JP2013086077A - 銅化合物の溶解方法及び水処理方法並びに水処理剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】難溶性の銅化合物に、取り扱い容易な物質と水とを加えて溶解させて銅イオンを含む溶解液を得る。
【解決手段】水酸化第二銅又は酸化第二銅と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で等量から2倍量のアンモニウム塩と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で5〜10倍量の硫酸水素ナトリウムと、を混合し、前記混合物に、この混合物の固体総重量に対して2〜10倍量の水を加えてこれらの全量を溶解させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、難溶性の銅化合物に、取り扱い容易な物質と水とを加えて溶解させる難溶性銅化合物の溶解方法および該溶解方法で得られた溶解液を用水に所定量加えて従属栄養細菌等微生物および藻の芽胞を完全に不活性化する水処理方法並びにこの水処理方法に用いる水処理剤に関する。
例えば、プール等においてオフシーズン中もプール水を貯留するような場合には、藻等が発生するのを防ぐ発藻防止対策が必要である。この発藻防止対策としては、従来から、プール水等の用水に、銅イオンを含む液を添加して、この用水を、全銅(Cu)濃度として0.1〜1.0mg/Lの二価銅イオン(Cu2+)含有水にすることが有効であることは知られている。なお、すでに藻が増殖してしまって、水槽・池・ダムの壁面等に着床した水に対しては、より高濃度の銅イオンが必要となり、特に、上水道においては水質基準の制約により、銅イオン添加方法では完全殺藻を果たせない場合があることも知られている。よって、藻の発生を未然に防ぐ発藻防止対策を施しておくことは極めて重要である。
この発藻防止対策を施すには、銅イオンを含む液を所定量だけ用水に添加する必要がある。しかし、現在ではこのような目的に用いることが可能な銅イオンを含む液を入手することが必ずしも容易ではなくなっている。すなわち、銅イオンを含む液としては、例えば、代表的な銅塩である硫酸銅が考えられる。ところが、この硫酸銅は、「劇物」に指定されており、入手や取り扱いが厳格に法律で規制されている。
そこで、法規制がなく、取り扱いも容易な銅を含む物質を溶解させて銅イオンを含む液を作成することが考えられる。しかしながら、入手も取り扱いも容易な銅を含む物質で、水や安全な溶媒に溶けやすい物質は現在まで知られていない。すなわち、最も身近なものとして市販の金属銅粉末があるが、水にはほとんど溶解しない。また、暗黒色の酸化第二銅(CuO)や青色の水酸化第二銅(Cu(OH))も水にはほとんど溶けない。例えば、後者の水に対する実質的溶解度は0.01%=100mg/Lに満たない。したがって、これらを用水に直接添加しても、ほとんどは容器の底に沈殿するだけであり、イオン化はしない。
これら難溶性の金属銅や銅化合物を溶かすには、これらに硝酸・塩酸・硫酸などの強酸液を添加する必要がある。すなわち、これらを、硝酸塩・塩化物・硫酸塩の水溶液にして、究極的に二価銅の陽イオンと硝酸・塩化物・硫酸の各陰イオンに解離させる。ところが、これら強酸は「消防法」上の危険物指定であったり、「毒物及び劇物取締法」の毒・劇物指定で取扱いが難しいことは上述のとおりである。しかも、例えば、硝酸は、金属銅を溶かして水溶液中で銅をイオン化させる際に有毒な複数種の酸化窒素ガスを発生させるものであるし、塩酸は保管中に、これまた刺激性で有毒な塩化水素ガスを発生しやすいものである。
そもそも、金属溶解は電子授受の反応である。したがって、金属銅の腐蝕が著しい硝酸の場合は、反応中に金属から不対電子を奪いラジカル(遊離基)である酸化窒素・NOや二酸化窒素・NO等の有害ガスを発生する。これらは神経伝達物質でもある。まさに一電子授受・ラジカル反応の典型である。また、濃硫酸には脱水性があり、誤って衣服に付着すると孔が開き、なおさら扱いにくい。
さらに、水酸化第二銅(Cu(OH))、並びにこの水酸化第二銅が脱水した酸化第二銅(CuO)をイオン解離させるためには、中和を行えばよいのではないかとも考えられる。ところが、この中和反応を水道水質基準の下限であるpH=5.8前後の酸性水中で行わせようとしても、反応は実質的にほとんど進行しない。本発明は、上述の背景のもとでなされたものであり、難溶性銅化合物に取り扱い容易な物質と水とを加えて溶解することを可能にした難溶性銅化合物の溶解方法、及び該溶解方法で得られた溶解液を用水に所定量加えて発藻防止や細菌等の微生物の不活性化を行う水処理方法並びにこの水処理方法に用いる水処理剤を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するための手段は以下の通りである。
(第1の手段)
水酸化第二銅又は酸化第二銅と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で等量から2倍量のアンモニウム塩と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で5〜10倍量の硫酸水素ナトリウムと、を混合し、
前記混合物に、この混合物の固体総重量に対して2〜10倍量の水を加えてこれらの全量を溶解させることを特徴とする銅化合物の溶解方法。
(第2の手段)
前記アンモニウム塩が、塩化アンモニウム又は硫酸アンモニウムであることを特徴とする第1の手段に記載の銅化合物の溶解方法。
(第3の手段)
第1又は第項2の手段に記載の難溶性銅化合物の溶解方法よって得られた溶解液を用水に加えて、該用水の二価銅イオンの濃度を、藻や細菌の不活性化ができる濃度とすることによって、発藻防止及び細菌等の微生物を不活性化することを特徴とする水処理方法。
(第4の手段)
前記用水が遊離残留塩素を含む水道水であり、この用水中の遊離残留塩素と前記溶解液に共存するアンモニアおよびアンモニウムイオンとが反応して生成するモノクロラミンによって前記細菌等の微生物を不活性化するものであることを特徴とする第3の手段に記載の水処理方法。
(第5の手段)
水酸化第二銅又は酸化第二銅と、アンモニウム塩と、硫酸水素ナトリウムと、を有し、これらと水とを所定割合で混合することによってこれらの溶解液を得ることを特徴とする水処理剤。
(第6の手段)
水酸化第二銅又は酸化第二銅と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で等量から2倍量のアンモニウム塩と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で5〜10倍量の硫酸水素ナトリウムと、を有し、これらと水とを所定割合で混合することによってこれらの溶解液を得ることを特徴とする水処理剤。
(第7の手段)
水酸化第二銅又は酸化第二銅を収納したA分包と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で等量から2倍量のアンモニウム塩を収納したB分包と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で5〜10倍量の硫酸水素ナトリウムが収納されたC分包と、を有し、これら第A〜Cの分包に収納された水酸化第二銅又は酸化第二銅とアンモニウムと塩硫酸水素ナトリウムとを水と混合することによってこれらの溶解液を得ることを特徴とする水処理剤。
(第8の手段)
水酸化第二銅又は酸化第二銅を収納したA分包と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で等量から2倍量のアンモニウム塩と前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で5〜10倍量の硫酸水素ナトリウムとが混合された2種混合物を収納したD分包と、を有し、これらA及びD分包に収納された水酸化第二銅又は酸化第二銅とアンモニウムと塩硫酸水素ナトリウムとを水と混合することによってこれらの溶解液を得ることを特徴とする水処理剤。
第1の手段及び第2の手段によれば、酸化第二銅または水酸化第二銅、塩化アンモニウム(または硫酸アンモニウム)および硫酸水素ナトリウムを上記割合で混ぜたものに上記量の水を添加するだけで、これらはすべて溶解し、黄緑色の溶解液となり、銅イオンを含む液を得ることができる。ここで、酸化第二銅または水酸化第二銅、塩化アンモニウム(または硫酸アンモニウム)および硫酸水素ナトリウムを上記割合で混ぜたものに所定量の水を添加するだけで、これらがすべて溶解するという現象は、本願発明者がはじめて発見したものである。従来は、このような物質を混ぜるだけで水に溶解するであろうなどという発想は全く存在しなかったものである。
この場合、水酸化第二銅(Cu(OH))、酸化第二銅(CuO)、塩化アンモニウム又は硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、及び硫酸水素ナトリウム(一水和物:NaHSO・HO)は、全て、「消防法」上の危険物指定でもなく、「毒物及び劇物取締法」の毒・劇物指定でもないので、一般の流通経路で容易に入手でき、しかも安全に取り扱うことができる。そして、これらと水とを所定の割合で混合することによって、これらを完全に水に溶解させることができる。これにより、銅イオンを含む溶解液を非常に容易に得ることができる。
第3の手段によれば、第1の手段及び第2の手段によって得た溶解液を用水に適量加えることにより、水中にある藻の芽胞をほぼ完全に殺すことができ、発藻防止及び細菌等の微生物を不活性化することができる。したがって、例えば、散水循環する空気調和設備の冷却塔貯留水、魚等を放し飼いにしない噴水・滝など修景用循環水、シーズンオフ等のプール貯留水に上記溶解液を所定量添加することにより、これら用水の発藻防止や微生物の不活性化を達成することができる。
第4の手段によれば、用水が水道水であれば、「水道法」で定める残留塩素濃度が確保されているとみてよいから、この遊離残留塩素が、前記溶解液の錯体から希釈によって遊離されてくるアンモニア性窒素と反応し、容易にモノクロラミン(NHCl)を生成する。通常は、各水槽等に補給する時点で、用水の遊離残留塩素濃度は0.3〜0.5mg/Lになっている。したがって、モノクロラミンの特長から、濁質の内部まで浸透し、そこで増殖を狙っている従属栄養細菌等を殺すことができる。なお、遊離塩素では、濁質の深部まで浸透する前に自己分解するから、残留濃度程度では使用中に浄化しない水の殺菌効果を期待できない。また、該薬液の添加に伴う用水のpH低下もわずかで、10mg/L以下の二価銅イオンもモノクロラミン濃度維持の障害にならない(分解促進をしない)こともわかった。
ここで、藻や細菌の不活性化ができる用水の二価銅イオンの濃度とは、水道水質基準に適合する濃度にする場合やプール貯留水では、溶解性銅濃度で0.2〜1.0mg/L、冷却塔貯留水や修景用循環水では0.2〜10.0mg/L程度になる量をいう。また、効果を発揮する濃度については、藻や細菌ごとに、硫酸銅・五水和物としての濃度(溶解性銅濃度換算は、この約1/4)が公知であり、便覧等専門書に掲載されている。また、循環方式のため貯留している用水においては、蒸発を補う程度の給水では約半年後でも溶解性銅の約20%は残っている。
したがって、第1の手段又は第2の手段で得た溶解液を散水循環する空気調和設備の冷却塔貯留水、魚等を放し飼いにしない噴水・滝など修景用循環水、シーズンオフ等のプール貯留水に所定量添加すれば、発藻はもとより藻の芽胞や従属栄養細菌等を殺すことができる。また、一過性の消毒作業とは根本的に異なる水処理方法であるから、残留している溶解性銅およびモノクロラミンの濃度に応じた不活性化力が常時発揮される。
第5の手段〜第7の手段によれば、流通段階では、銅化合物を主成分とする粉末・顆粒と、アンモニウム塩・酸性の無機塩を主成分とする粉末・顆粒とをそれぞれ分包して消費者に供給することができるから、労働安全衛生上のリスクを生じない。銅は人体構成元素の第15位に挙げられるから、使用化学物質それぞれが手に付着しても水洗して足り、健康障害の恐れは無視できる。なお、本願発明において、「分包」とは、所定の物質を所定の量だけ計量して何らかの収納手段に収納したもの全てを含む広い概念として用いる。すなわち、ここでの「分包」は「医薬品」を「紙容器」に所定分量収納するという一般の概念を超えた広い概念として用いる。したがって、「収納容器」も、「紙」を用いた「紙包」などに限られることはなく、ガラス容器、プラスチック容器、金属容器、その他あらゆる容器が含まれ、形状や収納方式なども限定されるものではない。
加えて、専門知識を持たない消費者でも、取扱説明書に従って作業すれば高濃度・少量の薬液を付属容器内で容易につくれる。用途に応じて用水量を想定し、これに見合う調製液の全量を被処理水(用水)に添加することによって千倍以上に希釈されることになり、添加した個々の化学物質による障害リスクも生じない。
したがって、こうして調製した薬液を散水循環する空気調和設備の冷却塔貯留水、魚等を放し飼いにしない噴水・滝など修景用循環水、シーズンオフ等のプール貯留水等に所定量添加すれば、発藻防止はもとより藻の芽胞や従属栄養細菌を殺すことができる。俗にスライムと呼ばれるバイオフィルム(生物膜)の正体は、多糖体を主成分とする粘液を分泌するシュードモナス属、バチルス属、ズーグレア属等の細菌叢であり、これら従属栄養細菌が増殖するための養分を供給する各種の藻が増殖しないことで、細菌類を餌とするアメーバやこれを宿主とするレジオネラ属菌の増殖も「元を断つ」ことで阻止できる。
なお、ここに揚げた循環水は、用途ごとにレジオネラ症の発生源、水回り施設側壁および濡れ面の汚れや滑り、貯留水自体の汚濁および死骸・土埃・落ち葉等沈殿物の増大等、克服すべき課題を今も抱えている。そして、抜本的な対策がいまだに提示されていないため、消毒薬の濃度を高めたり、頻繁な「水抜き清掃」を行政指導して対症療法的措置が講じられているのが実態である。本発明は、これら施設の保守管理上、同じ手法でさまざまな課題の解決策として利用可能とするものである。魚種により実験を要するが、魚や水性動物の飼育槽や水道用原水においても利用可能な余地を残し、用途は厳しく限定されない。
図1は第1の実施形態にかかる銅化合物の溶解方法の説明図であって、(A)は第1の分包及び第2の分包内の物質と水とを容器内に投入して混合する様子を示す図であり、(B)は第1の分包及び第2の分包内の物質と水とを容器内で攪拌して溶解液を得る様子を示す図である。 本発明にかかる銅化合物の溶解方法によって得た溶解液と比較するために掲げる硫酸銅溶液の紫外線〜赤外線吸収スペクトルを示す図である。 本発明にかかる銅化合物の溶解方法によって得た溶解液の紫外線〜赤外線吸収スペクトルを示す図である。
図1は第1の実施形態にかかる銅化合物の溶解方法の説明図であって、(A)は第1の分包及び第2の分包内の物質と水とを容器内に投入して混合する様子を示す図であり、(B)は第1の分包及び第2の分包内の物質と水とを容器内で攪拌して溶解液を得る様子を示す図である。以下、図1を参照にしながら第1の実施形態を説明する。
図1において、符号1は第1の分包であり、この第1の分包1(A分包)は、水酸化第二銅又は酸化第二銅11が内部に所定量収納されたものである。また、符号2は第2の分包(D分包)であり、この第2の分包2は、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で等量から2倍量のアンモニウム塩と前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で5〜10倍量の硫酸水素ナトリウムとが混合された2種混合物21が内部に収納されたものである。符号3は液体容器であり、第1の分包1内の水酸化第二銅又は酸化第二銅11の重量と第2の分包2内の2種混合物21の重量とを合計した固体総重量に対して2〜10倍量の水31が収納されたものである。さらに符号4は、溶解液を作成するための混合用容器である。
図1(A)に示されるように、第1の分包1内の水酸化第二銅又は酸化第二銅11と、第2の分包内の2種混合物21と、液体容器3内の水31とを、混合容器4内に投入する。しかる後、図1(B)に示されるように、必要に応じて攪拌棒5などを用いて数分以上攪拌する。これによって、第1の分包1内の水酸化第二銅又は酸化第二銅11と、第2の分包内の2種混合物21とは、水31に解けて溶解液41となる。
(実施例1)
第1の分包1として水酸化第二銅の粉末1gが収納されたものを用い、第2の分包2としてに塩化アンモニウム1gと硫酸水素ナトリウム6gとの2種の粉末が混合されて収納されたものを用い、これらを混合容器4内に投入し、さらに、約30g(=mL)の水を溶解の速度を観察しながら上記混合容器4内に徐々に加えた。5分ほどで固形物はすべて溶解し、黄緑色の溶解液となった。全溶質濃度は、約21%と算定された。さらに代表的な電解質で無害とされる食塩(塩化ナトリウム)6gを加えてもすべて溶解し、全溶質濃度は約32%と算定された。もちろん、呈色等に変化はなかった。こうして得られた溶解液41を水処理の原液として用いる。
(実施例2)
上記実施例1の水酸化第二銅1gに代えて、酸化第二銅1gとし、他は同じ処方で混合した。次に、約30g(=mL)の水を溶解の速度を観察しながら徐々に加えた。実施例1の場合より時間を要したが同様に黄緑色の薬液となった。全溶質濃度の算定値も実施例1と同じである。
図2は本発明にかかる銅化合物の溶解方法によって得た溶解液と比較するために掲げる硫酸銅溶液の紫外線〜赤外線吸収スペクトルを示す図である。この図2は、銅イオン(硫酸銅)含有水の基本となる二価銅イオンCu2+の紫外線〜赤外線吸収スペクトルを示すものである。図2から明らかなように、広域波長の吸収があり、ピークは811nmである。透過光であるから視覚で捉えられる色は余色の青色になる。
一方、図3は上記実施例1で得られた溶解液の紫外線〜赤外線吸収スペクトルである。強い吸収を持つため、希釈倍率を変えて自記分光光度計の記録を重ねて示してあるが、希釈前の原液は835〜840nmにピークを持ち、長波長側に約25から30nmシフトして、二価銅のアンモニウム錯体が錯イオンを形成していることが裏付けられる。
したがって、水処理の際に、例えばプール水等では全銅として0.2〜1.0mg/Lになるよう用水に添加するから、この錯体は解離し二価銅イオンCu2+(青色)とアンモニウムイオンNH に分かれる。なお、アンモニウムイオンとアンモニアNHの間には、用水pHによる平衡関係[NH⇔H+NH]がもちろん存在する。
図2において、試料は2%硫酸銅液、X軸は吸収波長[nm]、Y軸は吸光度を表す。
図3においては、軸単位は図1と同じ、複数の吸光曲線には希釈率を「2倍希釈」、「4倍希釈」のようにピーク波長とともに付記してある。
表1は、実施例1で得られた薬液の希釈倍率とピーク波長の関係を整理したものである。希釈されるに従い、吸光波長のピークが二価銅イオンCu2+の方向に戻っている。これは、錯体が銅・アンモニウムの構造を持つ陽イオンで、希釈されるに従いアンモニアもしくはアンモニウムイオンが銅原子から遊離することを意味する。なお、水酸化第二銅の飽和水溶液についても測定したが、光吸収を検出できないほど溶解度はきわめて小さい。
Figure 2013086077
なお、上述の実施形態では、水酸化第二銅又は酸化第二銅を収納したA分包と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で等量から2倍量のアンモニウム塩と前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で5〜10倍量の硫酸水素ナトリウムとが混合された2種混合物を収納したD分包と、を用いる例を示したが、これに限られるものではない。すなわち、水酸化第二銅又は酸化第二銅を収納したA分包と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で等量から2倍量のアンモニウム塩を収納したB分包と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で5〜10倍量の硫酸水素ナトリウムが収納されたC分包と、を用いることもできる。また、A〜Dの分包には、分包機を用いて分包する場合に分包しやすくするために、食塩その他の溶解や反応などに影響を与えない増量剤を加えて分包の重量を等しくできるようにしたものを収納するようにしてもよい。
本発明は、例えば、散水循環する空気調和設備の冷却塔貯留水、魚等を放し飼いにしない噴水・滝など修景用循環水、シーズンオフ等のプール貯留水に所定量添加して、発藻防止や従属栄養細菌等の繁殖防止をするために用いることができる銅イオンを含む溶液を簡単に得る場合に利用することができる。
1 A分包
2 D分包
3 液体容器
4 混合容器
5 攪拌棒

Claims (8)

  1. 水酸化第二銅又は酸化第二銅と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で等量から2倍量のアンモニウム塩と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で5〜10倍量の硫酸水素ナトリウムと、を混合し、
    前記混合物に、この混合物の固体総重量に対して2〜10倍量の水を加えてこれらの全量を溶解させることを特徴とする銅化合物の溶解方法。
  2. 前記アンモニウム塩が、塩化アンモニウム又は硫酸アンモニウムであることを特徴とする請求項1に記載の銅化合物の溶解方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の難溶性銅化合物の溶解方法よって得られた溶解液を用水に加えて、該用水の二価銅イオンの濃度を、藻や細菌の不活性化ができる濃度とすることによって、発藻防止及び細菌等の微生物を不活性化することを特徴とする水処理方法。
  4. 前記用水が遊離残留塩素を含む水道水であり、この用水中の遊離残留塩素と前記溶解液に共存するアンモニアおよびアンモニウムイオンとが反応して生成するモノクロラミンによって前記細菌等の微生物を不活性化するものであることを特徴とする請求項3に記載の水処理方法。
  5. 水酸化第二銅又は酸化第二銅と、アンモニウム塩と、硫酸水素ナトリウムと、を有し、これらと水とを所定割合で混合することによってこれらの溶解液を得ることを特徴とする水処理剤。
  6. 水酸化第二銅又は酸化第二銅と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で等量から2倍量のアンモニウム塩と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で5〜10倍量の硫酸水素ナトリウムと、を有し、これらと水とを所定割合で混合することによってこれらの溶解液を得ることを特徴とする水処理剤。
  7. 水酸化第二銅又は酸化第二銅を収納したA分包と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で等量から2倍量のアンモニウム塩を収納したB分包と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で5〜10倍量の硫酸水素ナトリウムが収納されたC分包と、を有し、これらA〜C分包に収納された水酸化第二銅又は酸化第二銅とアンモニウムと塩硫酸水素ナトリウムとを水と混合することによってこれらの溶解液を得ることを特徴とする水処理剤。
  8. 水酸化第二銅又は酸化第二銅を収納したA分包と、前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で等量から2倍量のアンモニウム塩と前記水酸化第二銅又は酸化第二銅に対する重量比で5〜10倍量の硫酸水素ナトリウムとが混合された2種混合物を収納したD分包と、を有し、これらA及びD分包に収納された水酸化第二銅又は酸化第二銅とアンモニウムと塩硫酸水素ナトリウムとを水と混合することによってこれらの溶解液を得ることを特徴とする水処理剤。
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