JP4901994B2 - ラジオ放送受信装置 - Google Patents

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Description

この発明は、特に、IBOC(In-Band On-Channel)方式の地上デジタルラジオ放送であるHDラジオ放送受信に用いて好適な、ラジオ放送受信装置に関するものである。
FCC(Federal Communications Commission:米国連邦通信委員会)が標準規格として認可し、米国で実用化されているHDラジオの放送方式であるIBOCは、既存のAM(Amplitude Modulation)/FM(Frequency Modulation)アナログ放送の周波数を利用して、アナログ放送と同時にデジタル信号を伝送するハイブリッド方式を採用している。
上記したHD放送において、アナログ音声とデジタル音声は基本的には同じ音声が放送されており、ハイブリッド放送を受信するラジオ放送受信装置は、デジタル信号が受信可能な場合にデジタル音声を出力し、デジタル信号が受信不可な場合にアナログ音声を出力している。
このHD放送において、アナログ信号は、デジタル放送用信号処理デコーダ内で想定される遅延時間分だけデジタル信号より遅延され、放送される。したがって、アナログ音声とデジタル音声の切替わりの際には、両者に時間差がなく、かつ周波数特性の差による違和感が生じないように比較的長い遷移時間が設定されている。
ところで、従来、FM変調されたアナログ音声とデジタル音声(例えば、DAB:Digital Audio Broadcasting)との時間差を検出し、これを補償する遅延手段を持った放送受信装置が提案されている。この放送受信装置によれば、周波数および放送形式切替えの際に生じる可聴性歪をより小さくして、ユーザに違和感を生じさせない処理が施されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−319873号公報
ところで、上記したHDラジオ放送において、将来、データの通信量を増加させる目的でデジタル信号のみの放送(以下、オールデジタル放送という)が始まる可能性がある。この場合も通常のハイブリッド放送同様、ラジオ放送受信装置は、まずはアナログ放送の帯域にチューニングするが、実際アナログ信号は放送されていないため、上記したアナログ音声からデジタル音声へ切替えるために要する遷移時間は設ける必要がない。遷移時間が長いと局間ノイズが混入する時間が長く継続するためユーザに不快感を与える。
また、HDラジオ放送において、ライブ等、即時性(リアルタイム)に重点をおいた番組では、デジタル放送用信号処理デコーダでの遅延を意図的に考慮せず、アナログ音声とデジタル音声に時間差が生じる放送(以下、ボールゲームモード)もある。この場合も上記したオールデジタル放送同様、アナログ音声とデジタル音声の切替えに要する遷移時間は設ける必要がない。
しかしながら、上記した特許文献1に開示された放送受信装置を含む従来のラジオ放送受信機ではこれらの放送形式が考慮されておらず、一律の遷移時間が設定されているため、オールデジタル放送ではノイズが混入し、また、ボールゲームモードではアナログ音声とデジタル音声の時間差により、遷移時間中に音声信号が聞こえにくくなるという不具合を有していた。
この発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、HDラジオ放送を含む地上デジタルラジオ放送受信時の放送形式にしたがい遷移時間を制御することで、放送形式切替え時にもユーザに不快感を与えることなく快適な受信環境を提供できるラジオ放送受信装置を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するためにこの発明のラジオ放送受信装置は、地上デジタルラジオ放送に含まれるデジタル信号が受信可能な場合にデジタル音声を出力し、前記デジタル信号が受信できない場合にアナログ音声を出力する放送受信再生部と、前記放送受信再生部で受信した前記地上デジタル放送の放送形式を判別し、前記判別された放送形式にしたがい、前記アナログ音声からデジタル音声の出力切替え時の音声混合を行う遷移時間を可変制御する制御部と、を備えたものである。
この発明のラジオ放送受信装置によれば、HD放送を含む地上デジタルラジオ放送受信時の放送形式にしたがい遷移時間を制御することで、放送形式切替え時にもユーザに不快感を与えることなく快適な受信環境を提供することができる。
この発明の実施の形態1に係るラジオ放送受信装置の内部構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1に係るラジオ放送受信装置のオーディオ信号ミキサの内部構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1に係るラジオ放送受信装置の制御部の内部構成を機能展開して示したブロック図である。 この発明の実施の形態1に係るラジオ放送受信装置の動作を示すフローチャートである。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るラジオ放送受信装置の内部構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、この発明の実施の形態1に係るラジオ放送受信装置は、放送受信再生部1と、操作部2と、制御部3と、により構成される。
放送受信再生部1は、ここでは、HDラジオ放送に含まれるデジタル信号が受信可能な場合にデジタル音声を出力し、デジタル信号が受信できない場合にアナログ音声を出力する機能を有し、フロントエンド11と、IF(中間周波数)処理部12と、アナログ放送信号復調器13と、デジタル放送用信号処理デコーダ14と、オーディオ信号ミキサ15と、オーディオ信号処理部16とを含む。
放送受信再生部1において、不図示のアンテナから入った受信信号は、フロントエンド11で高周波増幅と周波数変換が行なわれ、IF処理部12でアナログ放送信号とデジタル放送信号に分離される。そして、アナログ放送信号は、アナログ放送信号復調器13へ、デジタル放送信号はデジタル放送用信号処理デコーダ14に出力される。
デジタル放送用信号処理デコーダ14は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)により構成され、プログラム制御の下で受信したデジタル放送信号を復号し、このデジタル放送信号に含まれるデータを制御部3へ、オーディオ信号をオーディオ信号ミキサ15へ出力する。
オーディオ信号ミキサ15は、アナログ放送信号を復調した音声信号(以下、単にアナログ音声という)と、デジタル放送信号をデコードした音声信号(以下、単にデジタル音声という)を、両者の時間差がなく、かつ周波数特性の差による違和感が生じないように、例えば、アナログ音声を徐々に減衰させ、デジタル信号を徐々に増幅させ、比較的長い遷移時間(例えば、5〜6s)をかけて混合してオーディオ信号処理部16へ出力する。
オーディオ信号処理部16は、操作部2を介して操作されるユーザ指示にしたがい、オーディオ信号の音量調整や周波数特性等の処理を行う。
オーディオ信号ミキサ15の内部構成は、図2にその一例が示されている。図2に示されるように、オーディオ信号ミキサ15は、音量調整部151、152と、混合部153と、遷移時間制御部154と、により構成される。
オーディオ信号ミキサ15は、制御部3により可変制御される遷移時間が遷移時間制御部154に設定されると、この遷移時間にしたがい、アナログ放送信号復調器13により復調されたアナログ信号と、デジタル放送用信号処理デコーダ14により復号されたデジタル信号の各再生音量を、音量調整部151、152のそれぞれで調整し、混合部153により混合し、オーディオ信号処理部16へ出力する。
説明を図1に戻す。操作部2は、複数のボタンスイッチが実装され、ユーザ操作により、例えば、選局、音量調整、周波数特性の変更指示を制御部3に伝達するユーザインタフェースとしての役割を担う。
制御部3は、例えば、マイクロコンピュータにより構成され、プログラム制御の下、放送受信再生部1で受信した地上デジタル放送の放送形式を判別し、ここで判別された放送形式にしたがい、アナログ音声からデジタル音声の出力切替えに要する遷移時間を可変制御する機能を有する。
マイクロコンピュータが読み出し実行するプログラムの構造は、図3に機能展開され示されているように、主制御部30を制御中枢とし、操作情報取得部31と、放送形式判定部32と、遷移時間設定部33と、により構成される。
図3において、主制御部30は、放送受信再生部1で受信した地上デジタル放送の放送形式を判別し、ここで判別された放送形式にしたがい、アナログ音声からデジタル音声の出力切替えに要する遷移時間を可変制御する制御部3としての機能を実現するために、操作部2、および放送受信再生部1を構成するフロントエンド11、デジタル放送用信号処理デコーダ14、オーディオ信号ミキサ15、オーディオ信号処理部16のシーケンス制御を司る。
操作情報取得部31は、操作部2を介して操作されるユーザ指示(選局、音量、周波数特性の変更等)を取込んで主制御部30に引き渡す。
放送形式判定部32は、主制御部30が、ユーザが操作部2により選局操作したことを契機に、デジタル放送用信号処理デコーダ14と通信を行なうことにより取得したステイタス情報(後述するコーデック情報、ブレンドコントロール情報)から、ハイブリット放送、もしくはオールデジタル放送の別を識別し、主制御部30による制御の下、識別された放送の別に基づき遷移時間設定部33に適切なパラメータ(遷移時間)を設定する。
主制御部30は、上記したステイタス情報にしたがいオールデジタル放送であると判別した場合、オーディオ信号ミキサ15に対し、遷移時間設定部33を介してデジタル放送用信号処理デコーダ14が制御可能な最短の遷移時間を設定出力する。また、ステイタス情報にしたがいハイブリット放送であると判別され、更に、アナログ音声とデジタル音声との間に時間差が生じるボールゲームモードであると判別された場合、主制御部30は、オーディオ信号ミキサ15に対し、遷移時間設定部33を介してデジタル放送用信号処理デコーダ14が制御可能な最短の遷移時間を設定出力する。なお、ここで設定される最短時間は、例えば、1msとする。
図4は、この発明の実施の形態1に係るラジオ放送受信装置の動作を示すフローチャートである。ここでは、図3に示す主制御部30の動作に特化して説明されている。
以下、図4に示すフローチャートを参照しながら、図1〜図3に示すこの発明の実施の形態1に係るラジオ放送受信装置の動作について詳細に説明する。
図4のフローチャートにおいて、まず、ユーザが操作部2により選局操作を行なうと(ステップST401“YES”)、制御部3は、操作情報取得部31がこの選局情報を取込み、主制御部30に引き渡す。
主制御部30は、デジタル放送用信号処理デコーダ14と通信を行い、生成されるステイタス読み出しコマンドを送信し(ステップST402)、デジタル放送用信号処理デコーダ14からステイタス応答を待つ(ステップST403)。
主制御部30は、デジタル放送用信号処理デコーダ14からステイタス応答があれば(ステップST403“YES”)、この応答に含まれるコーデック情報、ブレンドコントロール情報を放送形式判定部32へ引き渡す。
放送形式判定部32は、このコーデック情報から現在放送されている放送形式が、ハイブリッド放送であるか、あるいはオールデジタル放送であるかを判別することが可能であり、その判別結果を主制御部30へ引き渡す。なお、上記したコーデック情報、およびブレンドコントロール情報は、いずれもIF処理部12で分離されるデジタル放送に含まれ、デジタル放送用信号処理デコーダ14に供給されるものである。
ここで、オールデジタル放送であると判別された場合(ステップST404“YES”)、主制御部30は、アナログ音声からデジタル音声への遷移時間を最短時間に設定するパラメータを生成し、遷移時間設定部33に設定する(ステップST406)。
一方、ハイブリッド放送であると判別された場合(ステップST404“NO”)、放送形式判定部32は、更に、ステイタス応答により取得されるブレンドコントロール情報から、アナログ音声とデジタル音声に時間差が生じるボールゲームモードであるか否かを判別する(ステップST405)。ここで、ボールゲームモードであると判別された場合(ステップST405“YES”)、主制御部30は、アナログ音声からデジタル音声への遷移時間を最短時間に設定するパラメータを生成し、遷移時間設定部33に設定する(ステップST406)。
遷移時間設定部33に設定されたパラメータは、放送受信再生部1のオーディオ信号ミキサ15(遷移時間制御部154)に転送される。オーディオ信号ミキサ15は、上記したパラメータ(制御部3により可変制御される遷移時間)を遷移時間制御部154が受信すると、この遷移時間にしたがい、アナログ放送信号復調器13により復調されたアナログ信号と、デジタル放送用信号処理デコーダ14により復号されたデジタル信号の各再生音量を、音量調整部151、152のそれぞれで調整し、混合部153を介して混合し、オーディオ信号処理部16へ出力する
オーディオ信号処理部16は、操作部2を介して操作されるユーザ指示にしたがい、選局され受信した番組の音量調整や周波数特性等の処理を行う。
なお、オールデジタル放送でなく、更に、ボールゲームモードでない場合は(ステップST405“NO”)、ステップST401の処理に戻り、主制御部30は、ユーザによる選局操作を待つ。
以上説明のように、この発明の実施の形態1に係るラジオ放送受信装置によれば、制御部3が、放送受信再生部1で受信した地上デジタル放送の放送形式を判別し、判別された放送形式にしたがい、アナログ音声からデジタル音声へ(あるいは逆方向)の出力切替えに要する遷移時間を可変制御することにより、放送形式切替え時にもユーザに不快感を与えることなく快適な受信環境を提供することができる。すなわち、オールデジタル放送ではノイズが混入し、ボールゲームモードではアナログ音声とデジタル音声の時間差により、遷移時間中に音声信号が聞こえにくくなるという不具合は解消される。
なお、上記したこの発明の実施の形態1に係るラジオ放送受信装置によれば、HD放送のみ例示したが、HD放送に限らず、DAB(Digital Audio Broadcasting)、ISDB−T(Integrated Service Digital Broadcasting-Terrestrial)、DAM(Digital Asset Management)等、異なる放送形式により同時に同じ番組を放送する地上デジタル放送の全てに適用が可能である。
また、図3に示す制御部3が有する構成は、全てをソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
例えば、制御部3が、放送受信再生部1で受信した地上デジタル放送の放送形式を判別し、判別された放送形式にしたがい、アナログ音声からデジタル音声の出力切替えに要する遷移時間を可変制御するデータ処理は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現してもよく、また、その少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
また、混合部153は、最短の遷移時間設定のとき、過渡状態のないスイッチ的なアナログ・デジタル間の切替手段であってもよい。
以上のように、この発明に係るラジオ放送受信装置は、HDラジオ放送を含む地上デジタルラジオ放送受信時の放送形式にしたがい遷移時間を制御することで、放送形式切替え時にもユーザに不快感を与えることなく快適な受信環境を提供するために、地上デジタルラジオ放送に含まれるデジタル信号が受信可能な場合にデジタル音声を出力し、前記デジタル信号が受信できない場合にアナログ音声を出力する放送受信再生部と、前記放送受信再生部で受信した前記地上デジタル放送の放送形式を判別し、前記判別された放送形式にしたがい、前記アナログ音声からデジタル音声の出力切替えに要する遷移時間を可変制御する制御部を備えるよう構成したので、IBOC(In-Band On-Channel)方式の地上デジタルラジオ放送であるHDラジオ放送受信に使用されるラジオ放送受信装置などに用いるのに適している。

Claims (6)

  1. 地上デジタルラジオ放送に含まれるデジタル信号が受信可能な場合にデジタル音声を出力し、前記デジタル信号が受信できない場合にアナログ音声を出力する放送受信再生部と、
    前記放送受信再生部で受信した前記地上デジタル放送の放送形式を判別し、前記判別された放送形式にしたがい、前記アナログ音声から前記デジタル音声の出力切替え時の音声混合を行う遷移時間を可変制御する制御部と、
    を備えたことを特徴とするラジオ放送受信装置。
  2. 前記放送受信再生部が受信する前記地上デジタルラジオ放送は、
    既存のアナログ信号帯域内、および前記アナログ信号帯域の両側のサイドバンドに前記デジタル信号を付加したハイブリット放送であることを特徴とする請求項1記載のラジオ放送受信装置。
  3. 前記放送受信再生部は、
    前記アナログ信号を復調するアナログ放送信号復調器と、
    前記デジタル信号を復号するデジタル放送用信号処理デコーダと、
    前記制御部により可変制御される前記遷移時間にしたがい、前記アナログ信号復調器により復調されたアナログ信号と、前記デジタル放送用信号処理デコーダにより復号されたデジタル信号との各再生音量を調整して混合出力するオーディオ信号ミキサと、
    を有することを特徴とする請求項1記載のラジオ放送受信装置。
  4. 前記制御部は、
    選局操作を契機に、前記デジタル放送用信号処理デコーダと通信を行ない、前記デジタル放送用信号処理デコーダから取得したステイタス情報により、前記ハイブリット放送、もしくはオールデジタル放送の別を識別し、前記識別された放送の別に基づき前記遷移時間を制御することを特徴とする請求項3記載のラジオ放送受信装置。
  5. 前記制御部は、
    前記ステイタス情報にしたがいオールデジタル放送であると判別された場合に、前記オーディオ信号ミキサに対し、前記デジタル放送用信号処理デコーダが制御可能な最短の遷移時間を設定出力することを特徴とする請求項4記載のラジオ放送受信装置。
  6. 前記制御部は、
    前記ステイタス情報にしたがいハイブリット放送であると判別され、更に、前記アナログ音声とデジタル音声との間に時間差が生じるボールゲームモードであると判別された場合に、前記オーディオ信号ミキサに対し、前記デジタル放送用信号処理デコーダが制御可能な最短の遷移時間を設定出力することを特徴とする請求項4記載のラジオ放送受信装置。
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