JP4912710B2 - 減圧アークにより配管内面の酸化皮膜を除去するための装置および方法ならびにそのためのプログラム - Google Patents

減圧アークにより配管内面の酸化皮膜を除去するための装置および方法ならびにそのためのプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP4912710B2
JP4912710B2 JP2006082677A JP2006082677A JP4912710B2 JP 4912710 B2 JP4912710 B2 JP 4912710B2 JP 2006082677 A JP2006082677 A JP 2006082677A JP 2006082677 A JP2006082677 A JP 2006082677A JP 4912710 B2 JP4912710 B2 JP 4912710B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pipe
anode
oxide film
voltage
arc
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006082677A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007253293A (ja
Inventor
静枝 古川
正士 天川
和郎 足立
弘巳 神戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Research Institute of Electric Power Industry
Original Assignee
Central Research Institute of Electric Power Industry
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Research Institute of Electric Power Industry filed Critical Central Research Institute of Electric Power Industry
Priority to JP2006082677A priority Critical patent/JP4912710B2/ja
Publication of JP2007253293A publication Critical patent/JP2007253293A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4912710B2 publication Critical patent/JP4912710B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Plasma Technology (AREA)
  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Description

本発明は、酸化皮膜が表面に付着した処理対象物を陰極として減圧下で放電することにより当該酸化皮膜を除去するための、減圧アークによる酸化皮膜の除去装置および除去方法ならびにそのためのプログラムに関するものであり、特に、配管内面の広域に付着した酸化皮膜を除去する技術の改良に関する。
金属板等の表面に付着した酸化皮膜を除去する方法として、減圧アークによる方法が知られている(特許文献1〜3)。表面に酸化皮膜が付着した金属処理対象物を陰極として減圧下で移行形アークプラズマを発生させると、金属よりも酸化皮膜上に陰極点が形成され易いため、陰極点は酸化皮膜上を選択的に走行する。これにより、酸化皮膜を選択的に溶融・蒸発させることができ、酸化皮膜を熱的に効率良く除去することができる。
原子力施設では、ステンレス鋼に代表される放射性固体廃棄物が多く発生するが、これら廃棄物の大半は表面汚染のみであり、除染によりクリアランスレベル以下の区分に移行できる可能性がある。例えば、廃棄物である配管の内面には放射性核種を含有する酸化皮膜が広域に付着しているが、このような放射性核種を酸化皮膜と共に除染・除去する乾式表面除染技術として、処理速度が大きく高除染度が得られることから、減圧アークによる方法が検討されている。
減圧アークによって配管内面の除染処理を行う場合、内面広域に渡って付着した酸化皮膜を処理するために、配管内で陽極を移動させる必要があるが、この際、陽極をある位置に固定した状態で酸化皮膜の除去が終了した後、次の位置へ陽極を移動させるときに、実際に酸化皮膜の除去が終了したか否かを判定する必要がある。このとき、判定が迅速に行われずに酸化皮膜の除去が終了した後も放電を続けると、不要なエネルギーが消費されてしまうことになる。
また、減圧アークは真空容器内で行われるが、上記判定の度に真空容器を開放して配管内部を直接観察することは望ましくなく、減圧を維持し、配管を真空容器内部に設置したままの状態で処理の状況が判定できることが望ましい。
特許文献3には、金属板表面に付着した酸化皮膜を放電によって除去する際に、ある位置における酸化皮膜除去の終了を判定する方法として、陽極と金属板との間のアーク電圧の波形を観測することが記載されている。
特開平09−248617号公報 特開平05−98428号公報 特開平07−290140号公報
しかし、このように酸化皮膜除去の終了をアーク電圧の波形自身から直接判断する方法では、判断が困難となる場合がある。特に、酸化皮膜が薄い場合では、電圧の差が見出しにくくなる。
本発明は、酸化皮膜が除去されているか否かを容易かつ正確に判別可能であり、処理対象物である配管を収納した真空容器を開放する必要がなく、さらに、過剰処理によるエネ
ルギーの無駄を省くことができる、減圧アークによる酸化皮膜の除去装置および除去方法ならびにそのためのプログラムを提供することを目的としている。
本発明の酸化皮膜の除去装置は、酸化皮膜が表面に付着した処理対象物を陰極として減圧下で放電することにより当該酸化皮膜を除去する減圧アークによる酸化皮膜の除去装置であって、
処理対象である、内面に酸化皮膜が付着した配管の内面と向き合う位置に配置される陽極と、
配管を管路と略平行な方向を軸として回転させる配管回転手段または、配管内部において陽極を管路と略平行な方向を軸として回転させる陽極回転手段と、
配管と陽極のうちいずれか一方を、配管の管路と略平行な方向へ移動させる手段と、
陽極と配管との間に直流電圧を印加する電源と、
陽極と配管との間の電圧を計測する手段と、
配管内に陽極を位置させ、前記配管回転手段によって配管を回転させるか、あるいは前記陽極回転手段によって陽極を回転させると共に、陽極と配管との間に直流電圧を印加することによりアークを発生させた状態で計測された、陽極と配管との間の電圧波形のデータから、高速フーリエ変換によって電圧の周波数スペクトルを算出する演算手段と、
前記算出された周波数スペクトルにおける、配管または陽極の回転速度に対応する周波数成分に基づいて酸化皮膜の除去が終了したか否かを判定する手段と、
を備えることを特徴としている。
本発明の酸化皮膜の除去方法は、酸化皮膜が表面に付着した処理対象物を陰極として減圧下で放電することにより当該酸化皮膜を除去する減圧アークによる酸化皮膜の除去方法であって、
内面に酸化皮膜が付着した配管を処理対象物として、配管内に陽極を位置させると共に、配管の管路と略平行な方向を軸として配管または陽極を回転させ、
陽極と配管との間に直流電圧を印加することによりアークを発生させた状態で、陽極と配管との間の電圧を計測し、
前記計測された電圧波形のデータから、高速フーリエ変換によって電圧の周波数スペクトルを算出し、
前記算出された周波数スペクトルにおける、配管または陽極の回転速度に対応する周波数成分に基づいて酸化皮膜の除去が終了したか否かを判定し、
当該判定の結果に基づいて、配管と陽極のうちいずれか一方を、配管の管路と略平行な方向へ移動させた後、上記操作を繰り返すことを特徴としている。
本発明のプログラムは、内面に酸化皮膜が付着した配管を処理対象物として、配管内に陽極を位置させると共に、配管の管路と略平行な方向を軸として配管または陽極を回転させ、陽極と配管との間に直流電圧を印加することによりアークを発生させた状態で計測された陽極と配管との間の電圧波形のデータを得るステップと、
前記電圧波形のデータから、高速フーリエ変換によって電圧の周波数スペクトルを算出するステップと、
前記算出された周波数スペクトルにおける、配管または陽極の回転速度に対応する周波数成分に基づいて酸化皮膜の除去が終了したか否かを判定するステップと、
当該判定の結果に基づいて、配管と陽極のうちいずれか一方を、配管の管路と略平行な方向へ移動させるステップと、を含む処理をコンピュータに実行させる。
上記の発明では、配管または陽極を回転させながら減圧アークを着火している。配管内面に酸化皮膜が存在すると、減圧アークの陰極点は酸化皮膜上の一箇所に固着するが、この場合、配管または陽極を回転させると、放電の長さが、配管を回転させる場合にはその
回転と同じ周期で、陽極を回転させる場合にはその回転と同じ周期で伸び縮みする。一方、酸化皮膜が完全に除去されると、陰極点は配管内面の一箇所に固着することはなく、すると、放電の長さは伸び縮みしなくなる。
そして、放電の周期的な伸び縮みは、陽極と配管との間のアーク電圧に周波数成分として重畳する。本発明では、この配管または陽極の回転速度に対応した周波数成分を高速フーリエ変換による周波数解析によって検出し、当該周波数成分の有無によって酸化皮膜が除去されたか否かを判定するようにしている。
したがって、酸化皮膜除去の終了を迅速に判定でき、過剰処理によるエネルギーの無駄を省くことができる。
また、処理対象物である配管を収納した真空容器を開放せずに外部から処理の状況が判定することができる。
さらに、周波数解析によって酸化皮膜除去の終了を判定しているので、容易かつ正確に酸化皮膜除去の終了を判別可能である。
本発明によれば、酸化皮膜が除去されているか否かを容易かつ正確に判別可能であり、処理対象物である配管を収納した真空容器を開放する必要がなく、さらに、過剰処理によるエネルギーの無駄を省くことができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。図1は、本発明の一実施例における酸化皮膜の除去装置の概略構成を示した図である。
図示したように、この酸化皮膜の除去装置1には、真空容器を構成する水冷チャンバ2の内部に、回転機構を備えた試料台3が設置されている。試料台3の上には、管路方向を回転軸として、処理対象物である配管10が載置されている(説明の便宜のために上部側の一部を切り欠いて管内部の一部を示している)。
水冷チャンバ2の内部には、不図示の移動機構によって、水冷チャンバ2の外部からの制御により上下方向(z方向)へ移動可能な陽極4が配置されている。陽極4は、上下方向を軸とした絶縁体4bの下部側面から導電体4aが横方向へ延出した構造になっており、配管10の回転軸からずれた位置に配置されている。
陽極4は、水冷チャンバ2の外部に設置された直流電源5の陽極側に配線を介して電気的に接続され、直流電源5の陰極側は、配線を介して配管10へ電気的に接続されている。
6は電圧計であり、配管10を回転させ、陽極4と配管10との間に直流電圧を印加することによりアークを発生させた状態で、陽極4と配管10との間の電圧を計測する。電圧計6はコンピュータ7に接続されており、計測された電圧波形はデジタルデータとしてコンピュータ7の記憶部に格納される。
コンピュータ7は、装置全体の制御系を構成し、試料台3の回転制御、陽極4の移動制御、電圧計6によって計測された電圧波形データの格納および、電圧波形データに対する高速フーリエ変換処理などを行う。
以上の構成を備えた酸化皮膜の除去装置1によって、次の操作を行うことにより、処理対象物である配管10の内面の酸化皮膜を除去する。水冷チャンバ2内の試料台3に配管
10を載置し、水冷チャンバ2の内部を減圧する。陽極4を配管10の内面と向き合うアーク処理開始位置に配置した状態で、試料台3の回転機構によって配管10を所定の速度Vθで回転させる。
直流電源5によって陽極4と配管10との間に直流電圧を印加することにより、減圧アークを発生させる。この時の減圧アークの映像をカメラにより観察すると、配管10の回転速度がある程度速い場合には、減圧アーク内に形成される陰極点が酸化皮膜に固着し、減圧アークが配管10と共に回転する現象が観測される。
配管10の酸化皮膜上に形成される陰極点は、ある箇所の酸化皮膜に着火すると、この箇所の酸化皮膜を溶融・蒸発し、除去して始めて新しく他の箇所の酸化皮膜に移るという性質がある。したがって、陰極点が着いている箇所の酸化皮膜が溶融・蒸発し終わらなければ、陰極点は当該箇所の酸化皮膜に固着したまま、配管10と同じ回転速度で回転していく。
この時、陰極点が配管10と共に回るため、回転に伴って放電の長さが規則的に伸び縮みする。これに起因して、電圧計6によって計測される減圧アークの電圧には、直流成分に加えて、配管10の回転速度Vθに対応する周波数の周波数成分が重畳される。例えば、30rpmで配管10を回転させると、30rpmの周期で放電が伸び縮みするため、30r/60sec=0.5Hzの周波数を持つ振動成分が電圧波形に観測される。
そして、陽極4をある位置に固定した状態で放電を続けることにより、当該位置での放電による酸化皮膜の除去が終了すると、陰極点は、固着する酸化皮膜が無くなっているため、配管10の回転に同期した上記の回転をしなくなり、上記のような周波数成分は観測されなくなる。
本実施例では、陽極4をある位置に固定した状態で配管10を回転させながら減圧アーク処理を行うと共に、電圧計6によって陽極4と配管10との間の電圧を計測し、計測された電圧波形データをコンピュータ7において高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)する。FFTは、適切に設定されたある時間毎に行う。
酸化皮膜の除去が終了していない場合、減圧アークの陰極点が酸化皮膜上に固着して配管10と共に回転しているため、FFT処理波形には、配管10の回転速度に対応する周波数成分が現れる。
一方、酸化皮膜の除去が終了している場合、減圧アークの陰極点は配管10と共に回転しなくなるため、FFT処理波形には、配管10の回転速度に対応する周波数成分が現れなくなる。
本実施例の構成を備えた装置を用いて、原子力施設の廃棄物である金属配管を処理対象物として、減圧アーク着火時の電圧波形およびその電圧波形をFFT変換した波形を計測した。具体的な試験条件は次のとおりである。図1の水冷チャンバ2内の試料台3に、放射性核種を含有する酸化皮膜(1〜2mg/cmのFeCr熱酸化皮膜)が内面に付着した、直径約110mm、長さ約200mmの配管10を載置した。
陽極4として、直径60mmの上下方向を軸とした絶縁体4bの下部側面から直径35mmの導電体4aが横方向へ延出した構造のものを用いた。また、水冷チャンバ2の外部のチラーから冷却水を循環することによって陽極4を冷却するようにした。
水冷チャンバ2の内部における配管10の上方に、アーク処理によって蒸発した酸化皮
膜のダストを水冷チャンバ2内から吸引除去する吸引口を配置し、水冷チャンバ2の外部にあるダスト捕捉フィルタを介して吸引口をロータリーポンプに接続した。
水冷チャンバ2内における雰囲気ガス種Ar、圧力40Pa、放電電流60A、配管10の回転速度30rpmの条件下で、陽極4と配管10との間の電圧を計測した。図2−Aは、配管20内面の酸化皮膜に減圧アークが着火している時の電圧波形、図2−Bは、この電圧波形の時間軸を拡大した図、図2−Cは、この電圧波形をFFT変換した波形である。また、図3は、上記と同じ減圧アーク処理条件において、配管10内面に酸化皮膜がない時の電圧波形をFFT変換した波形である。
図2−Cに示すように、配管10内面の酸化皮膜に減圧アークが着火して陰極点が配管10と共に回転している場合には、0.5Hz(30rpm)付近にピークが観測されている。一方、図3に示すように、配管10内面に酸化皮膜がない場合には、配管10の回転速度に対応する周波数成分はほとんど観測されない。
本実施例では、図2−Cのように配管10の回転速度に対応する周波数成分がある場合には、コンピュータ7は、酸化皮膜が除去されていないと判定する。一方、図3のように、配管10の回転速度に対応する周波数成分がない場合には、コンピュータ7は、酸化皮膜の除去が終了したと判定する。
コンピュータ7による酸化皮膜の除去終了の判定は、FFT波形における配管10の回転速度に対応する周波数成分の有無を、例えば、その大きさを予め設定した閾値と比較する等の方法により判別することで行うことができる。
FFT波形の解析により、酸化皮膜の除去が終了したと判定された場合には、コンピュータ7の指示によって、陽極4をz方向へ所定距離だけ移動させる。そして、その位置に陽極4を固定した状態で減圧アークを行い、配管10内面の酸化皮膜の除去を行う。当該位置における酸化皮膜の除去終了の判定も、上記と同様に、陽極4と配管10との間の電圧波形をFFT変換した波形における、配管10の回転速度に対応する周波数成分の有無に基づいて行う。
以上の操作を繰り返しながら、陽極4を配管10内部の全体に渡って管路方向へ掃引することにより、配管10内面の広域に付着した酸化皮膜を除去する。
以上の酸化皮膜除去処理は、コンピュータ7の記憶部に格納されたプログラムによって実行することができる。図4は、当該プログラムによる酸化皮膜除去処理の実行手順の一例を示したフローチャートである。
最初に、陽極4を配管10の内面と向き合う初期位置に配置し、配管10を所定速度で回転させながら、直流電源5により直流電圧を印加することによって減圧アークを発生させた状態で、電圧計6によって陽極4と配管10との間の電圧を計測したデータをコンピュータ7の記憶部に格納する(S1)。
次に、格納された電圧波形のデータを、コンピュータ7の演算処理部でFFT変換する処理を行い、電圧の周波数スペクトルを算出する(S2)。
次に、周波数スペクトルにおける、配管10の回転速度に対応する周波数成分の有無を判別する(S3)。
判別の結果、配管10の回転速度に対応する周波数成分があると判断された場合には、酸化皮膜の除去が終了していないと判定し、減圧アークを所定時間継続した後、再び電圧計6によって計測したデータを記憶部に格納し(S1)、上記の手順によって処理を行う
一方、判別の結果、配管10の回転速度に対応する周波数成分がないと判断された場合には、酸化皮膜の除去が終了したと判定し、陽極4を管路方向に所定距離だけ移動させる(S4)。その後、S1に戻り上記の手順によって処理を行う。
上記の手順を繰り返しながら、配管10の管路方向全体に渡り陽極4を掃引することによって、酸化皮膜の除去処理が完了する。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変形、変更が可能である。
例えば、上記の実施例では、陽極4を固定し、試料台3の回転機構によって配管10を回転させることにより、酸化皮膜に固着した陰極点を配管10と共に回転させて放電の長さを周期的に伸び縮みさせ、計測電圧波形からこれに対応する周波数成分をFFTにより検出するようにしたが、陰極点が酸化皮膜に固着した放電の長さを周期的に伸び縮みさせるために、陽極を配管の管路と略平行な方向を軸として回転させる手段を設けて、配管を固定し、陽極を配管内で回転させるようにしてもよい。このような構成によっても、配管内面に酸化皮膜が存在して陰極点が酸化皮膜に固着している状態では、陽極の回転速度に対応する周波数で放電の長さが伸び縮みし、計測電圧波形にはこれに対応する周波数成分が現れるので、計測電圧波形をFFT変換することでこれを検出することができる。
また、配管を回転させる手段および、配管内部において陽極を回転させる手段としては、特に限定されるものではなく、当業者が想到する各種の技術が適用される。FFT波形に基づく酸化皮膜除去の判定後に、配管と陽極のうちいずれか一方を配管の管路と略平行な方向へ移動させる手段も同様である。
また、本発明は、放射性核種を含有する酸化皮膜を除去することによって放射性核種を除染する場合の他、配管内面に付着した酸化皮膜を除去する用途に広く適用できる。そのためには、請求項に記載した構成を少なくとも備えていればよく、アーク処理によって蒸発した酸化皮膜のダストを除去する機構等は必要に応じて設置すればよい。
また、真空容器内における雰囲気の圧力は、例えば、配管内面上に、高輝度の数μmオーダーの直径をもつアークプラズマの陰極点が形成されるように調節すればよい。
本発明において、高速フーリエ変換とは、離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform:DFT)を計算機上で高速に計算するアルゴリズムのことであり、従来より知られている各種のアルゴリズムを適用できる。
図1は、本発明の一実施例における酸化皮膜の除去装置の概略構成を示した図である。 図2−Aは、配管内面の酸化皮膜に減圧アークが着火している時のアーク電圧波形である。 図2−Bは、図2−Aの電圧波形の時間軸を拡大した図である。 図2−Cは、図2−Aの電圧波形をFFT変換した波形である。 図3は、配管内面に酸化皮膜がない時のアーク電圧波形をFFT変換した波形である。 図4は、本発明のプログラムによる酸化皮膜除去処理の実行手順の一例を示したフローチャートである。
符号の説明
1 酸化皮膜の除去装置
2 水冷チャンバ
3 試料台
4 陽極
4a 導電体
4b 絶縁体
5 直流電源
6 電圧計
7 コンピュータ
10 配管

Claims (4)

  1. 酸化皮膜が表面に付着した処理対象物を陰極として減圧下で放電することにより当該酸化皮膜を除去する減圧アークによる酸化皮膜の除去装置であって、
    処理対象である、内面に酸化皮膜が付着した配管の内面と向き合う位置に配置される陽極と、
    配管を管路と略平行な方向を軸として回転させる配管回転手段または、配管内部において陽極を管路と略平行な方向を軸として回転させる陽極回転手段と、
    配管と陽極のうちいずれか一方を、配管の管路と略平行な方向へ移動させる手段と、
    陽極と配管との間に直流電圧を印加する電源と、
    陽極と配管との間の電圧を計測する手段と、
    配管内に陽極を位置させ、前記配管回転手段によって配管を回転させるか、あるいは前記陽極回転手段によって陽極を回転させると共に、陽極と配管との間に直流電圧を印加することによりアークを発生させた状態で計測された、陽極と配管との間の電圧波形のデータから、高速フーリエ変換によって電圧の周波数スペクトルを算出する演算手段と、
    前記算出された周波数スペクトルにおける、配管または陽極の回転速度に対応し、酸化皮膜の状態に依存する陰極点の動きが反映されている放電の電圧の周波数成分に基づいて酸化皮膜の除去が終了したか否かを判定する手段と、
    を備えることを特徴とする減圧アークによる酸化皮膜の除去装置。
  2. 前記処理対象物である配管が内部に配置される水冷チャンバと、
    前記水冷チャンバに取り付けられ、水冷チャンバ内から減圧アーク処理によって蒸発した酸化皮膜のダストを吸引除去する吸引口と、
    前記吸引口に、ダスト捕捉フィルタを介して接続されたロータリーポンプと、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の減圧アークによる酸化皮膜の除去装置。
  3. 酸化皮膜が表面に付着した処理対象物を陰極として減圧下で放電することにより当該酸化皮膜を除去する減圧アークによる酸化皮膜の除去方法であって、
    内面に酸化皮膜が付着した配管を処理対象物として、配管内に陽極を位置させると共に、配管の管路と略平行な方向を軸として配管または陽極を回転させ、
    陽極と配管との間に直流電圧を印加することによりアークを発生させた状態で、陽極と配管との間の電圧を計測し、
    前記計測された電圧波形のデータから、高速フーリエ変換によって電圧の周波数スペクトルを算出し、
    前記算出された周波数スペクトルにおける、配管または陽極の回転速度に対応し、酸化皮膜の状態に依存する陰極点の動きが反映されている放電の電圧の周波数成分に基づいて酸化皮膜の除去が終了したか否かを判定し、
    当該判定の結果に基づいて、配管と陽極のうちいずれか一方を、配管の管路と略平行な方向へ移動させた後、上記操作を繰り返すことを特徴とする減圧アークによる酸化皮膜の除去方法。
  4. 内面に酸化皮膜が付着した配管を処理対象物として、配管内に陽極を位置させると共に、配管の管路と略平行な方向を軸として配管または陽極を回転させ、陽極と配管との間に直流電圧を印加することによりアークを発生させた状態で計測された陽極と配管との間の電圧波形のデータを得るステップと、
    前記電圧波形のデータから、高速フーリエ変換によって電圧の周波数スペクトルを算出するステップと、
    前記算出された周波数スペクトルにおける、配管または陽極の回転速度に対応し、酸化皮膜の状態に依存する陰極点の動きが反映されている放電の電圧の周波数成分に基づいて酸化皮膜の除去が終了したか否かを判定するステップと、
    当該判定の結果に基づいて、配管と陽極のうちいずれか一方を、配管の管路と略平行な方向へ移動させるステップと、を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
JP2006082677A 2006-03-24 2006-03-24 減圧アークにより配管内面の酸化皮膜を除去するための装置および方法ならびにそのためのプログラム Expired - Fee Related JP4912710B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006082677A JP4912710B2 (ja) 2006-03-24 2006-03-24 減圧アークにより配管内面の酸化皮膜を除去するための装置および方法ならびにそのためのプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006082677A JP4912710B2 (ja) 2006-03-24 2006-03-24 減圧アークにより配管内面の酸化皮膜を除去するための装置および方法ならびにそのためのプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007253293A JP2007253293A (ja) 2007-10-04
JP4912710B2 true JP4912710B2 (ja) 2012-04-11

Family

ID=38628029

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006082677A Expired - Fee Related JP4912710B2 (ja) 2006-03-24 2006-03-24 減圧アークにより配管内面の酸化皮膜を除去するための装置および方法ならびにそのためのプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4912710B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1745702B2 (en) 2005-07-18 2018-11-07 Koninklijke Douwe Egberts B.V. Enzyme-assisted soluble coffee production

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EA031345B1 (ru) * 2013-09-30 2018-12-28 Минтек Измерение электрических параметров дуговой печи постоянного тока

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03178727A (ja) * 1989-12-01 1991-08-02 Hitachi Seiko Ltd 放電加工装置用加工状態検出装置
JPH0751947A (ja) * 1993-08-20 1995-02-28 Hitachi Ltd 縦型管体の作業装置
JPH07290140A (ja) * 1994-04-25 1995-11-07 Nippon Steel Corp 真空アークによるデスケールの終了判定方法
JPH08262183A (ja) * 1995-03-24 1996-10-11 Hitachi Ltd 原子炉浄化系
JPH08304584A (ja) * 1995-05-11 1996-11-22 Toshiba Corp 原子炉一次系の炉水放射能濃度低減方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1745702B2 (en) 2005-07-18 2018-11-07 Koninklijke Douwe Egberts B.V. Enzyme-assisted soluble coffee production

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007253293A (ja) 2007-10-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101697285B1 (ko) 챔버 내 클리닝 방법
KR101720670B1 (ko) 기판 처리 장치 및 그 클리닝 방법 및 프로그램을 기록한 기록매체
TW200952054A (en) Method and apparatus for detecting plasma unconfinement
JP6496210B2 (ja) 荷電粒子線装置
JP2009135253A (ja) プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法
JP4912710B2 (ja) 減圧アークにより配管内面の酸化皮膜を除去するための装置および方法ならびにそのためのプログラム
JP2018066736A (ja) 荷電粒子顕微鏡内での低温試料処理
US20200312636A1 (en) Substrate processing apparatus and charge neutralization method for mounting table
JP2008226879A (ja) プラズマ処理装置のクリーニング方法、プラズマ処理装置、制御プログラム及びコンピュータ記憶媒体
JP2016115738A (ja) エッチング処理方法及びベベルエッチング装置
US9142392B2 (en) Self-cleaning radio frequency plasma source
WO2009157475A1 (ja) ガスチャージ容器、アトムプローブ装置、及び材料中の水素位置分析方法
JP2015117156A (ja) 基板処理装置及びオゾンガス濃度の異常検出方法
JPH10335399A (ja) 試料処理装置および方法
JP2004241499A (ja) 真空処理装置の異物管理装置及び異物管理方法
JP2007190593A (ja) 基板保持装置及び基板加工装置
JP2021166238A (ja) クリーニング方法及び熱処理装置
JP2004079929A (ja) プラズマリーク監視方法,プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法
JP4767046B2 (ja) 半導体製造装置
JP5294816B2 (ja) 顕微鏡付吸引型局所マイクロプラズマエッチング装置及び局所マイクロプラズマエッチング方法
JP2007184285A (ja) プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法
JP2003135952A (ja) プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法
JP2005228797A (ja) 脱ガス装置及び脱ガス処理方法
JP4824091B2 (ja) マグネトロンスパッタリングによる金属帯の真空エッチングの方法および装置
Srivastava et al. Using a remote plasma source for n-type plasma doping chamber cleans

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110421

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110426

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110624

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120110

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120118

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150127

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees