JP4286701B2 - 車内騒音低減方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ピエゾ素子を用いて車室内の騒音を低減する方法に関する。
近年、新幹線等の鉄道車両は、さらなる高速化が要求されている。鉄道車両の高速化が進むと、車輪やモータ、歯車等の車両構成要素から発生する振動・騒音のレベルが増大する傾向にあるため、高速化と相俟ってより高い防振・防音性能も要求されることとなる。特に、新幹線等で優等料金を支払って長時間乗車する乗客は、車内の快適性への期待が大きく、中でも静粛でゆれの少ない車内環境への要望が強いため、車体の振動・騒音を低減することは極めて重要である。
以下、鉄道車両における遮音効果を向上させるための対策の例について説明する。
図10は、鉄道車両における浮き床構造の一例を示す図である。
図11は、鉄道車両の車体の一例を示す模式図である。(A)は車体の全体構造を示す図であり、(B)は(A)のX部拡大断面図である。
図10に示す浮き床構造は、車体床100を構成する床構体(外板)101と、その上の床板(内パネル)103との間に防振ゴム105を挿入した構造である。この防振ゴム105は、床構体101に固定された中梁107上に設置されている。このような浮き床構造において、透過損失の効果を大きくするためには、共振周波数をなるべく低く設定することが必要となる。そのためには、挿入した防振ゴム105の剛性をなるべく低くすること、床構体101と床板103との間隔を大きくすること、床構体101、床板103の重量を大きくすること等が有効である。
しかしながら、挿入した防振ゴム105の剛性を低くすると、車体床100全体の強度が低下してしまう。あるいは、床構体101と床板103との間隔を大きくすると、車室の広さを狭めてしまい、乗り心地悪化を引き起こすおそれがある。さらに、床構体101、床板103の重量を大きくすると、車体の軽量化に反することとなる。したがって、現状の浮き床構造では、車体軽量化の促進と遮音性能の向上とを両立して実現することが困難であるといえる。
ところで、近年、前述したような車体の軽量化を実現するため、車体をアルミニウム合金製とする場合が多くなってきているが、アルミニウム合金等の軽量素材を用いると透過損失が低下し、車内騒音が増加する傾向がある。そこで、これを改善する工夫の一つとして、図11(A)に示すように、車体110の板状構造体(屋根構体(天井)111、側構体(壁)113、床構体115等)を中空ダブルスキン構造とすることが行われている。このような中空ダブルスキン構造では、中空部分に振動減衰効果のある樹脂等の充填材120を充填することができる(図11(B)参照)。そのため、遮音効果を向上させることが可能となる。
しかしながら、車体軽量化の促進を考慮すると、図11のような中空ダブルスキン構造を用いる場合でもなお遮音効果との両立には限界があるといえる。
前述した図10の浮き床や、図11の充填材付きダブルスキン構造の採用により、遮音性能をある程度向上させることはできるが、床板(パネル)は弾性体であるため、床板自体の弾性振動が発生すると、それに伴って車内に騒音が放射される。したがって、さらなる防音効果の向上(快適性の向上)のためには、このような床板の弾性振動を低減する必要がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、ピエゾ素子を用いた手法を適用することで、鉄道車両等の高速化に必要な車体の軽量化を阻害することなく、また貼付面積が小さい場合でも遮音効果を発揮させて防音効果の向上(快適性の向上)を実現することができる車内騒音低減方法を提供することを目的とする。
本発明のベースとなる車内騒音低減方法は、車両の車室を画する壁、床、天井等の板状構造体にピエゾ素子を貼付し、該ピエゾ素子を制御して前記板状構造体の振動又はそれから放出される音を制御することにより、前記車室内の騒音を低減する。
この方法によれば、ピエゾ素子を制御して振動又は音のエネルギーを吸収する、あるいは、積極的に振動又は音をつくり出してスピーカ機能を生じさせることで、特に板状構造物の弾性振動に起因する車室内の騒音を低減することができる。さらに、この方法では、板状構造体の面密度や板厚を増やす場合等に比べて、車体の重量が大きく増加することがない。したがって、本方法によれば、車両の高速化のための車体の軽量化と、防音効果の向上とを両立して実現することが可能となる。
本発明の車内騒音低減方法においては、前記板状構造体の車室外側にかかる音圧又は振動のエネルギーを前記ピエゾ素子で電気エネルギーに変換し、該電気エネルギーを散逸回路で散逸させることができる。
この場合、ピエゾ素子制御のための装置を大型化することなく、車室内への固体伝播音を低減する効果を向上することができる。
本発明の車内騒音低減方法においては、前記車室の内及び/又は外に前記板状構造体の振動を検知する振動センサを設け、該振動センサの信号に基づいて前記ピエゾ素子に与えるべき電気入力を制御し、前記車室内の騒音を低減することができる。
この場合、振動センサを用いてピエゾ素子を制御すること で、騒音低減効果を一層向上することができる。
本発明の車内騒音低減方法においては、前記車両が鉄道車両であり、 該車両の台車の上の車室床部分に前記ピエゾ素子が貼付されているものとすることができる。
この場合、新幹線等の高速鉄道車両において、高速化のための車体の軽量化と、防音効果の向上(快適性の向上)とを両立して実現することが可能となる。
本発明によれば、鉄道車両等の高速化に必要な車体の軽量化と、防音効果の向上(快適性の向上)とを両立して実現することができる車内騒音低減方法を提供することができる。
発明を実施するための形態
以下、本発明の一実施例について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明が適用される鉄道車両の車体を示す模式図である。(A)は車体の全体構造を示す図であり、(B)は(A)のX部拡大断面図及び散逸回路の模式図である。
図1(A)には、鉄道車両の車体1が示されている。この車体1は、車室を画する側構体(壁)2、屋根構体(天井)3、床構体4等の板状構造体を備えている。床構体4の上側(車室内側)には、床板5が設けられている。
図1(B)に示すように、床板5の下面側には、複数のピエゾ素子10が貼付されている(図1(B)では1つのピエゾ素子10のみを示す)。このピエゾ素子10は、圧電材料11の上下面に電極12、13が形成されてなる。ピエゾ素子10は、床板5が振動するのに伴ってひずみを発生し、このひずみによって電圧を発生する。なお、図1(B)では、床板5の車体幅方向(左右方向)断面を模式的に示しており、ここにピエゾ素子10が貼付されている場合を例示しているが、実際にはピエゾ素子10は車体前後方向にも貼付される。
なお、図1(B)では電極が上下面に形成された板状のピエゾ素子を用いているが、伸縮方向に電極が形成された積層型のピエゾ素子を利用する形態も考えられる。
ピエゾ素子10は、抵抗を含む散逸回路20に接続されている。床板5が振動するのに伴ってピエゾ素子10がひずむと、このひずみによってピエゾ素子10から電圧が発生する。すると、散逸回路20には電流が流れ、この電流が散逸回路20中の抵抗でジュール熱として散逸され、エネルギーの損失が起きる。このエネルギーは、もともとは床板5が振動したことで発生したものであるため、結果的に床板5に減衰が付加されて振動が低減し、車体1内への放射音(後述する図5(B)の固定伝播音)が低減される。なお、このような散逸回路20の具体的な構成例については後述する。
ここで、図2及び図3を参照しつつ、前述したピエゾ素子10の効果的な貼付方法について説明する。
図2(A)〜(C)は、それぞれ車体の床板の振動形状例を示す概念図である。
図3(A)、(B)は、それぞれピエゾ素子の形状例を示す模式図である。
図2(A)には、床板の中央部近傍に1つだけ振動の腹Fを有する場合(1−1モード)が示されている。このような場合は、床板の中央部近傍(振動の腹F)に前記ピエゾ素子を貼付する。
図2(B)には、床板の縦・横ともに2つの振動の腹F1、F2を有する場合(2−2モード)が示されている。このような場合は、前述した1−1モードの場合のように、床板の中央部近傍にピエゾ素子を貼付しても、放射音低減効果は得られ難い。そこで、この2−2モードでは、床板の歪みが極大となるような位置(振動の腹F1、F2)のそれぞれに前記ピエゾ素子を貼付する。
なお、これら1−1モードや2−2モードのような振動形状に対しては、長方形(長辺と短辺の比が大きく細長い形状)のピエゾ素子を2枚用いて十字状に直交させ、各振動の腹F、F1及びF2の矢印方向に、直交させたピエゾ素子の各片を合わせて貼付すると、1方向のみに1枚のピエゾ素子を貼付するよりも放射音低減効果を向上することができる。また、複数の素子を振動の腹から放射状に貼付するのも効果的である。あるいは、図3(A)に示すような長辺と短辺の比が小さく正方形に近いピエゾ素子や、図3(B)に示すような円形に近い形状のピエゾ素子を1枚用い、径方向の伸縮を利用するような場合であっても、同様に放射音低減効果を向上することができる。
図2(C)には、鞍型モードの場合が示されている。この鞍型モードは、床板の中央部近傍に1つだけ振動の腹Fを有するが、前述の1−1モードの場合とは異なり、床板の縦方向と横方向とで伸び、縮みが互いに逆方向となっているものである。このような鞍型モードの場合は、前述のような十字状のピエゾ素子を振動の腹Fに貼付し、発生力が逆となるように電極を逆に接続することが考えられる。但し、この際には、前述した1−1モードとの放射音低減効果は両立しないので、2枚のピエゾ素子が独立に力を発生するように作用させる方がより好ましい。
次に、前述した散逸回路20の具体例について説明する。
本実施例で述べる散逸回路20は、等価的には、純抵抗RとインダクタンスLとを直列接続した回路(L−R回路)や、負性キャパシタンス−Cと純抵抗Rとを直列接続した回路(負性C−R回路)等として表すことができる。
図4(A)は本実施例に係るL−R回路を使用する場合の散逸回路の構成を示す図であり、図4(B)は同負性C−R回路を使用する場合の散逸回路の構成を示す図である。
図4(A)には、ピエゾ素子に対して等価的にL−R回路が接続された例が示されている。この例では、ピエゾ素子の電気的な等価回路を、ピエゾ素子のキャパシタンスCpとひずみ(振動)に応じた交流電圧源vpとの直列接続によって表している。このL−R回路は、ピエゾ素子のキャパシタンスCpを特定の周波数において打ち消して、交流電圧源vpの負荷を純抵抗とするための回路である。このL−R回路では、ピエゾ素子のキャパシタンスCPと分岐回路のインダクタンスLとにより共振回路が構成されており、共振周波数を機械的な固有振動数と一致させることで、ピエゾ素子が発生する電力を効率的に抵抗Rによって散逸させるという考え方に基づいて構成されている。
図4(A)に示すL−R回路では、角周波数をωとすると、周波数領域において以下の関係が成り立つ:
Vp(jω)=VR(jω)+VL(jω)+VCp(jω)
=(ZR(jω)+ZL(jω)+ZCp(jω))I(jω)、
R(jω)=R、
L(jω)=jωL、
Cp(jω)=1/(jωCp)。
ここで、Vp(jω)はvp(t)のラプラス変換にs=jωを代入したものであり、その他、大文字に(jω)を付した記号についても同様である。
図4(A)に示すL−R回路において、抵抗Rに流れる電流iを一定の条件下で極大にするためには、抵抗R以外のインピーダンスZL(jω)+ZCp(jω)、すなわち、キャパシタンスCpとインダクタンスLの合成インピーダンスをゼロとすればよい。具体的には、
L(jω)+ZCp(jω)=jωL+1/(jωCp)=0
とすればよい。但し、これを全周波数帯域にわたって成立させることは不可能であるため、インダクタンスLを
L=1/(Cpω1 2
となるように調整し、特定の周波数(機械系の固有振動数ω1)において合成インピーダンスを打ち消すことで、最も効果的な電流iの散逸が可能となる。これは、共振点が固有振動数ω1(=ω)の電気的な共振回路を構成することに相当する。なお、抵抗Rの値は、別の最適条件(例えば藤田隆史らによる「ピエゾ素子を用いたスマート構造によるパッシブ微振動制振の基礎的研究」、機論、66−644、C(2000)、1097−1101参照)により求めるものとする。
一方、図4(B)には、ピエゾ素子に対して等価的に負性C−R回路が接続された例が示されている。この例では、ピエゾ素子のキャパシタンスCpを広範囲な周波数において打ち消して、交流電圧源vpの負荷を純抵抗Rとするために、等価的に負性C−R回路を構成している。この負性C−R回路では、C=Cpとすることにより、理論的には全ての周波数においてピエゾ素子のキャパシタンスCpとエネルギー変換回路の負性キャパシタンス(−C)との合成インピーダンスをゼロにすることができるので、広範囲な周波数において制振効果が得られ、かつ、複数モードの制振が可能であると考えられる。但し、図4(B)に示す例では、負性キャパシタンスは受動素子のみによっては実現できないので、オペアンプ等を用いて等価的に実現する必要がある。
以下、本発明に係る放射音低減効果を確認するために行った加振試験の結果について述べる。
図5(A)、(B)は、騒音の放射状態を説明するための模式図である。
図5には、外板OBと、内パネルIPと、これらを結合する結合部材Cとが示されている。内パネルIPには、前述のピエゾ素子10が貼付されている。外板OBは前述の図1(B)の床構体4に相当し、内パネルIPは前述の図1(B)の床板5に相当する。
図5(A)は、外部からの入射音が外板OB(床構体4)及び内パネルIP(床板5)を透過し、車室内に放射される場合が模式的に示されている。一方、図5(B)は、外部からの機械的振動が外板OB(床構体4)に加わり、この振動が結合部材Cを介して内パネルIP(床板5)に伝わり、固体伝播音が車室内に放射される場合が模式的に示されている。このように、車室内の放射音には、透過音(図5(A)の場合)と固体伝播音(図5(B)の場合)との2種類が存在する。本発明によれば、前述の散逸回路20における振動エネルギーの損失により内パネルIP(床板5)の弾性振動に伴って車内に放射される騒音を低減することができる。
図6は、本加振試験に用いた試験用板体(床板及びピエゾ素子)を示す平面図である。
この図には、実際に最近の新幹線で用いられているものと同じアルミハニカム構造の床板AFBにピエゾ素子PEを貼付した試験用板体が示されている。床板AFBは、縦1500mm、横2135mm、厚さ5mmの板体であり、質量は約20kgである。床板AFBの中央部には、2枚のピエゾ素子PEが接着剤でT字状(縦及び横方向)に貼付されている。ピエゾ素子の一枚当たりの寸法は、縦155mm、横40mm、厚さ3mmであり非常に小型で、質量は約0.14kg(2枚で約0.3kg)であり、質量増はほとんどないと考えてよい。
このような試験用板体は、水平状態で四隅(記号×で示す箇所)にゴムを介して弾性支持されている。この試験用板体の加振は、記号*で示す箇所に加振棒を介して接続した動電型加振器により行なわれる。床板AFBには、記号○で示す箇所に計9個の加速度ピックアップが取り付けられており、これら加速度ピックアップで加振時の床板AFBの振動特性が計測される。そして、そのときの放射音は、記号△で示す位置で床板AFB表面から40cm離して設置したマイクロフォンにより計測される。動電型加振器の加振力は、床板AFBと加振棒との間に設置したロードセル(図示されず)で測定される。
なお、前記加速度ピックアップ、マイクロフォンで測定した振動、放射音は、ピエゾ素子を利用した振動低減対策には必要なく、結果の評価のみに用いている。
前述の試験用板体を用いて本試験(放射音低減効果を確認するための試験)を実施するのに先立ち、まず試験用板体そのものの振動特性を調査する必要がある。そこで、本発明者等は、動電型加振器に5〜200Hzで平坦な周波数特性をもつバンドランダム信号を入力し、単位加振力当たりの各測定点(加速度ピックアップ1〜9)における加速度応答の周波数応答(FRF)を計算する予備試験を行った。
図7は、本実施例における予備試験の加速度応答の周波数応答(FRF)を示すグラフ(縦軸:FRF(単位(m/s2)N)、横軸:周波数(単位Hz))である。
図8(A)、(B)は、それぞれ固有振動数13.2Hz、89.6Hzにおける床板の振動形状を模式的に表す図である。
図7には、前述した計9個の加速度ピックアップ(図6の記号○参照)のうち、代表として試験用板体中央の加速度ピックアップ(図6の測定点3参照)におけるFRFの計算結果が示されている(実際には、FRFの計算は全ての加速度ピックアップについて行っている)。図7のグラフにおいて、ピークが卓越しているのは、13Hz附近及び90Hz附近であることがわかる。なお、図7中50Hz附近、150Hz附近に現れる急峻なピークは電源ノイズによるものであり、実際の振動・騒音を表すものではない。
そこで、計9個の加速度ピックアップにおける試験用板体の変形状態を線で結び、13.2Hz、89.6Hzにおける振動形状を模式的に表したものが図8である。図8において、細線は試験用板体の静止時の状態(水平状態)を表し、太線は試験用板体の変形時の状態を表している。図8(A)に示す13.2Hzの場合は、弾性支持された床板がほぼ剛体として上下に並進する振動モードであり、図8(B)に示す89.6Hzの場合は、1次振動モード(前述した図2(A)に示す1−1モード)であることがわかる。
以下、図8(B)に対応する1次振動モードを制振対象とし、図6の試験用板体における2枚のピエゾ素子PEを図4(A)のL−R回路に接続した場合に行なった、放射音低減効果を確認するための試験結果について述べる。
図9は、本発明に係るピエゾ素子を用いた放射音低減方法の効果を説明するためのグラフである。
図9において、太い線はピエゾ素子を用いて制御を行った場合を示し、細い線はピエゾ素子を貼付しているが制御はしていない場合を示しており、いずれも加振力当たりの放射音圧を表している。このグラフにおいては、縦軸が無次元化された音圧レベルであり、横軸が無次元化された周波数である(これらはピエゾ素子を貼付しているが制御はしていない場合のピーク値で無次元化されている)。このグラフから、ピエゾ素子を用いて制御を行った場合は、ピエゾ素子を貼付していない場合に比べて、放射音圧がほぼ半減していることがわかる。
この結果から、本方法によれば、車室内の騒音(透過音及び固体伝播音)を低減することができるといえる。そして、この方法では、従来のように板状構造体の面密度や板厚を増やす場合等に比べて、軽量のピエゾ素子(本試験では約0.3kg)や散逸回路を用いるために車体の重量が大きく増加することがない。したがって、本方法を新幹線等の高速鉄道車両に適用すること、高速化のための車体の軽量化と、防音効果の向上(快適性の向上)とを両立して実現することが可能になるといえる。
なお、図12に示すような振動センサ及び制御装置を用いて、前述のピエゾ素子へ積極的に電圧を印加することで、一層効果的に振動を低減することも考えられる。
図12は、本実施例に係る鉄道車両の車体床の拡大断面図及び制御装置の模式図である。
図12において、床板5の下面には振動センサ15が設置されている(この図では振動センサ15が1個のみ示されているが、2個以上設置することも可能である)。この振動センサ15は、床板5の振動を検知するものであって、制御装置30に接続されている。制御装置30は、振動センサ15の振動検知信号に基づいて、振動・放射音低減のためにピエゾ素子が発生すべき力の向きと大きさを決定し、ピエゾ素子へ積極的に電圧を印加する。そして、この電圧の印加によりピエゾ素子が力を発生することで振動が低減され、車室内への放射音が低減される。
なお、制御装置30が適切な電圧値を決定し、振動低減性能を一層向上させるため、前述した振動センサ15のほかに、床板5又は床構体4に振動センサを追設してそれらの情報を利用することが好ましい。あるいは、床板4のひずみや床構体5・床板4間、又は床板5上面附近の騒音を検知して利用することも考えられる。
本発明が適用される鉄道車両の車体を示す模式図である。(A)は車体の全体構造を示す図であり、(B)は(A)のX部拡大断面図及び散逸回路の模式図である。 それぞれ車体の床板の振動形状例を示す概念図である。 それぞれピエゾ素子の形状例を示す模式図である。 図4(A)は本実施例に係るL−R回路を使用する場合の散逸回路の構成を示す図であり、図4(B)は同負性C−R回路を使用する場合の散逸回路の構成を示す図である。 騒音の放射状態を説明するための模式図である。 本加振試験に用いた試験用板体(床板及びピエゾ素子)を示す平面図である。 本実施例における予備試験の加速度応答の周波数応答(FRF)を示すグラフ(縦軸:FRF(単位(m/s2)N)、横軸:周波数(単位Hz))である。 それぞれ固有振動数13.2Hz、89.6Hzにおける床板の振動形状を模式的に表す図である。 本発明に係るピエゾ素子を用いた放射音低減方法の効果を説明するためのグラフである。 鉄道車両における浮き床構造の一例を示す図である。 鉄道車両の車体の一例を示す模式図である。(A)は車体の全体構造を示す図であり、(B)は(A)のX部拡大断面図である。 本実施例に係る鉄道車両の車体床の拡大断面図及び制御装置の模式図である。
符号の説明

1 車体
2 側構体(壁) 3 屋根構体(天井)
4 床構体 5 床板
10 ピエゾ素子
11 圧電材料 12、13 電極
15 振動センサ
20 散逸回路 30 制御装置


Claims (4)

  1. 車両の車室を画する壁、床、天井等の板状構造体にピエゾ素子を貼付し、該ピエゾ素子を制御して前記板状構造体の振動又はそれから放出される音を制御することにより、前記車室内の騒音を低減する車内騒音低減方法であって、
    前記板状構造体の振動の腹となる部分に、長方形のピエゾ素子を十字状に直交させて貼付することを特徴とする車内騒音低減方法。
  2. 前記板状構造体の縦方向と横方向とで伸び・縮みが互いに逆方向となる鞍型モードの場合に、前記十字状に直交させて貼付するピエゾ素子を、圧電発生力が逆となるように電極を逆に接続することを特徴とする請求項1記載の車内騒音低減方法。
  3. 前記板状構造体の車室外側にかかる音圧又は振動のエネルギーを前記ピエゾ素子で電気エネルギーに変換し、該電気エネルギーを散逸回路で散逸させ
    該散逸回路を、前記板状構造体の固有振動数と一致した共振周波数の共振回路とすることで、前記ピエゾ素子が発生する電力を効率的に散逸させることを特徴とする請求項1又は2記載の車内騒音低減方法。
  4. 前記車両が鉄道車両であり、
    該車両の台車の上の車室床部分に前記ピエゾ素子が貼付されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の車内騒音低減方法。
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