JP2024047906A - ガラス溶解方法およびガラス物品の製造方法 - Google Patents

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泰輝 吉中
Yasuki Yoshinaka
信 楜澤
Makoto Kurumisawa
信 吉川
Makoto Yoshikawa
達也 村上
Tatsuya Murakami
直人 赤木
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Abstract

【課題】均質性の高い高品質なガラス物品を製造する、技術の提供。【解決手段】ガラス溶解方法は、ガラス溶解窯1でガラス原料を溶解させることを有する。ガラス溶解窯1は、第1室10と第2室20と障壁5とを備える。ガラス溶解窯1は、第1室10の底部に、ガラス溶解窯1の幅方向にわたって複数のバブラー16を有する。第1室10の上流端と下流端との流れ方向距離L1が0.5L0~0.75L0であり、第1室10の上流端と複数のバブラー16の列との流れ方向距離LFが0.65L1~0.9L1である。複数のバブラー16よりも上流側に形成される溶融ガラスGの上流側循環流100は、第1室10の上流端からの流れ方向距離が0.8LF~0.95LFにおける、第1室10の幅方向中央付近の上流側表層流101の平均流速V1Cが-8[m/h]~0[m/h]である。【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス溶解方法およびガラス物品の製造方法に関する。
ガラス溶解窯は、その下部または上部に障壁を備える。障壁は、溶融ガラスと接触し、溶融ガラスの流れを遮る。障壁を備えるガラス溶解窯は、溶融ガラスの溶解性に優れており、特にガラス生産量を増加させるのに好適である。但し、障壁によって遮られた溶融ガラスが滞留すると、溶融ガラスの均質性が低下し、最終的に得られるガラス物品の均質性が低下するおそれがある。
特許文献1では、均質性の高い高品質なガラス物品を製造するために、ガラス溶解窯の底部に、ガラス溶解窯の幅方向にわたって複数のバブラーが設けられる。複数のバブラーよりも上流側と下流側とのそれぞれに、溶融ガラスの循環流が形成される。特許文献1には、溶融ガラスの表層流の流速を制御するガラス溶解方法が提案されている。表層流は、溶融ガラスの表面付近の流れである。
国際公開第2015/033931号
しかしながら、特許文献1のガラス溶解窯は、障壁を備えていない。障壁を備えていないガラス溶解窯と、障壁を備えるガラス溶解窯とは、溶融ガラスの溶解条件が大きく異なる。それゆえ、障壁を備えるガラス溶解窯に、特許文献1のガラス溶解方法をそのまま適用することはできない。また、特許文献1のガラス溶解窯は、ガラス生産量を増加させた場合、ある生産量以上だとガラス原料を溶解しきれなくなる。その結果、溶融ガラスの溶解性が悪くなるおそれがある。
本発明の一態様は、上記課題に鑑みてなされたものであって、障壁を備えるガラス溶解窯を用いて、均質性の高い高品質なガラス物品を製造する、技術の提供を主な目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、ガラス原料が投入される第1室と、前記第1室の上部空間に火炎を形成する第1室バーナと、前記ガラス原料を溶解させてなる溶融ガラスが前記第1室から供給される第2室と、前記第2室の上部空間に火炎を形成する第2室バーナと、前記第1室と前記第2室の間に設けられる障壁と、を備えたガラス溶解窯で前記ガラス原料を溶解させることを有する、ガラス溶解方法であって、
前記ガラス溶解窯は、前記第1室の底部に、前記ガラス溶解窯の幅方向にわたって複数のバブラーを有し、
前記第1室の上流端と前記第2室の下流端との流れ方向距離をLとして、前記第1室の上流端と下流端との流れ方向距離Lが0.5L~0.75Lであり、前記第1室の上流端と前記複数のバブラーの列との流れ方向距離Lが0.65L~0.9Lであり、
前記複数のバブラーよりも上流側に形成される溶融ガラスの上流側循環流は、溶融ガラスの表面付近に前記第1室の上流方向に移動する上流側表層流を有し、前記第1室の上流端からの流れ方向距離が0.8L~0.95Lにおける、前記第1室の幅方向中央付近の前記上流側表層流の平均流速V1Cが-8[m/h]~0[m/h]であることを特徴とするガラス溶解方法が提供される。
本発明の一態様によれば、ガラス生産量を増加させても溶融ガラスの溶解性に優れ、均質性の高い高品質なガラス物品を製造することができる。
本発明の一実施形態によるガラス溶解窯の断面図である。 図1に示すガラス溶解窯の平面図である。 本発明の別の一実施形態によるガラス溶解窯の断面図である。 本発明の一実施形態によるガラス物品の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態による上流側表層流の平均流速と天然ガス流量比との関係を示す図である。 本発明の一実施形態による上流側表層流の平均流速とガラス板のうねり指標との関係を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一のまたは対応する構成には、同一のまたは対応する符号を付して説明を省略する。本明細書において、数値範囲を表す「~」はその前後の数値を含む範囲を意味する。
各図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。Z軸方向は鉛直方向であり、X軸方向とY軸方向は水平方向である。X軸方向はガラス溶解窯1,1Aの長さ方向であり、Y軸方向はガラス溶解窯1,1Aの幅方向である。ガラス溶解窯1,1Aの長さ方向(X軸方向)は、図1~図3における左右方向であり、本明細書においては、溶融ガラスGの流れ方向である。また、ガラス溶解窯1,1Aの幅方向(Y軸方向)は、図2における上下方向であり、溶融ガラスGの流れ方向と直交する。
なお、本明細書において、溶融ガラスGの流れ方向とは、平面視において溶融ガラスGが流れる方向である。
また、本明細書において、上流側および下流側とは、ガラス溶解窯1,1A内における溶融ガラスGの流れ方向(X軸方向)に対するものである。すなわち、本明細書においては、+X側が下流側であり、-X側が上流側である。
また、本明細書において、幅方向(Y軸方向)の内側とは、幅方向において、ガラス溶解窯1,1Aの幅方向の中心が位置する側である。本明細書において、幅方向の外側とは、幅方向において、ガラス溶解窯1,1Aの幅方向の中心が位置する側と反対側である。
また、溶融ガラスGの表層流101,201の平均流速V1C,V2Cのマイナスは、表層流101,201の幅方向(Y軸方向)中央付近が、第1室10の上流側(-X側)に移動することを意味する。平均流速V1C,V2Cのプラスは、表層流101,201の幅方向(Y軸方向)中央付近が、第1室10の下流側(+X側)に移動することを意味する。
[ガラス溶解方法]
図1は、本発明の一実施形態によるガラス溶解窯の断面図である。図2は、図1に示すガラス溶解窯の平面図である。但し、図2において、ガラス溶解窯の上部壁面は省略されている。図3は、本発明の別の一実施形態によるガラス溶解窯の断面図である。ガラス溶解窯1,1Aは、ガラス原料が投入される第1室10と、第1室10の上部空間に火炎を形成する第1室バーナ15と、ガラス原料を溶解させてなる溶融ガラスGが第1室10から供給される第2室20と、第2室20の上部空間に火炎を形成する第2室バーナ25と、第1室10と第2室20の間に設けられる障壁5と、を備える。
第1室10および第2室20は、水平な底壁2と、底壁2に対して垂直な側壁3と、底壁2と側壁3とを覆う天井4(例えばアーチ状の天井)と、ガラス溶解窯1,1Aを長さ方向(X軸方向)に対して垂直に仕切る障壁5とによって構成される。図1では、障壁5は、天井4まで達しているが、溶融ガラスGよりも高ければよく、図3に示す障壁5Aのように天井4まで達していなくてもよい。また、本実施形態の障壁5は、幅方向(Y軸方向)全域にわたって底壁2と障壁5との間に溶融ガラスGの流路30を形成しているが、本発明はこれに限定されず、例えば幅方向中央部のみに溶融ガラスGの流路30を形成してもよい。流路30は、第1室10の下部と第2室20の下部とをつなぐ。
第1室バーナ15、第2室バーナ25は、それぞれ第1室10、第2室20の長さ方向(X軸方向)にわたって間隔を空けて配置される。第1室バーナ15や第2室バーナ25は、天然ガスや重油などの燃料をガスと混合して燃焼することで火炎を形成する。第1室バーナ15、第2室バーナ25には、ガスとして主に空気を用いる空気燃焼バーナ、またはガスとして主に酸素を用いる酸素燃焼バーナが設けられる。酸素燃焼バーナは、空気燃焼バーナと比べて燃焼効率が高いため、後述する複数のバブラー16の近くに位置する第1室バーナ15に用いられると、溶融ガラスGの溶解性が向上するので好ましい。第1室バーナ15、第2室バーナ25は、それぞれ第1室10、第2室20の長さ方向(X軸方向)にわたって等間隔に配置されてもよいし、等間隔に配置されなくてもよい。
また、図2では、第1室バーナ15、第2室バーナ25は、それぞれ第1室10、第2室20の幅方向(Y軸方向)の同一直線上に対向して配置されているが、同一直線上に配置されなくてもよい。同一直線上に配置されなければ、対向する第1室バーナ15、第2室バーナ25の火炎が、それぞれ干渉する可能性が低くなるため、本発明の実施形態として好適である。
図1に示すように第1室10の上流端にはガラス原料の投入口11が設けられる。投入口11から投入されたガラス原料は、第1室バーナ15による加熱によって溶解して溶融ガラスGとなる。溶融ガラスGは、第1室10から流路30を介して第2室20に供給され、第2室バーナ25によってさらに加熱される。第2室20の下流端には、溶融ガラスGを次工程に払い出すための払出口21が設けられており、払出口21の下流側(+X側)は、例えば、導管40と連通する。溶融ガラスGは、第2室20から払出口21を介して導管40に供給される。溶融ガラスGの温度が高い場合、設備延命の観点から、導管40には白金または白金合金製の導管が用いられてよい。導管40は、下流側(+X側)の成形装置(不図示)と接続される。導管40は、途中に清澄装置(不図示)、撹拌装置(不図示)を設けてよい。清澄装置を設けることにより、溶融ガラスG中に含まれる泡の脱泡が促進され、撹拌装置を設けることにより、溶融ガラスGの均質性が向上する。
第1室10の上流端と第2室20の下流端との流れ方向(X軸方向)距離をLとして、第1室10の上流端と下流端との流れ方向(X軸方向)距離Lは0.5L~0.75Lであり、好ましくは0.55L~0.7Lである。また、第2室20の上流端と下流端との流れ方向(X軸方向)距離Lは、好ましくは0.1L~0.4Lであり、より好ましくは0.15L~0.35Lである。距離Lが0.5L~0.75Lであり、距離Lが0.1L~0.4Lであれば、第1室10および第2室20において溶融ガラスGをバランス良く加熱することができ、第2室20における溶融ガラスGの清澄効果を高めることができる。
第1室10の底部には、複数のバブラー16が設けられる。バブラー16は、ガラス溶解窯1,1Aの幅方向(Y軸方向)にわたって所定の間隔(ピッチ)を空けて配設され、第1室10内での溶融ガラスGの循環流(上流側循環流100、下流側循環流200)を形成する。幅方向(Y軸方向)にわたって1列に配設されるバブラー16の個数は、好ましくは5個~30個であり、より好ましくは7個~25個である。よって、各バブラー16間の距離は、ガラス溶解窯1,1Aの幅方向(Y軸方向)距離をWとして、好ましくは0.03W~0.17Wであり、より好ましくは0.04W~0.13Wである。複数のバブラー16は、幅方向(Y軸方向)にわたって等間隔に配設されてもよいし、等間隔に配設されなくてもよい。
各バブラー16の内径は、好ましくは10mm~300mmであり、より好ましくは20mm~200mmである。各バブラー16の内径が10mm以上だと、バブラー16の溶融ガラスGによる閉塞を抑制できる。各バブラー16の内径が300mm以下だと、下流側循環流200の滞留時間が所定の時間確保されるため、溶融ガラスGの均質化が促進される。
第1室10の上流端と複数のバブラー16の列との流れ方向(X軸方向)距離Lは、0.65L~0.9Lであり、好ましくは0.7L~0.85Lである。距離Lが0.65L~0.9Lであれば、複数のバブラー16と第1室10の上流端および下流端との間の空間が確保され、上流側循環流100、下流側循環流200の形成を促進することできる。また、図1では、複数のバブラー16は、幅方向(Y軸方向)にわたって1列であるが、2列以上であってもよい。バブラー16が2列以上の場合、距離Lは、第1室10の上流端と複数のバブラー16の列のうち最上流の列との流れ方向(X軸方向)距離とする。
バブラー16から供給するガス17には、空気、窒素、酸素、ヘリウム、またはアルゴン等が用いられる。バブラー16の材料として、白金または白金合金が用いられる場合、バブラー16から供給するガス17には、窒素、ヘリウム、またはアルゴンといった酸素を含まないガスを用いることが好ましい。
本実施形態のガラス溶解方法は、複数のバブラー16よりも上流側(-X側)に溶融ガラスGの上流側循環流100を形成することを有する。上流側循環流100は、溶融ガラスGの表面付近に上流側表層流101を有する。上流側表層流101は、第1室10の上流側(-X側)に移動する。第1室10の上流端からの流れ方向(X軸方向)距離が0.8L~0.95Lにおける、第1室10の幅方向(Y軸方向)中央付近の上流側表層流101の平均流速V1Cは、-8[m/h]~0[m/h]である。平均流速V1Cは、好ましくは-6[m/h]~0[m/h]である。ここで、平均流速V1Cのマイナスは、上流側表層流101の幅方向(Y軸方向)中央付近が、第1室10の上流側(-X側)に移動することを意味する。平均流速V1Cが-8[m/h]以上であれば、上流側循環流100の滞留時間が所定の時間確保されるため、溶融ガラスGの均質化が促進される。平均流速V1Cが0[m/h]以下であれば、ガラス原料中の未溶解物や溶融ガラス表面での揮散等によってできる比重の軽い異質層(スカム層)が、第1室10の下流側(+X側)に移動するのを抑制し、溶融ガラスの均質化を促進することができる。平均流速V1Cは、好ましくは0[m/h]未満である。
本実施形態のガラス溶解方法は、ホウ素成分を含有するガラス(例えばボロシリケートガラス)の溶解に好適である。ホウ素成分は、溶融ガラス表面での揮散が起こりやすいため、ホウ素成分を含有するガラスは、異質層(スカム層)が発生しやすい。
平均流速V1Cは、例えば溶融ガラス表層の泡や未溶解原料等をカメラ(不図示)で撮像して画像処理することにより測定することができる。カメラは、ガラス溶解窯1,1Aの外部に設置され、ガラス溶解窯1,1Aの覗き孔(不図示)を通してガラス溶解窯1,1Aの内部を撮像する。カメラは、例えばCCDカメラ、CMOSカメラ等である。カメラの撮像領域は、溶融ガラスGの流れ方向(X軸方向)または幅方向(Y軸方向)に複数設けられてよい。平均流速V1Cは、各撮像領域で測定された流速の平均値である。
第1室10の上流端からの流れ方向(X軸方向)距離が0.8L~0.95Lにおける平均流速V1Cの測定は、上流側循環流100のうち、上流側表層流101のみを捉えるのに適している。平均流速V1Cの測定は、第1室10の上流端からの流れ方向(X軸方向)距離が0.85L~0.95Lで行われることが好ましい。
平均流速V1Cは、バブラー16からのガス17の流量を増減させて調整することができる。バブラー16からのガス17の流量を増やすと、上流側表層流101の下流側から上流側への移動が促進され、平均流速V1Cが減少する。バブラー16からのガス17の流量を減らすと、上流側表層流101の下流側から上流側への移動が抑制され、平均流速V1Cが増加する。ガス17の流量は、好ましくは0.3[L/min]~20[L/min]であり、より好ましくは0.5[L/min]~10[L/min]である。ガス17の流量が0.3[L/min]以上だと、バブラー16の溶融ガラスGによる閉塞を抑制できる。ガス17の流量が20[L/min]以下だと、ガス17の使用によるガラス物品の製造コストを抑制できる。
また、平均流速V1Cは、第1室10におけるバブラー16より上流側(-X側)であって、第1室10の上流端からの流れ方向(X軸方向)距離が0.4L~0.95Lの位置における天井4下端の温度T(以下、天井温度Tという。)を制御して調整することができる。天井温度Tを高くすると、上流側表層流101の下流側から上流側への移動が抑制され、平均流速V1Cが増加する。天井温度Tを低くすると、上流側表層流101の下流側から上流側への移動が促進され、平均流速V1Cが減少する。天井温度Tは、バブラー16より上流の第1室バーナ15の燃焼出力を増減させて調整することができる。第1室バーナ15の燃焼出力を増やすには、燃料とガスの流量を増加させ、第1室バーナ15の燃焼出力を減らすには、燃料とガスの流量を減少させる。
天井温度Tは、ガラスの組成にもよるが、好ましくは1550℃~1700℃であり、より好ましくは1600℃~1700℃である。天井温度Tの測定は、天井4に熱電対(不図示)を配設して測定する。熱電対は、天井4を貫通して配設され、先端部が天井4の下端より0mm~30mm突出している。熱電対は、例えば白金製の熱電対が用いられる。また、天井温度Tを測定するのに加え、側壁3内側の温度を測定してもよい。側壁3内側の温度測定は、側壁3に熱電対を配設して測定してもよいし、側壁3に設けられた観察用窓(不図示)から、対向する側壁3の内側の温度を放射温度計(例えば、CHINO IR-AH3SU(測定波長:0.65μm、ε=1.0))で測定してもよい。
また、平均流速V1Cは、天井温度Tだけでなく、第1室10におけるバブラー16より下流側(+X側)の天井4下端の温度T(以下、天井温度Tという。)、第2室20における天井4下端の温度T(以下、天井温度Tという。)を調整することによっても制御することができる。天井温度Tは、天井温度Tと同程度の温度で、好ましくは1550℃~1700℃であり、より好ましくは1600℃~1700℃である。また、天井温度Tは、天井温度Tよりも20℃程度低く、好ましくは1530℃~1680℃であり、より好ましくは1580℃~1680℃である。天井温度T,Tの測定は、天井温度Tの測定と同様の方法で行う。
第1室バーナ15、第2室バーナ25の燃料として天然ガスを用いる場合、各天井温度T,T,Tをバランス良く調整するためには、第1室バーナ15および第2室バーナ25で使用する天然ガス流量に対する、第1室10におけるバブラー16より上流側(-X側)の第1室バーナ15で使用する天然ガス流量の比(以下、天然ガス流量比という。)を調整するのが好ましい。天然ガス流量比が高すぎると、第1室10と第2室20との溶融ガラスGの温度差が大きくなり、溶融ガラスGの上流側表層流101の下流側から上流側への移動が抑制されるため、平均流速V1Cが0[m/h]を超えるおそれがある。また、天然ガス流量比が低すぎると、第1室10と第2室20との溶融ガラスGの温度差が小さくなり、溶融ガラスGの上流側表層流101の下流側から上流側への移動が促進されるため、平均流速V1Cが-8[m/h]を下回るおそれがある。天然ガス流量比は、天然ガスの組成にもよるが、好ましくは0.490~0.520であり、より好ましくは0.490~0.510である。
また、第1室10の底壁2または側壁3に電極(不図示)が配設される場合、平均流速V1Cは、バブラー16より上流側(-X側)の電極に印加する電圧を増減させて調整してもよい。
本実施形態のガラス溶解方法における一日のガラスの生産量は、例えば、30トン~300トンである。ガラスの生産量を上げる場合、ガラス原料の投入量を増やすため、第1室10の上流側(-X側)の第1室バーナ15の燃焼出力を上げたり、第1室10の上流側(-X側)の電極に印加する電圧を上げたりして溶融ガラスGの溶解性を維持する。しかし、ガラス原料の投入量を増やすと、上流側表層流101は、ガラス原料によって下流側(+X側)に力を受けるため、下流側(+X側)に流れるおそれがある。
そのため、本実施形態のガラス溶解方法は、平均流速V1Cが0[m/h]以下(好ましくは0[m/h]未満)となるように、バブラー16からのガス17の流量を増やしたり、天然ガス流量比を低くしたり、第1室10の上流端からの流れ方向(X軸方向)距離が0.4L~0.95Lの位置における第1室バーナ15の燃焼出力、電極に印加する電圧を増減させたりする。
一方、ガラスの生産量を下げる場合、ガラス原料の投入量を減らすため、第1室10の上流側(-X側)の第1室バーナ15の燃焼出力を下げたり、第1室10の上流側(-X側)の電極に印加する電圧を下げたりして溶融ガラスGの溶解性を維持する。しかし、ガラス原料の投入量を減らすと、上流側表層流101は、ガラス原料によって下流側(+X側)に力を受けなくなるため、上流側(-X側)に速く流れるおそれがある。
そのため、本実施形態のガラス溶解方法は、平均流速V1Cが-8[m/h]以上となるように、バブラー16からのガス17の流量を減らしたり、天然ガス流量比を高くしたり、第1室10の上流端からの流れ方向(X軸方向)距離が0.4L~0.95Lの位置における第1室バーナ15の燃焼出力、電極に印加する電圧を増減させたりする。
本実施形態のガラス溶解方法は、ガラス溶解窯1,1Aの底壁2と天井4との間の距離を高さHとして、底壁2から溶融ガラスGの表層までの距離Hは、好ましくは0.1H~0.6Hであり、より好ましくは0.2H~0.5Hであり、さらに好ましくは0.2H~0.4Hである。距離Hが0.1H以上だと、溶融ガラスGの上流側循環流100の循環を促進することができる。距離Hが0.6H以下だと、溶融ガラスGの表層と天井4との間の空間を確保し、第1室バーナ15、第2室バーナ25を適切に配置することができる。
また、底壁2と障壁5,5Aの下端との距離は、好ましくは0.1H~0.8Hであり、より好ましくは0.1H~0.6Hであり、さらに好ましくは0.15H~0.5Hである。該距離が0.1H以上だと、第1室10から流路30を介して第2室20に供給される溶融ガラスGの供給量を所定量確保することができる。該距離が0.8H以下だと、第1室10から流路30を介して第2室20に、均質性の低い溶融ガラスGが流入するのを抑制できる。
本実施形態のガラス溶解方法は、ガラス溶解窯1,1Aの幅方向(Y軸方向)距離をWとして、平均流速V1Cが、第1室10の左側端12または右側端13から幅方向(Y軸方向)の内側に0.4W~0.6Wの位置で測定されるのが好ましく、0.45W~0.55Wの位置で測定されるのがより好ましい。
本実施形態のガラス溶解方法は、複数のバブラー16と第1室10の下流端との間に溶融ガラスGの下流側循環流200を形成することを有する。下流側循環流200は、溶融ガラスGの表面付近に下流側表層流201を有する。下流側表層流201は、第1室10の下流方向に移動する。第1室10の幅方向中央付近の下流側表層流201の平均流速V2Cは、0[m/h]~+10[m/h]であることが好ましい。ここで、平均流速V2Cのプラスは、下流側表層流201の幅方向中央付近が、第1室10の下流側(+X側)に移動することを意味する。平均流速V2Cは、より好ましくは0[m/h]~+8[m/h]である。平均流速V2Cが0[m/h]以上であれば、下流側循環流200を充分に循環させ、溶融ガラスの均質化を促進することができる。平均流速V2Cは好ましくは0[m/h]超である。平均流速V2Cが+10[m/h]以下であれば、下流側循環流200の滞留時間が所定の時間確保されるため、溶融ガラスGの均質化が促進される。
[ガラス物品の製造方法]
次に、本実施形態のガラス溶解方法を含む溶解工程を有するガラス物品の製造方法について説明する。図4は、本発明の一実施形態によるガラス物品の製造方法を示すフローチャートである。
溶解工程S1は、ガラス原料を溶解することで溶融ガラスGを得る。成形工程S2は、溶解工程S1で溶融された溶融ガラスGを成形することで成形ガラスを得る。徐冷工程S3は、成形工程S2で成形された成形ガラスを徐冷する。本実施形態のガラス物品の製造方法は、工程S1~S3を経て、ガラス物品を得る。
ガラス物品としてガラス板を得るには、例えばフロート法が用いられる。フロート法は、フロートバス内に収容される溶融金属(例えば、溶融スズ)上に導入された溶融ガラスを所定方向に流動させ、トップロールを用いて帯板状のガラスリボンとする方法である(成形工程S2)。ガラスリボンは、水平方向に流動する過程で冷却された後、リフトアウトロールによって溶融金属から引き上げられ、徐冷炉内で搬送ロールによって搬送されながら徐冷され、板ガラスとなる(徐冷工程S3)。板ガラスは、徐冷炉から搬出された後、切断機によって所定の寸法形状に切断され製品であるガラス板となる。
また、ガラス板を得るのに別の成形方法として、フュージョン法を用いてもよい。フュージョン法は、樋状部材の左右両側の上縁から溢れ出した溶融ガラスを、樋状部材の左右両側面に沿って流下させ、左右両側面が交わる下縁で合わせることにより、帯板状のガラスリボンとする方法である(成形工程S2)。溶融ガラスリボンは、鉛直方向下方に移動しながら徐冷され、板ガラスとなる(徐冷工程S3)。板ガラスは、切断機によって所定の寸法形状に切断され、製品であるガラス板となる。
本実施形態のガラス物品の組成は特に制約がなく、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、無アルカリガラス、またはその他のガラスのいずれであってもよい。ここで、無アルカリガラスは、アルカリ金属酸化物(NaO、KO、LiO)を実質的に含有しないガラスである。無アルカリガラス中のアルカリ金属酸化物の含有量の合量(NaO+KO+LiO)は、例えば0.1%以下であってよい。
本実施形態のガラス物品の用途は、建築用、車両用、フラットパネルディスプレイ用、またはその他の各種用途が挙げられる。ガラス物品としてガラス板を得る場合、ガラス板の厚さは、例えば建築用では2mm~25mmであり、フラットパネルディスプレイ用では0.3mm~2.0mmである。
以下、本発明の実施例および比較例について具体的に説明する。なお、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
[実験例1]
本発明の一実施形態によるガラス溶解窯1を用いて、無アルカリガラス組成のガラス原料を溶解して溶融ガラスGを得た。この時、第1室10の上流端からの流れ方向(X軸方向)距離が0.4L~0.95Lの位置における第1室バーナ15の燃焼出力、電極に印加する電圧を増減させた。また、天然ガス流量比を0.50~0.53の範囲で調整するため、第2室バーナ25の燃焼出力を増減させた。続けて、第1室10の上流端からの流れ方向(X軸方向)距離が0.85L~0.95Lで、第1室10の左側端12から幅方向(Y軸方向)の内側に0.45W~0.55Wの位置における上流側表層流101の平均流速V1Cを、CCDカメラを用いて測定した。
図5は、本発明の一実施形態による上流側表層流の平均流速と天然ガス流量比との関係を示す図である。図5に示すように、天然ガス流量比が0.520以下、特に0.515以下だと、平均流速V1Cが-4[m/h]~0[m/h]になることが分かる。一方、天然ガス流量比が0.520超だと、平均流速V1Cが0[m/h]超になることが分かる。よって、本実施形態のガラス溶解方法は、天然ガス流量比を調整することにより、平均流速V1Cを制御できることが分かる。
[実験例2]
本発明の一実施形態によるガラス溶解窯1を用いて、無アルカリガラス組成のガラス原料を溶解して溶融ガラスGを得た。フロート法を用いて帯板状のガラスリボンに成形し、ガラスリボンを徐冷炉内で搬送ロールによって搬送しながら徐冷して板ガラスを得た。板ガラスを切断機によって切断し、厚さが0.5mm、幅300mm×長さ300mmのガラス板を計152枚得た。
次に、表面粗さ計(東京精密社製、サーフコム)を用いて各ガラス板のうねりピッチ、うねり高さを測定し、うねり曲線の平均高さ(JIS B 0601:2013に記載のWc)を算出した。続けて、各ガラス板のうねり曲線の平均高さから、フロートバスに起因するうねりの影響を取り除き、うねり指標を算出した。すなわち、ガラス板のうねり指標とは、ガラス溶解窯1に起因するガラス板のうねりの影響を表す指標である。フロートバスに起因するうねりは、フロートバス成形域のガラスリボン温度、板ガラスの搬送速度、トップロールの使用本数等に影響される。
図6は、本発明の一実施形態による上流側表層流の平均流速とガラス板のうねり指標との関係を示す図である。図6に示すように、平均流速V1Cが-6[m/h]~0[m/h])だと、うねり指標が最大で2程度であるのに対し、平均流速V1Cが0[m/h]超だと、うねり指標が最大で8超となることが分かる。うねり指標が低いということは、ガラス溶解窯1での溶融ガラスGの均質性が良好であることを表す。よって、本実施形態のガラス溶解方法は、溶融ガラスGの溶解性に優れ、均質性の高い高品質なガラス物品を製造するのに好適であることが分かる。
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、様々な変更や修正を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
1,1A ガラス溶解窯
2 底壁
3 側壁
4 天井
5,5A 障壁
10 第1室
11 投入口
12 左側端
13 右側端
15 第1室バーナ
16 バブラー
17 ガス
20 第2室
21 払出口
25 第2室バーナ
30 流路
40 導管
100 上流側循環流
101 上流側表層流
200 下流側循環流
201 下流側表層流
G 溶融ガラス

Claims (4)

  1. ガラス原料が投入される第1室と、前記第1室の上部空間に火炎を形成する第1室バーナと、前記ガラス原料を溶解させてなる溶融ガラスが前記第1室から供給される第2室と、前記第2室の上部空間に火炎を形成する第2室バーナと、前記第1室と前記第2室の間に設けられる障壁と、を備えたガラス溶解窯で前記ガラス原料を溶解させることを有する、ガラス溶解方法であって、
    前記ガラス溶解窯は、前記第1室の底部に、前記ガラス溶解窯の幅方向にわたって複数のバブラーを有し、
    前記第1室の上流端と前記第2室の下流端との流れ方向距離をLとして、前記第1室の上流端と下流端との流れ方向距離Lが0.5L~0.75Lであり、前記第1室の上流端と前記複数のバブラーの列との流れ方向距離Lが0.65L~0.9Lであり、
    前記複数のバブラーよりも上流側に形成される溶融ガラスの上流側循環流は、溶融ガラスの表面付近に前記第1室の上流方向に移動する上流側表層流を有し、前記第1室の上流端からの流れ方向距離が0.8L~0.95Lにおける、前記第1室の幅方向中央付近の前記上流側表層流の平均流速V1Cが-8[m/h]~0[m/h]であることを特徴とする、ガラス溶解方法。
  2. 前記第1室の幅方向中央付近は、前記ガラス溶解窯の幅方向距離をWとして、前記第1室の側端から幅方向の内側に0.4W~0.6Wの位置である、請求項1に記載のガラス溶解方法。
  3. 前記複数のバブラーと前記第1室の下流端との間に形成される溶融ガラスの下流側循環流は、溶融ガラスの表面付近に前記第1室の下流方向に移動する下流側表層流を有し、前記第1室の幅方向中央付近の前記下流側表層流の平均流速V2Cが0[m/h]~+10[m/h]である、請求項1に記載のガラス溶解方法。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の溶解方法でガラス原料を溶解させることで溶融ガラスを得ることと、前記溶融ガラスを成形することで成形ガラスを得ることと、前記成形ガラスを徐冷することと、を有する、ガラス物品の製造方法。
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