JP4909232B2 - 情報処理装置、および画像処理装置、並びに、それらの方法 - Google Patents

情報処理装置、および画像処理装置、並びに、それらの方法 Download PDF

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Description

本発明は、ハーフトーンスクリーンの作成およびハーフトーンスクリーンを用いる画像処理に関する。
光ビームを走査して、有機光導電体(OPC)やアモルファスシリコンなどの感光ドラムの一様に帯電された表層から電荷を除去する露光過程をもつ電子写真方式の印刷装置は非線形特性を有する。また、現像、転写、定着などの電子写真プロセスの複雑さも非線形特性の要因になる。
この非線形特性により、印刷ドットの間で干渉が生じる。例えば、独立した1ドットを印刷しようとしてもドットは記録され難く、数ドットのクラスタ状態になると確実にドットが記録される。また、ドット間の距離が小さいとトナーが移動してドットがつながることがある。なお、インクジェット方式のように、インク滴をメディアに付着させてドットを記録するプロセスは、インクとメディアの間のミクロ現象はあるが、印刷ドットの間の干渉は生じ難く、確実にドットを記録することができる。
電子写真方式の印刷装置による印刷画像は、上記の電子写真プロセスの非線形特性により、空間周波数の変動に大きく影響される。電子写真プロセスにより中間調画像を形成する場合、非線形性を考慮して、網点方式を利用する。網点方式を利用すれば基本空間周波数が固定され、空間周波数の変動を受けずに、ドットを安定に記録することができる。例えば、網点の線数をN線/インチとすると、網点のピッチPは25.4/N[mm]になる。つまり、空間周波数は1/(2P)=N/(2×25.4)であり、基本空間周波数が固定されたことになる。従って、基本空間周波数において、常に、電子写真プロセスが安定化するように印刷装置を設計すれば、印刷画像を安定に形成することができる。例えば、1200dpiの印刷装置において200線/インチの網点スクリーンの基本空間周波数は4サイクル/mmである。つまり、4サイクル/mmの空間周波数において電子写真プロセスを安定化させれば、印刷装置の画像再現特性が向上する。
網点方式によるAM変調方式は、安定な画像再現特性が得られる。その反面、カラー印刷においてはCMYK各色のトナーを重ねることでモアレが発生し易い。モアレを抑えるには、色成分ごとにスクリーン角を変えて、色成分の間で生じるモアレビートを高周波側に追いやり、モアレが視覚的に目立たないようにする。例えば、Yのスクリーン角を30度、C、M、Kのスクリーン角を0または60度にして、色トナーの重なりによるモアレを抑制する。
また、ディジタルハーフトーン処理においては、ディジタル画像の解像度が離散的であるためスクリーン角を任意に取ることはできない。しかし、色成分ごとに最適かつ離散的なスクリーン角を選択すれば、モアレを抑制することができる。
ただし、スクリーン角を導入し最適化しても、モアレビートを高周波側に追いやるだけで、色成分の重なりによって生じる独特のパターンが残る。これが所謂ロゼッタパターンであり、高画質な画像を出力する場合の障害になる。とくに、高画質の写真画像を出力する場合、銀塩プロセスの写真のように滑らかな画質再現が求められ、ロゼッタパターンは大きな障害である。
別のアプローチとして、誤差拡散やブルーノイズマスクによるFM変調方式によって階調を再現する方法がある。FM変調方式は、印刷ドットの配置がランダムになり、階調性も良好で、色成分の重なりによるモアレもないため、インクジェット方式や熱転写方式などで広く採用される。しかし、FM変調方式は、ドット間隔が変化し、ドット間隔を自由にコントロールすることができない。例えば、濃度値が高くなるに連れてドットの間隔が徐々に縮まる。このため空間周波数特性が高周波数に及び、印刷装置の周波数特性の影響をもろに受ける。従って、空間周波数変動の影響を受け易い電子写真方式の印刷装置にFM変調方式は向かない。
上記の問題を改善する方式として、ハイブリッドハーフトーン方式が注目されている。この方式は、AM変調方式とFM変調方式の中間的な方式で、両者の特長を併せもつ。ハイブリッドハーフトーン方式は、ドットを網点のようにクラスタ化して、各ドットの間隔を変動させる。ドットの間隔の変動が不規則で異方性をもつため、ドット間の空間的な相関性が低下して、モアレの発生が抑制される。
ハイブリッドハーフトーン方式は、例えば非特許文献1、特許文献1などに開示されている。これら文献に記載された技術によれば、ドットを網点のようにクラスタ化し、乱数と回転操作により格子点(網点の中心位置)を移動することで周期性を喪失させ、モアレの発生を抑制する。ハイブリッドハーフトーンスクリーンの作成は、様々な方法が提案されているが、何れもAM変調方式の長所(印刷安定性)とFM変調方式の長所(モアレ解消、高解像度)を特長とし、高線数で高画質な画像出力が期待できる。
ただし、ハイブリッドハーフトーン方式は、2400dpiといった高解像度の印刷機をターゲットとし、一つの網点を高解像度に形成することを前提とする。一方、オフィス用の電子写真方式のプリンタの解像度は600dpi程度であり、高い網点線数と充分な階調特性を両立させることは難しい。さらに、光ビームを走査するエンジンのピッチむらや、機械振動によるバンディングノイズなどは画質を著しく劣化させる要因になり、オフィス用のプリンタにハイブリッドハーフトーン方式を適用するには特別な配慮が必要である。
電子写真方式の印刷装置にハイブリッドハーフトーン方式を適用すると、低濃度域および中濃度域は比較的良好な階調特性を示す。しかし、高濃度域は網点が成長して網点間の白領域の面積が低下して、一から二画素幅の白領域になる。このため、温度、機械振動、電子写真プロセス変動などによって、白領域は潰れ易い不安定な状態になり、前述したピッチむらやバンディングノイズによって画質が著しく劣化する。
白領域の潰れを回避する方法として、白ドットを導入する方法がある。AM変調方式では、市松模様状に黒ドットと白ドットを配置して、中間濃度を境に、白ドットを外側から黒ドット化する(黒ドットを成長させる)。つまり、濃度軸に対して、黒ドットと白ドットを対称に成長させて、白ドットの安定性を図る。しかし、市松模様状に白ドットを配置するため、白ドットを導入しない(すべて黒ドットの)場合に比べて網点線数は約√(1/2)≒0.7に低下する。
600dpiのプリンタにより平均175線の網点スクリーンを形成する場合、白ドットを導入しない状態では、平均3.4×3.4画素の閾値マトリクスを用いて、約12画素が一つの閾値マトリクスを構成する網点の対象になる。しかし、白ドットを導入すると、約2.4×2.4画素の閾値マトリクスになり、一つの閾値マトリクスを構成する網点の対象は約六画素でしかない。つまり、所望の網点スクリーンを構成することは困難になり、解像度が低いオフィス用のプリンタに白ドットを導入することは難しい。言い換えれば、低解像度のプリンタでは、白ドットを導入せずに、高線数で高画質な安定した階調再現性が要求される。
特開2005-136612公報 「非周期的クラスター型カラーハーフトーンスクリーン」画像電子学会誌、第35巻第5号566-575頁(2006)
本発明は、電子写真方式の低解像度プリンタに適用可能なハーフトーン処理用の閾値マトリクスを作成することを目的とする。
また、モアレの発生を抑制し、良好な階調再現が得られるハーフトーン処理用の閾値マトリクス成することを他の目的とする。
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
本発明にかかる処理は、ハーフトーン処理用の閾値マトリクスを生成する際に、所定領域に配置された網点格子点の座標を非周期的かつランダムに変位し、前記所定領域を前記変位した網点格子点を囲む多角形に分割し、前記多角形が囲む網点を前記変位の向きに成長させる前記閾値マトリクスを生成することを特徴とする。
本発明によれば、電子写真方式の低解像度プリンタに適用可能なハーフトーン処理用の閾値マトリクスを作成することができる。
また、モアレの発生を抑制し、良好な階調再現が得られるハーフトーン処理用の閾値マトリクス成することができる。
以下、本発明にかかる実施例の画像処理を図面を参照して詳細に説明する。
[装置の構成]
図1は実施例の画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
スキャナ11と、電子写真方式のプリンタ12を有する複合機(MFP)10は、内蔵するコントローラ13によって、その機能が制御される。
コントローラ13のCPU17は、RAM15をワークメモリとして、ROM14やハードディスクドライブ(HDD)16に格納されたオペレーティングシステム(OS)や各種プログラムを実行する。HDD16は、制御プログラム、画像処理プログラムなどのプログラムや画像データを記憶する。
CPU17は、表示部18にユーザインタフェイスを表示して、表示部18のソフトウェアキーや、操作パネル19のキーボードからユーザの指示を入力する。例えば、ユーザ指示がコピーを示す場合、スキャナ11によって読み取った原稿画像をプリンタ12によって印刷する(コピー機能)。
通信部20は、図には示さないが、公衆回線やネットワークに接続する通信インタフェイスである。CPU17は、ユーザ指示がファクシミリ送信を示す場合、スキャナ11によって読み取った原稿画像を、通信部20を制御してユーザが指定する相手先にファクシミリ送信する(ファクシミリ機能)。また、ユーザ指示がプッシュスキャンを示す場合、スキャナ11によって読み取った原稿画像を、通信部20を制御して指定のサーバ装置に送信する(プッシュスキャン機能)。また、通信部20がファクシミリ画像を受信した場合、CPU17は、受信画像をプリンタ12で印刷する(ファクシミリ機能)。また、通信部20が印刷ジョブを受信した場合、CPU17は、印刷ジョブに従いプリンタ12で画像を印刷する(プリンタ機能)。また、通信部20がプルスキャンジョブを受信した場合、CPU17は、スキャンジョブに従いスキャナ11によって読み取った原稿画像を指定のサーバ装置やクライアント装置に送信する(プルスキャン機能)。
●光学系の構成
図2はプリンタ12の光学系の構成例を示す図である。
半導体レーザ素子などのビーム光源27から出力された光ビーム26は、球面系あるいはアナモフィック光学系によるコリメータレンズ28を介して回転多面鏡25の反射面に入射する。回転多面鏡25の回転により偏向された光ビーム26は、f-θレンズなどの結像レンズ29を介して、回転する感光ドラム30上に結像し、感光ドラム30上を光走査する。
●ドットジェネレータ
図3はハイブリッドハーフトーンスクリーン(以下、HHS)を生成するドットジェネレータの構成例を示すブロック図である。なお、ドットジェネレータは、コントローラ13の一部として構成される。
同期信号入力部35は、同期信号として、プリンタ12から1ラインの走査タイミングを示す水平同期信号Hsync、一頁の走査タイミングを示す垂直同期信号Vsync、および、画素クロックVclockを入力する。これら同期信号は、順次、RAM15に割り当てられた画像メモリ31に入力され、感光ドラム30の走査位置に対応する画像データが出力される。また、同期信号は、順次、ROM14またはRAM15に割り当てられたディザ閾値メモリ32に入力され、感光ドラム30の走査位置に対応する、後述する閾値マトリクスが出力される。
比較器33は、感光ドラム30の走査位置に対応する画像データと閾値マトリクスを入力して、画像データと閾値マトリクスの各セルの閾値を比較して、セルごとに、下式に従い二値信号を出力する。
D ≧ Th0の場合、出力信号=‘1’
D < Th0の場合、出力信号=‘0’ …(1)
ここで、Th0は閾値、
Dは画像データ
レーザドライバ34は、比較器33が出力する二値信号に従いビーム光源27を駆動して、ビーム光源27の発光を制御する。つまり、比較器33の出力信号が‘1’の場合はビーム光源27に光ビーム26を出力させ(レーザオン)、‘0’の場合はビーム光源27に光ビーム26を出力させない(レーザオフ)。
[HHSの作成]
図4はHHSを作成する処理を説明するフローチャートで、CPU17が実行する処理である。
●「揺らぎ」「回転」操作
CPU17は、ROM14またはHDD16から、整列した(規則正しく並んだ)正方網点格子列の情報(格子間隔p)を入力する(S21)。図5は正方網点格子列を示す図で、網点格子点が間隔pで整列した格子点列である。HHSの平均格子間隔を与える網点格子の密度は、形成する画像の線数が目標値になるように決定する。
次に、CPU17は、網点格子点列に「揺らぎ」と「回転」操作を与え(S22)、その結果から変位ベクトルを計算する(S23)。図6は「揺らぎ」操作を示す図で、網点格子点Pに、x方向とy方向にランダムな変位Vx、Vy与える操作である。変位ベクトルV1は次式で示される。
V1 = (Vx1, Vy1) …(2)
ここで、Vx1はx方向のランダムな変位、
Vy1はy方向のランダムな変位
図7は「揺らぎ」操作によって変位を与えた網点格子点を示す図である。図8は「揺らぎ」操作による各網点格子点の変位ベクトルを示す図で、ランダムな変位を与えるため、変位ベクトル間の相関はない。
図9は「回転」操作によって点132を回転中心とする変位を与えた網点格子点を示す図である。「回転」操作後の網点格子点の座標は次式で表される。
Px' = (Px - Jx)cosθ - (Py - Jy)sinθ + Jx
Py' = (Px - Jx)sinθ + (Py - Jy)cosθ + Jy …(3)
ここで、(Px, Py)は回転前の網点格子点の座標、
(Px', Py')は回転後の網点格子点の座標、
(Jx, Jy)は回転中心132の座標
式(3)において、θは回転角で、下式に示すように、回転中心132から離れるに従い小さくなる。
θ = θ0(1 - r/r0) …(4)
ここで、rは回転中心132から網点格子点(Px, Py)までの距離、
r0は回転を与える半径(図9に符号133で示す)、
θ0は回転中心132における回転角
「回転」操作には色々な方法が考えられるが、ここでは簡単な式(4)の方式を説明する。この「回転」操作により、回転前の網点格子点と回転後の網点格子点の変位ベクトルV2は次式で示される。
V2 = (Vx2, Vy2) = (Px'-Px, Py'-Py) …(5)
図10は「回転」操作による各網点格子点の変位ベクトルを示す図で、ランダムな変位を与えるため、変位ベクトル間の相関はない。
●ボロノイ分割
次に、CPU17は、変位後の網点格子点を母点としてボロノイ(Voronoi)分割を行いボロノイ多角形を作成し、各ボロノイ多角形の重心点を計算する(S24)。網点格子点Piに対するボロノイ多角形は次式に示す点V(Pi)の集合であり、ボロノイ多角形は網点格子点Piの勢力圏を現す。
V(Pi) = {P|d(P, Pi) < d(P, Pj), ∀j≠i} …(6)
ここで、PjはPiに隣接する網点格子点、
d(P, Pi)は点Pと網点格子点Piの距離、
d(P, Pj)は点Pと網点格子点Pjの距離
ボロノイ多角形の辺(ボロノイ境界)は、ドロネ(Delaunay)三角形の外心点を結ぶ線分である。また、ドロネ三角形は、隣接する網点格子点間を結ぶ線分を辺としてもち、網点格子点に対して一義的に決まる。従って、ボロノイ多角形も一義的に決まる。ドロネ三角形の外心点(Gx, Gy)は次式で表される。
Gx = {X02(Y1-Y2) + X12(Y2-Y0) + X22(Y0-Y1) - (Y0-Y1)(Y1-Y2)(Y2-Y0)}/L
Gy = -Gx(X2-X1)/(Y2-Y1) + (X2-X1)(X1+X2)/2/(Y2-Y1) + (Y1+Y2)/2 …(7)
ここで、L = 2{X0(Y1-Y2) + X1(Y2-Y0) + X2(Y0-Y1)}、
(X0, Y0)、(X1, Y1)、(X2, Y2)はドロネ三角形の頂点座標
このように、一つの網点格子点を内部にもつボロノイ多角形を形成し、ボロノイ多角形を網点形状にする。初期の正方網点格子列は周期性をもつが、「揺らぎ」「回転」操作によって周期性は乱される。従って、モアレの発生を抑制することができる。
CPU17は、ボロノイ多角形の重心点を黒化(網点の成長)の中心にする。なお、ボロノイ多角形の重心は、ボロノイ多角形を三角形に分割し、各三角形の重心と面積を求め、各三角形の重心にその三角形の面積を加重して、重心の平均値を計算することで求まる。図11はボロノイ多角形および各ボロノイ多角形の重心(×印)を示す図である。一般に、重心の位置は網点格子点の位置と異なり、重心を新たな黒化の中心とすることで、接近し過ぎた網点格子点を緩和する(引き離す)効果があり、均一性や一様性に効果的である。
●多角形の扁平化
次に、CPU17は、黒化領域(網点形状)を決定する(S25)。「揺らぎ」による変位ベクトルV1と、「回転」による変位ベクトルV2は合成されて下式に示すベクトルVが得られる。
V = V1 + V2 = (Vx1+Vx2, Vy1+Vy2) …(8)
図12はボロノイ多角形の一つを示す図で、ボロノイ多角形136は重心134と合成変位ベクトル135をもつ。図13は変位ベクトル135に沿ってボロノイ多角形136を扁平化して網点形状を決定する方法を示す図である。
ボロノイ多角形136の各頂点と、変位ベクトル135の中点が一致するように各頂点にベクトル135aを配置し、ベクトル135aの始点と終点を頂点とするボロノイ多角形136に相似の多角形136aと136bを生成する。つまり、ベクトル135aに沿ってボロノイ多角形136を各方向に拡張した多角形136aと136bを生成する。そして、多角形136aの頂点A、B、Cおよび多角形136bの頂点D、E、F、Gから、網点形状を示す凸包多角形(扁平化した多角形)ABCDEFGを生成する。この扁平化により、N角形のボロノイ多角形から最大N+2角形の多角形が生成される。
●黒化の過程
黒化の過程(網点の成長過程)を図14から図16を参照して説明する。
図14はハイライト寄りの網点を示す図で、網点面積率が小さい場合を示す。多角形ABCDEFGは、ボロノイ多角形の重心134を中心として、網点の成長とともに相似形を保持しながら拡大する。つまり、ボロノイ多角形の重心134を網点の成長中心にする。図18は網点面積率30%時の網点を示す図である。変位ベクトルの向きに扁平化された網点が「回転」操作に伴う渦巻状のパターンをもって形成される。
図15は網点が成長して(網点面積率が大きくなり)隣接するボロノイ多角形に接する状態を示す図である。多角形ABCDEFGは、網点面積率が大きくなると、変位ベクトルに沿う向きにある辺BCと辺EFが隣接するボロノイ多角形の辺に接する。辺BCと辺EFは、扁平化前のボロノイ多角形の対応する辺と平行であり、隣接するボロノイ多角形と、点ではなく辺で接する。なお、図15の状態に達すると、変位ベクトルの向きに沿う網点の成長は終了する。
図16は網点がさらに成長した状態を示す図で、変位ベクトルの向きに交差する方向に網点が成長し、辺ABと辺DEが隣接するボロノイ多角形の辺に接する。この状態で白領域として残るのは、△P1A'G'と△P2C'D'で、扁平化前のボロノイ多角形内の一部に白領域が集中する。
図18から図20は黒化(網点の成長)過程を示す図で、変位ベクトルの向きに沿って網点が成長する様子を示す図である。
●閾値マトリクスの作成
次に、CPU17は、閾値マトリクスを作成する(S26)。図17はあるボロノイ多角形の黒化(網点の成長)用の閾値マトリクスを示す図である。
閾値マトリクスは、ボロノイ多角形内をドットサイズに応じて分割し、各区画(セル)に、ドットをオフからオンに切り替える、画素値に対する閾値を設定したものである。ボロノイ多角形が沢山の画素(区画)を含む場合、成長過程の網点形状は、前述した扁平化後の多角形に略相似である。しかし、解像度が低いプリンタにおいて高線数のHHSを形成すると、一つのボロノイ多角形が含む画素(区画)の数は極めて少なく、成長過程の網点の形状は扁平化後の多角形に相似とは言えず、多少変形するが、白ドット面積の集中化効果に違いはない。
勿論、CPU17は、一つの網点格子点に対応するボロノイ多角形の閾値マトリクスを作成するわけではなく、HHS全体のボロノイ多角形の閾値マトリクスを作成する。これら閾値マトリクスは、変位前の網点格子点の位置に関連付けされて、例えばHDD16に格納される。
[階調数の増加]
図17に示す閾値マトリクスの例では、画素の数が60個のため61階調しか表現できない。そこで、レーザドライバ34による光ビームのパルス幅変調を加えて、階調数を増すことが可能である。
図21は印刷画像の階調数を増やす場合のドットジェネレータの構成例を示すブロック図である。図3と異なる構成は、ディザ閾値メモリ32aと32bの二つのディザ閾値メモリがある点である。図22はディザ閾値メモリ32aと32bに格納された閾値マトリクスを示す図で、図22(a)は奇数の閾値を、図22(b)は偶数の閾値を示すように交互に閾値が設定されている。つまり、あるボロノイ多角形について、ディザ閾値メモリ32aには図22(a)に示す閾値マトリクスが格納され、ディザ閾値メモリ32bには図22(b)に示す閾値マトリクスが格納される。
比較器33は、感光ドラム30の走査位置に対応する画像データと二つの閾値マトリクスを入力して、画像データと各セルの閾値を比較して、セルごとに、下式に従い値信号を出力する。
Th0 ≦ D の場合、出力信号=‘2’
Th1 ≦ D < Th0の場合、出力信号=‘1’ …(9)
D < Th1の場合、出力信号=‘0’
ここで、Th0、Th1は閾値、
Dは画像データ
なお、図22に示す例では、入力される画像データを120で正規化する必要がある。つまり、画像データが8ビットだとすると、比較器33は、画像データ×120/255を計算し、正規化後の画像データによって上記の比較を行う。なお、図22に示す例では、正規化後の画像データは小数点以下一桁の有効数字をもつことが好ましい。
レーザドライバ34は、比較器33が出力する三値信号に従いビーム光源27の発光を制御する。つまり、図23(a)に示すように、比較器33の出力信号が‘2’の場合はビーム光源27にパルス幅Tの光ビーム26を出力させる。また、‘1’の場合はビーム光源27にパルス幅T/2の光ビーム26を出力させ、‘0’の場合はビーム光源27に光ビーム26を出力させない。こうすれば、パルス幅変調により階調数が増え、画素の数が60の閾値マトリクスを用いた場合、121階調を得ることができる。
ただし、図23(b)に示すようにパルス幅T/2の光強度のピーク値は、パルス幅Tの光強度のピーク値に比べて低く、パルス幅T/2による露光は非常に不安定である。そこで、レーザドライバ34は、パルス幅T/2で形成するドット(以下、半ドット)が、パルス幅Tで形成したまたは形成するドット(以下、全ドット)に隣接するようにビーム光源27の発光タイミングを制御する。
例えば、図23(c)はドット幅の左側に半ドットを形成し、続いて全ドットを形成するようにビーム光源27の発光タイミングを制御する例であるが、ドット幅の右側に全ドットから孤立した半ドットが形成されるため、半ドットは非常に不安定である。一方、図23(d)はドット幅の右側に半ドットを形成し、続いて全ドットを形成するようにビーム光源27の発光タイミングを制御する例であるが、全ドットに隣接して半ドットが形成されるため、安定して半ドットを形成することができる。
上記ではプリンタ10のコントローラ13がHHSを生成するように説明した。しかし、形成する画像の線数に応じた平均格子間隔のHHSを予め作成して、HDD16などに格納しておき、画像形成に必要なHHSをディザ閾値メモリ32にロードして利用すればよい。
このように、電子写真方式のオフィスプリンタにも適用可能なハイブリッドハーフトーンスクリーン(HHS)を生成することができる。このHHSを使用して印刷画像を形成すれば、白領域のクラスタ化により高濃度域(シャドウ域)における階調性の安定性を図ることができる。従って、電子写真方式のオフィスプリンタにおいて、白ドットを導入せずに、モアレを抑制した、高線数で高画質な安定した階調再現性が達成される。
以下、本発明にかかる実施例2の画像処理を説明する。なお、実施例2において、実施例1と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
図24は実施例2のHHSを生成する処理を説明するフローチャートで、CPU17が実行する処理である。図4に示す処理と異なるのは、格子点列に副走査方向の変位与える(S27)ことである。
前述したように、電子写真方式の印刷装置は、ピッチむらやバンディングノイズの影響を受け易い。図25(a)に示すように、レーザスポット40は、感光ドラム30上を主走査され、走査ライン41aと41bは、通常、副走査方向44に規則正しい間隔をもつ。しかし、回転多面鏡26の反射面の傾きや感光ドラム30の回転むらなどにより、図25(b)に破線で示すように、間隔が不規則な走査ライン42aと42bになる。走査ラインの間隔が不規則になると、印刷画像には、帯状の縞模様(所謂バンディングノイズ)が生じて、画質が著しく低下する。
走査ラインの間隔が不規則に起因する画質劣化を軽減するために、格子点列に副走査方向の変位を与える。副走査方向44を向く変位ベクトルV3は下式で表される。ただし、y方向を副走査方向と定義すると変位ベクトルV3はx方向の成分だけになる。
V3 = (Vx3, Vy3) = (Vx3, 0) …(10)
前述した変位ベクトルV1、V2に、変位ベクトルV3を合成した、変位ベクトルVは下式で表される。
V = V1 + V2 +α・V3 = (Vx1+Vx2+α・Vx3, Vy1+Vy2) …(11)
ここで、係数αは副走査方向の変位ベクトルの強度を表す
式(11)に示す係数αの大きさを調整して、網点の副走査の連結の強度を制御することができる。
図26は副走査方向の変位を加えた各格子点の変位ベクトルを示す図で、図10に示す変位ベクトルに比べて副走査方向(図26においては縦方向)のベクトル成分が増えている。図27は網点面積率30%時の網点を示す図で、図18に示す網点と比べると、網点が副走査方向に扁平化されている。また、図28は網点面積率70%の網点を示す図で、前述した係数αの設定に依存するが、網点は全体的に副走査方向に連結して行くことが分かる。
図29は網点の副走査方向の連結による効果を説明する図である。
通常、光ビームのスポット40は、副走査方向44に長軸をもつ楕円である。走査ライン42aと42bにピッチむらが生じても、副走査方向44に連続する線はスポット40が重なるため、ピッチむらの影響を受け難い。一方、主走査方向に連続する線は、スポット40が重なる効果を受け難く、バンディングノイズを解消することができない。例えば、ピッチむらがあるプリンタによって二画素おきに一画素幅の縦線(副走査方向に沿う線)と横線(主走査方向に沿う線)を等間隔に描画する。この場合、縦線はピッチむらの影響を受けないが、横線はピッチむらの影響を受け、横線の間隔が変化し、これが濃度むらとなってバンディングノイズを生じる。
実施例2のように、網点格子点に副走査方向の変位を与えれば、副走査方向に連結したライン成分を多く含むようになり、ピッチむらの影響を受け難くなり、安定した高画質出力を期待することができる。
[他の実施例]
なお、本発明は、複数の機器(例えばコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置、制御装置など)に適用してもよい。
また、本発明の目的は、上記実施例の機能を実現するコンピュータプログラムを記録した記憶媒体をシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(CPUやMPU)が前記コンピュータプログラムを実行することでも達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたソフトウェア自体が上記実施例の機能を実現することになり、そのコンピュータプログラムと、そのコンピュータプログラムを記憶する、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体は本発明を構成する。
また、前記コンピュータプログラムの実行により上記機能が実現されるだけではない。つまり、そのコンピュータプログラムの指示により、コンピュータ上で稼働するオペレーティングシステム(OS)および/または第一の、第二の、第三の、…プログラムなどが実際の処理の一部または全部を行い、それによって上記機能が実現される場合も含む。
また、前記コンピュータプログラムがコンピュータに接続された機能拡張カードやユニットなどのデバイスのメモリに書き込まれていてもよい。つまり、そのコンピュータプログラムの指示により、第一の、第二の、第三の、…デバイスのCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、それによって上記機能が実現される場合も含む。
本発明を前記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応または関連するコンピュータプログラムが格納される。
実施例の画像処理装置の構成例を示すブロック図、 プリンタの光学系の構成例を示す図、 ハイブリッドハーフトーンスクリーン(HHS)を生成するドットジェネレータの構成例を示すブロック図、 HHSを作成する処理を説明するフローチャート、 正方網点格子を示す図、 「揺らぎ」操作を示す図、 「揺らぎ」操作によって変位を与えた網点格子を示す図、 「揺らぎ」操作による各格子点の変位ベクトルを示す図、 「回転」操作によって点を回転中心とする変位を与えた網点格子を示す図、 「回転」操作による各格子点の変位ベクトルを示す図、 ボロノイ多角形および各ボロノイ多角形の重心を示す図、 ボロノイ多角形の一つを示す図、 変位ベクトルに沿ってボロノイ多角形を扁平化して網点の形状を決定する方法を示す図、 ハイライト寄りの網点を示す図、 網点が成長して隣接するボロノイ多角形に接する状態を示す図、 網点がさらに成長した状態を示す図、 あるボロノイ多角形の黒化用の閾値マトリクスを示す図、 黒化(網点の成長)過程を示す図、 黒化(網点の成長)過程を示す図、 黒化(網点の成長)過程を示す図、 印刷画像の階調数を増やす場合のドットジェネレータの構成例を示すブロック図、 ディザ閾値メモリに格納された閾値マトリクスを示す図、 ビーム光源の発光制御を説明する図、 実施例2のHHSを生成する処理を説明するフローチャート、 バンディングノイズの発生を説明する図、 副走査方向の変位を加えた各格子点の変位ベクトルを示す図、 網点面積率30%時の網点を示す図、 網点面積率70%の網点を示す図、 網点の副走査方向の連結による効果を説明する図である。

Claims (12)

  1. ハーフトーン処理用の閾値マトリクスを生成する情報処理装置であって、
    所定領域に配置された網点格子点の座標を非周期的かつランダムに変位する変位手段と、
    前記所定領域を前記変位した網点格子点を囲む多角形に分割する分割手段と、
    前記多角形が囲む網点を前記変位の向きに成長させる前記閾値マトリクスを生成する生成手段とを有することを特徴とする情報処理装置。
  2. 前記生成手段は、前記変位の向きに隣接する前記多角形と接するまで前記網点を成長させた後、前記変位の向きと交差する向きにだけ前記網点を成長させる前記閾値マトリクスを生成することを特徴とする請求項1に記載された情報処理装置。
  3. 前記変位手段は、前記網点格子点に揺らぎ処理および回転処理を与えて、前記網点格子点を変位することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された情報処理装置。
  4. 前記変位手段は、前記網点格子点に、さらに副走査方向への変位を加えることを特徴とする請求項3に記載された画像処理装置。
  5. 前記生成手段は、画像形成装置のドットサイズに応じて前記多角形を分割した数分のセルを有する前記閾値マトリクスを生成し、前記セルそれぞれに画像データと比較する閾値を設定することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載された情報処理装置。
  6. 前記生成手段は、前記分割手段が分割した多角形の数分の前記閾値マトリクスを生成し、前記変位前の網点格子点の位置に関連付けて前記閾値マトリクスをメモリに格納することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載された情報処理装置。
  7. 前記変位前の網点格子点は、形成すべき画像の線数に応じた間隔を有することを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載された情報処理装置。
  8. さらに、前記変位の向きに前記多角形を拡張した網点形状を決定する決定手段を有し、前記生成手段は、前記網点形状に相似な形状で網点を成長させる前記閾値マトリクスを作成することを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載された情報処理装置。
  9. 請求項1から請求項8の何れか一項に記載された情報処理装置が生成した閾値マトリクスを格納するメモリと、
    画像形成装置の同期信号に従い、画像データを入力し、前記閾値マトリクスを前記メモリから入力して、前記画像データと前記閾値マトリクスの各セルの閾値を比較する比較手段と、
    前記比較の結果に応じて、前記画像形成装置のレーザ光源を駆動する駆動手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
  10. 変位手段、分割手段、生成手段を有し、ハーフトーン処理用の閾値マトリクスを生成する情報処理装置の情報処理方法であって、
    前記変位手段が、所定領域に配置された網点格子点の座標を非周期的かつランダムに変位し、
    前記分割手段が、前記所定領域を前記変位した網点格子点を囲む多角形に分割し、
    前記生成手段が、前記多角形が囲む網点を前記変位の向きに成長させる前記閾値マトリクスを生成することを特徴とする情報処理方法。
  11. 請求項1から請求項8の何れか一項に記載された情報処理装置が生成した閾値マトリクスを格納するメモリ、比較手段、駆動手段を有する画像処理装置の画像処理方法であって、
    前記比較手段が、画像形成装置の同期信号に従い、画像データを入力し、前記閾値マトリクスを前記メモリから入力して、前記画像データと前記閾値マトリクスの各セルの閾値を比較し、
    前記駆動手段が、前記比較の結果に応じて、前記画像形成装置のレーザ光源を駆動することを特徴とする画像処理方法。
  12. コンピュータを請求項1から請求項8の何れか一項に記載された情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
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