JP4901537B2 - 騒音振動低減装置 - Google Patents
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その方法は、次の2方法に大別することができる。
(1)圧電素子をアクチュエータとして壁面に設置し、そのアクチュエータに外部よりエネルギーを付加して壁面の振動を打ち消すように駆動させて騒音を低減する方法。(2)圧電素子をエネルギー変換器として壁面に設置し、壁面に加わる振動エネルギーや騒音エネルギーを電気エネルギーに変換し、その圧電素子に接続した共振回路を構成する電気回路(シャント回路)によりその電気エネルギーを散逸させる方法。
PZTは、短冊状のセラミック(焼結材)であり、壁面に直接貼付して、壁面の振動エネルギーを電気エネルギーに変換する用い方が一般的である。その際、エネルギー変換の効率を上げるためには、壁面の振動の「腹」の正確な位置にPZTを貼付することが必要である。
一方、PVDFの圧電特性は、PZTよりも小さいものの、膜状に取り付けることにより、騒音エネルギーを直接電気エネルギーに変換することが可能である。PVDF膜を曲面に成型することにより、広帯域において高い遮音性能が発揮できる技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
1)圧電素子を壁面に直接貼付する騒音振動低減システム
上記従来技術の内、圧電素子を貼付したアルミニウムや鉄などの比較的大きい薄板を振動板として用いる場合は、振動モードが異なるごとに振動ピーク(腹)が離散的に現れる。そのため、広帯域音に対しては、そのまま適用することができない。
圧電素子を壁面に直接貼付して、壁面を透過する騒音振動を低減するシステムでは、壁面の振動モードを正確に把握し、振動の「腹」位置に的確に貼る必要があるが、貼付した圧電素子により壁面に質量や剛性が付加されるため、壁面の振動モードが変化し、「腹」位置も移動する可能性がある。さらに、壁面の取り付け状態や一部に荷重が付加されるなどにより、振動モードが変化した場合の対応が不可能である。
また、振動板に電気回路を接続する騒音振動低減装置において、電気回路としてインダクタンス回路を用いる場合は、基本的に単一周波数の騒音振動しか低減できない。よって、複数の周波数の騒音振動を低減したい場合は、振動板、電気回路ともに対象周波数分用意し、さらに騒音の伝播経路に積層する必要あるため、装置の薄型化に限界がある。
圧電スピーカは既製品であって、現在使用可能なものは、1辺が50mm余りの角形スピーカである。そのため、150Hz以下は音響信号の出力が困難である。これは、電気信号を与えた際の圧電スピーカの振動板の振動特性に起因するものである。その結果、150Hz以下の騒音振動低減は困難であった。既製の圧電スピーカを使用する場合は、スピーカ特性を改善することはできないため、低周波の騒音振動低減に限界があった。さらに、圧電スピーカは、既製品であるため、振動板の特性を調整することが困難であった。
圧電材料としてPVDFを膜状に取り付ける騒音振動低減システムは、PVDFの音響−電気変換特性が小さいため、騒音エネルギーに対する電気エネルギーの変換効率が小さい。
ることを特徴している(請求項1)。
設けることが望ましい(請求項4)。
すなわち、(ア)各振動板は、互いに他の振動板に振動を伝搬することなく、各振動板内において圧電素子により電気エネルギーに変換され、電気回路により散逸される。そして、各振動板の振動特性は、振動板を形成する薄板の厚さ、面積(半径又は1辺の長さ)、密度、ヤング率、ポアソン比などに依存するので、入射する振動の中心周波数に応じて、それぞれの振動板の振動特性の設計が可能である。従って、騒音振動低減装置は、広帯域の消音効果を発揮させることが可能である。
(イ)騒音振動低減パネルを単独又は壁面の騒音入射側に取り付ける場合は、振動板に入射する騒音エネルギーを圧電材料が直接電気エネルギーに変換するため、壁面の振動モードの影響を受けない。また、消音システムを壁面の騒音透過側に取り付ける場合は、空気層を介して取り付けることにより、壁面の振動モードに影響を与えずに、透過騒音を低減することができる。また、振動板にアルミニウムや鉄等の減衰特性が比較的小さい薄板を用いることにより、圧電材料の減衰力に伴う振動板全体の減衰特性を効果的に増大させることができる。さらに、振動板の形状及び特性が自由に設定できるため、数10Hz等の低周波域の消音も可能である。
(ウ)振動板の面積は、基本振動数又は基本振動数及び基本振動数の2倍以上の高調振動数で振動可能な大きさであるので、当該振動板の基本振動数で振動可能な場合は、振動板の全面が同じ位相で振動し、振動板の中心に最大振幅(腹)が現れるため、圧電材料による振動−電気変換効率が最も高く、効率の高い減衰効果を得ることができる。また、当該振動板の基本振動数及び基本振動数の2倍以上の高調振動数で振動可能な場合は、一つの節が現れるので、騒音振動減衰効果が低くなるが、従来技術よりも高い減衰効果を得ることができる。
図1は、騒音振動低減パネルの一例を示す平面図である。この騒音振動低減パネルPは、複数個の騒音振動低減モジュール1と、その騒音振動低減モジュールに接続された電気回路2とから構成されている。
振動板11の形は、特に限定されないが、大きさは、一つの振動板の全平面が同位相で振動できる大きさ、すなわち、基本振動数で振動の腹が一つ現れる大きさが最も好ましい。一つの振動板の全平面が同位相で振動する場合は、振幅が最大になり、振動板の中心において最大振幅が得られるからである。従って、圧電素子12は、その振動板11の中心に貼付される。
振動板11の大きさが、基本振動数よりも高い振動数、すなわち、高調振動数で振動できる大きさの場合は、1又はそれ以上の節が現れ、振動板の位相が逆の部分が互いに打ち消し合って振動板の変位が小さくなり、騒音的効果が低められ、振動吸収能力が下がるので、好ましくない。しかし、壁面の環境によっては、振動板の大きさが、基本振動数及び基本振動数の2倍以上の高調振動数で振動可能な大きさのものでも、有意な減衰効果が得られる場合がある。
いては、騒音振動低減モジュール1における振動板11を、独立振動可能なように平面状に配置するために、各振動板をフレーム3により支持しているが、フレームに対する支持態様は、騒音振動低減パネルPの適用対象における減衰対象である騒音振動周波数に対応して、振動板の縁を固定する態様と、固定しない態様のいずれかが選択される。
電気回路2は、各圧電素子12において騒音エネルギーから変換されて導線4を経て入力する電気エネルギーを散逸するためのものであり、次のようなものを使用することができる。
(a)圧電素子の両電極の間に直列接続されたコイルと抵抗器とを含むシャント回路で構成されたもの。
(b)圧電素子の両電極の間に直列接続された圧電素子全体が有する静電容量とほぼ等
価な負性静電容量と抵抗器を含むシャント回路で構成されたもの。
特開2005−10270号公報に記載されているように、前記シャント回路の後段には、そのシャント回路により取り出される電気エネルギーを蓄電し又は回生する既知の蓄電・回生回路が備えられても良い。そして、そのシャント回路は、圧電素子に接続された電極間に直列接続された第1のコイル及び抵抗器を有し、蓄電・回生回路は第2のコイルと整流器とを有して、第1のコイルと第2のコイルはそれぞれ変圧器の1次巻線と2次巻線とを形成するものとすることができる。また、蓄電・回生回路は、圧電素子全体が有する静電容量とほぼ等価な負性静電容量を生成する回路を駆動するために使用するために用
いることが好ましい。
周波数域を拡大した。これにより、壁面Wに入射する騒音振動又は壁面から放射される騒音振動の広い周波数に対応した低減効果が得られるという利点がある。
対象とする騒音あるいは振動が複数の周波数f1、f2・・・にピークを持っているとする。図8に例示するように、振動板11は、長辺Lx、短辺Lyの矩形で、周辺が固定されているとした場合、振動板の固有周波数Fは、次の数式で求められる。
1 騒音振動低減モジュール
11 振動板
12 圧電素子
12a f1 用圧電素子
12b f2 用圧電素子
3 フレーム
4 導線
A 騒音振動低減装置
5,5e 空気層
6 壁材
7 質点
2 電気回路
W 壁面(制振対象物)
Claims (6)
- 基本振動数又は基本振動数及び基本振動数の2倍以上の高調振動数で振動可能な大きさの薄板で形成された振動板にその振動板よりも小さい圧電素子をその振動板の振動の腹に貼付してなる騒音振動低減モジュールを、複数個、各振動板の振動が互いに他の振動板に伝搬しないように面状に配置して騒音振動低減パネルを構成し、その騒音振動低減パネルに前記圧電素子に発生する電気エネルギーを散逸する電気回路を接続してなる騒音振動低減装置。
- 騒音振動低減モジュールは、各振動板の縁の少なくとも一部を固定して支持するフレームを有することを特徴とする請求項1に記載の騒音振動低減装置。
- フレームは、騒音振動低減モジュールの振動板よりも振動透過側又は振動入射側に突出されていることを特徴とする請求項2に記載の騒音振動低減装置。
- 請求項3に記載の騒音振動低減モジュールのフレームが振動板よりも突出されている側に壁材を取り付けて、騒音振動低減モジュールと壁材との間に空気層を設けたことを特徴とする騒音振動低減装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項の騒音振動低減パネルの騒音振動低減モジュールを制振対象物に一体的に取り付けてなる騒音振動低減装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の騒音振動低減装置において、騒音振動低減モジュールの振動板を矩形の振動板とし、その2対の辺長をそれぞれ制振対象とする2つの周波数で固有振動するように設定し、それぞれの振動変位の最大付近に圧電材料を貼付したことを特徴とする騒音振動低減装置。
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