JP4909313B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は静電荷像現像用トナーおよび靜電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
粒径が均一であり、画質に優れる静電荷像現像用トナーを製造する方法として、粒径、形状を意図的に制御する乳化凝集法が提案されている(特許文献1)。また、静電荷像現像用トナーの低温定着性能を向上させる目的で、バインダーとしてポリエステル樹脂を用いることが従来より知られており、さらなる定着性改良の目的で、高酸価なポリエステル樹脂を含有させる方法が提案されている(特許文献2等)。
特開昭63−282752号公報 特開2004−294735号公報
近年、環境負荷低減の要求から、さらなる低温での定着に対する要求が高まり、耐ブロッキング性と低温定着性を両立した静電荷像現像用トナーが要望されている。しかしながら、特許文献2のポリエステル樹脂を含有する、乳化凝集法で得られた静電荷像用トナーであっても、十分満足できる品質には至ってない。
本発明の目的は、粒径が均一で、低温定着性と耐ブロッキング性にさらに優れた静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち、本発明は、ポリエステル樹脂(A)と着色剤を含有するトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、前記トナー粒子は、少なくとも体積平均粒径が1μm以下の樹脂粒子を水中に分散させる工程と前記樹脂粒子を凝集させる工程とを含む工程から形成される体積平均粒径が3〜10μmの粒子であり、ポリエステル樹脂(A)が線形ポリエステル(A1)および非線形ポリエステル(A2)を含有し、(A1)の酸価が10〜200mgKOH/gであり、(A1)のガラス転移温度〔Tg〕(℃)とフロー軟化点〔Tm〕(℃)が〔Tm〕−〔Tg〕≦38(℃)の関係を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー;並びに、ポリエステル樹脂(A)と着色剤を含有するトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、少なくとも体積平均粒径が1μm以下の樹脂粒子を水中に分散させる工程、前記樹脂粒子を凝集させる行程、および凝集した樹脂粒子を融合して体積平均粒径が3〜10μmのトナー粒子を得る工程を含み、ポリエステル樹脂(A)が線形ポリエステル(A1)および非線形ポリエステル(A2)を含有し、(A1)の酸価が10〜200mgKOH/gであり、(A1)のガラス転移温度〔Tg〕(℃)とフロー軟化点〔Tm〕(℃)が〔Tm〕−〔Tg〕≦38(℃)の関係を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法;である。
本発明の製造方法で得られる本発明の静電荷像現像用トナーを用いることにより、粒径が均一で、低温定着性および耐ホットオフセット性(定着温度幅)に優れるトナーとすることができ、トナーの耐ブロッキング性も良好である。
以下、本発明を詳述する。
本発明の静電荷像現像用トナーは、ポリエステル樹脂(A)と着色剤を含有する樹脂粒子を形成するのに用いる樹脂を、水中に1μm以下で分散し、該水中分散樹脂を凝集させることにより凝集粒子粒径を調整し、該凝集粒子を溶融させ融合して、粒子化することによって得られる。
なお、体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)やマルチサイザーIII(コールター社製)、光学系としてレーザードップラー法を用いるELS−800(大塚電子社製)などで測定できる。もし、各測定装置間で粒径の測定値に差を生じた場合は、ELS−800での測定値を採用する。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、例えば、1種類以上のポリオール成分(x)と、1種類以上のポリカルボン酸成分(y)を重縮合して得られ、ポリオール成分(x)としては、ジオール(x1)および/または3〜8価もしくはそれ以上のポリオール(x2)が挙げられる。ポリカルボン酸成分(y)としては、ジカルボン酸(y1)および/または3〜6価もしくはそれ以上のポリカルボン酸(y2)が挙げられる。
ジオール(x1)としては、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、および1,6−ヘキサンジオール等);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、および水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜4、以下のポリオキシアルキレン基も同じ)エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数1〜30〕;および2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、およびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);等が挙げられる。
これら(x1)のうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)およびこれらの併用である。さらに好ましいものは、ビスフェノール類(特にビスフェノールA)のポリオキシアルキレンエーテル(アルキレン基の炭素数2および/または3、AO単位の数2〜8)、炭素数2〜12のアルキレングリコール(特にエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール)、およびこれらの併用(重量比100:0〜20:80)である。
3価〜8価もしくはそれ以上のポリオール(x2)としては、炭素数3〜36の3価〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン、およびジペンタエリスリトール;糖類およびその誘導体、例えばショ糖およびメチルグルコシド);上記脂肪族多価アルコールの(ポリ)オキシアルキレンエーテル(AO単位の数1〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラックおよびクレゾールノボラック等、平均重合度3〜60)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);等が挙げられる。
これら(x2)のうち好ましいものは、3〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコールおよびノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)であり、特に好ましいものはノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
ジカルボン酸(y1)としては、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸、およびセバシン酸);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔例えばダイマー酸(2量化リノール酸)〕;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(例えばドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、およびメサコン酸);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸等);およびこれらのエステル形成性誘導体〔例えば、無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)、以下のエステル形成性誘導体も同様〕;等が挙げられる。これら(y1)のうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、並びにこれらのエステル形成性誘導体である。
3〜6価もしくはそれ以上のポリカルボン酸(y2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット、およびピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族(脂環式を含む)ポリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸、およびデカントリカルボン酸等)、およびこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
これら(y2)のうち好ましいものはトリメリット酸およびピロメリット酸、並びにこれらのエステル形成性誘導体である。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、通常のポリエステル製造法と同様にして製造することができる。例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは160〜250℃、とくに好ましくは170〜235℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに2〜40時間である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)は、低温定着性と耐オフセット性を両立させる点から、線形ポリエステル(A1)および非線形ポリエステル(A2)を含有する。
線形ポリエステル(A1)は、例えば、前記ジオール(x1)とジカルボン酸(y1)を重縮合させることにより得られるが、さらに、分子末端を前記ポリカルボン酸成分(y)(3価以上のものでもよい)の無水物等で変性してもよい。これらの中では、分子末端を(y)の無水物で変性したものが好ましい。ポリオール成分とポリカルボン酸成分との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは3/1〜1/3、さらに好ましくは2.5/1〜1/2.5、とくに好ましくは2/1〜1/2である。
本発明に用いる線形ポリエステル(A1)の酸価は、10〜200(mgKOH/g、以下同じ)である。酸価は、好ましくは25〜180、さらに好ましくは50〜160、とくに好ましくは60〜150である。酸価が10未満であると水中に1μm以下に分散することが困難であり、得られる静電荷像現像用トナーの低温定着性が不十分となる。また、200を越えると水中分散樹脂の凝集が困難であり、得られる静電荷像現像用トナーの帯電特性が低下する。
本発明における酸価は、JIS K0070に規定の方法で測定される。
ポリエステル樹脂の酸価は、通常カルボキシル基に由来するが、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法において、水中に1μm以下の樹脂粒子を分散させるために、線形ポリエステル(A1)および後述の非線形ポリエステル(A2)のカルボキシル基は、その少なくとも一部が塩基で中和されていてもよい。カルボキシル基の中和率は、20〜100当量%が好ましく、40〜100当量%がさらに好ましい。
上記の中和塩を形成する塩基としては、アンモニア、炭素数1〜30のモノアミン、4級アンモニウム、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、およびアルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)などが挙げられる。
上記炭素数1〜30のモノアミンとしては、炭素数1〜30の1級および/または2級アミン(エチルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン等)、炭素数3〜30の3級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、ラウリルジメチルアミン等)が挙げられる。4級アンモニウムとしては炭素数4〜30のトリアルキルアンモニウム(ラウリルトリメチルアンモニウム等)などが挙げられる。
これらの中で、好ましくは、アルカリ金属、4級アンモニウム、モノアミン、およびポリアミンであり、さらに好ましくは、ナトリウム、および炭素数1〜20のモノアミンであり、とくに好ましくは、炭素数3〜20の3級モノアミンである。
(A1)は、フロー軟化点〔Tm〕(℃)とガラス転移温度〔Tg〕(℃)の差(〔Tm〕−〔Tg〕)が38℃以下である。(〔Tm〕−〔Tg〕)は、好ましくは35℃以下、さらに好ましくは32℃以下である。(〔Tm〕−〔Tg〕)が38℃を超えると、低温定着性が悪くなる。
(〔Tm〕−〔Tg〕)を38℃以下とする方法としては、分子量を小さくして〔Tm〕を低くし、酸価を高くするなどにより共有結合以外の結合(水素結合、分子間力等)で〔Tm〕を上げずに〔Tg〕を上げる方法、結晶性可塑剤(ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム等)を添加し、〔Tg〕を下げずに〔Tm〕を下げる方法等が挙げられる。
(A1)のガラス転移温度〔Tg〕は、好ましくは45℃〜75℃であり、さらに好ましくは50℃〜70℃である。〔Tg〕が75℃以下であると低温定着性が向上する。また〔Tg〕が45℃以上であると耐ブロッキング性が良好である。
また、(A1)のフロー軟化点〔Tm〕は、上記(〔Tm〕−〔Tg〕)の関係を満たすものであればとくに限定されないが、好ましくは70℃〜120℃であり、さらに好ましくは75℃〜100℃である。〔Tm〕が、70℃以上であると耐ホットオフセット性が良好であり、また、120℃以下であると定着性が良好である。
なお、上記および以下において、フロー軟化点〔Tm〕は、フローテスターを用いて、下記条件で等速昇温し、その流出量が1/2になる温度のことである。
装置 : 島津(株)製 フローテスター CFT−500D
荷重 : 20kg
ダイ : 1mmΦ−1mm
昇温速度 : 6℃/min.
また、上記および以下において、ガラス転移温度〔Tg〕はセイコー電子工業(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
また、(A1)の水酸基価は、好ましくは25〜125(mgKOH/g、以下同じ)、さらに好ましくは30〜100である。水酸基価が25以上であると(A2)との相溶性が良好であり、定着後の光沢度(グロス)が良好である。また、水酸基価が125以下であると耐ホットオフセット性がより良好となる。
本発明における水酸基価は、JIS K0070に規定の方法で測定される。
なお、(A1)の酸価、水酸基価を上記範囲とするには、ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)との反応比率で調整するのが有効である。
本発明に用いる線形ポリエステル(A1)のテトラヒドロフラン(THF)可溶分の数平均分子量(以下Mnと記載)は、好ましくは500〜4000であり、さらに好ましくは800〜3000、とくに好ましくは1100〜2800である。Mnが500以上であると定着に必要な樹脂強度が発現し、4000以下であると低温定着性が良好である。
また、(A1)のTHF可溶分のピークトップ分子量(以下Mpと記載)は、樹脂強度と低温定着性のバランスの観点から、好ましくは1000〜7000、さらに好ましくは1200〜5000である。
なお、本発明において、樹脂のTHF可溶分のMn、Mpは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。
線形ポリエステル(A1)中のTHF不溶解分は、低温定着性の点から、5%以下が好ましい。さらに好ましくは4%以下、とくに好ましくは3%以下である。上記および以下において、%はとくに断りの無い限り重量%を意味する。
本発明におけるTHF不溶解分は、以下の方法で求めたものである。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。なお、このろ液をTHF可溶分としてGPC測定に使用する。
本発明に用いる非線形ポリエステル(A2)は、通常前記のジカルボン酸(y1)およびジオール(x1)と共に、前記の3〜6価もしくはそれ以上のポリカルボン酸(y2)および/または3価〜8価もしくはそれ以上のポリオール(x2)を反応させて得られる。ポリオール成分とポリカルボン酸成分との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
(A2)を得る場合の(y2)と(x2)の比率は、これらのモル数の和が、全ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)のモル数の合計に対して、好ましくは0.1〜40モル%、さらに好ましくは1〜25モル%、とくに好ましくは3〜20モル%である。
(A2)のガラス転移温度〔Tg〕は、好ましくは45℃〜75℃であり、さらに好ましくは50℃〜70℃である。〔Tg〕が75℃以下であると低温定着性が向上する。また〔Tg〕が45℃以上であると耐ブロッキング性が良好である。
また、(A2)のフロー軟化点〔Tm〕は、とくに限定されないが、好ましくは100℃〜180℃であり、さらに好ましくは120℃〜170℃である。〔Tm〕が、100℃以上であると耐ホットオフセット性が良好であり、また、180℃以下であると定着性が良好である。
非線形ポリエステル(A2)のTHF可溶分のMnは、好ましくは2000〜9500であり、さらに好ましくは2500〜9000である。Mnが2000以上であると定着に必要な樹脂強度が発現し、9500以下であると低温定着性が良好である。
また、(A2)のTHF可溶分のMpは、樹脂強度と低温定着性のバランスの観点から、好ましくは2000〜50000、さらに好ましくは2500〜30000である。
非線形ポリエステル(A2)中のTHF不溶解分は、低温定着性の点から、3〜50%が好ましい。さらに好ましくは5〜40%、とくに好ましくは10〜35%である。THF不溶解分が50%以下であると、画像の光沢度(グロス)が良好である。
非線形ポリエステル(A2)の酸価は、好ましくは10〜70、さらに好ましくは15〜60、特に好ましくは16〜50である。酸価が10以上であると(A1)と混合されたポリエステル樹脂(A)のフロー軟化点〔Tm〕(℃)とガラス転移温度〔Tg〕(℃)の差(〔Tm〕−〔Tg〕)が小さくなり、低温定着性と耐ブロッキング性を両立できて好ましい。酸価が70以下であると帯電特性が良好である。
また、(A2)の水酸基価は、好ましくは0〜50、さらに好ましくは0〜45、特に好ましくは、0〜40である。水酸基価が50以下であると耐ホットオフセット性がより良好となる。
本発明の静電荷像現像用トナーに用いるポリエステル樹脂(A)における、線形ポリエステル(A1)と非線形ポリエステル(A2)の重量比〔(A1)/(A2)〕は、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の点で、好ましくは10/90〜95/5、さらに好ましくは20/80〜90/10、とくに好ましくは40/60〜80/20である。
本発明の静電荷像現像用トナー中には、ポリエステル樹脂(A)以外に、その特性を損なわない範囲で、トナー用バインダー樹脂として通常用いられる他の樹脂を含有してもよい。他の樹脂としては、例えば、Mnが1000〜100万の(A1)、(A2)以外のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、およびそれらの併用が挙げられる。好ましいものは、ポリエステル樹脂、およびビニル樹脂であり、さらに好ましくはポリエステル樹脂である。他の樹脂の含有量は、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法において、水(水と少量の水溶性有機溶剤との混合溶剤を含む)中にポリエステル樹脂(A)を含有する体積平均粒径が1μm以下の樹脂粒子を分散させる方法は、特には限定されないが、以下の〔1〕〜〔7〕が挙げられる。
〔1〕ポリエステル樹脂(A)を含有する樹脂の前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその有機溶剤溶液を必要であれば適当な分散剤存在下で水中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして硬化させて、樹脂粒子の水性分散液を製造する方法。
〔2〕ポリエステル樹脂(A)を含有する樹脂の前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその有機溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化してもよい)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化し、硬化剤を加えたりして硬化させて、樹脂粒子の水性分散液を製造する方法。
〔3〕ポリエステル樹脂(A)を含有する樹脂を機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級するすることによって樹脂粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
〔4〕ポリエステル樹脂(A)を含有する樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
〔5〕ポリエステル樹脂(A)を含有する樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、またはあらかじめ有機溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂粒子を析出させ、次いで、有機溶剤を除去して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
〔6〕ポリエステル樹脂(A)を含有する樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水中に分散させ、これを加熱または減圧等によって有機溶剤を除去する方法。
〔7〕ポリエステル樹脂(A)を含有する樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
上記〔1〕〜〔7〕の方法において、併用する乳化剤または分散剤としては、公知の界面活性剤(s)、水溶性ポリマー(t)等を用いることができる。また、乳化または分散の助剤として有機溶剤(u)、可塑剤(v)等を併用することができる。
また乳化または分散には、分散装置を用いることができる。容易に体積平均粒径を1μm以下とするためには、分散装置を用いて剪断力をかけて分散するのが好ましい。
本発明で使用する分散装置は、一般に乳化機、分散機として市販されているものであればとくに限定されず、例えば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等が挙げられる。このうち粒径の均一化の観点で好ましいものは、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサーが挙げられる。
上記界面活性剤(s)としては、アニオン界面活性剤(s−1)、カチオン界面活性剤(s−2)、両性界面活性剤(s−3)、非イオン界面活性剤(s−4)などが挙げられる。界面活性剤(s)は2種以上の界面活性剤を併用したものであってもよい。(s)の具体例としては、以下に述べるものの他特開2002−284881号公報に記載のものが挙げられる。
アニオン界面活性剤(s−1)としては、カルボン酸またはその塩、硫酸エステル塩、カルボキシメチル化物の塩、スルホン酸塩およびリン酸エステル塩等が用いられる。
カルボン酸またはその塩としては、炭素数8〜22の飽和または不飽和脂肪酸またはその塩が使用でき、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸およびリシノール酸並びにヤシ油、パーム核油、米ぬか油および牛脂などをケン化して得られる高級脂肪酸の混合物等が挙げられる。
その塩としては、これらのナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩、アンモニウム塩、4級アンモニウム塩およびアルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等)などの塩があげられる。
硫酸エステル塩としては、高級アルコール硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩)、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド(以下EOと記載)またはプロピレンオキサイド(以下POと記載)1〜10モル付加物の硫酸エステル塩)、硫酸化油(炭素数12〜50の天然の不飽和油脂または不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和したもの)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸(炭素数6〜40)の低級アルコール(炭素数1〜8)エステルを硫酸化して中和したもの)および硫酸化オレフィン(炭素数12〜18のオレフィンを硫酸化して中和したもの)等が使用できる。
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩、アンモニウム塩、4級アンモニウム塩およびアルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等)等が挙げられる。
高級アルコール硫酸エステル塩としては、例えば、オクチルアルコール硫酸エステル塩、デシルアルコール硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、ステアリルアルコール硫酸エステル塩、チーグラー触媒を用いて合成されたアルコール(例えば、商品名:ALFOL 1214:CONDEA社製)の硫酸エステル塩およびオキソ法で合成されたアルコール(例えば、商品名:ドバノール23、25、45、ダイヤドール115−L、115H、135:三菱化学製:、商品名:トリデカノール:協和発酵製、商品名:オキソコール1213、1215、1415:日産化学製)の硫酸エステル塩等が挙げられる。
高級アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えば、ラウリルアルコールEO2モル付加物硫酸エステル塩およびオクチルアルコールEO3モル付加物硫酸エステル塩等が挙げられる。
硫酸化油としては、例えば、ヒマシ油、落花生油、オリーブ油、ナタネ油、牛脂および羊脂などの硫酸化物の塩等が挙げられる。
硫酸化脂肪酸エステルとしては、例えば、オレイン酸ブチルおよびリシノレイン酸ブチル等の硫酸化物の塩等が挙げられる。
硫酸化オレフィンとしては、例えば、商品名:ティーポール(シェル社製)等が挙げられる。
カルボキシメチル化物の塩としては、炭素数8〜16の脂肪族アルコールのカルボキシメチル化物の塩および炭素数8〜16の脂肪族アルコールのEOまたはPO1〜10モル付加物のカルボキシメチル化物の塩等が使用できる。
脂肪族アルコールのカルボキシメチル化物の塩としては、例えば、オクチルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ドバノール23のカルボキシメチル化ナトリウム塩、トリデカノールカルボキシメチル化ナトリウム塩等が挙げられる。
脂肪族アルコールのEO1〜10モル付加物のカルボキシメチル化物の塩としては、例えば、オクチルアルコールEO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールEO4モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、およびトリデカノールEO5モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩などが挙げられる。
スルホン酸塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジエステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、イゲポンT型およびその他芳香環含有化合物のスルホン酸塩等が使用できる。
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
アルキルナフタレンスルホン酸塩としては、例えば、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
スルホコハク酸ジエステル塩としては、例えば、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルナトリウム塩などが挙げられる。
芳香環含有化合物のスルホン酸塩としては、アルキル化ジフェニルエーテルのモノまたはジスルホン酸塩およびスチレン化フェノールスルホン酸塩などが挙げられる。
リン酸エステル塩としては、高級アルコールリン酸エステル塩および高級アルコールEO付加物リン酸エステル塩等が使用できる。
高級アルコールリン酸エステル塩としては、例えば、ラウリルアルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩およびラウリルアルコールリン酸ジエステルナトリウム塩等が挙げられる。
高級アルコールEO付加物リン酸エステル塩としては、例えば、オレイルアルコールEO5モル付加物リン酸モノエステルジナトリウム塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤(s−2)としては、第4級アンモニウム塩型界面活性剤およびアミン塩型界面活性剤等が使用できる。
第4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、炭素数3〜40の3級アミンと4級化剤(例えば、メチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライド、ベンジルクロライドおよびジメチル硫酸などのアルキル化剤並びにEOなど)との反応等で得られ、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロライド、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライドおよびステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェートなどが挙げられる。
アミン塩型界面活性剤としては、1〜3級アミンを無機酸(例えば、塩酸、硝酸、硫酸、ヨウ化水素酸、リン酸および過塩素酸など)または有機酸(酢酸、ギ酸、蓚酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸、炭素数2〜24のアルキルリン酸、リンゴ酸およびクエン酸など)で中和すること等により得られる。
第1級アミン塩型界面活性剤としては、例えば、炭素数8〜40の脂肪族高級アミン(例えば、ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミンおよび、ロジンアミンなどの高級アミン)の無機酸塩または有機酸塩および低級アミン(炭素数2〜6)の高級脂肪酸(炭素数8〜40、ステアリン酸、オレイン酸など)塩などが挙げられる。
第2級アミン塩型界面活性剤としては、例えば炭素数4〜40の脂肪族アミンのEO付加物などの無機酸塩または有機酸塩が挙げられる。
また、第3級アミン塩型界面活性剤としては、例えば、炭素数4〜40の脂肪族アミン(例えば、トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなど)、脂肪族アミン(炭素数2〜40)のEO(2モル以上)付加物、炭素数6〜40の脂環式アミン(例えば、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルヘキサメチレンイミン、N−メチルモルホリンおよび1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセンなど)、炭素数5〜30の含窒素ヘテロ環芳香族アミン(例えば、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾールおよび4,4’−ジピリジルなど)の無機酸塩または有機酸塩およびトリエタノールアミンモノステアレート、ステアラミドエチルジエチルメチルエタノールアミンなどの3級アミンの無機酸塩または有機酸塩などが挙げられる。
両性界面活性剤(s−3)としては、カルボン酸塩型両性界面活性剤、硫酸エステル塩型両性界面活性剤、スルホン酸塩型両性界面活性剤およびリン酸エステル塩型両性界面活性剤などが使用できる。
カルボン酸塩型両性界面活性剤は、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤およびイミダゾリン型両性界面活性剤などが用いられる。アミノ酸型両性界面活性剤は、分子内にアミノ基とカルボキシル基を持っている両性界面活性剤であり、例えば、一般式(1)で示される化合物等が挙げられる。
[R−NH−(CH2)n−COO]mM (1)
[式中、Rは1価の炭化水素基;nは1または2;mは1または2;Mは水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムカチオン、アミンカチオン、アルカノールアミンカチオンなどである。]
一般式(1)で表される両面活性剤としては、例えば、アルキル(炭素数6〜40)アミノプロピオン酸型両性界面活性剤(ステアリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムなど);アルキル(炭素数4〜24)アミノ酢酸型両性界面活性剤(ラウリルアミノ酢酸ナトリウムなど)などが挙げられる。
ベタイン型両性界面活性剤は、分子内に第4級アンモニウム塩型のカチオン部分とカルボン酸型のアニオン部分を持っている両性界面活性剤であり、例えば、アルキル(炭素数6〜40)ジメチルベタイン(ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなど)、炭素数6〜40のアミドベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインなど)、アルキル(炭素数6〜40)ジヒドロキシアルキル(炭素数6〜40)ベタイン(ラウリルジヒドロキシエチルベタインなど)などが挙げられる。
イミダゾリン型両性界面活性剤としては、イミダゾリン環を有するカチオン部分とカルボン酸型のアニオン部分を持っている両性界面活性剤であり、例えば、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。
その他の両性界面活性剤として、例えば、ナトリウムラウロイルグリシン、ナトリウムラウリルジアミノエチルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシン塩酸塩、ジオクチルジアミノエチルグリシン塩酸塩などのグリシン型両性界面活性剤;ペンタデシルスルホタウリンなどのスルホベタイン型両性界面活性剤、スルホン酸塩型両性界面活性剤およびリン酸エステル塩型両性界面活性剤などが挙げられる。
非イオン界面活性剤(s−4)としては、アルキレンオキサイド(以下AOと記載)付加型非イオン界面活性剤および多価アルコール型非イオン界面活性剤などが使用できる。
AO付加型非イオン界面活性剤は、炭素数8〜40の高級アルコール、炭素数8〜40の高級脂肪酸または炭素数8〜40のアルキルアミン等に直接AO(炭素数2〜20)を付加させるか、グリコールにAOを付加させて得られるポリアルキレングリコールに高級脂肪酸などを反応させるか、あるいは多価アルコールに高級脂肪酸を反応して得られたエステル化物にAOを付加させるか、高級脂肪酸アミドにAOを付加させることにより得られる。
AOとしては、たとえばEO、POおよびブチレンオキサイドが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、EOおよびEOとPOのランダムまたはブロック付加物である。
AOの付加モル数としては10〜50モルが好ましく、該AOのうち50〜100%がEOであるものが好ましい。
AO付加型非イオン界面活性剤としては、例えば、オキシアルキレンアルキルエーテル(アルキレンの炭素数2〜24、アルキルの炭素数8〜40)(例えば、オクチルアルコールEO20モル付加物、ラウリルアルコールEO20モル付加物、ステアリルアルコールEO10モル付加物、オレイルアルコールEO5モル付加物、ラウリルアルコールEO10モルPO20モルブロック付加物など);ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル(アルキレンの炭素数2〜24、高級脂肪酸の炭素数8〜40)(例えば、ステアリル酸EO10モル付加物、ラウリル酸EO10モル付加物など);ポリオキシアルキレン多価アルコール高級脂肪酸エステル(アルキレンの炭素数2〜24、多価アルコールの炭素数3〜40、高級脂肪酸の炭素数8〜40)(例えば、ポリエチレングリコール(重合度20)のラウリン酸ジエステル、ポリエチレングリコール(重合度20)のオレイン酸ジエステルなど);ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル(アルキレンの炭素数2〜24、アルキルの炭素数8〜40)(例えば、ノニルフェノールEO4モル付加物、ノニルフェノールEO8モルPO20モルブロック付加物、オクチルフェノールEO10モル付加物、ビスフェノールA・EO10モル付加物、スチレン化フェノールEO20モル付加物など);ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル(アルキレンの炭素数2〜24、アルキルの炭素数8〜40)および(例えば、ラウリルアミンEO10モル付加物、ステアリルアミンEO10モル付加物など);ポリオキシアルキレンアルカノールアミド(アルキレンの炭素数2〜24、アミド(アシル部分)の炭素数8〜24)(例えば、ヒドロキシエチルラウリン酸アミドのEO10モル付加物、ヒドロキシプロピルオレイン酸アミドのEO20モル付加物など)が挙げられる。
多価アルコール型非イオン界面活性剤としては、多価アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルAO付加物、多価アルコールアルキルエーテルおよび多価アルコールアルキルエーテルAO付加物等が使用できる。多価アルコールの炭素数としては3〜24、脂肪酸の炭素数としては8〜40、AOの炭素数としては2〜24である。
多価アルコール脂肪酸エステルとしては、例えば、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジオレートおよびショ糖モノステアレートなどが挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステルAO付加物としては、例えば、エチレングリコールモノオレートEO10モル付加物、エチレングリコールモノステアレートEO20モル付加物、トリメチロールプロパンモノステアレートEO20モルPO10モルランダム付加物、ソルビタンモノラウレートEO10モル付加物、ソルビタンジステアレートEO20モル付加物およびソルビタンジラウレートEO12モルPO24モルランダム付加物などが挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテルとしては、例えば、ペンタエリスリトールモノブチルエーテル、ペンタエリスリトールモノラウリルエーテル、ソルビタンモノメチルエーテル、ソルビタンモノステアリルエーテル、メチルグリコシドおよびラウリルグリコシドなどが挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテルAO付加物としては、例えば、ソルビタンモノステアリルエーテルEO10モル付加物、メチルグリコシドEO20モルPO10モルランダム付加物、ラウリルグリコシドEO10モル付加物およびステアリルグリコシドEO20モルPO20モルランダム付加物などが挙げられる。
水溶性ポリマー(t)としては、セルロース系化合物(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびそれらのケン化物など)、ゼラチン、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)含有ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物、アクリル酸ナトリウム−アクリル酸エステル共重合体)、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物、水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)などが挙げられる。
本発明に用いる有機溶剤(u)は、乳化分散の際に必要に応じて水中に加えても、被乳化分散体中〔ポリエステル樹脂(A)を含有する樹脂またはポリエステル樹脂(A)を含有する樹脂の前駆体を含む油相中〕に加えてもよい。
有機溶剤(u)の具体例としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素系有機溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素系有機溶剤;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハロゲン系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系またはエステルエーテル系有機溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系有機溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール系有機溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系有機溶剤;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系有機溶剤、N−メチルピロリドンなどの複素環式化合物系有機溶剤、ならびにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
可塑剤(v)としては、何ら限定されず、以下のものが例示される。
(v1)フタル酸エステル[フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソデシル等];
(v2)脂肪族2塩基酸エステル[アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸−2−エチルヘキシル等];
(v3)トリメリット酸エステル[トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリオクチル等];
(v4)燐酸エステル[リン酸トリエチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジール等];
(v5)脂肪酸エステル[オレイン酸ブチル等];
(v6)およびこれらの2種以上の混合物。
本発明の静電荷像現像用トナーは、前記の方法で得られた、体積平均粒径が1μm以下の樹脂粒子が水中に分散された樹脂粒子分散液中の樹脂粒子を凝集させて(凝集工程)、さらに樹脂のTg以上の温度に加熱し、凝集粒子を融合することで得られる。
上記凝集行程において、樹脂粒子分散液の一部からの凝集粒子を作成した後、残りの樹脂粒子分散液を追加混合してもよい。この方法によれば、追加混合した分散液中の樹脂粒子を凝集粒子の最表面に存在させることができる。
静電荷像現像用トナー中に、後述する着色剤や、必要により用いる離型剤および荷電制御剤等の添加剤を含有させる方法としては、前記体積平均粒径が1μm以下の樹脂粒子中にあらかじめ着色剤および離型剤を分散させておいてもよいし、凝集工程で着色剤を分散した着色剤分散液、離型剤を分散した離型剤分散液、および荷電制御剤を分散した荷電制御剤分散液等を混合してもよい。
前記凝集粒子はヘテロ凝集等により形成され、前記凝集粒子の安定化、粒度/粒度分布制御を目的に、凝集剤として、前記凝集粒子とは極性が異なるイオン性界面活性剤や、金属塩等の一価または二価以上の電荷を有する化合物を添加することにより形成される。また、pH変化により凝集粒子の粒径を調整することができる。
凝集剤としては一価又は二価以上の電荷を有する化合物が好ましく、凝集剤として一価又は二価以上の電荷を有する化合物の具体例としては、前述のイオン性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の水溶性界面活性剤類、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩、酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩、ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩、アミノ酸の金属塩、トリエタノールアミン塩酸塩、アニリン塩酸塩等の脂肪族、芳香族アミン類の無機酸塩類等が挙げられる。さらに好ましくは塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩、酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸等の無機、有機の金属塩であり、もっとも好ましくは硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の多価の無機金属塩が凝集粒子の安定性、凝集剤の熱や経時に対する安定性、洗浄時の除去等の点で好適に用いることができる。
これらの凝集剤の添加量は、電荷の価数により異なるが、いずれも少量であって、一価の場合は3%以下程度、二価の場合は1%以下程度、三価の場合は0.5%以下程度である。凝集剤の量は少ない方が好ましいため、価数の多い化合物が好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、バインダー樹脂となるポリエステル樹脂(A)を含有する樹脂と、着色剤、および必要により、離型剤、荷電制御剤、流動化剤等から選ばれる1種以上の添加剤を含有する。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンBおよびオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
離型剤としては、軟化点が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸およびこれらの混合物等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、およびサゾールワックス等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックスおよびライスワックスが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末等が挙げられる。
なお、流動化剤は、トナー粒子の形成後に添加するのが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナー中の組成比は、トナー重量に基づき、ポリエステル樹脂(A)を含有するバインダー樹脂が、好ましくは30〜97%、さらに好ましくは40〜95%、とくに好ましくは45〜92%;着色剤が、好ましくは0.05〜60%、さらに好ましくは0.1〜55%、とくに好ましくは0.5〜50%;添加剤のうち、離型剤が、好ましくは0〜30%、さらに好ましくは0.5〜20%、とくに好ましくは1〜10%;荷電制御剤が、好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0.1〜10%、とくに好ましくは0.5〜7.5%;流動化剤が、好ましくは0〜10%、さらに好ましくは0〜5%、とくに好ましくは0.1〜4%である。また、添加剤の合計含有量は、好ましくは3〜70%、さらに好ましくは4〜58%、とくに好ましくは5〜50%である。トナーの組成比が上記の範囲であることで帯電性が良好なものを容易に得ることができる。
本発明の静電荷像現像用トナーの体積平均粒径は、画像解像性の点から、通常3〜10μm、好ましくは4〜8μmである。
また、体積平均粒径/個数平均粒径は、粒径均一性の点から、好ましくは1.0〜1.2であり、さらに好ましくは1.0〜1.15である。
本発明の静電荷像現像用トナーは、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、および樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリアー粒子との重量比は、通常1/99〜100/0である。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる。
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
製造例で得られた樹脂の性質の測定法を次に示す。下記以外の測定法は前記方法による。
1.ガラス転移温度〔Tg〕
ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)。
装置:セイコー電子工業(株)製 DSC20,SSC/580
2.テトラヒドロフラン(THF)不溶解分
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶分をろ別し、80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出した。
3.フロー軟化点〔Tm〕
フローテスターを用いて、下記条件で等速昇温し、その流出量が1/2になる温度をもって軟化点とした。
装置 : 島津(株)製 フローテスター CFT−500D
荷重 : 20kg
ダイ : 1mmΦ−1mm
昇温速度 : 6℃/min.
製造例1<線形ポリエステルの合成および樹脂粒子分散液の調製>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール(以下、単にプロピレングリコールと記載する)2280部(30モル)、テレフタル酸ジメチルエステル1940部(10モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、180℃で窒素気流下に生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成するプロピレングリコールを留去しながら反応させ、軟化点が45℃になった時点で冷却した。180℃になった時点で、無水トリメリット酸787部(4.1モル)を仕込み、180℃で1時間保持した後取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル(A1−1)とする。
線形ポリエステル(A1−1)のTgは54℃、Tmは85℃(Tm−Tg:31℃)、Mpは2000、Mnは1100、酸価は140、水酸基価は81、THF不溶解分は0%であった。なお( )内のモル数は相対的なモル比を意味する。(以下同様)
線形ポリエステル(A1−1)100部に対してアセトン100部を加え溶解させ、さらにトリエチルアミン2.5部を加えた。ホモジナイザーで撹拌下(10000rpm)、ポリエステルのアセトン溶液に水300部を加え、40℃、100mmHgの減圧下でアセトンを留去することで[樹脂粒子分散液W1]を得た。[樹脂粒子分散液W1]のレーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は0.09μmであった。
製造例2<線形ポリエステルの合成および樹脂粒子分散液の調製>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO3モル付加物6834部(17モル)、テレフタル酸1660部(10モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸1325部(6.9モル)を加え、常圧密閉下1時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル(A1−2)とする。
線形ポリエステル(A1−2)のTgは61℃、Tmは93℃(Tm−Tg:32℃)、Mpは3500、Mnは1800、酸価は90、水酸基価は45、THF不溶解分は0%であった。
線形ポリエステル(A1−2)100部に対してアセトン100部を加え溶解させ、さらにトリエチルアミン2.5部を加えた。ホモジナイザーで撹拌下(10000rpm)、ポリエステルのアセトン溶液に水300部を加え、40℃、100mmHgの減圧下でアセトンを留去することで[樹脂粒子分散液W2]を得た。[樹脂粒子分散液W2]のレーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は0.09μmであった。
製造例3<線形ポリエステルの合成および樹脂粒子分散液の調製>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物5916部(17モル)、テレフタル酸1577部(9.5モル)、イソフタル酸83部(0.5モル)および縮合触媒としてビストリエタノールアミンチタネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸826部(4.3モル)を加え、常圧密閉下1時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル(A1−3)とする。
線形ポリエステル(A1−3)のTgは61℃、Tmは96℃(Tm−Tg:35℃)、Mpは2900、Mnは1200、酸価は60、水酸基価は79、THF不溶解分は0%であった。
線形ポリエステル(A1−3)100部に対してアセトン100部を加え溶解させ、さらにトリエチルアミン2.5部を加えた。ホモジナイザーで撹拌下(10000rpm)、ポリエステルのアセトン溶液に水300部を加え、40℃、100mmHgの減圧下でアセトンを留去することで[樹脂粒子分散液W3]を得た。[樹脂粒子分散液W3]のレーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は0.09μmであった。
製造例4<非線形ポリエステルの合成および樹脂粒子分散液の調製>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、プロピレングリコール2280部(30モル)、テレフタル酸ジメチルエステル1649部(8.5モル)、アジピン酸219部(1.5モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、180℃で窒素気流下に生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成するプロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が90℃になった時点で180℃まで冷却し、無水トリメリット酸115部(0.6モル)を加え、常圧密閉下2時間反応後、220℃、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、軟化点が155℃になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを非線形ポリエステル(A2−1)とする。
非線形ポリエステル(A2−1)のTgは60℃、Tmは155℃、Mpは9000、Mnは7000、酸価は23、水酸基価は2、THF不溶解分は20%であった。
非線形ポリエステル(A2−1)100部に対してアセトン100部を加え溶解させ、さらにトリエチルアミン2.5部を加えた。ホモジナイザーで撹拌下(10000rpm)、ポリエステルのアセトン溶液に水300部を加え、40℃、100mmHgの減圧下でアセトンを留去することで[樹脂粒子分散液W4]を得た。[樹脂粒子分散液W4]のレーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は0.09μmであった。
製造例5<非線形ポリエステルの合成および樹脂粒子分散液の調製>
ビスフェノールA・PO3モル付加物5025部(12.5モル)、テレフタル酸1527部(9.2モル)、フマル酸93部(0.8モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸250部(1.3モル)を加え、常圧密閉下2時間反応後、230℃、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、軟化点が140℃になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを非線形ポリエステル(A2−2)とする。
非線形ポリエステル(A2−2)のTgは57℃、Tmは145℃、Mpは8300、Mnは6200、酸価は16、水酸基価は24、THF不溶解分は30%であった。
非線形ポリエステル(A2−2)100部に対してアセトン100部を加え溶解させ、さらにトリエチルアミン2.5部を加えた。ホモジナイザーで撹拌下(10000rpm)、ポリエステルのアセトン溶液に水300部を加え、40℃、100mmHgの減圧下でアセトンを留去することで[樹脂粒子分散液W5]を得た。[樹脂粒子分散液W5]のレーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は0.09μmであった。
比較製造例1<線形ポリエステルの合成および樹脂粒子分散液の調製>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、プロピレングリコール2280部(30モル)、テレフタル酸ジメチルエステル1940部(10モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、180℃で窒素気流下に生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成するプロピレングリコールを留去しながら反応させ、軟化点が95℃になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル(A1’−1)とする。
線形ポリエステル(A1’−1)のTgは59℃、Tmは96℃(Tm−Tg:37℃)、Mpは4000、Mnは1700、酸価は2、水酸基価は60、THF不溶解分は0%であった。
線形ポリエステル(A1’−1)100部に対してアセトン100部を加え溶解させ、さらにトリエチルアミン2.5部を加えた。ホモジナイザーで撹拌下(10000rpm)、ポリエステルのアセトン溶液に水300部を加え、40℃、100mmHgの減圧下でアセトンを留去することで[樹脂粒子分散液W1’]を得た。[樹脂粒子分散液W1’]のレーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は0.09μmであった。
比較製造例2<線形ポリエステルの合成および樹脂粒子分散液の調製>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、プロピレングリコール2280部(30モル)、テレフタル酸ジメチルエステル1940部(10モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、180℃で窒素気流下に生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成するプロピレングリコールを留去しながら反応させ、軟化点が45℃になった時点で冷却した。180℃になった時点で、無水トリメリット酸1498部(7.8モル)を仕込み、180℃で1時間保持した後取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル(A1’−2)とする。
線形ポリエステル(A1’−2)のTgは63℃、Tmは98℃(Tm−Tg:35℃)、Mpは3000、Mnは1200、酸価は210、水酸基価は78、THF不溶解分は0%であった。
線形ポリエステル(A1’−2)100部に対してアセトン100部を加え溶解させ、さらにトリエチルアミン2.5部を加えた。ホモジナイザーで撹拌下(10000rpm)、ポリエステルのアセトン溶液に水300部を加え、40℃、100mmHgの減圧下でアセトンを留去することで[樹脂粒子分散液W2’]を得た。[樹脂粒子分散液W2’]のレーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は0.09μmであった。
比較製造例3<線形ポリエステルの合成および樹脂粒子分散液の調製>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、プロピレングリコール2280部(30モル)、テレフタル酸ジメチルエステル1940部(10モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、180℃で窒素気流下に生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成するプロピレングリコールを留去しながら反応させ、軟化点が55℃になった時点で冷却した。180℃になった時点で、無水トリメリット酸562部(2.9モル)を仕込み、180℃で1時間保持した後取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル(A1’−3)とする。
線形ポリエステル(A1’−3)のTgは48℃、Tmは89℃(Tm−Tg:41℃)、Mpは2300、Mnは900、酸価は85、水酸基価は90、THF不溶解分は0%であった。
線形ポリエステル(A1’−3)100部に対してアセトン100部を加え溶解させ、さらにトリエチルアミン2.5部を加えた。ホモジナイザーで撹拌下(10000rpm)、ポリエステルのアセトン溶液に水300部を加え、40℃、100mmHgの減圧下でアセトンを留去することで[樹脂粒子分散液W3’]を得た。[樹脂粒子分散液W3’]のレーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は0.09μmであった。
製造例6<着色剤分散液の調製>
フタロシアニン顔料(山陽色素製:シアニンブルーKRO)100部、アニオン界面活性剤(三洋化成工業製:エレミノールMON−7)2部、イオン交換水250部を混合し、TK式ホモミキサーで分散し、[着色剤分散液1]を得た。
製造例7<離型剤分散液の調製>
パラフィンワックス(融点73℃)80部、アニオン界面活性剤(三洋化成工業製:エレミノールMON−7)1部、イオン交換水120部を混合し、95℃で溶解させた後、TK式ホモミキサーで分散し、[離型剤分散液1]を得た。
実施例1<静電荷像現像用トナー粒子の作製>
ステンレス製ビーカーに[樹脂分散液W1]160部、[樹脂分散液W4]20部、[着色剤分散液1]15部、[離型剤分散液1]15部、イオン交換水600部、硫酸マグネシウム1部を加え、TK式ホモミキサーを用いて分散させた後、pH7.0に調製してから60℃まで撹拌しながら昇温した。凝集粒子の体積平均粒径が5.0μm付近になるまで、塩酸(0.1mol/L)を添加したところで、pHを一定に保ちながら[樹脂粒子分散液W4]20部を加え、60℃で1時間撹拌後、さらに80℃で加熱撹拌を2時間行った。その後、濾別し、500部のイオン交換水で4回洗浄し、40℃×18時間乾燥を行いトナー粒子(C−1)を得た。
実施例2<静電荷像現像用トナー粒子の作製>
ステンレス製ビーカーに[樹脂分散液W1]160部を[樹脂分散液W2]160部に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー粒子(C−2)を得た。
実施例3<静電荷像現像用トナー粒子の作製>
ステンレス製ビーカーに[樹脂分散液W1]160部を[樹脂分散液W3]120部に、[樹脂分散液4]20部(2回)をいずれも[樹脂分散液4]40部(合計80部)に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー粒子(C−3)を得た。
実施例4<静電荷像現像用トナー粒子の作製>
ステンレス製ビーカーに[樹脂分散液W1]160部を[樹脂分散液W1]80部に、[樹脂分散液4]20部(2回)をいずれも[樹脂分散液5]60部(合計120部)に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー粒子(C−4)を得た。
比較例1<静電荷像現像用トナー粒子の作製>
ステンレス製ビーカーに[樹脂分散液W1]160部を[樹脂分散液W1’]160部に変更する以外は実施例1と同様にして、比較のトナー粒子(C’−1)を得た。
比較例2<静電荷像現像用トナー粒子の作製>
ステンレス製ビーカーに[樹脂分散液W1]160部を[樹脂分散液W2’]160部に変更する以外は実施例1と同様にして、比較のトナー粒子(C’−2)を得た。
比較例3<静電荷像現像用トナー粒子の作製>
ステンレス製ビーカーに[樹脂分散液W1]160部を[樹脂分散液W3’]160部に変更する以外は実施例1と同様にして、比較のトナー粒子(C’−3)を得た。
実施例5〜8、および比較例4〜6
本発明の製造方法で得られたトナー粒子(C−1)〜(C−4)、および比較のトナー粒子(C’−1)〜(C’−3)のそれぞれ100部に対して、コロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(T−1)〜(T−4)、および比較のトナー(T’−1)〜(T’−3)を得た。
下記評価方法で評価した評価結果を表1に示す。
Figure 0004909313
[評価方法]
〔1〕最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
〔3〕耐ブロッキング性
試料10.0gを200mlポリカップに入れ、40℃の循風乾燥機で静置した。5日後、乾燥機から取り出し、試料の流動性を確認した。
(判定)
◎:カップを傾けると流れる。
○:カップを傾け、スパチュラでつつくと流れる。
△:カップを傾け、スパチュラで強くつつくと流れる。
×:カップを傾け、スパチュラで強くつついても流れない。
判定が○以上のものが耐ブロッキング性良好と判断される。
〔4〕最低定着温度(MFT)
体積平均粒径および個数平均粒径を、マルチサイザーIII(コールター社製)で測定した。
以上の通り、本発明の静電荷像現像用トナー(実施例5〜8)は、比較例の静電荷像現像用トナーと比べて、いずれも著しく良好な結果が得られた。
本発明の静電荷像現像用トナーは、粒径が均一で、低温定着性、耐ホットオフセット性、および耐ブロッキング性に優れる静電荷像現像用トナー、とくにカラー用トナーとして有用である。

Claims (5)

  1. ポリエステル樹脂(A)と着色剤を含有するトナー粒子を含む静電荷像現像用トナー
    であって、前記トナー粒子は、少なくとも体積平均粒径が1μm以下の樹脂粒子を水中に
    分散させる工程と前記樹脂粒子を凝集させる工程とを含む工程から形成される体積平均粒
    径が3〜10μmの粒子であり、ポリエステル樹脂(A)が線形ポリエステル(A1)お
    よび非線形ポリエステル(A2)を含有し、(A1)の酸価が10〜200mgKOH/
    gであり、(A1)のガラス転移温度〔Tg〕(℃)とフロー軟化点〔Tm〕(℃)が〔
    Tm〕−〔Tg〕≦38(℃)の関係を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー
    あって、(A1)のガラス転移温度〔Tg〕が45〜75℃であり、かつ水酸基価が25
    〜125mgKOH/gである静電荷像現像用トナー
  2. (A2)のテトラヒドロフラン(THF)不溶解分が3〜50重量%である請求項1
    記載の静電荷像現像用トナー。
  3. (A1)と(A2)の重量比が、10/90〜95/5である請求項1または2記載
    の静電荷像現像用トナー。
  4. さらに離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種以上の添加剤を含有す
    る請求項1〜のいずれか記載の静電荷像現像用トナー。
  5. ポリエステル樹脂(A)と着色剤を含有するトナー粒子を含む静電荷像現像用トナー
    の製造方法であって、少なくとも体積平均粒径が1μm以下の樹脂粒子を水中に分散させ
    る工程、前記樹脂粒子を凝集させる行程、および凝集した樹脂粒子を融合して体積平均粒
    径が3〜10μmのトナー粒子を得る工程を含み、ポリエステル樹脂(A)が線形ポリエ
    ステル(A1)および非線形ポリエステル(A2)を含有し、(A1)の酸価が10〜2
    00mgKOH/gであり、(A1)のガラス転移温度〔Tg〕(℃)とフロー軟化点〔
    Tm〕(℃)が〔Tm〕−〔Tg〕≦38(℃)の関係を満たし、(A1)のガラス転移
    温度〔Tg〕が45〜75℃であり、かつ水酸基価が25〜125mgKOH/gである
    ことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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