JP4905093B2 - 工作機械の主軸装置 - Google Patents
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Description
主軸装置においては、ドローバーが主軸本体内で軸心方向へ摺動移動する構造であるため、ドローバーは主軸本体に対して径方向へ数10〜150μm程度可動に組み込まれている。そのため、主軸本体の軸心に対して、ドローバーとバネ部材などの軸心が一致しておらず、微小量ズレているのが一般的である。主軸本体が15000 〜40000 rpmもの高速で回転する際に、遠心力のバランスが崩れ、アンバランス状態となり、振動、騒音、切削精度の低下の原因となる。
特許文献2の主軸装置も、右巻き螺旋皿バネと、左巻き螺旋皿バネを採用するため、1本の螺旋状バネ部材を採用することができないうえ、中間間座の構造が複雑化する。
ドローバーに固定された第2バネ受け部材が、バネ部材の弾性付勢力で後方へ付勢されると、第2バネ受け部材の第4テーパ面が、主軸本体に固定された環状部材の第3テーパ面に係合し、第2バネ受け部材とドローバーの軸心が、主軸本体の軸心と一致するように自動的に調心がなされる。工具ホルダを装着してない状態において調心作用が得られる。
また、調心機構は、少なくとも、主軸本体に工具ホルダを装着してない状態において調心可能な構造になるが、円筒孔の前端部分において調心する調心機構は、主軸本体への工具ホルダの装着の有無によらず調心可能なものに構成可能である。
調心機構が、前記円筒孔の前端部分で調心する第1調心機構と、前記円筒孔の後部で調心する第2調心機構を有するため、主軸本体のアンバランスを一層効果的に軽減することができる。第2調心機構は、簡単な構造の環状部材と、第3,第4テーパ面を設け、バネ部材の後端部を受け止める第2バネ受け部材を有効活用して、第2バネ受け部材とドローバーの軸心が主軸本体の軸心に一致するように、自動的に調心を行うことができる。工具ホルダを装着してない状態では、第2バネ受け部材が最大限後退するため、第4テーパ面が第3テーパ面に接触するため、調心作動が得られる。
図1〜図3に示すように、工作機械の主軸装置1は、主軸ヘッドの主軸台(図示略)に 4組のラジアル軸受2を介して回転自在に支持された主軸本体3と、スペーサ4と、この主軸本体3の内部に形成された円筒孔5と、ドローバー6と、ドローバー6の後端部に固定されたドローバー延長部材7と、工具付きの工具ホルダ(図示略)をクランプする弾性力を発生させるバネ部材8と、工具ホルダをチャックするチャック機構9と、調心機構10(第1,第2調心機構10A,10B)と、アンクランプ用アクチュエータにより操作されるアンクランプリング11などを備えている。
なお、図1〜図3には主軸装置1を水平姿勢に図示した関係上、図1〜図3上の上下左右を上下左右として説明し、図4には主軸装置1を立型工作機械の主軸ヘッドに立向き姿勢に装備した例を図示してある。
主軸ヘッド30にほぼ「へ」字形のアンクランプレバー31が立向きに配設され、アンクランプレバー31の下端部が主軸ヘッド30に固定された1対のブラケット32にピン部材33を介して回動可能に連結されている。アンクランプレバー31の下端部から主軸装置1側へ延びる二股の押圧アーム34が設けられ、この二股の押圧アーム34の先端部はアンクランプリング11の両側に位置している。
尚、主軸本体3の前端部には、工作機械の出荷前に主軸装置1のバランスを調整するためのネジ部材(錘)を取り付け可能な複数のネジ穴19が形成されている。
尚、工具ホルダを工具ホルダ装着用テーパ穴12に装着した場合、ドローバー6が最大後退位置よりも僅かに前方の位置になるため、第3,第4テーパ面21,22が面接触状態を維持しない。
前記ドローバー延長部材7の後端部に軸状部材24が固定されて後方へ延びており、この軸状部材24内に液通路25が形成されている。ドローバー延長部材7にも液通路26が形成され、ドローバー本体6aと連結軸部6bの内部にも液通路27,28が形成されている。チャック機構9の中心部にも液通路29が形成されている。クーラントは、外部のクーラント供給源からロータリ継手を介して液通路25に圧送され、その液通路25から液通路26,27,28を経て液通路29に供給される。
工具ホルダを工具ホルダ装着用テーパ穴12に装着してない場合、ドローバー6は最大後退位置にあり、バネ受け部材13のフランジ部13fの前端面とドローバー6の鍔状大径部6cの後端面との間には隙間が発生する。バネ受け部材13はバネ部材8で前方へ付勢されて第1テーパ面17で受け止められるため、第1調心機構10Aの第1,第2テーパ面17,18が面接触にて係合する。そのため、この第1調心機構10Aにより、主軸本体3の軸心とドローバー6の鍔状大径部6cの軸心(つまり、ドローバー6の軸心)とが一致するように自動的に調心される。
この結果、工具ホルダを工具ホルダ装着用テーパ穴12に装着してない場合、ドローバー6の前部と後部において、主軸本体3の軸心とドローバー6の軸心とが一致するように自動的に調心されるため、工作機械の出荷前における主軸装置1のバランス調整の作業を省略することが可能となる。また、省略できないとしてもバランス調整の作業が著しく簡単になる。
そのため、工作機械の稼働中における主軸装置1のバランスが良好に維持され、振動や騒音が軽減され、加工精度も向上する。
第2調心機構10Bは、環状部材20に形成した第3テーパ面21と、ドローバー延長部材7に形成した第4テーパ面22とで調心する構成であるから、環状部材20を追加するものの、ドローバー延長部材7を有効活用して、簡単な構成のものにすることができるから、安価に実施可能である。
1)主軸本体3をその外周側に組み込んだ主軸モータで駆動する形式の主軸装置にも、本発明を同様に適用することができる。
2)前記チャック機構9は一例を示すものに過ぎず、種々のチャック機構を組み込んだ主軸装置1にも、本発明を同様に適用することができる。
4)前記バネ部材8の代わりに、皿バネ積層体、または中間間座を挟んで前後に2分割した螺旋バネ叉は皿バネなどを採用することができる。
3 主軸本体
5 円筒孔
5a バネ部材収容孔
6 ドローバー
6c 鍔状大径部
7 ドローバー延長部材
8 バネ部材
10 調心機構
10A 第1調心機構
10B 第2調心機構
13 バネ受け部材
17,18 第1,第2テーパ面
20 環状部材
21,22 第3,第4テーパ面
Claims (4)
- 前端部に工具ホルダ装着用テーパ穴を形成した主軸本体と、この主軸本体の内部に組み込まれたドローバーと、このドローバーを後方へ弾性付勢するバネ部材とを備えた工作機械の主軸装置において、
主軸本体の内部に形成されバネ部材を収容するバネ部材収容孔を含む円筒孔と、
この円筒孔の前端部分と後部の少なくとも一方において、主軸本体に設けられた主軸本体側テーパ面とこの主軸本体側テーパ面に係合するドローバーに設けられたドローバー側テーパ面を介して、主軸本体の軸心とドローバーの軸心とを一致させる調心機構とを備え、
前記調心機構は、前記円筒孔の前端部分において主軸本体の軸心とドローバーの軸心とを一致させる第1調心機構と、前記円筒孔の後部において主軸本体の軸心とドローバーの軸心とを一致させる第2調心機構とを有し、
前記第2調心機構は、前記円筒孔の内周部に固定され且つ前端部分に後方程小径化する第3テーパ面を有する環状部材と、前記円筒孔に径方向へ可動に内嵌され且つドローバーに固定されてバネ部材の後端部を受け止める第2バネ受け部材と、前記第2バネ受け部材に形成され且つ第3テーパ面に係合する第4テーパ面とを備えたことを特徴とする工作機械の主軸装置。 - 前記第1調心機構は、
前記ドローバーに形成された鍔状大径部と、
前記円筒孔に径方向へ可動に内嵌され且つ前記鍔状大径部に径方向へ移動不能に外嵌され且つ前記バネ部材の前端部を受け止める第1バネ受け部材と、
前記円筒孔の前端部分の外周側部分に形成された前方程小径化する第1テーパ面と、 前記第1バネ受け部材の前端部分の外周側部分に形成されて前記第1テーパ面に係合する第2テーパ面とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の工作機械の主軸装置。 - 前記第1バネ受け部材はその後端部分に形成されたフランジ部を有し、このフランジ部の前端面と前記鍔状大径部の後端面との間には、工具ホルダを工具ホルダ装着用テーパ穴に装着していない状態においても隙間が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の工作機械の主軸装置。
- 前記環状部材は、前記主軸本体に内嵌状に螺合して固定されたことを特徴とする請求項1に記載の工作機械の主軸装置。
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