JP4905850B2 - ガラス物品の製造方法及びガラス物品製造装置 - Google Patents

ガラス物品の製造方法及びガラス物品製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4905850B2
JP4905850B2 JP2006114258A JP2006114258A JP4905850B2 JP 4905850 B2 JP4905850 B2 JP 4905850B2 JP 2006114258 A JP2006114258 A JP 2006114258A JP 2006114258 A JP2006114258 A JP 2006114258A JP 4905850 B2 JP4905850 B2 JP 4905850B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
molten glass
receiving
molten
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006114258A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007284299A (ja
Inventor
孝介 愛内
正和 岩田
重明 青木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Electric Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Electric Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Electric Glass Co Ltd filed Critical Nippon Electric Glass Co Ltd
Priority to JP2006114258A priority Critical patent/JP4905850B2/ja
Publication of JP2007284299A publication Critical patent/JP2007284299A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4905850B2 publication Critical patent/JP4905850B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B17/00Forming molten glass by flowing-out, pushing-out, extruding or drawing downwardly or laterally from forming slits or by overflowing over lips
    • C03B17/06Forming glass sheets
    • C03B17/064Forming glass sheets by the overflow downdraw fusion process; Isopipes therefor

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)

Description

本発明は、精密な寸法、形状が必要となるガラス物品の製造に使用されるガラス物品の製造装置とガラス物品の製造方法に関する。
各種の用途に利用されるガラス物品に求められる寸法精度や形状の安定性は、情報通信に用いられる各種の電子部品や画像表示装置等の高度な進歩に伴って高い品位が求められるようになっている。例えば高密度実装を実現するために使用されるプリント配線基板に搭載される極細寸直径のガラス繊維、30インチを越える液晶ディスプレイに搭載される薄板状ガラス、また高精度な外径寸法が要求される液晶表示装置に搭載されるバックライト用ガラス管、次世代のディスプレイとして開発されるディスプレイに搭載される隔壁用ガラスロッド材等がある。これらのガラス物品に共通する要求品位は、従来にない寸法精度と製造ロット間の形状安定性であり、高い要求品位を実現するためにこれまでにも多くの発明が行われてきた。
例えば、特許文献1では、ガラス繊維の紡糸時に生じる随伴気流によるノズルの劣化による障害を防止するための気流規制部材を設ける考案が開示されている。また特許文献2、特許文献3では、オーバーフローダウンドロー法による板ガラスの製造で寸法精度の高い板ガラスを長期に亘り製造し続けるために使用される成形装置として、成形装置に使用される耐火物成形体の形状を特定の形状とするという発明が行われている。さらに特許文献4では、ガラス管の成形で生じる外形寸法の変動を抑制するために、ガラス管成形に関わる種々の計測値を成形条件に反映させることが提案されている。
実開平5−37931号公報 特開2004−203691号公報 特開2004−284843号公報 特開平8−165128号公報
しかしながらこれまでに行われた発明だけでは、より高い精度を有するガラス物品を成形するには不充分であり、またガラス物品の成形寸法の大型化にも対応が困難である。例えば液晶ディスプレイに関わる薄板ガラスの成形では、流量の微細な変動が成形された板ガラスの板厚寸法に大きく影響するものとなり、成形される板ガラスの板幅が大きくなればなるほど1枚の板ガラスに板厚の変動箇所が内在することとなる。そしてこのような寸法の変動により発生する不良品を除くなら製品の歩留まりが大きく低下することになるので製造原価が高額になるという問題が生じる。
本発明は係る状況に鑑み、大面積化、大容積化あるいは長尺化といった溶融ガラスを成形する際に、ガラス成形体の大型化や高速な成形が求められるガラス物品について、成形時の寸法変動を抑制することにより高精度の寸法を有するガラス物品を得ることができるガラス物品の製造装置とガラス物品の製造方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明のガラス物品の製造方法は、槽内の熔融ガラス液面が上方に位置する第一熔融槽から熔融ガラスを受け、下方の第二熔融槽へと連続供給する熔融ガラスの受給供給装置を使用するガラス物品の製造方法であって、受給供給装置に流入する熔融ガラスの流下液面の自由面積値を受給供給装置の熔融ガラス流出口端の断面積値で除した値α、受給供給装置内における圧力損失値P、受給供給装置の熔融ガラス流出口端における熔融ガラスの流速値V及び熔融ガラスの密度ρで表される関数αV+αP(Vρ) −1 熔融ガラスGの流動変動の周期θ秒の臨界値1.1706θより大きくなるように熔融ガラスの流動変動を抑制しつつガラス物品を製造することを特徴とする。
ここで槽内の熔融ガラス液面が上方に位置する第一熔融槽から熔融ガラスを受け、下方の第二熔融槽へと連続供給する熔融ガラスの受給供給装置を使用するガラス物品の製造方法であって、受給供給装置に流入する熔融ガラスの流下液面の自由面積値を受給供給装置の熔融ガラス流出口端の断面積値で除した値α、受給供給装置内における圧力損失値P、受給供給装置の熔融ガラス流出口端における熔融ガラスの流速値V及び熔融ガラスの密度ρで表される関数αV+αP(Vρ) −1 熔融ガラスGの流動変動の周期θ秒の臨界値1.1706θより大きくとなるように熔融ガラスの流動変動を抑制しつつガラス物品を製造するとは、次のようなものである。すなわち上下の位置関係にある2つの熔融ガラスの熔融槽間に配設されて熔融ガラスを一方の上方の槽から受け、他方の下方の槽へと供給する受け渡し機能を有する熔融ガラスの受給供給装置を使用することで熔融ガラスから特定の形状のガラス物品を成形する際に、第一熔融槽から受給供給装置内へと溶融ガラスが流入する際における受給供給装置における溶融ガラスの自由表面の面積値を分子に、受給供給装置の熔融ガラス流出口端の断面積値を分母として表した比率αと、受給供給装置内における圧力損失値Pと、受給供給装置の熔融ガラス流出口端における溶融ガラスの平均流速値Vと、受給供給装置における熔融ガラスの密度ρとの計4因子を使用することにより表される関数αV+αP(Vρ) −1 が、予め設定した一定値より大きくなるように設計、管理されることで熔融ガラスの第二熔融槽以降の溶融ガラスに関する流動変動を抑制しつつ、流動変動に影響を受けずにガラス物品を製造することを表している。
ここで、第一熔融槽や第二熔融槽については、溶融ガラスを滞留させることができるものであれば、他の付加的な機能や性能を有することができ、どのような形態であっても、どのような構成を有するものであってもよい。すなわち例えば第一溶融槽は、ガラス化反応槽(容器)、清澄槽(装置)、攪拌槽(装置)、あるいは均質化槽(装置)などのいずれでもよく、第二溶融槽についても清澄槽(装置)、攪拌槽(装置)、均質化槽(装置)、あるいは成形槽(装置)などの何れの槽、容器あるいは装置であってもよい。
また受給供給装置についてもその形状や大きさについては特に限定されるものではなく製造するガラス物品の必要となる容積やその寸法精度に依存し、最適なものを採用することができる。受給供給装置を構成する材料に関しても、所定の耐熱性と1000℃以上の高温時の強度、剛性とを有するものであれば特に限定されることはない。
第一溶融槽から流出する溶融ガラスの流量は、それまでのガラス原料バッチからガラス化反応によって溶融ガラスとなる際の溶融ガラスの生成過程における種々の要因、例えば原料の投入間隔や加熱条件、ガラス原料構成やガラス化反応速度、ガスの流量等の因子により影響を受けている。このため溶融ガラスの流量は数秒から数分あるいは数時間になるまでの周期的な変動を起こすが、このような溶融ガラスの流量の変動が吸収され、均一なものとするような手段がないと、溶融ガラスをガラス溶融炉から連続成形してガラス物品を製造する際、特に精細な形状、寸法品位の実現を目標とする場合には、寸法品位等が周期性を有し、安定性を欠いたガラス物品が得られることとなり、製造品位上の問題が発生することとなる。
本発明者らは、この原因を探求し、研究を重ねることによって、溶融ガラスの流量変動を抑制するためには第一溶融槽から流出する溶融ガラスについて、所定条件を満足する受給供給装置で調整して第二溶融槽へと流出することで達成できることを見いだした。すなわちこの所定条件は、受給供給装置に流入する熔融ガラスの流下液面の自由面積値を受給供給装置の熔融ガラス流出口端の断面積値で除した値α、受給供給装置内における圧力損失値P、受給供給装置の熔融ガラス流出口端における熔融ガラスの流速値V及び熔融ガラスの密度ρとを特定することによって決定できるものである。
受給供給装置に流入する熔融ガラスの流下液面の自由面積とは、受給供給装置の流入口部に形成される溶融ガラスの融液面であって、装置と直接接触せずに溶融雰囲気ガスと気液界面を形成している略水平の状態にある溶融ガラスの表面の面積を表している。また受給供給装置の熔融ガラス流出口端の断面積値とは、受給供給装置から第二溶融槽へと溶融ガラスが流出する際に、その流出口端部に於ける溶融ガラスの流れ方向に垂直な断面積で表されるものである。よって、受給供給装置に流入する熔融ガラスの流下液面の自由面積値を受給供給装置の熔融ガラス流出口端の断面積値で除した値αは、同じ単位系の面積値を面積値で割った比の値である。また受給供給装置内における圧力損失値Pについては、例えば受給供給装置が円管またはそれに類似する形状である場合にはハーゲンポアズイユ式により求められる圧力損失をパスカル(Pa)単位で表したものであり、ハーゲンポアズイユ式が適用できない複雑な形状を有する受給供給装置である場合には数値流れ解析等の適切な推定方法により求められる圧力損失をパスカル(Pa)単位で表したものである。ここで、ハーゲンポアズイユ式とは円管内の層流に対する圧力損失を表す式であり、管内平均流速をV、粘度をμ、管の長さをL、管の直径をDとすると、P=32μLV/D2で表される。さらに受給供給装置の熔融ガラス流出口端における熔融ガラスの流速値Vについては、熔融ガラス流量と受給供給装置の熔融ガラス流出口端断面積から算出することのできる平均熔融ガラスの速度をm/sという単位で表したものである。さらに熔融ガラスの密度ρについては、受給供給装置における溶融ガラスの温度計測値と、アルキメデス2球法あるいは最大泡圧力法等により得られる密度の温度依存性データに基づき算出されたものであって、その単位はkg/m3である。
また本発明のガラス物品の製造方法は、上述に加え関数がαV+αP(Vρ)-1であって、臨界値が140であるならば、溶融ガラスの流量について、短周期の流動変動を効率的に抑制することができるので好ましい。
ここで関数がαV+αP(Vρ)-1であって、臨界値が140であるとは、受給供給装置に流入する熔融ガラスの流下液面の自由面積値を受給供給装置の熔融ガラス流出口端の断面積値で除した値α、受給供給装置内における圧力損失値P、受給供給装置の熔融ガラス流出口端における熔融ガラスの流速値V及び熔融ガラスの密度ρ、それぞれの値の間にαV+αP(Vρ)-1>140の関係が成立することを意味している。
この臨界値については、より具体的に小数点1桁までの正確な定数値を算出するならば、その値は140.5であり、上述した式はαV+αP(Vρ)-1>140.5となる。そしてこの不等式は、さらに大きな周期の溶融ガラスの流動変動を問題とする場合には、より大きな値の定数値となる。
すなわち、変動周期が2分(120秒)以下の場合に受給供給装置の流入口での溶融ガラス流速の変動率に対する受給供給装置の流出口での溶融ガラス流速の変動率の比を0.8未満とするには140.5が定数値であるが、変動周期が5分(300秒)以下の場合に受給供給装置の流入口での溶融ガラス流速の変動率に対する受給供給装置の流出口での溶融ガラス流速の変動率の比を0.8未満とするには351.2が定数値であり、上述した関数との関係はαV+αP(Vρ)-1>351.2となる。さらに変動周期が10分(600秒)以下の場合に受給供給装置の流入口での溶融ガラス流速の変動率に対する受給供給装置の流出口での溶融ガラス流速の変動率の比を0.8未満とするには702.3が定数値であり、上述した関数との関係はαV+αP(Vρ)-1>702.3となる。
本発明のガラス物品の製造方法に係る前記の関数の導出に関して、以下にさらに説明する。
本発明を単純化するため図1のような構成を想定する。図1(A)は構造について簡略化してまとめたもので、図1(B)はさらにモデル化したものである。この図1において、受給供給装置10を通過する溶融ガラスGの密度をρ(kg/m3)、粘度をμ(Pa・s)、受給供給装置10へ溶融ガラスGを供給する供給装置20の流出口端21の断面積をA1(m2)、供給装置20の流出口端21の断面における溶融ガラスGの平均流速をV1(m/s)、受給供給装置10の流出口端12の断面積値をA2(m2)、受給供給装置10の流出口端12における平均流速をV2(m/s)、受給供給装置10の熔融ガラスGの流下液面11の自由面積値をAf(m2)、受給供給装置10から流出した溶融ガラスGの第二熔融槽内での融液面の位置を基準とした受給供給装置10内での熔融ガラスGの液面の高さをh(m)とする。また供給装置20より受給供給装置10に熔融ガラスGが流入する際の熔融ガラスGの流量に変動のない場合、すなわち定常状態にある場合の供給装置20の流出口端における熔融ガラス10の平均流速をV1 T(m/s)、定常状態にある場合の受給供給装置10の流出口端12における平均流速をV2 T(m/s)、さらに定常状態にある場合の受給供給装置10から流出した溶融ガラスGの第二熔融槽30内での融液面の位置を基準とした受給供給装置10内での熔融ガラスGの液面の高さをhT(m)とする。また定常状態からの供給装置20の流出口端21における熔融ガラスGの平均流速の変動量をΔV1(m/s)、定常状態からの受給供給装置10の流出口端12における平均流速の変動量をΔV2(m/s)、さらに定常状態からの受給供給装置10から流出した溶融ガラスGの第二熔融槽内30での融液面の位置を基準とした受給供給装置10内での熔融ガラスGの液面の高さの変動量をΔh(m)とする。これらの数値の間には、以下の数1、数2そして数3に示す関係式が成立する。
Figure 0004905850
Figure 0004905850
Figure 0004905850
また受給供給装置10における圧力損失をΔPとすると、このΔPは数4の関係式で表される。数4の関係式中のβは、比例常数を表している。βは受給供給装置10の熔融ガラスGが満たされる容積の形状に依存する。例えば、受給供給装置が円筒形である場合は、ハーゲンポアズイユ式が利用でき、管の長さをL、断面直径をDとして、β=32μL/D2となる。
Figure 0004905850
また熔融ガラスGの圧力損失を考慮したベルヌーイの式より数5の関係式が成立する。この数5の式でgは、重力加速度9.80665m/s2を表している。
Figure 0004905850
また熔融ガラスGの質量保存則によって、時間tによりΔhを微分した数6の関係式が成立する。
Figure 0004905850
数6に定常状態の条件(d/dt)Δh=0、V1=V1 T、V2=V2 Tを代入すると、数7の関係式となる。
Figure 0004905850
さらに定常状態の条件として、数5にh=hT、V2=V2 Tを代入し、数7でV2 Tを置換すると、数8の関係式となる。
Figure 0004905850
数5を「V2=」の形式にまとめると、V2はV2>0であるため、数9の関係式となる。
Figure 0004905850
そして数9の関係式をhで微分すると数10の関係式が得られる。
Figure 0004905850
次いで、数9の関係式をh=hTを中心としてテイラー展開し、その展開式の一階微分項までを使用することによって近似して、数2、数3、数7、数8、及び数10の関係式をそこに適用すると数11の関係式となる。
Figure 0004905850
さらに数11の関係式を時間tで微分し、数1、数2、数6及び数7を適用することによって数12の関係式となる。
Figure 0004905850
この数12の関係式にて、入力値をΔV1、出力値をΔV2とする場合に入力値に対する出力値の応答を導出するために入力値のラプラス変換と出力値のそれとの比として表される伝達関数G(S)は、数12の関係式の両辺をラプラス変換することによって、数13の関係式のように得られる。
Figure 0004905850
ここで、KおよびUを定数として伝達関数がK/(1+US)で表される系は、一次遅れ系であり、入力信号に周期θ秒の周期的な振動を与えたとき、出力の振幅を分子とし、入力の振幅を分母として求められる比がK(1+(2πU/θ)2-0.5となることを考慮すると、数13よりこの系は1次遅れ系であるから、入力信号として周期θ秒の周期的な振動を与えたときの出力の振幅V2Wと入力の振幅V1Wの比は、数14の関係式となる。
Figure 0004905850
ここで、V1の変動率であるV1Hと、V2の変動率であるV2Hとはそれぞれ数15、数16の関係式で表されるので、この数15と数16の関係式と数7の関係式を数14の関係式に適用することにより数17の関係式が得られる。
Figure 0004905850
Figure 0004905850
Figure 0004905850
定常状態での圧力損失をPとすると、数4の関係式によって数18の関係式となる。
Figure 0004905850
数18の関係式を数17の関係式に代入すると数19の関係式となる。
Figure 0004905850
この数19の関係式は、供給装置20内の熔融ガラスGの流動変動が成形されたガラス物品の寸法変動や表面うねりなどのガラス物品の外形変動をもたらす度合いを表すものである。よって本発明では、この数19の関係式の右辺を小さな値とするように受給供給装置の設計を行い、かつガラス物品の製造時の諸条件を適切に設定することによってガラス物品の外形の変動を小さくするものである。数19の関係式の右辺については、面積比(Af/A2)、圧力損失P、及び受給供給装置の流出口端における定常状態にある場合の平均流速V2 Tの3項目が重要なものとなる。
そして例えば、V2H/V1Hの変動率比を0.8より小さい値とするには、数19の関係式の右辺が0.8より小さい値となるように設定し、簡単のためにα=Af/A2と表し、V2 TをVと表せば、数20の関係式となる。
Figure 0004905850
また同様にV2H/V1Hの変動率比が0.8より小さい値で、数19の関係式の右辺が0.8より小さい値となるように設定し、簡単のためにα=Af/A2と表し、変動周期θを120秒とすれば、数21の関係式となる。
Figure 0004905850
さらに数22と同様にしαで置き換え、変動周期θを300秒とすれば、数21の関係式となる。
Figure 0004905850
さらに数21、数22と同様にし、変動周期θが600秒とすれば、数23の関係式となる。
Figure 0004905850
以上のように数20、数21、数22あるいは数23の各関係式によって、所定の時間内に熔融ガラスの流動の変動を抑制するためには、α、P、ρそしてVを設定すればよいことが判る。
また本発明のガラス物品の製造方法は、受給供給装置の熔融ガラスGの流動方向に垂直な断面の面積が変化しない形状を採用するものであって、且つ直径D(m)の円筒形状を有するものであるなら、受給供給装置の熔融ガラスの流動長さ寸法をL(m)、熔融ガラス密度をρ(kg/m3)、粘度がμ(Pa・s)であれば、受給供給装置10の圧力損失のP値が、32μLV/D2で表されるものであるように行われる。よって、前記の数20、数21、数22そして数23は、αV+32αμL(ρD2-1>1.1706θとも表せる。
また本発明のガラス物品の製造方法は、上述に加え熔融ガラスの受給供給装置と第一熔融槽とが連結されていないならば、受給供給装置と第一熔融槽との配設位置の自由度が高く、製造するガラス物品の形態に応じた形状構成とすることが可能となるので好ましい。
ここで熔融ガラスの受給供給装置と第一熔融槽とが連結されていないとは、受給供給装置と第一熔融槽とが一体となるような管材や管材に該当するような部材を使用することによって繋がった状態にないことを表している。
そして受給供給装置と第一熔融槽とが連結していないとは、熔融ガラスを介して連結していると見なせるものを排除しない。なぜなら受給供給装置へと熔融ガラスが第一熔融槽から流入するためには、両者の間に熔融ガラスが存在することは必然であるからである。
また本発明のガラス物品の製造方法は、上述に加え熔融ガラスの受給供給装置が、筒状体よりなる構造を有するならば、熔融ガラスの流れを円滑に第二熔融槽へと供給することができるので流れの停滞をおこしにくいため好ましい。
ここで筒状とは、熔融ガラスが流れる受給供給装置内の構造について説明するものであり、筒状でありさえすれば、その断面形状や寸法、そしてこの受給供給装置の数に限定を行うものではない。すなわち、例えば断面形状については、円形、楕円形、さらに矩形、あるいは多角形やこれらの形状を組み合わせた構成であってもよい。またその数についても1以上の装置が並列した構成となるのを妨げるものではない。さらに筒状でありさえすれば、湾曲した部位や屈曲した形状の曲がった構造を有する部位があってもよく、曲率や曲がった構造の数については、限定するものではない。
また筒状でありさえすれば、その断面形状や寸法が連続的あるいは断続的に変わるような構成であっても支障はない。さらに筒状構造部については、多重構造となった構成であってもよい。また必要に応じて筒状部の特定箇所に熔融ガラスの温度の計測や溶融ガラスの液面の状態を観察できる窓、熔融ガラスのサンプリングのための取り出し口などを適数だけ設けることができ、さらに加熱装置、分析装置などを直接この受給供給装置に配設した構成としてもよい。
また本発明のガラス物品の製造方法は、上述に加え熔融ガラスの受給供給装置が、白金族元素、又はセラミックスよりなるならば、熔融ガラスと受給供給装置の壁面とが高温状態で急激に反応することなどの障害が生じることもなく、長期に亘るガラス物品の成形が可能となるので好ましい。
ここで、熔融ガラスの受給供給装置が、白金族元素、又はセラミックスよりなるとは、受給供給装置の熔融ガラスと界面を形成する部位が白金族元素であるルテニウム(元素記号表示でRh)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)の何れかを1質量%以上含有するか、あるいはセラミックスを1質量%以上含有することを表している。
セラミックスとしては、高温で熔融されるガラスと反応性に乏しく、高温での充分な強度を有するものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、このようなセラミックスとしては、アルミナ(Al23)、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO)、ジルコニア(ZrO2)、ジルコン(ZrSiO4)、イットリア(Y23)、カルシア(CaO)、バリア(BaO)、チタニア(TiO2)、ベリリア(BeO)、ガリア(GaO)、ランタニア(LaO)等があり、さらに必要に応じて珪素(Si)、アルミニウム(Al)、金(Au)、レニウム(Re)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、リン(P)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、セシウム(Cs)、ポロニウム(Po)、ビスマス(Bi)等やその酸化物、窒化物、あるいは炭化物等を適宜使用することもできる。
また本発明のガラス物品の製造方法は、上述に加え熔融ガラスが無アルカリガラス、無鉛ガラス、ヒ素フリーガラス、又はアンチモンフリーガラスの何れかであるならば、使用環境や用途などに応じた最適なガラス物品を製造することができる。
熔融ガラスが無アルカリガラス、無鉛ガラス、ヒ素フリーガラス、又はアンチモンフリーガラスの何れかであるとは、溶融ガラスを構成する組成成分としてアルカリ金属元素であるナトリウム(Na)、リチウム(Li)、カリウム(K)をその酸化物換算の質量百分率表示で0.1%未満となるように原料成分を調整した多成分組成のガラス材質であるか、あるいは鉛(Pb)をその酸化物換算の質量百分率表示で0.1%未満となるように原料成分を調整した多成分組成のガラス材質であるか、またはヒ素(As)をその酸化物換算の質量百分率表示で0.1%未満となるように原料成分を調整した多成分組成のガラス材質であるか、それともアンチモン(Sb)をその酸化物換算の質量百分率表示で0.1%未満となるように原料成分を調整した多成分組成のガラス材質であるものの何れかのガラス材質であることをあらわしている。
本発明のガラス物品製造装置は、上記の熔融ガラスの受給供給装置が、管ガラス、板ガラス、ロッド状ガラス又は繊維状ガラスの連続成形装置として配設された構造を有することを特徴とする。
ここで上記の熔融ガラスの受給供給装置が、管ガラス、板ガラス、ロッド状ガラス又は繊維状ガラスの連続成形装置として配設された構造を有するとは、前記した熔融ガラスの受給供給装置が、管形状のガラス物品を熔融してダンナー法やベロ法等の所定の成形方法により成形するための熔融ガラス炉の一部として配設されている、あるいはスロット(あるいはスリット)ダウン法やオーバーフローダウンドロー法、フュージョン法、フロート法、ロールアウト法などの板ガラス成形装置に連結する熔融ガラス製造装置の一部として配設されている、さらにダウンドロー法等によりロッド状ガラスの成形装置に連結されたガラス熔融炉の一部として配設されている、又はブッシングや遠心吹き飛ばし装置を有する繊維状ガラスの製造装置に連結されたガラス熔融炉の一部として配設されているということを表している。
成形方法については、より高精度の寸法形状を実現する方法があれば、さらにその方法と本発明の熔融ガラスの受給供給装置との組み合わせによって、安定したガラス物品の成形物を得ることができるので好ましい。
また本発明のガラス物品製造装置は、上述に加え管ガラスがフラットパネルディスプレイに搭載される管ガラス、光接続用毛細管として利用される管ガラスの何れかであるならば、情報関連用途で使用され、高い寸法精度を要求される管ガラスに相応しい成形物を得ることができるので好ましい。
フラットパネルディスプレイに搭載される管ガラスとしては、例えば液晶ディスプレイ表示装置に搭載されるバックライト用の管ガラスや高精度細管を並列使用する画像表示装置用の管ガラスなどがある。また光接続用毛細管としては、キャピラリ細管ガラスやガラスフェルール細管がある。このような細管、極細管形状を有するガラスの製造に本発明を適用することによって、高い精度の外径寸法及び内径寸法を有する管状体を得ることができる。
また本発明のガラス物品製造装置は、上述に加え板ガラスがフラットパネルディスプレイに搭載される板ガラス、固体撮像装置に搭載される板ガラスの何れかであるならば、板ガラス表面品位について、うねりや微細な凹凸などのない高い寸法精度のガラス物品とすることができるので好ましい。
ここで、板ガラスがフラットパネルディスプレイに搭載される板ガラス、固体撮像装置に搭載される板ガラスであるとは、液晶表示装置やプラズマディスプレイ等に代表される画像表示装置用途の薄板ガラスか、あるいはCCDやCMOSといった光半導体素子を収納するパッケージの前面ガラス窓として使用される薄板ガラスの何れかであることを表している。
このような薄板ガラスについては、板ガラス表面から裏面へと透過する画像情報を半導体や人間の眼に正確に伝達するために、板ガラスの表面状態を平滑で、かつ平坦なものとする必要があり、このような性能を有する板ガラスを実現するために本発明は好適である。
また本発明のガラス物品製造装置は、上述に加えフラットパネルディスプレイに搭載される板ガラスが、LCD用板ガラスであるならば、製品1つ当たりの画像透過面積が大きい板ガラスであっても、安定した表面品位を有する製品とすることができるので好ましい。
また本発明のガラス物品製造装置は、上述に加えロッド状ガラスがフラットパネルディスプレイに搭載されるロッド状ガラスであるならば、ロッド状ガラスの寸法径の偏差を小さいものとすることができるので好ましい。
また本発明のガラス物品製造装置は、上述に加え繊維状ガラスが高精度FRP成形体用途であるならば、ガラス流量が安定した状態で成形されるため、糸径や糸表面状態に優れたガラス繊維を得ることができる。
(1)以上のように、本発明のガラス物品の製造方法は、槽内の熔融ガラス液面が上方に位置する第一熔融槽から熔融ガラスを受け、下方の第二熔融槽へと連続供給する熔融ガラスの受給供給装置を使用するガラス物品の製造方法であって、受給供給装置に流入する熔融ガラスの流下液面の自由面積値を受給供給装置の熔融ガラス流出口端の断面積値で除した値α、受給供給装置内における圧力損失値P、受給供給装置の熔融ガラス流出口端における熔融ガラスの流速値V及び熔融ガラスの密度ρで表される関数αV+αP(Vρ) −1 熔融ガラスGの流動変動の周期θ秒の臨界値1.1706θより大きくなるように熔融ガラスの流動変動を抑制しつつガラス物品を製造するものであるため、ガラス流量の変動量を所定の範囲内にまで効率良く抑制することができ、高い寸法度を有する成形品を製造することができる。
(2)また本発明のガラス物品の製造方法は、界値が140であるならば、変動周期が2分(120秒)以内の場合に受給供給装置の流出口での溶融ガラス流速の変動率に対する受給供給装置の流入口での溶融ガラス流速の変動率の比を0.8未満とすることができるので好ましい。
(3)さらに本発明のガラス物品の製造方法は、熔融ガラスの受給供給装置と第一熔融槽とが連結されていないならば、多種の溶融ガラス製造装置へ適用することができ、多くのガラス物品の製造に使用することができる。
(4)また本発明のガラス物品の製造方法は、熔融ガラスの受給供給装置が、筒状体よりなる構造を有するならば、溶融ガラスの流動における流れの死所を形成しにくい構造であるため、溶融ガラス中に不均質部位を発生させにくいものである。
(5)また本発明のガラス物品の製造方法は、熔融ガラスの受給供給装置が、白金族元素、又はセラミックスよりなることを特徴とするならば、1000℃以上の高温における機械的な強度と化学的な安定性について充分な性能を有するものであり、溶融ガラスを不均質な状態とすることもなく川下の装置へ確実に供給することのできるものである。
(6)また本発明のガラス物品の製造方法は、熔融ガラスが無アルカリガラス、無鉛ガラス、ヒ素フリーガラス、又はアンチモンフリーガラスの何れかであるならば、環境や人体への影響が少ないガラス物品の製造に関わるものとでき、これらのガラス物品の品位向上を計り、安定生産することを可能とするものである。
(7)本発明のガラス物品の製造装置は、上記の熔融ガラスの受給供給装置が、管ガラス、板ガラス、ロッド状ガラス又は繊維状ガラスの連続成形装置として配設された構造であるため、各種の形状を有するガラス物品の製造を効率的に行うことができ、製造時に生じるガラス成形体の表面について、その寸法精度に関わる品位を高い精度に維持することを可能とするものである。
(8)また本発明のガラス物品の製造装置は、管ガラスがフラットパネルディスプレイに搭載される管ガラス、光接続用毛細管として利用される管ガラスの何れかであるならば、設計に従う性能を発揮する製品を製造するのを容易とし、製造おける管理項目を増やさずとも安定した品位のガラス物品を連続的に得ることができる。
(9)また本発明のガラス物品の製造装置は、板ガラスがフラットパネルディスプレイに搭載される板ガラス、固体撮像装置に搭載される板ガラスの何れかであるならば、高品位な表面性状を有し、かつ高い光学性能を実現できるガラス物品を得るのに適したものであり、大型化や高精細化といった次世代技術にも対応することができるものである。
(10)また本発明のガラス物品の製造装置は、フラットパネルディスプレイに搭載される板ガラスが、LCD用板ガラスであるならば、横幅2000mm以上の大面積の板ガラスの成形を行う場合であっても、ガラス流れ方向に対して発生する成形厚の微細な変動を抑止することが可能であり、成形ガラスの表面品と厚み変動とを抑えることによって安定したガラス寸法品位を実現できる。
(11)また本発明のガラス物品の製造装置は、ロッド状ガラスがフラットパネルディスプレイに搭載されるロッド状ガラスであるならば、フラットパネルディスプレイの機能を充分に発揮させることのできる高い直径精度を有するガラスロッドを高速生産することが可能なものである。
(12)また本発明のガラス物品の製造装置は、繊維状ガラスが高精度FRP成形体用途であるならば、充分に高い強度性能を実現できるFRP成形体を形成することのできる繊維状ガラスの成形を行うことができ、製造時の糸切れなどの諸問題を抑制することによって生産原価を低減することのできるものである。
以下に本発明のガラス物品の製造装置とこの装置を使用するガラス物品の製造方法について、実施例に基づいて説明する。
本発明の具体例の1つとして図2に示すように、液晶ディスプレイ搭載用の薄板ガラスを製造するオーバーフローダウンドロー成形装置30について以下で説明する。オーバーフローダウンドロー法では、図2に示すような第二熔融槽に相当する成形装置30へと溶融ガラスGを供給し、この成形装置30から溶融ガラスGをダウンドローすることによって板ガラスMを得るものである。
このオーバーフローダウンドロー成形装置は、ZrO2系耐火物よりなり、上面が開口状態の樋形状であるガラス供給溝31をその頂部に有する構造であって、ガラス供給溝31の両端側壁に相当する2つの頂部をオーバーフローの堰32として、両側壁の2つの外面33を互いに下方へと向けて接近させ、下端34で終結させた略楔形状を呈する刃先に類似したような外観を呈している。
この装置の成形体40の外形寸法は、長尺長さ寸法が2400mm、高さ寸法が800mm、幅寸法が280mmである。そしてこの成形体40は、成形体支持材50により保持されている。熔融ガラスGは、液晶ディスプレイに搭載した場合に高い性能を実現することのできる専用材質で、シリカ、アルミナ等より構成され、金属アルカリ元素成分が酸化物換算の質量百分率表示で0.1%未満となるように調整された無アルカリ組成(質量百分率表示でSiO 59%、Al 15%、B 10%、RO(R=Mg+Ca+Sr+Ba+Zn) 16%)を有するものである。そしてこの熔融ガラスGは、その平均流量が1000kg/hrであって、高温での密度が2500kg/mで、その粘度が350Pa・sであり、高温環境で熔融された状態となっており、攪拌などの均質化操作により均質な状態とされた後に第一溶融槽(図示省略)から直径120mmの直管構造を有する供給装置20の下端21を通過して、直接連結されていない受給供給装置10の一端側へと流入し、さらに受給供給装置10の下端12を経て、第二熔融槽に相当するオーバーフローダウンドロー成形装置30へと流入する。
この場合に、供給装置20から供給された熔融ガラスGの流動変動の内、変動周期θが300秒以内のものを80%未満に低減するにる受給供給装置10として、この直径210mmの白金で構成された曲がり管によりなる受給供給装置10では、熔融ガラスGの流動長さ寸法が515mmとなるように予め設計したものを採用することによって、Aに対するAの比率であるα値が0.6735、V値が3.208×10−3m/sであり、さらにハーゲンポアズイユ式から見積もられるPの値が4196Paとなって、数20の関係式が満たされ、所望の周期変動、300秒以内のものを80%未満に低減する低減効果が得られるものとなる。
そして周期変動の抑えられた熔融ガラスGは、このオーバーフローダウンドロー装置内のガラス供給溝31内に一時的に滞留した後、両側壁頂部の2つの頂上稜線35からそれぞれ溢れ出し、さらに両側壁のガイド36に挟まれた略楔形状をなす2つの外面33に沿って流下して下端34で合流する。そしてこの下端34のさらに下方に配設された耐熱性ローラー(図示省略)等を適宜使用することで熔融ガラスGをさらに下方へと連続的に引き延ばし、板ガラスPが成形されることになる。こうして得られる幅2000mmの薄板ガラスMは、その成形された板ガラスMの表面が溶融、成形時に耐火物等の表面と直接接触することがなく、しかも本発明の熔融ガラス供給装置30を使用することによって、板ガラスMの表面が溶融、成形時に耐火物等の表面と直接接触することがなく、自由溶融表面に相当する状態であり、幅寸法、板厚寸法などの外形寸法についても寸法の振幅が抑制された安定した品位のものとなる。
次いで実施例1と同様のオーバーフローダウンドロー法による成形に関して、実施例1と同様の直径120mmの管形状を有する熔融ガラスの供給装置20より、密度2500kg/m、粘度が350Pa・s、平均流量が1000kg/hrの熔融ガラスGを流出させて、直径210mmの白金よりなる耐熱性を有する受給供給装置10内へ流入させ、さらにそこからオーバーフローダウンドロー装置30内へと流入させる際に、供給装置内で熔融ガラスの流速などから検出された流動変動の周期θの内、変動周期θが600秒以内のものを80%未満に低減するために、受給供給装置10の熔融ガラスの流動長さ寸法が1030mmとなるように予め設計したものを採用することによって、Aに対するAの比率であるα値が0.6735、V値が3.208×10−3m/sであり、さらにハーゲンポアズイユ式から見積もられるPの値が8392Paとなって、数20の関係式が満たされ、所望の周期変動の低減効果が得られるものとなる。
また実施例1と同様のオーバーフローダウンドロー法を適用する場合に、直径120mmの管形状を有する熔融ガラスの供給装置20より、密度2500kg/m、粘度が350Pa・s、平均流量が1000kg/hrの熔融ガラスGを流出させ、熔融ガラスGが滞留する容積が0.1mのオーバーフローダウンドロー装置30内から熔融ガラスGを溢れさせて2100mm幅の板ガラスを成形する。ここで、オーバーフローダウンドロー装置30内の熔融ガラスGの流動変動のうち熔融ガラスGの平均滞留時間以内の変動周期θのものを8割未満となるように抑制する様に設計、管理することによって、オーバーフローダウンドロー装置30の熔融ガラスの流入端から溢れだし位置までの距離が遠いところから溢れだした熔融ガラス量と、近い位置にある溢れだし位置から溢れだした熔融ガラス量との差異を所望の範囲内に抑制することが可能となり、成形される板ガラスの板厚変動を抑制することができる。このためには、受給供給装置10の熔融ガラスGの流動長さ寸法が1540mmとなるように予め設計したものを採用することによって、α値が0.6735、V値が3.208×10−3m/s、変動周期θが900秒であり、さらにハーゲンポアズイユ式から見積もられるPの値が12547Paとなって、数20の関係式が満たされ、オーバーフローダウンドロー装置で発生する板ガラスの外形寸法の変動を効果的に抑制することができる。
図1に概念図として表され、実施例1と同種のオーバーフローダウンドロー成形装置30であって、固体撮像素子であるCCDやCMOS等に搭載される前面保護の透光板用途のカバーガラスとして適した板厚寸法精度の薄板ガラス物品を高い製造効率で製造するため、より小型で高精度な成形が可能となる成形装置に本発明を適用する場合について説明する。このオーバーフローダウンドロー成形装置30に関しては、CCD用途ばかりでなく、オーバーフローダウンドロー成形装置30そのものを必要とされる相応しい成形装置に変更することによって、光ファイバー接続用の細管や液晶パネルに使用されるロッド形状円柱体ガラス物品、すなわち高精度の繊維状ガラス物品、あるいは高精度のFRP成型品用途の繊維ガラス物品を成形するためのダウンドロー成形装置としてもよいものである。この装置30への熔融ガラスGの供給は次のようになる。第一熔融槽中で充分に均質な状態に熔融された無アルカリ組成を有する熔融ガラスGは、直径100mmの管形状を有する熔融ガラスの供給装置20より、直径200mmの管形状の白金を90%以上含有する構造の耐熱製の受給供給装置10内へと流入する。
この熔融ガラスGについては、密度2500kg/m、粘度が350Pa・s、平均流量が300kg/hrの条件を有するものであり、成形条件の微調整を行わなくても安定した成形寸法を得るためには、熔融ガラスGの流動変動の周期θが600秒以下となるものが80%未満となるようにすることが必要である。そこでα値に0.75、V値に1.061×10−3m/s、変動周期θに600秒を数20の関係式に適用することにより、管理条件はPの値を2484Paより大きくすることとなり、受給供給装置10の熔融ガラスGの流動長さ寸法を840mmとすることでこの管理条件が満たされ、安定した品位の0.85mm厚の板厚を有する薄板を連続的に成形することができる。
次いで実施例4と同様のオーバーフローダウンドロー方式の板ガラス成形装置30を使用して、アンチモンフリーの低アルカリ含有の硼珪酸ガラス(質量百分率表示でSiO2 55〜70%、Al23 0.5〜20%、B23 5〜20%、RO 0.1〜30%(RO=MgO+CaO+ZnO+SrO+BaO)、ZnO 0〜9%、M2O 1〜20%(MO=Li2O+Na2O+K2O))を熔融して成形する場合について説明する。
このガラス物品Mについては、ガラス物品Mの膨張係数の調整や熔融ガラスGの流動性能を向上するといった目的のため、ガラス材質中にアルカリ金属元素成分を含有するものであるが、このため熔融ガラスGが不均質になりやすいという性質も併せ持っている。特に熔融ガラスの自由表面が多くなるような環境で製造されると、金属アルカリ元素成分が大気中に蒸発することによって、熔融ガラスGが不均質な状態となるという問題の発生が懸念される。またガラス物品MはCCD等のカバーガラスとして利用されるため、板ガラスの外形寸法の周期的な変動についても注意が必要なものである。そこで本発明のガラス物品Pの製造方法を適用することとなった。
このガラス物品Mの製造では、まず溶融槽中で均質な状態とした熔融ガラスGについて、直径100mmの直管形状の供給装置20を使用して受給供給装置10内へと供給する。受給供給装置10は、熔融ガラスGの流動する装置内部形状が直径200mm、流動長700mmのS字湾曲の構造を有しており、白金、ロジウムよりなる耐熱材料により構成されたものとなっている。そして受給供給装置10内へ流入する際、熔融ガラスGの融液面の自由面積を最小とし、さらに周期的な熔融ガラスの流動変動が300秒以内のものを8割以下となるようにするためには、V値に1.061×10−3m/s、変動周期θに300秒、Pの値に2080Paを数20の関係式に適用することで、α値の下限値として0.448が得られ、これにより融液面の自由表面の面積は140.74×10mmまで減少させることができ、このような条件で製造することによって、融液表面からのアルカリ金属元素の蒸発による熔融ガラスの不均質部の発生を充分に抑止することを可能とし、しかも成形された薄板ガラスの板厚寸法の変動を抑制することができるものとなる。
さらに実施例4と同様の方式によって光学部品用途の薄板ガラスを成形する場合に、板ガラスの厚み変動を抑制するために、熔融ガラスGの流動変動の周期θをオーバーフローダウンドロー成形装置30内での平均滞留時間よりも大きくしないと、成形された板ガラスの板厚寸法に大きなうねりや偏よりが発生することになる。そこで、直径100mmの管状の供給装置20から直径200mmの受給供給装置10へと熔融ガラスGを供給して、それを熔融ガラス滞留容積0.05mのオーバーフローダウンドロー成形装置30へ供給する場合に、成形装置30内での平均滞留時間以内の変動周期θをもつ流動変動を80%未満に抑制するためには、受給供給装置10内の熔融ガラス滞留長を2100mmとなるように予め設計したものを採用することによって、α値が0.75、V値が1.061×10−3m/s、変動周期θが1500秒、Pの値が6239Paとなって、数20の関係式が満たされ、寸法精度の高い板ガラスを得ることができる。
以上のように本発明のガラス物品の製造装置を使用し、本発明のガラス物品の製造方法を適用することによって、ガラス物品の成形時の熔融ガラスの流動変動によって発生する周期的なガラス物品の外形寸法の変動を抑止することができ、高い寸法安定性を有するガラス物品を得ることが可能となる。
本発明の熔融ガラス供給装置に係る説明図であって、(A)は構造断面図で、(B)はモデル図を表している。 本発明の他の熔融ガラス供給装置に係る部分断面図。
符号の説明
10 熔融ガラスの受給供給装置
11 受給供給装置の熔融ガラスの流下液面
12 受給供給装置の流出口端
20 供給装置
21 供給装置の流出口端
30 ガラス成形装置(第二熔融槽)
31 ガラス供給溝
32 オーバーフローの堰
33 側壁外面
34 成形体下端
35 側壁頂上稜線
36 ガイド
40 成形体
50 成形体支持材
1 受給供給装置へ溶融ガラスを供給する供給装置の流出口端の断面積
2 受給供給装置の流出口端の断面積値
Af 受給供給装置の熔融ガラスの自由表面の面積値
G 熔融ガラス
h 受給供給装置から流出した溶融ガラスの第二熔融槽内での融液面の位置を基準とした受給供給装置内での熔融ガラスの液面の高さ
1 供給装置の流出口端の断面積における溶融ガラスの平均流速
2 受給供給装置の流出口端における平均流速
M ガラス物品

Claims (13)

  1. 槽内の熔融ガラス液面が上方に位置する第一熔融槽から熔融ガラスを受け、下方の第二熔融槽へと連続供給する熔融ガラスの受給供給装置を使用するガラス物品の製造方法であって、
    受給供給装置に流入する熔融ガラスの流下液面の自由面積値を受給供給装置の熔融ガラス流出口端の断面積値で除した値α、受給供給装置内における圧力損失値P、受給供給装置の熔融ガラス流出口端における熔融ガラスの流速値V及び熔融ガラスの密度ρで表される関数αV+αP(Vρ) −1 熔融ガラスGの流動変動の周期θ秒の臨界値1.1706θより大きくなるように熔融ガラスの流動変動を抑制しつつガラス物品を製造することを特徴とするガラス物品の製造方法。
  2. 界値が140であることを特徴とする請求項1に記載のガラス物品の製造方法。
  3. 熔融ガラスの受給供給装置と第一熔融槽とが連結されていないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガラス物品の製造方法。
  4. 熔融ガラスの受給供給装置が、筒状体よりなる構造を有することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のガラス物品の製造方法。
  5. 熔融ガラスの受給供給装置が、白金族元素、又はセラミックスよりなることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のガラス物品の製造方法。
  6. 熔融ガラスが無アルカリガラス、無鉛ガラス、ヒ素フリーガラス、又はアンチモンフリーガラスの何れかであることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のガラス物品の製造方法。
  7. 熔融ガラスGの流動変動の周期θをオーバーフローダウンドロー成形装置(第二熔融槽)内の平均滞留時間よりも大きくすることを特徴とする請求項1に記載のガラス物品の製造方法。
  8. 請求項1から請求項7の何れかに記載の熔融ガラスの受給供給装置が、管ガラス、板ガラス、ロッド状ガラス又は繊維状ガラスの連続成形装置として配設された構造を有するガラス物品の製造装置。
  9. 管ガラスがフラットパネルディスプレイに搭載される管ガラス、光接続用毛細管として利用される管ガラスの何れかであることを特徴とする請求項に記載のガラス物品の製造装置。
  10. 板ガラスがフラットパネルディスプレイに搭載される板ガラス、固体撮像装置に搭載される板ガラスの何れかであることを特徴とする請求項に記載のガラス物品の製造装置。
  11. フラットパネルディスプレイに搭載される板ガラスが、LCD用板ガラスであることを特徴とする求項10に記載のガラス物品の製造装置。
  12. ロッド状ガラスがフラットパネルディスプレイに搭載されるロッド状ガラスであることを特徴とする請求項に記載のガラス物品の製造装置。
  13. 繊維状ガラスが高精度FRP成形体用途であることを特徴とする請求項に記載のガラス物品の製造装置。
JP2006114258A 2006-04-18 2006-04-18 ガラス物品の製造方法及びガラス物品製造装置 Active JP4905850B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006114258A JP4905850B2 (ja) 2006-04-18 2006-04-18 ガラス物品の製造方法及びガラス物品製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006114258A JP4905850B2 (ja) 2006-04-18 2006-04-18 ガラス物品の製造方法及びガラス物品製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007284299A JP2007284299A (ja) 2007-11-01
JP4905850B2 true JP4905850B2 (ja) 2012-03-28

Family

ID=38756424

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006114258A Active JP4905850B2 (ja) 2006-04-18 2006-04-18 ガラス物品の製造方法及びガラス物品製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4905850B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3036202B1 (en) * 2013-08-22 2018-11-21 Corning Incorporated Apparatus and method for processing molten glass
JP7104882B2 (ja) * 2018-07-03 2022-07-22 日本電気硝子株式会社 ガラス物品の製造方法及び製造装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4120910B2 (ja) * 1999-09-08 2008-07-16 日本電気硝子株式会社 溶融ガラスの供給方法
JP4253254B2 (ja) * 2001-12-14 2009-04-08 コーニング インコーポレイテッド オーバーフロー・ダウンドロー・フュージョン法による板ガラスの製造装置および方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007284299A (ja) 2007-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1832558A1 (en) Plate glass manufacturing apparatus and plate grass manufacturing method
KR101372609B1 (ko) 유리판의 제조 방법
JP6665435B2 (ja) ガラス物品の製造方法
JP2019026489A (ja) ガラス物品の製造方法及び製造装置
JP4905850B2 (ja) ガラス物品の製造方法及びガラス物品製造装置
JP4789072B2 (ja) 耐熱金属製補強管、ガラス物品の製造装置及びガラス物品の製造方法
JP4655306B2 (ja) 板ガラスの成形装置及び成形方法
WO2012011419A1 (ja) 溶融ガラスの搬送装置、および溶融ガラスの搬送装置を用いたガラス製造方法
JP2019518703A (ja) ガラス供給を方向付けるための装置および方法
CN109694176A (zh) 玻璃熔化炉以及玻璃物品的制造方法
CN112839801B (zh) 用于形成层压玻璃片的方法和设备
KR20160093657A (ko) 유리 라미네이트 융합을 위한 현수 및 제어 시스템
TWI758187B (zh) 玻璃管溢流成型設備
KR102359814B1 (ko) 글래스 물품의 제조 장치 및 글래스 물품의 제조 방법
KR20180075696A (ko) 증가된 배치 용해 및 유리 균질성을 위한 유리 용융 시스템 및 방법
JP2007063097A (ja) ガラス熔融炉及びガラス物品の製造方法
CN105517963A (zh) 熔融玻璃制造方法和使用该制造方法的平板玻璃的制造方法
TWI826432B (zh) 玻璃熔融系統的排放導管
CN219546867U (zh) 玻璃条件测量设备
TW202204272A (zh) 用於減少玻璃熔體系統中的缺陷的設備與方法
KR20230078726A (ko) 유리 형성 본체 및 유리 형성 본체를 이용한 유리 물품 제조 방법
TW202128575A (zh) 玻璃成形裝置及方法
TW202335978A (zh) 具有改進的熱性能的玻璃熔爐和熔釜
JP2024047906A (ja) ガラス溶解方法およびガラス物品の製造方法
WO2020236768A1 (en) Methods and apparatus for manufacturing a glass ribbon

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090304

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110330

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111219

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150120

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4905850

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120101