JP4911522B2 - 液晶化合物およびこれを用いた薄膜トランジスター - Google Patents

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本発明は室温で安定な高次のスメクティック相を示し、スピンコート法などの溶液プロセスによる薄膜作製が可能であり、フッ素導入による良好な安定性を備え、かつ、高いキャリア移動度を示す液晶化合物、これを用いて溶液プロセスによって作製した有機半導体薄膜およびこの薄膜を用いた薄膜トランジスターに関する。
有機半導体は、一般に安価であり薄膜形成が容易であることおよびその柔軟性を利用して高分子基板上に有機半導体薄膜を形成できることから、近年、かかる有機半導体を用いた薄膜トランジスターの研究およびこれを電子パーパーなどへ応用する研究が盛んに行われている。
有機薄膜トランジスターは電子ペーパーなどを実現のためのキーとなるデバイスであり、高速のスイッチング特性を実現し、実用的なデバイスを低コストで作製するためには、高いキャリア移動度に加えて、欠陥密度の低い大面積均一薄膜が容易に作製できなくてはならない。
現在、真空蒸着法によって作製したペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物の多結晶薄膜を半導体層とする薄膜トランジスターが検討されている。
真空蒸着法により薄膜を作成した場合には、得られる薄膜はサブミクロンスケールの結晶粒からなる多結晶薄膜であるが、キャリア移動度などの電子物性は結晶粒の粒界の影響を強く受けるため、高品位の薄膜を得るためには、結晶成長条件の厳密な制御が必要とされる。また、真空プロセスによって大面積にわたって均一な薄膜を作製するのは容易ではなく、産業応用には必ずしも適しているとはいいがたい。また、真空プロセスは一般にコストが高く、量産技術としては問題がある。
したがって、低コストの溶液プロセスで容易に欠陥密度の低い大面積均一薄膜を作製できる有機半導体材料が望まれている。
溶液プロセスによる有機薄膜トランジスター作製の例としては、たとえば、ペンタセンにトリアルキルシリルエチニル基を導入することにより有機溶媒に対する溶解性を付与した例が知られている。しかし、真空蒸着により作製した薄膜トランジスターに比べて移動度、オンオフ比ともに大きく劣り、その特性は十分なものとはいえない(非特許文献1)。
ところで、液晶材料は一般に長鎖のアルキル基を持つため、有機溶媒に対する溶解性が高く、溶液プロセスによる製膜が可能である。それに加えて、液晶相においては、分子運動の自由度に基づく柔軟性や流動性を示すため、多結晶薄膜で問題になる結晶粒界の形成が抑制されるため、高いキャリア移動度を示す高品位の半導体薄膜を容易に作製できる潜在的な可能性を持つ(非特許文献2)。
本発明者等は、先に、非対称構造を持つアルキルアルキルフェニルオリゴチオフェン誘導体が室温を含む広い温度領域で高次のスメクティック相を示し、その相のバルクにおいて分子性結晶に匹敵する高いキャリア移動度を示すことをTime-of-Flight法により明らかにした(非特許文献3)。
さらに、この化合物のクロロベンゼン溶液をスピンコートすることにより均一な薄膜形成が可能であり、塗布型の電界効果型トランジスターを作製できることを報告した(非特許文献4、5)。
この液晶材料を用いた塗布型トランジスターのキャリア移動度は0.042cm2/Vs、on/off比は106に達し、この値は、真空蒸着薄膜トランジスターには劣るものの、溶液プロセスによって作製されたデバイスとしては優れたものであり、また、大気中でp型の動作を示すといった種々のメリットを有する。
しかしながら、分子のイオン化ポテンシャルが低いため、大気中で容易に酸化され、その耐久性が必ずしも十分とはいえなかった。
J. E. Anthony et al., J. Am. Chem. Soc., 127, 4986 (2005). 舟橋正浩、液晶、2006年10月号p.359-368 M. Funahashi andJ. Hanna, Adv. Mater.,17, 594 (2005). M. Funahashi, F. Zhang and N. Tamaoki, Adv. Mater. 19, 353 (2007). F. Zhang, M. Funahashi, and N. Tamaoki, Appl. Phys. Lett., 91, 063515(2007).
本発明は、室温において、スピンコートなどの溶液プロセスによって高品位の液晶性の薄膜を作製することができ、また、高いキャリア移動度、高いon/off比を示すと共にイオン化ポテンシャルが高く、酸化され難く耐久性に優れた薄膜トランジスターを与える、新規な液晶化合物およびこれを用いた薄膜トランジスターを提供することを目的とする。
本発明者は非対称構造を有するフェニルオリゴチオフェン誘導体を合成し,その電荷輸送特性、および、薄膜トランジスターの特性評価を行ったところ、テトラフルオロフェニル基の導入が酸化電位の低減に有効であり、その結果、薄膜トランジスターの安定性・耐久性を向上せしめることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
〈1〉下記一般式(1)で示される液晶化合物
(式中、R1は炭素数1〜12の直鎖アルキル基を、R2は炭素数1〜12のアルキル基又はアルコキシ基を、nは1〜3の整数を示す。)
〈2〉上記〈1〉に記載の液晶化合物からなる半導体層を含む薄膜トランジスター。
〈3〉上記〈1〉に記載の液晶化合物を有機溶媒に溶解し、基板に塗布する工程を含む薄膜トランジスターの作成方法。
本発明に係る前記一般式(1)で示されるスメクティック液晶化合物は、室温を含む広い温度領域で高次の液晶相を示すため、室温において、スピンコートなどの溶液プロセスによって高品位の液晶性の薄膜を作製することが可能である。液晶相は結晶相と異なり分子運動の自由度、柔軟性を有するため、多結晶薄膜に比べて構造欠陥が生成しにくく、より高品位の半導体薄膜を低コストで作成することができる。こうして得られた薄膜を用いて簡単なプロセスにより薄膜トランジスターを作製できる。得られた薄膜トランジスターは薄膜の低い欠陥密度を反映して、高いキャリア移動度、高いon/off比を示す。また、テトラフルオロフェニル基の電子吸引性のため、イオン化ポテンシャルが高く、酸化されにくい分子構造になっており、作製したデバイスの耐久性の向上に有効である。
本発明に係るスメクティック液晶化合物は、下記一般式(1)で表される。
(式中、R1は炭素数1〜12の直鎖アルキル基を、R2は炭素数1〜12のアルキル基、あるいは、アルコキシ基を示、nは1〜3の整数を示す。)
上記一般式(1)において、R1は炭素数1〜12の直鎖アルキル基を示す。具体的には、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられるが、特に、プロピル基が好ましい。
R1が水素では液晶性がなく、またR1が13以上の炭素数の直鎖アルキル基の場合には溶解性が低下し製膜性が悪化するので好ましくない。
また、上記一般式(1)において、R2は炭素数1〜12の直鎖アルキル基、あるいはアルコキシ基を示す。具体的には、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられるが、特に、ヘキシル基が好ましい。
R2が水素では液晶性がなく、R2が13以上の炭素数の直鎖アルキル基の場合には溶解性が低下し製膜性が悪化する。
nは1〜3の整数である。nが4以上では、有機溶媒に対する溶解性が低下し、溶液プロセスによる製膜ができない。
一般式(1)で示される液晶化合物から得られる薄膜トランジスターは薄膜の低い欠陥密度を反映して、高いキャリア移動度、高いon/off比を示す。また、テトラフルオロフェニル基の電子吸引性のため、イオン化ポテンシャルが高く、酸化されにくい分子構造になっており、作製したデバイスの耐久性の向上に有効である。
一般に、有機半導体の酸化に対する安定性を改善するには、電子吸引基を導入して酸化電位を増大させることが有効であるとされているが、電界効果型トランジスターへの応用の場合、酸化電位が大きすぎると、ソース、ドレイン電極からの電荷の注入が円滑に進行しない。この点に関して、本発明者等は鋭意検討した結果、電子吸引性の大きすぎる置換基(たとえば、シアノ基、ニトロ基)は好ましくないことを見出した。また、これらの置換基やフッ素以外のハロゲンは強い分子間相互作用のため、化合物の有機溶媒に対する溶解性を低下させるため、溶液プロセスには適用できないことも見出した。
本発明者等は更に検討を進めたところ、アルキルオリゴチオフェン誘導体の一部にテトラフルオロフェニル基を導入した場合には、これらのオリゴチオフェン誘導体の有する高いキャリア移動度、高いon/off比を保持したまま、酸化電位が増大し、イオン化ポテンシャルが高く、酸化されにくい分子構造となり、作製したデバイスの耐久性が著しく向上することを見出し、本発明を完成したのである。
なお、テトラフルオロフェニル基を有するオリゴチオフェンの合成と液晶性の評価が検討されているが(A. S. Matharu, S. J. Cowling, and G. Wright, Liq. Cryst., 34, 489 (2007))、ここで取り上げられている芳香環の構造はテトラフルオロフェニルビチオフェンのみであり、有機半導体として有用なより大きなπ電子共役系を有する液晶化合物についての適応やその得られる特性に関してはなんら言及されていない。また、合成法も高価で毒性の高いペンタフルオロフェニルスズ誘導体を用いたStilleカップリング反応が使用されている。
上記一般式(1)で示される本発明のスメクティック液晶化合物は、K. Fagnouらによって報告された方法等を適用することにより容易に合成できる。(M.Lafrance, C. N. Rowley, and K. Fagnou, J. Am. Chem. Soc., 128, 8754 (2006).)。たとえば2-アルキル-5”-ブロモターチオフェンと1-アルキル-2,3,5,6-フルオロベンゼンとを好ましくは酢酸パラジウム触媒、および、ジt-ブチルメチルホスホニウムテトラフルオロホウ酸塩存在下、ジメチルアセトアミド中で加熱することにより得られる反応混合物を冷却後、水を加えて沈殿物をろ別し、得られた沈殿をシリカゲル(展開溶媒は加熱したシクロヘキサン)のカラムクロマトグラフィーで精製し、n-ヘキサンより再結晶することにより目的とするテトラフルオロフェニルターチオフェン誘導体が得られる。
この合成反応は、つぎの反応式で示される。なお、原料であるターチオフェン誘導体は公知物質であり、たとえばM. Funahashi et al., Adv. Mater., 17, 594 (2005).に記載された方法で合成でき、また、1−アルキル2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンも、市販のテトラフルオロベンゼンにn-ブチルリチウムによりリチオ化した後、ブロモアルカンを作用させることにより容易に得られる。
本発明に係る前記液晶化合物の相転移温度は、等方相−ネマティック転移温度が138℃、ネマティック−スメクティックA転移温度が130℃、スメクティックA−高次のスメクティック相転移温度が90℃であり、−50℃まで冷却しても結晶化せず、室温付近で安定な液晶性の薄膜を作製できる。さらに、液晶相において、分子性結晶に匹敵する高いホールおよび電子移動度を示す。
すなわち、本発明で提供される液晶化合物は、非対称な分子構造により結晶化が阻害される一方で、平面性の良好なπ電子共役系が密にパッキングするため、室温を含む広い温度範囲で安定に高次のスメクティック相を保持できる。この性質のため、本液晶材料を液晶セル中に注入して試料を作成する、あるいは、溶液中からキャスト法で薄膜を作製しても、室温付近で安定な液晶性半導体薄膜を作製できる。この性質は、実用的な光・電子デバイスを室温付近で駆動する上で必要不可欠である。
また、π電子共役系が大で分子間のπ軌道の重なりの大きいオリゴチオフェン骨格を持ち、それらが密にパッキングするため、分子間の電荷移動が円滑に進行し、電子伝導性が促進され、有機半導体としての電荷輸送性を示す。具体的には、Time-of-Flight法により液晶相でのキャリア移動度を測定すると、正キャリア、負キャリアともに、分子性結晶に匹敵する0.02cm2/Vsを超える高いキャリア移動度を示す。
それに加えて、電子吸引性のテトラフルオロフェニル基を有するため、フッ素置換されていないジアルキルフェニルターチオフェン誘導体に比べて、酸化電位が0.65Vから0.80Vに上昇し、酸化に対してより安定である。そのため、本材料を薄膜トランジスターなどの電子デバイスへ応用した際に安定性の大幅な改善が期待できる。
本液晶材料は種々の有機溶媒に可溶であり、溶液プロセスによる薄膜作製が可能である。特に、クロロベンゼン溶液をスピンコートすると良好な品質の薄膜を作成することができる。
このような薄膜を形成するには、このスメクティック液晶化合物をクロロベンゼンに溶解する。液晶化合物の濃度は、特に制限はないが0.6wt%程度とすることが望ましい。この溶液を基板たとえば、熱酸化膜(SiO2)つきシリコン基板にスピンコートして製膜することにより厚さが20から100nmの薄膜を得ることができる。偏光顕微鏡観察によれば、得られた薄膜は数百μm程度のサイズのドメインからなる薄膜である。このドメインサイズは、通常のペンタセンなどの分子性結晶の蒸着膜(通常、数μm)に比べて大きく、本発明に係るトランジスターのチャンネル長よりも大きい。
本発明に係る薄膜トランジスターの構造は、トップコンタクト、ボトムコンタクト両タイプのデバイスが可能であるが、ボトムコンタクトのデバイスがよい結果を与える。たとえば、本発明では、SiO2/Si基板上に作製した液晶性半導体層の上に長さ5mm、幅0.2mmの金電極を20〜50μmの間隔でシャドーマスクを用いて真空蒸着し、ソース電極、および、ドレイン電極とすればよい。
本発明で得られるトランジスターは、大気中では、p型の動作を示し、通常、その電界効果移動度は0.02〜0.05cm2/Vs、オンオフ比は106〜107を示す。この値は、真空蒸着法により作製した分子性結晶の多結晶薄膜を用いたトランジスターには劣るものの、溶液プロセスによって作製したトランジスターとしては、非常に良好な特性であった。本材料は電子吸引性のテトラフルオロフェニル基のため、酸化電位が大きい。そのため、大気中で動作させても酸化されにくく、薄膜トランジスターの安定性が大幅に向上する。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1
[1−ヘキシル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンの合成]
1,2,4,5−テトラフルオロベンゼン7.51g(0.05mol)をテトラヒドロフランに溶解し−78℃に冷却する。n-ブチルリチウム(1.6M ヘキサン溶液)28ml(0.045mol)を10分かけて滴下し、攪拌しながら一時間かけて室温まで昇温する。室温で一時間攪拌した後、ブロモヘキサン7.48g (0.045mol)を5分かけて滴下する。室温で三時間攪拌した後、希塩酸を加えてエーテルで抽出し、エーテル層を硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を留去した後、組成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーでヘキサンを展開溶媒として精製する。得られた無色の液体を減圧蒸留する。無色の液体6.81g(0.029mol)が得られる。沸点78−81℃(10mmHg)。収率58%。
[2-プロピル−5”−(4−ヘキシルテトラフルオロフェニル)ターチオフェンの合成]
2−ブロモ-5”-ヘキシルターチオフェン0.51g(1.2mmol)、1−ヘキシル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン0.51g(2.15mmol)、酢酸パラジウム18.1mg(0.081mmol)、ジt-ブチルメチルホスホニウムテトラフルオロホウ酸塩46.3mg(0.18mmol)、炭酸カリウム0.55g(4mmol)をジメチルアセトアミド5mlに溶解し、130℃で二時間攪拌した。室温まで冷却した後、水を加え、ろ過した。得られた組成生物を加熱したヘキサンを展開溶媒として、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。この黄色結晶をヘキサンより再結晶したところ、黄色粉末0.45g (0.80mmol)が得られた。収率6%。
実施例2
[2-プロピル−5”−(4−ヘキシルテトラフルオロフェニル)ターチオフェンの酸化電位(3-TTP-Ph4F-6)の評価]
実施例1で得た本化合物(3-TTP-Ph4F-6)のジクロロメタン溶液(0.1mM)に支持電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウム(0.01M)を加え、参照電極としてAg/Ag+電極を用いて三角波を印加して流れる電流を測定した(サイクリックボルタンメトリー)。その結果、図1に示すように、0.80Vに一電子酸化に対応する酸化波が現れた。電子吸引性のテトラフルオロフェニル基の代わりにフェニル基を有する2-プロピル−5”−(4−ヘキシルフェニル)ターチオフェン(3-TTP-Ph-5)の場合は、0.65Vに一電子酸化に対応する酸化波が現れることから、テトラフルオロフェニル基を導入することにより酸化電位が0.15V増大していることがわかった。
実施例3
[液晶性薄膜の作製]
実施例1で得たスメクティック液晶化合物をクロロベンゼンに溶解した(濃度は0.6wt%)。この溶液を、あらかじめ、Hexamethyldisilazaneによって処理された熱酸化膜(SiO2、厚さ300nm)つきシリコン基板上にスピンコートした。回転速度は1500rpm、回転時間は25秒とした。その後、室温で5時間乾燥した。得られた薄膜の偏光顕微鏡写真を図2に示す。薄膜は数百μm程度の大きさのドメインからなっており、本発明で作製するトランジスターのチャンネル幅よりも十分に大きくなっていることがわかる。
実施例4
[薄膜トランジスターの作製と評価]
実施例3で得た薄膜にシャドウマスクを介して金電極を蒸着する。蒸着速度は1 A/s、電極の厚さは60nmとした。得られた薄膜トランジスターの構成を図2に示す。図3に示されるように、この実施例3の薄膜トランジスターはSiO2/Si基板上に作製した液晶性半導体層の上に長さ5mm、幅0.2mmの金電極を20〜50μmの間隔でシャドーマスクを用いて真空蒸着し、ソース電極、および、ドレイン電極としたものである。
トランジスター特性はKethley digital source meterを用いて行った。図4(a)に大気中でトランジスターを駆動した場合のoutput特性を、図4(b)にtransfer特性を示す。ゲート電極に負電圧が印加された場合にソースドレイン電流が流れることから、本トランジスターがp型の特性を示していることがわかる。
式(1)より、キャリア移動度を求めると、0.02cm2/Vsであった。またオンオフ比は106に達した。この結果は、分子性結晶の真空蒸着膜を利用した薄膜トランジスターには劣るものの、溶液プロセスによって作製したトランジスターとしては非常に優れたものである。
また、酸化電位が大きくなっているため、大気中でのデバイスの安定性が向上した。その一方でISD-VSD特性では、界面での抵抗が増大している兆候は見られず、テトラフルオロフェニル基の導入によってソース、ドレイン電極からの電荷注入は阻害されていないことから、このテトラフルオロフェニル基は液晶性半導体の安定化に有効な置換基であることが示唆される。
また、上記p型と同様にして、n型動作をするトランジスターも同様に作製できる。
本発明による薄膜トランジスターは溶液プロセスにより作製できるため、デバイスの低コスト化、大面積化に有効である。本発明による薄膜トランジスターは液晶ディスプレーなどの表示素子の駆動素子として使用可能であるが、特に、このトランジスターは液晶材料を使用しているため、分子性結晶を用いた薄膜トランジスターに比べて柔軟性に富み、電子ペーパーやフレキシブルディスプレーの駆動素子として使用可能である。また、通常のオリゴチオフェン誘導体よりも高いイオン化ポテンシャルを有するため、酸化され難く、耐久性に優れる。
実施例1で合成した液晶化合物のサイクリックボルタモグラムである。 実施例3で作製した液晶性薄膜の偏光顕微鏡写真である。 実施例4で作製したトランジスターの構成と電極パターンである。 実施例4で作製したトランジスターの大気中での(a)output特性、(b)transfer特性である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で示される液晶化合物
    (式中、R1は炭素数1〜12の直鎖アルキル基を、R2は炭素数1〜12のアルキル基又はアルコキシ基を、nは1〜3の整数を示す。)
  2. 請求項1の液晶化合物からなる半導体層を含む薄膜トランジスター。
  3. 請求項1の液晶化合物を有機溶媒に溶解し、基板に塗布する工程を含む薄膜トランジスターの作成方法
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