JP4909965B2 - 撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体基板上にR(赤)、G(緑)、B(青)等の色成分をそれぞれ検出する光電変換素子を、予め定められた配列パターンに従って行方向及び列方向に多数規則的に配列した固体撮像素子を用いる撮像装置に関する。
デジタルカメラなどの装置に採用される固体撮像素子においては、被写体の映像を2次元画像の画素毎に検出するために、多数の光電変換素子(一般的にはフォトダイオード)が正方格子状に必要な数だけ2次元配置されている。また、カラー画像の撮影を行うために、一般的にはR、G、Bの各色に対応付けられた複数の光電変換素子が特定の配列パターンに従って行方向及び列方向に規則的に並べて2次元配置してある。
現実には、撮影により得られるカラー画像の品質を最適化するために、ベイヤー配列と呼ばれる配列パターンに従ってR、G、Bの各色に対応付けられた複数の光電変換素子を配置するのが一般的である。また、各々の光電変換素子が検出する色の特性については、光電変換素子の受光面の前面に配置されるカラーフィルタを用いて決定するのが一般的である。すなわち、R色のみを透過する光学フィルタと、G色のみを透過する光学フィルタと、B色のみを透過する光学フィルタとをベイヤー配列に従って各光電変換素子の位置の前面に配置することになる。光学フィルタを用いる場合には、各色の光電変換素子として同じ特性の素子を用いることができる。
従来、例えば特許文献1に開示されているように、シリコン基板上に、正方格子状に配列された検出感度の低い低感度の光電変換素子と、正方格子状に配列された検出感度の高い高感度の光電変換素子とを互いに隣接する位置にずらして配置して、ハニカム状の配列パターンを形成することが行われている。
光電変換素子の検出感度とは、光電変換素子に所定量の光が入射したときに、その光電変換素子から取り出せる信号量がどのくらいなのかを示す特性のことを示す。つまり、同一光量の光が入射したとき、検出感度が相対的に高い高感度の光電変換素子は、検出感度が相対的に低い低感度の光電変換素子よりも、取り出せる信号量が多いという特性を持つものと定義することができる。高感度の光電変換素子は、少ない光量で多くの信号を得ることができるため、低照度の被写体を撮影するのに最適であるが、多くの光量が入射した場合には、信号がすぐに飽和してしまうため、高照度の被写体を撮影するのには適さない。又、低感度の光電変換素子は、多くの光量が入射してもあまり多くの信号を得られないため、高照度の被写体を撮影するのに最適であるが、少ない光量が入射した場合には、得られる信号が少なすぎてしまい、低照度の被写体を撮影するのには適さない。
このように構成した固体撮像素子においては、検出すべき画素毎に、低感度の光電変換素子と高感度の光電変換素子とを同時に利用できるので、光量の大きい光は低感度の光電変換素子で検出し、光量の小さい光は高感度の光電変換素子で検出することにより、撮像特性のダイナミックレンジを広くすることができる。
又、特許文献2には、シリコン基板上に、輝度成分を検出する感光素子を正方格子状に配列した第1の感光素子群と、輝度成分を検出する感光素子及びそれぞれ異なる色相成分を検出する2種類の感光素子を正方格子状に配列した第2の感光素子群とを互いに隣接する位置にずらして配置して、ハニカム状の配列パターンを形成することが開示されている。
特開2004−055786号公報 特開平11−355790号公報
ところで、一般的な固体撮像素子においては、各々の光電変換素子の検出感度を上げるために、各素子の受光面積を大きく形成したり、各素子の受光面の前面にマイクロレンズを配置したりすることにより多くの光が光電変換素子に入射するように工夫された構造になっている。しかし、撮影する画像の解像度を上げるために光電変換素子の数を増やすと素子毎の受光面積を小さくせざるを得ないので、各素子の検出感度を上げるのは難しい。
特に、カラー画像を撮影する固体撮像素子の場合には、R、G、B等に分光された各色成分の光を検出するために、各光電変換素子の受光面の前面に分光用の光学フィルタを設置する必要があるが、この光学フィルタの光透過率が比較的低いので、光学フィルタを通過して実際に光電変換素子で受光される光の強度が減衰し、感度が低下するのが実情である。
又、特許文献2で例示された、第1の感光素子群と第2の感光素子群に用いる感光素子の検出波長の組み合わせでは、色再現性と感度向上とを両立させることが難しい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、色再現性の向上及び感度の向上を図ることが可能な固体撮像素子を用いた撮像装置を提供することを目的とする。
本発明の撮像装置は、固体撮像素子と、前記固体撮像素子の前方に設けられた可動式のレンズと、前記固体撮像素子からの信号に基づいて前記レンズの焦点位置を調節する焦点調節手段とを備える撮像装置であって、前記固体撮像素子は、半導体基板上の行方向とこれに直交する列方向に配列された多数の光電変換素子を有し、前記多数の光電変換素子は、前記光電変換素子をそれぞれ含む第1のグループと第2のグループとに分けられ、前記第1のグループに含まれる各光電変換素子の受光面の上方には、それぞれ異なる色成分を透過する少なくとも3種類の分光フィルタのいずれかが形成され、前記第2のグループに含まれる各光電変換素子の受光面の上方には、光の輝度成分と相関のある分光特性を持つ輝度フィルタが形成され、前記第1のグループに含まれる各光電変換素子と、前記第2のグループに含まれる各光電変換素子とは、それぞれ前記行方向と前記列方向に正方格子状に配列され、且つ、互いに配列ピッチの1/2だけ前記行方向及び前記列方向にずれた位置に配列されており、前記第1のグループに含まれる各光電変換素子と前記第2のグループに含まれる各光電変換素子とで検出感度が略同一となるように、前記第1のグループに含まれる各光電変換素子の上方に形成される分光フィルタ及びマイクロレンズが、前記第2のグループに含まれる各光電変換素子の上方に形成される輝度フィルタ及びマイクロレンズよりも大きくなっており、前記第1グループに含まれる光電変換素子と前記第2グループに含まれる光電変換素子とは、それぞれ独立に信号を読み出し可能に構成され、前記焦点調節手段は、前記焦点位置を調節するための前記固体撮像素子の駆動時、前記固体撮像素子の前記第2のグループに含まれる各光電変換素子のみから信号を読み出す駆動を行う。
本発明の撮像装置は、前記分光フィルタが3種類であり、前記3種類の分光フィルタの各々の割合が2:1:1である。
本発明の撮像装置は、前記3種類の分光フィルタが、赤色の光を透過する分光フィルタと、緑色の光を透過する分光フィルタと、青色の光を透過する分光フィルタであり、前記3つの分光フィルタがベイヤー状に配列されている。
本発明によれば、色再現性の向上及び感度の向上を図ることが可能な固体撮像素子を提供することができる。
図1は、実施の形態における固体撮像素子の概略構成を示す平面模式図である。
図1に示す固体撮像素子は、シリコン基板上の行方向Xとこれに直交する列方向Yに二次元状に配列された、検出感度が相対的に低い多数の低感度光電変換素子10及び検出感度が相対的に高い低感度光電変換素子10と同数の高感度光電変換素子20と、低感度光電変換素子10及び高感度光電変換素子20に蓄積された電荷を列方向Yに転送する垂直電荷転送部(VCCD)30(図1では一部にのみ符号を付してある)と、VCCD30を転送されてきた電荷を行方向Xに転送する水平電荷転送部(HCCD)40と、HCCD40を転送されてきた電荷に応じた電圧信号を出力する信号出力部50とを備える。ここでいう光電変換素子は例えばフォトダイオードであり、以下光電変換素子のことをPDと略す。
低感度PD10及び高感度PD20は、それぞれ、行方向Xとこれに直交する列方向Yに正方格子状に配列されている。低感度PD10の配列ピッチと高感度PD20の配列ピッチは、同じであり、低感度PD10と高感度PD20は、互いに配列ピッチの1/2だけ行方向X及び列方向Yにずれた位置に配列されている。低感度PD10及び高感度PD20の検出感度を変化させるには、PDの受光面の面積を変化させてもよいし、PD上方に設けたマイクロレンズによって、集光面積を変化させてもよいし、低感度PDと高感度PDとで露光時間を変えても良い。これらの方法は公知であるため、説明を省略する。
多数の低感度PD10の受光面の上方には、それぞれ異なる色成分(ここでは、R,G,Bとする)を透過する3種類の分光フィルタが形成されている。
多数の高感度PD20の受光面の上方には、光の輝度成分と相関のある分光特性を持った輝度フィルタが形成されている。輝度フィルタは、NDフィルタや、透明フィルタ、白色フィルタ、グレーのフィルタ等が該当するが、多数の高感度PD20の受光面の上方に何も設けずに光が直接受光面に入射する構成も、輝度フィルタを設けたということができる。輝度フィルタは、多くの波長成分の光を透過することができるため、分光フィルタに比べて光の減衰が少ない。
VCCD30は、シリコン基板上に形成された垂直転送チャネル(図示せず)と、垂直転送チャネルを平面視上交差するように形成された複数本の垂直転送電極101〜104と、低感度PD10及び高感度PD20の電荷を垂直転送チャネルに読み出す電荷読み出し領域(図1では、模式的に矢印で示してある)とを含む。
垂直転送チャネルは、低感度PD10及び高感度PD20の間を全体として列方向Yに延在する蛇行形状を呈するものであり、その上方に形成された垂直転送電極101〜104によって、電荷が蓄積、転送される領域が区分される。垂直転送電極101〜104は、低感度PD10及び高感度PD20それぞれに対応して4つ設けられ(図では、1行分の高感度PDに対応するもののみに符号を付してある。)、低感度PD10及び高感度PD20の間を全体として行方向Xに延在する蛇行形状を呈するものである。
垂直転送電極101〜104には、端子111〜114を介して4相の垂直転送パルスが印加され、垂直転送チャネルの電荷が列方向Yに転送される。垂直転送パルスは、VCCD30とHCCD40の間の転送電極105、106にも印加され、垂直転送パルスの1周期毎に、1行分の低感度PD10及び高感度PD20で検出された電荷が、HCCD40に送られる。低感度PD10及び高感度PD20から垂直転送チャネルへの読出しは、垂直電荷転送開始直後の第1相パルス(端子111に印加される垂直転送パルス)、及び第3相パルス(端子113に印加される垂直転送パルス)に読出しパルスを重畳させることによって行う。
低感度PD10に対応する電荷読み出し領域に読み出しパルスを印加するための電極(以下、PD10の電荷読み出し用の電極という)が垂直転送電極101であり、高感度PD20に対応する電荷読み出し領域に読み出しパルスを印加するための電極(以下、PD20の電荷読み出し用の電極ともいう)が垂直転送電極103である。
図1に示す固体撮像素子では、低感度PD10の電荷読み出し用の電極と、高感度PD20の電荷読み出し用の電極とが、それぞれ異なる端子(111,113)に接続されている。このため、端子111,113に印加する読み出しパルスを制御することで、高感度PD20からの電荷の読み出しと、低感度PD10からの電荷の読み出しとを別々に読み出すことも、同時に読み出すことも可能である。
HCCD40は、シリコン基板内に形成された水平転送チャネルと、この上方に形成された水平転送電極(いずれも図示せず)とを含む。水平転送電極には、端子121、122を介して2相の水平転送パルスが印加され、VCCD30から転送された、1行分の低感度PD10と1行分の高感度PD20からの電荷が、信号出力部50に転送される。
このように構成された固体撮像素子は、被写界からの入射光の強度に応じて低感度PD10及び高感度PD20に蓄積された電荷が、第1相及び第3相の垂直転送パルスに重畳される読み出しパルスによって、垂直転送チャネルに読み出される。そして、垂直転送パルスに応じて垂直転送チャネル内を転送され、水平転送チャネルの所定の領域に保持される。次いで、水平転送パルスが印加されると、保持された電荷は、順次信号出力部50に送られ、電荷量に対応する電圧信号51が出力される。
次に、上述した低感度PD10及び高感度PD20の具体的な配列パターンについて、図2を参照しながら説明する。なお、図2では、説明のため、低感度PD10と高感度PD20を、それぞれ4行×5列分だけ図示している。また、図2において低感度PD10は円形の図形で表してあり、高感度PD20は四角形の図形で表してある。また、四角形の図形及び円形の図形の各々の中に、各々が検出する色成分を「R」、「G」、「B」、「W」で記してある。輝度フィルタは、RGB全ての色成分を透過するため、輝度フィルタが設けられた高感度PD20で検出される色成分を白色を示す「W」で表している。
つまり、図2において、「R」が記されたPDは、その上方に「R」を透過する分光フィルタが形成され、「G」が記されたPDは、その上方に「G」を透過する分光フィルタが形成され、「B」が記されたPDは、その上方に「B」を透過する分光フィルタが形成され、「W」が記されたPDは、その上方に輝度フィルタが形成されていることを意味する。
図2に示すように低感度PD10は各行L21、L22、L23、L24、・・・に配置され、高感度PD20は各行L11、L12、L13、L14、・・・に配置されている。
低感度PD10のグループに注目すると、1番目の行L21には「R」、「G」、「R」、「G」、「R」、・・・の各色成分を検出する低感度PD10が規則的に配置され、2番目の行L22には「G」、「B」、「G」、「B」、「G」、・・・の各色成分を検出する低感度PD10が規則的に配置され、3番目の行L23には1番目の行L21と同じように低感度PD10が規則的に配置され、4番目の行L24には2番目の行L22と同じように低感度PD10が規則的に配置されている。つまり、多数の低感度PD10上方に形成されたRGBの分光フィルタは、公知のベイヤー配列となっている。
高感度PD20のグループに注目すると、全ての行L11、L12、L13、L14、・・・に輝度成分を検出する高感度PD20が配置されている。
このように、高感度PD20上方には、分光フィルタよりも光の減衰が少ない輝度フィルタが存在しているので、各高感度PD20上方に分光フィルタを設けている従来と比べて、高感度PD20の検出感度を向上させることができる。
また、互いに隣接する位置に配置されている低感度PD10と高感度PD20とを組み合わせて使用することで、ダイナミックレンジの広い画像信号を再現できる。すなわち、高感度PD20を用いて撮影することにより弱い光でもノイズに埋もれない鮮明な画像を再現でき、低感度PD10を用いて撮影することにより強い光に対しても信号の飽和を生じることなく光の強度を忠実に再現できる。特に、本実施形態では、高感度PD20の検出感度を輝度フィルタを設けることで更に向上させているため、ダイナミックレンジの更なる向上が期待できる。
また、固体撮像素子全体のPDの配列を見ると、各行各列に輝度成分を検出可能なPDが存在するため、高い解像度を得ることができる。
また、低感度PD10のグループには、R光を検出するPDと、G光を検出するPDと、B光を検出するPDとが含まれ、これらを同時に読み出すことが可能となっているため、低感度PD10のグループに含まれる各PDの蓄積時間を電子シャッタ制御によって完全に同一にすることができる。したがって、電荷読み出し用の電極を、R光を検出するPDと、G光を検出するPDと、B光を検出するPDとで異なるものにした場合に比べて、蓄積時間の調整にかかるコストを削減することができる。
また、低感度PD10と高感度PD20がそれぞれ正方格子状に配列されているため、いずれか一方のみから信号を読み出す間引き読み出しを行った場合、低感度PD10から得られる信号のみでカラー画像を作成することができ、高感度PD20から得られる信号のみで高精細な白黒画像を作成することができる。低感度PD10及び高感度PD20の検出感度を露光時間によって制御できるようにしておくことで、間引き読み出しを行う場合でも、撮影環境に合わせた感度で撮影を行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、公知の方法によって低感度PD10と高感度PD20に検出感度差を設けるものとしたが、例えば、低感度PD10と高感度PD20を、それぞれ、受光面積、露光時間、及び上方に設けられるマイクロレンズの集光面積が同一である同一構造のフォトダイオードとしても良い。このようにした場合でも、低感度PD10上方には分光フィルタが設けられ、高感度PD20上方には分光フィルタよりも光の減衰の少ない輝度フィルタが設けられているため、結果的に、高感度PD20の検出感度が低感度PD10の検出感度よりも高くなる。したがって、検出感度が全く同一である場合に比べて、ダイナミックレンジを拡大させた撮像を行うことが可能となる。
また、低感度PD10と高感度PD20を同一構造のフォトダイオードとした場合は、特許文献2の図4に示された撮像素子と似た構成になる。しかし、特許文献2の図4の撮像素子では、輝度成分を検出するための感光素子上にG光を透過する分光フィルタを設ける必要があり、輝度成分を検出するための感光素子の検出感度が低下してしまう。これに対し、本実施形態の固体撮像素子によれば、高感度PD20上方には分光フィルタよりも光の減衰が少ない輝度フィルタを設けているため、特許文献2の撮像素子に比べて輝度成分の検出感度を向上させることができる。
また、低感度PD10と高感度PD20を同一構造のフォトダイオードとした場合は、特許文献2の図1に示された撮像素子と似た構成になる。しかし、特許文献2の図1の撮像素子では、撮像によってY信号、C1信号、C2信号の3種類の信号しか得ることができず、色再現性が低下してしまう。これに対し、本実施形態の固体撮像素子によれば、撮像によってR信号、G信号、B信号、輝度信号の4種類の信号を得ることができるため、特許文献2の撮像素子に比べて色再現性を向上させることができる。
また、図2に示したような構成によれば、行方向Xについての解像度を1/2にするためにHCCD40にて電荷の加算処理を行う場合、低感度PD10の各行については、行方向Xに1つおきに隣接する同色成分を検出する低感度PD10から得られる電荷同士を加算し、高感度PD20の各行については、行方向Xに隣接する同色成分を検出する高感度PD20から得られる電荷同士を加算することになる。仮に、高感度PD20が従来と同じように、上方にベイヤー配列の分光フィルタが存在する場合には、高感度PD20の各行についても、行方向Xに1つおきに隣接する同色成分を検出する高感度PD20から得られる電荷同士を加算する必要があるが、この場合、低感度PD10からの電荷の加算処理と高感度PD20からの電荷の加算処理とを同時に行うことができない。これに対し、図2に示した構成によれば、低感度PD10からの電荷の加算処理と高感度PD20からの電荷の加算処理とを同時に行うことができ、高速処理が可能となる。
以上説明した固体撮像素子では、ダイナミックレンジを広げるために、低感度PD10よりも高感度PD20の検出感度を高くしているが、このようにした場合、低感度PD10から得られる信号量と、高感度PD20から得られる信号量とに大きな差が出るため、信号読み出し処理や読み出し後の信号処理が複雑になってしまう。そこで、図1の固体撮像素子において、高感度PD20の検出感度と低感度PD10の検出感度を略同一にすることで、信号処理を簡易化することが可能である。
高感度PD20の検出感度と低感度PD10の検出感度を同じにする(両者の差を極力縮める)方法としては、上記公知の手法の他に次のような方法が考えられる。まず、低感度PD10と高感度PD20の構造を同一とし、両者の検出感度差を分光フィルタと輝度フィルタの光減衰率の差に依存したもののみにする。そして、図3に示すように、低感度PD10上方の分光フィルタF及びマイクロレンズMLを高感度PD20上方の輝度フィルタW及びマイクロレンズMLよりも大きくして低感度PD10の検出感度を上げ、両者の検出感度を略一致させる。図3のようにした場合、分光フィルタFを通過した光が高感度PD20に漏れこんだ場合でも、高感度PD20は輝度成分を検出する素子であるため、色再現への影響が少ない。このため、低感度PD10と高感度PD20の検出感度を同一にして信号読み出し処理や信号処理を簡素化しながら、色再現性を維持することができる。又、図3のようにした場合、分光フィルタFを高感度PD20上方のマイクロレンズMLと重なる位置まではみ出させても色再現性に問題がないため、分光フィルタの位置合わせマージンを広くとることができ、製造コストを削減することもできる。
次に、図1に示す固体撮像素子を用いた撮像装置について図4を参照しながら以下に説明する。なお、図4に示す撮像装置については、自動焦点調節(AF)機構を有する光学系を搭載したデジタルカメラを想定している。
図4に示す撮像装置は、図1に示す固体撮像素子と同じ構成の固体撮像素子100と、固体撮像素子100の前方に設けられた撮影レンズ110と、固体撮像素子100を駆動する駆動部120と、撮影レンズ110を駆動するレンズ駆動部130と、制御部140と、操作部150とを備えている。
固体撮像素子100の構成及び動作については前述の通りである。撮影対象の被写体からこの撮像装置に入射する光は、撮影レンズ110で集光され固体撮像素子100の表面に光像を形成する。撮影レンズ110は、固体撮像素子100の厚み方向に移動可能なレンズを含み、このレンズの位置を変えることにより焦点位置の調節を行うことができる。
駆動部120は、固体撮像素子100に含まれる各PD10,20から電荷を読み出したり、固体撮像素子100上で行方向及び列方向に電荷を転送するための様々なパルス信号を生成したりするための電気回路である。レンズ駆動部130は、撮影レンズ110に含まれる移動可能なレンズを移動するための電気モータ及びそれを駆動する電気回路により構成されている。
制御部140は、この撮像装置の全体を統括制御するための電気回路であり、撮像装置を操作するためのシャッターボタンを含む操作部150からの指示に従って、駆動部120及びレンズ駆動部130を制御し、更に固体撮像素子100から出力される信号を処理する。
駆動部120、レンズ駆動部130、及び制御部140が特許請求の範囲の焦点調節手段を構成する。
図4に示す撮像装置におけるAF(自動焦点調節)動作に関する処理の概要は次の通りである。
ステップS1:ユーザによりシャッターボタンが押されると、AF開始指示が制御部140の内部で発生する。
ステップS2:AF開始指示により制御部140はAFのための撮影を開始する。すなわち、レンズ駆動部130を制御して撮影レンズ110に含まれる可動式レンズを移動させ、可動式レンズの各移動位置毎において、AFモードで駆動部120を制御して固体撮像素子100による撮影を行う。
ステップS3:駆動部120は、制御部140からAFモードの撮影指示を受けると、前述の低感度PD10及び高感度PD20のうち、高感度PD20だけについて信号を読み出すように固体撮像素子100を駆動する。具体的には、露光期間終了後、第3相パルス(端子113に印加される垂直転送パルス)にのみ読出しパルスを重畳させることで、高感度PD20のみから信号を読み出す駆動を行う。
ステップS4:制御部140は、撮影レンズ110に含まれる可動式レンズの各移動位置での撮影によって固体撮像素子100から得られた信号に基づいて、合焦位置を決定する。
ステップS5:制御部140は、決定した合焦位置に撮影レンズ110に含まれる可動式レンズを移動するようにレンズ駆動部130を制御し、これにより撮影レンズ110に含まれる可動式レンズが焦点の合った位置に移動され、AF動作が完了する。
上記のAF動作においては、ピント合わせのための撮影を固体撮像素子100で行う際に、高感度PD20だけを用いて撮影を行い、低感度PD10からの読み出しを省略するので、短時間で撮影を完了することができ、AF制御の高速化が可能になる。しかも、高感度PD20は感度が高くなっているため、暗い環境であっても鮮明な画像を撮影することが可能であり、ピントずれが発生しにくい。なお、カラー画像を再現するためには、「R」、「G」、「B」等の色成分をそれぞれ検出する必要があるが、AF動作のための撮影の際には、輝度成分があれば画像中の空間周波数等を検出できるので、色成分の情報は不要である。
なお、低感度PD10上方に設ける3種類の分光フィルタの配列パターンについては必要に応じて望ましいパターンを採用すればよい。現在のところ、図2に示したようなベイヤー配列を用いることにより最も品質の高いカラー画像を再現できる。また、低感度PD10上方に設ける分光フィルタとして、補色系の分光フィルタを用いたり、それぞれ異なる色を透過する4種類以上の分光フィルタを用いたりしても良い。分光フィルタとして3種類の分光フィルタを用いた場合には、ベイヤー配列のように、3種類の分光フィルタの各々の比率を2:1:1とすれば、良好な色再現性を確保することが可能である。
実施の形態における固体撮像素子の概略構成を示す平面模式図。 図1に示す固体撮像素子の光電変換素子の配列パターンを模式的に示す平面図。 図1に示す固体撮像素子の変形例を示す断面模式図。 図1に示す固体撮像素子を搭載した撮像装置の概略構成を示すブロック図。
符号の説明
10 低感度PD
20 高感度PD
30 垂直電荷転送部
40 水平電荷転送部
50 信号出力部
51 電圧信号
100 固体撮像素子
110 撮影レンズ
120 駆動部
130 レンズ駆動部
140 制御部
150 操作部
121,122 水平転送パルス用端子
101〜104 垂直転送電極
105,106 転送電極
111〜114 垂直転送パルス用端子

Claims (3)

  1. 固体撮像素子と、前記固体撮像素子の前方に設けられた可動式のレンズと、前記固体撮像素子からの信号に基づいて前記レンズの焦点位置を調節する焦点調節手段とを備える撮像装置であって、
    前記固体撮像素子は、半導体基板上の行方向とこれに直交する列方向に配列された多数の光電変換素子を有し、
    前記多数の光電変換素子は、前記光電変換素子をそれぞれ含む第1のグループと第2のグループとに分けられ、
    前記第1のグループに含まれる各光電変換素子の受光面の上方には、それぞれ異なる色成分を透過する少なくとも3種類の分光フィルタのいずれかが形成され、
    前記第2のグループに含まれる各光電変換素子の受光面の上方には、光の輝度成分と相関のある分光特性を持つ輝度フィルタが形成され、
    前記第1のグループに含まれる各光電変換素子と、前記第2のグループに含まれる各光電変換素子とは、それぞれ前記行方向と前記列方向に正方格子状に配列され、且つ、互いに配列ピッチの1/2だけ前記行方向及び前記列方向にずれた位置に配列されており、
    前記第1のグループに含まれる各光電変換素子と前記第2のグループに含まれる各光電変換素子とで検出感度が略同一となるように、前記第1のグループに含まれる各光電変換素子の上方に形成される分光フィルタ及びマイクロレンズが、前記第2のグループに含まれる各光電変換素子の上方に形成される輝度フィルタ及びマイクロレンズよりも大きくなっており、
    前記第1グループに含まれる光電変換素子と前記第2グループに含まれる光電変換素子とは、それぞれ独立に信号を読み出し可能に構成され、
    前記焦点調節手段は、前記焦点位置を調節するための前記固体撮像素子の駆動時、前記固体撮像素子の前記第2のグループに含まれる各光電変換素子のみから信号を読み出す駆動を行う撮像装置。
  2. 請求項1記載の撮像装置であって、
    前記分光フィルタが3種類であり、
    前記3種類の分光フィルタの各々の割合が2:1:1である撮像装置。
  3. 請求項2記載の撮像装置であって、
    前記3種類の分光フィルタが、赤色の光を透過する分光フィルタと、緑色の光を透過する分光フィルタと、青色の光を透過する分光フィルタであり、
    前記3つの分光フィルタがベイヤー状に配列された撮像装置。
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