JP4906572B2 - 循環浄化式用水槽のレジオネラ属菌不活性化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アメーバ等の原生動物がレジオネラ属菌の宿主となることを阻止することによってレジオネラ菌の増殖を抑えることを可能にした循環式用水槽の原生動物不活性化方法に関する。
従来のレジオネラ症対策は、例えばレジオネラ肺炎がエアロゾルの吸入によって起きるものとし、レジオネラ属菌を対象とした塩素、オゾン、二酸化塩素等の薬剤、紫外線や光触媒等による殺菌法を実施するものであった。また、細菌検査によってレジオネラ属菌が検出された場合は、前記薬剤の他に過酸化水素等の酸化剤を用いて、例えば0.2%のような高濃度の薬剤による循環流路の消毒もなされてきた。
ところで、温泉等に設けられている風呂、スポーツや宿泊等の事業目的で設置されている入浴施設ならびに公衆浴場等の用水槽内でレジオネラ属菌が増殖し、行政指導による検査の実施が近年急速に進んだため、レジオネラ属菌が頻繁に検出されるようになった。とくに、家庭用の循環式24時間風呂、特養ホーム循環風呂、温泉や冷却塔水ではその陽性率が50%を超えて高い。
レジオネラ属菌は、ごくありふれた環境、例えば河川の泥中、小川や湖沼等水温が50℃以下のところに原生動物に寄生する形で生存している。しかし、宿主の密度との関係から、自然環境中の生存密度はそれほど高くはない。ところが、前記の人工的環境のもとでは異常に増殖し、とくに気泡を発生する浴槽やシャワー等で用水の飛沫が発生しやすい施設において、利用者がこれを吸入するとレジオネラ肺炎を発症する確率が高くなる。レジオネラ症の事故は、例外なく建築物内や露天風呂など人工的環境のもとで発生している。
レジオネラ属菌が増殖して概ね千個を超えて肺に吸入されたとき、免疫力が低下している人は肺炎を引き起こすとされている。しかし、飛沫水滴の水分が気化して菌の塊がエアロゾルになるとしても、用水の水滴―つに千個のレジオネラ属菌が常時含まれるほど、水滴中の菌が均一に高濃度分散している可能性は低い。すなわち、水滴となる前の用水中でもレジオネラ属菌は偏在していることが発明者の永年の研究で判明した。
菌数偏在の具体的形態は、アメーバ等の原生動物の細胞内に寄生し増殖しているもので、顕微鏡像としてすでに観察されている。従来の技術は、各種の細菌が水中に形成する生物膜(バイオフィルム)内でレジオネラ属菌も増殖するという前提に立っていた。すなわち、循環浄化によってこの生物膜はろ過装置内に抑留されているものとみなし、浄化後の用水には比較的均一にレジオネラ属菌が増殖、分散していると解釈してきた。しかし、本願発明者の研究によれば、この認識は誤りで、レジオネラ属菌は特定の生体細胞のなかでしか増殖しない。レジオネラ属菌は宿主単位の塊で偏在している。
すなわち、本願発明者の研究によって、まず、レジオネラ属菌がアメーバ細胞の食胞内でのみ増殖するという機構と、つぎに水分が気化したエアロゾルの粒子一つ一つには死骸となったアメーバの原形質膜に包まれた菌の塊が存在し、肺胞に到達して原形質膜を破って出てきたレジオネラ属菌が個々に新たな宿主を探して寄生する活動を始めることで肺炎を発症するという機構との二つの機構が解明された。
本発明は、以上の解明事実に基づき、レジオネラ属菌の増殖を直接的に抑止しなくても宿主の増殖を抑制して足りることに着目してなされたもので、アメーバ等の原生動物がレジオネラ属菌の宿主となることを阻止することによってレジオネラ菌の増殖を抑えることを可能にする循環式用水槽の原生動物不活性化方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するための手段として、第1の手段は、
循環浄化式用水槽の被処理液体に、該循環式用水槽の利用時間帯から外れた時間帯では、モノクロラミンを生成するためのアンモニア性窒素含有薬剤と有効塩素含有塩素剤とを供給して原生動物のシスト化を促進するに足る濃度のモノクロラミンを生成させ、前記循環式用水槽の利用時間帯には有効塩素含有塩素剤のみを供給してモノクロラミンを分解し遊離塩素を残留させることによって、原生動物不活性化と同時に殺菌とウイルス不活性化を図ることを特徴とする循環式用水槽の原生動物不活性化方法である。
第2の手段は、
前記モノクロラミン生成における濃度が0.4〜2.0mg/Lであり、前記遊離残留塩素濃度が0.2mg/L以上であることを特徴とする第1の手段にかかる循環式用水槽の原生動物不活性化方法である。
上述の手段によれば、前記循環式用水槽内において、レジオネラ属菌の宿主となるアメーバ等の原生動物の増殖を有効に阻止することができる。レジオネラ属菌の宿主となるアメーバ等の原生動物の増殖が阻止されれば、必然的にレジオネラ属菌の増殖を直接的に抑止しなくてもレジオネラ菌の増殖を抑えられることになる。
図1は第1の実施の形態にかかる循環浄化式用水槽の原生動物不活性化方法を実施するための装置の構成を示す図である。以下、図1を参照にしながら本発明の第1の実施の形態にかかる循環浄化式用水槽の原生動物不活性化方法を説明する。この実施の形態は、循環浄化式用水槽として、温泉浴槽を用いる場合の例である。
図1において、符号1は源泉槽であり、源泉ポンプ1aによって源泉源から汲まれた源泉が一時滞留される。この源泉槽1に一時滞留された源泉は、給泉ポンプ2によって、入浴施設が保有する複数の浴槽3に導入される。浴槽3の温泉は、ろ過装置4によって循環浄化される。すなわち、循環ポンプ5によって浴槽3の底部から温泉の一部が吸引され、切り替えバルブ4aを通じてろ過装置4に送られ、ろ過されたあと、切り替えバルブ4aを通じて浴槽3に戻されるようになっている。なお、ろ過装置4から浴槽3に戻される途中で、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)を、薬注ポンプ7によって薬液タンク70から適宜加えることができるようになっている。また、ろ過が所定時間行われた場合、切り替えバルブ4aが切り替えられて、ろ過装置4に逆流が加えられてろ過装置の洗浄が行われ、洗浄に使われた温泉は排水設備4bに捨てられる。
ここで、この実施の形態では、源泉槽1内の源泉に、アンモニア水又はアンモニウム塩水(NH−N)を注入する薬注ポンプ6aと、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)を注入する薬注ポンプ6bとが設けられている。また、これら薬注ポンプ6a,6bは、ウイクリータイマー等のタイマー8によってそれぞれ駆動時間が制御されるようになっている。すなわち、タイマー8によって設定された時間だけ、薬注ポンプ6a及び/又は6bが
稼動し、それぞれ薬液タンク60a,60bから薬液を源泉槽1内の源泉に注入するようになっている。薬液タンク6aには、10%の塩化アンモニウム液が、薬液タンク6bには、12%次亜塩素酸ナトリウム液が、それぞれを貯留されるようになっている。
以上の装置において、この実施の形態では、浴槽3が利用されない時間帯である夜間の所定の時間帯に、薬注ポンプ6a及び6bの両方を所定時間、例えば、30分ないし1時間だけ駆動して、源泉槽1内にアンモニア水又はアンモニウム塩水(NH−N)並びに次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)を注入し、源泉槽1内の源泉中に、目標とする0.4〜2.0mg/Lのモノクロラミンが生成されるようにする。こうして処理された源泉は、給泉ポンプ2によって入浴施設が保有する複数の浴槽3に給泉される。
給泉途中の源泉には、薬注ポンプ7によって次亜塩素酸ナトリウム液が供給された後に浴槽3に送られる。したがって、モノクロラミンが残留する源泉に次亜塩素酸ナトリウムが追加される形になって、モノクロラミンの塩素化が進行する。この浴槽3の温泉水は、ろ過装置4と循環ポンプ5とによって循環浄化されるが、この過程でモノクロラミンはダイクロラミンを経て分解する。そこで、目標とする0.2mg/L以上の遊離残留塩素濃度になったら薬注ポンプ7を停止する。
この間、ろ過装置4内に抑留された濁質の隙間や原生動物および細菌類が形成した生物膜など固形物の内部ではクロラミンの不均化分解が起きて、遊離塩素を再生し、より内部まで浸透する。この作用により、栄養体として活動していたアメーバなど原生動物は食餌活動を停止し休眠の形態であるシストヘと移行する。勿論、シストになっているアメーバや細菌の細胞内部まで浸透した次亜塩素酸はデオキシリボ核酸(DNA)の塩基と反応して遺伝子機能を奪ってしまう。
以下、上記実施の形態によって示された発明について、その原理的考え方を含めてより詳細に説明する。この発明は、レジオネラ属菌の増殖は原則的に生物の細胞内、より厳密にいえばさらに内部に形成された食胞内においてのみ可能である、という知見に基づいている。きわめて限定された条件の低栄養培地においても増殖は可能で、この方法を用いてレジオネラ属菌の検査が行われている。しかし、このような例外的環境条件は、自然界にほとんど存在しない。また、生物膜は原生動物や細菌の死骸によっても形成され、生物膜のすべてが生体ではない。したがって、通常の自然環境では、寄生菌の性質を持たない細菌類がレジオネラ属菌に優先して増殖する条件になっている。レジオネラ属菌が特異的かつ爆発的に増殖する環境は、宿主であるアメーバ等原生動物が特異的に増殖する人為的につくられた環境であり、自然環境とはいえない。本発明は、この人工的環境におけるアメーバ等の異常な増殖を抑えようとするもので、レジオネラ属菌の細胞構造を直接的に完全破壊する強力な殺菌操作を狙いとしていない。
上記実施の形態によれば、利用から外れた時間帯に用水槽内にモノクロラミンを0.4〜1.0mg/Lの濃度で生成させると、数時間でレジオネラ属菌を99%(2log〉減少させることができた。この結果は、レジオネラ属菌の構造破壊によるものではなく、宿主であるアメーバが増殖できなかったためである。宿主の原形質膜から離脱して外に出たレジオネラ属菌の寿命はそれほど長いものではない。生物膜内に存在することで延命の効果があっても、いずれは自然死する。このレジオネラ属菌が新たな宿主をみつけ、原生動物の食餌活動に伴って細胞内に入ることができなければ、殺菌剤がなくてもレジオネラ属菌数は自然に減少する。
例えば図1の循環ポンプ5によってろ過装置4に入った循環用水(温泉水)中にアメーバが生き残っていたとしても、モノクロラミンの効能によってアメーバは栄養体の段階からシストの段階へと変態している。シストになったアメーバは食餌活動を停止するので、レジオネラ属に感染する確率はゼロに近くなる。被酸化性物質との反応性に劣るモノクロラミンは、ろ過機内抑留物質の内部まで深く浸透し、結果として「アメーバの増殖に適しない環境条件」という信号をシストに対してもたらす。したがって、このシストがたとえろ過装置4内に抑留されたとしても、脱シストして栄養体として復活する覚醒を起こすこ
とはない。
一方、モノクロラミンは図3の反応式のように通常ダイ(またはジ)クロラミンと平衡関係にあり、逆解離もする。また、pH依存性の高いダイクロラミンが図4の反応式で分解することも周知事実である。濁質や生物膜の内部に深く浸透したモノクロラミンの一部が平衡によってダイクロラミンになり前式の分解をすると、次亜塩素酸(HOCl)を再生する。遊離塩素の一形態である次亜塩素酸はモノクロラミンより細胞膜内に透過しやすいため、より強い殺菌力を発揮する。すなわち、固形物の表面や隙間における化学物質は局所的に起きる図3の解離平衡反応や図4の分解反応などによって遊離塩素濃度の勾配を生じる。このため、測定された用水中の均一濃度(C)と殺菌所要時間(T)との乗数であるCT値(殺菌力や不活性化力の指標)からの推定とは異なった殺菌力をもたらすことがある。
次亜塩素数とモノクロラミンの各CT値(C:mg/L、T:min.)は、腸内細菌に対しそれぞれ0.2と50、アメーバのシストに対し、それぞれ100と200が提示されている。腸内細菌に対し、モノクロラミンのCT値は次亜塩素酸の250倍になる。すなわち、それだけ弱い殺菌力しか持たない。ところが、アメーバシストに対しては2倍のCT値でしかない。この事実は、遊離塩素の濃度勾配以外の因子では説明不可能である。またこの事実は、モノクロラミンによるアメーバシストの不活性化がシストの構造破壊に伴うものではなく、シストの外形を残した内部核染色体の遺伝子変性によってもたらされていることを示唆している。本発明は、一度増殖して濁質または生物膜から離脱してきたレジオネラ属菌を完全に殺す意図を持たない。宿主となるアメーバをシストの形態のままに維持して、レジオネラ属菌など寄生菌の感染を予防すれば足りると考えたことに本発明の主眼がある。
したがって、モノクロラミンが分解消滅した状態が一週間程度継続しなければ、アメーバの脱シストが起こらないため、モノクロラミン処理により一度減少したレジオネラ属菌が再び増殖することはない。宿主となるアメーバ等の原生動物が増殖しないからである。新しい環境条件のもとで培地に接種された原生動物が増殖するのは、接種から5日目以降であることがすでに報告されている。また、同じ条件でレジオネラ属菌が有意で増殖するのは接種から8日目以降であることも報告され、いずれも周知事実である。
本発明における用水槽は、通常毎日利用される。日曜・祭日など施設が閉館されたり休業になる場合でも、一週間を超える利用停止はほとんどない。したがって、アメーバのシストがたとえ水槽内や循環流路内に滞留していても、モノクロラミン処理と遊離塩素処理を繰り返すことで覚醒する間がなく、シストの形態のままで維持することができる。さらに、シスト内に浸透したモノクロラミンまたは再生した次亜塩素酸によって染色体の遺伝子変性も大いに期待できるから、レジオネラ属菌が感染して増殖することは起きえない。
図1の浴槽3のように、大気解放になっている用水槽では、レジオネラ属菌に限らず、外部からさまざまな病原体や落下細菌類が持ち込まれる可能性がある。したがって、この可能性が増大する時間帯においてはモノクロラミンより強い殺菌力を持つ遊離塩素で対処した方がより合理的で、宿主と寄生菌の双方を不活性化できるから対策はより万全となる。用水槽の利用時間帯に図1の薬注ポンプ7、あるいは、後述する図2の薬注ポンプ6bを単独で駆動することによって、次亜塩素酸ナトリウム液を循環浄化流路に注入すると、モノクロラミンの塩素化が進んで、窒素など無害物質となって分解する。この分解は、注入塩素量、pHおよび水温に依存する。後述する図2の実施例では1時間以内にモノクロラミンの分解が完了し、遊離残留塩素を検出できるようになった。したがって、細菌類だけでなくウイルスの不活性化も短時間でなされることになる。
図1に示される第1の実施の形態において、泉質が、「単純泉」で、源泉温度が28〜29℃の温泉である場合には、モノクロラミン処理時の同濃度0.4〜0.6mg/Lのとき遊離残留塩素濃度は0.0mg/Lであった。用水槽使用時の遊離残留塩素維持濃度0.2〜0.4mg/Lの条件で毎日処理したところ、レジオネラ属菌の検査結果は冬季、春季いずれでもつねに陰性であった。
図2は第2の実施の形態にかかる循環浄化式用水槽の原生動物不活性化方法を実施するための装置の構成を示す図である。以下、図2を参照にしながら本発明の第2の実施の形態にかかる循環浄化式用水槽の原生動物不活性化方法を説明する。第1の実施の形態では、源泉槽1から浴槽3に源泉を供給する例を掲げたが、この実施の形態は、スパ施設等において、図示しない貯湯槽で加温された水道水を混合水栓によって適温に調節して浴槽3に給水している例である。浴槽3に給水された浴槽水は、第1の実施の形態と同様にろ過装置4と循環ポンプ5とで循環浄化されるようになっている。
また、第1の実施の形態では、薬注ポンプ6a及び薬注ポンプ6bによって、源泉槽1内の源泉に、アンモニア水又はアンモニウム塩水(NH−N)及び次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)を注入するようにしているが、この実施の形態では、これらをろ過装置4から浴槽3に給水する途中で注入するようにしている。これら薬注ポンプ6a,6bがタイマー8によってそれぞれ駆動時間が制御できるようになっている点は第1の実施の形態と同じである。また、ろ過装置4から浴槽3に給水する途中で浴槽水を加熱するヒータが設けられている。
薬注ポンプ6a、6bおよびそれぞれの薬液種は、第1の実施の形態と同じである。異なるのは、薬注ポンプ6aと6bのそれぞれを駆動する時間が独立して設定される点である。夜間などモノクロラミン処理を実施する時間帯では、6aと6bの薬注ポンプ双方を駆動し、浴槽水中にモノクロラミンを生成させる。通常の駆動時間は1時間以内である。モノクロラミンの分解速度は遊離塩素のそれよりもはるかに遅いので、翌朝まで0.4mg/L以上の濃度を維持できる。第1の実施の形態と同様に、入浴予定時刻あるいはこれより若干早めの時刻に今度は薬注ポンプ6bのみをタイマ8で駆動する。こうすることで、モノクロラミンが残留する浴槽水に次亜塩素酸ナトリウムが追加される形になって、モノクロラミンの塩素化が進行する。
塩素剤注入の停止操作および遊離塩素残留や再生に伴う浸透の効果は前実施例とまったく同じである。なお、図3に、局所的に起きるモノクロラミンの平衡反応式を示し、図4に、ダイクロラミンが分解する際の遊離塩素再生の反応式を示す。これらの反応式は、本願発明者の永年の研究によって解明されたものである。
また、水道水を原水としたこの第2の実施の形態では、毎日加温して36〜38℃に維持しているが、モノクロラミン処理時の同濃度0.5〜1.0mg/Lのとき遊離残留塩素濃度は0.0mg/Lであった。遊離塩素処理時に遊離残留塩素が検出されるまでの復帰時間として毎回30〜45分を要した。そして、用水槽使用時の遊離残留塩素維持濃度0.6〜1.0mg/Lとしたとき、レジオネラ属菌の検査結果は季節を問わずつねに陰性であった。
以上説明した第1の実施の形態及び第2の実施の形態におけるレジオネラ属菌陰性の結果は、宿主である原生動物の遺伝子がたとえ完全破壊されていなくても、シストが覚醒して脱シストを起こすことは完全に阻止されていることを立証するものである。したがって、レジオネラ属菌感染が起きえないからには増殖も起きえず、完全な原生動物不活性化がなされたことになる。なお、粉末状の塩化アンモニウムを、水溶液にして定量ポンプ注入することなく浴槽に直接添加する方法でもモノクロラミン処理を実施したが、問題点を指
摘されるような支障は生じなかった。
水道における浄水場のような一過式かつ密閉系配水の処理では、異なった化学物質による消毒法を併用する実施例はあっても、交互に実施するという発想は生まれなかった。液性が異なる用水が数珠つなぎに配水されることになるからである。本発明は、循環浄化式用水に関して、病原体の種類によって増殖の機構が著しく異なる点に着目し、その大きさだけでなく種類も異なる複数種の病原体に対して広く不活性化力を発揮する方法を提供するものである。特に、循環処理流路の一部が大気開放になっている浴槽などでは、異なった化学物質による不活性化(消毒)法を交互に実施する本発明の効果は抜群である。
しかも、終始モノクロラミンのみで処理する方法は結合塩素消毒法として知られ、遊離塩素消毒法とともに周知の殺菌法である。適正な濃度に管理さえすれば、処理用水は残留薬剤や副生成物が持つ毒性を心配することなくそのまま使用できる点が他法とは異なる長所である。亜塩素酸の副生が問題となる二酸化塩素処理、処理後の残留が認められていないオゾンや過酸化水素処理と比較して、処理濃度も低く実施も容易である。
従来法のように、一度増殖したレジオネラ属菌を完全破壊(溶菌)状態にする殺菌を狙うと、より耐性の弱い他の細菌類も一括して殺菌することになるから高濃度の処理を必要とする。栄養体段階の原生動物がシスト化することを促すために要するモノクロラミン濃度はlmg/L前後で足り、それぞれ単独で実施されてきた遊離あるいは結合塩素消毒における濃度領域を外れるものではない。固形物内部に浸透した結合塩素が分解することによって、局所的に再生する次亜塩素酸の強い殺菌力が微生物の遺伝子に対して働くから、用水を循環させたままの処理が可能で副生成物の再処理や用水の廃棄を必要としない。用水の全換水も原則的に不要で、省資源・省エネルギー化を達成できる。
本発明は、公衆浴場や福利厚生施設等における源泉槽、貯湯槽及び入浴槽並びに水冷式空調施設における貯水槽などに利用できる。
本発明の温泉浴槽に適用した第1の実施の形態にかかる原生動物不活性化方法を実施するための装置の構成を示す図である。 本発明のスパ施設における浴槽に適用した第2の実施の形態にかかる原生動物不活性化方法を実施する装置の構成を示す図である。 局所的に起きるモノクロラミンの解離平衡反応式を示す図である。 ダイクロラミンが分解する際の遊離塩素再生の反応式を示す図である。
符号の説明
1…源泉槽
2…給泉ポンプ
3…浴槽
4…ろ過装置
5…循環ポンプ
6a…薬注ポンプ(アンモニア水またはアンモニウム塩水)
6b…薬注ポンプ(次亜塩素酸ナトリウム液)
7…薬注ポンプ(次亜塩素酸ナトリウム液)
8…タイマ
9…ヒータ

Claims (1)

  1. 循環浄化式用水槽の被処理液体に、該循環浄化式用水槽の利用時間帯から外れた時間帯では、モノクロラミンを生成するためのアンモニア性窒素含有薬剤と有効塩素含有塩素剤とを供給して前記モノクロラミン濃度が0.4〜2.0mg/Lになるようにし、前記循環浄化式用水槽の利用時間帯には有効塩素含有塩素剤のみを供給して遊離残留塩素濃度が0.2mg/L以上になるようにすることによって、レジオネラ属菌不活性化を図ることを特徴とする循環浄化式用水槽のレジオネラ属菌不活性化方法。
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