JP4905025B2 - 制動力制御装置 - Google Patents
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Description
また通常制動時にあっては、ブレーキバイワイヤでの制御(以下、単にBBW制御と呼ぶ)中では、上記電磁開閉弁を閉じてマスタシリンダとホイルシリンダとの連通を遮断した状態として、ポンプを駆動源として各輪のホイルシリンダによる制動力を制御する。
上記基本寄与度αは、前回の目標減速度(実質的にマスタシリンダ圧と同義)が大きいほどマスタシリンダ圧の寄与度合が大きくなるように設定され、ブレーキペダルが踏み込まれて所定以上のマスタシリンダ圧となった状態では、マスタシリンダ圧重視となって、たとえばマスタシリンダ圧の寄与度合が100%となる。
また、上記従来技術では、ある制動G以上では、マスタシリンダ圧の寄与度合が1(=100%)に固定されるため、その制動の高G領域からブレーキペダルを戻し始めることを想定すると、低下速度が速いマスタシリンダ圧の減少速度が目標減速度にそのまま反映されてしまい、マスタシリンダ圧の減少速度と共に目標減速度の減少速度も速くなってしまう。その結果、ブレーキ戻し操作時における、制動変化にねばり感を出すことができないという課題がある。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、ブレーキバイワイヤにおいて、制動の高G領域からのブレーキ戻し操作時に制動変化にねばり感を演出可能な制動力制御装置を提供することを課題としている。
上記制動制御手段は、踏込みストローク量の寄与度合よりもマスタシリンダ圧の寄与度合が大きい状態で、マスタシリンダ圧が低下していると判定し且つそのマスタシリンダ圧の低下速度に対するブレーキペダルの戻り速度が小さいストローク遅れ領域と判定すると、上記目標減速度の低下を制限することを特徴とするものである。
図1は、本実施形態に係る制動力制御装置の概略構成図である。
(構成)
図1中、符号1は運転者が制動操作する制動操作子を構成するブレーキペダル1であり、そのブレーキペダル1は液圧ブースタ及びマスタシリンダ2に連結する。上記マスタシリンダ2は、第1連通路5−1若しくは第2連通路5−2を通じてそれぞれのホイルシリンダ3FR〜3RRに接続されている。図1中、符号4はリザーバを示す。
ここで、上記電磁遮断弁6−1,6−2は、非通電時は開状態となり、マスタシリンダ2の液圧がホイルシリンダ3FR〜3RRに供給可能状態となっている。また、上記電磁遮断弁6−1,6−2は、切換手段を構成する。
符号7−1,7−2及び8−1、8−2は、BBW制御における制動力を発生する制動力アクチュエータ(マスタシリンダ4とは別の駆動源)である、モータ7−1,7−2及び当該モータ7−1,7−2で駆動される油圧ポンプ8−1、8−2である。モータ7−1,7−2は、アクチュエータコントローラ9−1,9−2からの制御信号(制御電流)によって作動が制御され、そのモータ7−1,7−2の回転トルクで油圧ポンプ8−1、8−2を駆動する。図1では、油圧ポンプ8−1、8−2としてギアポンプを例示している。油圧ポンプ8−1、8−2は、入力ポートが第2配管10−1、10−2を介してリザーバ4に接続し、吐出ポートが第3配管11−1、11−2を介して上記第1連通路5−1に接続されることで、リザーバ4内の作動流体を、第2配管10−1、10−2を介して吸引し、その作動流体を、第3配管11−1、11−2を介してホイルシリンダ3FR〜3RRに吐出可能となっている。第3配管11−1、11−2の途中には、電磁比例弁からなる保持弁12−1、12−2が介挿されている。また、ホイルシリンダ3FR〜3RRは、第4配管13−1、13−2を介して上記リザーバ4に連通する第2配管10−1、10−2に接続し、その第4配管13−1、13−2には電磁比例弁からなる減圧弁14−1,14−2が接続されている。符号15−1,15−2はリリーフ弁であり、符号16−1,16−2はチェック弁を示す。
そして、BBW制御の状態では、上記遮断弁6−1,6−2が閉状態となり、かつ、増圧時には、保持弁12−1、12−2が開状態、減圧弁14−1,14−2が閉状態となって、ポンプ8−1、8−2から吐出される作動流体がホイルシリンダ3FR〜3RRに供給されて増圧され、減圧時には、保持弁12−1、12−2が閉状態、減圧弁14−1,14−2が開状態となってホイルシリンダ3FR〜3RR内の作動流体がリザーバ4に戻されて減圧される。なお、スリップ制御、前後制動力配分制御等で液圧を保持する場合には保持弁12−1、12−2を適宜閉じる。
ここで、符号24はストロークセンサであって、ブレーキペダル1の操作量を検出してブレーキコントローラ22に出力する。符号23−1、23−2は、各制動系統毎に設けられた、マスタシリンダ圧P(運転者の制動要求量相当)を検出する圧力センサであって、検出した圧力信号をブレーキコントローラ22に出力する。2つの圧力センサ23−1、23−2の検出した圧力信号は、特殊な場合を除き略同一である。符号25FR〜25RRは、各ホイルシリンダ3FR〜3RRのホイルシリンダ圧力Pwcを検出する圧力センサであって、検出した圧力信号をブレーキコントローラ22に出力する。符号26−1,26−2は、ポンプ8−1、8−2の吐出圧を検出する圧力センサであって、検出した圧力信号をブレーキコントローラ22に出力する。
また、ポンプ8−1、8−2による液圧が発生出来ないなどの故障を検出すると、第1制動制御状態として、第1の電磁遮断弁6−1及び第2の電磁遮断弁6−2を開状態とし、且つストロークシミュレータ20用の電磁開閉弁21を閉状態に戻して、マスタシリンダ2の液圧を第1連通路5−1及び第2連通路5−2を介して各ホイルシリンダ3FR〜3RRに導入する。
なお、以下の処理に現れないが、制動制御系統が正常に機能させることができないおそれのあるような異常を検出した場合には、各弁やモータ7−1,7−2への通電を遮断、つまり第1の電磁遮断弁6−1,6−2及び第2の電磁遮断弁6−1,6−2をともに開状態とし、且つストロークシミュレータ20用の開閉弁21を閉状態に戻して、マスタシリンダ2の液圧を第1連通路5−1及び第2連通路5−2を介して各ホイルシリンダ3FR〜3RRに導入して上記第1制動制御状態とする。
すなわち、ブレーキペダル1の踏み込み開始時期で踏込みストローク量Sが小さくてマスタシリンダ圧Pが小さい領域では、基本寄与度αを小さくして踏込みストローク量重視とし、踏込みストローク量が大きくて所定のマスタシリンダ圧P以上ではマスタシリンダ圧P重視として基本寄与度αを大きくして、所定以上のマスタシリンダ圧P0となって高G領域では、上記基本寄与度αを1(=100%)に設定している。この基本寄与度αは、0〜1までの値であって、マスタシリンダ圧P側の寄与度合を示し、踏込みストローク側の寄与度合は、(1−α)となる。
ブレーキペダル戻し操作中か否かの判定は、例えばマスタシリンダ圧Pの変化ΔPが所定値以下で減少しているか否かで判定する。またこのとき、踏込みストローク量Sの変化量ΔSが0以下とか、現在のマスタシリンダ圧Pが所定値以上か否かの判定を加えても良い。
ステップS40では、ストローク遅れ領域Lか否かを判定し、ストローク遅れ領域Lと判定する場合にはステップS50に移行し、ストローク遅れ領域LでなければステップS60に移行する。
すなわち、上記マスタシリンダ圧の減少速度で想定されるブレーキペダルの戻り速度よりも大幅に小さい戻り速度状態の領域がストローク遅れ領域Lである。
なお、この算出用寄与度k′は、ストローク遅れ処理中における目標減速度の低下制限の最終値を示す。
k′ = k +ΔP×β
ステップS80では、下記式のように、マスタ用寄与度kに対し算出用寄与度合k′を代入してステップS100に移行する。
k =k′
k ={(k′−k0)/(P′−P0)×(P―P0)}+k0 ・・・(1)
ここで、
k′は、ストローク遅れ領域Lが終了するときの寄与度合であり、
P′は、ストローク遅れ領域Lが終了するときの寄与度合であり、
P0は、基本寄与度αが1をとる最低のマスタシリンダ圧Pである。
k0は、P0のときの基本寄与度であって、本実施形態では基本寄与度αと置き換えることが出来る。
この(1)式を採用することで、ストローク遅れ処理中における目標減速度の低下制限により増加したマスタ用寄与度kは徐々に減少し、更に、αが1未満になる直前に、マスタ用寄与度kがαに一致するように徐々に目標減速度の低下の制限を緩くしていくことが出来る。
ここで、本実施形態の上記目標減速度Gの算出について説明する。
マスタシリンダ圧Pによる仮目標減速度Gpを、たとえば図4に基づき算出する。マスタシリンダ圧Pは、ほぼ踏力とリニアな関係にあるため、図4のようなマップとなるように設定される。
そして、ストローク量S及びマスタシリンダ圧Pの両方の仮目標減速度Gp、Gsから、下記式に基づき、最終的な目標減速度Gを演算する。
G =(1−α)×Gs +k×Gp ・・・(2)
上記構成の制動制御装置にあっては、ブレーキペダル1踏込み時にあっては、目標減速度Gを、踏み込み初期には踏込みストローク量S重視で求め、所定以上のマスタシリンダ圧Pではマスタシリンダ圧P重視となるように、寄与度合を変化させることで、運転者のブレーキ踏力を精度良く減速度に反映させることが出来る。なお、ペダルフィーリングは、ストロークシミュレータによって、マスタシリンダとホイルシリンダが連通している状態に近い状態が確保されている。
ペダル戻し操作として踏み込んでいたペダルへの踏力が低下すると、それに追従してマスタシリンダ圧Pに基づく仮目標減速度Gpは低下する。
このとき、図4のようなマスタシリンダ圧Pと仮目標減速度Gpとの関係の設定は、ブレーキペダル1の踏込み時のときの挙動で設定されるが、前述したとおり、ヒステリシスなどの関係から、マスタシリンダ圧Pは踏込み時よりも戻し時の方が変化速度が大きいので、上記仮目標減速度Gpも減少速度が踏込み時よりも大きい。また、高Gでマスタシリンダ圧Pが高い状態でブレーキペダル1に負荷している踏力を弱めた場合、すぐにその踏力の低下に応じた量だけブレーキペダル1の踏込みストローク量Sは減少せず、所定のストローク遅れが発生したのちに減少する。
また、ステップS60で徐々にマスタ用寄与度kを減少させているのは、次の理由による。
ブレーキ踏込み量の大きさにより踏力変化に対するストローク変化量が異なることから、ブレーキ踏込み初期はストローク量重視に、ブレーキ踏込み後期はマスタシリンダ圧P重視にする方が、踏力を精度良く減速度に反映できることを考えると、マスタシリンダ圧Pの基本寄与度αが1未満になる減速度域(マスタシリンダ圧P域)においては、踏込みストローク量Sの寄与度合を大きくした方が踏力を精度良く反映できる。
上記のように目標減速度Gの低下制限をしてマスタ用寄与度kが1よりも大きく、さらに徐々に制限量を小さくしている状態のときに、ブレーキペダル1戻し操作の途中から再踏み込みされた場合、マスタ用寄与度kを1に向けて低下させ続けると、踏力が増加しているにも関わらず目標減速度Gの増加速度が低下してしまう可能性がある。これに対し、本実施形態では、再踏み込みや、ペダル保持された場合、目標減速度Gの低下制限の制限量の減少を停止して保持する。すなわちマスタ用寄与度kを保持することで、マスタシリンダ圧Pの増加に応じて目標減速度Gの増加速度を出すことができ、運転者の要求を目標減速度Gに反映することができる。
前述の式(1)によって求めたマスタ用寄与度kの1に向けての低減勾配と所定勾配未満の場合には、その勾配よりも大きな勾配として、マスタシリンダ圧P0となる前にkがαと等しくなるように、つまり制限量がなくなるように設定しても良い。
ここで、上記実施形態では、制動系統が2つの場合を例示しているが、1つでも良いし3つ以上にホイルシリンダを区分して3系統以上に制動系統を分類しても良い。
2 マスタシリンダ
3FR〜3RR ホイルシリンダ
5−1 第1連通路
5−2 第2連通路
6−1,6−2 電磁遮断弁
7−1,7−2 モータ(別の駆動源)
8−1、8−2 ポンプ(別の駆動源)
9−1,9−2 アクチュエータコントローラ
22 ブレーキコントローラ
S 踏込みストローク量
S0 遮断弁が開となったときの踏込みストローク量
P 現在のマスタシリンダ圧P
P0 基本寄与度αが1となる最低のマスタシリンダ圧
α 基本寄与度合
k マスタ用寄与度
k′ 算出用寄与度
G 目標減速度
Gp マスタシリンダ圧Pに基づく仮目標減速度
Gs ストローク量に基づく仮目標減速度
L ストローク遅れ領域
Claims (4)
- 運転者のブレーキペダルの踏込みストロークに応じたマスタシリンダ圧を出力するマスタシリンダと、マスタシリンダ圧及びブレーキペダルの踏込みストローク量のうち少なくともマスタシリンダ圧に基づいて目標減速度を算出し該目標減速度となるようにホイルシリンダの制動力を制御する制動制御手段と、を備え、上記目標減速度を算出する際の上記マスタシリンダ圧の寄与度合を、マスタシリンダ圧が大きいほど大きくなるように設定した、制動力制御装置において、
上記制動制御手段は、踏込みストローク量の寄与度合よりもマスタシリンダ圧の寄与度合が大きい状態で、マスタシリンダ圧が低下していると判定し且つそのマスタシリンダ圧の低下速度に対するブレーキペダルの戻り速度が小さいストローク遅れ領域と判定すると、上記目標減速度の低下を制限することを特徴とする制動力制御装置。 - 上記ブレーキペダルの戻し操作中であって且つ上記ストローク遅れ領域を越えたと判定すると、上記低下制限による制限量を徐々に小さくすることを特徴とする請求項1に記載した制動力制御装置。
- 上記目標減速度の低下の制限後であって、ブレーキペダルが制動解除位置まで戻る前に、ブレーキペダルが保持若しくは踏み込まれていると判定すると、上記低下制限による制限量を保持することを特徴とする請求項2に記載した制動力制御装置。
- 運転者のブレーキペダルの踏込みストロークに応じたマスタシリンダ圧を出力するマスタシリンダと、マスタシリンダ圧及びブレーキペダルの踏込みストローク量のうち少なくともマスタシリンダ圧に基づいて目標減速度を算出し該目標減速度となるようにホイルシリンダの制動力を制御する制動制御手段と、を備え、上記目標減速度を算出する際の上記マスタシリンダ圧の寄与度合をマスタシリンダ圧が大きいほど大きくなるように設定した、制動力制御装置において、
上記制動制御手段は、上記目標減速度を算出する際における踏込みストローク量の寄与度合よりもマスタシリンダ圧の寄与度合が大きい状態でブレーキペダルの戻し操作がされたと判定したときに、ブレーキペダルの戻り遅れが発生しているストローク遅れ領域と判定すると、上記目標減速度の低下を制限し、
上記目標減速度の低下の制限後であって、ブレーキペダルが制動解除位置まで戻る前に、ブレーキペダルが保持若しくは踏み込まれていると判定すると、上記低下制限による制限量を保持することを特徴とする制動力制御装置。
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