JP4904964B2 - 針状体の製造方法 - Google Patents
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Description
この方法により、例えば長さ500μm以上、幅200μm以下の針状体を作製することができ、またその針状体をアレイ状にすることによって採血の確実性を増すことができるというものである。
この方法によれば、まず、(001)面を表面とするシリコンウェハの一部にフォトリソグラフィとエッチングにより、厚さ100nm程度の熱酸化膜パターンを形成し(図1(a))、KOH水溶液やヒドラジン水溶液等の溶液によりウェットエッチングを行うことで、シリコンの結晶面に従ったエッチング面が露出し55°のピラミッド形状が形成される(図1(b))。次に、フッ酸水溶液やバッファードフッ酸水溶液に浸漬処理することで熱酸化膜を除去する(図1(c))。次に、950℃の乾燥酸素により熱酸化するとシリコン表面に熱酸化膜が形成される。この過程で、熱酸化層の体積膨張によりシリコン突起部(ピラミッドの頂点)が応力を受けるために、突起部は他の部分と比べ酸化速度が遅くなり、結果としてシリコン突起部はより鋭角になる(図1(d))。最後に、フッ酸水溶液などで熱酸化膜を除去することで、シリコン製微細な針状体が完成する、というものである。
しかしながら、従来の針状体の形状では、針状体1本あたりの薬剤の保持量が充分でないために、単に針状体をアレイ状に配置するだけでは、充分な量の薬剤の投与が出来ないという問題がある。
このとき、薬剤の保持量を高めるために、針状体を大きくすると、痛みを感じる恐れがあるため、無痛針として機能しなくなってしまう可能性がある。
これにより、側面に凹凸形状を備えた針状体を製造することが出来る。凹凸形状を備えることで、薬剤を塗布した際に、側面の凹凸部に薬剤を保持することが出来るため、針状体の薬剤保持量が大幅に向上するという効果を奏する。
また、血液などの体液の採取に用いる場合も、側面の凹凸部に体液を保持することが出来るため、充分な量の採取が可能となる。
特に、針状体をアレイ配置に複数本林立させた場合、飛躍的に針状体の表面積が増大することになり、その効果が顕著となる。
また、針状体1本あたりの薬剤および体液の保持量が多いため、同程度の保持量を満たすのに、アレイ状の構造体において1つ1つの針状体を小さくしたり、本数を減らしたりすることが可能となる。このため、無痛針としての効果を発揮する寸法を維持したまま、保持量を増加することが可能となる。
これにより、エッチングガスや条件を選択することで、凹凸形状の大きさをコントロールすることが可能となる。
これにより、基板に用いた材料の結晶粒界による表面荒れが露出するため、精度よく一様に針状体に凹凸を設けることが可能となる。また、ウェットエッチングを用いることにより、大量の基板を同時に処理できる。
これにより、パターン側面に凹凸形状を有する鋳型を形成し、側面に凹凸形状を備えた針状体を製造することが出来る。このとき、各工程の処理時間を制御することで、凹凸形状を制御することが出来る。
例えば、精密機械加工法、レーザー加工法、イオンビーム加工法、超音波加工法またはサンドブラスト加工法のいずれかによって溝を形成する場合、基板はステンレス、アルミ、銅などの金属、ポリカーボネート、アクリル、フッ素樹脂などの有機化合物、シリコン、石英、アルミナなどの無機化合物を好適に用いることが出来る。
また、ドライエッチング法によって溝を加工する場合、加工性の観点からシリコン、石英、およびガラスを好適に用いることが出来る。
また、結晶異方性エッチング法で溝を形成する場合は、単結晶シリコン基板を好適に用いることが出来る。これは、異方性エッチングを用いる場合、シリコンは結晶異方性エッチング加工に対して、面方位によって大きくエッチング速度が違うため、シリコン基板の表面の面方位を選択することで、針の先端形状となる傾斜面を容易に形成することが出来るためである。
また、ウェットエッチングを行う場合には、結晶粒界が存在する材料が望ましい。結晶粒界を有する材料を用いると、結晶粒界による表面荒れが露出するため、精度よく一様に溝に凹凸を設けることが可能となる。
ニッケルや銅などの金属または合金を用いる場合、充填方法としては、めっき法、PVD法、CVD法などを好適に適用することが出来る。
また、シリコン、石英、アルミナ等の無機化合物を用いる場合、充填方法としてはPVD法、CVD法、焼結法を好適に用いることが出来る。
また、ポリエチレン、ポリカーボネート、PET等の有機化合物を用いる場合、充填方法としてインプリント法、ホットエンボス法、射出成形法およびキャスティング法が好適に用いることが出来る。
ここで、充填する材料として医療用シリコン樹脂や、マルトース、ポリ乳酸、デキストラン等の生体適合性材料を選択すれば、生体用途に適用可能な針状体を製造することが出来る。
離型層としては、例えば広く知られているフッ素系の樹脂を用いることが出来る。
また、離型層の形成方法としては、PVD法、CVD法、スピンコート法、ディップコート法等の薄膜形成手法を好適に用いることができる。
また、血液などの体液の採取に用いる場合も、側面の凹凸部に体液を保持することが出来るため、充分な量の採取が可能となる。
特に、針状体をアレイ配置に複数本林立させた場合、飛躍的に針状体の表面積が増大することになり、その効果が顕著となる。
また、針状体1本あたりの薬剤および体液の保持量が多いため、同程度の保持量を満たすのに、アレイ状の構造体において1つ1つの針状体を小さくしたり、本数を減らしたりすることが可能となる。このため、無痛針としての効果を発揮する寸法を維持したまま、保持量を増加することが可能となる。
(1)シリコン基板の表面にマスク材をパターニングする工程、
(2)ドライエッチングにてシリコンを加工し、微細な針状体のシリコン金型を形成する工程、
(3)シリコンの微細な針状体の表面に凹凸形状を形成する工程、
(4)マスク材をシリコンから除去する工程、
(5)微細な針状体のシリコン金型からインプリント法により生分解性材料へ転写・複製する工程、これらの全て、もしくは、必要に応じて一部を必要とする。
まず、シリコン基板にマスク材をパターニングする。マスク材は、最も簡単の方法としては、電子線レジストかフォトレジストが用いられる。電子線レジストを用いた場合は、電子線描画機により描画を行い、フォトレジストを用いた場合は、露光装置にて露光を行うことでレジストを感光させる(図2(a))。その後、現像を行うことで、描画部(露光部)と未描画部(未露光部)の溶解速度の違いから、レジストのパターニングが完了する(図2(b))。
このとき、前記レジストがポジ型であれば、描画部(露光部)が溶解し、ネガ型であれば、未描画部(未露光部)が溶解することになる。
このとき、後述する<(2)ドライエッチングにてシリコンを加工し、シリコンの微細な針状体形状を形成する工程>、において、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜が十分な耐性を持つため、特にシリコンを深く掘りたい場合に有効である。
次に、前記のマスク材がパターニングされたシリコン基板を、シリコンのドライエッチングにて溝を形成する(図4(b))。このとき、溝を順テーパ状の溝とすることで、錐状の針状体を製造することが出来る。
また、必要に応じてO2やAr、He等の希ガスを添加することで、テーパ角の制御が出来る。CF系ガスにO2を加えた場合、O原子とC原子が反応して、CO2になり排気されるために、上述したカーボン系堆積膜の量を減らす効果があるためである。また、ArやHe等の希ガスを加えた場合は、エッチングガスを希釈する効果があり、エッチングの速度が変わるためである。
次に、前記テーパ形状を有するシリコン基板を、ウェットエッチングもしくはドライエッチング処理することで、凹凸形状の形成が可能となる。
この場合、前述したマスク材がパターニングされたシリコン基板を、エッチングとデポジション(ポリマー堆積)を繰り返しながら、シリコンをドライエッチングする方法により、シリコン表面に凹凸形状を形成しながら、順テーパ形状の溝を形成する。
(b工程)C4F8ガスでデポジション(堆積)を行い、シリコンパターンの側面及び底面に保護膜を形成する。
(c工程)引き続き、基板に垂直にイオン衝撃を与えることでパターン底面の保護膜を除去する(図5(b))。
前記(a)、(b)、(c)工程を繰り返すことで、パターン側面に凹凸形状を有するシリコンパターンが形成される(図5(c))。
また、各工程の処理時間を長くすれば大きな凹凸形状が形成され(図5(d))、短くすれば細かい凹凸形状が形成できる(図5(c))。医療用微細な針状体として使う場合、この凹凸形状の大きさを制御することで、薬剤の保持量および浸透量を制御できる。
また、SF6をエッチングガスとして使用するため、結晶粒界によらない等方的なエッチングが可能であり、シリコン基板は、単結晶、多結晶、アモルファスのいずれも用いることが出来る。
次に、マスク材をシリコンから除去する。このとき、マスク材がレジストなら、レジスト剥離液、硫酸水溶液で除去する。また、マスク材がシリコン酸化膜やシリコン窒化膜であれば、フッ酸水溶液、バッファードフッ酸水溶液で除去する(図6(b))。このようにして、微細な針状体のシリコン金型が完成する。
次に、前記シリコン金型を用いてインプリント法を行う。シリコン金型に、過熱により流動性を確保した生分解性材料をコートし、次に冷却により硬化したのちシリコン金型から引き剥がすことで、生体適合材料からなる微細な針状体が完成する。
本実施例では、まず結晶粒のサイズを約20μmで作製したシリコン基板を用意した。次に、(1)シリコン基板の表面にマスク材をパターニングする工程として、マスク材としてポジ型フォトレジストを40μm厚でコートし、UV露光と現像を行い、直系50μmのホールパターンをXY方向に100×100個でアレイ配置したものを作製した。(図8(a))。
02・・・熱酸化膜
03・・・レジスト
04・・・電子線もしくは光
05・・・シリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜
06・・・マスク材(レジスト、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜)
07・・・生分解性材料
11・・・多結晶シリコン基板
12・・・微細な針状体のシリコン金型
13・・・糖質からなる微細な針状体
Claims (4)
- 微細な針状体の製造方法であって、
基板にエッチングに対するマスクパターニングを施し、
(a)等方性ドライエッチングを行う工程、
(b)等方性ドライエッチングで穿った溝の側面および底面を保護する工程、
(c)前記溝の底面の保護のみを剥離する工程、
前記(a)、(b)、(c)の工程をこの順に少なくとも一回以上繰り返し、針状体の溝をなしえており、該溝の内面に凹凸形状を備える鋳型を形成し、
該鋳型を用いて転写加工成形をおこなうこと
を特徴とする針状体の製造方法。 - 微細な針状体の製造方法において、
少なくとも、多結晶シリコンからなる針状体の溝をなしえている鋳型をウエットエッチング処理することにより、該溝の内面に前記多結晶シリコンの結晶粒界に沿った凹凸形状を備える鋳型を形成し、
該鋳型を用いて転写加工成形をおこなうこと
を特徴とする針状体の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の針状体の製造方法であって、
鋳型を用いて転写加工成形を行う際に、生体適合材料を用いること
を特徴とする針状体の製造方法。 - 請求項1から3に記載の針状体の製造方法で製造された針状体。
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