時間の比率」であるDuty比を計算する。
第1の電源をバッテリとし、第2の電源をキャパシタとすると、本発明は、1バッテリ1キャパシタ2インバータシステムで非同期PWMの駆動時に、キャパシタ電圧の制御範囲が「0以上バッテリ電圧V1以下」の範囲で可変であり、キャパシタ電圧変動に対応した空間ベクトル変調方式が使用される。また、Duty比計算部は、充放電モードに基づいて決定された電圧ベクトルセットについて、Duty比を、指令電圧とバッテリ電圧とからだけでなく、キャパシタ電圧に基づき計算する。これにより、キャパシタの初期充電の必要がなく、非特許文献1の従来技術に比べトルクリップルを抑制したマルチレベル駆動が可能となる。さらにモータ相電流の歪みが抑制され、トルクリップルを小さくすることができる。
一実施形態によるモータ駆動システムの全体構成図。 一実施形態の制御回路の構成図。 図2の空間ベクトル変調部の構成図。 電流極性モードの定義を説明する図。 電流極性モード判定のアルゴリズムを示すフローチャート。 (a)充電モード、(b)放電モード、(c)保持モードでの電流経路の例を示す図。 充放電モード判定のアルゴリズムを示すフローチャート。 充放電モードと保持モードとの切り替え時におけるヒステリシスの図。 車両走行イメージに伴う充放電モード等の変化を示す図。 充放電制御におけるキャパシタ電圧とシステム損失との関係を示す図。 電圧ベクトルの定義を説明する図。 電流極性モードA、Dにおける充電/放電電圧ベクトルの配置を示す図。 電流極性モードB、Eにおける充電/放電電圧ベクトルの配置を示す図。 電流極性モードC、Fにおける充電/放電電圧ベクトルの配置を示す図。 「A-充電orD-放電」モードで使用される電圧ベクトル等を示す図。 「B-充電orE-放電」モードで使用される電圧ベクトル等を示す図。 「C-充電orF-放電」モードで使用される電圧ベクトル等を示す図。 「D-充電orA-放電」モードで使用される電圧ベクトル等を示す図。 「E-充電orB-放電」モードで使用される電圧ベクトル等を示す図。 「F-充電orC-放電」モードで使用される電圧ベクトル等を示す図。 αβ→ab座標変換を説明する図。 充放電モードと電圧ベクトル配置パターンとの関係を示す図。 充電用及び放電用の電圧ベクトル配置パターン(例:P、p)の図。 中間用の電圧ベクトル配置パターン(例:Q、q)の図。 中間用の電圧ベクトル配置パターン(例:R、r)の図。 中間用の電圧ベクトル配置パターン(例:S、s)の図。 (a)基本形、(b)応用形1、(c)応用形2の電圧ベクトル選択を説明するタイムチャート。 充放電混在モード用の電圧ベクトル配置パターンの図。 (a)指令電圧ベクトル、(b)サブセクタ(三角形領域)、(c)サブセクタの頂点の電圧ベクトルを説明する図。 指令サブセクタを決定するフローチャート。 (a)充電モード、(b)放電モードでの電圧ベクトルm、nの計算式の例を説明する図。 キャパシタ電圧0から充電できる理由を説明する図。 比較例1、比較例2及び本実施形態によるマルチレベル駆動の可否を示す図。 比較例2(V2=V1/2)の電圧ベクトル配置を示す図。 比較例2(V2=V1/2)の指令電圧ベクトルを説明する図。 比較例2と本実施形態とのトルクリップルを比較する図。
(一実施形態)
以下、本発明によるモータ制御装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態のモータ制御装置は、ハイブリッド自動車や電気自動車の動力源であるモータジェネレータ(以下「モータ」)を、2つの電源及び2台のインバータを用いて駆動するシステムにおいて、モータの通電を制御する装置である。
[モータ駆動システム]
図1に、2つの電源11、12と2台のインバータ60、70とを用いるモータ駆動システムの全体構成を示す。モータ80は、U相巻線81、V相巻線82及びW相巻線83を有する3相交流モータである。モータの種類は、IPMでも誘導機でもよい。ハイブリッド車両に適用される場合、モータ80は、駆動輪を駆動するためのトルクを発生する電動機(モータ)としての機能、及び、エンジンや駆動輪から伝わる車両の運動エネルギにより発電可能な発電機(ジェネレータ)としての機能を有する。
また、モータ80は、3相巻線81、82、83の中性点がモータ80内で結合されていない、すなわち中性点がオープンであるオープン巻線モータである。3相巻線81、82、83の一端811、821、831は第1インバータ60の各相出力端子に接続されており、他端812、822、832は第2インバータ70の各相出力端子に接続されている。3相巻線81、82、83の第1インバータ60側には、U相電圧VU1、V相電圧VV1、W相電圧VW1が印加される。3相巻線81、82、83の第2インバータ70側には、U相電圧VU2、V相電圧VV2、W相電圧VW2が印加される。
例えば第1インバータ60からモータ80への電力経路に、3相巻線81、82、83に通電される相電流を検出する電流センサ84が設けられる。図1の例ではU相電流Iu及びW相電流Iwが検出されるが、どの2相又は3相の電流が検出されてもよい。電流センサ84は、第2インバータ70からモータ80への電力経路に設けられてもよい。回転角センサ85は、レゾルバ等で構成され、モータ80のロータ位置信号θmを検出する。
第1の電源11及び第2の電源12は、互いに絶縁された独立した2つの電源である。本実施形態では、第1の電源11は、リチウムイオン電池等のバッテリで構成され、第1の電源電圧V1を出力する。第1の電源11は、直列もしくは並列接続された複数のバッテリから構成されてもよく、昇圧コンバータを介して電圧を出力してもよい。第2の電源12は、電気二重層キャパシタ等のキャパシタで構成される。第2の電源12は、充放電可能であり、充電状態に応じて変化する第2の電源電圧V2を出力する。
本実施形態では、「第1の電源」をバッテリ11とし、「第2の電源」をキャパシタ12として説明する。その他の電源の構成例については、「その他の実施形態」の欄に記載する。また、「第1の電源電圧」をバッテリ電圧V1とし、「第2の電源電圧」をキャパシタ電圧V2とする。2台のインバータ60、70は、バッテリ11及びキャパシタ12から個別に直流電力が入力される。
第1電圧センサ16は、バッテリ電圧V1を検出する。第2電圧センサ17は、キャパシタ電圧V2を検出する。キャパシタ電圧V2の制御範囲は、0以上バッテリ電圧V1以下の範囲で可変である(0≦V2≦V1)。このことは、非特許文献1の従来技術でキャパシタ電圧V2がバッテリ電圧V1の2分の1に固定されることとの相違点である。
モータ制御装置100は、第1インバータ60、第2インバータ70、制御回路30、及び駆動回路56、57を備える。第1インバータ60は、上下アームの6つのスイッチング素子61-66がブリッジ接続されている。スイッチング素子61、62、63は、それぞれU相、V相、W相の上アーム素子であり、スイッチング素子64、65、66は、それぞれU相、V相、W相の下アーム素子である。第1インバータ60の入力部には平滑コンデンサ13が接続されている。第1インバータ60は、バッテリ11から入力される直流電力を交流電力に変換し、3相巻線81、82、83の一端811、821、831に供給する。
第2インバータ70は、上下アームの6つのスイッチング素子71-76がブリッジ接続されている。スイッチング素子71、72、73は、それぞれU相、V相、W相の上アーム素子であり、スイッチング素子74、75、76は、それぞれU相、V相、W相の下アーム素子である。第2インバータ20は、キャパシタ12から入力される直流電力を交流電力に変換し、3相巻線81、82、83の他端812、822、832に供給する。
スイッチング素子61-66、71-76は、パワー素子として動作する。高電位側配線P1、P2と低電位側配線N1、N2との短絡を防止するため、各相の上アーム素子と下アーム素子とは相補的にオンオフするように、すなわち、一方がオンのとき他方がオフするように制御される。スイッチング素子61-66、71-76は、例えばIGBTで構成され、低電位側から高電位側へ向かう電流を許容する還流ダイオードが並列に接続されている。或いは、スイッチング素子61-66、71-76は、MOSFET等の他のパワー素子で構成されてもよい。
制御回路30は、マイコン等により構成され、図示しないCPU、ROM、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御回路30は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理による制御を実行する。
制御回路30は、各センサにより検出された相電流Iu、Iw、バッテリ電圧V1、キャパシタ電圧V2、ロータ位置信号θm等の情報を取得する。また、外部から指令トルクT*が制御回路30に入力される。モータ80の駆動時、制御回路30は、これらの情報に基づき2台のインバータ60、70に出力するゲート信号を生成することで、モータ電流Iu、Iv、Iw及びキャパシタ電圧V2を制御する。特に本実施形態の制御回路30は、空間ベクトル変調を用いてゲート信号を生成する。第1駆動回路56及び第2駆動回路57は、制御回路30が生成したゲート信号に基づき、それぞれ第1インバータ60及び第2インバータ70をスイッチング動作させる。
次に図2、図3を参照し、制御回路30の詳細な構成について説明する。図2に示すように、制御回路30は、電気角換算部31、指令電流生成部32、電流dq変換部33、dq軸電流制御部34、電圧αβ変換部35、電流極性モード判定部37、充放電モード判定部38、空間ベクトル変調部40、及びゲート信号生成部43を含む。
電気角換算部31は、モータ80のロータ位置信号θmを電気角θeに換算する。指令電流生成部32は、外部のコントローラ等から与えられる指令トルクT*から、マップや数式を用いてdq軸電流指令値Id*、Iq*を演算する。電流dq変換部33は、モータ80に流れる相電流(例えばU相電流Iu及びW相電流Iw)と電気角θeとからdq軸電流Id、Iqを算出する。
dq軸電流制御部34は、dq軸電流指令値Id*、Iq*に対して、フィードバックされたdq軸電流Id、Iqが追従するようにdq軸電圧指令値Vd*、Vq*を演算する。電圧αβ変換部35は、dq軸電圧指令値Vd*、Vq*と電気角θeとを使って、固定座標系の2軸直交座標であるαβ軸電圧指令値Vα*、Vβ*を演算する。dq軸電流制御部34及び電圧αβ変換部35は、「モータへの指令トルクに基づき、電流フィードバック制御により指令電圧を演算する指令電圧演算部」に相当する。
電流極性モード判定部37は、モータ80に流れる相電流(例えばU相電流Iu及びW相電流Iw)に基づき、電流の極性状態を示す電流極性モードを判定する。電流極性モード判定の詳細については、図4、図5を参照して後述する。
充放電モード判定部38は、指令トルクT*、モータ回転数N、及びキャパシタ電圧V2に基づき、充電モード、放電モード、保持モードのうちいずれかの充放電モードを判定する。充電モードはキャパシタ12に充電が必要なモードであり、放電モードはキャパシタ12に放電が必要なモードである。保持モードは、キャパシタ12に充電及び放電のいずれも必要の無いモードである。充放電モード判定の詳細については、図6~図10を参照して後述する。
空間ベクトル変調部40は、αβ軸電圧指令値Vα*、Vβ*、バッテリ電圧V1、キャパシタ電圧V2、電流極性モード及び充放電モードに基づいて、インバータ60、70のゲート信号を生成するためのスイッチングパターン、及びそのDuty比を生成する。ゲート信号生成部43は、空間ベクトル変調部40が生成したスイッチングパターン及びDuty比に基づいて、モータ制御とキャパシタ充放電制御とを両立させるように、インバータ60、70のパワー素子を駆動するゲート信号を生成する。
図3に示すように、空間ベクトル変調部40は、空間ベクトル変調で使用する電圧ベクトルを選択する電圧ベクトル選択部41、及び、電圧ベクトル選択部41が選択した電圧ベクトルを出力するためのDuty比を計算するDuty比計算部42を含む。空間ベクトル変調では、複数の電圧ベクトル成分を所定の時間比率で交互に印加することで所望の電圧ベクトルを実現する。組み合わされる一式の電圧ベクトルを「電圧ベクトルセット」という。また、Duty比は、空間ベクトル変調の一周期における各電圧ベクトルの印加時間の比率である。
電圧ベクトル選択部41は、指令電圧であるαβ軸電圧指令値Vα*、Vβ*、電流極性モード及び充放電モードに基づき、空間ベクトル座標において、充電電圧ベクトル、放電電圧ベクトル、及び保持電圧ベクトルから、使用する電圧ベクトルセットを決定する。充電電圧ベクトルはキャパシタ12を充電する電圧ベクトルであり、放電電圧ベクトルはキャパシタ12を放電する電圧ベクトルである。保持電圧ベクトルは、キャパシタ12を充放電しない電圧ベクトルである。
Duty比計算部42は、電圧ベクトル選択部41が決定した電圧ベクトルセットについて、指令電圧Vα*、Vβ*、バッテリ電圧V1、及びキャパシタ電圧V2に基づき、Duty比を計算する。
電圧ベクトル選択部41及びDuty比計算部42によるアルゴリズムの詳細については、図11~図32を参照して後述する。
[電流極性モード判定]
図4に、電流極性モードの定義を示す。モータ電流Iu、Iv、Iwは第1インバータ60から第2インバータ70に向かって流れる電流を正とする。U相、V相、W相の各電流ベクトルIu、Iv、Iwの位相を0°、120°、240°としたとき、下式で区分される6個の領域に対応する6種類の電流極性モードA~Fを定義する。図中の長破線は、各電流極性モードの境界を表している。
(60n±30)°(n=0,1,2,3,4,5)
電流極性モード判定部37は、モータ80の各相に流れる電流の正負に基づいて電流極性モードを判定する。電圧ベクトル選択部41は、電流極性モードに基づき、充電電圧ベクトルまたは放電電圧ベクトルを選択する。境界線上を除く各領域では、1相の電流が正で2相の電流が負、又は、1相の電流が負で2相の電流が正となる。境界線上では、1相の電流が0となる。各相電流の正負と電流極性モードA~Fとの関係は次の通りである。
Iu≧0,Iv<0,Iw<0のとき、電流極性モードA。
Iu≧0,Iv≧0,Iw<0のとき、電流極性モードB。
Iu<0,Iv≧0,Iw<0のとき、電流極性モードC。
Iu<0,Iv≧0,Iw≧0のとき、電流極性モードD。
Iu<0,Iv<0,Iw≧0のとき、電流極性モードE。
Iu≧0,Iv<0,Iw≧0のとき、電流極性モードF。
図5のフローチャートに電流極性モード判定のアルゴリズムの一例を示す。フローチャートの説明で、記号「S」はステップを意味する。S11では「Iu≧0」であるか判断される。S12及びS14では「Iv≧0」であるか判断される。S13及びS15では「Iw≧0」であるか判断される。各判断結果の組み合わせにより電流極性モードA~Fが判定される。例えば、S11でYES、S12でYESのとき、電流極性モードBと判定される。
[充放電モード判定]
図6(a)に充電モードの電流経路の例を示す。第1インバータ60の上アーム素子はU相オン、V相オフ、W相オフであり、第2インバータ70の上アーム素子はU相オン、V相オフ、W相オフである。後述するように、この状態の第1インバータ60の電圧ベクトルは(100)、第2インバータ70の電圧ベクトルは(100)’と表される。充電モードでは、キャパシタ12の正極から負極に向かって電流が流れる。
図6(b)に放電モードの電流経路の例を示す。第1インバータ60の上アーム素子はU相オフ、V相オフ、W相オフであり、第2インバータ70の上アーム素子はU相オフ、V相オン、W相オンである。この状態の第1インバータ60の電圧ベクトルは(000)、第2インバータ70の電圧ベクトルは(011)’と表される。放電モードでは、キャパシタ12の負極から正極に向かって電流が流れる。
図6(c)に保持モードの電流経路の例を示す。第1インバータ60の上アーム素子はU相オン、V相オフ、W相オフであり、第2インバータ70の上アーム素子はU相オフ、V相オフ、W相オフである。この状態の第1インバータ60の電圧ベクトルは(100)、第2インバータ70の電圧ベクトルは(000)’と表される。保持モードでは、キャパシタ12に電流は流れない。
充放電モード判定部38は、充電モード、放電モード、保持モードを切り替えることで、指令トルクT*及びモータ回転数Nに応じてモータ80の通電を制御ながらキャパシタ12の充放電を自在に制御する。なお、モータ通電制御とキャパシタ充放電制御との両立は、モータ80の力行動作時だけでなく回生動作時にも実行可能である。
図7のフローチャートに、充放電モード判定のアルゴリズムを示す。図7中のトルク、回転数、電圧の各閾値は、図8に示した各閾値に対応する。記号末尾「_H」の閾値は、記号末尾「_L」の閾値よりも絶対値が大きく設定されている。S21では前回の充放電モード判定で保持モードと判定されたか判断される。「前回の充放電モード判定が保持モードであり、S21でYES」の場合にはS22で、「前回の充放電モード判定が充電モード又は放電モードであり、S21でNO」の場合にはS23で、トルク指令値の絶対値|T*|及びモータ回転数Nが各閾値と比較される。
S22では、トルク指令値の絶対値|T*|が低閾値Tth_L以下であり、且つ、モータ回転数Nが高閾値Nth_H以上であるか判断される。S22でNOの場合、S24で「充放電制御の実施領域外」と判定される。S22でYESの場合、S26で「充放電制御の実施領域内」と判定され、前回の保持モードから充電モード又は放電モードへ変更される。
S23では、トルク指令値の絶対値|T*|が高閾値Tth_H以下であり、且つ、モータ回転数Nが低閾値Nth_L以上であるか判断される。S23でNOの場合、S24で「充放電制御の実施領域外」と判定される。S23でYESの場合、S26で「充放電制御の実施領域内」と判定され、充電モード又は放電モードが選択される。
図8に、S22、S23のアルゴリズムを図示する。トルク指令値の絶対値|T*|及び回転数Nに対する各閾値には、制御のハンチングを防ぐためにヒステリシスが設けられている。トルク指令値の絶対値|T*|について、ヒステリシス切替における低トルク側の状態を「1」、高トルク側の状態を「0」とする。回転数Nについて、ヒステリシス切替における高回転側の状態を「1」、低回転側の状態を「0」とする。トルク指令値の絶対値|T*|及び回転数Nの状態が共に「1」のとき、「充放電制御の実施領域内」と判定され、それ以外のとき、「充放電制御の実施領域外」と判定される。
S24で「充放電制御の実施領域外」と判定された場合、S25では、キャパシタ電圧V2が0V近傍の超低閾値Vth_LL以下であるか判断される。S25でYESの場合には保持モードが選択され、NOの場合には放電モードが選択される。超低閾値Vth_LLは、検出誤差を考慮して電圧が確実に正であると認められる値に設定される。これにより、放電によって電圧が負になることが防止される。
S26で「充放電制御の実施領域内」と判定された場合、S27ではキャパシタ電圧V2が高閾値Vth_H以上であるか、S28ではキャパシタ電圧V2が低閾値Vth_L以下であるか判断される。S27でYESの場合、放電モードが選択され、S28でYESの場合、充電モードが選択される。S27、S28のいずれもNOの場合、前回の充電モード又は放電モードが維持される。
キャパシタ電圧V2の閾値Vth_H、Vth_Lは、固定値に設定してもよいし、システムの状態に応じて可変に設定してもよい。バッテリ電圧V1の2分の1を中心にヒステリシス幅を設けて電圧閾値Vth_H、Vth_Lを固定値に設定することで、非特許文献1の従来技術と同様にバッテリ電圧V1の2分の1近傍でキャパシタ電圧V2を維持するようにヒステリシス制御を行うことができる。或いは、指令電圧ベクトルVα*、Vβ*の大きさと位相に応じて電圧閾値Vth_H、Vth_Lを可変に設定することで、マルチレベル駆動によるモータ損失低減効果を最大限に引き出せるようにしてもよい。
図9を参照し、車両走行イメージに伴う充放電モード、キャパシタ電圧V2、モータトルクT、モータ回転数Nの変化を通じて、キャパシタ12の充放電モード判定の流れを説明する。車両の走行状態は、<1>始動、<2>定常走行、<3>登坂走行、<4>降坂での回生走行、<5>減速・停止の順に推移する。
<1>始動時のキャパシタ電圧V2、モータトルクT、モータ回転数Nはいずれも0であり、充放電モードは保持モードである。<2>定常走行に移る時、モータ回転数Nが高閾値Nth_Hを上回り、充電モードに切り替わる。キャパシタ電圧V2が高閾値Vth_Hに達すると放電モードに切り替わり、充放電制御が始まる。以後、電圧ヒステリシス幅の範囲で充放電が繰り返されるため、電圧ヒステリシス制御ともいう。
<3>定常走行から登坂走行に移る時、モータトルクTが高閾値+Tth_Hを上回ると、キャパシタ12の放電が始まる。キャパシタ電圧V2が超低閾値Vth_LLまで低下すると放電モードが停止し、充放電制御が終了する。<4>回生走行に移り、モータトルクTが低閾値+Tth_Lを下回ると、再び充放電制御(電圧ヒステリシス制御)が開始する。<5>減速・停止に移り、モータ回転数Nが低閾値Nth_Lを下回ると、放電モードが維持される。キャパシタ電圧V2が超低閾値Vth_LLまで低下すると放電モードが停止し、充放電制御が終了する。
次に図10を参照し、充放電制御におけるキャパシタ電圧V2とシステム損失との関係について説明する。上述の通り、キャパシタ電圧V2は0以上バッテリ電圧V1以下の範囲で可変である(0≦V2≦V1)。ただし、その電圧範囲の中でもシステム損失の観点での最適値がある。図10にキャパシタ電圧V2とシステム損失との関係を示す。システム損失とは、インバータ60、70及びモータ80で発生する電力損失の合計とする。
キャパシタ電圧V2が0のとき、及び、バッテリ電圧V1に等しいとき、システム損失が最大となり、キャパシタ電圧V2がバッテリ電圧V1の2分の1のとき、システム損失が最小となる。これは、インバータ60、70で発生する電流リプルが最小に抑えられ、結果としてインバータ60、70やモータ80で発生する損失が最小になるからである。よって、キャパシタ電圧V2の目標値は、バッテリ電圧V1の2分の1に設定されることが好ましい。具体的には、電圧ヒステリシス制御で放電モードと充電モードとを切り替える電圧閾値Vth_H、Vth_Lがバッテリ電圧V1の2分の1に近い値に設定されることが望ましい。
[空間ベクトル変調(1)電圧ベクトルの選択]
(電圧ベクトルの定義)
図11を参照し、2台のインバータ60、70で合成される電圧ベクトルの定義について説明する。電圧ベクトルは、一般的な空間ベクトル変調での表記方法に従う。ただし、バッテリ11側の第1インバータ60の電圧ベクトルを(100)、キャパシタ12側の第2インバータ70の電圧ベクトルを(100)’というように区別し、合成される電圧ベクトルを(100)(100)’と表記する。「1」は上アーム素子がオン、下ターム素子がオフであることを示し、「0」は上アーム素子がオフ、下アーム素子がオンであることを示す。第1インバータ60のゼロベクトルは、(000)、(111)の2通りで表されるが、以下の図で原点を示す場合、(000)のみを記し、(111)を省略する。
本実施形態のシステム構成では、第2インバータ70の電圧ベクトルの方向は、第1インバータ60の電圧ベクトルとは逆方向となる。したがって、第1インバータ60の電圧ベクトル(100)と第2インバータ70の電圧ベクトル(100)’とは、同じ表記であっても電圧ベクトルの方向が180°反転している。
「0≦V2≦V1」から上下限の等号の場合を除外した「0<V2<V1」の条件では、第1インバータ60の電圧ベクトルの範囲は、相対的に大きい正六角形で表され、第2インバータ70の電圧ベクトルの範囲は、相対的に小さい正六角形で表される。×印が付された第1インバータ60の電圧ベクトル範囲の外側の電圧ベクトルは、キャパシタ12の充電又は放電の一方にしかできないため使用しない。
各電圧ベクトルは、キャパシタ12の充放電状態によって、充電電圧ベクトル、放電電圧ベクトル、保持電圧ベクトルに分類される。使用しない電圧ベクトルを除き、第2インバータ70がゼロベクトル以外の場合の電圧ベクトルを〇印で示す。〇印の電圧ベクトルうち、キャパシタ12が充電される電圧ベクトルを充電電圧ベクトル、キャパシタ12が放電される電圧ベクトルを放電電圧ベクトルと定義する。一方、第2インバータ70がゼロベクトルの場合の電圧ベクトルを□印で示す。□印の電圧ベクトルを保持電圧ベクトルと定義する。
図6(a)に例示する充電モードでは充電電圧ベクトル(100)(100)’が用いられ、図6(b)に例示する放電モードでは放電電圧ベクトル(000)(011)’が用いられる。図6(c)に例示する保持モードでは、第2インバータ70がゼロベクトルである保持電圧ベクトル(100)(000)’が用いられる。このとき、キャパシタ12に電流が流れないため、充放電されない。
(充電/放電電圧ベクトルの定義)
充電電圧ベクトルと放電電圧ベクトルとは電流極性モードによって決定される。例として表1に、電流極性モードAの場合の第2インバータ70の電圧ベクトルの種類を示す。電流極性モードAでは、3相モータ電流の中で最も絶対値が大きいのはU相電流Iuである。U相電流Iuは符号が正であるため、第1インバータ60から第2インバータ70に向かって流れる。
Figure 2022165651000002
第2インバータ70のU相のみ上アーム素子71がオンで電圧ベクトルが(100)’のとき、+|Iu|の充電電流がキャパシタ12に流れ込む。第2インバータ70のU相及びV相の上アーム素子71、72がオン、又は、U相及びW相の上アーム素子71、73がオンで、電圧ベクトルが(110)’又は(101)’のとき、それぞれ、+|Iu|-|Iv|、+|Iu|-|Iw|の充電電流がキャパシタ12に流れ込む。
第2インバータ70のU相のみ下アーム素子74がオンで電圧ベクトルが(011)’のとき、-|Iu|の放電電流がキャパシタ12から流れ出す。第2インバータ70のU相及びV相の下アーム素子74、75がオン、又は、U相及びW相の下アーム素子74、76がオンで、電圧ベクトルが(001)’又は(010)’のとき、それぞれ、-|Iu|+|Iv|、-|Iu|+|Iw|の放電電流がキャパシタ12から流れ出す。
以上をまとめると、電流極性モードAの場合、第2インバータ70のU相上アーム素子71がオンであれば充電電圧ベクトルとなり、U相下アーム素子74がオンであれば放電電圧ベクトルとなる。
(充電/放電電圧ベクトルの配置)
図12~図14に、全ての電流極性モードA~Fについて、充電/放電電圧ベクトルの配置を示す。電流極性モードが決まれば、第2インバータ70がゼロベクトルでない電圧ベクトルについて、充電電圧ベクトルか放電電圧ベクトルかを決定できる。第1インバータ60の電圧ベクトルについて、電圧位相60°ごとの6個の正三角形領域を「セクタ」という。図12では、電流極性モードAでの電圧位相0°~60°のセクタに破線ハッチングが付されている。このセクタは、図23~図26で例として引用される。
(電圧ベクトルの選択方法)
電圧ベクトルの定義に基づいて検討された電圧ベクトルの選択方法について説明する。以下、組み合わせて選択される複数の電圧ベクトルを「電圧ベクトルセット」という。電圧ベクトル選択部41は、次の2つの選択ルールに従って、充放電モード及び電流極性モードに応じた電圧ベクトルセットを決定する。
[選択ルール1]
キャパシタの充放電制御の制御周期をモータ制御の制御周期と合わせるため、制御周期中には充放電モードを切り替えない。
[選択ルール2]
<基本形>
電圧ベクトル選択部41は、充電モードでは、充電電圧ベクトルと保持電圧ベクトルとから電圧ベクトルセットを決定する。また、電圧ベクトル選択部41は、放電モードでは、放電電圧ベクトルと保持電圧ベクトルから電圧ベクトルセットを決定する。基本形による電圧ベクトル選択の具体例については、図27(a)、図23を参照して後述する。
<応用形>
電圧ベクトル選択部41は、充電モードでは、充電電圧ベクトルと保持電圧ベクトルとを組み合わせ、又は、充電電圧ベクトルと放電電圧ベクトルと保持電圧ベクトルとを組み合わせて、空間ベクトル変調の一周期として充電となる電圧ベクトルセットを決定する。また、電圧ベクトル選択部41は、放電モードでは、放電電圧ベクトルと保持電圧ベクトルとを組み合わせ、又は、充電電圧ベクトルと放電電圧ベクトルと保持電圧ベクトルとを組み合わせて、空間ベクトル変調の一周期として放電となる電圧ベクトルセットを決定する。応用形において充電電圧ベクトルと放電電圧ベクトルとを混在させる電圧ベクトル選択の具体例については、図27(b)、(c)、図28を参照して後述する。
<基本形、応用形共通>
電圧ベクトル選択部41は、保持モード(充放電なし)では、保持電圧ベクトルのみから、又は、充電電圧ベクトル、放電電圧ベクトル及び保持電圧ベクトルを組み合わせて電圧ベクトルセットを決定する。充電電圧ベクトル及び放電電圧ベクトルを組み合わせる場合、電圧ベクトル選択部41は、空間ベクトル変調の一周期として充電及び放電がキャンセルされるように電圧ベクトルセットを決定する。
上記選択ルールを踏まえて、図15~図20に、全ての電流極性モードA~Fの充電モード及び放電モードの場合に選択される電圧ベクトルをまとめて示す。例えば電流極性Aの充電モードと電流極性Dの放電モードとでは同じ電圧ベクトルが選択される。この場合の充放電モードを「A-充電orD-放電」と記す。図15には「A-充電orD-放電」、図16には「B-充電orE-放電」、図17には「C-充電orF-放電」、図18には「D-充電orA-放電」、図19には「E-充電orB-放電」、図20には「F-充電orC-放電」の充放電モードの場合に選択される電圧ベクトルを示す。
図15~図20の各図には、充放電に支配的な電流経路、充放電時にオンする第2インバータ70の素子、充放電時に使用される第2インバータ70の電圧ベクトル、第1インバータ60及び第2インバータ70の電圧ベクトルを示す。60°ごとのセクタに「P、Q、R、p、q、r」の記号が付された配置パターンの意味については、図22を参照して後述する。
充電モードの場合、第2インバータ70がゼロベクトルである保持電圧ベクトルの間に必ず充電電圧ベクトルが配置されるため、3レベル駆動が可能である。放電モードの場合も同様である。保持モードで使用される保持電圧ベクトルは図11~図14にて□印で示される通りである。保持モードの場合、保持電圧ベクトルのみを使う代わりに2レベル駆動となる。
(αβ→ab変換)
次の「Duty比計算」の説明では、UVW相の正負方向を基準とした電圧位相60°ごとの議論をする。その準備としてαβ軸電圧位相を60°ごとの6個のセクタに分け、ab軸電圧を導入する。図21に各セクタの電圧位相及びab軸電圧の定義を示す。
(各セクタの電圧ベクトル配置パターン)
αβ軸電圧位相60°ごとの6個のセクタにおける6通りの電圧ベクトル配置パターンを「P、Q、R、p、q、r」の記号で表す。例えば図15に示す「A-充電orD-放電」モードで使用される電圧ベクトルは、電圧位相0°~60°のセクタがPパターン、60°~120°のセクタがQパターン、120°~180°のセクタがRパターン、2180°~240°のセクタがpパターン、240°~300°のセクタがqパターン
300°~360°のセクタがrパターンの配置となる。図22に、充放電モードと電圧ベクトル配置パターンとの関係を示す。
図23~図25に、電流極性モードAでの電圧位相0°~60°のセクタ(図12で破線ハッチングを付した領域)を例として、6種類の電圧ベクトル配置パターンを示す。ここで、1個のセクタは、4個の「サブセクタ(三角形領域)」#1~#4に分割される。セクタは、第1インバータ60の3つの電圧ベクトルを頂点とする正三角形領域である。サブセクタは、第2インバータの電圧ベクトルを結んだ線でセクタを分割して得られた三角形領域である。サブセクタの詳しい定義や意義については図29を参照して後述する。
図23に示すように、Pパターンは、3つの充電電圧ベクトル(100)(100)’、(110)(110)’、(100)(101)’を頂点とするサブセクタ#4を含む充電用の配置パターンである。pパターンは、3つの放電電圧ベクトル(000)(011)’、(000)(001)’、(110)(010)’を頂点とするサブセクタ#4を含む放電用の配置パターンである。
これらに対し、三角形の3つの頂点に充電電圧ベクトルと放電電圧ベクトルとの両方が混在する配置パターンを中間用の配置パターンという。中間用の配置パターンでは、Duty比及びモータ電流によりキャパシタ12の充電又は放電が決まる。
図24に示すように、Qパターンは、2つの充電電圧ベクトル(100)(100)’、(100)(101)’及び1つの放電電圧ベクトル(000)(001)’を頂点とするサブセクタ#4を含む。qパターンは、2つの放電電圧ベクトル(000)(011)’、(110)(010)’及び1つの充電電圧ベクトル(110)(110)’を頂点とするサブセクタ#4を含む。
図25に示すように、Rパターンは、2つの放電電圧ベクトル(000)(011)’、(000)(001)’及び1つの充電電圧ベクトル(100)(101)’を頂点とするサブセクタ#4を含む。rパターンは、2つの充電電圧ベクトル(100)(100)’、(110)(110)’及び1つの放電電圧ベクトル(110)(010)’を頂点とするサブセクタ#4を含む。
上記の6種類とは異なる配置パターンとして、図26に、中間用の配置パターンであるSパターン及びsパターンを示す。Sパターン及びsパターンのサブセクタ#4は、第2インバータ70の電圧ベクトル範囲を示す3個の正六角形で囲まれた正六角形領域において頂点を1つおきに結んだ正三角形で表される。
Sパターンは、2つの放電電圧ベクトル(000)(001)’、(110)(010)’及び1つの充電電圧ベクトル(100)(100)’を頂点とするサブセクタ#4を含む。sパターンは、2つの充電電圧ベクトル(110)(110)’、(100)(101)’及び1つの放電電圧ベクトル(000)(011)’を頂点とするサブセクタ#4を含む。このように、充電電圧ベクトルと放電電圧ベクトルとの両方が混在する電圧ベクトル配置パターンを用いることで、ヒステリシス制御の際の充放電繰り返し回数が緩和される。
(充放電モードでの電圧ベクトルの選択)
図27(a)に示すように、充電モードではキャパシタ電圧V2が上昇して上閾値を上回ると、次の制御周期で放電モードに切り替わる。放電モードではキャパシタ電圧V2が下降して下閾値を下回ると、次の制御周期で充電モードに切り替わる。このとき充電モード及び放電モードで用いられる電圧ベクトルの選択について、図23~図26と同様に、電流極性モードAの電圧位相0°~60°のセクタを例として説明する。
電圧ベクトル選択の基本形では、充電モードでPパターン(図23上)、放電モードでpパターン(図23下)の電圧ベクトル配置が選択される。Pパターン及びpパターンでは、セクタが4個のサブセクタに分けられる。Pパターンのサブセクタ#1~#3の頂点は充電電圧ベクトル及び保持電圧ベクトルからなり、サブセクタ#4の頂点は充電電圧ベクトルのみからなる。pパターンのサブセクタ#1~#3の頂点は放電電圧ベクトル及び保持電圧ベクトルからなり、サブセクタ#4の頂点は放電電圧ベクトルのみからなる。
図27(b)に示すように、電圧ベクトル選択の応用形1では下閾値と上閾値との間が中間領域として定義される。中間領域で用いられる充放電混在モードでは、図28に示すように、セクタが5個のサブセクタに分けられる。図28上の例では、rパターン(図25下)のサブセクタ#1が(000)(001)’を頂点とする2個のサブセクタに分けられる。図28下の例では、sパターン(図26下)のサブセクタ#3が(110)(010)’を頂点とする2個の領域に分けられる。5個全てのサブセクタの頂点には充電電圧ベクトルと放電電圧ベクトルとの両方が含まれる。これにより中間領域にとどまる期間を長くし、キャパシタ電圧V2のリップルを低減できる。
図27(c)に示すように、電圧ベクトル選択の応用形2では下閾値と上閾値との間に中心値が定義される。充電モード又は放電モードにてキャパシタ電圧V2が中心値をまたいだ時、充放電混在モードが開始され、図28上や図28下の例の電圧ベクトルが用いられる。これにより応用形2と同様に中間領域にとどまる期間を長くし、キャパシタ電圧V2のリップルを低減できる。
[空間ベクトル変調(2)Duty比計算]
図29に、Pパターンの電圧ベクトル配置における(a)指令電圧ベクトル、(b)サブセクタ(三角形領域)、(c)サブセクタ頂点の電圧ベクトルを示す。図29(a)の指令電圧ベクトルV*はa軸方向及びb軸方向の電圧ベクトルの和で表される。ab軸の単位電圧ベクトルをEa、Ebとし、指令電圧ベクトルの係数をVa、Vbと定義すると、指令電圧ベクトルV*は、下式で表される。
*=VaEa+VbEb
図29(b)に示すように、1個のセクタは、4個のサブセクタ(三角形領域)#1~#4に分割される。原点に近い領域をサブセクタ#1、原点からa軸方向に最も遠い領域をサブセクタ#2、原点からb軸方向に最も遠い領域をサブセクタ#3と定義する。さらにサブセクタ#1、#2、#3に囲まれた領域をサブセクタ#4と定義する。各サブセクタ間の境界線は、電圧ベクトル配置パターンP、Q、R、p、q、rごとに異なる。境界線は、指令電圧ベクトルの係数Va、Vb、バッテリ電圧V1及びキャパシタ電圧V2を用い、両端の電圧ベクトルを結んだ直線の式で表すことができる。
図29(a)において、指令電圧ベクトルの終点が含まれるセクタを「指令セクタ」と定義し、さらに指令電圧ベクトルの終点が含まれるサブセクタを「指令サブセクタ」と定義する。電圧ベクトル選択部41は、指令電圧ベクトルから指令セクタを決定し、さらに指令サブセクタを決定する。そして電圧ベクトル選択部41は、指令サブセクタの頂点を終点とする電圧ベクトルにより、使用する電圧ベクトルセットを決定する。
図30のフローチャートに、電圧ベクトル選択部41が指令サブセクタを決定するアルゴリズムを示す。S30では、電圧ベクトル配置パターンP、Q、R、p、q、rに応じて、サブセクタ#1-#4間、#2-#4間、#3-#4間の各境界線が設定される。S31の分岐1では、指令電圧ベクトルの終点が#1-#4間境界線の内側(すなわち原点側)にあるか判別される。S32の分岐2では、指令電圧ベクトルの終点が#2-#4間境界線の外側(すなわち原点と反対側)にあるか判別される。S33の分岐3では、指令電圧ベクトルの終点が#3-#4間境界線の外側にあるか判別される。S31でYESの場合は#1、S32でYESの場合は#2、S33でYESの場合は#3、S31、S32、S33のいずれもNOの場合は#4が指令サブセクタに決定される。
図29(c)に戻り、各サブセクタ#1~#4の頂点をなす3つの電圧ベクトルセットをVl、Vm、Vnと定義する。サブセクタ#1~#3では、原点側の頂点の電圧ベクトルがVl、a軸側の頂点の電圧ベクトルがVm、b軸側の頂点の電圧ベクトルがVnとなる。サブセクタ#4では逆に、原点と反対側の頂点の電圧ベクトルがVl、a軸と反対側の頂点の電圧ベクトルがVm、b軸と反対側の頂点の電圧ベクトルがVnとなる。
指令サブセクタの頂点をなす各電圧ベクトルVl、Vm、Vnが出力するDuty比を、それぞれ、l、m、n(0≦l≦1、0≦m≦1、0≦n≦1、l+m+n=1)と定義する。Duty比l、m、nは、空間ベクトル変調の一周期における各電圧ベクトルVl、Vm、Vnの印加時間の比率である。電圧ベクトルVm、VnのDuty比m、nが計算されれば、電圧ベクトルVlのDuty比lは、「l=1-m-n」により計算される。なお、「l」は「L」の小文字であり、数字の「1」と誤読しないように注意することが望まれる。
図31に、電流極性モードAの電圧位相0°~60°のセクタにおける指令サブセクタがサブセクタ#2のときのDuty比の計算式の例を示す。Duty比計算部42は、充放電モードに応じて、指令電圧ベクトルの係数Va、Vb、バッテリ電圧V1及びキャパシタ電圧V2に基づき指令電圧ベクトルのDuty比を計算する。
図31(a)に示すように、電圧ベクトル配置がPパターン(図23上)である充電モードでは、電圧ベクトルVm、VnのDuty比m、nは下式により計算される。
m={Va-(V1-V2)}/V2
n=Vb/V2
図31(b)に示すように、電圧ベクトル配置がpパターン(図23下)である放電モードでは、電圧ベクトルVm、VnのDuty比m、nは下式により計算される。
m=(Va-V2)/(V1-V2)
n=Vb/(V1-V2)
指令サブセクタが#2以外のサブセクタのときや電圧ベクトル配置が他のパターンのときにも電圧ベクトルVm、VnのDuty比m、nは同様に計算される。Duty比計算部42は、4個のサブセクタ#1~#4につき各6個の電圧ベクトル配置パターンの計24パターンの計算式を用いて、全ての指令電圧ベクトルについてDuty比を計算する。
[空間ベクトル変調:キャパシタ電圧0から充電できる理由]
図32を参照し、空間ベクトル変調においてキャパシタ電圧V2が0の状態から充電できる理由について説明する。キャパシタ電圧V2が0のとき、アルゴリズムにより、指令サブセクタとしてサブセクタ#1が選択される。このとき、図32の上側に示すように、頂点の電圧ベクトルVm、Vnは充電電圧ベクトルとなる。その結果、指令電圧ベクトルの大きさや位相に関わらず、キャパシタ12は充電される。
キャパシタ電圧V2が充電されるに連れ、図32の下側に示すように、電圧ベクトルVmは、a軸上を原点に向かって移動するとともにセクタ外側の辺上をb軸に向かって移動する。電圧ベクトルVnはb軸上を原点に向かって移動する。その結果、Pパターン(図23上)の電圧ベクトル配置となる。
[本実施形態の効果]
図33~図36を参照し、特許文献1の従来技術に相当する比較例1、及び、非特許文献1の従来技術に相当する比較例2と対比しつつ、本実施形態の効果について説明する。まず比較例1、2と本実施形態との共通点、類似点として、2電源2インバータシステムの主回路のトポロジーが同じである。また、モータ駆動しながら、第1の電源であるバッテリ11と第2の電源であるキャパシタ12との間で電力を移動できる点が同じである。一方、比較例1、2と本実施形態との相違点として、(1)マルチレベル駆動の可否、及び、バッテリ電圧V1に対するキャパシタ電圧V2の制御範囲、に着目する。
図33に、比較例1、比較例2、本実施形態によるマルチレベル駆動の可否を示す。特許文献1の図4(c)等から明らかなように、比較例1では、各相の巻線電圧は3レベルであり、マルチレベル駆動ではない。一方、比較例2及び本実施形態では、各相の巻線電圧は5レベルであり、マルチレベル駆動が実現される。よって、電圧変調率の全域でマルチレベル駆動によるモータ損失の低減が可能となる。
図34、図35を参照し、比較例2の電圧ベクトル配置及び指令電圧ベクトルについて説明する。図34、図35は、それぞれ本実施形態の電流極性モードAに係る図12上、図31(a)、(b)に対応する。比較例2では、キャパシタ電圧V2はバッテリ電圧V1の2分の1に固定される(V2=V1/2)。そのため図34に示すように、充電時と放電時の電圧ベクトルは一致する。
図35に示すように、指令サブセクタがサブセクタ#2のとき、電圧ベクトルVm、VnのDuty比m、nは、充放電モードとは関係なく、指令電圧ベクトルの係数Va、Vb及びバッテリ電圧V1から下式により計算される。
m=(Va-V2)/V2=(2Va-V1)/V1
n=Vb/V2=2Vb/V1
それに対し本実施形態では、キャパシタ電圧V2の制御範囲は、0以上バッテリ電圧V1以下の範囲で可変である(0≦V2≦V1)。そのため図12に示すように、充電時と放電時の電圧ベクトルは一致しない。また、図31(a)、(b)を参照して上述したように、指令電圧ベクトルのDuty比は、指令電圧ベクトルの係数Va、Vb及びバッテリ電圧V1に加え、充放電モードとキャパシタ電圧V2とによって計算される。
図36を参照し、モータ80の駆動時におけるトルクリップルを比較例2と本実施形態とで比較する。モータ電流(例としてU相電流Iuを図示)の周期に対しキャパシタ電圧V2は非同期で変化する。比較例2の空間ベクトル変調法ではキャパシタ電圧V2をバッテリ電圧V1の2分の1に固定しており、充電電圧ベクトルと放電電圧ベクトルとが一致していることが条件となる。
そのため、車両起動後にモータ80を駆動する直前にキャパシタ電圧V2をバッテリ電圧V1の2分の1にまで充電する必要がある。キャパシタ電圧V2がバッテリ電圧V1の2分の1未満の状態でマルチレベル駆動すると、モータ相電流が歪み、トルクリップルTRcが大きくなる。なお、図36においてU相電流Iuは、電流周期を示すことを目的として記載されたものであり、比較例2による相電流の歪の図示は省略する。
これに対し本実施形態では、キャパシタ電圧V2の制御範囲が0以上バッテリ電圧V1以下の範囲で可変である。また、Duty比計算部42は、充放電モードに基づいて決定された電圧ベクトルセットについて、Duty比を、指令電圧とバッテリ電圧V1とからだけでなく、キャパシタ電圧V2に基づき計算する。これにより、キャパシタ12の初期充電の必要がなく、比較例2に比べトルクリップルを抑制したマルチレベル駆動が可能となる。さらにモータ相電流の歪みが抑制され、トルクリップルTRpを小さくすることができる。なお上述のように、本実施形態においてキャパシタ電圧V2の目標値をバッテリ電圧V1の2分の1に設定することで、さらにシステム損失を低減することができる。
(その他の実施形態)
(a)上記実施形態のように「第1の電源」がバッテリ11であり、「第2の電源」がキャパシタ12である構成に限らず、「第1の電源」及び「第2の電源」の構成が拡張解釈されてもよい。「第1の電源」は、リチウムイオン電池等の他、燃料電池等により構成されてもよい。「第2の電源」は、充放電可能であり、充電状態に応じて変化する第2の電源電圧を出力する電源であればよく、電気二重層キャパシタ等の他、リチウムイオン電池やリチウムイオンキャパシタにより構成されてもよい。
(b)制御回路30において、電流極性モード判定部37、充放電モード判定部38、空間ベクトル変調部40等の本実施形態に特有の構成以外の一般制御構成は、モータ制御に関する周知技術に基づき、適宜変更されてよい。例えば、電流フィードバック制御に代えてトルクフィードバック制御が用いられてもよい。
(c)本発明のモータ制御装置は、ハイブリッド自動車や電気自動車の動力源であるモータジェネレータに限らず、インバータから電力供給されるどのような3相モータに適用されてもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
11・・・バッテリ(第1の電源)、 12・・・キャパシタ(第2の電源)、
30・・・制御回路、
34・・・dq軸電流制御部(指令電圧演算部)、
35・・・電圧αβ変換部(指令電圧演算部)、
37・・・電流極性モード判定部、 38・・・充放電モード判定部、
41・・・電圧ベクトル選択部、 42・・・Duty比計算部、
56、57・・・駆動回路、
60・・・第1インバータ、 70・・・第2インバータ、
80・・・モータ、 81、82、83・・・3相巻線、
V1・・・バッテリ電圧(第1の電源電圧)、
V2・・・キャパシタ電圧(第2の電源電圧)。

Claims (7)

  1. 第1の電源電圧(V1)を出力する第1の電源(11)、及び、充放電可能であり、充電状態に応じて変化する第2の電源電圧(V2)を出力する第2の電源(12)から個別に直流電力が入力される2台のインバータを用いて、中性点がオープンである3相巻線(81、82、83)を有するモータ(80)を駆動するモータ駆動システムにおいて、前記モータの通電を制御する制御装置であって、
    前記第1の電源から入力される直流電力を交流電力に変換し、前記3相巻線の一端に供給する第1インバータ(60)と、
    前記第2の電源から入力される直流電力を交流電力に変換し、前記3相巻線の他端に供給する第2インバータ(70)と、
    空間ベクトル変調を用いて前記2台のインバータに出力するゲート信号を生成する制御回路(30)と、
    前記制御回路が生成したゲート信号に基づき前記2台のインバータをスイッチング動作させる駆動回路(56、57)と、
    を備え、
    前記制御回路は、
    前記モータへの指令トルクに基づき、電流フィードバック制御により指令電圧を演算する指令電圧演算部(34、35)と、
    前記モータに流れる相電流に基づき、電流の極性状態を示す電流極性モードを判定する電流極性モード判定部(37)と、
    前記第2の電源電圧に基づき、前記第2の電源に充電が必要な充電モード、前記第2の電源に放電が必要な放電モード、又は、前記第2の電源に充電及び放電のいずれも必要の無い保持モードのうちいずれかの充放電モードを判定する充放電モード判定部(38)と、
    前記指令電圧、前記電流極性モード及び前記充放電モードに基づき、空間ベクトル座標において、前記第2の電源を充電する電圧ベクトルである充電電圧ベクトル、前記第2の電源を放電する電圧ベクトルである放電電圧ベクトル、及び、前記第2の電源を充放電しない電圧ベクトルである保持電圧ベクトルから、使用する電圧ベクトルセットを決定する電圧ベクトル選択部(41)と、
    前記電圧ベクトル選択部が決定した電圧ベクトルセットについて、前記指令電圧、前記第1の電源電圧、及び、0以上、前記第1の電源電圧以下の範囲で可変である前記第2の電源電圧に基づき、空間ベクトル変調の一周期における各電圧ベクトルの印加時間の比率であるDuty比を計算するDuty比計算部(42)と、
    を有するモータ制御装置。
  2. 前記電圧ベクトル選択部は、
    前記充電モードでは、前記充電電圧ベクトルと前記保持電圧ベクトルとから電圧ベクトルセットを決定し、
    前記放電モードでは、前記放電電圧ベクトルと前記保持電圧ベクトルとから電圧ベクトルセットを決定する請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記電圧ベクトル選択部は、
    前記充電モードでは、前記充電電圧ベクトルと前記保持電圧ベクトルとを組み合わせ、又は、前記充電電圧ベクトルと前記放電電圧ベクトルと前記保持電圧ベクトルとを組み合わせて、空間ベクトル変調の一周期として充電となる電圧ベクトルセットを決定し、
    前記放電モードでは、前記放電電圧ベクトルと前記保持電圧ベクトルとを組み合わせ、又は、前記充電電圧ベクトルと前記放電電圧ベクトルと前記保持電圧ベクトルとを組み合わせて、空間ベクトル変調の一周期として放電となる電圧ベクトルセットを決定する請求項1に記載のモータ制御装置。
  4. 前記電圧ベクトル選択部は、
    前記保持モードでは、前記保持電圧ベクトルのみから、又は、前記充電電圧ベクトル、前記放電電圧ベクトル及び前記保持電圧ベクトルを組み合わせて電圧ベクトルセットを決定する請求項2または3に記載のモータ制御装置。
  5. 前記第2の電源電圧の目標値は、前記第1の電源電圧の2分の1に設定される請求項1~4のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記電流極性モード判定部は、
    U相、V相、W相の各電流ベクトルの位相を0°、120°、240°としたとき、
    (60n±30)°(n=0,1,2,3,4,5)
    で区分される6個の領域に対応する6種類の電流極性モードを、前記モータの各相に流れる電流の正負に基づいて判定し、
    前記電圧ベクトル選択部は、前記電流極性モードに基づき、充電電圧ベクトルまたは放電電圧ベクトルを選択する請求項1~5のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  7. 前記電圧ベクトル選択部は、
    前記第1インバータの電圧ベクトルについて、電圧位相60°ごとの正三角形領域である6個のセクタのうち、指令電圧ベクトルの終点が存在する指令セクタを決定し、
    さらに、前記第2インバータの電圧ベクトルを結んだ線で前記セクタを分割して得られた三角形領域である4個のサブセクタのうち、指令電圧ベクトルの終点が存在する指令サブセクタを決定し、
    前記指令サブセクタの頂点の電圧ベクトルにより、使用する電圧ベクトルセットを決定する請求項1~6のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
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