以下、本発明に係る遊技機の一実施の形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、パチンコ機1の機械的構成について、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、パチンコ機1の正面図であり、図2は、遊技盤2の正面図であり、図3は、図柄表示装置8の拡大図である。
図1に示すように、パチンコ機1の正面の上半分の部分には、発射ハンドル7の操作により図示外の発射機から発射された遊技媒体としての遊技球が流下する遊技盤2が設けられている。この遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠11で保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける上皿5が設けられている。そして、上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿6が設けられ、下皿6の右横には遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。さらに、前面枠11の上部には、左右方向の略全長に亘って前側に膨出するように照明装置35が形成されており、前面枠11の上部の左右の角にはスピーカ48がそれぞれ設けられている。また、前面枠11の前面には演出用の電飾ランプが多数設けられている。
また、図2に示すように、遊技盤2の前面にはガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が設けられている。この遊技領域4の略中央には、LCDから構成された表示画面28、各種ランプ、LED等を備えた図柄表示装置8が設けられている。この図柄表示装置8の左方には普通図柄始動ゲート12が設けられており、普通図柄始動ゲート12の下方には普通電動役物13が設けられている。また、図柄表示装置8の下方には第二大入賞口17が、さらに第二大入賞口17の下方には第一大入賞口16が設けられている。尚、普通電動役物13、第一大入賞口16、及び第二大入賞口17には所定のタイミングで開放される開閉部材が備えられている。そして、開閉部材が開放された場合(普通電動役物13、第一大入賞口16、及び第二大入賞口17が開放された場合)のみ遊技球の入賞が可能となっており、開閉部材の閉鎖時(普通電動役物13、第一大入賞口16、及び第二大入賞口17の閉鎖時)には遊技球は入賞できない。そして、第一大入賞口16の左方には普通入賞口18,19,20が設けられており、右方には普通入賞口21が設けられている。
また、第二大入賞口17の左方には遊技球誘導部材22が設けられている。この遊技球誘導部材22は左右方向を長手方向とする合成樹脂製の部材であり、遊技盤2から正面側へ向けて延びる平板と、平板の正面側端部から上方へ向けて延びる装飾板とからなる。そして、この遊技球誘導部材22は、その平板が普通電動役物13から第二大入賞口17へ向けて下方に傾くように配設されている。従って、遊技球誘導部材22における平板の上面に到達した遊技球は、複数の遊技釘が並べて配設されている場合よりも不規則な動きをすることがなく、2つの大入賞口16,17へ向けてスムーズに移動する。尚、遊技盤2には、上記以外に種々の電飾ランプやその他の電飾用LED、風車及び多数の遊技釘等が設けられている。
次に、図柄表示装置8について、図3を参照して説明する。図3に示すように、図柄表示装置8は中央に表示画面28を備えている。この表示画面28には動画やメッセージ等様々な映像が表示されるが、特に普通当たり判定の結果を報知するために、表示画面28に横並びに左、右、中央の順でデモ図柄表示部D1、デモ図柄表示部D2、デモ図柄表示部D3の3つの表示領域が設けられている。そして、デモ図柄表示部D1〜D3は、遊技者の目を惹くように後述の普通図柄表示部24及び特別図柄表示部25よりも広い領域を占めている。
また、図柄表示装置8には、表示画面28の下方に4つのLEDからなる普通図柄記憶数表示LED59が設けられており、その右方には1つのLEDからなる普通図柄表示部24が設けられている。そして、普通図柄表示部24は点灯状態が普通当たりの当選を示し、消灯が普通当たりの落選を示しており、点滅状態がこれから普通当たり判定の判定結果を報知することを示す変動状態とされている。また、普通図柄記憶数表示LED59には、普通図柄始動ゲート12(図2参照)を通過し、普通図柄表示部24に普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数、所謂普通図柄作動保留球数が、点灯するLEDの個数により表示される。
また、図柄表示装置8には、表示画面28の上方に4つのLEDからなる特別図柄記憶数表示LED60が設けられており、その上方には2つの7セグメントから構成される特別図柄表示部25が設けられている。そして、特別図柄表示部25には7セグメントにより表示可能なアルファベットや数字、またはこれらの組み合わせからなる特別図柄が表示される。この特別図柄は、その組み合わせ毎に「大当たり特別図柄」及び「はずれ特別図柄」があらかじめ定められており、「大当たり特別図柄」にはさらに「確率変動図柄」及び「非確率変動図柄」が設けられている。また、特別図柄記憶数表示LED60は、普通電動役物13(図2参照)へ入賞し、特別図柄表示部25に大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数、所謂特別図柄作動保留球数が、点灯するLEDの数により表示される。
ここで、本実施の形態のパチンコ機1における遊技及び演出について説明する。パチンコ機1では、遊技球が普通図柄始動ゲート12を通過すると、普通当たり判定が行われる。本実施の形態では、普通当たり判定において「当たり」と判定される確率が5/719である非時短遊技状態、及び718/719である時短遊技状態を生起させることができる。この普通当たり判定の判定結果が「当たり」であれば、パチンコ機1が普通当たり状態となり、普通電動役物13が開放されて、普通電動役物13への遊技球の入賞が可能な状態となる。この普通電動役物13は、所定時間(4.5秒)が経過するか、遊技球が5個入賞するかのどちらかの条件が満たされると閉鎖される。ここで、普通当たり判定の判定結果は普通図柄表示部24に表示され、さらに、表示画面28のデモ図柄表示部D1〜D3に表示される。デモ図柄表示部D1〜D3は、普通図柄表示部24よりも遊技者の目を惹くように構成されており、さらに、表示画面28の背景画面や照明装置35、スピーカ48等による演出と同期して普通当たり判定の判定結果を報知し、遊技者の関心や期待感を高めている。
次いで、普通電動役物13へ遊技球が入賞すると、大当たり判定が行われる。本実施の形態では、大当たり判定において「大当たり」と判定される確率が2009/2011である通常状態、及び2010/2011である確率変動状態を生起させることができる。この大当たり判定の判定結果が「大当たり」であれば、パチンコ機1が大当たり遊技状態となり、第一大入賞口16及び第二大入賞口17が1回ずつ順に開放される大当たり遊技が実施され、第一大入賞口16及び第二大入賞口17への遊技球の入賞が可能な状態となる。そして、第一大入賞口16及び第二大入賞口17は共に所定時間が経過するか、若しくは遊技球が1個入賞すると閉鎖される。従って、普通当たり判定によって1回「当たり」と判定される毎に、最大で5回の大当たり遊技が行われることになる。
尚、本実施の形態では1回の大当たり遊技で大入賞口16,17が交互に1回ずつ開放される、すなわち、2ラウンドの開放動作が行われる構成としているが、1回の大当たりで実施されるラウンド数は変更することができる。この場合、開放動作が行われた回数が、設定されたラウンド数と等しくなるまで、2つの大入賞口16,17が交互に繰り返し開放される。また、先述したように、大当たり判定の判定結果は特別図柄表示部25に表示される。
また、大当たり判定によって「大当たり」と判定された場合には、その大当たりが確率変動大当たりであるか、非確率変動大当たりであるかが判定される。確率変動大当たりと判定される確率は、81/84である。そして、確率変動大当たりと判定された場合には、次回の特別図柄の変動後の停止表示時間が終了するまで継続する確率変動状態及び時短遊技状態を、大当たり遊技状態の終了後に同時に生起させる。一方で、非確率変動大当たりと判定された場合には、先述した通常状態及び非時短遊技状態を生起させる。
従って、普通当たり判定において「当たり」と判定され、普通電動役物13へ遊技球が入賞すると、2009/2011又は2010/2011の確率で「大当たり」と判定される。そして、この大当たりが81/84の確率で判定される確率変動大当たりであり、その後に生起される時短遊技状態中に普通当たり判定が行われた場合には、718/719の確率ですぐに次の普通当たり遊技、及び最大5回の大当たり遊技が行われることになる。すなわち、普通当たり遊技及び大当たり遊技が連続する。この詳細は、フローチャートを参照して後述する。
ここで、従来、大当たりと判定される確率(以下、「大当たり確率」と言う。)が通常状態よりも高い高確率状態へ移行可能な旧1種タイプと呼ばれる遊技機では、大当たりと判定された際に高確率状態へ移行すると、通常状態に比べて大当たりと判定され易い。また、近年販売されている遊技機は、大当たりと判定された場合に高確率状態へ移行する確率を従来よりも高くする傾向がある。しかしながら、通常状態の大当たり確率を極端に低くする代わりに、高確率状態へ移行する確率を高くしたり、高確率状態へ移行した場合の大当たり確率を極端に高くしたりすると、遊技者の射幸心が煽られて遊技のバランスが崩れる虞がある。よって、旧1種タイプの遊技機では、高確率状態中の大当たり確率は、通常状態中の大当たり確率の10倍までといったような規則上の制限が設けられている(例えば、特開平11−33178号参照)。つまり、高確率状態での大当たり確率を高く(例えば、10分の1)設定する場合には、これに合わせて通常状態での大当たり確率も、一般的な旧1種タイプの遊技機(約300分の1)よりも高く(例えば100分の1)設定する必要があるなどの制限を受ける。
このように、高確率状態での大当たり確率を高くする程、通常状態での大当たり確率も合わせて高くしていかなければならず、この場合、遊技のバランスを取るために、1回の大当たり遊技で遊技者が獲得できる遊技球の個数も少なくしていかなければならない。このようなタイプの遊技機は、近年ハネデジと呼ばれている、大当たり遊技中の平均獲得遊技球数を抑えて大当たり確率を高くした遊技機が該当する。このような遊技機は、比較的容易に大当たり遊技となる反面、1回の大当たりで大量の遊技球を獲得することは困難である。また、高確率状態での大当たり確率は、通常状態の大当たり確率よりも高いが、平均すると確率に応じた回数だけ抽選が行われなければ大当たり遊技とならない。よって、平均獲得遊技球数が少ない大当たり遊技を、非連続的に複数回消化しなければ、遊技者は大量の遊技球を獲得することはできなかった。すなわち、遊技者が獲得する遊技球数の増加速度が遅く、メリハリの利いた遊技性に欠けていた。従って、適度な射幸心の高揚を求める遊技者には敬遠されがちな点もあった。
そこで、本実施の形態に係る遊技機は、遊技バランスを崩さずに複数の大当たり遊技を連続的に発生させ、且つ大当たり遊技の連続中に入賞口へ入賞できない無駄な遊技球の数を減らすことで、メリハリのある遊技性を実現している。
次に、本実施の形態のパチンコ機1の電気的構成について、図4を参照して説明する。図4は、パチンコ機1の電気的構成を示すブロック図である。図4に示すように、制御部40は、主基板41、電源基板42、演出制御基板43、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47及びサブ統合基板58から構成されている。この制御部40は、パチンコ機1(図1参照)の裏側(背面側)に設けられている。
パチンコ機1の主制御を司る主基板41には、プログラムに従って各種の処理を行う主基板CPUユニット50が設けられている。この主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、フラグやカウンタ等の演出処理中に発生するデータの値等を一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム、各種データの初期値、他の基板への指示を行うコマンド等を記憶したROM53とが設けられており、これらは1つのLSIとして一体にモールディングされている。また、主基板CPUユニット50には割込信号発生回路57が接続され、この割込信号発生回路57は、例えば、0.002秒(以下、「2ms」と略す。)毎にCPU51に割込信号を与えるようになっている。CPU51は、この割込信号が入力される毎にROM53に記憶されている制御プログラムを実行し、この制御プログラムに従ってパチンコ機1の制御を行う。
また、主基板41にはI/Oインタフェイス54が設けられており、サブ統合基板58、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47等のサブ基板、及び普通電動役物13に入賞した遊技球を検出するための近接スイッチである始動口スイッチ72と接続している。尚、サブ統合基板58にはCPU581、RAM582及びROM583が設けられており、スピーカ48が接続されている。そして、演出制御基板43にはCPU43aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されており、払出制御基板45にはCPU45aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されている。また、電飾基板46にはCPU46aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されている。また、主基板41のI/Oインタフェイス54には、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する出力ポート55が接続されている。
また、電飾基板46には照明装置35、普通図柄記憶数表示LED59、及び特別図柄記憶数表示LED60が接続されている。また、演出制御基板43には表示画面28が接続されており、払出制御基板45には賞品球払出装置49が接続されている。さらに、中継基板47には、普通電動役物13の開閉部材を開放・閉鎖する電動役物開放ソレノイド69、第一大入賞口16の開閉部材を開放・閉鎖する第一大入賞口開放ソレノイド70、第二大入賞口17の開閉部材を開放・閉鎖する第二大入賞口開放ソレノイド71、普通図柄始動ゲート12を通過した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ73、第一大入賞口16に入賞した遊技球数を計数するための第一大入賞口スイッチ75、第二大入賞口17に入賞した遊技球数を計数するための第二大入賞口スイッチ76、普通入賞口18〜21に入賞した遊技球を検出する入賞口スイッチ77、普通図柄表示部24、及び特別図柄表示部25が接続されている。尚、普通電動役物13、第一大入賞口16、第二大入賞口17、普通入賞口18〜21に遊技球が入賞すると、所定数の遊技球が払い出される。
そして、払出制御基板45は賞品球払出装置49の制御を行い、中継基板47はスイッチやソレノイドの配線の中継を行っている。また、サブ統合基板58は演出制御基板43、電飾基板46、スピーカ48の総合的な制御を行っており、演出制御基板43は表示画面28の制御を行っている。また、電源基板42は主基板41及び遊技球発射装置37に接続され、各基板及び遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給している。遊技球発射装置37は、図示外の発射モータや、発射ハンドル7に設けられたタッチセンサ、発射装置停止スイッチ、及び発射強弱調整ボリューム等からなり、一定間隔(本実施の形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域へ発射する。
次に、主基板41のROM53の記憶エリアについて説明する。ROM53には、パチンコ機1のリセットが行われる際に各記憶エリアに記憶される初期値等を記憶する初期設定記憶エリア、CPU51がパチンコ機1を制御するための各種制御プログラムを記憶する制御プログラム記憶エリア、主基板41からサブ統合基板58に出力される制御コマンドのテーブルを記憶する制御コマンドテーブル記憶エリア、普通当たり判定の判定結果を報知する際の変動パターンに関するテーブル等の情報が記憶されている変動パターン記憶エリア等が設けられている。さらに、ROM53には、図示外の各種の記憶エリアが設けられている。
次に、主基板41のRAM52の記憶エリアについて、図5を参照して説明する。図5は、RAM52の記憶エリアを示す概念図である。図5に示すように、RAM52には、各種のカウンタを記憶するカウンタ記憶エリア5201、普通図柄始動ゲート12や各入賞口に遊技球が入賞したか否かを示すフラグを記憶する入賞球フラグ記憶エリア5202、普通図柄始動ゲート12への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶する普通当たり関係情報記憶エリア5203、普通図柄作動保留球数を記憶する普通図柄作動保留球数記憶エリア5204、普通電動役物13への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶する大当たり関係情報記憶エリア5205、特別図柄作動保留球数を記憶する特別図柄作動保留球数記憶エリア5206、主基板41からサブ統合基板58、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47、遊技場管理用コンピュータ90等へ出力される制御コマンドを記憶するコマンド関係記憶エリア5207、各種フラグを記憶するフラグ関係記憶エリア5208等が設けられている。さらに、RAM52には、図示外の各種の記憶エリアが設けられている。
次に、RAM52のカウンタ記憶エリア5201に記憶される各カウンタについて説明する。RAM52に記憶されるカウンタには、乱数を取得するための乱数取得カウンタ、時間を計測するためのタイマカウンタ、入賞球数を計数するための入賞球数カウンタ等がある。
まず、乱数取得カウンタについて説明する。乱数取得カウンタとしては、普通当たり判定カウンタ、大当たり判定カウンタ、当たり特別図柄作成カウンタ、はずれ特別図柄作成カウンタ、変動パターン決定カウンタ等がある。これらのカウンタの値は、割込信号発生回路57(図4参照)からの割込信号に基づいて実行されるメイン処理のカウンタ更新処理(S12、図8参照)において、一定間隔の時間(例えば、割込信号発生の間隔である2ms)毎に所定量(例えば「1」)ずつ加算される。また、各カウンタには最小値(下限値)及び最大値(上限値)が設けられており、最小値から最大値までの範囲の数値内を循環するように構成されている。つまり、更新の結果、カウンタの値が最大値と同じ値になると、次の更新でカウンタの値は最小値を取ることとなる。そして、各乱数取得カウンタには、パチンコ機1の起動時に初期値として「0」が記憶されており、更新により値が一巡して初期値「0」と同じ値となると、新たな初期値が取得され、その初期値に対して「1」ずつの加算が行われる。この新たな初期値は、CPU51が、メイン処理(図8参照)を行わない間(メイン処理が終了し、割込信号により新たなメイン処理が開始されるまでの間)に繰り返し実行されている図示外の初期値乱数処理(所定のアルゴリズムによって乱数を発生させる処理)によって生成された乱数が用いられる。
例えば、普通当たりを判定するために使用される普通当たり判定カウンタの最大値は「719」、最小値は「0」である。そして、1割込毎(2ms毎)に「1」加算され、「720」以上となった際に「0」へ戻る。また、初期値乱数処理によって前回生成された乱数が「18」であった場合には、「0」から「1」、「2」と加算されて、「18」となった時点でまた新たな初期値が取得され、その初期値に対して「1」ずつの加算が行われる。尚、これらの乱数取得カウンタは、後述するメイン処理の普通図柄処理(図9及び図10参照)及び特別図柄処理(図12及び図13参照)において使用される。
次いで、タイマカウンタについて説明する。タイマカウンタは時間を計測するために使用されるカウンタであり、時間の計測開始時に初期値として所定の値が記憶される。例えば、1秒を計測する場合には初期値として「500」が記憶される。そして、割込信号発生の間隔である2ms毎に行われるカウンタ更新処理(S12、図8参照)において「1」ずつ減算されて、値が「0」でなければ時間の計測中であると判断され、値が「0」となることで所定時間が経過したと判断される。また、タイマカウンタの値は、「0」となった後は更新されないようにプログラムされている。尚、本実施の形態では多数のタイマカウンタが使用されているが、個々のタイマカウンタについての説明は後述する。
次いで、入賞球数カウンタについて説明する。本実施の形態では、入賞球数カウンタとして普通電動役物入賞球数カウンタが用いられている。この普通電動役物入賞球数カウンタの値は、普通電動役物13に備えられた開閉部材が1回の開閉動作を行う間に、普通電動役物13へ入賞した遊技球の個数を計数するために使用される。そして、この普通電動役物入賞球数カウンタの値が5個以上に達するか、若しくは所定時間が経過すると、普通電動役物13は閉鎖される。この普通電動役物入賞球数カウンタの初期値は「0」であり、後述するメイン処理のスイッチ読込処理(S11、図8参照)において、普通電動役物13へ遊技球が入賞する毎に「1」加算される。
次に、普通当たり関係情報記憶エリア5203について、図6を参照して説明する。図6は、RAM52の普通当たり関係情報記憶エリア5203を示す概念図である。この普通当たり関係情報記憶エリア5203は、後述するメイン処理の普通図柄処理(図9及び図10参照)において使用される。図6に示すように、普通当たり関係情報記憶エリア5203には、判定エリア、第一記憶エリア、第二記憶エリア、第三記憶エリア、第四記憶エリアが設けられている。第一〜第四記憶エリアには、普通図柄始動ゲート12を通過し、まだ普通当たり判定の判定結果の報知がなされていない遊技球(普通図柄作動保留球数)の取得した乱数が記憶される。判定エリアには、現在行われている普通当たり判定の結果報知や、普通当たり遊技の基になった乱数が記憶されている。この判定エリア及び第一〜第四記憶エリアのそれぞれには、普通当たり乱数欄及び変動パターン決定乱数欄が設けられており、普通当たり乱数欄には普通当たり判定カウンタの値が記憶され、変動パターン決定乱数欄には変動パターン決定カウンタの値が記憶される。
そして、普通図柄処理において普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過したことが確認された場合には、第一記憶エリア〜第四記憶エリアの中で、普通図柄作動保留球数記憶エリア5204の値(普通図柄作動保留球数)に対応する番号の記憶エリアに2つの値が記憶される。例えば、普通図柄作動保留球数が「3」であれば、第三記憶エリアに記憶される。そして、判定エリアに記憶されている値に対する処理が終了したら、次の普通図柄作動保留球数の処理が行われる。そこで、第一記憶エリアに記憶されている値が判定エリアにシフトされ、判定エリアに記憶されている値に基づいて大当たりの判定結果の報知が実行される。また、第一記憶エリアが判定エリアにシフトされたことに伴い、第二〜第四記憶エリアの各値が1つ番号の若い記憶エリアへシフトされ、第四記憶エリアの値がクリアされる。ここで、記憶エリアの数は4つである。すなわち、普通図柄始動ゲート12を通過した遊技球に対して、乱数を記憶して作動を保留しておくことができる数は4つである。従って、普通図柄作動保留球数の上限は4つであり、普通図柄作動保留球数記憶エリア5204の値は「4」より大きい値を取ることはない。
次に、大当たり関係情報記憶エリア5205について、図7を参照して説明する。図7は、RAM52の大当たり関係情報記憶エリア5205を示す概念図である。この大当たり関係情報記憶エリア5205は、後述するメイン処理の特別図柄処理(図12及び図13参照)において使用される。図7に示すように、大当たり関係情報記憶エリア5205には、先述した普通当たり関係情報記憶エリア5203と同様に判定エリア及び第一〜第四記憶エリアが設けられており、第一〜第四記憶エリアには、普通電動役物13に入賞し、まだ大当たり判定の結果が報知されていない遊技球(特別図柄作動保留球数)の取得した乱数が記憶される。また、判定エリアには、現在行われている大当たり判定の結果報知や、大当たり遊技の基になった乱数が記憶されている。
この判定エリア及び第一〜第四記憶エリアのそれぞれには、大当たり判定カウンタの値が記憶される大当たり乱数欄、当たり特別図柄作成カウンタの値が記憶される当たり特別図柄決定乱数欄、はずれ特別図柄作成カウンタの値が記憶されるはずれ特別図柄決定乱数欄が設けられている。そして、普通電動役物13への遊技球の入賞が確認されると、特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値(特別図柄作動保留球数)に対応する記憶エリアに各値が記憶され、この値に基づいて大当たり判定や、判定結果の報知が行われる。
次に、本実施の形態のパチンコ機1の主基板41による動作の詳細について、図8乃至図14に示すフローチャートを参照して説明する。図8は、主基板41におけるメイン処理のフローチャートである。また、図9及び図10は、メイン処理の中で行われる普通図柄処理のサブルーチンのフローチャートであり、図11は、メイン処理の中で行われる普通電動役物処理のサブルーチンのフローチャートである。また、図12及び図13は、メイン処理の中で行われる特別図柄処理のサブルーチンのフローチャートであり、図14は、メイン処理の中で行われる特別電動役物処理のサブルーチンのフローチャートである。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
パチンコ機1の制御は、ROM53の制御プログラム記憶エリアに記憶されている制御プログラムにより行われる。制御プログラムのメイン処理は、割込信号発生回路57(図4参照)が発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。割込信号は、一定の間隔(本実施の形態では2ms)毎に発生されるので、メイン処理は2ms毎に繰り返し実行されることになる。
まず、主基板41で行われるメイン処理について、図8を参照して説明する。図8に示すように、割込信号の感知によってメイン処理が開始されると、まずコマンド出力処理が行われる(S10)。このコマンド出力処理では、制御コマンドが、I/Oインタフェイス54を介してサブ統合基板58や払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47等に出力される。制御コマンドには、決定された普通図柄の変動パターンを指示するコマンド、普通図柄を停止させるタイミングを指示するコマンド、普通電動役物13の開閉タイミングを指示するコマンド、特別図柄の変動の開始・停止を指示するコマンド、第一大入賞口16及び第二大入賞口17の開閉タイミングを指示するコマンド等、多数のコマンドがあるが、これらの詳細は後述する。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理においてコマンド関係記憶エリア5207に出力コマンドとして記憶された制御コマンドである。
次に、スイッチ読込処理が行われる(S11)。このスイッチ読込処理では、普通図柄始動ゲート12、普通電動役物13、第一大入賞口16、第二大入賞口17、普通入賞口18〜21への遊技球の入賞を検知する処理が行われる。具体的には、普通図柄始動ゲート12に設けられている普通図柄作動スイッチ73、普通電動役物13に設けられている始動口スイッチ72、第一大入賞口16に設けられている第一大入賞口スイッチ75、第二大入賞口17に設けられている第二大入賞口スイッチ76、普通入賞口18〜21に設けられている入賞口スイッチ77が用いられる。入賞と判断された場合には、RAM52の入賞球フラグ記憶エリア5202に記憶された各スイッチに対応したフラグがONとされる。尚、スイッチ読込処理の開始時には、入賞球フラグ記憶エリア5202の全てのフラグがリセットされる。
スイッチ読込処理が終了すると、次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。先述したように、このカウンタ更新処理では、RAM52のカウンタ記憶エリア5201に記憶されている乱数取得カウンタの各値が所定量だけ加算され、タイマカウンタの各値が所定量だけ減算される。
カウンタ更新処理が終了すると、特別電動役物処理が行われる(S13)。この特別電動役物処理では、第一大入賞口16及び第二大入賞口17を開閉する大当たり遊技状態の動作を制御するための処理が行われるが、この制御方法に本発明の特徴を有する。この詳細は、図14に示すフローチャートを参照して後述する。
特別電動役物処理が終了すると、特別図柄処理が行われる(S14)。この特別図柄処理では、大当たりの判定、特別図柄表示部25に表示される特別図柄の決定、特別図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶、大当たり遊技状態であるか否かを示す大当たり遊技状態フラグを「ON」とする処理等が行われる。この特別図柄処理については、図12及び図13に示すフローチャートを参照して後述する。
特別図柄処理が終了すると、普通電動役物処理が行われる(S15)。この普通電動役物処理では、普通当たりとなった場合に普通電動役物13を開閉する動作を制御するための処理が行われるが、この詳細は、図11に示すフローチャートを参照して後述する。
普通電動役物処理が終了すると、普通図柄処理が行われる(S16)。普通図柄処理では、スイッチ読込処理(S11)にて普通図柄作動スイッチ73に対応するフラグが「ON」となっている場合に普通当たり乱数が取得され、普通当たりの判定、表示画面28に表示されるデモ図柄の変動パターンの決定、デモ図柄及び普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶、普通当たり遊技状態であるか否かを示す普通当たり遊技状態フラグを「ON」とする処理等が行われる。この普通図柄処理については、図9及び図10に示すフローチャートを参照して後述する。
普通図柄処理が終了すると、賞品球の払い出しを行う払出処理が行われ(S17)、次いで、エラーチェックが行われる(S18)。パチンコ機1にエラーが発生している場合には、表示画面28にエラー表示を行わせたり、照明装置35を点灯・点滅させたり、スピーカ48からエラー音を発音させたりする。そこで、S10のコマンド出力処理にてサブ統合基板58へ送信するためのエラーコマンドがコマンド関係記憶エリア5207に記憶される。次いで、情報出力処理が行われる(S19)。この情報出力処理では、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の大当たり情報、始動情報等の各種の情報が出力ポート55を介して出力される。情報出力処理が終わるとメイン処理は終了する。そして、割込信号発生回路57から割込信号を受信すると、また最初からメイン処理が実行される。
ここで、ある遊技球が普通図柄始動ゲート12を通過して普通当たりと判定された場合のパチンコ機1の動作を例に挙げて、メイン処理の一連の流れを説明する。遊技者が、遊技盤2の下側に設けられた発射ハンドル7を操作して遊技球を遊技領域4に発射すると、遊技球は遊技領域4を流下する。その遊技球が普通図柄始動ゲート12を通過すると、スイッチ読込処理において遊技球の通過が検出され、入賞球フラグ記憶エリア5202の対応するフラグが「ON」とされる(S11)。そして、普通図柄及び表示画面28内のデモ図柄が停止し、普通当たりを示す図柄が表示される。普通当たり図柄の停止表示時間が経過すると、フラグ関係記憶エリア5208の普通当たり遊技状態フラグが「ON」とされるので(S16)、次に実施されるメイン処理の普通電動役物処理(S15)で、普通電動役物13を開放させるコマンドが記憶され、繰り返しメイン処理が実施される中で、普通電動役物13への5個の遊技球の入賞を検知するか、若しくは所定の開放時間(4.5秒)が経過すると、普通電動役物13を閉鎖させるコマンドが記憶される。
そして、普通電動役物13への遊技球の入賞がスイッチ読込処理(S11)で検出され、対応するフラグが「ON」とされると、特別図柄処理(S14)において大当たり判定が行われ、特別図柄の変動に関する処理が行われる。この大当たり判定において「大当たり」と判定される確率は2009/2011若しくは2010/2011である。大当たりと判定されると、フラグ関係記憶エリア5208の大当たり遊技状態フラグが「ON」とされるので、次に実施されるメイン処理の特別電動役物処理(S13)において、2つの大入賞口16,17を開閉させるコマンドが記憶される。そして、大当たりが「確率変動大当たり」である場合には、大当たり遊技状態終了後に確率変動フラグ及び時短状態フラグが共に「ON」とされる。時短状態フラグが「ON」である際に次の普通当たり判定が行われると、718/719の確率で再び普通当たりとなるため(S16)、時短状態フラグが「OFF」である場合(普通当たり確率5/719)よりも短い時間間隔で次の普通電動役物13の開放(S15)、及び大当たり判定が行われる機会の発生(S14)が見込まれる。すなわち、時短状態フラグが「ON」である場合には、「OFF」である場合よりも短い時間間隔で普通当たりと大当たりとが連続して発生し、遊技者に多数の遊技球が払い出される。
次に、メイン処理の普通図柄処理(S16)の詳細について、図9及び図10を参照して説明する。初めに、普通図柄処理で使用されるフラグについて説明する。フラグ関係記憶エリア5208には、普通図柄表示状態フラグ、普通当たり遊技状態フラグ、時短遊技状態フラグ等が記憶されている。普通図柄表示状態フラグは普通図柄表示部24の状態を示すフラグであり、普通図柄表示部24が変動している場合(変動中)には「1」、停止表示されている場合(停止表示中)には「2」、変動中でも停止表示中でもない場合には「0」が記憶されている。また、普通当たり遊技状態フラグは、普通当たり遊技状態である場合には「1」が記憶されて「ON」となっており、そうでない場合には「0」が記憶されて「OFF」となっている。また、時短遊技状態フラグは、時短遊技状態である場合には「1」が記憶されて「ON」となっており、そうでない場合には「0」が記憶されて「OFF」となっている。尚、時短遊技状態とは、非時短遊技状態に比べて普通図柄の変動時間が短くなり、且つ普通当たり判定において「普通当たり」と判定される確率が非時短遊技状態よりも高い遊技状態である。また、各フラグの初期値はいずれも「0」である。
図9に示すように、メイン処理の普通図柄処理が開始されると、普通図柄始動ゲート12への遊技球の通過に関する処理が行われる。まず、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過したか否かが判断される(S21)。メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図8参照)において、普通図柄始動ゲート12に設けられている普通図柄作動スイッチ73が遊技球の通過を検出した場合には、入賞球フラグ記憶エリア5202の普通図柄作動スイッチ73に対応するフラグが「ON」となっている。そこで、S21ではこの普通図柄作動スイッチ73に対応するフラグが「ON」であるか否かの判断が行われ、「ON」でない場合には(S21:NO)、遊技球は普通図柄始動ゲート12を通過していないので、そのままS25の判断へ移行する。
普通図柄作動スイッチ73に対応するフラグが「ON」である場合には(S21:YES)、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過しているので、その遊技球についての乱数が取得されて普通当たり関係情報記憶エリア5203に記憶される。しかし、乱数を取得して記憶することができる普通図柄作動保留球の数は4個である。そこで、普通図柄作動保留球数記憶エリア5204の値が「4」であるか否かの判断が行われる(S22)。普通図柄作動保留球数記憶エリア5204の値が「4」である場合には(S22:YES)、この遊技球についての乱数は記憶できないので、そのままS25の判断へ移行する。
普通図柄作動保留球数記憶エリア5204の値が「4」でない場合、すなわち「0」〜「3」のいずれかである場合には(S22:NO)、普通図柄作動保留球数記憶エリア5204の値に「1」が加算される(S23)。そして、普通当たり関係情報記憶エリア5203(図6参照)のうち、普通図柄作動保留球数記憶エリア5204の値に対応する番号の記憶エリアに乱数が記憶される(S24)。具体的には、普通当たり乱数欄には普通当たり判定カウンタの値が記憶され、変動パターン決定乱数欄には変動パターン決定カウンタの値が記憶される。
次いで、普通当たり遊技状態フラグにより、普通当たり遊技状態であるか否かの判断が行われる(S25)。普通当たり遊技状態である場合には、普通当たり判定や判定結果の報知は行われない。そこで、普通当たり遊技状態フラグが「ON」であり、普通当たり遊技状態である場合には(S25:YES)、何もせずにメイン処理へ戻る。
普通当たり遊技状態フラグが「ON」でない場合には(S25:NO)、普通当たり遊技状態でないので、普通図柄表示部24の制御に関する処理が行われる。まず、普通図柄表示状態フラグにより、普通図柄表示部24が変動中であるか否かの判断が行われる(S26)。普通図柄表示状態フラグが「1」でなく、変動中でない場合には(S26:NO)、普通図柄表示状態フラグにより停止表示中であるか否かの判断が行われる(S27)。普通図柄表示状態フラグが「2」でなく、停止表示中でない場合には(S27:NO)、普通当たり判定が行われる。
そこで、図10にフローチャートに示すように、普通当たり判定を行うべき遊技球が存在するか否かの確認が行われる(S28)。普通図柄作動保留球数記憶エリア5204の値が「1」以上でなければ(S28:NO)、普通当たり判定を行うべき遊技球は存在しないので、そのままメイン処理へ戻る。「1」以上であれば(S28:YES)、普通当たり判定を行うべき遊技球が存在するので、普通図柄作動保留球数記憶エリア5204の値が「1」減算され(S29)、普通当たり関係情報記憶エリア5203に記憶されている値がシフトされる。すなわち、第一記憶エリアに記憶されている乱数が判定エリアへシフトされ、第二〜第四記憶エリアに記憶されている乱数が番号の1つ若い記憶エリアへシフトされ、第四記憶エリアの値がクリアされる。(S30)。
次いで、普通当たり判定が行われる。普通当たり判定は、遊技状態が時短遊技状態であるか否かに応じて、判定エリアの普通当たり乱数欄に記憶されている値を用いて行われる。尚、時短遊技状態であるか否かを示す時短遊技状態フラグは、後述する特別電動役物処理及び特別図柄処理において「ON」・「OFF」の切り替えが行われている。時短状態フラグに「1」が記憶されて「ON」となっている時短遊技状態の場合は(S31:YES)、普通当たりとして決められている特定の値の数が非時短遊技状態の場合よりも多い高確率の普通当たり判定テーブル(図示外)が参照されて、普通当たり判定が行われる(S32)。
次いで、「普通当たり」と判定された場合には(S33:YES)、時短遊技状態中に普通当たりと判定された際の変動パターン決定処理が行われる(S34)。具体的には、まず、時短遊技状態における普通当たり時の変動パターン決定テーブル(図示外)が参照されて、普通当たり関係情報記憶エリア5203の判定エリアに記憶されている変動パターン決定乱数により変動パターンが1つ決定される。そして、決定された変動パターンを示す変動パターン指定コマンドがコマンド関係記憶エリア5207に記憶される。この変動パターン指定コマンドは、コマンド出力処理(S10、図8参照)においてサブ統合基板58及び中継基板47に送信され、決定された変動パターンを指定すると共に、表示画面28内のデモ図柄表示部D1〜D3及び普通図柄表示部24の変動開始の指示を行う。また、普通当たり判定において「普通当たり」と判定されなかった場合には(S33:NO)、時短遊技状態における普通当たり判定がはずれであった際の変動パターン決定テーブルが参照されて変動パターンが決定され、決定された変動パターンを示す変動パターン指定コマンドがコマンド関係記憶エリア5207に記憶される(S35)。
一方で、時短遊技状態フラグに「0」が記憶されて「OFF」となっている非時短遊技状態である場合には(S31:NO)、普通当たりとして決められている特定の値が時短遊技状態の場合よりも少ない低確率の普通当たり判定テーブルが参照されて、普通当たり判定が行われる(S36)。次いで、「普通当たり」と判定された場合には(S37:YES)、非時短遊技状態における普通当たり時の変動パターン決定テーブルが参照されて変動パターンが決定され、決定された変動パターンを示す変動パターン指定コマンドがコマンド関係記憶エリア5207に記憶される。(S38)。また、「普通当たり」と判定されなかった場合には(S37:NO)、非時短遊技状態における普通当たり判定がはずれであった際の変動パターン決定テーブルが参照されて変動パターンが決定され、決定された変動パターン指定コマンドが記憶される(S39)。
次いで、決定された変動パターンにより決められている普通図柄の変動時間が普通図柄変動時間カウンタTC1に記憶される(S40)。この変動時間は各変動パターン毎にあらかじめ設定されている。本実施の形態では、時短遊技状態中の変動パターンは全て変動時間が2秒に設定されているのに対し、非時短遊技状態では複数の変動時間が各変動パターン毎に割り当てられているが、変動時間の設定は適宜変更が可能である。そして、普通図柄表示部24が変動中であることを示す「1」が普通図柄表示状態フラグに記憶されて(S41)、普通図柄処理を終了し、メイン処理へ戻る。
また、図9のフローチャートに示すS26の判断において、普通図柄表示状態フラグに「1」が記憶されており、普通図柄表示部24が変動中であると判断された場合には(S26:YES)、変動時間が経過したか否かの判断が行われる(S47)。この判断は、普通図柄変動時間カウンタTC1の値により行われる。S40(図10参照)でセットされた普通図柄変動時間カウンタTC1の値が「0」となった場合には、普通図柄の変動時間が経過したので(S47:YES)、コマンド関係記憶エリア5207に普通図柄停止コマンドが記憶される(S48)。この普通図柄停止コマンドは、コマンド出力処理(S10、図8参照)においてサブ統合基板58及び中継基板47へ送信され、表示画面28内のデモ図柄表示部D1〜D3及び普通図柄表示部24の停止を指示する。そして、所定の停止表示時間(本実施の形態では0.8秒)が普通図柄停止時間カウンタTC2に記憶され(S49)、普通図柄表示部24が停止表示中であることを示す「2」が普通図柄表示状態フラグに記憶される(S50)。そして、普通図柄処理を終了し、メイン処理へ戻る。一方、S47の判断において、普通図柄変動時間カウンタTC1の値が「0」でなく、変動時間がまだ経過していない場合には(S47:NO)、普通図柄表示部24の変動が継続される。そこで、そのままメイン処理へ戻る。
また、S27の判断において、普通図柄表示状態フラグに「2」が記憶されており、普通図柄表示部24が停止表示中であると判断された場合には(S27:YES)、停止表示時間が経過したか否かの判断が行われる(S51)。この判断は、普通図柄停止時間カウンタTC2の値により行われる。S49でセットされた普通図柄停止時間カウンタTC2の値が、カウンタ更新処理(S12、図8参照)において減算されて「0」となった場合には、停止表示時間が経過したので(S51:YES)、普通図柄表示部24が停止表示中でも変動中でもないことを示す「0」が普通図柄表示状態フラグに記憶される(S52)。
そして、普通当たり乱数があらかじめ「普通当たり」と決められた乱数である場合には(S53:YES)、RAM52のフラグ関係記憶エリア5208に記憶されている普通当たり遊技状態フラグに「1」が記憶されて「ON」とされ(S54)、普通図柄処理を終了してメイン処理へ戻る。この普通当たり遊技状態フラグは、後述する普通電動役物処理(図11参照)において、普通電動役物13を開閉させる処理を行うか否かを判断する際に使用される。また、普通当たりでない場合には(S53:NO)、そのまま普通図柄処理を終了し、メイン処理へ戻る。また、S51の判断において、普通図柄停止時間カウンタTC2の値が「0」でなく、停止表示時間がまだ経過していないと判断された場合には(S51:NO)、普通図柄表示部24には引き続き図柄が停止表示される。そこで、そのままメイン処理へ戻る。
以上説明したように、遊技球が普通図柄始動ゲート12を通過すると(S21:YES)、乱数が取得され(S24)、時短遊技状態であるか否かに応じて普通当たり判定が行われて(S32,S36)、変動パターンが決定され、変動パターン指定コマンドが記憶される(S34,S35,S38,S39)。そして、繰り返しメイン処理が実行される中で、普通図柄処理も繰り返し実施され、変動時間が経過すると(S26:YES、S47:YES)、普通図柄停止コマンドが記憶される(S48)。さらに普通図柄処理が繰り返し実行され、停止表示時間が経過すると(S27:YES、S51:YES)、普通当たり判定の判定結果の報知を終了し、普通当たりであった場合には(S53:YES)、普通当たり遊技状態へ移行するために普通当たり遊技状態フラグが「ON」とされて(S54)、メイン処理へ戻る。
次に、メイン処理の普通電動役物処理(S15)の詳細について、図11を参照して説明する。まず、普通電動役物処理で使用されるフラグについて説明する。ここで使用される主なフラグとして、普通電動役物開放中フラグ及び普通図柄変動待機中フラグがある。普通電動役物開放中フラグは普通電動役物13が開放中であるか否かを示すフラグであり、普通電動役物13の開放中には「1」が記憶されて「ON」となり、閉鎖中には「0」が記憶されて「OFF」となる。また、普通図柄変動待機中フラグは、普通電動役物13が閉鎖されてから次の普通図柄の変動を可能とするまでの待機時間中であるか否かを示すフラグであり、変動待機中には「1」が記憶されて「ON」となり、変動待機中でなければ「0」が記憶されて「OFF」となる。尚、初期値は共に「0」である。
図11に示すように、メイン処理の普通電動役物処理が開始されると、普通当たり遊技状態フラグにより、普通当たり遊技状態であるか否かの判断が行われる(S61)。普通当たり遊技状態でない場合には、普通電動役物13の開放・閉鎖は行われない。そこで、普通当たり遊技状態フラグが「OFF」であり、普通当たり遊技状態でない場合には(S61:NO)、そのままメイン処理へ戻る。
一方で、普通当たり遊技状態フラグが「ON」であり、普通当たり遊技状態である場合には(S61:YES)、普通電動役物13の開放・閉鎖に関する処理が行われる。まず、普通図柄変動待機中フラグにより、普通図柄の変動待機中であるか否かの判断が行われる(S62)。普通図柄変動待機中フラグが「OFF」であり、変動待機中でない場合には(S62:NO)、普通電動役物開放中フラグにより普通電動役物13が開放中であるか否かの判断が行われる(S63)。普通電動役物開放中フラグが「OFF」であり、普通電動役物13がまだ開放されていなければ(S63:NO)、普通電動役物13を開放させるための普通電動役物開放コマンドがRAM52のコマンド関係記憶エリア5207に記憶される(S64)。そして、普通電動役物13の最大開放時間(4.5秒)が普通電動役物開放時間カウンタTC3に記憶され(S65)、普通電動役物13が開放中であることを示す「1」が普通電動役物開放中フラグに記憶されて「ON」とされる(S66)。
次いで、普通電動役物入賞球数カウンタの値が5であるか否かの判断が行われる(S67)。普通電動役物13へ遊技球が入賞する毎に、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図8参照)において、普通電動役物入賞球数カウンタの値に「1」が加算される。この普通電動役物入賞球数カウンタの値が5未満、すなわち「0」〜「4」であれば(S67:NO)、S65の処理でセットされた普通電動役物開放時間カウンタTC3により、普通電動役物13の最大開放時間が経過したか否かの判断が行われる(S68)。4.5秒の最大開放時間が経過していなければ(S68:NO)、そのままメイン処理へ戻る。
そして、その後に行われるメイン処理の普通電動役物処理で、普通当たり遊技状態であり(S61:YES)、普通図柄の変動待機中でなく(S62:NO)、普通電動役物13が開放中である場合には(S63:YES)、入賞球数が「5」となるか、若しくは普通電動役物13の最大開放時間が経過するまで、繰り返しこれらの判断が行われる(S67:NO、S68:NO)。そして、入賞球数が「5」となった場合(S67:YES)、若しくは4.5秒の開放時間が経過した場合には(S68:YES)、普通電動役物13を閉鎖させる処理が行われる。そこで、普通電動役物13を閉鎖させるための普通電動役物閉鎖コマンドがコマンド関係記憶エリア5207に記憶される(S69)。次いで、次の普通図柄の変動を可能とするまでの待機時間(23.2秒)が普通図柄変動待機時間カウンタTC4に記憶され(S70)、普通電動役物入賞球数カウンタの値が初期値である「0」に初期化される(S71)。次いで、フラグ関係記憶エリア5208の普通電動役物開放中フラグに「0」が記憶されて「OFF」とされ(S72)、普通図柄の変動待機中であることを示す「1」が普通図柄変動待機中フラグに記憶されて「ON」とされる(S73)。そして、メイン処理へ戻る。
また、普通図柄変動待機中フラグが「ON」であり、普通図柄の変動待機中である場合には(S62:YES)、普通図柄変動待機時間カウンタTC4の値により、待機時間が経過したか否かの判断が行われる(S74)。普通図柄変動待機時間カウンタTC4の値が「0」でなく、待機時間の計測中であると判断された場合には(S74:NO)、そのままメイン処理へ戻る。そして、繰り返しメイン処理が行われる中で時間が経過し、普通図柄変動待機時間カウンタTC4の値が「0」となって待機時間が経過したと判断された場合には(S74:YES)、フラグ関係記憶エリア5208の普通当たり遊技状態フラグに「0」が記憶されて「OFF」とされ(S75)、普通図柄変動待機中フラグが変動待機中でないことを示す「OFF」とされて(S76)、普通電動役物処理を終了し、メイン処理へ戻る。
以上説明したように、普通当たり判定の判定結果が「普通当たり」であり、普通当たり遊技状態となると(S61:YES)、普通電動役物13が開放される(S64)。そして、5個の遊技球の入賞を検知するか(S67:YES)、若しくは4.5秒の最大開放時間が経過すると(S68:YES)、普通電動役物13が閉鎖される(S69)。しかし、普通当たり遊技状態フラグは、その時点から計測される23.2秒の待機時間が経過するまで引き続き「ON」とされ(S74:NO)、待機時間が経過した時点で「OFF」とされる(S74:YES、S75)。そして、先述したように、普通当たり遊技状態フラグが「OFF」となっている場合は普通当たり判定が行われないため、普通当たり関係情報記憶エリア5203(図6参照)の第一記憶エリアに乱数が記憶されている場合でも、普通電動役物13の閉鎖後23.2秒間は普通当たり判定が行われないこととなる。そして、この23.2秒間の待機時間の長さは、1回の普通当たりに対して最大で5回行われる後述する特別図柄の変動・停止及び大当たり遊技が、最長の時間を要して全て終了する時間よりも後まで継続する長さに設定されている。従って、特別図柄の変動中や大当たり遊技中には普通当たり判定が行われることはない。この詳細は、図15を参照して後述する。
次に、メイン処理の特別図柄処理(S14)の詳細について、図12及び図13を参照して説明する。特別図柄で使用されるフラグとしては、特別図柄表示状態フラグ、大当たり遊技状態フラグ、確率変動フラグ等がある。特別図柄表示状態フラグは特別図柄表示部25の状態を示すフラグであり、特別図柄表示部25の変動中には「1」、停止表示中には「2」、変動中でも停止表示中でもない場合には「0」が記憶されている。また、大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技状態である場合には「1」が記憶されて「ON」となっており、そうでない場合には「0」が記憶されて「OFF」となっている。また、確率変動フラグは、確率変動状態である場合には「1」が記憶されて「ON」となっており、そうでない場合には「0」が記憶されて「OFF」となっている。尚、確率変動状態とは、非確率変動状態よりも「大当たり」と判定される確率が高い遊技状態である。また、各フラグの初期値はいずれも「0」である。
図12に示すように、メイン処理の特別図柄処理が開始されると、普通電動役物13への遊技球の入賞に関する処理が行われる。まず、普通電動役物13へ遊技球が入賞したか否かが判断される(S81)。入賞球フラグ記憶エリア5202に記憶されているフラグのうち、普通電動役物13に設けられている始動口スイッチ72に対応するフラグが「OFF」となっている場合には(S81:NO)、遊技球は普通電動役物13へ入賞していないので、そのままS85の判断へ移行する。
始動口スイッチ72に対応するフラグが「ON」である場合には(S81:YES)、普通電動役物13へ遊技球が入賞しているので、特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値が「4」であるか否かの判断が行われる(S82)。「4」である場合には(S82:YES)、この遊技球についての乱数は記憶できないので、そのままS85の判断へ移行する。
特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値が「4」でない場合、すなわち「0」〜「3」のいずれかである場合には(S82:NO)、特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値に「1」が加算される(S83)。そして、大当たり関係情報記憶エリア5205(図7参照)のうち、特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値に対応する番号の記憶エリアに乱数が記憶される(S84)。具体的には、大当たり乱数欄には大当たり判定カウンタの値が、当たり特別図柄決定乱数欄には当たり特別図柄作成カウンタの値が、はずれ特別図柄決定乱数欄にははずれ特別図柄作成カウンタの値がそれぞれ記憶される。
次いで、大当たり遊技状態フラグにより、大当たり遊技状態であるか否かの判断が行われる(S85)。大当たり遊技状態である場合には、大当たり判定や判定結果の報知はおこなわれない。そこで、大当たり遊技状態フラグが「ON」であり、大当たり遊技状態である場合には(S85:YES)、何もせずにメイン処理へ戻る。
大当たり遊技状態フラグが「ON」でない場合には(S85:NO)、大当たり遊技状態でないので、特別図柄表示部25の制御に関する処理が行われる。まず、特別図柄表示状態フラグにより、特別図柄表示部25が変動中であるか否かの判断が行われる(S86)。特別図柄表示状態フラグが「1」でなく、変動中でない場合には(S86:NO)、特別図柄表示状態フラグにより停止表示中であるか否かの判断が行われる(S87)。特別図柄表示状態フラグが「2」でなく、停止表示中でない場合には(S87:NO)、大当たり判定が行われる。
そこで、図13のフローチャートに示すように、大当たり判定を行うべき遊技球が存在するか否かの確認が行われる(S88)。特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値が「1」以上でなければ(S88:NO)、大当たり判定を行うべき遊技球は存在しないので、そのままメイン処理へ戻る。「1」以上であれば(S88:YES)、大当たり判定を行うべき遊技球が存在するので、特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値が「1」減算され(S89)、大当たり関係情報記憶エリア5205に記憶されている値がシフトされる。すなわち、第一記憶エリアに記憶されている乱数が判定エリアへシフトされ、第二〜第四記憶エリアに記憶されている乱数が番号の1つ若い記憶エリアへシフトされ、第四記憶エリアの値がクリアされる(S90)。
次いで、大当たり判定が行われる。大当たり判定は、遊技状態が確率変動状態であるか否かに応じて、判定エリアの大当たり乱数欄に記憶されている値を用いて行われる。確率変動フラグに「1」が記憶されて「ON」となっている確率変動状態の場合は(S91:YES)、大当たりとして決められている特定の値の数が非確率変動状態の場合よりも多い高確率の大当たり判定テーブル(図示外)が参照されて、大当たり判定が行われる(S92)。一方で、確率変動フラグが「OFF」となっている非確率変動状態の場合は(S91:NO)、大当たりとして決められている特定の値の数が高確率の大当たり判定テーブルよりも少ない低確率の大当たり判定テーブルが参照されて、大当たり判定が行われる(S93)。
次いで、「大当たり」と判定された場合には(S94:YES)、当たり特別図柄決定処理(S95)において、判定エリアの当たり特別図柄決定乱数欄に記憶されている値に基づいて、複数の当たり特別図柄の中から1つが決定され、決定された当たり特別図柄を示す特別図柄指定コマンドがコマンド関係記憶エリア5207に記憶される。一方で、「はずれ」と判定された場合には(S94:NO)、はずれ特別図柄決定処理(S96)において、はずれ特別図柄決定乱数欄に記憶されている値に基づいてはずれ特別図柄の1つが決定され、その決定された特別図柄を示す特別図柄指定コマンドが記憶される。
次いで、特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値が「0」であるか否かの判断が行われ(S97)、「0」である場合には(S97:YES)、特別図柄の第一変動時間(0.4秒)が特別図柄第一変動時間カウンタTC5に記憶される(S98)。また、保留球が存在し、特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値が「0」でない場合には(S97:NO)、特別図柄の第二変動時間(1.8秒)が特別図柄第二変動時間カウンタTC6に記憶される(S99)。
次いで、特別図柄表示部25の変動を開始させるための特別図柄変動開始コマンドがコマンド関係記憶エリア5207に記憶される(S100)。そして、特別図柄表示部25が変動中であることを示す「1」が特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S101)、メイン処理へ戻る。
また、図12のフローチャートに示すS86の判断において、特別図柄表示状態フラグに「1」が記憶されており、特別図柄表示部25が変動中であると判断された場合には(S86:YES)、S98若しくはS99(図13参照)でセットされた特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となったか否かにより、変動時間が経過したか否かの判断が行われる(S106)。特別図柄変動時間カウンタの値が「0」である場合には、特別図柄の変動時間が経過したので(S106:YES)、特別図柄表示部25の変動を停止させるための特別図柄停止コマンドが記憶される(S107)。そして、0.5秒の停止表示時間が特別図柄停止時間カウンタTC7に記憶され(S108)、特別図柄表示部25が停止表示中であることを示す「2」が特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S109)、メイン処理へ戻る。一方、S106の判断において、特別図柄変動時間カウンタの値が「0」でなく、変動時間がまだ経過していない場合には(S106:NO)、特別図柄表示部25の変動が継続される。そこで、そのままメイン処理へ戻る。
また、S87の判断において、特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶されており、特別図柄表示部25が停止表示中であると判断された場合には(S87:YES)、S108でセットされた特別図柄停止時間カウンタTC7の値により、停止表示時間が経過したか否かの判断が行われる(S110)。特別図柄停止時間カウンタTC7の値が「0」である場合には、停止表示時間が経過したので(S110:YES)、特別図柄表示部25が停止表示中でも変動中でもないことを示す「0」が特別図柄表示状態フラグに記憶される(S111)。そして、フラグ関係記憶エリア5208の確率変動フラグ及び時短状態フラグが「ON」となっている場合には、共に「OFF」へ切り替える処理が行われる(S112)。
そして、大当たり乱数があらかじめ「大当たり」と決められた乱数である場合には(S113:YES)、フラグ関係記憶エリア5208の大当たり遊技状態フラグに「1」が記憶されて「ON」とされ(S114)、特別図柄処理を終了してメイン処理へ戻る。この大当たり遊技状態フラグは、後述する特別電動役物処理(図14参照)において、第一大入賞口16及び第二大入賞口17を開閉させる処理を行うか否かを判断する際に使用される。また、大当たりでない場合には(S113:NO)、そのまま特別図柄処理を終了し、メイン処理へ戻る。また、S110の判断において、特別図柄停止時間カウンタTC7の値が「0」でなく、停止表示時間がまだ経過していないと判断された場合には(S110:NO)、特別図柄表示部25には引き続き図柄が停止表示される。そこで、そのままメイン処理へ戻る。
以上説明したように、遊技球が普通電動役物13へ入賞すると(S81:YES)、乱数が取得され(S84)、確率変動状態であるか否かに応じて大当たり判定が行われて(S92,S93)、特別図柄表示部25の変動が開始される(S100)。そして、繰り返しメイン処理が実行される中で変動時間が経過すると(S86:YES、S106:YES)、特別図柄の変動を停止させる処理が行われる(S107)。さらに時間が経過し、停止表示時間が終了すると(S87:YES、S110:YES)、大当たり判定の判定結果の報知を終了し、大当たりであった場合には(S113:YES)、大当たり遊技状態フラグが「ON」とされて(S114)、メイン処理へ戻る。
次に、本発明の要部である、メイン処理の特別電動役物処理(S13)の詳細について、図14を参照して説明する。本実施の形態では、第一大入賞口16及び第二大入賞口17の2つの大入賞口が上下に並べて配設されており、大当たり遊技状態中は、まず下側の第一大入賞口16を開放させた後、上側の第二大入賞口17を開放させる。特別電動役物処理では、この2つの大入賞口16,17を開閉するための処理が行われている。
まず、特別電動役物処理で使用されるフラグについて説明する。ここで使用される主なフラグとして、大入賞口開放中フラグ、大入賞口処理待機中フラグ、第一大入賞口開閉終了フラグがあり、RAM52のフラグ関係記憶エリア5208に記憶されている。大入賞口開放中フラグは、第一大入賞口16及び第二大入賞口17の一方が開放されているか否かを示すフラグであり、いずれか一方の大入賞口が開放されている場合に「1」が記憶されて「ON」となり、共に閉鎖されている場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。また、大入賞口処理待機中フラグは、第一大入賞口16若しくは第二大入賞口17が閉鎖されてから、大入賞口16,17に関する次の処理が行われるまでの0.4秒間の待機時間中であるか否かを示すフラグであり、待機時間中には「1」が記憶されて「ON」となり、待機時間中でなければ「0」が記憶されて「OFF」となる。また、第一大入賞口開閉終了フラグは、大当たり遊技状態中に先に行われる第一大入賞口16の開閉動作が終了したか否かを示すフラグであり、第一大入賞口16の開閉動作が終了した場合には「1」が記憶されて「ON」となり、終了していない場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。尚、初期値はいずれも「0」である。
図14に示すように、メイン処理の特別電動役物処理が開始されると、大当たり遊技状態フラグにより、大当たり遊技状態であるか否かの判断が行われる(S121)。大当たり遊技状態でない場合には、2つの大入賞口16,17の開放・閉鎖は行われない。そこで、大当たり遊技状態フラグが「OFF」であり、大当たり遊技状態でない場合には(S121:NO)、そのままメイン処理へ戻る。
一方で、大当たり遊技状態フラグが「ON」であり、大当たり遊技状態である場合には(S121:YES)、2つの大入賞口16,17に関する処理が行われる。まず、大入賞口処理待機中フラグにより、大入賞口16,17に関する次の処理が行われるまでの待機時間中であるか否かの判断が行われる(S122)。大入賞口処理待機中フラグが「OFF」であり、待機時間中でない場合には(S122:NO)、大入賞口開放中フラグにより2つの大入賞口16,17の一方が開放されているか否かの判断が行われる(S123)。大入賞口開放中フラグが「OFF」であり、大入賞口16,17が共に閉鎖中である場合には(S123:NO)、2つの大入賞口16,17のいずれかを開放させる処理が行われる。
そこで、第一大入賞口開閉終了フラグにより、第二大入賞口17の開閉動作よりも先に行われる第一大入賞口16の開閉動作が終了しているか否かの判断が行われる(S124)。第一大入賞口開閉終了フラグが「OFF」であり、第一大入賞口16の開閉動作がまだ終了していない場合には(S124:NO)、第一大入賞口16を開放させるための第一大入賞口開放コマンドがコマンド関係記憶エリア5207に記憶される(S125)。このコマンドは、次に行われるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図8参照)において、中継基板47に出力される。そして、大入賞口16,17の最大開放時間(1.5秒)が大入賞口開放時間カウンタTC8に記憶され(S127)、大入賞口16,17の一方が開放されていることを示す「1」が大入賞口開放中フラグに記憶されて「ON」とされる(S128)。
次いで、第一大入賞口16へ遊技球が入賞したか否かの判断が行われる(S129)。入賞球フラグ記憶エリア5202のうち、大入賞口16に設けられた第一大入賞口スイッチ75に対応するフラグが「OFF」となっており、第一大入賞口16へ遊技球が入賞していないと判断された場合には(S129:NO)、S127の処理でセットされた大入賞口開放時間カウンタTC8により、第一大入賞口16の最大開放時間が経過したか否かの判断が行われる(S130)。1.5秒の最大開放時間が経過していなければ(S130:NO)、そのままメイン処理へ戻る。
そして、その後に行われるメイン処理の特別電動役物処理で、大当たり遊技状態であり(S121:YES)、大入賞口16,17に関する次の処理が行われるまでの待機時間中でなく(S122:NO)、2つの大入賞口16,17の一方が開放中である場合には(S123:YES)、第一大入賞口16へ遊技球が入賞するか、若しくは第一大入賞口16の最大開放時間が経過するまで、繰り返しこれらの判断が行われる(S129:NO、S130:NO)。そして、第一大入賞口16へ遊技球が入賞するか(S129:YES)、若しくは1.5秒の最大開放時間が経過した場合には(S130:YES)、第一大入賞口16を閉鎖させる処理が行われる。そこで、開放している第一大入賞口16若しくは第二大入賞口17を閉鎖させるための大入賞口閉鎖コマンドがコマンド関係記憶エリア5207に記憶される(S131)。このコマンドは、次に行われるコマンド出力処理(S10、図8参照)において中継基板47に送信される。
次いで、大入賞口16,17に関する次の処理が行われるまでの待機時間(0.4秒)が大入賞口処理待機時間カウンタTC9に記憶され(S132)、フラグ関係記憶エリア5208の大入賞口開放中フラグに「0」が記憶されて「OFF」とされる(S133)。そして、大入賞口16,17に関する次の処理が行われるまでの待機時間中であることを示す「1」が大入賞口処理待機中フラグに記憶されて「ON」とされ(S134)、メイン処理へ戻る。
また、大入賞口処理待機中フラグが「ON」である場合には(S122:YES)、大入賞口処理待機時間カウンタTC9の値により、待機時間が経過したか否かの判断が行われる(S136)。大入賞口処理待機時間カウンタTC9の値が「0」でなく、待機時間の計測中であると判断された場合には(S136:NO)、そのままメイン処理へ戻る。そして、繰り返しメイン処理が行われる中で時間が経過し、大入賞口処理待機時間カウンタTC9の値が「0」となって、待機時間が経過したと判断された場合には(S136:YES)、待機時間中でないことを示す「0」が大入賞口待機中フラグに記憶されて「OFF」とされる(S137)。
次いで、第一大入賞口16の開閉動作が終了していることを示す第一大入賞口開閉終了フラグが「ON」となっているか否かの判断が行われる。第一大入賞口開閉終了フラグが「OFF」となっている場合には(S138:NO)、このフラグが「ON」に切り替えられて(S139)、メイン処理へ戻る。
そして、次に行われる特別電動役物処理では、大当たり遊技状態であり(S121:YES)、大入賞口16,17に関する次の処理が行われるまでの待機時間中でなく(S122:NO)、2つの大入賞口16,17は共に閉鎖中であるため(S123:NO)、2つの大入賞口16,17のいずれかを開放させる処理が行われる。ここで、先に行われた特別電動役物処理のS139の処理において、第一大入賞口16の開閉動作が終了していることを示す大入賞口開閉終了フラグが「ON」とされているため(S124:YES)、第二大入賞口17を開放させるための第二大入賞口開放コマンドが、コマンド関係記憶エリア5207に記憶される(S126)。次いで、第一大入賞口16が開放された場合と同様に、1.5秒の最大開放時間が大入賞口開放時間カウンタTC8に記憶され(S127)、大入賞口開放中フラグが「ON」とされる(S128)。そして、繰り返しメイン処理が行われる中で、第二大入賞口17に設けられた第二大入賞口スイッチ76に対応する入賞球フラグが「ON」となるか(S129:YES)、若しくは1.5秒の最大開放時間が経過した場合には(S130:YES)、大入賞口閉鎖コマンドが記憶され(S131)、0.4秒の待機時間が大入賞口処理待機時間カウンタTC9に記憶される(S133)。次いで、大入賞口開放中フラグが「OFF」とされ(S133)、大入賞口処理待機中フラグが「ON」とされる(S134)。
そして、その後に繰り返し行われる特別電動役物処理では、S133でセットされた0.4秒の待機時間が経過すると(S121:YES、S122:YES、S136:YES)、大入賞口処理待機中フラグが「OFF」とされる(S137)。次いで、第一大入賞口開閉終了フラグが「ON」となっている場合には(S138:YES)、第一大入賞口開閉終了フラグが「OFF」とされ(S140)、2つの大入賞口16,17の開閉動作が共に終了しているので、大当たり遊技状態フラグに「0」が記憶されて「OFF」とされる(S141)。
次いで、遊技状態に関するフラグの処理が行われる。先述した特別図柄処理におけるS95の処理(図13参照)において、特別図柄が決定されている。この特別図柄が確率変動図柄であれば(S142:YES)、確率変動状態であることを示す「1」が確率変動フラグに記憶されて「ON」とされ(S143)、さらに、時短遊技状態であることを示す「1」が時短状態フラグに記憶されて「ON」とされ(S144)、メイン処理へ戻る。一方で、決定された特別図柄が非確率変動図柄であれば(S142:NO)、そのまま特別電動役物処理を終了し、メイン処理へ戻る。
以上説明したように、大当たり判定の判定結果が「大当たり」であり、大当たり遊技状態となると(S121:YES)、2つ設けられた大入賞口16,17のうち、下方に設けられている第一大入賞口16が先に開放される(S124:NO、S125)。そして、第一大入賞口16へ遊技球が入賞するか(S129:YES)、若しくは1.5秒の最大開放時間が経過すると(S130:YES)、第一大入賞口16が閉鎖される(S131)。次いで、0.4秒の待機時間経過後に上方に設けられている第二大入賞口17が開放され(S124:YES、S126)、第二大入賞口17が閉鎖されてから再び0.4秒の待機時間が計測された後、大当たり遊技状態フラグが「OFF」とされる(S141)。そして、確率変動大当たりであれば(S142:YES)、確率変動フラグ及び時短状態フラグが共に「ON」とされる(S143、S144)。
次に、本実施の形態のパチンコ機1における遊技について、図15のタイミングチャートを参照して説明する。図15は、パチンコ機1での各制御を時間経過に対応させて表したタイミングチャートである。尚、図15では、パチンコ機1の各制御として、普通図柄作動SW(普通図柄作動スイッチ73)、普通図柄(普通図柄表示部24)、普通電動役物13、始動口SW(始動口スイッチ72)、特別図柄(特別図柄表示部25)、大入賞口(第一大入賞口16及び第二大入賞口17)、確率変動状態及び時短遊技状態を表している。また、図15では、普通図柄始動ゲート12を通過した1つ目の遊技球に起因した普通当たり判定において「普通当たり」と判定され、その後に行われる連続した5回の大当たり判定が全て「確率変動大当たり」、さらに2つ目の遊技球に関する普通当たり判定も「普通当たり」と判定された場合の制御を例示している。
まず、遊技球が普通図柄始動ゲート12を通過したことが普通図柄作動スイッチにより検知されると(S21)、確率変動及び時短が「停止」の状態となっている、すなわち非時短遊技状態であるため、その遊技球に関する低確率での普通当たり判定が行われる(S36)。そして、普通図柄が変動を開始する(S38)。ここで、非時短遊技状態中の普通図柄の変動時間は、決定された変動パターンによって異なる(S40)。また、低確率での普通当たり判定において「普通当たり」と判定される確率は5/719である。尚、普通図柄始動ゲートには3つの遊技球が通過しているが、最初の1つ以外は普通図柄作動保留球となる。
次いで、決定された変動パターンによって指定されている普通図柄の変動時間が経過すると(S47:YES)、普通図柄が停止し(S48)、0.8秒間の停止表示時間を経て普通当たり遊技状態となる(S54)。普通当たり遊技状態では、まず普通電動役物13が開放され(S64)、遊技球の入賞が可能な状態となる。そして、4.5秒の最大開放時間が経過するか、若しくは5個の遊技球の入賞が検知されると、開放された普通電動役物13は閉鎖される(S69)。図15に示すタイミングチャートでは、5個の遊技球の入賞が検知されることで普通電動役物13が閉鎖されている。そして、普通当たり遊技状態は、普通電動役物の閉鎖後23.2秒の普通図柄変動待機時間が経過するまで継続し、普通当たり遊技状態中は新たな普通当たり判定が行われることはない。
次いで、普通電動役物13への1つ目の遊技球の入賞が始動口スイッチ72により検知されると(S81)、確率変動が「停止」の状態となっているため、その遊技球に関する低確率(2009/2011)での大当たり判定が行われて(S93)、特別図柄が変動を開始する(S100)。ここで、1つ目の遊技球の入賞が検知された時点では特別図柄作動保留球数は「0」であるため(S97:YES)、特別図柄の変動時間は0.4秒がセットされる(S98)。この0.4秒の変動時間が経過して特別図柄が停止し(S107)、0.5秒の停止表示時間が経過すると、大当たり遊技状態となる。尚、大当たりと判定された際に、その大当たりが「確率変動大当たり」である確率は81/84である。
大当たり遊技状態では、まず、2つの大入賞口16,17のうち、下方に設けられている第一大入賞口16が最大1.5秒間開放される(S124:NO、S125)。大入賞口16,17は、1.5秒の最大開放時間が経過するか、若しくは1つでも遊技球の入賞が検知されると閉鎖され(S131)、第一大入賞口16の閉鎖後0.4秒の処理待機時間を経て第二大入賞口17が最大1.5秒間開放される(S124:YES、S126)。そして、第二大入賞口17の閉鎖後再び0.4秒の処理待機時間を経て一連の大当たり遊技が終了する(S141)。
次いで、1回目の大当たり遊技が終了すると、確率変動が「作動」の状態となっているため、普通電動役物13へ入賞した2つ目の遊技球に関する高確率(2010/2011)での大当たり判定が行われて(S92)、特別図柄が変動を開始する(S100)。この時点では特別図柄作動保留球が「1」以上となっているため(S97:NO)、特別図柄の変動時間は1.8秒がセットされる(S99)。そして、大当たり判定の判定結果が「大当たり」であるため、先述した1回目の大当たり遊技と同様の処理が行われる。その後、1回目及び2回目の特別図柄の変動と同様に、3〜5回目の特別図柄の変動が制御され、特別図柄の停止後には大当たり遊技が行われることになる。本実施の形態では、大当たり判定による判定結果が「確率変動大当たり」であった場合には、大当たり遊技終了時に確率変動状態及び時短遊技状態が作動を開始し、次の特別図柄の変動後の停止表示時間が終了した時点でこれらの遊技状態が終了するように設定されている。従って、次に普通当たり遊技状態となって普通電動役物13へ遊技球が入賞し、特別図柄の変動及び停止表示が終了するまで、確率変動状態及び時短遊技状態は継続し続けることになる。
次いで、普通当たり遊技状態が終了し、普通図柄始動ゲート12を通過した2つ目の遊技球に関する普通当たり判定が行われる。ここで、先述したように、普通電動役物13が閉鎖された後の23.2の待機時間の長さは、1回の普通当たりに対して最大で5回行われる特別図柄の変動・停止及び大当たり遊技が最長の時間を要して全て終了する時間よりも後まで継続する長さに設定されている。よって、特別図柄の変動中や大当たり遊技状態中に普通当たり判定が行われることはない。
また、先述したように、一旦生起された確率変動状態及び時短遊技状態は、次の特別図柄の停止表示が終了するまで継続する。従って、普通当たり判定が行われる前の最も近い時間に行われた大当たり判定の結果が「確率変動大当たり」であれば、普通当たり判定では718/719の確率で「普通当たり」と判定されて、非時短遊技状態の場合よりも短い間隔で普通当たり遊技及び大当たり遊技が連続し、多数の遊技球が払い出される。一方で、普通当たり判定が行われる前に行われた大当たり判定の結果が「非確率変動大当たり」若しくは「はずれ」であった場合には、非時短遊技状態となるため、普通当たりと判定される確率は時短遊技状態の場合よりも低い5/719となる。尚、普通当たり判定を契機として遊技状態が移行することはないため、普通当たり判定において「はずれ」と判定された場合には、その時点の遊技状態がそのまま継続される。尚、図15に示すタイミングチャートでは、2回目の普通当たり判定の前に行われた大当たり判定の結果が「確率変動大当たり」であるため、718/719の高確率で普通当たり判定が行われ、先述した普通当たり遊技及び大当たり遊技と同様の制御が行われる。
次に、本発明の特長である2つの大入賞口16,17の開閉動作及びその効果について、1つの大入賞口の開閉動作を比較対象に挙げて、図16を参照して説明する。図16は、1つの大入賞口を用いて大当たり遊技を行う場合の大入賞口のタイミングチャートと、2つの大入賞口16,17を用いて大当たり遊技を行う場合の大入賞口のタイミングチャートとを比較した図である。
まず、大入賞口が1つの場合のタイミングチャートについて説明する。大当たり判定により「大当たり」と判定されると、1回目の大当たり遊技が行われる。図16に示すように、大当たり遊技では、まず大入賞口が最大で1.5秒間開放される。そして、1回目の開放が終了すると、2回目の開放が行われる。ここで、大入賞口には入賞した遊技球を検出するためのスイッチが設けられているが、開放された大入賞口へ実際に遊技球が入り込む時間と、スイッチによって遊技球が検出される時間との間には時間差が発生する。よって、規定個数の遊技球の入賞が検出されたことを条件に大入賞口を閉鎖させる構成の遊技機であっても、規定個数以上の遊技球が入賞する場合がある。そして、1回目の閉鎖と2回目の開放との間の時間を十分に取らなければ、2回目の開放中に検出された遊技球が、1回目の開放中に規定個数よりも多く入賞した分の遊技球であるか、2回目の開放中に入賞した遊技球であるかが判別できない場合が生じる。従って、1つの大入賞口を用いて大当たり遊技を行う場合には、1回の開放中に大入賞口へ入賞した全ての遊技球を検出するために十分な閉鎖時間が経過した後に、2回目の開放を行う必要がある。
そして、大入賞口の閉鎖時間中は、大当たり遊技中であるにも関わらず大入賞口へ入賞できない無駄な遊技球が増加し、遊技者が獲得できる遊技球の個数が減少するため、遊技者の興趣を損ねる虞がある。また、大当たり遊技に要する時間が閉鎖時間の分だけ長くなり、遊技の展開が遅くなるという問題点もある。さらに、閉鎖時間中の遊技球の打ち出しを止める、所謂止め打ちを行う遊技者と打ち出しを続ける遊技者との間で、払い出される遊技球の個数に差が生じる。図16に示す例では、1回目の閉鎖と2回目の開放との間に3秒間の閉鎖時間を設けた場合を示している。そして、2回目の閉鎖後2.7秒間の内に次の大当たり判定や特別図柄の変動等が行われ、判定結果が大当たりであれば、2回目の大当たり遊技が行われる。尚、本実施の形態と同様に、2回目の大入賞口の閉鎖後0.4秒経過するまでを大当たり遊技中であるとすると、1回の大当たり遊技に要する最大の時間は6.4秒となる。
次いで、本発明を適用した一実施形態であるパチンコ機1のタイミングチャートについて説明する。パチンコ機1では、2つの大入賞口が用いられている。図16に示すように、大当たり遊技では、まず2つ設けられた大入賞口16,17のうち、下方に設けられた第一大入賞口16が最大で1.5秒間開放される。これが、1回目の開放である。そして、1回目の開放が終了すると、上方に設けられた第二大入賞口17が開放される。これが、2回目の開放である。このように、パチンコ機1では、1回目に開放される大入賞口と2回目に開放される大入賞口とが異なるため、入賞した全ての遊技球を、他方の大入賞口が開放している間にスムーズに検出することができる。従って、1回目の閉鎖と2回目の開放との間の時間を短くした場合や、1回目の閉鎖と2回目の開放とを同時に行う場合でも、スイッチによって検出された遊技球が何回目の開放中に入賞した遊技球であるかが容易に判別できる。
そして、1回目の開放と2回目の開放との間隔を短くするほど、大入賞口16,17へ入賞できない無駄な遊技球が生じる頻度を低下させることができる。また、本実施の形態では1回の大当たり遊技に要する最大の時間は3.8秒であり、先述した大入賞口が1つの場合に比べて大当たり遊技に要する時間が短くなるため、遊技の展開が速くなる。さらに、1回目の開放と2回目の開放との間隔を、1個1個の遊技球の発射間隔(本実施の形態では0.6秒)よりも短い0.4秒とした。これにより、大入賞口16,17の閉鎖中に生じる無駄な遊技球の個数が2球以上となる可能性を低減させると共に、止め打ちを行うことを不可能にすることで、払い出される遊技球の個数に差が生じることを防止している。
さらに、上方の第二大入賞口17の開放中は、遊技球誘導部材22(図1及び図2参照)によって大入賞口16,17へ誘導された遊技球は、下方の第一大入賞口16まで到達する前に第二大入賞口17へ入賞するため、第一大入賞口16の近傍には遊技球が到達しにくい。よって、開放している上方の第二大入賞口17を閉鎖した時点で下方の第一大入賞口16を開放しても、開放直後の第一大入賞口16へは遊技球は入賞しにくい。一方で、開放している下方の第一大入賞口16を閉鎖した時点で上方の第二大入賞口17を開放した場合、第二大入賞口17へは開放直後であっても遊技球が入賞しやすい。図16に示すように、本実施の形態では、1回の大当たり遊技に対して1回ずつ交互に行われる2つの大入賞口16,17の開閉動作を、下方の第一大入賞口16から先に行うことで、第一大入賞口16の閉鎖直後(0.4秒後)に開放される第二大入賞口17への遊技球の入賞を容易にしている。また、2つの大入賞口16,17が同じ回数だけ複数回開閉される場合(大当たり遊技のラウンド数が偶数である場合)には、ラウンド数が2回である本実施の形態と同様に、「上、下、上、下」の順で動作を繰り返す場合よりも、「下、上、下、上」の順で動作を繰り返す方が、「下、上」の一連の動作が行われる回数が1回多い。従って、大入賞口16,17への遊技球の入賞がより容易になる。
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機1によると、2つの大入賞口16,17を交互に開閉させることで、1つの大入賞口を繰り返し開閉させる場合よりも、大入賞口へ入賞しない無駄な遊技球を減らし、遊技の展開を速くすることができる。また、大入賞口の閉鎖時間中に遊技球の打ち出しを止める行為を防止することができるため、払い出される遊技球の個数の差を縮小することができる。
また、大当たり遊技中は常に開閉部材を開放させて、大入賞口の開閉部材上に遊技球を貯留可能とすることで無駄な遊技球を減らす構成とした場合、本実施の形態のように大当たり遊技が連続する遊技機に適用すると、大当たり遊技と大当たり遊技との合間で開閉部材を閉鎖させなければならないため、大きな効果を得ることはできない。さらに、貯留された複数の遊技球を一度に検知する必要が生じるため、遊技球の検知がスムーズに行えない虞もある。しかし、本実施の形態では、大当たり遊技と大当たり遊技との合間の時間を短くすることで2つの大入賞口が交互に連続して開閉するため、大当たり遊技が連続した場合でも効率よく無駄な遊技球を減らすことができる。また、一方の大入賞口の閉鎖中には他方の大入賞口に遊技球が入賞するため、貯留された複数の遊技球が大入賞口にまとめて流入することがなく、遊技球の検知が短い時間でスムーズに行われる。さらに、大当たり遊技中に開閉部材が開放し続ける構成の遊技機では、現在行われている開放動作が何度目の動作であるか、所謂ラウンド数が分かりにくいが、本実施の形態では開放される大入賞口16,17がラウンド毎に交互に変わるため、遊技者はラウンドの切り替わりを容易に把握することができる。
尚、本実施形態における第一大入賞口16が本発明の「第一入賞口」に相当し、第二大入賞口17が「第二入賞口」に相当する。また、第一大入賞口16を開閉させる第一大入賞口開放ソレノイド70と、第二大入賞口17を開閉させる第二大入賞口開放ソレノイド71とが「入賞口開閉手段」に相当し、図14に示すS125,S126,S131において、2つの大入賞口開放ソレノイド70,71の動作を制御する主基板41のCPU51が「入賞口開閉制御手段」として機能する。また、普通電動役物13が本発明の「始動口」及び「可変入賞口」に相当し、普通電動役物13に設けられた始動口スイッチ72が「始動口遊技球検出手段」に相当する。また、図12に示すS84において、大当たり乱数を取得する主基板41のCPU51が「大当たり乱数取得手段」として機能し、図13に示すS92及びS93において、取得された乱数が大当たりとして決められた乱数であるか否かを判断する主基板41のCPU51が「大当たり判定手段」として機能する。
また、普通電動役物13を開閉させる電動役物開放ソレノイド69が「可変始動口開閉手段」に相当し、普通図柄始動ゲート12が「通過口」に相当する。また、普通図柄始動ゲート12に設けられた普通図柄作動スイッチ73が「通過口遊技球検出手段」に相当し、図9に示すS24において、普通当たり乱数を取得する主基板41のCPU51が「普通当たり乱数取得手段」として機能する。また、図10に示すS32及びS36において、普通当たりか否かを判定する主基板41のCPU51が「普通当たり判定手段」として機能し、図11に示すS64及びS69において、電動役物開放ソレノイド69の動作を制御する主基板41のCPU51が「可変始動口開閉制御手段」に相当する。
尚、本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。まず、本実施の形態では大当たり判定により大当たりと判定された場合に2つの大入賞口16,17を交互に開閉させているが、普通電動役物を2つ設け、普通当たり判定により普通当たりと判定された場合に2つの普通電動役物を交互に開閉させる構成としてもよい。すなわち、開閉部材を有する2つの入賞口を備えた遊技機であれば、本発明の実現が可能である。
また、本発明に基づく遊技状態の制御は、上記実施の形態に例示したものに限定されることはなく、遊技機の仕様等に応じて様々な変更が可能である。例えば、大当たり判定によって大当たりと判定される確率、大当たり遊技中に大入賞口16,17を開閉させる回数、特別図柄の変動時間等を変更することができる。また、本実施の形態では、一方の大入賞口を閉鎖してから他方の大入賞口を開放するまでの時間を0.4秒としているが、一方の大入賞口の閉鎖と同時に他方を開放させることもできる。
また、本実施の形態では、第一大入賞口16の上方に第二大入賞口17を設け、下方の第一大入賞口16を先に開放させているが、2つの入賞口を上下に並べて配設する必要はない。例えば、遊技盤2の上部では多くの遊技球が左から右へ移動するため、遊技球が流下する方向における上流側は左側となる。そして、遊技盤2の上部において第一大入賞口16を右に、第二大入賞口17を左に配設することで、2つの大入賞口16,17に効率よく遊技球を入賞させることができる。
また、本実施の形態で生起される遊技状態としては、普通当たり判定の確率が異なる時短遊技状態及び非時短遊技状態と、大当たり判定の確率が異なる確率変動状態及び非確率変動状態とが設けられているが、これを変更することもできる。例えば、確率変動状態と非確率変動状態とを設けずに、時短遊技状態及び非時短遊技状態のみを生起させる構成の遊技機としても、時短遊技状態中に非時短遊技状態中よりも短い時間で大当たりが連続するパチンコ機1と同様の動作を行わせることが可能である。また、本実施の形態では確率変動フラグのON・OFFと、時短状態フラグのON・OFFとを同期させている、換言すると、確率変動状態と時短遊技状態とがセットになっているが、セットにする必要はない。すなわち、大当たり判定時に時短遊技状態の生起・終了を判定できる構成とすれば他の形態に変更することもできる。
また、本実施の形態では、一旦生起された時短遊技状態は、次に特別図柄の停止表示が終了した時点で非時短遊技状態に切り替えられるように設定しているため、大当たり判定で「はずれ」と判定された場合に時短遊技状態を終了させることができる。しかし、次に「大当たり」と判定されるまで時短遊技状態を継続させる構成としてもよい。この場合には、大当たり判定で「はずれ」と判定された場合でも時短遊技状態は継続する。また、これと同様に、確率変動状態を終了させる条件も変更することが可能である。
また、本実施の形態では、普通当たり状態となった後、次に普通当たり判定が行われるまでの待機時間の長さは、1回の普通当たりを契機として最大で5回行われる特別図柄の変動・停止及び大当たり遊技が、最長の時間を要して全て終了する時間よりも後まで継続する長さに設定されている。しかし、この待機時間の長さを短くすることもできる。この場合、特別図柄の変動中や大当たり遊技中に普通当たり判定が行われる可能性があるが、大当たり遊技中は時短遊技状態が生起されることはない。さらに、特別図柄作動保留球数が「0」の場合の特別図柄の変動時間を、「0」でない場合の変動時間よりも短く設定しているため、これにより、特別図柄の変動中に普通当たり判定が行われる可能性は低く抑えられる。従って、待機時間の長さを短くした場合でも、特別図柄の変動中や大当たり遊技中に再び普通当たり状態となり、遊技内容が複雑になる可能性は低い。
尚、この場合の待機時間は、普通電動役物13の5個の遊技球が入賞した際に、最短の時間で5回の大当たり判定を終了させるために必要な時間、すなわち、5回行われる大当たり判定が全て「はずれ」と判定された場合に要する時間(以下、「消化最短時間」とする。)よりも短くすると、特別図柄の変動中若しくは大当たり遊技中に必ず普通当たり判定が行われることになる。従って、待機時間の長さは、少なくとも「消化最短時間」より長く設定する必要がある。また、望ましくは、特別図柄の変動・停止及び大当たり遊技が取り得る最長の時間を費やすことを想定した上で、普通当たりとなってから最後の特別図柄保留である5回目の特別図柄の変動が終了する時間よりも長く待機時間を設定するとよい。これにより、遊技内容を複雑にすることなく、大当たり遊技間の時間間隔を短縮することができる。もし、大当たり遊技の消化が遅れ、想定され得る最長の時間を要したとしても、次回の普通当たり判定は、5回目の大当たり遊技中もしくは5回目の大当たり判定ではずれと判定された後に行われることになる。本実施例では大当たり遊技中は時短遊技状態が停止されるので、普通当たり判定で当たりと判定される確率は低確率であり、概ねはずれと判定される。したがって、本実施例の遊技性は損なわれない。遊技性が損なわれる場合としては、2回目から5回目までの各特別図柄の変動中に次回の普通当たり判定が行われた場合が該当する。この場合、普通当たり判定の当たり確率が高確率になっている場合があり、最後の大当たり判定の結果によって普通当たり判定の当たり確率が高確率になった場合に、次回の普通当たり遊技状態がすぐに得られるという本実施例の遊技性が損なわれる虞がある。これに対し、5回目の特別図柄の変動が終了するまでの最長の時間より普通図柄の待機時間が長ければ、2回目から5回目までの特別図柄の変動中に普通当たり判定が行われることを確実に回避でき、遊技性を損なうことがない。
また、本実施の形態では特別図柄の最大保留球数が「4」であるため、1回の普通当たりに対して最大5回の大当たり遊技が行われる構成となっているが、特別図柄の最大保留球数を変更できることは言うまでもない。特別図柄の最大保留球数を変更した場合には、1回の普通当たりに対して行われる大当たり遊技の最大の回数も合わせて変更されることとなり、この回数に応じて、普通当たり遊技後に再び普通当たり判定が行われるまでの待機時間の長さを適宜変更すればよい。