JP4893139B2 - 制動力制御装置 - Google Patents
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また、ブレーキバイワイヤでの制御(以下、単にBBW制御と呼ぶ)では、上記切換手段を閉じてマスタシリンダとホイルシリンダとの連通を遮断した状態とし、ポンプを駆動源として各輪のホイルシリンダによる制動力を制御する。
上記寄与度αは、前回の目標減速度(実質的にマスタシリンダ圧と同義)が大きいほどマスタシリンダ圧つまり仮目標減速度Gpの寄与度が大きくなるように設定されている。
すなわち、ブレーキペダル踏み込み開始に対してマスタシリンダ圧の発生の遅れがあることから踏み込みストローク量が小さい状態では踏み込みストローク量の寄与度αを大きく設定している。また、ブレーキペダルの踏み力とストローク量と関係において、踏み込みストローク量が大きいほど、踏み力の増加に対するストローク量の増加が小さいことから、踏み込みストローク量が大きい場合にはマスタシリンダ圧の寄与度を大きく設定している。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、BBW制御時における目標減速度の上昇応答性を向上した制動力制御装置を提供することを課題としている。
マスタシリンダ圧に基づき求めたマスタ側の仮目標減速度と、踏み込みストローク量に基づき求めたストローク側の仮目標減速度とのうち、値が大きい仮目標減速度の方を上記目標減速度とし、踏み込みストローク量が増加しているにも関わらず上記目標減速度が低下している若しくは低下すると判定すると、当該目標減速度の低下を制限する制限手段を備えることを特徴とするものである。
図1は、本実施形態に係る制動力制御装置の概略構成図である。
(構成)
図1中、符号1は運転者が制動操作する制動操作子を構成するブレーキペダル1であり、そのブレーキペダル1は液圧ブースタ及びマスタシリンダ2に連結する。上記マスタシリンダ2は、第1連通路5−1若しくは第2連通路5−2を通じてそれぞれのホイルシリンダ3FR〜3RRに接続されている。図1中、符号4はリザーバを示す。
本実施形態では、第1連通路5−1は、第1の電磁遮断弁6−1を通じて右前輪のホイルシリンダ3FR及び左後輪のホイルシリンダ3RRに接続される。第2連通路5−2は、第2の電磁遮断弁6−2を通じて左前輪のホイルシリンダ3FL及び右後輪のホイルシリンダ3RLに接続されている。
本実施形態では、第1連通路5−1に連通する右前輪側及び左後輪側の制動が第1の制動系統を構成し、第2連通路5−2に連通する左前輪側及び右後輪側の制動が第2の制動系統を構成し、それぞれ後述のように個別のポンプ8−1、8−2によってBBW制御が可能となっている。もっとも第1の制動系統と第2の制動系統を同じポンプによって駆動する構成であっても良い。
その上記第1の制動系統側及び第2の制動系統側の回路構成を説明する。第1の制動系統の回路構成と第2の制動系統の回路構成は同じ構成なので、主として第1の制動系統でその構成を説明する。
そして、BBW制御の状態では、上記遮断弁6−1,6−2が閉状態となり、かつ、増圧時には、保持弁12−1、12−2が開状態、減圧弁14−1,14−2が閉状態となって、ポンプ8−1、8−2から吐出される作動流体がホイルシリンダ3FR〜3RRに供給されて増圧され、減圧時には、保持弁12−1、12−2が閉状態、減圧弁14−1,14−2が開状態となってホイルシリンダ3FR〜3RR内の作動流体がリザーバ4に戻されて減圧される。なお、スリップ制御、前後制動力配分制御等で液圧を保持する場合には保持弁12−1、12−2を適宜閉じる。
ここで、符号24はストロークセンサであって、ブレーキペダル1の操作量を検出してブレーキコントローラ22に出力する。符号23−1、23−2は、各制動系統毎に設けられた、マスタシリンダ圧P(運転者の制動要求量相当)を検出する圧力センサであって、検出した圧力信号をブレーキコントローラ22に出力する。2つの圧力センサ23−1、23−2の検出した圧力信号は、特殊な場合を除き略同一である。符号25FR〜25RRは、各ホイルシリンダ3FR〜3RRのホイルシリンダ圧力Pwcを検出する圧力センサであって、検出した圧力信号をブレーキコントローラ22に出力する。符号26−1,26−2は、ポンプ8−1、8−2の吐出圧を検出する圧力センサであって、検出した圧力信号をブレーキコントローラ22に出力する。
また、ポンプ8−1、8−2による液圧が発生出来ないなどの故障を検出すると、第1制動制御状態として、第1の電磁遮断弁6−1及び第2の電磁遮断弁6−2を開状態とし、且つストロークシミュレータ20用の電磁開閉弁21を閉状態に戻して、マスタシリンダ2の液圧を第1連通路5−1及び第2連通路5−2を介して各ホイルシリンダ3FR〜3RRに導入する。
所定のサンプリング周期毎に作動し、まずステップS10において、センサなどから必要なデータを取得してステップS20に移行する。
ステップS20では、図3のようなマップ等に基づき、踏み込みストローク量Sからストローク側の仮目標減速度Gsを求め、ステップS30に移行する。
ステップS40では、下式に基づき、マスタ側の仮目標減速度Gpとストローク側の仮目標減速度Gsの差分ΔGを算出してステップS50に移行する。差分Gが正の値ということは、マスタ側の仮目標減速度Gpがストローク側の仮目標減速度Gsよりも大きいことを示している。
ΔG =Gp −Gs
ステップS50では、下式に基づき、踏み込みストローク量Sの現在値S(n)と前回値S(n-1)との差分を取ることで、ストローク増加量ΔSを算出してステップS60に移行する。
ΔS = S(n)−S(n-1)
一方、ステップS80では、制限値βを算出してステップS90に移行する。
この制限値βは、例えば、下式のように、踏み込みストローク量Sとストローク増加量ΔSを変数とした関数により算出され、上記ストローク増加量ΔSが大きいほど小さくなるように、且つ踏み込みストローク量Sが大きいほど小さくなるように設定されている。
β =F(S、ΔS)
ΔP =P(n-1) −P(n)
ステップS100では、マスタシリンダ圧Pの減少量ΔPが制限値βよりも大きいか否かを判定し、制限値βよりも大きい場合にはステップS110に移行する。一方、制限値βよりも小さい、つまりマスタシリンダ圧Pが増加中若しくはマスタシリンダ圧Pが減少中でも制限値βよりも小さい場合にはステップS140に移行する。
P′= P(n-1) −β
ステップS120では、マスタ側の仮目標減速度Gpの再算出を行う。すなわち、マスタシリンダ圧P′を使用して、当該マスタシリンダ圧P′によるマスタ側の仮目標減速度Gpを、たとえば図4に基づき算出してステップS140に移行する。
ステップS150では、目標減速度Gfとなる各輪のホイルシリンダ圧Pwcを演算し、そのホイルシリンダ圧Pwcとなる制御指令値をそれぞれの2つのアクチュエータコントローラ9−1、9−2に出力して、復帰する。例えば、算出した目標減速度Gと現在の減速度の差分に基づきモータ7−1,7−2の制御電流を制御する。
ここで、ステップS80〜ステップS110が制限手段を構成する。
上記構成の制動力制御装置にあっては、通常の制動状態ではBBW制御状態となっていて、マスタシリンダ圧Pと踏み込みストローク量Sに基づき目標減速度Gfが算出され、第1制動系統及び第2制動系統とも、その目標減速度Gfとなるように、各ポンプ8−1、8−2が駆動され、目標減速度Gfに応じて制動が掛かる。
そして、本実施形態では、目標減速度Gfとして、ストローク側の仮目標減速度Gsとマスタ側の仮目標減速度Gpのセレクトハイを実施している結果、常に高応答側の仮目標減速度が最終的な目標減速度Gfとなることで、目標減速度Gfの上昇応答性が向上する。
すなわち、ブレーキペダル1の踏み込みが速ければ速いほど、管路抵抗によるマスタシリンダ圧Pの一時的な上昇が大きいが、その影響で直後にやってくるマスタシリンダ圧Pの低下も大きいものとなる。このため、ストローク増加量ΔSが大きいほど、目標減速度Gfの低下をより制限することによって、減速度の大きな変動や応答性の低下が発生することを確実に防止している。
踏み込みストローク量Sと踏み力との関係は、同じ踏み力による踏み込みストローク量Sの増加量ΔSは、当該踏み込みストローク量Sが小さいときよりも大きい方が小さい。このため、踏み込みストローク量Sが大きい範囲ほど、同じ踏み込みストローク量Sの変化に対する目標減速度の増加量ΔSが大きいので、踏み込みストローク量Sが大きいほど低下時の減速度の変化が大きくなる。これに対して、ストロークSが大きいほど目標減速度Gfの低下を小さく制限することで、減速度の低下に対する制限が弱まることを防止できる。
また、上記実施形態では、目標減速度を算出するためのマスタシリンダ圧Pの低下を制限することで、目標減速度の低下を制限しているが、目標減速度Gfを直接制限するようにしても良い。ただし、マスタシリンダ圧Pの低下を制限することで、目標減速度Gfの低下を制限する方が応答性がよい。
また、上記実施形態では、流体圧を利用したブレーキバイワイヤを行っているが、これに限定されるものではない。ブレーキバイワイヤに関しては制動力制御を行うことができればよいので、電動アクチュエータを駆動制御することで、ディスクロータをブレーキパッドで挟圧したり、ブレーキドラムの内周面にブレーキシューを押圧したりする電動ブレーキや、回生モータブレーキ等、電子制御可能なエネルギー源を備えていれば、如何なるブレーキでもよい。
また、ストロークシミュレータが設けられていなくても、急ブレーキ時に流路抵抗により同様な課題を生じる場合があるので、ストロークシミュレータの有無は問わない。
次に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記各実施形態と同様な部材などについては同一の符号を付して説明する。
本実施形態の基本構成は、上記第1実施形態と同様であるが、上記ブレーキコントローラ22における第2制動制御状態の制御(BBW制御)が、図6のように異なる。
その処理について図6を参照しつつ説明すると、所定のサンプリング周期毎に作動し、まずステップS200において、センサなどから必要なデータを取得してステップS210に移行する。
ΔS = S(n)−S(n-1)
ステップS220では、マスタシリンダ圧Pの減少度ΔPを、マスタシリンダ圧Pの現在値P(n)と前回値P(n-1)との差分を取ることで算出してステップS230に移行する。
ΔP =P(n-1) −P(n)
ステップS230では、踏み込みストローク量Sが増大中(ブレーキペダル1の踏み込み中)であって、且つマスタシリンダ圧Pが前回値よりも低下していると判定した場合にはステップS240に移行し、そうでない場合にはステップS270に移行する。
ステップS240では、制限値βを算出してステップS250に移行する。
β =F(S、ΔS)
ステップS250では、マスタシリンダ圧Pの減少量が制限値βよりも大きいか否かを判定し、制限値βよりも大きい場合にはステップS260に移行する。一方、制限値βよりも小さい場合にはステップS270に移行する。
P′= P(n-1) −β
ステップS270では、現在のマスタシリンダ圧PをP′に代入してステップS280に移行する。
ステップS290では、マスタシリンダ圧P′によるマスタ側の仮目標減速度Gpを、たとえば図4に基づき算出して、ステップS300に移行する。
ステップS300では、ストローク側の仮目標減速度Gsとマスタ側の仮目標減速度Gpのセレクトハイを行い、大きい方を目標減速度Gfに設定した後にステップS310に移行する。
ここで、ステップS230〜ステップS260が制限手段を構成する。
2 マスタシリンダ
3FR〜3RR ホイルシリンダ
5−1 第1連通路
5−2 第2連通路
6−1,6−2 電磁遮断弁(切換手段)
7−1,7−2 モータ(別の駆動源)
8−1、8−2 ポンプ(別の駆動源)
9−1,9−2 アクチュエータコントローラ
22 ブレーキコントローラ
S 踏み込みストローク量
ΔS ストローク増加量
P マスタシリンダ圧
ΔP マスタシリンダ圧Pの減少量
P′ Gpを算出する際のマスタシリンダ圧
α 寄与度
Gf 目標減速度
Gp マスタシリンダ圧に基づく仮目標減速度
Gs ストローク量に基づく仮目標減速度
β 制限値
Claims (5)
- 運転者のブレーキペダルの踏み込みストロークに応じたマスタシリンダ圧を出力するマスタシリンダと、マスタシリンダに連通するホイルシリンダと、マスタシリンダとホイルシリンダとの間の連通を遮断した状態でマスタシリンダとは別の駆動源により上記ホイルシリンダの制動力を制御する制動制御手段と、を備え、制動制御手段は、マスタシリンダ圧及びブレーキペダルの踏み込みストローク量に基づいて目標減速度を算出して上記ホイルシリンダの制動力が上記目標減速度となるように制御する制動力制御装置であって、
マスタシリンダ圧に基づき求めたマスタ側の仮目標減速度と、踏み込みストローク量に基づき求めたストローク側の仮目標減速度とのうち、値が大きい仮目標減速度の方を上記目標減速度とし、
踏み込みストローク量が増加しているにも関わらず上記目標減速度が低下している若しくは低下すると判定すると、当該目標減速度の低下を制限する制限手段を備えることを特徴とする制動力制御装置。 - 踏み込みストローク量の増加速度が大きいほど、上記低下の制限を大きくすることを特徴とする請求項1に記載した制動力制御装置。
- 踏み込みストローク量が大きいほど、上記低下の制限を大きくすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した制動力制御装置。
- 上記制限手段は、目標減速度が低下すると判定すると、当該目標減速度が低下する直前の目標減速度に維持することで当該目標減速度の低下を制限することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した制動力制御装置。
- 上記制限手段は、マスタリンダ圧の低下に基づいて目標減速度が低下するか否かを判定することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した制動力制御装置。
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