JP4910351B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録装置に関するものである。
一般に、様々な記録媒体に対して印刷を行うことのできる手段として、インクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、例えばピエゾ素子やヒータ等を用いて、記録ヘッドのノズルからインクを微小な液滴として紙等の記録媒体に向けて吐出し、記録媒体にインクを浸透若しくは定着させながら記録ヘッドを記録媒体上で移動させることにより記録媒体上に画像記録を行うものであり、製版工程を必要としないため需要に応じた印刷が可能であるという長所がある。特に、近年は、紫外線等の光によって硬化する光硬化型インクを用いたインクジェット記録装置が知られており、これによれば、記録媒体上に着弾したインクに光を照射することでインクを硬化させ記録媒体上に定着させることができるため、透明又は半透明の樹脂フィルム等、インク吸収性のない記録媒体に対しても簡易に印刷を行うことが可能である。
このようなインクジェット記録装置は、一般にインクを貯留するインクタンクから記録ヘッドに随時インクを供給しながら画像記録を行うが、インクタンク内に貯留されるインクの量は画像記録動作を繰り返すのに伴って減少していく。このため、画像記録動作を連続して円滑に行うためには、インクタンク内のインク残量を的確に把握してインクの残量がないときは適宜インクの補充を行うことが必要となる。
そこで、従来は、インクタンクに重量センサを設けてインクタンクの重量の変化を捉えることによりインクの残量を検知する手段や、画像記録の際に吐出するインク量を検出し、その検出したインク量をインクタンク内のインク総量から減算することによりインクタンク内のインク残量を算出する手段が行われていた(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開平9−248917号公報 特開2004−66616号公報
しかしながら、インクタンクにはインクの外箱ケース、ジョイント用部材等、様々な部品が存在する。このため、インクタンクに重量センサを設ける手段ではインクタンク内のインク重量を検知しようとする場合に、インクタンク内のインクの他、これらの部品の重量による重量ばらつきを検知して精度の高い測定を行うことができないという問題を有している。
また、光硬化型インクのように高粘度のインクを使用する場合には、インク供給管内の摩擦抵抗により圧力損失が生じる。このため、特許文献1や特許文献2のように画像記録の際に吐出されたインク量を検出することによりインク残量を算出する手段では、圧力損失によるインクの吐出不良が発生したときも吐出回数としてカウントするため、インクの残量を正確に検出することができないという問題を有している。さらに、一定間隔でヘッドクリーニングを実施してインクヘッドのインクを強制吸引又はワイプするが、このヘッドクリーニングによるインク消費量を算出するのは困難であるという問題を有している。
そこで、本発明は以上のような課題を解決すべくなされたものであり、インクタンク内のインクの残量を適切に検出してインクタンクの交換時期を正確に把握することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とするものである。
このような問題を解決するため、請求項1に記載されている発明は、
インクを貯留するインクタンクと、前記インクを吐出する記録ヘッドと、前記インクタンクから前記記録ヘッドにインクを供給するインク供給管とを備えたインクジェット記録装置において、
前記インク供給管の途中に設けられ、前記インク供給管を介してインクが流入するインク室を備えて前記インクを一時的に貯留するサブインクタンクと、
前記サブインクタンクのインク残量を検出する残量検出手段と、
前記サブインクタンクに前記インクタンクのインクを送液する送液ポンプと、
前記送液ポンプの送液量を検出する送液ポンプ動作状態検出部と、前記送液ポンプ動作状態検出部により検出された前記送液ポンプの送液量から前記インクタンクのインク残量を検出するインク残量検出部とを備えた制御部とを設け、
前記サブインクタンクのインク室の一側面に開口部を形成し、この開口部を可撓性を有する膜によって密閉するとともに、前記インク室の内部であって前記開口部に対向する壁面に、その一端を前記膜に接するように弾性部材を設けて、前記弾性部材が前記膜の膜面の位置を保持しようとする力によって前記膜が一定の負圧発生状態を維持することのできる初期位置に支持されるように構成するとともに、
前記残量検出手段は、前記サブインクタンクの開口部を密閉する前記可撓性を有する膜の外面に接触して膜面の位置を検知する膜面検知センサの検知結果に基づいてインク残量を検出する構成であって、画像記録時において前記前記可撓性を有する膜の膜面が所定位置よりも前記サブインクタンクの内側に撓んでいると前記膜面検知センサにより検知された場合に、前記サブインクタンク内のインク量が一定量以下であることを検出するようになっており、
前記送液ポンプは、前記残量検出手段により前記サブインクタンク内のインク量が一定量以下であると検出されたときに前記インクタンクのインクを前記サブインクタンクに送液することを特徴とするインクジェット記録装置である。
請求項2に記載されている発明は、請求項1に記載のインクジェット記録装置において、
前記送液ポンプは、送液する駆動源としてモータを備え、
前記送液ポンプ動作状態検出部は、前記モータの累積駆動時間、累積回転量、累積回転時間のいずれか一つを検出することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置において、
前記インクは、紫外線を照射することにより硬化する紫外線硬化型インクであり、
前記記録ヘッドから記録媒体に着弾したインクに紫外線を照射する紫外線照射装置を備えたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のインクジェット記録装置において、前記インクは、カチオン系紫外線硬化型インクであることを特徴とする。
本発明によれば、制御部によって送液ポンプがサブインクに送液したインク量を検出し、インクタンクに貯蔵されていたインク量からサブインクタンクに送液したインク量を減算することにより、インクタンクに残るインク量を検出することができる。これにより、適切な時期にインクタンクを交換することができる効果を奏する。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係るインクジェット記録装置の第一実施形態について説明する。
まず、図1に示すように、本実施形態において、インクジェット記録装置1はシリアルプリント方式によるインクジェット記録装置1であり、このインクジェット記録装置1には、平板状に形成され記録媒体Pを非記録面から支持するプラテン2が設けられている。プラテン2の上流側及び下流側にはそれぞれ記録媒体Pをプラテン2とほぼ同じ高さに維持しつつ搬送する搬送ローラ3,4が回転自在に設けられており、記録媒体Pは、記録媒体搬送機構30(図4参照)により搬送ローラ3,4が回転することによってプラテン2の上面に沿って所定の搬送方向Xに搬送されるようになっている。
プラテン2の上方には、記録媒体Pの搬送方向Xに直交する主走査方向に延在する棒状のガイドレール5が設けられている。このガイドレール5にはキャリッジ6が支持されており、このキャリッジ6は、キャリッジ駆動機構29(図4参照)によりガイドレール5に沿って主走査方向に往復移動するようになっている。
キャリッジ6には、本実施形態におけるインクジェット記録装置1で使用される各色(例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)。)に対応した記録ヘッド7が搭載されている。記録ヘッド7の記録媒体Pに対向する面にはインクを吐出するノズル(図示せず)が複数設けられている。各記録ヘッド7のノズルには、例えば、電圧を印加することによって変形する圧電素子としてのピエゾ素子(図示せず)が付設されており、ピエゾ素子に駆動電圧を印加することによってピエゾ素子を変形させ、これによりインク流路を圧縮してノズルからインクを吐出させるようになっている。また、インク流路にはヒータ(図示せず)が配設されており、インクが吐出される前にインクを加熱するようになっている。なお、高精細な画像記録を可能とするためには、インクは1ドットが2〜20plの微小な液滴として吐出されることが望ましい。また、インクジェット記録装置1で使用されるインクは例示したものに限定されず、例えば、ライトイエロー(LY)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)等の色を使用することもできる。この場合には、各色に対応した記録ヘッド7がキャリッジ6に搭載される。
本実施形態に用いられるインクは、光としての紫外線が照射されることにより硬化する性質を具備する光硬化型インクであり、主成分として、少なくとも重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)と、光開始剤と、色材とを含むものである。上記光硬化型インクは、重合性化合物としてラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるが、この両系のインクが本実施形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能である。また、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施形態に用いられるインクとして適用してもよい。しかしながら、酸素による重合反応の阻害作用が少ない又は無いカチオン重合系インクの方が機能性、汎用性に優れるため、特に、カチオン重合系インクを用いることが好ましい。カチオン重合系インクは、少なくともオキセタン化合物,エポキシ化合物,ビニルエーテル化合物等のカチオン重合性化合物と、光カチオン開始剤と、色材とを含む混合物である。
なお、本実施形態に用いられるインクは、30℃における粘度が10〜500mPa・sの高粘度のインクである。インクの粘度はインクを加熱することによって低下するため、高粘度のインクを円滑に吐出させるとともに微小な液滴として吐出させる場合でも記録媒体上に正確に着弾させ高精細な画像記録を可能とするためには、インクを吐出する前にヒータによってインクの温度を30℃〜150℃に加熱しておくことが望ましい。
また、本実施形態に用いる光硬化型インクは、安定した吐出性能及び硬化性能を発揮し、高画質な画像を形成する観点から、インクタンク11から記録ヘッド7に至るまで、外気に触れない密閉状態で供給されることが好ましい。
また、キャリッジ6の内部であって、キャリッジ6の側壁と記録ヘッド7との間には、記録ヘッド7の記録媒体搬送方向Xに対する長さとほぼ等しい長さ寸法の紫外線照射装置8が記録ヘッド7の長手方向に延在して配設されている。紫外線照射装置8には、図示しない紫外線光源が設けられている。なお、紫外線光源としては、例えば高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、半導体レーザー、冷陰極管、エキシマーランプ、又はLED(Light Emitting Diode)等を適用することが可能である。なお、紫外線照射装置8を設ける位置はこれに限定されず、例えば、各記録ヘッド7の間にそれぞれ紫外線照射装置8を設けるようにしてもよい。
また、インク供給管9aの途中であって記録ヘッド7と後述する送液ポンプ23との間には、図2に示すように、サブインクタンクとして内部にインクを貯留するインク室13を供えるダンパー12が、記録ヘッド7に近接して設けられている。このように、ダンパー12を記録ヘッド7に近接して配置することにより、インクを吐出する際にはダンパー12内に貯留されているインクを記録ヘッド7に供給すれば足りるため、インク供給管9a,9bの中をインクが流動する際に生ずる圧力損失のインク吐出への影響を最小限度に抑えることができる。これにより、画像記録に高粘度のインクを用いる場合でも圧力損失によるインクの吐出不良の発生を防止することができる。
また、インクが密閉状態で供給されている場合は、送液ポンプ23の送液と記録ヘッド7の吐出の流量差を吸収できるのに加え、送液ポンプ23の送液時の脈動が記録ヘッド7に伝達するのを抑制するととともに、インク供給管9a内を負圧状態に保つことにより、記録ヘッド7からインクが滲み出すのを防止することができる。
図1及び図2におけるダンパー12の上部一端にはインク室13にインクを流入させるインク流入口14が設けられており、ダンパー12の下部一端にはインク室13からインクを流出させるインク流出口15が設けられている。インク流入口14及びインク流出口15には、それぞれインク供給管9aが接続されており、サブインクタンクから送られたインクはインク供給管9aを介してインク流入口14からインク室13内に流入し、インク室13に流入したインクは、インク供給管9aを介してインク流出口15から記録ヘッド7に送られるようになっている。
インク室13の一側面には開口部16が形成されており、開口部16にはダンパー膜17が張設されている。ダンパー膜17は、可撓性とインクに対する耐腐食性とを有するポリエチレンフィルム等からなり、例えば、開口部16に熱溶着されることにより、開口部を密閉するようになっている。
インク室13の内部であって開口部16に対向する壁面には、弾性部材としてのコイルバネ18が、一端をダンパー膜17に接するように設けられている。コイルバネ18は、ダンパー12のインク室13にインクが流入した際に所定の初期位置17aにダンパー膜17を支持するようになっている。
ここで、初期位置とは、ダンパー12に流入したインクが自重により記録ヘッド7に向けて流出しようとする力とコイルバネ18がダンパー膜17の膜面の位置を保持しようとする力とが釣り合って一定の負圧発生状態を維持することのできる位置をいう。インク室13内が負圧状態に保たれることにより、画像記録時以外に記録ヘッド7のノズルからインクが漏出することを防止することができる。なお、本実施形態においては、ダンパー膜17を支持する弾性部材としてコイルバネ18を用いるものとしたが、これに限定されず、弾性部材はダンパー膜17を支持し得る伸縮性のある部材、例えば板バネ等の各種バネや伸縮性のある樹脂等の部材を用いてもよい。
ダンパー12の外側であってダンパー膜17の設けられている近傍には、ダンパー膜17の膜面の位置を検知する膜面検知センサ19が設けられており、ダンパー12のインク室13内に貯留されているインクの残量を検知する残量検出手段として用いられる。膜面検知センサ19には、ダンパー膜17が最も外側に撓んだときの位置17bと最も内側に撓んだときの位置17cとの差に値する長さよりも長い長さ寸法に形成されたロッド20が、先端部をダンパー膜17に接するように設けられている。ロッド20は、例えば、シリンダ等のアクチュエータによりダンパー膜17に対して進退自在となっており、ダンパー膜17の撓みに伴って突出又は後退し、常にロッド20の先端部がダンパー膜17に接触するようになっている。また、膜面検知センサ19は、例えば、赤外線などの光を発する発光素子を内蔵する発光器21と発光器21から発せられた光を感知する受光素子を内蔵する受光器22とを備えており、発光器21と受光器22とは、前記ロッド20を挟んで発光器21の発光面(図示せず)と受光器22の受光面(図示せず)とが互いに対向するようにそれぞれ配置されている。
図1に戻って、ダンパー12にインクが流入するとダンパー膜17が外側に押圧され、ダンパー膜17に接しているロッド20も押圧されるので、発光器21から照射された光がロッド20によって遮られて受光器22によって受光されない。他方、ダンパー12内のインクが減少すると、ダンパー膜17がダンパー12の内側に撓み、これに伴ってロッド20が突出するので、そのロッド20の後端部が発光器21と受光器22の設けられている位置より前に突出した状態のときには、受光器22は発光器21から照射された光を受光する。これによって、ロッド20の先端部が接触しているダンパー膜17の膜面の位置が所定の位置よりも内側に撓んでいるか否かを把握することができるようになっている。
インク供給管9aの途中であってダンパー12とインクタンク11との間には、ダンパー12にインクを送液する送液ポンプ23が設けられており、ダンパー12内のインク量が一定量以下になったと判断される場合には、インクタンク11内に貯留されているインクを強制的に送液するようになっている。
送液ポンプ23としては、送液ポンプの一回の動作(以下、ストロークと称す)で送液されるインク量が一定である定量ポンプを適用することが好ましい。これは、送液ポンプ23と記録ヘッド7との間にダンパー12があり、送液ポンプ23から送液されたインクが一旦ダンパー12に貯蔵されるため、送液ポンプ23としては、単位時間に送液するインク量が一定であるより、送液ポンプの1ストロークで送液されるインク量が常に一定であるものが好ましいからである。
このような定量ポンプとして、プランジャ式ポンプを用いることが好ましい。
以下、本実施形態で用いるプランジャ式の送液ポンプについて説明する。
図3に示すように、送液ポンプ23は、先端部が閉塞された円筒形状のシリンダ231を備えており、このシリンダ231の先端部寄りの周面であって直径方向の対応する位置には、シリンダ231の中心軸に対して直交する方向に延在しシリンダ231の内部に連通する吸入管232および吐出管233がそれぞれ一体に設けられている。吸入管232には、開閉弁24に接続されたインク管9が接続されるようになっており、吐出管233には、ダンパー12に接続されたインク管9aが接続されるようになっている。
シリンダ231の内部には、円筒形状のプランジャ234が、図示しないモータ等の駆動装置によりシリンダ231の軸方向に沿って進退自在にかつ中心軸を軸として回転自在に収容されており、このプランジャ234の先端部には、横断面形状半円形状に切欠いてなる切欠き部235が形成されている。この切欠き部235は、プランジャ234がシリンダ231の最も基端側に位置した基準位置において吸入管232又は吐出管233を閉塞しないように形成されている。
プランジャ式ポンプは、微小量のインクを高精度に計量し、高圧下で送液をすることが可能であり、また、ポンプを構成する材料の選択の自由度が高いという特徴を有している。よって、30℃の粘度が10〜500mPa・sのインクの送液には、プランジャ式ポンプを用いることが好ましい。プランジャ式ポンプのインクと接触する部材にステンレス、セラミック、フッ素系樹脂等の反応性のインクを送液しても劣化しにくい材料を用いることは、1ストローク当たりの送液量を長期に渡り安定させることができるので、好ましい。
本実施形態では、定量ポンプとしてプランジャ式ポンプを適用したが、これに限定されず、定量ポンプとして、例えば、ダイヤフラム式ポンプ、ギヤ式ポンプ、スネークポンプ、ロータリーポンプ等を適用してもよい。
定量ポンプの1ストローク当たりの送液量は、少ないほうが好ましい。1ストローク当たりの送液量が少ないと、その誤差により生ずる送液量も少ないため、算出したインクの送液量と実際に送液量との差が小さくなり、所定のインク量を送液することができるからである。本実施形態においては、1ストローク当たりの送液量が、ダンパー12の投入可能な容量の1%以上30%以下であること好ましく、1%以上5%以下であることがより好ましい。そして、定量ポンプの送液量の誤差は、1ストローク当たり±5%以内であることが好ましい。
1ストローク当たりの送液量が一定である送液ポンプ23を用いると、動作ストローク数の合計をカウントすることによってインクの使用量を容易かつ高精度に検出することが可能となる。また、送液ポンプ23の動作ストローク数の合計をインクタンク11にインクが装填されてからカウントすることにより、インクタンク11に残存しているインクの量を高精度に検出することが可能となる。これによってインクタンク11からインクが無くなった後、継続して送液ポンプ23を駆動した結果、インク供給管9bおよびダンパー12に空気が混入することを防止することが可能となる。これに伴って、インク供給管9b及びダンパー12に混入した空気を抜くためにインクを無駄に排出することを削減することが可能となる。
送液ポンプ23の単位時間当たりのインク送液量は、ダンパー12のダンピング可能な容量と記録ヘッド7の単位時間当たりのインク吐出量に応じて適宜に設定すればよいが、膜面検知センサ19がインクの補給が必要であることを検知してから送液ポンプ23によりインクが送液されるまでの遅延時間(例えば0.1〜2秒)を考慮して、次の式(1)を満たすよう設定することが好ましい。
M>m×t ・・・(1)
ここで、
Mは、ダンパー12の投入可能な容量
mは、送液ポンプ23の単位時間当たりのインク送液量
tは、膜面検知センサ19がインクの補給が必要であることを検知してから送液ポンプ23によりインクが送液されるまでの遅延時間
である。
また、インク供給管9bの途中には、インクタンク11からダンパー12に対するインクの流入を制限するための供給弁24が設けられている。供給弁24は、例えば、ソレノイドとダイヤフラム(いずれも図示せず)とを備える電磁弁であり、ソレノイドの開閉によってダイヤフラム内に液体が流入又は流出することによって弁の開閉が行われるものである。なお、インクの流入、流出を制限するための機構はこれに限定されず、他の構造を有する各種の弁又はその他の各種機構を用いることが可能である。
また、インクジェット記録装置1は、インクタンク11にインク残量がないと判断されたときにその旨をユーザに報知する報知手段として表示部28を有している。表示部28は、例えば、TFT(Thin Film Transister)等を備えた液晶ディスプレイによって構成されており、各色のインクを貯留するインクタンク11のうちいずれのインクタンク11のインク残量がなくなっているか等を表示するようになっている。なお、表示部28にはインクタンク11のインク残量に関する表示の他、画像記録に関する条件その他各種の情報が表示されるようになっていてもよい。
また、本実施形態に用いられる記録媒体Pとしては、普通紙、再生紙、光沢紙等の各種紙、各種布地、各種不織布等の他、樹脂、金属、ガラス等のインク吸収性のないもの等、種々の材質からなる記録媒体Pが適用可能である。また、記録媒体Pの形態としては、ロール状、カットシート状、板状等の各種形態が適用可能である。
次に、図4を参照しつつ、本実施形態におけるインクジェット記録装置1の制御構成について説明する。
インクジェット記録装置1は、インクジェット記録装置1の各部を制御する制御部25を備えており、制御部25には、インクジェット記録装置1に対して電力を供給する電源26が接続されている。
また、制御部25には、膜面検知センサ19からダンパー膜17の膜面がどの程度ダンパー12のインク室13の内側に撓んでいるかを検知した検知結果が電気信号として送られるようになっている。制御部25はこの検知結果に基づいてダンパー12のインク室13内にインクが残留しているか否かを判断し、インク室13内にインクが残留していないと判断するときは、送液ポンプ23を動作させてインクタンク11のインクをダンパー12に供給するようになっている。なお、膜面検知センサ19によるダンパー膜17の膜面の検知は、キャリッジ6が定速で移動している画像記録時に行うようになっている。キャリッジ6は、プラテン2上を往復移動しながら画像記録を行っているときには安定した画像記録を行うために一定の移動速度で移動している。しかし、画像記録時以外は、高精度の制御を行う必要がないためにキャリッジ6の移動速度を加速させたり、キャリッジ6の移動方向を転換するために減速させたりするため、キャリッジ6の移動速度が一定しない。また、記録ヘッド7のクリーニング動作を行う際には、インクの強制吸引や空吐出を行うためにインク室13内のインク量の急激な変動が生ずる。したがって、キャリッジ6が定速で移動している画像記録時以外にダンパー膜17の膜面の検知を行っても正確な値を得ることが期待できないためである。なお、膜面の検知自体を画像記録時にのみ行うようにしてもよいし、膜面の検知自体は常に又は所定間隔ごとに行うようにし、制御部25が、検知結果のうち画像記録時に検知されたもののみに基づいてインク室13内にインクが残留しているか否かの判断を行うようにしてもよい。
制御部25は、膜面検知センサ19から送られる信号に基づいてダンパー12のインク室13内にインクがないと判断すると、制御部25は、適宜、送液ポンプ23を動作させて、インク室13に貯留可能な適量のインクをインクタンク11からダンパー12のインク室13に送液し、ダンパー12のインク室13に貯留されるインク量を一定に保つようになっている。
膜面検知センサ19から随時送られてくるダンパー膜17の膜面位置の情報から、送液ポンプ23を動作させてもダンパー膜17の膜面の位置が変化していないと判断される場合には、制御部25は、インクタンク11にインクの残量がないと判断するようになっている。なお、制御部25が送液ポンプ23を動作させてからどの程度の時間ダンパー膜17の膜面位置に変化がない場合にインクタンク11のインクの残量がないと判断するかは、インクの種類や周囲の温度等の各種条件によって変更されるようになっていてもよい。インクの粘度が高い場合や周囲の温度が低い場合等には、インクの粘度が低い場合等に比べてインクの流動速度が遅く、送液ポンプ23を動作させてもダンパー12のインク室13にインクが到達するまでに時間がかかる等、送液ポンプ23が動作してからダンパー12のインク室13にインクが到達するまでにかかる時間はインクの粘度等によって左右される場合があるからである。
インクタンク11にインクの残量がないと判断する場合には、制御部25は、表示部28を制御してどの色のインクについてインクタンク11のインク残量がなくなっているのかを表示させるようになっている。
さらに、制御部25は、キャリッジ駆動機構29を制御してキャリッジ6を主走査方向に往復移動させるとともに、キャリッジ6の動作に合わせて記録媒体Pの搬送と停止とを繰り返し、記録媒体Pを間欠的に搬送方向Xに搬送させるように、記録媒体搬送機構30を制御して搬送ローラ3,4を動作させるようになっている。
また、制御部25は、記録ヘッド7を動作させて記録ヘッド7のインク流路内のインクを30℃〜150℃程度に加熱するとともに、インクを1ドットが2〜20plの微小な液滴として記録媒体P上に吐出させ所定の画像を形成させるようになっている。さらに、制御部25は、記録媒体Pに着弾したインクに対して紫外線光源から紫外線を照射させるように紫外線照射装置8を制御するようになっている。
また、制御部25は、送液ポンプ23の動作状態を検出する送液ポンプ動作状態検出部251及びインクタンク11の残量を検出するインク残量検出部252とを備えて構成されている。
送液ポンプ動作状態検出部251は、送液ポンプ23の動作状態を検知するものである。本実施形態では、1ストローク当たりの送液量が一定である定量ポンプを用いているため、動作ストローク数の合計をカウントするようになっている。この動作ストローク数の合計は、インク残量検出部252に出力されるようになっている。
インク残量検出部252は、送液ポンプ動作状態検出部251で検出された送液ポンプ23の動作状態に基づいて、インクタンク11内のインク残量を検出するものである。本実施形態では、送液ポンプ23により検出された動作ストローク数の合計値と1ストローク当たりの送液量との積算値を算出してインク消費量とし、予め設定されたインクタンク11の初期値からこのインク消費量を減算し、インクタンク11のインク残量を検出するようになっている。
なお、本実施形態では、送液ポンプ動作状態検出部251にて送液ポンプ23の動作ストローク数の合計をカウントする構成を用いたが、これに限定されず、送液ポンプの1ストローク当たりの送液量及びその送液量での動作ストローク数をカウントする構成や、送液ポンプの単位時間当たりの送液量及びその送液量での動作時間をカウントする構成であってもよい。そして、インク残量検出部252は、送液ポンプ動作状態検出部251の構成に応じてインク消費量を算出し、インクタンク11のインク残量を検出するような構成であってもよい。
送液ポンプ動作状態検出部251にて送液ポンプの1ストローク当たりの送液量及びその送液量での動作ストローク数をカウントする場合は、インク残量検出部252にて、送液ポンプの1ストローク当たりの送液量とその送液量での動作時間との積算値を算出してインク消費量とし、予め設定されたインクタンク11の初期値からこのインク消費量を減算し、インクタンク11のインク残量を検出するようになっている。また、送液ポンプ動作状態検出部251にて送液ポンプの単位時間当たりの送液量及びその送液量での動作時間をカウントする場合は、インク残量検出部252にて、送液ポンプの単位時間当たりの送液量とその送液量での動作時間との積算値を算出してインク消費量とし、予め設定されたインクタンク11の初期値からこのインク消費量を減算し、インクタンク11のインク残量を検出するようになっている。
次に、本実施形態における作用について説明する。
インクジェット記録装置1の電源26がONとなると、電源26からインクジェット記録装置1の各部に対して給電が行われ、記録ヘッド7を搭載したキャリッジ6がプラテン2の上方に移動する。
キャリッジ6が所定の位置に到達すると、搬送ローラ3,4によって記録媒体Pが搬送方向Xに搬送され、同時にキャリッジ6が主走査方向に沿って往復移動する。この際、記録ヘッド7のピエゾ素子に所定の電圧が印加されることによりインク流路が圧縮され、この吐出力によりダンパー12のインク室13内のインクが記録ヘッド7のインク流路内に引き込まれ、ノズルから所定の画像情報に基づいて所要の色のインクが吐出される。さらに、吐出されたインクに紫外線照射装置8から紫外線が照射され、これにより記録媒体Pに所定の画像が記録される。
本実施形態におけるインクジェット記録装置1のインクタンク11のインク残量検出動作のフローチャートを図5に示す。
図5に示すように、インクジェット記録装置1に電源26がONになっているときには、ダンパー12のインク室13内のインク残量が所定量以下か否かが検出される(ステップS101)。記録ヘッド7からインクが吐出されると、順次ダンパー12のインク室13内に貯留されているインクが記録ヘッド7に供給され、インク室13内のインクが減少する。インク室13内のインクが減少するとこれに伴ってダンパー膜17がインク室13の内側に向かって撓みを生ずる。ダンパー膜17が内側に撓むと、コイルバネ18が反発力によってダンパー膜17を初期位置に押し戻そうとし、これによってダンパー12のインク室13内及びダンパー12から記録ヘッド7までのインク供給管9a内は負圧状態となっていく。ダンパー12のインク室13内に貯留されているインク量が所定量以下になると、ダンパー膜17が所定位置よりも内側に撓むため、このダンパー膜17の膜面位置を膜面検知センサ19により検出することにより、インク残量が所定量以下か否かを検出する。
ダンパー12内のインク室13内のインク残量を検出した結果、所定量以上であると判断したときは(ステップS101:No)、再度ダンパー12内のインク室13内のインク残量を検出する。
ダンパー12内のインク室13内のインク残量を検出した結果、所定量以下であると判断したときは(ステップS101:Yes)、送液ポンプ23が駆動し、インクタンク11からインク室13内にMストロークのインクを送液する(ステップS102)。このMストローク分のインク量は、インク室13内に貯留可能なインク量である。
ここで、送液ポンプ23の動作について説明する。
図3(a)に示すように、基準位置では、切欠き部235と吸入管232とが連通しているので、インクが吸入管232及び切欠き部235を介してシリンダ231内部に吸入される。図3(b)に示すように、プランジャ234の回転により吸入管232がプランジャ234によって閉塞されると、インクの吸入が停止され、その後、図3(c)に示すように、プランジャ234が回転しながらシリンダ231の先端に向かって移動すると、切欠き部236と吐出管233とが連通しながら容積が減少するので、インクが切欠き部235から吐出管233に吐出される。図3(d)に示すように、プランジャ234の回転によって吐出管233がプランジャ234により閉塞されているときは、インクが吐出管233から吐出されず、その後、基準値に戻る。
図5に戻り、インク室13内にインクが流入すると、流入したインクの圧力によりダンパー膜17が外側に押圧され、これに伴い膜面検知センサ19のロッド20がダンパー膜17に押圧されて膜面検知センサ19の本体内部に押し込まれる。このダンパー膜17の膜面位置の変化により、インク残量が所定量以上であることが膜面検知センサ19により検出される。
送液ポンプ23の駆動によりインク室13内にインクを送液すると、送液ポンプ動作状態検出部251により、送液ポンプ23の累積ストローク数Nをカウントする。具体的には、送液ポンプ23の駆動前の累積ストローク数Nに、ステップS102で行われた動作ストローク数Mを加算し、累積ストローク数Nを算出する(ステップS103)。
累積ストローク数Nが算出されると、インク残量検出部252によって、累積ストローク数Nが予め定めた閾値A以上であるか否かが判断される(ステップS104)。この閾値Aは、インクタンク11のインク残量が少ないことを警告するための閾値である。例えばインクタンク11のインク容量が10%であるところに閾値Aを設けることにより、インク残量がその閾値A以下になったことを警告をすることができる。本実施形態では、閾値Aはインクタンク11のインク容量が10%以下になる累積ストローク数とする。
累積ストローク数Nが閾値A未満のときは(ステップS104:No)、S101にリターンする。
累積ストローク数Nが閾値A以上のときは(ステップS104:Yes)、インクタンク11のインク残量が少ないことを警告する残量警告表示をする(ステップS105)。この警告動作は、表示部28にインク残量が残りわずかである旨の表示をしたり、インクジェット記録装置1に接続されている図示しないホストコンピュータの表示部に警告メッセージを表示するものである。
さらに、インク残量検出部252によって、累積ストローク数Nが予め定めた閾値B以上であるか否かが判断される(ステップS106)。この閾値Bは、インクタンク11の交換時期であることを通知するための閾値である。例えば、インクタンク11のインク容量が3%であるところに閾値Bを設けることにより、インク残量がその閾値B以下になったことを通知することができる。本実施形態では、閾値Bは、インクタンク11のインク容量が3%以下になる累積ストローク数とする。
累積ストローク数Nが閾値B未満のときは(ステップS106:No)、S101にリターンする。
累積ストローク数Nが閾値B以上のときは(ステップS106:Yes)、膜面検知センサ19によりダンパー12内のインク室13内のインク残量が所定量以下か否かが検出される(ステップS107)。
ダンパー12内のインク室13内のインク残量を検出した結果、所定量以上であると判断したときは(ステップS107:No)、ステップS101にリターンする。
ダンパー12内のインク室13内のインク残量を検出した結果、所定量以下であると判断したときは(ステップS107:Yes)、送液ポンプ23を動作させてもインク室13内にインクが流入せず、ダンパー膜17の膜面位置の変化が膜面検知センサ19によって検知されないときにであるため、インクタンク11にインク残量が無いと判断される。よって、この場合には、表示部28にインクタンク11を交換する旨の表示がなされ(ステップS108)、それと共にインクジェット記録装置1により画像形成動作を中止する。
以上より、本実施形態によれば、送液ポンプ動作状態検出部251によって送液ポンプ23がインクタンク11からダンパー12に送液したインク量を検出し、インク残量検出部252によってインクタンク11に貯蔵されていたインク量から送液したインク量を減算することにより、インクタンク11に残るインク量を検出することができる。このインクタンク11に残るインク量と予め設定した閾値を比較することにより、インクタンク11の交換時期を適切にかつ正確に判断し、インクタンク11を交換することができる効果を奏する。
本実施形態によれば、インク残量を検出するサブインクタンクを備え、送液ポンプはサブインクタンクのインク残量の応じて送液することができる。このサブインクタンクにより、インクの送液に伴うインク供給管の圧力変動を抑制することができ、より正確にインクタンクに残るインク量を検出し、適切な時期にインクタンクを交換することができる効果を奏する。
また、本実施形態によれば、モータを駆動源として備えた送液ポンプを用いて、送液ポンプの累積駆動時間、累積回転量、累積回転時間のいずれか一つを検出することにより、より正確な送液ポンプの動作状態を検出することができる。これにより、インクタンクのインク残量をより正確に検出することができ、適切な時期にインクタンクを交換することができる効果を奏する。
本実施形態によれば、インクに対して紫外線を照射することによってインクを硬化させるので、樹脂フィルム等のインク吸収性の乏しい記録媒体に対しても画像を形成することが可能であるが、このような場合でも、インクタンクのインク残量を検出し、適切な時期にインクタンクを交換することができる効果を奏する。
本実施形態によれば、高粘度のインクであるモノマーを主成分とするカチオン系の紫外線硬化インクを用いた場合でも、インクタンクのインク残量を検出し、適切な時期にインクタンクを交換することができる効果を奏する。
また、インクタンク11のインク残量がない旨を表示部28に表示させるので、ユーザが容易にインクの補充時期を把握することができる。
また、本実施形態においては、ダンパー12を記録ヘッド7の近傍に設けるので、記録ヘッド7はダンパー12から順次インクの供給を受けることができ、記録ヘッド7に供給されるインクのインク供給管9a内における圧力損失の影響を最小限度に抑えることができる。このため、高粘度インクを用いて画像記録を行う場合でも記録ヘッド7の吐出力によってインクを記録ヘッド7のノズルまで導き、吐出させることができる。
また、本実施形態においては、ダンパー12に可撓性を有する材料によって形成されたダンパー膜17を設け、このダンパー膜17をコイルバネ18によって初期位置に保つようになっているので、ダンパー12内に負圧状態を発生させ、これにより記録ヘッド7のノズルからインクが漏出することを防止することができる。
なお、本実施形態においては、サブインクタンクとしてダンパー12を設けたが、これに限定されず、ダンパーに替えてダンパー膜を保持する弾性部材を持たないサブインクタンクそのものを設け、図1に示すように、インクタンク11内のインクを一旦サブインクタンクに供給されるようにしてもよい。
また、本実施形態においては、サブインクタンクとしてダンパー12を設け、インクタンク11のインクをダンパー12に直接供給するような構成としたが、これに限定されず、図6に示すように、インクタンク11内のインクを一旦サブインクタンク10に供給された後に送液ポンプ23によりダンパー12に供給されるものであってもよい。
なお、本実施形態では、インクタンク11のインク残量がない旨を報知する報知手段として表示部28を設けたが、報知手段はこれに限定されず、例えば、音声出力部を設けて警告音を発生させたり、警告ランプを設けてランプを点灯させる等によりユーザにインクタンク11のインク残量がない旨を報知するようにしてもよい。
また、本発明にかかるインクジェット記録装置1を適用可能なインクジェット記録装置1としては、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式のいずれの記録ヘッド7を用いるものでも構わない。また、吐出方式としては、例えば、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)等のうち、いずれの吐出方式の記録ヘッド7を用いるものでも構わない。
また、本実施形態では、紫外線を照射することにより硬化するインクを用いて画像記録を行うものとしたが、インクは必ずしもこれには限定されず、例えば、紫外線、電子線、X線、可視光線、赤外線等の電磁波といった紫外線以外の光を照射することにより硬化するインクであってもよい。この場合、インクには、紫外線以外の光で重合して硬化する重合性化合物と、紫外線以外の光で重合性化合物同士の重合反応を開始させる光開始剤とが適用される。また、紫外線以外の光で硬化する光硬化型のインクを用いる場合は、紫外線光源に代えて、その光を照射する光源を適用する。また、光を照射することなく硬化定着するインクを用いてもよい。この場合には紫外線照射装置を設けることが不要となる。
さらに、本実施形態においてインクジェット記録装置1は、キャリッジ6に搭載された記録ヘッド7を主走査方向に往復移動させるとともに、記録媒体Pを搬送方向Xに搬送させながら、記録ヘッド7からインクを吐出させて、画像を形成するシリアルヘッド方式のインクジェット記録装置1としたが、本発明に係るインクジェット記録装置1としては、プリンタ本体に固定された記録ヘッドからインクを吐出させるとともに記録媒体を搬送させて画像を形成するラインヘッド方式のインクジェット記録装置であってもよい。
その他、本発明が上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
次に、図7を参照しつつ、本発明に係る記録ヘッドの第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態はダンパー内のインク量を検知する残量検出手段の構成のみ第一の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に残量検出手段の構成につき説明する。
本実施形態において、インクジェット記録装置31は、インクを吐出する記録ヘッド32と、記録ヘッド32にインクを供給するインクタンク35とを備えている。インクタンク35と記録ヘッド32との間は、インク供給管33a,33bによって接続されており、記録ヘッド32に順次インクが供給されるようになっている。
また、インク供給管33aの途中であって記録ヘッド32の近傍には、第一実施形態同様、内部にインクを貯留するインク室(図示せず)を供えるダンパー36が設けられている。
ダンパー36のインク室の一側面には図示しない開口部が形成されており、開口部にはポリエチレンフィルム等の可撓性を有するフィルムからなるダンパー膜(図示せず)が張設されている。ダンパー膜はインクがダンパー36に流入するとインクによって押圧され外側に撓み、逆に、インクが記録ヘッドに向かって流出することによってダンパー36内のインク量が減少すると、これに伴って内側に撓むようになっている。
また、インク室の内部であって開口部に対向する壁面には、弾性部材としてのコイルバネ(図示せず)が、一端をダンパー膜に接するように設けられている。コイルバネは、第一実施形態と同様、ダンパー36のインク室にインクが流入した際に所定の初期位置にダンパー膜17を支持するようになっている。
インク供給管33aの途中であってダンパー36から記録ヘッド32までの間には、ダンパー内のインク残量を検知する残量検出手段としてダンパー36から流出するインクの圧力の変動を検知する圧力センサ37が設けられている。
圧力センサ37とは、例えば、シリコン基板の上にブリッジ回路を形成し、半導体の結晶に張力や圧縮が加わると電気抵抗が変化することを利用して、圧力により変化する抵抗値を電気信号に変換して取り出すものであり、例えば、セラミックス製の圧電素子、ポリ弗化ビニリデンのような高分子系の圧電材料、ニオブ酸リチウムのような単結晶圧電材料、磁歪フェライトのような電気変換可能な圧力磁気を発生する磁歪素子、ストレインゲージのような歪みを電気変換する圧電材料等を用いて電気抵抗の変化を検知することにより圧力の変化を把握できるようになっている。
ダンパー36内にインクが十分にあるときはインクが記録ヘッド32に向かって流出しようとする押圧力が強く、ダンパー36と記録ヘッド32との間のインク供給管33aにかかる圧力は大きくなる。これに対して、ダンパー36内のインク残量が少なくなると、インクが記録ヘッド32に向かって流出しようとする押圧力が弱くなり、ダンパー36と記録ヘッド32との間のインク供給管33aにかかる圧力は小さくなる。したがって、予めダンパー36内のインク量とインク供給管33aにかかる圧力との関係を測定し、設定しておくことにより、圧力センサ37によって検知された値がどの程度であるときにダンパー36内のインクの残量がなくなっているかを判断することができるようになっている。
ダンパー36とインクタンク35との間にはインクを送液するための送液ポンプ38が設けられている。送液ポンプ38としては、送液ポンプの一回の動作(以下、ストロークと称す)で送液されるインク量が一定である定量ポンプを適用することが好ましい。これは、送液ポンプ38と記録ヘッド7との間にダンパー36があり、送液ポンプ38から送液されたインクが一旦ダンパー36に貯蔵されるため、送液ポンプ38としては、単位時間に送液するインク量が一定であるより、送液ポンプの1ストロークで送液されるインク量が常に一定であるものが好ましいからである。そして、ダンパー36内のインク量が一定量以下になったと判断される場合には、インクタンク35内に貯留されているインクを強制的に送液するようになっている。
また、インク供給管33bの途中には、インクタンク35からサブインクタンク34に対するインクの流入を制限するための供給弁39が設けられている。
さらに、インクジェット記録装置31は、第一実施形態同様に、図示しない表示部を備えており、インクタンク35のインク残量がなくなった旨等を適宜表示させるようになっている。
また、本実施形態におけるインクジェット記録装置31は、第一実施形態とほぼ等しい制御部(図示せず)を備えており、制御部は、圧力センサ37、送液ポンプ38、供給弁39、及び表示部を動作させるようになっている。また、キャリッジ6を駆動させるとともに、所定の画像信号に基づいて記録ヘッド32からインクを吐出させ所望の画像を形成するようになっている。
また、制御部は、送液ポンプ38の動作状態を検出する送液ポンプ動作状態検出部及びインクタンク35の残量を検出するインク残量検出部とを備えて構成されている。送液ポンプ動作状態検出部は、送液ポンプ23の動作状態を検知するものであり、また、インク残量検出部は、送液ポンプの動作状態を検知するものであることは、第一実施形態と同様である。
なお、その他の構成は、第一実施形態のものと同様であるので、同一個所には同一符号を付してその説明を省略する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
所定の画像信号に基づいて画像記録動作を行われ、記録ヘッド32からインクが吐出されると、順次ダンパー36のインク室内に貯留されているインクが記録ヘッド32に供給される。これに伴って、インク室内のインクが減少するとダンパー膜がインク室の内側に向かって撓みを生ずる。ダンパー膜が内側に撓むと、コイルバネが反発力によってダンパー膜を初期位置に押し戻そうとし、これによってダンパー36のインク室内及びダンパー36から記録ヘッド32までのインク供給管33a内は負圧となっていく。
ダンパー36と記録ヘッド32との間のインク供給管33aにかかる圧力の変化は圧力センサ37によって検知され、インク供給管33aにかかる圧力が一定の圧力以下になった場合にはダンパー36内のインク量が所定量以下であると判断されて、インク室内に貯留可能な量のインクが送液ポンプ38によってインクタンク35から送られる。インクが適切に送られると、ダンパー36と記録ヘッド32との間のインク供給管33aにかかる圧力は大きくなり、この圧力の変化は圧力センサ37によって検知される。
これに対して、送液ポンプ38を動作させてもインク室内にインクが流入せず、ダンパー36と記録ヘッド32との間のインク供給管33aにかかる圧力に変化がない場合には、サブインクタンク34にインク残量がなく、ひいてはサブインクタンク34にインクを供給するインクタンク35にインク残量がないと判断される。よって、この場合には、表示部にインクタンク35にインク残量がない旨の表示がなされる。
以上のように、本実施形態によれば、送液ポンプ動作状態検出部によって送液ポンプ38がインクタンク35からダンパー36に送液したインク量を検出し、インク残量検出部によってインクタンク35に貯蔵されていたインク量から送液したインク量を減算することにより、インクタンク35に残るインク量を検出することができる。このインクタンク35に残るインク量と予め設定した閾値を比較することにより、インクタンク35の交換時期を適切にかつ正確に判断し、インクタンク35を交換することができる効果を奏する。
また、インクタンク35のインク残量がない旨を表示部に表示させるので、ユーザが容易にインクの補充時期を把握することができる。
また、本実施形態においては、ダンパー36を記録ヘッド32の近傍に設けるので、記録ヘッド32はダンパー36から順次インクの供給を受けることができ、記録ヘッド32に供給されるインクのインク供給管33a内における圧力損失の影響を最小限度に抑えることができる。このため、高粘度インクを用いて画像記録を行う場合でも記録ヘッド32の吐出力によってインクを記録ヘッド32のノズルまで導き、吐出させることができる。
また、本実施形態においては、ダンパー36に可撓性を有する材料によって形成されたダンパー膜を設け、このダンパー膜をコイルバネによって初期位置に保つようになっているので、ダンパー36内に負圧状態を発生させ、これにより記録ヘッド32のノズルからインクが漏出することを防止することができる。
なお、本発明が本実施の形態に限られないことは、第一の実施形態と同様である。
本発明に係るインクジェット記録装置の第一実施形態の要部を模式的に示す側面図である。 図2(a)は、本発明に係るインクジェット記録装置のダンパー部分の側断面図である。図2(b)は、本発明に係るインクジェット記録装置のダンパー部分の正面図である。 図3(a)〜(d)は、本発明にかかるインクジェット記録装置のプランジャ式ポンプの構成を示す図である。 本発明に係るインクジェット記録装置の第一実施形態の制御構成の概略を示した要部ブロック図である。 本発明に係るインクジェット記録装置のインクタンクのインク残量を検出するフローチャートである。 本発明に係るインクジェット記録装置の第一実施形態の一変形例を示す側面図である。 本発明に係るインクジェット記録装置の第二実施形態の要部を模式的に示す側面図である。
符号の説明
1 インクジェット記録装置
7 記録ヘッド
8 紫外線照射装置
9 インク供給管
10 サブインクタンク
11 インクタンク
12 ダンパー
17 ダンパー膜
19 膜面検知センサ
23 送液ポンプ
24 供給弁
25 制御部
251 送液ポンプ動作状態検出部
252 インク残量検出部
28 表示部
29 キャリッジ駆動機構
30 記録媒体搬送機構
31 インクジェット記録装置
32 記録ヘッド
33 インク供給管
34 サブインクタンク
35 インクタンク
36 ダンパー
37 圧力センサ
38 送液ポンプ
39 供給弁
P 記録媒体
X 搬送方向

Claims (4)

  1. インクを貯留するインクタンクと、前記インクを吐出する記録ヘッドと、前記インクタンクから前記記録ヘッドにインクを供給するインク供給管とを備えたインクジェット記録装置において、
    前記インク供給管の途中に設けられ、前記インク供給管を介してインクが流入するインク室を備えて前記インクを一時的に貯留するサブインクタンクと、
    前記サブインクタンクのインク残量を検出する残量検出手段と、
    前記サブインクタンクに前記インクタンクのインクを送液する送液ポンプと、
    前記送液ポンプの送液量を検出する送液ポンプ動作状態検出部と、前記送液ポンプ動作状態検出部により検出された前記送液ポンプの送液量から前記インクタンクのインク残量を検出するインク残量検出部とを備えた制御部とを設け、
    前記サブインクタンクのインク室の一側面に開口部を形成し、この開口部を可撓性を有する膜によって密閉するとともに、前記インク室の内部であって前記開口部に対向する壁面に、その一端を前記膜に接するように弾性部材を設けて、前記弾性部材が前記膜の膜面の位置を保持しようとする力によって前記膜が一定の負圧発生状態を維持することのできる初期位置に支持されるように構成するとともに、
    前記残量検出手段は、前記サブインクタンクの開口部を密閉する前記可撓性を有する膜の外面に接触して膜面の位置を検知する膜面検知センサの検知結果に基づいてインク残量を検出する構成であって、画像記録時において前記前記可撓性を有する膜の膜面が所定位置よりも前記サブインクタンクの内側に撓んでいると前記膜面検知センサにより検知された場合に、前記サブインクタンク内のインク量が一定量以下であることを検出するようになっており、
    前記送液ポンプは、前記残量検出手段により前記サブインクタンク内のインク量が一定量以下であると検出されたときに前記インクタンクのインクを前記サブインクタンクに送液することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記送液ポンプは、送液する駆動源としてモータを備え、
    前記送液ポンプ動作状態検出部は、前記モータの累積駆動時間、累積回転量、累積回転時間のいずれか一つを検出することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記インクは、紫外線を照射することにより硬化する紫外線硬化型インクであり、
    前記記録ヘッドから記録媒体に着弾したインクに紫外線を照射する紫外線照射装置を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記インクは、カチオン系紫外線硬化型インクであることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
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