JP4910972B2 - 自走式装置およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、障害物を回避して自律走行をし、清掃、監視、運搬などの作業を行う自走式装置およびプログラムに関するものである。
従来、この種の自走式装置としては、例えば、超音波測距センサと光測距センサを用いて、障害物に衝突しないように掃除する自走式掃除機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図7に示すように、自走式掃除機は、超音波測距センサ131、光測距センサ132R、132Lを有し、センサI/F130を介してモータ駆動I/F141から駆動信号を出力するものである。
そして、図8に示す障害物判定のためのフローチャートのように、S100にて超音波測距センサ131からの測距データを取得した後、S105にて取得した距離データが接近限界以下となっているかどうかを判断する。接近限界以下となっていると判断された場合は、S110にて走行を停止し、光測距センサ132R、132Lで距離データを取得し、前方障害物ありと判定する。S105にて接近限界と判定されなかった場合は、S120にて左右の光測距センサ132R、132Lからの距離データを取得し、S125にて接近限界以下となっているかを判断する。接近限界以下であれば、S130にて走行を停止し、前方障害物ありと判定する。S125にて接近限界と判定されなかった場合は、前方障害物なしと判定する。このように、超音波測距センサ131で正確に測距できない対象物についても光測距センサ132R、132Lを併用することで正確に測距できる対象を増やし、障害物に衝突しないようにしている。
特開2007−148591号公報
しかしながら、前記従来の構成では、接近限界以下の距離を一定値に決めて停止するか否かの判断をしており、例えば、ある程度の硬さがあり、地面から天井への垂直方向と平行に面する障害物であれば、超音波測距センサで正確な距離が測定できるが、斜めの障害物であれば、自走式掃除機に返ってくる超音波の反射波が弱く、正確な距離が測定できない場合がある。また光測距センサは、一般的に超音波センサと比較して指向性が強いため、2つ程度の備えでは、センサの死角が多くあり、障害物を検知できない。ただ、自走式掃除機の位置が少しでもずれるとセンサ検知できることもある。例えば、接近限界距離付近でセンサの死角に入ってしまうと、再びセンサ検知した時には接近限界距離内に入ってしまい、その時点でブレーキをかけて停止しようとしても間に合わず、障害物に衝突してしまうものである。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、障害物への衝突回避と障害物際までの作業エリア効率をトレードオフした、作業環境にあわせた最適な作業を行うことができる自走式装置およびプログラムを提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の自走式装置およびプログラムは、本体を移動させる走行手段および操舵手段と、障害物を検知する障害物検知手段と、本体が障害物に衝突したことを検知する衝突検知手段と、本体の移動中に前記障害物検知手段が障害物を検知した場合、または前記衝突検知手段により障害物に衝突したことを検知した場合に前記走行手段および操舵手段を制御して本体の移動を制御する制御手段と、前記障害物検知手段で障害物を検知した場合に本体が障害物の手前で停止する接近限界距離を決定する障害物接近限界距離決定手段とを備え、障害物接近限界距離決定手段は前記衝突検知手段による障害物の衝突回数を反映して接近限界距離を決定するようにしたものである。
これによって、障害物を検知した場合に本体が障害物の手前で停止する接近限界距離を衝突検知手段による障害物の衝突回数を反映して決定するため、接近限界距離を大小に変動させて、障害物への衝突回避と障害物際までの作業エリア効率をトレードオフした、作業環境にあわせた最適な作業を行うことができるものである。
本発明の自走式掃除機およびプログラムは、障害物への衝突回避と障害物際までの作業エリア効率をトレードオフした、作業環境にあわせた最適な作業を行うことができる。
第1の発明は、本体を移動させる走行手段および操舵手段と、障害物を検知する障害物検知手段と、本体が障害物に衝突したことを検知する衝突検知手段と、本体の移動中に前記障害物検知手段が障害物を検知した場合、または前記衝突検知手段により障害物に衝突したことを検知した場合に前記走行手段および操舵手段を制御して本体の移動を制御する制御手段と、前記障害物検知手段で障害物を検知した場合に本体が障害物の手前で停止する接近限界距離を決定する障害物接近限界距離決定手段とを備え、障害物接近限界距離決定手段は前記衝突検知手段による障害物の衝突回数を反映して接近限界距離を決定するようにした自走式装置とする。これによって、障害物を検知した場合に本体が障害物の手前で停止する接近限界距離を衝突検知手段による障害物の衝突回数を反映して決定するため、接近限界距離を大小に変動させて、障害物への衝突回避と障害物際までの作業エリア効率をトレードオフした、作業環境にあわせた最適な作業を行うことができるものである。
第2の発明は、特に、第1の発明において、作業終了時に衝突検知手段で衝突を検知した回数と作業時間から単位時間あたりの衝突回数を記憶する記憶手段を備え、この記憶手段に記憶された値より、次回作業時に障害物の手前で停止する接近限界距離を決定するようにしたことにより、前回衝突回数が多ければ、次回停止する接近限界距離を大きくし、衝突回数が少ない場合は、次回停止する接近限界距離を小さくするように学習をして、衝突回数はできるだけ少なくし、かつ障害物際までの作業エリアの作業効率を上げて、ユーザーの作業環境にあわせた最適な作業を行うことができる。
第3の発明は、特に、第2の発明において、記憶手段は、過去N回分の作業に対して平均化して記憶するようにしたことにより、過去N回分の単位時間あたりの衝突回数が多ければ、次回停止する接近限界距離を大きくし、過去N回分の単位時間あたりの衝突回数が少ない場合は、次回停止する接近限界距離を小さくするように学習をして、ユーザーの作業環境にあわせた最適な作業を行うことができる。すなわち、前回作業時と比較して椅子などの障害物の位置が変わって衝突回数が変化した場合でも、過去N回分の作業時を平均化して判断することで、バラツキを抑え、さらに精度よく、衝突回数はできるだけ少なくし、かつ障害物際までの作業エリアの作業効率を上げて、ユーザーの作業環境にあわせた最適な作業を行うことができる。
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、本体の移動した軌跡と周回した時間を記憶する記憶手段と、本体の移動した距離を計測する走行距離計測手段と、記憶された本体の移動した軌跡を基に本体が区域を一周したことを検知する周回検知手段とを備え、作業初めに周回走行した時間が前回記憶された周回時間と所定値以上異なれば前回と異なる区域を作業すると判断して障害物接近限界距離決定手段において、デフォルトの停止する接近限界距離を利用して作業するようにしたものである。これにより、周回時間を停止する接近限界距離に反映するため、より正確にユーザーの作業環境にあわせた最適な作業を行うことができる。
第5の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、本体の移動した軌跡と周回した距離を記憶する記憶手段と、本体の移動した距離を計測する走行距離計測手段と、記憶された本体の移動した軌跡を基に本体が区域を一周したことを検知する周回検知手段とを備え、作業初めに周回走行した距離が前回記憶された周回距離と所定値以上異なれば前回と異なる区域を作業すると判断して障害物接近限界距離決定手段において、デフォルトの停止する接近限界距離を利用して作業するようにしたものである。これにより、周回距離を停止する接近限界距離に反映するため、より正確にユーザーの作業環境にあわせた最適な作業を行うことができる。
第6の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、本体の移動した軌跡および周回した時間と距離を記憶する記憶手段と、本体の移動した距離を計測する走行距離計測手段と、記憶された本体の移動した軌跡を基に本体が区域を一周したことを検知する周回検知手段とを備え、作業初めに周回走行した時間と距離との両者が前回記憶された周回時間、距離と所定値以上異なれば前回と異なる区域を作業すると判断して障害物接近限界距離決定手段において、デフォルトの停止する接近限界距離を利用して作業するようにしたものである。これにより、周回時間と距離を停止する接近限界距離に反映するため、さらに正確にユーザーの作業環境にあわせた最適な作業を行うことができる。
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、障害物接近限界距離決定手段で決定した接近限界距離をユーザーに音または表示で知らせる報知手段を備えたことにより、ユーザーは自走式装置が学習して障害物際までの接近限界距離が変更になったことを知ることできるので、いつもと違って障害物際の埃が残っても、自走式装置が衝突を回避する方を優先しているということがわかるため、動作がおかしいなど勘違いによる不安がない。
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つの発明における自走式装置の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのプログラムとするものである。そして、プログラムであるので電気・情報機器、コンピュータ、サーバーなどのハードリソースを協働させて情報端末装置の少なくとも一部を容易に実現することができる。また記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布やインストール作業が簡単にできる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1〜図4は、本発明の実施の形態1における自走式装置として、自走式掃除機を例示している。
図1において、自走式掃除機の本体1は、駆動走行する駆動輪2と、ノズルとブラシと吸引モータで床面にある埃やゴミを吸い取る作業手段3がある。また、前方の障害物を検知するために超音波センサ送信手段4aが2つあり、障害物から反射した超音波を受信する超音波センサ送信手段4bを3つ備えている。さらに、壁沿いの並行走行を蛇行することなく円滑に走行させるため、赤外線センサ5を本体右側面に2つ備えている。
また、走行中の本体1を支えるために補助駆動輪7が複数あり(図示は1つのみ)、補助駆動輪7の1つの走行状態を検知するため走行センサ6を備えている。
さらに、走行方向の角度を把握するためにジャイロセンサ8がある。このジャイロセンサ8を利用してX(縦方向)、Y(横方向)の座標位置を記憶することができる。
また、本体1の前方部には万が一、障害物に衝突したときに衝突を検知する衝突検知手段9が備えられている。なお、衝突検知手段9は、本体左側と本体中央前方側と本体右側の3方向の衝突が検知できるものであり、この例ではバンパ構造をしており、衝突するとスイッチが押されて検知するようなメカ的な方法を示している。しかし、赤外線などの光受発光を利用して検知するような方法でもよい。
図2において、自走式掃除機は、走行制御および移動位置の算出などの入力した情報やデータを演算処理したり、制御信号、データの生成や送出を行ったりする制御手段21、障害物となる物体を検知する障害物検知手段22(超音波センサ送信手段4a、4bが相当)、自走式掃除機を所望の方向に移動させる走行手段23および操舵手段24(駆動輪2、補助駆動輪7が相当)、走行距離を計測する走行距離計測手段25(走行センサ6が相当)、自走式掃除機の位置や障害物の有無や自走式掃除機が走行する走行軌跡などの情報を記憶する記憶手段26を備えている。加えて、周回検知手段27、同一区域判定手段28、衝突回数カウント手段29、障害物接近限界距離決定手段30、報知手段31および計時手段32も備えている。
以下、各手段21〜32の詳細について説明する。
制御手段21は、例えば、CPU、メモリで構成されている。本体1の動作をコントロールするために、駆動輪2を駆動する走行手段23および操舵手段24への制御信号を生成する。例えば、障害物検知手段22の情報を使って障害物との接触を回避するように駆動させることや、記憶手段26に蓄積している走行軌跡情報や位置情報と現在地点との相対関係から、目的の場所まで移動するための制御信号を生成する。
構成としては、他にも、CPU、メモリを1つにした1チップマイコンや、FPGA、DSPなどの他の演算可能なものであっても構わない。また、HDDやDVDやフラッシュメモリなどの記録装置と一緒に構成することで、メモリ容量を大量に利用するような複雑な処理をすることも可能にすることができる。さらに、無線LANなどの通信装置と一緒に構成することで、本体1と外部機器との通信が可能になり、蓄積しているデータの送信や、新たな制御パターンの受信など、さらに高度な処理を可能にすることができる。
マイクロ・コンピュータを使うことで、走行手段23および操舵手段24のコントロールには、駆動部として利用するモータなどの装置にあわせて、PWMなどによる制御やシリアル通信による移動量の設定などのさまざまな形態の制御をさせることが可能である。
また、位置の算出方法は、駆動部への命令から移動量を算出して求めることが可能であり、例えば、左右2輪の駆動輪2を持つ自走式掃除機の場合は、左右の駆動輪2の速度設定と、設定経過時間から移動した距離と回転角度を算出することができる。さらに、走行手段23および操舵手段24からのエンコーダパルスのように、駆動後の結果を受信することで、移動量の精度を高めることができる。さらに、走行センサ6やジャイロセンサ8と組み合わせることで、移動量の算出精度を高めることができる。なお、他に加速度センサのような他の装置を用いても移動量の算出精度を高めることは可能である。
ここで、本実施の形態の走行軌跡とは、例えば、セルと呼ぶX(縦方向)、Y(横方向)座標上の四角形の位置毎に、障害物の有無の情報や時間の情報やその他のセル位置毎に保存しておきたい情報を蓄えているセルの集合体である。また、位置情報とは、例えば、X、Y(縦横)座標の情報や、セル位置の情報である。なお、ここではマップ情報の例として、X、Y軸として定義しているが、X、Y、Z(縦横高さ)座標による3次元系や、R、Θ(半径、角度)座標による角座標系や、ラプラス空間など他の空間座標系を利用しても構わない。
このように、制御手段21は、走行手段23および操舵手段24を制御する移動制御部21aと、障害物との距離が一定距離以下になると停止して、障害物を回避する障害物回避制御部21bを有する。すなわち、制御手段21は、本体1の移動中に障害物検知手段22が障害物を検知した場合、または衝突検知手段9により障害物に衝突したことを検知した場合に走行手段23および操舵手段24を制御して本体1の移動を制御する。
障害物検知部22は、超音波センサ送信手段4aから発信した超音波の反射を利用して超音波センサ受信手段4bで受信した時間や受信レベルに応じて障害物との距離や大きさを計測することが可能である。また、超音波でカーテンなど柔らかい物に対しては、赤外線センサ5で障害物との距離を検知することが可能である。
しかし、超音波センサは、ある程度の硬さがあり、地面から天井への垂直方向と平行に面する障害物であれば、超音波測距センサで正確な距離が測定できるが、斜めの障害物であれば、自走式掃除機に返ってくる超音波の反射波が弱く、正確な距離が測定できない場合がある。また光測距センサは、一般的に超音波センサと比較して指向性が強いため、自走式掃除機に2つ備えた程度では、センサの死角が多く障害物を検知することができない。複数の種類のセンサを多く備えれば、死角が少なくなっていくが、コスト面で現実的ではないため、あらゆる作業環境で完全にセンサの死角をなくすということは困難であり、完璧に障害物を非接触回避することはできないケースがある。
走行手段23および操舵手段24は、例えば、2つのモータと2つの駆動輪2を左右に水平に配置するように構成することで、制御手段21からの制御信号によって、左右のモータの回転数を変化させることにより、駆動輪2が動作して本体1が移動する。また、駆動輪2に回転を検知するエンコーダを備えることで、左右の駆動輪2のエンコーダ検知によるパルス数を制御手段21に伝えることで、移動量の算出精度を高めることができる。走行手段23および操舵手段24は、モータと駆動輪2の組み合わせ以外にも、複数のサーボモータを組み合わせた関節型のアクチュエータを組み合わせた2本足や4本足などの多足移動可能なものや、利用するモータは、リニアモータなど物理的な動作が可能なものであれば構わない。
走行距離計測手段25は、総走行距離や決められた時間に走行した距離などを計測することが可能である。走行センサ6の検知情報や図示していないが駆動輪2のエンコーダ情報から距離を算出するオドメトリを利用して走行距離を計測する。
記憶手段26は、情報を記憶する機能を有するものであり、例えば、SDカードなどに代表されるフラッシュメモリや、CPUと組み合わせて利用するDDRメモリや、ハードディスクや、光ディスクである。さらに、これらのメモリを複数組み合わせることで、例えば、自走式掃除機から距離が近いマップ情報は、読み出し書き込み速度が速いメモリを使い、自走式掃除機から距離が遠いマップ情報は、大容量のメモリを使うことで、高速性と大容量性を両立させることが可能な構成にすることも可能である。また、無線LANや、Bluetoothなどの無線技術を利用することで、自走式掃除機の外部に設けたメモリを利用することができる。さらに、メモリを複数の自走式掃除機や、他の装置と共有して利用することで、共通のマップ情報や位置情報を利用する構成にすることも可能である。また、位置の記憶を行う場合に、割り当てているメモリをリング状のバッファとして扱うことで、過去の古い位置情報を削除しながら、新しい位置の記憶を継続していくことが可能となる。
また、記憶する位置情報のメモリの残量が無くなった場合に、過去に記憶している位置情報から、最大値と最小値の位置以外の位置情報を削除することで、新しい位置の記憶を継続していくことも可能である。なお、説明は後述するが記憶手段26には、軌跡記憶手段26a、周回時間記憶手段26b、周回距離記憶手段26c、単位時間衝突回数記憶手段26dを備えている。
また、周回検知手段27は、自走式掃除機が最初に壁面に近づいたときのX、Y座標を軌跡記憶手段26aで記憶し、自走式掃除機は、壁面に沿って左回りで進み、再度、記憶したX、Y座標に一致したとき、壁際を1周したと判断する。なお、記憶したX、Y座標に一致したとき1周と判断するが、判断基準としてX、Y座標のマージンを設けても構わない。
なお、周回検知の他の方法としては、自走式掃除機を充電する充電台を用意し、自走式掃除機の充電台を開始地点として作業を開始し、1周して再び充電台の上を通過する時に、充電台から赤外線センサを発光し、自走式掃除機で受光するような構造にしておけば、自走式掃除機は充電台の位置が確認できて1周したと判断できる。あるいは、充電台または壁などの開始地点に非接触ICタグ(RFIDタグ)や磁気テープなどを貼っておくと、自走式掃除機側で非接触ICタグ(RFIDタグ)や磁気センサなどの検知手段を備えることで開始地点がわかるため周回検知ができる。
また、周回検知手段27で周回を検知すると、周回した時間を周回時間記憶手段26b、周回した距離を周回距離記憶手段26cで記憶する。
同一区域判定手段28は、周回検知手段27で周回を検知した際、周回時間記憶手段26bで記憶した時間と、周回距離記憶手段26cで記憶した距離の両方が、前回、周回した時間と距離と所定値以上異なっていなければ、同一の区域(部屋)と判定する。
また、衝突検知手段9で衝突を検知した回数をカウントする衝突回数カウント手段29は、作業終了時に計時手段32より、単位時間あたりの衝突回数に換算して単位時間衝突回数記憶手段26dとして記憶する。本実施の形態では、単位時間は1分とした。
また、障害物接近限界距離決定手段30は、単位時間衝突回数記憶手段26dの記憶値より、前記障害物検知手段22で障害物を検知した場合に本体1が障害物の手前で停止する接近限界距離を決定する。
さらに、障害物接近限界距離決定手段30で接近限界距離が変更された場合は、報知手段31のスピーカ31aで音声ガイダンスを行い、液晶表示31bで接近限界距離を表示し、ユーザーに報知する。
また、計時手段32は、タイマカウンタであり、作業開始時からの作業時間を計測するなどの動作をする。
以上のように構成された自走式掃除機について、図3、図4を用いて、障害物検知時の接近限界距離を決定する動作、作用を説明する。
図3において、自走式掃除機をスタートさせると、記憶手段26で記憶した情報を読み出す(S11)。読み出した単位時間あたりの衝突回数に対して、障害物接近限界距離決定手段30により、図4に示すテーブルから接近限界距離を決定し、設定する(S12)。図4に示すように、単位時間あたりの衝突回数が多かった場合は、接近限界距離を長くすることにより、衝突回数を減らすことを目的とし、衝突回数が少なかった場合は、より一層、障害物の際まで近づくことにより、作業領域を広げることを目的としている。また、S12で接近限界距離を設定すると液晶表示31bに接近限界距離を表示し、音声ガイダンスでスピーカ31aより「接近限界距離が設定されました」などと報知する。
作業開始後、まずは、自走式掃除機は壁を探す。壁と認識する方法は、超音波センサ受信手段4bで障害物を検知し、障害物までDcmの距離に近づいた後、自走式掃除機は左方向に回転し、2つの赤外線センサ5の検知距離が等しくなると障害物は壁だということを認識する。もし、壁でなくて椅子の脚などの障害物であった場合は、自走式掃除機が回転をしても2つの赤外線センサ5の検知距離が等しくならないので区別が可能である。なお、壁を認識するためにDcmの距離に近づくとしたが、Dcmは、(S12)で設定した接近限界距離であってもよいし、最初の1回だけなので、固定値であっても構わず、限定されたわけではない。
壁を検知すると(S13)、X、Y座標を原点としてX=0、Y=0とする(S14)。引き続き、自走式掃除機は、赤外線センサ5で壁との距離を一定に保持するように制御して、壁際を左周りに作業走行する(S15)。なお、最初に壁を検知して進んだ方向をX=0でY軸のプラス方向とする。
自走式掃除機は、ジャイロセンサ8で進行方向の角度を把握し、走行中のX、Y座標の軌跡を記憶していく。走行を続け、X=0、Y=0になれば、原点に戻ったので1周したと判断する(S16)。
1周を検知すると、1周に要した時間を周回時間記憶手段26bに記憶し(S17)、1周に要した走行距離を周回距離記憶手段26cに記憶する(S18)。
次に、前回作業した区域と同じ区域か否かを同一区域判定手段28により判定する(S19)。判定方法は、(S11)で読み出した前回の周回時間と周回距離とを今回の周回時間と周回距離とを比較する。周回時間および周回距離が共に前回より所定値の20%以上異なっていれば、異なる区域と判定する。例えば、前回周回時間=10分、前回周回距離=2000cmであって、今回周回時間=11分、今回周回距離=2100cmであった場合は、周回時間および周回距離が両方とも前回比20%以内の範囲であるので、前回作業時と同じ区域を作業すると判定する。なお、本実施の形態では、判定条件として、「周回時間および周回距離が共に前回より20%以上違うと同一区域でない」としたが、20%固定でなくても、周回時間や周回距離によって変動するようにしても構わない。
同一区域でない場合は、デフォルトの接近限界距離=5cmを設定する(S20)。また、(S20)で接近限界距離がデフォルト値に設定されると、液晶表示31bにデフォルトの接近限界距離を表示し、音声ガイダンスでスピーカ31aより「接近限界距離が設定されました」などと報知して、ユーザーに知らせる。なお、本実施の形態では、デフォルトの接近限界距離を5cmにしたが、限定されたものではない。
壁沿いを一周周回した後は、ランダムな方向に障害物が接近限界距離になるまで直線動作を繰り返したり、縦方向への走行と横方向への走行を繰り返すクロスパターン走行をするなど、さまざまな走行パターンのモードをユーザーに選択させたり、あるいは本体1で自動的にモードを決定するなど、周回後の走行パターンは限定されたものではない。
作業を終了すると(S21)、衝突回数カウント手段29でカウントした衝突回数と計時手段32より、1分あたりの衝突回数を算出して(S22)、単位時間衝突回数記憶手段26dにより記憶する(S23)。
なお、作業の終了判断は、あらかじめ決めた作業時間経過した場合や、本体1が自動的に認識して決められた領域の作業を完了した場合、ユーザーが停止指示をした場合などが考えられる。
以上のように、本実施の形態においては、作業時の衝突回数に応じて、次回作業時に、障害物までの障害物を検知したら停止する接近限界距離を変動させるため、前回衝突回数が多ければ、次回停止する接近限界距離を大きくし、衝突が少ない場合は、次回停止する接近限界距離を小さくするように学習をして、衝突回数はできるだけ少なくし、かつ障害物際までの作業エリアの作業効率を上げて、障害物への衝突回避と、障害物際までの作業エリア効率をトレードオフした設定をすることにより、ユーザーの作業環境にあわせた最適な作業を行うことができる。
なお、障害物接近限界距離決定手段30による接近限界距離の設定方法は、図4のテーブルを利用して一意に決定したが、作業終了時に、単位時間あたりの衝突回数を前回と比較し、多ければ、次回プラス0.5cm接近限界距離を長くしたり、短ければ次回マイナス0.5cm短くしたりするなどの方法で、設定変更するようにしても構わない。
また、同一区域判定手段28では、前回の周回時間と周回距離とを今回の周回時間と周回距離とで比較したが、周回時間のみ、あるいは周回距離のみで比較判定しても構わないが、両方で判定する方が同一区域の判定精度が上がる。
また、本実施の形態では自走式掃除機を例示したが、これに限られるものではなく、清掃以外に監視、運搬などの作業を行う装置にも適用できる。
(実施の形態2)
図5、図6は、本発明の実施の形態2における自走式装置の接近限界距離を決定する動作を示す。なお、実施の形態1と同様の手段、動作については、同一符号を付して説明を省略する。
本実施の形態において実施の形態1と異なる点は、図5のフローチャートであり、単位時間衝突回数記憶手段26bにおいて、過去N回分の作業に対する衝突回数を記憶するようにしたところである。
図5の(S11)〜(S22)までは実施の形態1と同様の動作で、(S31)において、過去N回分の単位時間あたりの衝突回数平均値を算出する。例えば、N=3とすると、図6に示すような、5回同じ区域を作業した時の1分あたりの衝突回数であった場合は、1分あたりの衝突回数平均値は、図6の右列に示すような値となる。
具体的に図6の平均値算出方法を説明すると、1回目というのは、初めて作業した場合であるので、1分あたりの衝突回数が、そのまま平均値a1=b1となる。2回目は2回分の平均値(b1+a2)/2となる。3回目は3回分の平均値で(b2×2+a3×1)/3ある。なお、平均値算出結果は、小数点2桁目は四捨五入している。4回目は(b3×2+a4×1)/3となり、4回目以降は、前回記憶していた平均値を2回分と重み付けをして平均値を算出していく。このように算出した平均値を単位時間衝突回数記憶手段26dにより記憶する(S23)。
図6の例では、6回目の作業時は、(S11)で単位時間衝突回数記憶手段26dからb5=1.8を読み出すことになり、(S12)で図4のテーブルより接近限界距離は2.5cmが設定されることになる。
なお、本実施の形態では、N=3としたが、Nを大きくしすぎると、1回あたりの平均値の変化が小さくなってしまうため、あまり大きくない方が望ましいが、限定されたものではない。
以上のように、過去N回分の単位時間あたりの衝突回数平均値を利用して、障害物の手前で停止する接近限界距離を決定するため、前回作業時と比較して椅子などの障害物の位置が変わって衝突回数が大きく変化した場合でも、過去N回分の作業時を平均化して判断することで、バラツキを抑え、さらに精度よく、衝突回数はできるだけ少なくし、かつ障害物際までの作業エリアの作業効率を上げて、ユーザーの作業環境にあわせた最適な作業を行うことができる。
なお、障害物接近限界距離決定手段30による接近限界距離の設定方法は、図4のテーブルを利用して一意に決定したが、実施の形態1と同様に、作業終了時に、単位時間あたりの衝突回数を記憶された過去N回分の単位時間あたりの衝突回数平均値と比較し、衝突回数が多ければ、次回プラス0.5cm接近限界距離を長くしたり、衝突回数が少なければ、次回マイナス0.5cm短くしたりするなどの方法で、設定変更するようにしても構わない。
また、接近限界距離が設定されたときやデフォルト値に設定されたとき、液晶表示や音声ガイダンスでユーザーに報知したが、LEDやブザーなどで簡単に知らせるようにするなどや、ユーザーからのアクションで(例えば、確認ボタンを押した時に表示あるいは音で確認できる)報知するなどしても構わない。
また、図3および図5の(S11)で単位時間衝突回数記憶手段26dを読み出して、(S12)で接近限界距離を設定したが、あらかじめ作業終了時に、次回の接近限界距離を決定し記憶させるようにしておいて、作業開始時に反映させるようにしても構わない。
また、作業開始後の最初の周回時は、固定の接近限界距離設定にしておいて、周回検知後に、前回の衝突回数に関する値を利用して接近限界距離を切り替えるようにしても構わない。
なお、実施の形態1、2はいずれも自走式装置の手段の全てもしくは一部として、コンピュータを機能させるためのプログラムとしても同様の構成でできるものである。なお、各実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバーなどのハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信したりすることで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
以上のように、本発明にかかる自走式装置およびプログラムは、障害物への衝突回避と障害物際までの作業エリア効率をトレードオフした、作業環境にあわせた最適な作業を行うことができるので、掃除ロボット、監視ロボット、搬送ロボットや芝刈り機など障害物を回避走行する装置に適用できる。
本発明の実施の形態1における自走式装置を上から見た模式図 同自走式装置のブロック図 同自走式装置の接近限界距離を決定する動作のフローチャート 同自走式装置の接近限界距離を決定する一例のテーブルを示す図 本発明の実施の形態2における自走式装置の接近限界距離を決定する動作のフローチャート 同自走式装置における5回同一区域を作業した場合の1分あたりの衝突回数平均値を得る算出例を示す図 従来の自走式掃除機のブロック図 同自走式掃除機の前方障害物判定のためのフローチャート
符号の説明
1 本体
3 作業手段
4a 超音波センサ送信手段
4b 超音波センサ受信手段
5 赤外線センサ
9 衝突検知手段
21 制御手段
21a 移動制御部
21b 障害物回避制御部
22 障害物検知手段
23 走行手段
24 操舵手段
25 走行距離計測手段
26 記憶手段
26a 軌跡記憶手段
26b 周回時間記憶手段
26c 周回距離記憶手段
26d 単位時間衝突回数記憶手段
27 周回検知手段
30 障害物接近限界距離決定手段
31 報知手段
32 計時手段

Claims (8)

  1. 本体を移動させる走行手段および操舵手段と、障害物を検知する障害物検知手段と、本体が障害物に衝突したことを検知する衝突検知手段と、本体の移動中に前記障害物検知手段が障害物を検知した場合、または前記衝突検知手段により障害物に衝突したことを検知した場合に前記走行手段および操舵手段を制御して本体の移動を制御する制御手段と、前記障害物検知手段で障害物を検知した場合に本体が障害物の手前で停止する接近限界距離を決定する障害物接近限界距離決定手段とを備え、障害物接近限界距離決定手段は前記衝突検知手段による障害物の衝突回数を反映して接近限界距離を決定するようにした自走式装置。
  2. 作業終了時に衝突検知手段で衝突を検知した回数と作業時間から単位時間あたりの衝突回数を記憶する記憶手段を備え、この記憶手段に記憶された値より、次回作業時に障害物の手前で停止する接近限界距離を決定するようにした請求項1に記載の自走式装置。
  3. 記憶手段は、過去N回分の作業に対して平均化して記憶するようにした請求項2に記載の自走式装置。
  4. 本体の移動した軌跡と周回した時間を記憶する記憶手段と、本体の移動した距離を計測する走行距離計測手段と、記憶された本体の移動した軌跡を基に本体が区域を一周したことを検知する周回検知手段とを備え、作業初めに周回走行した時間が前回記憶された周回時間と所定値以上異なれば前回と異なる区域を作業すると判断して障害物接近限界距離決定手段において、デフォルトの停止する接近限界距離を利用して作業するようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の自走式装置。
  5. 本体の移動した軌跡と周回した距離を記憶する記憶手段と、本体の移動した距離を計測する走行距離計測手段と、記憶された本体の移動した軌跡を基に本体が区域を一周したことを検知する周回検知手段とを備え、作業初めに周回走行した距離が前回記憶された周回距離と所定値以上異なれば前回と異なる区域を作業すると判断して障害物接近限界距離決定手段において、デフォルトの停止する接近限界距離を利用して作業するようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の自走式装置。
  6. 本体の移動した軌跡および周回した時間と距離を記憶する記憶手段と、本体の移動した距離を計測する走行距離計測手段と、記憶された本体の移動した軌跡を基に本体が区域を一周したことを検知する周回検知手段とを備え、作業初めに周回走行した時間と距離との両者が前回記憶された周回時間、距離と所定値以上異なれば前回と異なる区域を作業すると判断して障害物接近限界距離決定手段において、デフォルトの停止する接近限界距離を利用して作業するようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の自走式装置。
  7. 障害物接近限界距離決定手段で決定した接近限界距離をユーザーに音または表示で知らせる報知手段を備えた請求項1〜6のいずれか1項に記載の自走式装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の自走式装置の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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