JP4904376B2 - エレベータ - Google Patents

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Description

本発明は、エレベータのかご室内の静粛性および気密性を高めるために、かご室とかご室ドアとの間の隙間を塞ぐ技術に関する。
従来、高層ビルに設置されたエレベータのかご室の昇降速度は毎分数百メートルにも及ぶため、かご室の周囲に発生する風切り音が大きくなる。
これに伴い、風切り音の発生を抑制したり発生した風切り音のかご室内への侵入を抑制したりするための様々な手段が講じられている。
例えば、風切り音の発生を抑制するために、かご室の外側を凹凸の少ない滑らかな形状としたり、かご室の外側を滑らかな形状のカバーで覆ったりしている。
さらに、かご室の上下にカプセル状のフードを取り付け、かご室の周囲を流れる気流が滑らかになるようにしている。
また、発生した風切り音のかご室内への侵入を抑制するためには、かご室ドアの外周の4辺において、かご室とかご室ドアとの間の隙間を塞ぐ必要がある。
そこで、かご室およびかご室ドアのいずれか一方にシール部材を取り付けるとともに、かご室ドアを閉じたときにこのシール部材が相手側に密着するようにしている。
このとき、かご室ドアを吊下支持するハンガーレールに段差を設けることにより、全閉位置に達する前にかご室ドアを敷居側に降下させ、シール部材を相手側に密着させる技術が提案されている。
また、超高層ビルのエレベータ昇降路内をかご室が高速で昇降すると、かご室内の気圧変化が著しく、かご室内の乗客が耳に違和感を感じる。
そこで、かご室に設けたブロワ等により昇降中のかご室内の気圧を増減させてかご室内の気圧変化を緩和し、乗客の耳への負担を軽減して乗り心地を改善する技術も提案されている。
このとき、このようなかご室内の気圧制御を有効に作用させるためにも、気密性の高いかご室が必要となっている。
しかしながら、全閉位置に達する前にかご室ドアを敷居側に降下させてシール部材を相手側に密着させる従来技術においては、かご室ドアが全閉位置に達する前にシール部材が相手側と接触するため、かご室ドアに摩擦抵抗力が作用する。
特にかご室ドアは、その上下方向中央部若しくはその上部に駆動力を作用させて開閉させているので、シール部材と敷居との接触によりその下端に大きな摩擦力が作用すると、大きく傾斜して開閉動作が滑らかでなくなる場合があった。
また、かご室ドアを吊下支持するハンガーレールおよびかご室ドアを開閉する駆動装置は、かご枠の上部に組み付けられている。
これに対して、かご室は防振ゴムを介してかご枠の下部に弾性支持されているので、かご室に大勢の乗客が乗り込むと防振ゴムが撓み、かご室はかご枠に対して3mm程度沈み込む。
これにより、かご室ドアの下端と敷居との間の隙間が広がるため、かご室ドアの下端に設けたシール部材が敷居に接触せず、かご室ドアの下端と敷居との間に隙間が生じるおそれがあった。
そこで本発明の目的は、上述した従来技術が有する問題点を解消し、かご室とかご室ドアとの間の隙間を確実に塞ぐことができるばかりでなく、かご室ドアをスムーズに開閉させることができるエレベータを提供することにある。
上記の課題を解決する請求項1に記載した手段は、
かご室の乗降口を閉鎖する位置の近傍で敷居側に降下してその下端部と前記敷居との間の隙間を狭めるように吊下支持されたかご室ドアと、
前記かご室ドアの開閉方向に延びつつ前記敷居に密着可能な棒状の敷居側シール部材と、
前記敷居側シール部材を前記かご室ドアに昇降自在に支持する支持手段と、
前記かご室ドアの下端と前記敷居側シール部材との間の隙間を閉鎖する隙間閉鎖手段と、を備え、
前記隙間閉鎖手段は、その下端が前記敷居側シール部材に固定されるとともに前記かご室ドアの下端に摺動自在に挿入された板部材であることを特徴とするエレベータである。
すなわち、請求項1に記載したエレベータにおいては、敷居側シール部材がかご室ドアから分離しており、かつかご室ドアに対して昇降自在、言い換えると上下方向に相対変位自在に支持されている。
これにより、かご室ドアの開閉に伴ってかご室ドアが敷居に対し上下動しても、敷居側シール部材は敷居に密着し続けることができる。
さらに、かご室ドアの下端と敷居側シール部材との間の隙間が隙間閉鎖手段によって閉鎖されているから、かご室ドアが敷居に対し上下動しても、かご室ドアの下端と敷居との間の隙間を確実に塞ぐことができる。
請求項2に記載した手段は、請求項1に記載したエレベータにおいて、前記敷居側シール部材が、前記敷居に密着する板状若しくは棒状の樹脂部分と、この樹脂部分を支持する棒状の支持部分とを有することを特徴としている。
なお、樹脂部分を構成する材料は、請求項3に記載したように、例えば四フッ化エチレン樹脂等のフッ素樹脂のような、低摩擦性若しくは自己潤滑性を有する樹脂材料とすることが好ましい。
また、請求項4に記載したように、樹脂部分の表面を二硫化モリブデンでコーティングして摩擦を低減することもできる。
すなわち、請求項2に記載したエレベータにおいては、敷居側シール部材の敷居と密着する部分が板状若しくは棒状の樹脂部分となっているので、敷居と摺動する際の変形が小さく摩擦抵抗が小さく、かご室ドアの開閉を滑らかなものとすることができる。
また、支持部分を金属材料製とすることにより、この敷居側シール部材をかご室ドアに支持する支持手段を容易に取り付けることができる。
また、支持部分の重量によって樹脂部分を敷居に押圧することもできる。
また、敷居との摺動によって樹脂部分が摩耗したときには、摩耗した樹脂部分を支持部分から取り外して交換することもできる。
請求項5に記載した手段は、請求項1乃至4のいずれかに記載したエレベータにおいて、前記支持手段が、前記かご室ドアの開閉方向に対して垂直かつ水平に延びる支軸を介して前記敷居側シール部材を揺動自在に支持することを特徴としている。
すなわち、請求項5に記載したエレベータにおいては、かご室ドアに対して敷居側シール部材が揺動することができる。
これにより、かご室ドアを敷居に対して上下動させる際にかご室ドアが傾斜しても、敷居側シール部材を敷居に密着させることができるとともに、かご室ドアの開閉を滑らかなものとすることができる。
請求項6に記載した手段は、請求項1乃至5のいずれかに記載したエレベータにおいて、前記敷居側シール部材を前記敷居に押圧する押圧手段をさらに備えることを特徴としている。
なお、押圧手段として、かご室ドアの下端と敷居側シール部材との間に介装したコイルばね、板ばねを用いることができる。
すなわち、請求項6に記載したエレベータにおいては、押圧手段が敷居側シール部材を敷居に押圧するので、かご室ドアが敷居に対して上下動する際にも、確実に敷居側シール部材を敷居に密着させることができる。
以上の説明から明らかなように、本発明のエレベータは、かご室の乗降口を閉鎖する位置の近傍で敷居側に降下するように吊下支持されたかご室ドアの下端に、かご室ドアの開閉方向に延びつつ敷居に密着する棒状の敷居側シール部材を昇降自在かつ揺動自在に支持するとともに、かご室ドアの下端と敷居側シール部材との間の隙間を隙間閉鎖手段により閉鎖したものである。
これにより、かご室ドアの開閉に伴ってかご室ドアが敷居に対し上下動しても、敷居側シール部材が敷居に密着し続けるとともに、かご室ドアの下端と敷居側シール部材との間の隙間が隙間閉鎖手段によって閉鎖されるから、かご室ドアの下端と敷居との間の隙間を確実に塞いで、かご室内の静粛性および気密性を維持することができる。
一実施形態のエレベータを示す正面図。 かご室ドアの下端部を拡大して示す要部破断正面図。 かご室ドアの要部破断底面図。 支持機構の作動を説明する正面図。 図4中に示したV−V破断線に沿った断面図。 図4中に示したVI−VI破断線に沿った断面図。 押圧機構の作動を説明する正面図。 図7中に示したVIII−VIII破断線に沿った断面図。 図7中に示したIX−IX破断線に沿った断面図。 図2中に示したX−X破断線に沿った断面図。 図1中に示したXI−XI破断線に沿った断面図。 ハンガーレールの要部を拡大して示す正面図。 かご室ドアの作動を模式的に説明する正面図。 かご室ドアの作動を模式的に説明する正面図。 かご室ドアの作動を模式的に説明する正面図。 かご室ドアの作動を模式的に説明する正面図。 かご室シール構造の要部を模式的に示す要部拡大正面図。 図17中に示したXVIII−XVIII破断線に沿った断面図。 図17中に示したXIX−XIX破断線に沿った断面図。 かご室パネル壁の突合わせ部分を拡大して示す水平断面図。 他の隙間閉鎖手段を示す図5と同様の断面図。 他の隙間閉鎖手段を示す図5と同様の断面図。
以下、図1乃至図22を参照し、本発明に係るエレベータの一実施形態および参考例について詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、エレベータの乗客がかご室に出入りする方向を前後方向と、かご室ドアが開閉する方向を左右方向と、鉛直方向を上下方向と言い、同一部分には同一の符号を用いてその説明を省略する。
まず最初に図1を参照し、本実施形態のエレベータの全体構造を概説すると、かご枠1に弾性支持されたかご室2の乗降口は、左右一対のかご室ドア3L,3Rによって開閉される。
左右一対のかご室ドア3L,3Rの上部にそれぞれ設けられたハンガ4には、後述するハンガーレール60上を転動する前側ハンガーローラ5aおよび後側ハンガーレール5bが回転自在に軸支され、左右一対のかご室ドア3L,3Rを吊下支持している。
左右一対のかご室ドア3L,3Rは、開放状態にあるときにはかご室2の床面から上方に離間した上昇位置にあるが、閉鎖状態にあるときにはわずかに降下してかご室2の床面に接近した下降位置を取る。
かご室2の上部に設けられた左右一対の支軸6L,6Rには、左右一対のドアリンク7L,7Rが揺動自在に支持されている。
左右一対のドア開閉リンク7L,7Rは、その下端が左右一対のかご室ドア3L,3Rの上下方向中央部にそれぞれ接続されるとともに、その上端が左右一対の連結ロッド8L,8Rそれぞれ接続されている。
左右一対の連結ロッド8L,8Rは、かご枠1の上部に設置されたドア駆動装置9の回転ディスク10にそれぞれ接続されている。
これにより、駆動装置9が回転ディスク10を正逆両方向に回転させると、左右一対のかご室ドア3L,3Rが開閉する。
図1に示したように、左右一対のかご室ドア3L,3Rの下端部には、かご室2に設けられた敷居11との間の隙間を塞ぐ敷居側シール部材20およびゴム膜(隙間閉鎖手段)23と、この敷居側シール部材20をかご室ドア3L,3Rに対して支持する支持機構30と、敷居側シール部材20を敷居11に押圧する押圧機構40と、かご室ドア3L,3Rの下端部がかご室2の外側に変位しないようにその開閉を案内するガイド機構50とがそれぞれ設けられている。
なお、これらの部材および機構は、図示を簡略化するために図1において左側のかご室ドア3Lにのみ描かれているが、右側のかご室ドア3Rにも左右対称に設けられている。
敷居側シール部材20は、図2乃至図5に示したように、左右一対のかご室ドア3L,3Rの開閉方向に一直線状に延びる断面形状が矩形の棒状部材であるが、そのドア閉鎖方向に後側の端部20aはかご室2に向かってL字形に屈曲し、後述するかご室側シール部材72の上下部分72aの下端部が当接している。
敷居側シール部材20は、金属製の角柱部材である支持部分21と、この支持部分21に着脱自在に取り付けられた角柱状の樹脂部分22とを有している。
支持部分21には、支持機構30のリンクが接続される。
樹脂部分22は、高密度ポリエチレンや、4フッ化エチレン樹脂等のフッ素樹脂のように低摩擦性若しくは自己潤滑性の樹脂材料から形成され、敷居11に密着して摺動する際に生じる摩擦が小さくなるように工夫されている。
なお、樹脂部分22が摩耗したときには支持部分21から取り外し、新しい樹脂部分22を取り付けることができる。
支持機構30は、敷居側シール部材20をかご室ドア3L,3Rに対して昇降自在かつ揺動自在に支持する機構である。
図4乃至図6に示したように、敷居側シール部材20の支持部分21には、かご室ドア3L,3Rの開閉方向に対して垂直にかつ水平に延びる支軸31が植設されている。
支軸31には、軸受32を介して接続リンク33の一端が揺動自在に支持されている。
接続リンク33の他端には、支軸31と平行に延びる支軸34が軸受35を介して回動自在に支持されている。
かご室ドア3L,3Rの下端に固着されてドア開閉方向に水平に延びる角柱状の取付ベース部材12には、上下方向に延びるブラケット36がスクリュ37によって固定されている。
そして、このブラケット36の下端に支軸34が螺着されている。
これにより、敷居側シール部材20は、図4(a)および図4(b)に示したようにかご室ドア3L,3Rに対して昇降自在にかつ揺動自在に支持されるから、かご室ドア3L,3Rが敷居11に対して上下動しかつドア開閉方向に傾いても、敷居11の上側表面に敷居シール部材20を密着させることができる。
また、支持機構30は、敷居側シール部材20のドア開閉方向に位置決めする役割をも果たしている。
したがって、かご室ドア3Lが図1に示したように閉鎖位置にあるときには、図3に示したように敷居側シール部材20の端部20aとかご室側シール部材72の上下部分72aの下端部とを密着させることができる。
また、図5および図6に示したように、取付ベース部材12と敷居側シール部材20との間には、かご室ドアの下端部と敷居11との間の隙間を閉鎖する隙間閉鎖手段としてのゴム膜23が設けられている。
このゴム膜23は、その下端部23aが敷居側シール部材20の支持部分21の上面に接着によって固定されている。
また、その上端部23bは、取付ベース部材12の下部にスクリュ24により固定されている角柱状の固定部材25によって、取付ベース部材12の下部に挟持されて固定されている。
このゴム膜は柔軟な部材であり、その湾曲の度合いが変化することによってかご室ドア3Lに対する敷居側シール部材20の上下動に追従する。
したがって、敷居側シール部材20が敷居11の上側表面に密着しているときには、かご室ドア3Lの下端と敷居11との間の隙間は、敷居側シール部材20とゴム膜23とによって塞ぐことができる。
押圧機構40は、敷居側シール部材20を敷居11の上側表面に押圧して密着させるための機構であり、図2および図7に示したように、敷居側シール部材20の左右両端側にそれぞれ一つずつ設けられている。
これら左右一対の押圧機構40L,40Rは、かご室ドア3L,3Rの取付ベース部材12にスクリュで固定されて上下方向に延びる縦部材41,42と、これらの縦部材41,42の上端間に固定された横部材43とを有している。
また、図8に示したように、敷居側シール部材20の支持部分21に植設されてドア開閉方向に対して垂直かつ水平に延びる支軸44には、上下方向に延びるL字形のブラケット45が軸受46を介して揺動自在に支持されている。
ブラケット45の上端に螺着されて上下方向に延びるロッド47は、横部材43に貫設された挿通孔内に挿通されてその上方に突出し、その上端には2重ナット47a,47bが螺合している。
さらに、横部材43の下面とブラケット45の上面との間には、コイルばね48がロッド47と同軸に取り付けられている。
コイルばね48は、横部材43の上面に着座している環状ストッパ43aとナット47bとが当接するまで、ブラケット45を付勢して下方に変位させる。
これにより、左右一対の押圧機構40L,40Rは、図7に示したように敷居側シール部材20のかご室ドア3L,3Rに対する昇降および揺動を許容するから、かご室ドア3L,3Rが敷居11に対して上下動しかつドア開閉方向に傾いても、敷居11の上側表面に敷居側シール部材20を押圧して確実に密着させる
ことができる。
また、ロッド47の上端に取り付けられている2重ナット47a,47bの上下方向の螺合位置を適切に設定することにより、かご室ドア3L,3Rに対する敷居側シール部材20の最下降位置を規制することができる。
したがって、かご室ドア3Lが開放状態にあって敷居11から上方に離間した上昇位置にあるときには、敷居側シール部材20が敷居11に接触しないようにすることができる。
また、図9に示したように、左右一対の押圧機構40L,40Rの一方の縦部材41には、敷居側シール部材20の前側(図示右側)、言い換えるとかご室2の内側への変位を規制する規制部材49が固定されている。
これにより、敷居側シール部材20はかご室ドア3Lの内部に設けられた補強パネル3aと規制部材49とによって挟まれ、前後方向に変位することがない。
ガイド機構50は、図10に示したように、スクリュ51によって取付ベース部材12に固定されて上下方向に延びる金属板製のブラケット52と、このブラケット52の下端に取り付けられた低摩擦樹脂製のガイドピース53とを有している。
ブラケット52は、リブ52aによって補強されており、かご室2の昇降に合わせてかご室2内の気圧を増加させたときでも、かご室ドア3L,3Rがかご室2の外側に変位することを確実に防止することができる。
ガイドピース53は、かご室ドア3L,3Rがその開閉に伴って敷居11に対して上下動しても常に敷居11の案内溝11a内にあり、かご室ドア3L,3Rの開閉を滑らかに案内する。
なお、ブラケット52を固定する取付ベース部材20は、図2および図10に示したように複数の補強板3bによって、かご室ドア3L,3Rの補強パネル3aに堅固に接続されている。
次に、図11乃至図16を参照し、かご室ドア3L,3Rを吊下支持しているハンガーレール60について説明する。
図11に示したように、ハンガーレール60は、かご枠1に取り付けられて水平に延びる支持梁61に対して支軸62によって支持された前後一対のハンガーレール63,64を有している。
かご室2から見て外側の第1ハンガーレール63は、その上側表面上をドア閉鎖方向前方の前側ハンガーローラ5aが転動するとともに、その下側表面に沿って脱落防止ローラ5cが転動する。
また、かご室2から見て内側の第2ハンガーレール64は、その上側表面上をドア閉鎖方向後方の後側ローラ5bが転動するとともに、その下側表面転動面に沿って脱落防止ローラ5dが転動する。
なお、ローラ5a,5bは支軸4aによって、脱落防止ローラ5c,5dは支軸4bによって、それぞれかご室ドア3L,3Rの上部に固定されたハンガパネル4に回転自在に支持されている。
図12に示したように、第1ハンガーレール63は、水平に延びる第1上側転動面63aと、この第1上側転動面63aに対して数ミリメートル下側で水平に延びる第1下側転動面63bと、第1上側転動面63aおよび第1下側転動面63bを接続して直線上に延びる第1傾斜面63cとを有している。
同様に、第2ハンガーレール64は、水平に延びる第2上側転動面64aと、この第2上側転動面64aに対して数ミリメートル下側で水平に延びる第2下側転動面64bと、第2上側転動面64aおよび第2下側転動面64bを接続して直線上に延びる第2傾斜面64cとを有している。
第1傾斜面63cおよび第2傾斜面64cは、かご室ドア3Lを閉鎖方向に移動させるときに、前側ローラ5aが第1傾斜面63cに達するよりも前に、後側ローラ5bが第2傾斜面64c達するようにそれぞれ配設されている。
言い換えると、図12に示したように、かご室ドア3L,3Rが全閉位置にあるときに、前側ローラ5aと第1傾斜面63cの基端との間の距離寸法L1に対して、後側ローラ5bと第2傾斜面64cの基端との間の距離寸法L2の方が大きい。
したがって、図13に示したように、かご室ドア3L,3Rが開放位置にあるときには、前側ローラ5aが第1ハンガーレール63の第1上側転動面63a上にあり、かつ後側ローラ5bが第2ハンガーレール64の上側転動面64a上にあるから、かご室ドア3L,3Rは敷居11に対して上昇した状態にある。
図14中に太い矢印で示したようにかご室ドア3Lを開放位置から閉鎖位置に向かって移動させると、図14に示したように、まず最初に後側ローラ5bが第2傾斜面64c上を転動して第2下側転動面64b上に降下するが、前側ローラ5aは未だ第1上側転動面63a上にある。
これにより、かご室ドア3Lはその閉鎖方向の後側が細い矢印で示したように降下するが、その閉鎖方向の前側が降下しないため、かご室ドア3Lは閉鎖方向後側に傾斜した状態となる。
次いで、かご室ドアを閉鎖位置に向かってさらに移動させると、図15に示したように、今度は前側ローラ5aが第1傾斜面63c上を転動して第1下側転動面63b上に降下するから、細い矢印で示したようにかご室ドア3Lの閉鎖方向の前側が降下し、かご室ドア3Lはドア閉鎖方向に傾斜しない状態となる。
このとき、かご室ドア3Lの上部には第1傾斜面63cから前側ローラ5aに対する反力の水平方向分力が作用するので、かご室ドア3Lは閉鎖方向前側に傾こうとする。
ところが、かご室ドア3Lは、図14に示したようにすでに閉鎖方向後側に傾いているので、かご室ドア3L閉鎖方向の前側および後側に傾斜させようとするモーメント同士が互いに打ち消し合い、かご室ドア3Lは閉鎖方向に傾くことなく全閉位置に到達する。
そして、かご室ドア3Lは敷居11に対して降下した状態となり、その下端部と敷居11との間の隙間が狭まる。
なお、かご室ドア3L,3Rが全閉状態となったときには、かご室ドア3L,3Rの上部にそれぞれ設けた樹脂製の係合部材15と、ハンガーレール60に設けらたブラケット65と、かご室2の外側に向かう方向に係合する。
これにより、エレベータ昇降路内におけるかご室2の昇降に合わせてかご室2内の気圧を増加させたときに、かご室ドア3L,3Rの上部がかご室2の外側に変位して、かご室2とかご室ドア3L,3Rの間に隙間が生じることを防止できる。
なお、樹脂製の係合部材15に代えて、上下方向に延びる軸線回りに回転自在な係合ローラをかご室ドア3L,3Rに設けることができる。
すると、この係合ローラがハンガーレール63,64若しくはブラケット65のかご室側の側面上を転動することにより、かご室ドア3L,3Rを滑らかに開閉させつつ、かご室ドア3L,3Rの上部がかご室2の外側に変位して、かご室2とかご室ドア3L,3Rの間に隙間が生じることを防止できる。
次に、図17乃至図19を参照し、かご室2とかご室ドア3L,3Rとの間の隙間を塞いでいるかご室側シール構造70について説明する。
このかご室側シール構造70は、かご室ドア3L,3R側に設けられた当て板(相手部材)71と、かご室2側に設けられたかご室側シール部材72とを有している。
当て板71は、かご室ドア3L,3Rの上縁に沿ってドア開閉方向に水平に延びる上側部分71aと、かご室ドア3L,3Rの閉鎖方向後側の側縁に沿って上下方向に延びる後側部分71bと、上側部分71aと後側部分71bとを滑らかに湾曲しつつ接続する接続部分71cとを有している。
同様に、かご室側シール部材72は、かご室ドア3L,3Rが全閉状態となったときに当て板71の各部分に押圧されて密着する上側部分72a、後側部分72a、接続部分72cを有している。
なお、当て板71およびかご室側シール部材72の表面を、例えば四フッ化エチレン樹脂等のフッ素樹脂若しくは二硫化モリブデン等によりコーティングしておけば、ドア閉鎖時に両者間に生じる摩擦を低減してかご室ドア3L,3Rを滑らかに開閉することができる。
このとき、上側部分71a,72aと後側部分71b,72bとを接続する接続部分71c,72cが滑らかに湾曲しているので、かご室2とかご室ドア3L,3Rの相対位置関係が変化しても、かご室側シール部材72は確実に当て板71に密着することができる。
詳しく説明すると、かご室2とかご室ドア3L,3Rの相対位置関係が正常のときに、当て板71に密着したかご室側シール部材72のつぶれ代が6ミリメートルであるとする。
一方、かご室2内に多数の乗客が乗ったことにより、かご枠1に対してかご室2が3ミリメートル下方に変位すると、かご室側シール部材72の上側部分72aにおけるつぶれ代は3ミリメートルに減少する。
他方、かご室側シール部材72の後側部分72bにおけるつぶれ代は6ミリメートルのままである。
したがって、連続して一体に形成されているかご室側シール部材72のつぶれ代は、上側部分72aにおける3ミリメートルから後側部分72bにおける6ミリメートルにかけて3ミリメートル増加しなければならない。
このとき、当て板71およびかご室側シール部材72の接続部分71c,72cが共に滑らかに湾曲して、例えば半径100ミリメートルの円弧状に湾曲しているから、かご室側シール部材72のつぶれ代は上側部分72aの3ミリメートルから後側部分72bの6ミリメートルまで滑らかに変化することができる。
これにより、本実施形態のエレベータにおけるかご室側シール構造70によれば、かご室2とかご室ドア3L,3Rとの間の隙間を確実に塞ぐことができる。
次に、図20を参照し、かご室の壁パネル構造について説明する。
図20に示したように、かご室2の内壁面を形成する壁パネル81,82を互いに突き合わせてボルト83で結合する部分には、例えばブチルゴム等の軟質高分子材料製のテープ材84が挟装されている。
これにより、エレベータ昇降路内におけるかご室2の昇降に合わせてかご室2内の気圧を増加させたときに、壁パネル81,82がかご室2の外側に向かって変形し、それらの突合わせ部分が離間したとしても、両者の間に挟装されたテープ材84が隙間の発生を防止するので、この隙間からの空気の漏れを防止してかご室の気密性を維持することができる。
図5および図6に示したように、取付ベース部材12と敷居側シール部材20との間に隙間閉鎖手段としてのゴム膜23を介装した。
これに対して、図21に示したように、取付ベース部材12と敷居側シール部材20との間に蛇腹状に屈曲して延びる樹脂製若しくはゴム製の薄板91とすることもできる。
また、図22に示したように、その下端部が敷居側シール部材20に固定されるとともに、取付ベース部材12の下面に削設された凹溝12a内に摺動自在に挿入される樹脂製の板材92とすることもできる。
さらには、敷居側シール部材20の押圧機構40の構造を変化させて、支持機構20の役割を持たせることもできる。
1 かご枠
2 かご室
3L,3R かご室ドア
4 ハンガ
5a 前側ローラ
5b 後側ローラ
6 支軸
7 ドアリンク
8 連結ロッド
9 駆動装置
10 回転ディスク
11 敷居
12 取付ベース部材
15 係合部材
20 敷居側シール部材
21 支持部分
22 樹脂部分
23 ゴム膜(隙間閉鎖手段)
30 支持機構(支持手段)
31,34 支軸
32,35 軸受
33 接続リンク
36 ブラケット
40 押圧機構(押圧手段)
41,42 縦部材
43 横部材
43a ストッパ
44 支軸
45 ブラケット
46 軸受
47 ロッド
47a,47b 2重ナット
48 コイルばね
49 規制部材
50 ガイド機構
52 ブラケット
53 ガイドピース
60 ハンガーレール
61 支持梁
62 支軸
63 第1ハンガーレール
64 第2ハンガーレール
65 ブラケット
70 かご室側シール構造
71 当て板(相手部材)
72 かご室側シール部材
81,82 壁パネル
83 ボルト
84 テープ材(軟質高分子材料)
92 板材

Claims (1)

  1. かご室の乗降口を閉鎖する位置の近傍で敷居側に降下してその下端部と前記敷居との間の隙間を狭めるように吊下支持されたかご室ドアと、
    前記かご室ドアの開閉方向に延びつつ前記敷居に密着可能な棒状の敷居側シール部材と、
    前記敷居側シール部材を前記かご室ドアに昇降自在に支持する支持手段と、
    前記かご室ドアの下端と前記敷居側シール部材との間の隙間を閉鎖する隙間閉鎖手段と、を備え、
    前記隙間閉鎖手段は、その下端が前記敷居側シール部材に固定されるとともに前記かご室ドアの下端に摺動自在に挿入された板部材である、
    ことを特徴とするエレベータ。
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