JP4902171B2 - 熱−音響エンクロージャ - Google Patents

Description

本発明は、動作中に熱及び音響エネルギーを発生する装置用のエンクロージャに関する。より具体的には、本発明は、船舶又は工業のような用途に用いられるタービンエンジン用のエンクロージャに関する。

船舶又は工業用途において発電に用いられるガスタービンエンジンは、エンジン作動中に発生するノイズすなわち音響エネルギー及び熱のレベルを低下させまた防火を行うために、エンクロージャ内に収納するか或いは包むことが必要である。一般的に、このようなエンクロージャの現在の設計は、質量が音響減衰の主要な要因であり、従って大きな質量により音響減衰又は音響透過損失（低減）が増大するという理論に基づいて、重金属構造体を含む。従って、現在のエンクロージャの壁は、所望の音響周波数減衰を達成するために多数の補剛ビームを備えた、重量があり、剛性がありかつ多孔性である金属パネルを含む。音響エネルギーの減衰と熱伝達の低減とを得るために、減衰性のコンパウンド材が付加される。得られたものは、極めて重量がある音響エンクロージャとなる。

船舶のような幾つかの乗物においては、エンジンエンクロージャの過剰な重量は、乗物を推進するのにより多くの燃料を必要とすることになる。従って、防火と共に高い音響特性とエンクロージャ壁を通しての低い熱伝達とを備えることができる軽量なエンクロージャを提供することが有益でありかつ望ましい。

１つの形態における本発明は、作動中に熱及び／又は音響エネルギーを発生する装置用のエンクロージャを提供する。本エンクロージャは、その中に作動のために装置を配置するエンクロージャ中空内部の少なくとも一部分を形成する少なくとも１つの壁を含む。壁は、インナパネルと、アウタパネルと、インナパネルとアウタパネルとの間に設けられた支持フレームと、支持フレームとパネルとの間に設けられた防振材との組合せを含む。

インナパネルは、中空内部から外向きに順々に、中空内部に面して設けられかつそれを貫通する複数の穿孔を含むインナパネル内側シートと、非金属吸音材料を含むインナパネル吸音部材と、非金属複合材料を含むインナパネル外側シートと、インナパネル内側シートとインナパネル外側シートとの間に設けられた少なくとも１つのパネル補剛部材とを含む。

アウタパネルは、エンクロージャの外部側から内向きに順々に、間隔を置いて配置されたサンドイッチ部材第１壁及び第２壁と該サンドイッチ部材第１壁及び第２壁間に設けられてサンドイッチ部材中空チャンバを形成した複数の間隔を置いて配置された横方向壁とを備えた非金属複合材料を含むアウタパネルサンドイッチ部材と、非金属耐熱及び耐火材料を含むアウタパネル耐熱及び耐火並びに吸音部材とを含む。好ましい形態では、中空チャンバは、多孔性非金属材料のコアを含む。

インナパネルとアウタパネルとの間に固定されているのは、間隔を置いた状態でインナパネル及びアウタパネルを支持しかつ保持して該インナパネルとアウタパネルとの間に空間を形成した支持フレームである。

壁内に含まれるのは、支持フレームとインナパネル及びアウタパネルの各々との間にかつ該支持フレームと該インナパネル及びアウタパネルの各々とに接触した状態でその少なくとも１つが設けられた複数の防振材である。

船舶用途用で使用するガスタービンエンジンを包み又は収納するのに用いられる現在のエンクロージャ設計は、重金属構造体によって音響透過低減の要件に備える。このような現在の従来技術のエンクロージャ壁の１つの形態を、図１の概略部分断面図に全体を符号１０で示す。壁１０は、音響エネルギーの減衰を得るために、エンクロージャ壁１０の外部側１２から順々に、重金属板１４と、上に溶射した厚いゴム被覆材料１６と、フェルト詰め材料１８（一般的には薄いフィルム面１９を含む）と、エンクロージャ内部側すなわちエンクロージャ中空内部２４に隣接する多孔金属面シート２０（それを貫通した孔２２を備えた）とを含む。このような従来技術の構造体を支えるのは、多数の重金属補剛ビーム（図示せず）である。このような現在の設計では、エンクロージャは、指定された音響エネルギー減衰要件を満たすために極度に重量がある構造体になる。

本発明の形態は、重金属壁及び支持体を排除して、主として繊維強化複合材を含む非金属複合材料の壁構成要素を備えることによって、壁に対して高い減衰及び剛性特性を与える。その結果、より軽量の支持フレームを用いて、防火及び面内剪断荷重能力と共に、高い音響特性とエンクロージャ壁を通しての低い熱伝達とを備えた構造的に強度があるが軽量なエンクロージャを形成することができる。

本発明は、図面の他の図を参照することによってさらに容易に理解されるであろう。図２の概略部分断面斜視図と図２の線３−３に沿った図３の概略部分断面平面図とは、本発明の実施形態による全体を符号２６で示すエンクロージャ壁を表す。壁２６は、全体を符号２７で示すエンクロージャ用のものであり、その骨格フレームを図８に示している。壁２６は、全体を符号２８で示すインナパネルと、全体を符号３０で示すアウタパネルと、その一部を符号３２で示す支持フレームとを含む。

インナパネル２８は、エンクロージャ中空内部２４から外向きに順々に、中空内部２４に面して設けられかつそれを貫通する複数の穿孔３６を含む、一般的にはスチールのような金属のインナパネル内側シート３４を含む。シート３４上に設けられているのは、購入可能な非金属吸音材料、例えば現在ではポリウレタン、メラミン等のような材料で作られているようなポリマー発泡体又は多孔性材料で実質的に作られたインナパネル吸音部材３８である。図２、図３及び図４において、部材３８は、音響減衰が所望どおりの同一又は異なる材料とすることができる複数の層を含むものとして示している。一般的には、部材３８は、例えば金属蒸着ポリマー材料の薄いフィルム面３９を含む。インナパネル２８は、吸音部材３８上に設けられた、例えば繊維強化エポキシ樹脂マトリックスのような非金属材料で実質的に作られたインナパネル外側シート４０を含む。インナパネル２８は、インナパネル内側シート３４とインナパネル外側シート４０との間に、図３及び図４に同様に断面で示したパネル補剛部材４２を含む。図面において、補剛部材４２は、吸音部材３８の周りの全体が［Ｃ］字状チャネルの都合のよい形態として示しているが、「Ｚ」字状チャネルのような他の形状を用いることもできる。補剛部材４２は、軽量と強度との組合せを得るために、例えば繊維強化した非金属複合材料で実質的に作られるのが好ましい。インナパネル２８と関連して、例えば一般的なボルト、ナット、スペーサ及び加圧プレートとして示した、全体を符号４４で示すインナパネル固締手段が設けられる。しかしながら、固締手段は、界面接合又は接着型材料を含むことができる。固締手段４４は、順々にインナパネル内側シート３４、吸音材料３８及びインナパネル外側シート４０を保持しかつインナパネル２８内の補剛部材４２を保持するように設けられる。

アウタパネル３０は、エンクロージャ２７の外部側１２から内向きに順々に、好ましくは剛性を高めるために繊維強化した非金属複合材料で実質的に作られた、全体を符号４６で示すアウタパネルサンドイッチ部材を含む。サンドイッチ部材４６は、それぞれ間隔を置いて配置されたサンドイッチ部材第１壁及び第２壁４８及び５０と、このサンドイッチ部材第１壁及び第２壁間に設けられてサンドイッチ部材中空チャンバ５４を形成する複数の間隔を置いて配置された横方向壁５２とを含む。サンドイッチ部材第２壁５０上に設けられたアウタパネル耐熱及び耐火並びに吸音部材５６は、購入可能な非金属材料、例えば現在ではポリウレタン、メラミン等のような材料で作られているようなポリマー発泡体又は多孔性材料で実質的に作られる。図２、図３及び図４において、部材５６は、音響減衰が所望どおりの同一又は異なる材料とすることができる複数の層を含むものとして示している。一般的には、部材５６は、例えば金属蒸着ポリマー材料の薄いフィルム面６０を含む。

エンクロージャ壁２６内に含まれるのは、図７の概略斜視図にエンクロージャ骨格フレームワークのような１つの形態として示した支持フレーム３２である。図面の実施形態における支持フレーム３２は、金属構造体として示している。しかしながら、幾つかの用途では、例えば繊維強化複合材のような他の材料を用いることができる。インナパネル２８及びアウタパネル３０は、図２に符号５８で表しかつ図３及び図４により詳細に示した支持フレーム固締手段によって、支持フレーム３２に固定される。例えば一般的なボルト、ナット、スペーサ及び加圧プレートとして示した固締手段５８は、支持フレーム３２が間隔を置いて配置された状態でインナパネル２８及びアウタパネル３０を支持しかつ保持してそれらの間に空間６２を形成するのを可能にするように設けられる。しかしながら、固締手段は、界面接合又は接着型材料を含むことができる。同様にエンクロージャ壁２６内に含まれるのは、支持フレーム３２とインナパネル外側シート４０の位置でのインナパネル２８及び部材５６の位置でのアウタパネル３０の各々との間にかつ支持フレーム３２とインナパネル外側シート４０の位置でのインナパネル２８及び部材５６の位置でのアウタパネル３０の各々とに接触した状態でその少なくとも１つが設けられている複数の防振材６４である。図面の実施形態では、防振材６４は、インナ壁２８とアウタ壁３０との間の振動伝達を減衰する、例えばゴム又は他の弾性ポリマーのような弾性材料として示している。しかしながら、同じ機能を備える他の振動減衰材料又は構造体を用いることができる。

図４の概略部分断面図は、本発明の好ましい実施形態を示し、この実施形態では、図２に示すアウタパネルサンドイッチ部材４６の中空チャンバ５４は、アウタパネル３０を通しての付加的な音響透過低減（損失）をもたらすコア６６含む。実質的に中空チャンバ５４を満たすのが好ましいコア６６は、１つの実施例ではフェノール樹脂発泡体材料である非金属発泡体又は多孔性材料で実質的に作られた。図４の実施形態では、アウタパネル３０は、必要に応じてサンドイッチ部材第１壁４８と接合されて音響透過低減を増大させかつ付加的な防火及び外部損傷保護をもたらす、例えば薄い金属の外部シート６８を含む。

図７の概略斜視図において全体を符号３２で示すエンクロージャ骨格フレームワーク上にエンクロージャ２７を組立てる際に、インナパネル２８及びアウタパネル３０は、例えばパネルセグメント又はそれらの組合せのようなほぼ平らな個々の完成パネルとして作ることができる。図５は、外部金属シート６８を含まない状態で、図４に関して説明したアウタパネル３０のその全体を符号７０で示すアウタパネルセグメントの実施形態の概略斜視図である。図６は、図２、図３及び図４に関して説明したインナパネル２８のその全体を符号７２で示すインナパネルセグメントの実施形態の概略斜視図である。

エンクロージャ壁２６の組立体の１つの形式では、アウタパネル３０は、完全パネルとして作ることができ、インナパネル２８は複数のインナパネルセグメント７２を含むことができる。別の実施例では、インナパネル２８及びアウタパネル３０は各々、それぞれ複数のパネルセグメント７２及び７０として形成し、例えば図７に示すエンクロージャ骨格フレームワークの形態で、支持フレーム３２の位置に防振材６４を設けた状態で組立てることができる。このようなパネル及び／又はパネルセグメントは、それらの間に防振材６４を設けた状態で支持フレーム３２に例えば固締手段５８によって固締される。パネルセグメント形態のパネルの場合には、隣接するパネルセグメント間の接合部に適切なバリア構成又は材料を設けて、接合部を通しての音響透過を阻止することが望ましい。

１つの評価において、チャンバ５４内にコア６６を含む、図４に関して図示しかつ説明したような本発明のインナパネル２８及びアウタパネル３０の形態の組合せの透過低減特性を、図１に関して説明したような現在の従来技術の壁構造体と比較した。図８のグラフ式表現は、このような評価から得られたデータを要約している。図８において、０３７として特定したデータは、図１の従来技術の構造体１０の１０．０ｌｂ／ｆｔ^２での試験から得られたものであり、０４１として特定したデータは、本発明のインナパネル２８及びアウタパネル３０の組合せの７．３ｌｂ／ｆｔ^２での試験から得られたものであり、０４５として特定したデータは、本発明のインナパネル２８及びアウタパネル３０の組合せの５．１ｌｂ／ｆｔ^２での試験から得られたものである。図８のデータは、現在の従来技術の構造体と比較した場合に、本発明により構成したインナパネル及びアウタパネルの組合せによる音響透過低減が大きく向上することを示している。

本発明は、主として非金属材料の構成及び使用によって、音響低減特性並びに耐熱及び耐火性と共に重量の軽減及び構造安定性を大きく向上させた組合せを備えたエンクロージャを提供する。本発明を特定の実施例、材料及び構造体に関して説明してきたが、それらは本発明の技術的範囲を何ら限定するのではなく、その代表的な例を示すことを意図するものであることを理解されたい。音響及び熱エネルギー、材料並びにエンクロージャ設計に関連する当業者には、特許請求の範囲の技術的範囲から逸脱することなく本発明を変更及び修正できることが明らかであろう。

現在の従来技術の構造の概略部分断面図。 本発明の実施形態によるエンクロージャ壁の概略部分断面斜視図。 図２の壁の線３−３に沿った概略部分断面平面図。 本発明の好ましい形態によるエンクロージャ壁の別の実施形態を示す、図３と同様な概略部分断面平面図。 その複数を用いてエンクロージャを構成することができるアウタパネルのうちの単一のセグメントの概略斜視図。 その複数を用いてエンクロージャを構成することができるインナパネルのうちの単一のセグメントの概略斜視図。 インナパネル及びアウタパネル又はそれらのセグメントを取付けてエンクロージャを形成することができる、エンクロージャ骨格フレームワークの概略斜視図。 現在の従来技術のエンクロージャ壁の音響透過低減を本発明によるインナパネル及びアウタパネルの組合せの形態と比較したグラフ。

符号の説明

１２ 外部側
２４ 中空内部
２６ エンクロージャ壁
２７ エンクロージャ
２８ インナパネル
３０ アウタパネル
３２ 支持フレーム
３４ インナパネル内側シート
３６ 穿孔
３８ インナパネル吸音部材
４０ インナパネル外側シート
４２ 補剛部材
４４ インナパネル固締手段
４６ アウタパネルサンドイッチ部材
４８ アウタパネルサンドイッチ部材第１壁
５０ アウタパネルサンドイッチ部材第２壁
５２ 横方向壁
５４ 中空チャンバ
５６ アウタパネル耐熱及び耐火並びに吸音部材
６２ 空間
６４ 防振材
６６ コア

Claims (7)

1. 作動中に熱及び／又は音響エネルギーを発生する装置用のエンクロージャ（２７）であって、
   エンクロージャ中空内部（２４）の少なくとも一部分を形成する少なくとも１つの壁（２６）を含み、
   前記壁（２６）は、インナパネル（２８）、アウタパネル（３０）、支持フレーム（３２）及び複数の防振材（６４）の組合せを含み、
   前記インナパネル（２８）が、前記エンクロージャ中空内部（２４）から外向きに順々に、
   （ａ）前記エンクロージャ中空内部（２４）に面して設けられかつそれを貫通する複数の穿孔（３６）を含むインナパネル内側シート（３４）と、
   （ｂ）前記インナパネル内側シート（３４）上に設けられた非金属吸音材料を含むインナパネル吸音部材（３８）と、
   （ｃ）前記インナパネル吸音部材（３８）上に設けられた非金属複合材料を含むインナパネル外側シート（４０）と、
   （ｄ）前記インナパネル内側シート（３４）とインナパネル外側シート（４０）との間に設けられた少なくとも１つのパネル補剛部材（４２）と、
   を含み、
   前記アウタパネル（３０）は、前記エンクロージャ（２７）の外部側（１２）から内向きに順々に、
   （ａ）間隔を置いて配置されたサンドイッチ部材第１壁（４８）及びサンドイッチ部材第２壁（５０）と前記サンドイッチ部材第１壁（４８）及び前記サンドイッチ部材第２壁（５０）間に設けられてサンドイッチ部材中空チャンバ（５４）を形成した複数の間隔を置いて配置された横方向壁（５２）とを備えた非金属複合材料を含むアウタパネルサンドイッチ部材（４６）と、
   （ｂ）前記アウタパネルサンドイッチ部材の前記サンドイッチ部材第２壁（５０）上に設けられた非金属耐熱及び耐火材料並びに吸音材料を含むアウタパネル耐熱及び耐火並びに吸音部材（５６）と、
   を含み、
   前記支持フレーム（３２）は、間隔を置いた状態で前記インナパネル（２８）及び前記アウタパネル（３０）を支持しかつ保持するように該インナパネル（２８）及び該アウタパネル（３０）間に固定されて、該インナパネル（２８）と該アウタパネル（３０）との間に空間（６２）を形成し、
   前記複数の防振材（６４）は、前記支持フレーム（３２）と前記インナパネル（２８）及び前記アウタパネル（３０）の各々との間にかつ該支持フレーム（３２）と該インナパネル（２８）及び該アウタパネル（３０）の各々とに接触した状態でその少なくとも１つが設けられている、
   エンクロージャ（２７）。
2. 前記インナパネル（２８）のパネル補剛部材（４２）が、実質的に非金属複合材料で作られている、請求項１記載のエンクロージャ（２７）。
3. 前記アウタパネルサンドイッチ部材（４６）が、前記サンドイッチ部材中空チャンバ（５４）内に多孔性非金属材料のコア（６６）を含む、請求項１記載のエンクロージャ（２７）。
4. 前記インナパネル（２８）が、前記インナパネル内側シート（３４）、前記インナパネル吸音部材（３８）及び前記インナパネル外側シート（４０）を順々に保持するインナパネル固締手段（４４）を含み、
   前記支持フレーム（３２）は、前記インナパネル（２８）を該支持フレーム（３２）に固定する第１の支持フレーム固締手段と、前記アウタパネル（３０）を該支持フレーム（３２）に固定する第２のの支持フレーム固締手段とを含む
   ことを特徴とする請求項１記載のエンクロージャ（２７）。
5. 前記インナパネル内側シート（３４）が金属であり、
   前記インナパネル吸音部材（３８）が、実質的に非金属材料で各々が作られた複数の層を含み、
   前記インナパネル（２８）の前記パネル補剛部材（４２）が、実質的に非金属複合材料で作られ、
   前記アウタパネルサンドイッチ部材（４６）が、実質的に非金属複合材料で作られかつ前記サンドイッチ部材中空チャンバ（５４）内に多孔性非金属材料のコア（６６）を含み、
   前記アウタパネル耐熱及び耐火並びに吸音部材（５６）が、複数の層を含む、請求項４記載のエンクロージャ（２７）。
6. 前記アウタパネル（３０）が、前記サンドイッチ部材第１壁（４８）と接合した外部金属シート（６８）を含む、請求項１記載のエンクロージャ（２７）。
7. 前記アウタパネル（３０）は実質的に連続しており、前記インナパネル（２８）は複数のインナパネルセグメント（７２）からなる、請求項１記載のエンクロージャ（２７）。