JP2005291220A - 車体床の制振・防音方法及び車体 - Google Patents

車体床の制振・防音方法及び車体 Download PDF

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Abstract

【課題】 車体の床振動を低減し、遮音特性を向上することができる車体床の制振・防音方法及び車体を提供する。
【解決手段】 車体1の床構体4と床板5との間には、防振ゴム41が挿入されている。さらに、床構体4と床板5との間には、アクチュエータ45が介装されている。アクチュエータの発生力fは、等価的に床板の質量を増加させる、ならびに、床板の絶対速度に比例させることに基づき決定する。発生力fにより等価的に床板の質量を増加させることで、振動伝達率が低減できる帯域を低周波領域に拡張することができる。一方、発生力fを床板の絶対速度に比例させることで、浮き床による共振ピークを低減することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アクチュエータを用いて車体床を制振・防音する方法に関する。
近年、新幹線等の鉄道車両は、さらなる高速化が要求されている。鉄道車両の高速化が進むと、車輪やモータ、歯車等の車両構成要素から発生する振動・騒音のレベルが増大する傾向にあるため、高速化と相俟ってより高い防振・防音性能も要求されることとなる。特に、新幹線等で優等料金を支払って長時間乗車する乗客は、車内の快適性への期待が大きく、中でも静粛でゆれの少ない車内環境への要望が強いため、車体の振動・騒音を低減することは極めて重要である。
以下、鉄道車両における騒音発生のメカニズムについて説明する。
図5は、鉄道車両における騒音発生のメカニズムを説明するための図である。(A)は板状構造体を透過する音波を示す模式図であり、(B)は周波数に対する音波の透過損失を示す対数グラフである。
図5(A)には、2枚の板状構造体(外板OB、内パネルIP)と、これらを結合する結合部材Cとが示されている。外板OBと内パネルIPとの間には、空気層Aが存在する。
鉄道車両の騒音発生源としては、レール上での車輪の転動音、車両駆動系の駆動音、あるいは、車両走行時の空力音等があると考えられており、これらの音波(図5(A)の符号Pi)が車両の車室を画する壁、床、天井等の板状構造体(外板OB、内パネルIP)を透過して車内へと侵入することで騒音が発生する。そのため、車内騒音を低減するためには、壁、床、天井等の板状構造体を透過する音波(図5(A)の符号Pt)をできる限り小さくすることが効果的である。
音波が板状構造体を透過するときのメカニズムとしては、質量則と、空気層をもつ2重壁構造で現れる効果とを挙げることができる。
質量則とは、車体の板状構造体の面密度が大きいほど遮音効果が大きいという法則である(図5(B)のグラフα参照)。従来より、この質量則を利用して遮音効果を得るために、透過する音波の寄与が大きい車両台車部の床板に鉄板を追加挿入し、この鉄板によって床板の面密度を上げること等が行なわれている。
しかしながら、鉄板を追設すると車体重量が増すため、前述した車両の高速化に必要な車体の軽量化に反することとなる。そのため、質量則を利用して遮音効果を向上させるには限界があるといえる。
一方、空気層をもつ2重壁構造で現れる効果とは、図5(A)のように、空気層Aを挟む2枚の外板OB、内パネルIPが、空気層A自体の有するバネや結合部材Cをバネとして共振を起こし、この共振周波数よりも高い周波数帯域で、前述の質量則を上回る大きな遮音性能を得るという効果である(図5(B)のグラフβ参照)。
空気層をもつ2重壁構造で現れる効果を利用した事例としては、浮き床構造が知られている。
図6は、鉄道車両における浮き床構造の一例を示す図である。
図6に示す浮き床構造は、車体床100を構成する床構体(外板)101と、その上の床板(内パネル)103との間に防振ゴム105を挿入した構造である。この防振ゴム105は、床構体101に固定された中梁107上に設置されている。このような浮き床構造において、透過損失の効果を大きくするためには、共振周波数をなるべく低く設定することが必要となる。そのためには、挿入した防振ゴム105の剛性をなるべく低くすること、床構体101と床板103との間隔を大きくすること、床構体101、床板103の重量を大きくすること等が有効である。
しかしながら、挿入した防振ゴム105の剛性を低くすると、車体床100全体の強度が低下してしまう。あるいは、床構体101と床板103との間隔を大きくすると、車室の広さを狭めてしまい、快適性の悪化を引き起こすおそれがある。さらに、床構体101、床板103の重量を大きくすると、前述の質量則の場合と同様に、車体の軽量化に反することとなる。したがって、現状の浮き床構造では、空気層をもつ2重壁構造で現れる効果を利用して遮音効果を向上させるには限界があるといえる。
さらに、遮音効果を向上させるための対策として、図7に示す方法が知られている。
図7は、鉄道車両の車体の一例を示す模式図である。(A)は車体の全体構造を示す図であり、(B)は(A)のX部拡大断面図である。
近年、前述したような車体の軽量化を実現するため、車体をアルミニウム合金製とする場合が多くなってきているが、アルミニウム合金等の軽量素材を用いると透過損失が低下し、車内騒音が増加する傾向がある。そこで、これを改善する工夫の一つとして、図7(A)に示すように、車体110の板状構造体(屋根構体(天井)111、側構体(壁)113、床構体115等)を中空ダブルスキン構造とすることが行われている。このような中空ダブルスキン構造では、中空部分に振動減衰効果のある樹脂等の充填材120を充填することができる(図7(B)参照)。そのため、遮音効果を向上させることが可能となる。
しかしながら、車体軽量化の促進を考慮すると、図7のような中空ダブルスキン構造を用いる場合でもなお遮音効果との両立には限界があるといえる。
前述したように、質量則又は空気層をもつ2重壁構造で現れる効果を利用する従来の騒音低減方法では、鉄道車両の高速化に必要な車体の軽量化と、防音効果の向上(快適性の向上)とを両立して実現することが困難である。あるいは、中空ダブルスキン構造や制振材を用いる手段の他に、さらに車体軽量化・遮音性能の向上を実現できる手段が求められている。
本発明は、前述の問題を解決するためになされたものであって、車体の床振動を低減し、遮音特性を向上することができる車体床の制振・防音方法及び車体を提供することを目的とする。
本発明の車体床の制振・防音方法は、車体の床を支える床構体と、その上に張られた床板とからなる車体床を制振・防音する方法であって、 前記床構体と前記床板の間に、これら両者間に圧縮・引張力を作用させるアクチュエータを配置し、該アクチュエータの出力を利用して前記床板の振動を低減することを特徴とする。
なお、前記「防音」とは、車体床を制振することに伴う副次的な作用、あるいは、防音自体を主目的とする場合の両方を含む意味である。
この方法によれば、床構体と、その上に張られた床板とからなる車体床(浮き床)において、アクチュエータで床板をアクティブに制振制御することができる。これにより、浮き床による高周波領域での制振・防音性能と、アクティブ制御による低周波領域での制振・防音性能とを実現することができる。
本発明の車体床の制振・防音方法においては、前記床板に仮想的に質量を付加した効果が得られるように前記アクチュエータを制御し、前記床板の固有振動数を低くすることができる。
この場合、床板の仮想質量を付加することで、床板の剛体としての固有振動数を低くすることが可能となる。そのため、振動伝達率を低減することができる帯域を低周波領域に拡張することができるので、低周波領域での制振・防音性能を一層向上することが可能となる。
本発明の車体床の制振・防音方法においては、前記床板の振動の絶対速度に比例した力を生じさせるように前記アクチュエータを制御し、前記車体床による共振ピークを低くすることができる。
この場合、アクチュエータにより床板の振動の絶対速度に比例した力を生じさせる(いわゆるスカイフック理論を適用する)ことで、浮き床による共振ピークを低減することが可能となり、固有振動数附近での制振・防音性能を一層向上することが可能となる。
本発明の車体床の制振・防音方法においては、さらに前記床板にピエゾ素子を貼付し、該ピエゾ素子を制御して前記床板の振動を制御することができる。
この場合、ピエゾ素子を制御して振動又は音を吸収する、あるいは、積極的に振動又は音をつくり出してスピーカ機能を生じさせることで、車室内の振動・騒音を低減することができる。さらに、この態様では、車体床の面密度や板厚を増やす場合等に比べて、車体の重量が大きく増加することがない。したがって、この態様によれば、車両の高速化のための車体の軽量化と、防音効果の向上とを両立して実現することが可能となる。
本発明の車体は、車体の床を支える床構体と、その上に張られた床板とからなる車体床を備える車体であって、 前記床構体と前記床板の間に、これら両者間に圧縮・引張力を作用させるアクチュエータが設けられており、該アクチュエータの出力を利用して前記床板の振動を低減することを特徴とする。
本発明によれば、車体の床振動を低減し、遮音特性を向上することができる車体床の制振・防音方法及び車体を提供することができる。
発明を実施するための形態
以下、本発明の一実施例について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明が適用される鉄道車両の車体を示す模式図である。(A)は車体の全体構造を示す図であり、(B)は(A)のX部・Y部拡大断面図及び制御装置の模式図である。
図1(A)には、鉄道車両の車体1が示されている。この車体1は、車室を画する側構体(壁)2、屋根構体(天井)3、床構体4等の板状構造体を備えている。床構体4の上側(車室内側)には、床板5が設けられている。
車体1の床構体4と床板5との間には、防振ゴム41が挿入されている。この防振ゴム41は、床構体4に固定された中梁43上に設置されている。さらに、床構体4と床板5との間には、アクチュエータ45が介装されている。このアクチュエータ45は、床構体4と床板5の間に圧縮・引張力を作用させるものであって、後述するリニアアクチュエータ、超磁歪アクチュエータ、ピエゾアクチュエータ等を用いることができる。
さらに、床板5の下面には、複数の加速度センサ47が取り付けられている(図1(B)では1つの加速度センサ47のみを示す)。床板5の振動加速度は、これら加速度センサ47によって測定される。そして、アクチュエータ45及び加速度センサ47は、制御装置30に接続されている(この制御装置30によるアクチュエータ45の制御については後述する)。
なお、床板5の下面に、床板5の振動を検知する振動センサを1個あるいは複数個追設することもできる。このような振動センサを設置した場合、制御装置30は、振動センサの振動検知信号に基づいて、振動・放射音低減のために前述のアクチュエータ45が発生すべき力の向きと大きさを決定する。そして、アクチュエータ45が力を発生することで振動がより低減され、車室内への放射音が低減される。
ここで、図2及び図3を参照しつつ、前述した車体床のモデルについて説明する。
図2(A)〜(C)は、それぞれ車体床のモデルを示す図である。
図3は、周波数領域における応答倍率の一例を示すグラフである。
図2(A)には、浮き床構造を簡略化したモデルが示されている。この図において、k、cはそれぞれ防振ゴム(図1(B)の符号41参照)のバネ定数、ダンパ定数を示し、mは床板(図1の符号5参照)の質量を示す。防振ゴムのバネ定数は固有振動数が100Hzとなるように設定されており、ダンパ定数は減衰比が0.1となるように設定されている。質量mは、床板1枚に2列及び3列の腰掛1脚を加えた質量(150kg)に設定されている。さらに、zは床構体からの加振変位を示し、zは床板の応答変位を示す。
図3の点線のグラフに示すように、浮き床構造を採用しない場合、床板は床構体と一体化しているため、応答倍率は全周波数帯域にわたって1となるが、図2(A)に示す浮き床のモデルにおいては、図3の細線のグラフに示すような特性を有する。この細線のグラフは、約150Hz以上では倍率が1以下となっており、このことから中高周波数の振動領域では、浮き床によって振動低減効果が得られていることがわかる。このような振動低減効果を向上させるためには、床板の質量mを増加させて、床板の振動が小さくなるようにすればよい。床板の質量mを増加させると、図3の細線のグラフの山は左側にシフトすることとなり、よって応答倍率が1以下となる範囲が広がることとなる。しかしながら、床板の質量mを増加させると車体重量も増加することとなるため、車体軽量化の観点からは好ましくはない。
そこで、図2(A)のモデルにアクチュエータを加えた、図2(B)に示すようなモデルを考える。このアクチュエータは、前述の図1(B)のアクチュエータ45に相当するものであって、床構体と床板の間に介装されており、これら両者間に圧縮・引張力を作用させるものである。図2(B)において、fはアクチュエータの発生力を示し、k、cはそれぞれアクチュエータ追設に伴うバネ定数、ダンパ定数の増加分を示す。つまり、図2(B)のモデルにおいては、バネ定数k=k+k、ダンパ定数c=c+cとなり、次の運動方程式が成立することとなる:
(d2/dt2)+c(dz/dt)+kz=c(dz/dt)+kz+f
・・・(1)
ここで、アクチュエータの発生力fは、(I)等価質量の付加、(II)等価減衰の付加、の2つの観点に着目して決定する。
(I)等価質量の付加については、前述の(1)式の左辺のmを増加させることに相当する。この場合は、発生力fとして、床板の加速度d2/dt2に比例するアクチュエータ制御力を発生させることで、等価的に質量を増加させる効果が得られる。この(I)等価質量の付加を実現することで、振動伝達率が低減できる帯域を低周波領域に拡張することができる。
(II)等価減衰の付加については、前述の(1)式の左辺のcを増加させるために、相対速度(dz/dt)−(dz/dt)に比例したアクチュエータ制御力を発生させることが考えられる。しかし、この場合、ピークの低減と高周波領域の振動絶縁にトレードオフが存在するため、これらを両立することはできない。そこで、いわゆるスカイフック理論を適用し、床板の絶対速度dz/dtに比例したアクチュエータ制御力を発生させる。この(II)等価減衰の付加を実現することで、浮き床による共振ピークを低減することができる。
これらの関係を纏めると、アクチュエータの発生力fは次式(2)の通りとなる:
=−m(d2/dt2)−c(dz/dt) ・・・(2)
さらに、モデル化誤差が全く存在しない場合、前述の(1)式は次の(3)式に示す通りに変形できる:
[m+m](d2/dt2)+c(dz/dt)+c[(dz/dt)−(dz/dt)]+k[z−z]=0
・・・(3)
図2(C)は、(3)式の物理的関係を表すモデルである。このモデルにおいては、実際には大きな質量増加がなく(追設したアクチュエータの質量増加分のみ)、床板の質量mに対して、大きな質量mを付加した効果が得られる。さらに、アクチュエータ制御力として床板の速度dz/dtに比例した力を発生させることで、仮想的に固定された点と床板との間のダンパ(ダンパ定数cのスカイフックダンパ)を設置したことと同等の効果が得られる。
図3の細線のグラフにおいては、100Hz付近にピークが存在しており、この付近では応答倍率が1以上となっている。これは、単に仮想的な質量mを付加しただけでは、浮き床を採用しない場合よりも寧ろ振動が伝達され易くなっていることを示している。しかし、図2(C)のモデルにおいては、スカイフックダンパを設置していることにより、100Hz付近のピークを緩やかにする(ピークの山を潰す)ことができ、結果として、図3の太線のグラフに示す特性、すなわち、共振の影響を抑えながら80Hz程度以上の周波数帯域における振動低減特性を得ることができる。したがって、図2(C)のモデルにおいては、図2(A)に示すモデルよりも高い防音性能を得ることができるといえる。
次に、図3の細線のグラフの特性を実現するために用いる前述のアクチュエータ(図1(B)のアクチュエータ45に相当するもの)として、(a)リニアアクチュエータ、(b)超磁歪アクチュエータ、(c)ピエゾアクチュエータを用いた場合の実装可能性に関する検討結果について述べる。
まず、目標となる等価質量mを床板の質量mの2倍(m=2m)、スカイフックダンパ定数cを防振ゴムのダンパ定数cの4倍(c=4c)に設定した。目標となるアクチュエータの発生力は、前述の(2)式に基づき決定するが、その際に必要な床上加速度は直接測定し、振動速度はその積分値により求めるものとする。なお、この計算では、実装可能性を考慮して、低周波でアクチュエータの発生力が過大となることを防止するため、折点周波数20Hzの近似積分を用いている。前述のような目標設定では、必要なアクチュエータのストロークが50μm、発生力は1500N程度となった。
(a)リニアアクチュエータ
リニアアクチュエータを用いた場合の発生力fは電流iに比例し、推力定数kを用いて
=k
と表すことができる。したがって、電流iの指令値を計算することにより、目標発生力fを与えることができる。なお、電流iは、ドライブアンプ等で所望の値に制御できるものとした。
目標の制御を実現するために必要なアクチュエータの個数は、必要な発生力と電流に対する、1個当たりの発生力と電流との比から求めた。例えば、リニアモータの推力定数が61.5N/A、最大発生力が140N、許容電流が3.4Aである場合、発生力に関しては1500/140=約10.7、電流に関しては(1500/k)/3.4=約10.2となり、必要個数は11個と見積もることができる。なお、リニアモータの全長は140mm、質量はモータ本体1個当たり約1.2kg(合計約13.2kg)であって、固定子と可動子間のバネ定数はk=0とし、モータの誘起電圧によって発生する減衰も小さいと考えてc=0とした。
(b)超磁歪アクチュエータ
超磁歪アクチュエータを用いた場合の発生力fも電流iに比例し、推力定数kを用いて
=k
と表すことができる。目標の制御を実現するために必要な素子数は、例えば、超磁歪素子の推力定数が209.8N/A、最大発生力が890N、許容電流が4.2A、最大ストロークが70μmである場合、発生力に関しては1500/890=約1.9、電流に関しては(1500/k)/4.2=約1.7となり、必要個数は2個と見積もることができる。なお、素子の全長は220mm、ドライブアンプを除く質量は2.3×2=4.6kgである。
この超磁歪アクチュエータについては、素子の剛性、ダンパ定数を考慮しているため、浮き床にそのまま取り付けると、共振周波数が高周波に移動してしまう。すると、故障時等の制御不能時には、パッシブな浮き床よりも振動伝達率が増大する。これを回避するため、本検討では、浮き床の支持剛性k′とアクチュエータのバネ定数kの分だけ減少させて合計のバネ定数がk=k′+k=kとなるように設定し、元の支持剛性に一致させている。なお、制御性能を向上させるためにアクチュエータの個数を増加させると、アクチュエータそのものの剛性(バネ定数k)が大きくなり、k>kとなった場合は、元の支持剛性に一致させる補正が不可能となる。
(c)ピエゾアクチュエータ
ここで検討したピエゾアクチュエータのピエゾ素子は、発生力定数が1.33N/V、最大発生力が200N、許容電圧が150V、最大ストロークが52.2μmである。但し、このピエゾ素子単体ではストロークが不足するため、長さが6倍の素子が製作できるものとして、以下の検討を行った。
ピエゾアクチュエータの発生力fは電圧vに比例し、推力定数kを用いて
=k
と表すことができる。目標の制御を実現するために必要な枚数は、発生力と最大電圧により求める。発生力に関しては1500/200=約7.5、電圧に関しては(1500/k)/150=約7.5となり、必要個数は8個と見積もることができる。なお、素子の全長は120mmであり、質量は数kg以下であると推定できる。
なお、さらに遮音性能を向上させるためには、図4に示すような構成を用いることができる。
図4は、本発明の他の形態が適用される鉄道車両の車体を示す模式図である。(A)は車体の全体構造を示す図であり、(B)は(A)のX部・Y部拡大断面図及び制御装置の模式図である。
図4(A)に示す車体1は、図1(A)に示すものと同様である。図4(B)に示すように、床板5の下面側には、前述のアクチュエータ45を設置するほか、複数のピエゾ素子10が貼付されている(図4(B)では1つのピエゾ素子10のみを示す)。このピエゾ素子10は、圧電材料11の上下面に電極12、13が形成されてなる。なお、図4(B)では、床板5の車体幅方向(左右方向)断面を模式的に示しており、ここにピエゾ素子10が貼付されている場合を例示しているが、実際にはピエゾ素子10は車体前後方向にも貼付される。
ピエゾ素子10は、制御装置30に接続されている。制御装置30の構成としては、ピエゾ素子10に直接接続する、抵抗を含む電気回路(散逸回路)を利用することができる。床板5が振動するのに伴ってピエゾ素子10がひずむと、このひずみによってピエゾ素子10から電圧が発生する。すると、電気回路(散逸回路)には電流が流れ、この電流が散逸回路中の抵抗でジュール熱として散逸され、エネルギーの損失が起きる。このエネルギーは、もともとは床板5が振動したことで発生したものであるため、結果的に床板5に減衰が付加されて振動が低減し、車体1内への放射音(固体伝播音)が低減される。
また、制御装置30の別の構成として、加速度センサ47等の振動センサの出力に基づいて、振動・放射音低減のためにピエゾ素子10が発生すべき力の向きと大きさを決定し、ピエゾ素子10に電圧を印加する形態を考えることもできる。この電圧印加によりピエゾ素子10が力を発生することで振動が低減され、車室内への放射音が低減される。
本発明が適用される鉄道車両の車体を示す模式図である。(A)は車体の全体構造を示す図であり、(B)は(A)のX部・Y部拡大断面図及び制御装置の模式図である。 それぞれ車体床のモデルを示す図である。 周波数領域における応答倍率の一例を示すグラフである。 本発明の他の形態が適用される鉄道車両の車体を示す模式図である。(A)は車体の全体構造を示す図であり、(B)は(A)のX部・Y部拡大断面図及び制御装置の模式図である。 鉄道車両における騒音発生のメカニズムを説明するための図である。(A)は板状構造体を透過する音波を示す模式図であり、(B)は周波数に対する音波の透過損失を示す対数グラフである。 鉄道車両における浮き床構造の一例を示す図である。 鉄道車両の車体の一例を示す模式図である。(A)は車体の全体構造を示す図であり、(B)は(A)のX部拡大断面図である。
符号の説明
1 車体
2 側構体(壁) 3 屋根構体(天井)
4 床構体 5 床板
10 ピエゾ素子 11 圧電材料
12、13 電極 30 制御装置
41 防振ゴム 43 中梁
45 アクチュエータ 47 加速度センサ

Claims (5)

  1. 車体の床を支える床構体と、その上に張られた床板とからなる車体床を制振・防音する方法であって、
    前記床構体と前記床板の間に、これら両者間に圧縮・引張力を作用させるアクチュエータを配置し、該アクチュエータの出力を利用して前記床板の振動を低減することを特徴とする車体床の制振・防音方法。
  2. 前記床板に仮想的に質量を付加した効果が得られるように前記アクチュエータを制御し、前記床板の固有振動数を低くすることを特徴とする請求項1記載の車体床の制振・防音方法。
  3. 前記床板の振動の絶対速度に比例した力を生じさせるように前記アクチュエータを制御し、前記車体床による共振ピークを低くすることを特徴とする請求項1記載の車体床の制振・防音方法。
  4. さらに前記床板にピエゾ素子を貼付し、該ピエゾ素子を制御して前記床板の振動を制御することを特徴とする請求項1、2又は3記載の車体床の制振・防音方法。
  5. 車体の床を支える床構体と、その上に張られた床板とからなる車体床を備える車体であって、
    前記床構体と前記床板の間に、これら両者間に圧縮・引張力を作用させるアクチュエータが設けられており、該アクチュエータの出力を利用して前記床板の振動を低減することを特徴とする車体。
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